実家から離れて生活する学生にとって、親からの仕送りはありがたいものですよね。また、親としても子供が本当に困った時は、助けてあげたいと思うでしょう。アルバイト先が休業になった息子、すると母親が?ある親子のLINEが「笑った」「漫才みたい!」と話題になっています。大学生の、つくね(@merompans)さんはアルバイト先が休業になってしまいました。給料が減ることを心配する母親。「生活費が足りなくなるかも」というと、「足りなくなったらいって」と優しい言葉をかけます。親子の温かい会話…かと思いきや、最後のひと言につくねさんはあ然。実際のやりとりをご覧ください!母、意地悪すぎる pic.twitter.com/zuTi9QA0Ee — つくね (@merompans) May 17, 2021 振り込む気はないのね…!てっきり仕送りをしてくれると思っていたつくねさん。しかし、母親はその気はなかったようです!思わず「振り込まないんかーい!」とツッコミを入れたくなった人もいるでしょう。きっと母親は冗談でいったと思いますが、アメとムチをうまく使うメッセージにクスッとしてしまいますね。投稿は反響を呼び、「笑った。手渡しがいいってことなのかも」「漫才みたい!でも親ってなんだかんだ助けてくれるんだよな…」などの声が上がっています。冗談をいいつつも、つくねさんが本当に困った時は、そっと手を差し伸べてくれる様子が目に浮かびますね。[文・構成/grape編集部]
2021年05月20日がんは治療への不安もさることながら、心配なのはお金。実は自治体などからの支援制度は、かなり充実しているのだ。日本人の2人に1人ががんになる時代、損しないために正しい知識を持って申請を忘れずにーー!「がんを告知されたとき、これからどんなに大変な治療が待っているのか不安になりますが、その次に治療費をどう工面しようかといったお金の悩みも押し寄せてきます。ですが、実はがんになるともらえる、戻ってくるお金があるのです」こう話すのは10年前に乳がんを告知され、手術を経てその後寛解、『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)の著書がある辻本由香さんだ。「私ががんで治療を受けたとき、知り合ったがん患者さんは、治療費を工面するためパートに出たり、仕事を辞めざるをえなかったりとお金のことで四苦八苦している方があまりに多かった。いろいろな自治体や健康保険組合などからの支援があることが、全然知られていなかったのです」制度を知らず、金銭的な理由で治療を諦める人も目の当たりにしたという辻本さんは、必要な情報を届けられないかと考え、闘病が一段落したとき、ファイナンシャルプランナーとして開業を決意。がんに罹患した人の、その後のライフプランの相談・設計を専門としている。「治療が長引くとお金の悩みが深くなります。そんなとき、制度を知っていると、心配事が軽減できます。こうしたお金は、自分から請求の手続きをしないともらえません。日本人の2人に1人ががんになる時代。ぜひ情報を知っておいてほしいと思います」そこで、がんになったら知っておくべき制度を辻本さんが解説してくれた。■高額療養費制度〈請求先〉ご自身が加入している、健康保険組合、協会けんぽ、市区町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度の窓口)など「がんで手術・抗がん剤・放射線の治療をした人ならほぼこの制度に該当すると思います。年収に応じて一定額の医療費(年収400万円程度の方なら月額約8万円)を超えると、超えた分は戻ってくる制度です」(辻本さん・以下同)通院する病院が複数ある人、あるいは世帯で通院する人が複数いるなら、これも合算し、限度額以上は払わなくて済むのだ。「がん治療で精神的につらくなり、メンタルクリニックなどを受診したり、別の日はリハビリで他科を受診する人もいました。この場合、『同一人合算』制度が使えて、払う費用を抑えられます」年に3回以上該当すると4回目以降は、さらに上限が下がる「多数回該当」で、さらにお金が戻ってくる。■高額療養費制度の限度額適用認定証〈請求先〉ご自身が加入している、健康保険組合、協会けんぽ、市区町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度の窓口)など「高額療養費制度が適用されると、医療費はかなり支払いの額が下がるとはいえ、いったん窓口で1〜3割を支払うことさえ家計にとって厳しいという悩みはよくあります。その場合、あらかじめ健康保険組合などに申請し、『認定証』を出してもらえば、限度額以上は負担しなくてよい、という制度です」■高額医療費貸付制度〈請求先〉ご自身が加入している、健康保険組合、協会けんぽ、市区町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度の窓口)など「高額療養費の払い戻しを受けるには、診療月から3カ月程度の時間がかかります。そのため医療費の支払いに困ってしまい、キャッシングや民間ローンを利用した方もいました。そんなときに金利の高い民間ローンなどに手を出さず、無利子で借りられるこの制度を利用しましょう」■医療費控除〈請求先〉各自治体の税務署「セカンドオピニオンの費用や、医師による『装具使用証明書』のある人工肛門用装具、通院のためにかかる電車やバス代などの交通費など、がん治療のうえで必要な保険のきかない費用もあります」医療費控除は、そういった負担も含め、年間の医療費が10万円を超えた場合、オーバー分が(所得税率に応じて)還付される制度だ。通院する病院が複数ある人、あるいは世帯で複数通院する人がいるならこれもすべて合算し、医療費を軽減することができる。「医療費控除は5年間遡って還付が受けられます。体調がすぐれないときは無理をせず、レシートを大切に保管しておきましょう」■ひとり親家庭等医療費助成制度〈請求先〉各自治体「がんになったシングルマザーや、夫をがんで亡くした、子を持つ妻などが申請することができます。あまり知られていない制度ですが、該当すればかなり助かります」自治体によって細かいことは異なるので窓口で聞いてみること。適用されるのはお子さんが18歳までなので要注意だ。そのほかにも、「障害年金」「生活福祉資金貸付制度」「傷病手当金」「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」「医療用ウィッグや乳房補整下着などの助成」などの制度がある。制度を知っていると、さまざまな道が開けてくる。がん治療でつらいときもあると思うが、合間に手続きをして、お金の悩みから解放されよう。きっとがんにも効果があるに違いない。「女性自身」2021年4月27日号 掲載
2021年05月01日「柔道家の古賀稔彦さん(享年53)の訃報に接し、『夫がもし明日、がんになったら……』と“自分ごと”として受け止めた方も多いのではないでしょうか」こう話すのは、NPO法人「がんと暮らしを考える会」理事長の賢見卓也さん(45)だ。50歳ごろまでは女性のほうががんに罹患する人は多いが、50歳ごろから男性の罹患者が急激に増え、女性を追い抜いていく。まさに50歳は男性とがんの関係のターニングポイントなのだ。在宅緩和ケアの訪問介護を行ってきた看護師でもある賢見さんは、’13年に、がんになったときに利用できる各種制度がわかるサイト「がん制度ドック」を開設した。「患者さんと接するうちに気づいたのですが、がんを患ったときに治療費がどれくらいかかるかわからなかったり、使える公的な制度を知らず、お金に困ったりする人が多いんです。がんとお金のことは切り離せないと思いました」がんについて真剣に考えることは、お金についても考えること。そこで、今回は夫ががんになった場合の「お金」を試算してみたい。中小企業に勤める一般的な収入の会社員の夫と、専業主婦の妻からなる夫婦がともに50歳になったとき、夫のがんが発覚したと仮定。家計への影響を試算する「がんといっても、さまざまなものがあります。今回は、発見されたときのステージによって治療の方法や期間に大きく差が出る直腸がんで試算しました」(賢見さん)〈今回の試算の前提〉夫婦ともに1971年1月1日生まれ。夫は1993年に22歳で大学を卒業後就職。以後、50人程度の社員の会社に就職し、昇給していった※1。妻は会社員として働いた経験はなく、ずっと専業主婦。50歳の時点ですでに子どもは独立している。ともに基礎年金の未納期間はない。妻は一般的な女性の死亡年齢に近い、89歳の誕生日に死亡した※2。※1:給与額は国税庁「令和元年分民間給与実態統計調査」の「事業所規模別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額」より30人以上100人未満の企業の男性の平均給与で計算、退職金は東京都労働産業労働局「令和2年版中小企業の賃金・退職金事情」のモデル退職金(50〜99人の企業)の定年退職金額と勤続30年時の会社都合退職金額を使用。※2:夫婦ともに健康な場合の死亡年齢は、厚生労働省の「簡易生命表(令和元年)」による50歳の平均余命を参考にした。【ケース】50歳で、夫のステージ4のがんが発覚し、1年で亡くなった場合まず、かかる医療費を考えてみよう。全日本病院協会の「診療アウトカム評価事業」の「’19年度年間集計」を参考に試算した。「ステージ4の場合、年間の医療費は98万352円です。これに末期がんの緩和ケアを20日行ったとして、104万1,400円を加えて、202万1,752円がかかったお金。健康保険は3割負担なので、約60万7,000円が実際に払うお金です」1カ月におよそ5万円。がんだからといって、とてつもなく高額な治療費がかかるわけではない。「健康保険の対象である標準治療であれば3割負担ですし、1カ月に一定以上の負担額があった場合、お金が還付される『高額療養費制度』もあります」病気で働けなくなっても、収入はすぐに途絶えない。社会保険労務士の石田周平さんが解説する。「病気で休職しても、給与の約3分の2が『傷病手当金』として最大で1年半受給できます。年収を581万5,000円と仮定するなら、387万6,000円が傷病手当金の額ですね」会社員がもっとも収入が高いのは50代だといわれている。働き盛りで亡くなってしまうと、家計にも大きな痛手となる。厚生年金の受給資格がある夫が亡くなった場合は、妻は「遺族厚生年金」を受給できる。51〜64歳は「中高齢寡婦加算(令和2年度は58万6,300円)」が、65歳以上からは自らの「老齢基礎年金(満額で約78万円)」が加わる。「遺族厚生年金は、再婚などしない限り、妻が死ぬまで、亡き夫が65歳でもらうはずだった老齢厚生年金の4分の3が支給されます。厚生年金の額は、それまでに払ってきた保険料の額で決まる。当然、納付期間が長く、保険料も高額なほど、高い年金がもらえます」今回のケースで、50歳時点での夫の厚生年金の額から計算した遺族厚生年金の額は58万8,000円。「寡婦加算」とあわせても117万4,000円と、月に10万円に満たない。潤沢な貯蓄でもない限り、妻も働くことを検討すべきだろう。65歳からは自分も老齢基礎年金を受給できるようになるので、家計は少し楽になる。50歳から妻が平均寿命で亡くなるまでの家計の収入は6,116万円。夫が健康だった場合は1億4,636万円だから、8,520万円も減る。今回の金額はあくまでも試算。がんの症状は人によって違うし、かかる治療費やもらえる年金額なども当然違ってくる。だが、一定の目安にはなるだろう。「夫ががんになったら、ますは、『職場の制度』として何が使えるかを確かめてもらう。公的制度に関しては、病院の『がん相談支援センター』などに資料があります。病院にはソーシャルワーカーさんもいますので、窓口で聞くことができます」(賢見さん)何より、がんは早期発見し、適切な治療ができれば“治る病気”。夫婦で必ず定期的に検査を受けつつも、いざというときの心とお金の準備を怠らずに。「女性自身」2021年5月4日号 掲載
2021年04月22日日本は世界で最も体外受精の実施件数が多いのに、1回の採卵あたりの出産率は世界最下位―2016年に国際生殖補助医療監視委員会〈ICMART〉が世界60ヵ国を調査したレポートからわかったのは、衝撃的な現実でした。そうしたなか、2020年の菅内閣誕生で不妊治療の保険適用が動き出すなど、不妊治療への世間の注目はますます高まっています。 しかしショッキングな現実が明らかになったものの、決して日本の不妊治療の技術すべてが劣っているわけではありません。赤ちゃんを望む人が赤ちゃんと出会える世の中になるために、日本の不妊治療の仕組みは、一人ひとりの意識はどうすべきなのか? 日本における顕微授精の草分け的存在の浅田レディースクリニック理事長・浅田医師にお話を伺いました。 出産率6.2%、日本の不妊治療の実態日本の体外受精の出産率は世界最下位―その裏付けとなるのは、ICMARTが発表した下記のレポートです。 ※ICMARTが2016年に発表したレポートより、2010年の60ヵ国・地域のデータから抜粋して作成。顕微授精、体外受精を合わせた数値。参考:『不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」』(講談社ブルーバックス 著:浅田 義正、河合 蘭) 浅田医師(以下、カギカッコはすべて浅田医師の発言):「日本の体外受精からの出産率は、世界でダントツの最下位なんです。採卵件数に対しての出産率が非常に低く、1回の採卵あたりでは出産率6.2%。これは、世界平均20.1%の3分の1にも満たない数値です」 なぜ、日本の不妊治療はこんなにも成績が悪いのでしょうか。その理由は2つ考えられると、浅田医師は語ります。 「まずはそもそも晩婚化が進み、不妊治療を始めるタイミングが遅く、卵子の老化が進んでしまっているからです。もうひとつ、世界では推奨されていない『自然周期採卵』を推奨する風潮も原因だと考えられます」 自然周期採卵とは、体外受精において排卵誘発剤を使わずに採卵する方法。日本ではこの自然周期採卵を“体にやさしい”として推奨するクリニックも多いのです。 しかし浅田医師は「体外受精で自然周期採卵を推奨するのは日本だけ」だと語ります。 「イギリスの不妊治療に関するガイドラインでは、自然周期採卵を患者に勧めてはいけない、とはっきり書いてあるんです。統計的に排卵誘発剤を使って複数の卵子を採卵したほうが妊娠しやすいことは明らかな一方、自然に排卵する卵子はたった1個しかないんですから」 こうした現状を招いてしまうのも、「クリニックごとにバラバラな治療実態」が問題だと浅田医師は指摘。「医師としては、クオリティや品質が統一された生殖医療システムを作っていかなければならない」と語ります。 菅内閣が打ち出す不妊治療の保険適用の課題とは世界と比べ不妊治療の成績が芳しくない現状があるなか、2020年には菅内閣が誕生し「不妊治療の保険適用」が表明された日本。このことについて浅田医師はどう考えているのでしょうか。 「患者さんの費用負担が減ることについては、私は大賛成です」としながらも、課題は多いと語ります。 「まずは不妊治療で現状使用している薬剤や機械を保険適用にするために、治験や手続きのための莫大な時間と費用がかかる点です。 保険適用にするためには使用する薬剤の承認を得ることが必要で、たとえ『明日から体外受精を保険適用にします』ということになっても、保険適用で使用できる薬剤がほとんどなく、事実上治療ができない非常事態になってしまうんです」 さらに、現状の薬が無事に保険適用の承認を得られても、「今後新しい薬が出るたびに承認を得なければならず、不妊治療の技術の進歩に保険が追いつかなくなる可能性もある」と指摘します。 しかし課題がある一方、先ほど問題点として挙げられた「クリニックごとのバラバラな治療実態」については改善が期待されると言います。 「保険適用の過程で、クリニックごとの成績開示の必要性が生じれば、施設のレベル統一につながる可能性もあります。アメリカではクリニックごとの妊娠率・出産率はすべて公開されていますが、日本では日本産婦人科学会に登録して成績を全部出しているクリニックもあれば、登録すらしていないクリニックもある。 今まではこうした現状を議論する場もなかったので、実態が明らかになったのは一歩前進だと思います」 家族を考える、すべての人に伝えたいこと体外受精の成功率が世界最下位というショッキングな現状がありつつも、不妊治療の保険適用をきっかけに制度が見直されつつある日本。枠組みが変わろうとするなか、個人としてはどのような意識を持てばよいのでしょうか。 実際に不妊治療をおこなうカップルはもちろん、不妊治療についてあまり知らない方も含め、将来的に赤ちゃんを迎えたいと願うすべての人に対し、浅田医師からこのようなメッセージがありました。 「まずは正しい知識を持ってほしいですね。妊娠するための女性の体の仕組みや、卵子の老化について。また、今回お話した世界と比較した日本の体外受精の成績や、自然周期採卵を推奨しているのは日本だけ、といったことを知っていれば、どういった方針を持つクリニックに行くべきなのかも判断でき、誤った情報にもまどわされないと思います」 不妊治療というものが日本でも制度から見直され始め、大きな一歩を歩み始めた今。 この時代のうねりのなかで、不妊治療に関する正しい知識を男女問わず世の中の人が当たり前に持ち、制度と意識の両方が変われば日本の不妊治療の成功率も大きく変わるはず。そして赤ちゃんを望む人が赤ちゃんと出会える、そんな世の中になっていけると願っています。 監修者:医師 浅田レディース品川クリニック院長 浅田義正先生名古屋大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充療法)」の専門外来を担当後、米国初の体外受精施設に留学。主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事。95年に名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。顕微授精症例の全症例を担当し、同年5月、精巣精子を用いたICSIによる日本初の妊娠例を報告。98年ナカジマクリニック不妊センター開設。2004年浅田レディースクリニック(現・浅田レディース勝川クリニック)開院。10年に浅田レディース名古屋駅前クリニック、18年には浅田レディース品川クリニックを開院。多くの不妊に悩む女性と日々向き合っている。『不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」』(ブルーバックス、講談社)など著書も多数。著者:ライター 平 理沙子Webライター。ITスタートアップ企業での広報なども経験あり。東京大学卒業後、新卒で娘を出産した一児の母。フェムテックやジェンダー、現在在住するシンガポール情報などを中心に執筆活動をしている。
2021年03月01日不妊治療を始めて3年過ぎたあたりから、子どもを授かりたいと思う願望が義務のように変化していき、妊娠に対する感覚が徐々に麻痺し始めていました。ついに、私たちは精神的な余裕が完全になくなってしまいました。そして、治療へ真剣に向き合うことが怖くなり、できなくなってしまいました。 治療法を変えても、結果は出ず一度転院して新たに通い始めた病院で3年近く人工授精を続け、不妊治療期間が約5年過ぎていました。しかし、毎月決まった時期に儀式のように病院へ行き、医師から妊娠していない事実を聞くと、妻だけでなく自分の努力が無駄に感じてしまい、夫婦共々どんどん落ち込んでいきました。 さらに、医師のすすめで体外受精・顕微受精を数回試しましたが、1回につき約40万円の出費になるため、長期的に継続して治療することは断念せざるを得ませんでした。そして、医師と会話することすら嫌気がさしてしまって、また転院することにしました。 2度目の転院にして、最後の病院次の病院でできなかったらあきらめよう、と夫婦で決めていました。年齢と負担だけが増えていって、本来の目標を失いかけていたからです。 次に決めた病院では、お金も精神的負担もかけたくなかったので、タイミング療法のみで治療を再開しました。ここの診療方針は、上の子どもが一緒に行くことも自由、なんとなく決められた日程での診察というのんびりとした環境で、私たちはそのおかげである程度平常心を取り戻していきました。 しかし同時に、妊娠することへのこだわりも徐々に薄れていきました。もうここが私たちの不妊治療の限界だと感じていたからです。 ストレスが減り、そして…最後の病院は、負担を感じることがほとんどなく、通院することができました。電車でひと駅の距離にあることや、繁華街にあるため、寄り道して気を紛らわすこともできたことなども要因だったと思います。 あまりストレスを感じずに治療を続けた結果、最後の病院へ通院して半年、不妊治療開始から約6年目でようやく妊娠することができました。正直、喜びよりも驚きのほうが大きかったです。 今思えば私も妻も、経済的な不安も含む精神的な不安が赤ちゃんを授かることができなかった1番の原因だったように思います。自分が頑張りすぎると、妻にとって負担になります。逆の場合も同じです。妻のため、夫のためと思ってしている行動が、かえって相手を苦しめていたのかもしれません。 改めて感じること次女が無事生まれ、今、冷静に振り返って考えると、私たちは不妊治療を体験できて本当によかったと思います。 真剣に家族揃って同じ目標に向かって取り組み、家族の結束が一層深まりました。さらに、不妊治療に予想外に時間がかかったおかげで8歳差の姉妹になりましたが、長女が本当によくかわいがってくれており、楽しんで子育てに参加してくれています。 妻はもちろんですが長女も頑張って協力してくれたおかげで、子どもを授かることができたのだと私は感じています。 ゴールが見えないまま、どこまで続ければいいのか不安を感じながら治療を続けることが、ここまでつらいとは正直思っていませんでした。ただ、子どもを授かることができ、さらに家族で苦難を乗り越えることができたという充実感も得ることができました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/(c)chicchimama 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2021年02月14日何もかも手探り状態で始めた不妊治療ですが、小さな疑問や不安が少しずつ大きくなっていきました。自分たちに合う治療・病院とはなんだろうと考え続けても、答えが見つかりそうにない時期が続き、約2年が経過していました。 最初の転院原因が特定されないままに始めた不妊治療のため、タイミング療法をずっと続けていました。ただ、時間が経つにつれ、通院当初は気にならなかった片道約1時間の通院時間も負担に感じ始めました。今までの生活リズムも徐々に狂い、夫婦間の衝突も次第に増えていった結果、自宅から15分くらいで通院できる病院に転院することにしました。 次の病院は、地元では有名な不妊治療専門院に決めました。そこは院長先生がメディアにも度々露出して有名なので人気もあり、治療費も今までの病院と比べて割高でした。 毎週診察があり、1回の診察で約1万円、人工授精で約2万円、何かイレギュラーな診察があると、また数万円といった費用がかかりました。しかし、通院時間短縮や妊娠確率が上がるならと思い、その病院へ通院することにしました。 精神的な余裕がなくなっていった有名な病院だけあって、事前に大きな会場でいろいろな分野の先生から説明があり、大学のセミナーのような規模でした。ただ、ここでの説明は、私の予想と反して確率やリスクといった現実的な話ばかりでした。 私は、妊娠・出産は非常に神秘的で尊いものだと考えていたので、先生たちの生物学的な話が妊娠に対する神秘から離れていくように感じてどうしても受け入れられませんでした。うれしいはずの妊娠を前に、どんどん自分のなかに暗く不安なものを感じ始めました。 今思えば、2年続いた不妊治療でのストレスの結果、私は精神的に余裕がほとんどなく、自分本位の考え方になっていたのかもしれません。 ゴールが見えない不安の連続の毎日精神的な不安に加え、なかなか結果が伴わない状態が続いたため、この病院での治療は順調には進みませんでした。それでも、なんとか子どもを授かりたいという思いから通い続けていたのですが、2年の通院期間が過ぎたあたりから、この病院に対して不信感が芽生え始めました。 治療費だけがかさんでいき、いつまで経っても結果が出ないため、「病院側はきちんと治療しているのか?」と、病院に責任があるようにも感じ始めていました。さらに私自信の被害妄想は膨れ上がり、院内で笑い声が聞こえるたびに自分が笑われているのではないかと感じるほど、精神的に滅入っていました。 次の段階の治療へ治療内容は、この病院をきっかけにタイミング療法から人工授精へと変わっていました。医師の説明だと、治療法で飛躍的に確率が上がるわけではないと念を押されていたのですが、現状を変えたい、少しでも確率が上がるのでは、という思いで挑戦しました。 人工授精は、私の負担もさらに増大します。その病院では、朝6時に精子を病院に持ち込まなくてはなりません。そのため、不妊治療にかける時間も一気に増えました。病院によると思いますが、禁欲はもちろん、食生活から運動まで、いろいろと指示があり、妊娠のためと理解しているつもりでしたが、毎日が楽しめなくなってきていました。 自分たちが若くないため、育児できる体力や経済力を考慮すると、時間がないことが一層焦りを生んでいました。さらに、治療に時間がかかるほど経済的負担も大きくなっていくことも不安要素の原因にもなっていきました。 次回は2回目の転院・抱えていたプレッシャーについてお話しします。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/(c)chicchimama監修/助産師REIKO 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2021年02月12日「外食費は減った半面、自炊のための食材費が昨年の同じ月と比べて、4,691円も増えました。また、リモートワーク移行で通信費も月2,000円近く増えていますね」1月に発表された最新(’20年11月)の「家計調査」を分析するのは、経済評論家の加谷珪一さんだ。各世帯の消費傾向を調べるために総務省が行っている家計調査を見ると、“おこもり生活”で外食費や旅行代などは減る一方、急増している出費があることがわかった。■コロナ禍で家計はこんなに変わった!2人以上の家族がいる働いている世帯の場合(世帯主の平均年齢は50.2歳)。〈支出が増えたもの〉前年同月比(2020年11月の額)・食材費※1:月4,691円増(月6万6,464円)・水道光熱費:月812円増(月1万9,376円)・家電購入代※2:年換算1万3,008円増(年換算4万9,812円)・台所や水回りの消耗品の購入代※3:月677円増(月3,654円)・マスクや体温計などの医療用品の購入代:月754円増(月3,321円)・通信費:月1,858円増(月1万7,375円)・教育費:月2,617円増(月1万3,738円)・仕送り金:月1,947円増(月7,440円)〈支出が減ったもの〉前年同月比(2020年11月の額)・外食費:月1,762円減(月1万6,046円)・洋服や靴代:月2,356円減(月1万2,338円)・交通費:月2,323円減(月4,212円)・旅行代※4:年換算4万6,128円減(年換算3万7,572円)・交際費:月1,477円減(月7,820円)※2020年11月と2019年11月の「家計調査」より本誌作成。すべて「二人以上の世帯、うち勤労者世帯」の数値。()内は2020年の金額。※1:飲料や酒類、弁当や惣菜なども含む自宅で消費するすべての飲食料品の購入費。※2:家計調査の「家庭用耐久財」に12を乗じて計算。※3:家計調査の「家事用消耗品」。ティッシュ・トイレットペーパー、洗剤など、料理や洗濯、掃除などに使う消耗品。※4:家計調査「宿泊料」と「パック旅行費」の合計を12を乗じて計算。“無駄な外食”や“洋服の衝動買い”は切り詰めて……。そんな今までの節約の常識が変わりつつある。コロナ時代に無駄な出費を減らすためにどうすればいいのか、加谷さんに聞いた。【節約ワザ1】メリハリまとめ買いで米なら月2,000円の節約リモートワークやリモート授業で自宅での食事機会が増えている。「パスタやインスタント麺など、長期間保存ができるうえに、簡単に作れるものをまとめ買いすれば経済的で便利です」(加谷さん)小袋のパスタは100グラム65円ほどだが、業務用パスタは5キロが1,800円ほどで買えて、45%もお得。精米30キロで1万4,000円ほどのブランド米も、玄米なら1万円ほどで買えることが多い。コイン式の無料精米所に行けば、数百円で精米でき、4,000円ほど節約できる。3人家族が1日3杯ずつ米を食べた場合、1カ月で約18キロを消費するので、月2,000円も得だ。「しかし、品目を選ばないと消費する前に悪くなってしまいます」(加谷さん)野菜は安売りだからといって大量買いすればフードロスになる可能性がある。また、一度に少量しか使わず消費するのに時間がかかる調味料も買いだめする必要はない。買いだめするものの“メリハリ”を心がけよう。【節約ワザ2】食洗器導入で年間1万3,000円節約「水道光熱費がもっとも高くなるのは、暖房代がかかる2月です。11月時点で例年と比べて800円以上高くなっているので、注意が必要です。節約のためにまずおすすめなのが、食洗器の導入です。購入時の初期費用がかかりますが、水道代と給湯代は大幅に節約できます」(加谷さん)資源エネルギー庁によると、食器を1日2回手で洗った場合(夏場以外は給湯器を使用)、水道代・ガス代で年間2万5,560円。一方、1日2回食洗器を使った場合、乾燥までしても年間1万6,990円。8,570円もの節約になる。“おこもり生活”で、1日3回食器を家で洗うことになれば、年間約1万3,000円の削減になる。【節約ワザ3】二重窓化で電気代を年15%減初期投資は必要だが、「二重窓をつけるリフォームも非常に節約効果が高い」と加谷さん。「安く建てること優先だった日本家屋は総じて断熱効果が脆弱です。わが家は20万円ほどかけて4つの窓を二重窓にしたんですが、真冬のいま、暖房を消して寝ても、明け方の室温が16度以下にはならないんです。電気代は15%も節約できています」紹介した節約ワザをさっそく始めてみよう!「女性自身」2021年2月16日号 掲載
2021年02月04日不妊治療は、精神的にも時間的にも経済的にも大変なもの。私の場合、まずは地元の産婦人科に通い、そこから大きな病院に転院しました。通院自体も大変なうえに服薬に複数の検査……。しかし、その終わりが来たのは突然でした。そんな私の不妊治療体験談をお伝えします。 赤ちゃんはそのうち授かるものだと思っていた…結婚3年目にして赤ちゃんを授からない私に、母が「それは不妊だよ」と言いました。当時、恥ずかしながら私自身は焦ってもおらず、のんびりと構えていたのですが、このことを機に少し考えるようになりました。 そこで、地元の産婦人科へ行ったのが不妊治療の始まりでした。最初はタイミング療法で「問題がなければすぐにできる」と言われたものの、結局半年経っても赤ちゃんを授かりませんでした。そして、医師に「うちよりも検査が充実した病院に行ったほうがいいね」と、地元で一番大きな病院を紹介されたのです。 通院と検査と服薬の日々不妊治療専門の病院に毎月車で通い、タイミング療法に加えて、私と夫の生殖機能検査、毎月の服薬に卵巣の確認、人工授精……。これらを何度か実施しましたが、半年以上経っても、一向に赤ちゃんを授かる気配がなく、少し疲れてきたころでした。 医師から「子宮卵管造影検査をしてみないか」と打診を受けて、これを実施。しかし、その直後も妊娠はできず、ゴールの見えない治療にあきらめかけ、熱心に取り組めなくなってしまいました。 久しぶりの“治療をしなかった”月に通院している病院が諸事情で1週間ほど休診になったことがあるのですが、折しも私のスケジュールとぴったり合致してしまい、そこで久々の「服薬も検査も何もしない月」ができてしまいました。 次の通院のために記していた基礎体温がなかなか下がらず、まさかと思って妊娠検査薬を用いてみたところ、なんと陽性! そのときに宿ってくれた赤ちゃんは、結果、私たちの子どもとして生まれてきてくれることになったのです。 とはいえ、私としては治療が無意味だったわけでなく、服薬や基礎体温の管理で「妊娠しやすい体」になっていたのかもという印象でした。そして、久々の「服薬も検査も何もしない月」に、気負わずリラックスしていたこともよかったのかもしれません。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:半田あきら一児の母で専業主婦。家事や子育てのかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2020年11月02日高額な治療費がかかる不妊治療。保険適用化は一見喜ばしく思えるが、実施にあたっての課題は山積みだ。見過ごせない懸念を、現場の専門医に聞いたーー。不妊治療を選択する夫婦は、年々増加している。厚生労働省の統計によると、夫婦5.5組に1組が何かしらの不妊治療を経験。体外受精で生まれた子どもの数も増加しており、’18年には過去最多の5万6,979人となった(日本産科婦人科学会)。同年の総出生数は91万8,400人で、16人に1人が体外受精で生まれた計算になる。そんななか、菅義偉首相は2年後をめどに、不妊治療を保険適用の対象にする方針を明言した。不妊治療は保険適用の範囲が狭く、高額な治療費がかかる。妊娠までに何年も治療して、“家が建つ”ほどお金を使うケースも。保険適用化は子どもを望む多くの夫婦にとってうれしい改定だろう。だが、年間5,000件以上の体外受精を行っている浅田レディースクリニックの浅田義正先生は、問題点をこう話す。「保険診療によって患者さんの費用負担が軽くなるのは喜ばしく、私も大賛成です。しかし“体外受精は一律でこの点数(金額)”と決められたらどうなるでしょうか。体外受精にも施設ごとにいろいろな方法があり、結果もピンキリ。それを一律何点、とすることは、高級料亭でも屋台でも、食事は1回いくらと決めるようなものです。そうすると、飲食店はおいしいもの、良質なものを提供するのではなく、その料金に合わせた料理をつくるようになります。クリニックにおいても、1回の治療の売り上げが同じなら、治療数を多く、原価を安くすることが利益につながる。その結果として、手間や費用をかけない“手抜き治療”が横行し、妊娠率の低い治療を繰り返し行い、何度も通わせるクリニックが増える可能性は否めません」保険適用によって、母体に危険な負担を強いることになるのだ。現在不妊治療に使われている薬剤が使えなくなってしまう可能性もあるそう。「あまり知られていないのですが、治療に使える薬剤にも制限がかかるかもしれません。保険適用になれば、体外受精で使用する培養液や機材などの適応認可も必要となります。そのための治験には莫大な費用と時間が必要です。すると、現在使用されている薬剤の適応認可が下りない、遅れるということも考えられ、保険適用範囲で治療している期間は使いたい薬剤が使用できなくなる可能性も出てきます。その結果、今までどおりの治療が受けられなくなる場合も」人材不足の問題も今以上に深刻になるという。「培養室は不妊治療の根幹ですが、胚培養士を育てる公的な育成機関はほとんど機能しておらず、院内で育てる必要があります。クリニックの収入は治療費しかないので、その教育費用は患者さんからいただく治療費から捻出することになります。しかし、その育成費用などを考慮しない点数設定をされてしまうと、スキルのある人材を育てる資金がなくなり、クリニックのレベルが大きく下がりかねません」保険診療では結果が出る治療が受けられないとなれば、結局、患者は自由診療での治療に頼らざるをえなくなる。だからといって、どのクリニックがよいのかなどの情報を得るのは、ますます難しくなるという。「保険制度の原則は“日本全国どの施設でも、同一料金で、同一レベルの治療ができる”。そのため、どこの病院がよい、悪いという情報は逆に出てこなくなります。たとえば、現在保険適用されている病気の治療について、医療機関ごとの成績が開示されているでしょうか?」国際生殖補助医療監視委員会が’16年に作成したレポートによると、日本における体外受精の実施数は世界1位。しかし、体外受精による出産率(1回の採卵あたり)は世界最低レベルだ。浅田先生はその理由を「効率の悪い体外受精が繰り返し行われているため」と説明する。「体外受精で妊娠に至る受精卵を得るには、35歳まででも平均14〜15個の卵子が必要です。そのため、海外ではホルモン剤を使用して1度の採卵で多数の卵子をとる方法が一般的。しかし、日本ではホルモン剤を使用せず、1度の採卵で卵子を1〜2個だけとる自然周期採卵が多く行われています。採卵は月1度しかできないので、15個集めるには1年以上かけて、何回も採卵をする必要が。この治療法なら医師の知識や技術、経験が浅くてもできるため、不慣れな医師を雇っても多数の患者さんを受け入れられる。だから今も多く行われているのです。こうした経営効率を重視した治療が保険適用の基準となることで、結果につながらない体外受精が増えるのではないかという点も、危惧しています」イギリスの国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、《自然周期採卵はメリットがないので勧めてはいけない》と明記してある。「結果につながる治療に対して公的資金を投入するべきではないでしょうか。混合診療も視野に、同一料金で同一レベルの医療が受けられ、さらに高度な最新治療は患者さんの選択によって自由診療で受けられるようになるなど、保険と自費の線引きがうまくできればよいのですが……」不妊治療の保険適用、手放しでは喜べなさそうだ。「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月22日新型コロナウイルスの感染者は2020年9月時点では一進一退ですが、経済もコロナ以前の状況には戻っていない分野も少なくありません。業種や勤務先によっては、冬のボーナスの減額がすでに発表されているところもあります。 そのためにも節約や家計の見直しが必要に迫られている方もいるのではないでしょうか。中でも固定費の削減は長期的に効果を発揮しますので、今回は水道光熱費・通信費の見直しについてのポイントをお伝えします。 去年の金額と比較してみましょう水道光熱費・通信費を見直す前に、コロナ以前の状況と比較するとどの料金から見直しをするか優先順位を決められます。ご家族構成やお仕事の内容にもよりますが、緊急事態宣言中の4月7日~5月25日を中心に在宅時間が増えた際に、水道光熱費・通信費も増えたご家庭も少なくないのではないでしょうか。 利用料金の明細や通帳・クレジットカードの振替額などを確認して、今年と昨年の同時期の料金比較をすると、どの料金の利用が多いか確認すると対策が立てやすくなります。なお、お住まいの自治体によっては、水道料金・下水道料金が新型コロナウイルスの影響を踏まえて臨時の減額をしているケースもありますので、その分は差し引いて考えるといいでしょう。 各種見直しのポイント上下水道料金上下水道は他の光熱費・通信費とは異なり、利用する場所の自治体などが運営する水道局を決めますので、事業者を変えて節約はできません。そのため、ご家庭ごとの節水が対策となります。東京都水道局の平成27年度・一般家庭水使用目的別実態調査によると、家庭での水の使われ方の平均は、お風呂が全体の40%、トイレが21%、炊事が18%、洗濯が15%、その他6%となっています。 そのため、節水のシャワーヘッドや蛇口に取り付けができる節水コマ、おふろの残り湯の洗濯使用などが具体的な節約方法です。節水シャワーヘッドは1000円代から購入でき、30~70%程度節水できるものが多いようです。初期費用は掛かりますが、長期間使用することで元が取れ、その後の節約につながります。例えば、東京都23区の水道料金を基準とすると利用状況によって異なりますが、3人家族・1人あたり10分のシャワーを50%節水できた場合、1カ月あたり約1300円の節約になります。 光熱費ガス料金や電気料金は、自由化が行われ、電力・ガスの会社またはプランを変更することによって料金が安くできます。見直すポイントは以下の4点となります。 【1】料金が適切か【2】プランが適切か(昼間・夜間割引やエコキュート・オール電化などに対応しているか)【3】セットプランが適切か(通信やガス・電気の組み合わせなど)【4】利用条件があるか(契約解除料や最低利用年数の制限など) 特に電気料金は、今まで日中不在にしがちで夜間重視の料金プランだった家庭が、在宅中心になったことで料金が上がっているケースもあります。現状に合わせてプランの変更をしましょう。通信費在宅の時間が多くなり、リモートでの仕事や動画配信を利用する機会が増えた方も多いと思います。通信速度や通信容量(ギガ)の制限を気にせず使いたい場合は、光回線を中心に考え、固定電話がある場合は光回線対応のオプション電話にしましょう。スマートフォンは、在宅中心になると自宅のWi-fi使用がメインとなるので、通信容量(ギガ)を下げたプランを検討すると、適切になるケースが多いです。光回線を利用するには、工事が必要な場合もありますので、工事の可否や工事料金を確認しましょう。 通信速度や通信容量(ギガ)より、料金が安くすることを優先させたい場合は、格安スマホ(MVNO、格安SIMなどの名称も)を検討するといいでしょう。最低限の基本料金と通信料金がセットになったプランは月額1000~2000円程度が中心で、プランによっては月額1000円を切ることもあります。一方で大手キャリアより通信が遅かったり、サポートの範囲が狭かったりする点は理解をしておきましょう。 固定費の削減・見直しは定期的に必要で、一度設定すると節約が継続できることは今までもお伝えしてきました。新型コロナウイルスの影響で、生活スタイルが変わったり、収入や勤務状況など仕事の状況も変わったりする中で、その必要性が今とても高まっています。水道光熱費・通信費だけでなく、その他の節約・固定費の削減も含めて、家計を改善する機会にしていただければと思います。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年10月02日「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」と診断され、不妊治療を開始しました。仕事と不妊治療の両立はとてもストレスがかかるものでしたが半年で妊娠確定、しかし……。 不妊治療の末、妊娠検査薬で陽性反応!私は結婚したのが34歳だったので、年齢的にすぐに妊娠できるか不安がありました。不妊治療をしていた友人の助言を受け、不妊検査を受けてみると「多嚢胞性卵巣症候群」と診断されました。不妊の原因にもなる病気なので、そこから不妊治療を開始することに。 治療開始から半年、通院している私と受け身な夫との感覚の差にイライラし、仕事と不妊治療の両立に限界を感じていました。そんなときに妊娠検査薬で陽性反応が! 夫婦で手を取り合って喜びました。 喜んだのも束の間…妊娠検査薬で陽性反応が出たのでさっそく病院へ。ところがまだ妊娠4週目。胎嚢は確認できましたが、胎児心拍は妊娠6週目ころになってからとのこと。このときは何の不安もありませんでした。しかし、妊娠6週目になっても妊娠7週目になっても胎児心拍が確認できず……。 妊娠9週目まで様子を見てもらいましたが、残念ながら稽留流産と診断されました。喜びから1カ月も経たないうちに、地獄に突き落とされた気分でいっぱいに。痛みもまったくなく、なぜダメだったのか?ばかり考えて泣いて過ごす日々でした。 悲しみと不安だらけの掻爬手術次の妊娠を少しでも早く考えているなら、掻爬手術(そうはしゅじゅつ)をしたほうがよいと先生からすすめられました。悲しみと手術の不安で当日はボロボロ涙が出るばかり……。夫も心配してくれて仕事を休んで付き添ってくれました。 手術をする前は、痛さや怖さを想像して不安だらけ。しかし、麻酔で眠っているので痛さは感じず、いつ終わったかもわからないうちに終了していました。目が覚めたときには、病室のベッドの上。術後の痛みもあるのかと不安でしたが、特に痛みはなかったです。 子どもが欲しくてつらい不妊治療に通っていたので、流産を知ったときは絶望的でした。引き続き、不妊治療に通いながらも自分を責めて泣いて過ごす日々でしたが、掻爬手術から2カ月半後、新たな命が私のおなかに戻ってきてくれました。あの経験があったから、戻ってきてくれたわが子がより愛おしく大切にしたいと感じられるんだと感謝しています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:桜井りこ1女の母。服飾パタンナーを経て、現在は化粧品会社時短勤務。不妊治療からの妊娠。美容・コスメ・健康系と合わせ、自身の体験をもとに、妊娠・子育てに関するライターとしても活動中。
2020年08月30日◆SPLASH DESIGN MEDICAL WIG◆「SPLASH DESIGN MEDICAL WIG」は、ご予算やご希望に合うウィッグ選びをお手伝いし、確かな技術でファッション性の高いものに仕上げます。ウィッグの価格帯に関係なく、自分らしく輝くデザインをご提案。治療後のヘアケアなどのアフターサービスもいたします。あなたも周りも「いいね」と感じ、ウィッグでいつもと変わらず心地良く過ごせるように◆治療後のアフターケアについて◆似合うウィッグをおつくりするだけでなく、健康な自毛で生活できるまで日まで安心しておまかせ下さい。出来るだけ早い期間で自毛デビュー出来るお手伝いをさせて頂きます。●知識が豊富な現役美容師による再生毛カット生え始めは髪質が以前と違う事が多いです。クルクルのくせ毛になったり、一部分だけ伸び方が遅いことや早いこともあります。普通では少し難しい髪でも、今一番素敵な髪型へ、バランスをみながらデザインしてしていきます。●頭皮に優しい薬剤で叶える安心・安全カラーヘアカラーを楽しんで頂けるように、低刺激の優しい薬剤を使用し、地肌に薬剤が触れないような、特殊な塗布方法で染め上げます。髪質に合わせ薬剤を調合。最後は治療後の敏感な頭皮に薬剤を残さないよう、特殊なシャワーヘッドで洗浄します。●髪質に合わせてレシピを調合する縮毛矯正トリートメント成分が多く入ったストレートの薬剤でくせの強さによって薬の強さを変えていき、細くクルクルなくせ毛を傷ませることなく、ペタンとなりすぎることなく、自然なスタイルに仕上げていきます。◆外見ケア(アピアランスケア)も行っております◆SPLASHは、美容のプロとして培った技術と実績を持ち、外見ケアをきちんと理解したスタッフがいるサロンです。脱毛、肌や爪のケア、シミや色素沈着のカバー、メイクアップの施術はもちろん、ご自宅で行うケアのアドバイスもします。外見ケアに精通した美容のプロが寄り添い、ケア方法を伝え、メイクアップもいたします。▼幅広いお悩みに対応します・スキンケア(乾燥・シミ・色素沈着・紫外線対策)・ネイル(変形・変色・乾燥)・脱毛(眉毛・まつげ・頭髪・自毛デビュー)・ウィッグ(選び方・つけ方・お手入れ方法)がんと闘うなかで、外見の変化と向き合うあなた。治療で変わった見た目に自信をなくしたなら、どうケアしていいか悩んでいるなら、SPLASHにご相談ください。◆個室もご用意しております◆当店では個室をご用意しております。【SPLASHのHPも是非ご覧くださいませ】◆医療用ウィッグ◆アピアランスケア名古屋市北区の美容室SPLASH(スプラッシュ)【SPLASH】〒462-0807愛知県名古屋市北区御成通2-18 クレド御成通1F地下鉄名城線「平安通駅」徒歩3分■営業時間平日 10:00~18:30(パーマ・カラー)10:00~19:00(カット)土日祝 9:00~17:00(パーマ・カラー)9:00~18:00(カット)■TEL予約専用: 050-3759-1883■定休日月曜日 第2、第3火曜日■駐車場店舗前3台有り
2020年08月25日家計における支出の中で比較的重い負担となりやすいのが医療費です。医療費は、健康なうちはそこまで大きな金額はかかりませんが、定期的な通院が必要になったり、手術や入院が必要になったりすると途端に家計を圧迫します。そこで本記事では、医療費に関する助成制度についてご紹介したいと思います。医療費助成金制度の種類と限度額とは医療費に関する助成制度には、制度を運営している主体ごとに分けると次のような種類があります。国が行っている補助や控除国が主体となって行っている医療助成制度にはさまざまなものがありますが、大きく分けると次のとおりです。難病患者自立支援医療高額療養費制度小児向け医療助成制度疾病対策医療このように特定疾患になった場合など、種類に応じて複数の助成制度が設けられています。自己負担が減る助成制度助成制度の内容はさまざまですが、基本的には自己負担が軽減されるものが多いです。例えば、次のようなものがあります。指定難病原因がわからず治療法が確立されていない難病と診断された場合、国が治療費を助成する制度です。現在333の疾患が難病として指定されています。指定難病と診断された場合、一定の手続きをすることで、月額の負担額上限を上回るとそれ以上の自己負担はなくなります。難病は長期的に高額な医療費がかかるケースが多いので、上限額が設定されることで医療費によって生活が困窮する事態を阻止できるのです。精神障害の助成精神障害が原因で通院が必要になった場合に助成が受けられます。具体的には次のような病名が該当します。アルツハイマー統合失調症摂食障害軽度精神遅滞てんかん多動性障害※あくまで一例です。これらの病名で指定されている医療機関に通院して、精神通院医療を担当する医師に診てもらうことで医療費の自己負担が1割に軽減されます。また、1割が高額になってしまう人のために世帯所得に応じて負担額の上限も設定されています。ただし、世帯の所得が一定以上の場合、当該制度は使えません。都道府県が窓口で行っている助成制度助成制度の中には、都道府県が窓口となって行っているものもあります。特定不妊治療の助成不妊治療には高額な医療費がかかるケースがあります。これは健康保険が使えない治療があるからです。そこで各都道府県では、不妊治療の中でも一定の治療である特定不妊治療について、一部の医療費について助成を行っています。対象となるのは体外受精および顕微授精のケースで、人工授精については対象外です。※自治体ごとに基準は異なります。高額治療費は払い戻しされる特定不妊治療に関する助成制度は、多くの場合で病院に対していったん自分自身で実費を支払ったうえで、申請書や領収書など一定の書類を都道府県の窓口に提出して、助成金額の払い戻しを受ける流れです。複数回利用することも可能ですが、助成回数には上限があるので事前に確認する必要があります。乳幼児の医療費の助成制度6歳になるまでの医療費について助成してくれる制度です。子供が小さいうちは何かと病院に連れて行くことが多く、医療費の負担を心配する方もいるでしょう。例えば東京都では、都内に住所を有する6歳以下の子供(6歳に達する日のあとの最初の3月31日まで)については、医療費の自己負担額の支払いが免除されます。よって、乳幼児の医療費はかからないことになるので、小さな子供がいるご家庭にとっては非常に大きなメリットがあります。小さい子供は病院に行く機会が多い私も実際子供がいますが、本当にこの制度に助けられています。子供が小さいうちは、ちょっとしたことで高熱を出したり、怪我をしたりすることが多いので、その都度医療費がかかると本当に大変です。子供が1歳のときに気管支炎にかかって入院したことがあるのですが、実際に負担したのは食事代などの実費だけで、ほかの入院費はかかりませんでした。また、窓口で一時的に自己負担したうえで払い戻しされるのではなく、窓口での負担自体もしなくて済むのでとても便利です。何より、子供が病気や怪我をしたときに、医療費負担を気にして病院に連れて行くかどうかを悩む必要がないのは本当にありがたいことです。最近では小児医療も24時間対応してくれる病院が増えてきたので、子供の医療環境は十分整っていると思います。ただし、次の医療費については対象外となります。健康診断予防接種差額ベッド代薬の容器代これらの費用は助成制度の対象外なので自己負担となります。医療費に関係するそのほかの助成制度とは医療費の助成制度というと、医療費そのものの負担を免除したり、一定の自己負担額について払い戻しをしたりするものが多いですが、健康保険組合などが行っているものの中には、病気で仕事ができなくなったことによる減収に対しても一定の保証があります。傷病手当金病気や怪我で仕事を休まなければならなくなった場合に支給されるのが傷病手当金です。最近では、コロナウイルスの疑いなどで会社を休むケースがありますが、この場合でも一定の条件を満たせば給付を受けられるそうです。ただし、仕事中の事故が原因で仕事を休むことになった場合については、傷病手当金ではなく労災保険を適用することになるので注意しましょう。[adsense_middle]医療費を節約するには医療費は健康や命に係わることなので、意識的に節約することは難しいと思われがちですが、実は日ごろからの対策で将来発生するかもしれない医療費を低く抑えることができます。健康診断を必ず受ける医療費を低く抑えるためには、症状が悪化する前に治療を始めることがとても大切です。年に1回健康診断を受けていたからこそ、腫瘍が早めに見つかって手術で除去できたという話はよく聞きます。会社員であれば、会社が健康診断を手配してくれるので定期検診を受けているケースは多いと思いますが、問題なのは自営業の人です。自営業者は自分自身で健康診断を手配しなければならないため、面倒に感じて数年間一切検診を受けていないというケースはよく見受けられます。定期的に健康診断を受診していないと、症状が出てくるまで病気に気が付けず発見が遅れる可能性があります。そうなると医療費が高額になるだけでなく、自分自身の人生に大きな影響が出てきますので、必ず健康診断は受けるようにしましょう。主治医を見つける最近の医療はいきなり総合病院を受診するのではなく、まずは地域の診療所やクリニックなどを受診して経過観察などをするケースが多くなっています。そのため、内科、歯科、皮膚科、眼科、耳鼻科などケースに応じて主治医を探す必要があるのです。それぞれの専門科ごとに主治医がいれば、受診したときも患者の情報が記録されているのでスムーズに診察が進み、余分な検査などの費用が抑えられる可能性があります。医療保険を活用するがんなど高額な医療費がかかる病気にかかった場合は、自己負担額だけでもかなりの負担になります。自分が健康なうちに民間の医療保険に加入しておけば、保険料も低く抑えられますし、万が一のときも家族に経済的な負担をかけずに済みます。特に長期入院ともなると、医療費の負担は相当なものになりますので、元気なうちから対策をとっておくことがとても大切です。医療費の助成制度に関するまとめ今回は医療費の助成制度や低く抑えるためのポイントについて解説してきました。少子高齢化が進む日本において、医療費負担の問題は元気なうちに考えておくことが大切です。現在は健康保険が適用できる薬でも、将来的に適用できなくなる可能性が出てきていますので、今のうちから医療保険などを検討するとともに、もしものときにどんな助成制度が利用できるのか確認しておくとよいでしょう。
2020年07月07日「標準治療を敬遠する人は多い。しかし標準治療こそ最善のがん療法なのです」。がん治療の権威はそう語る。まったくアテにならない治療に飛びつく前に、ご一読をーー。「免疫細胞療法やビタミンC療法といった自由診療での療法、そして健康食品やサプリメントによる民間療法……。これらの療法には、がんを縮小させたり延命効果を示したりする効果はありません。ところが日本では、医師さえも、民間療法や自由診療を“効果抜群”とうたっている人がいるのです。そのような“トンデモ療法”を選択してしまい、適切な治療のタイミングを逃す患者さんが後を絶ちません」そう語るのは、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之さんだ。抗がん剤治療のパイオニアとして知られる勝俣さんは、“トンデモ療法”を信じたため、治療が手遅れになってしまった患者を多く見てきたという。「がんの治療法を、インターネットでやみくもに検索することは、そういった被害に遭うリスクを高めることにもなります。とくに日本では、標準治療を否定して、特定の商品を薦めるような怪しいウェブサイトが上位に表示されるケースが多い。私が5種類のがんを検索し、それぞれ上位20のウェブサイトを調べたところ、信頼できるサイトは1割しかありませんでした」(勝俣さん・以下同)がん治療についての情報はたくさんあるが、効果が期待できる正しい情報とそうでない情報が混在している。これを見分けることができれば、誰も騙されないことはわかりきっているのだが……。「がんと診断されれば、誰でも大きなショックを受け冷静さを失ってしまいます。ゆえに、まったく治療効果がない“トンデモ療法”に飛びつきやすいのです。“自分は大丈夫だろう”と思い込んでいる、教育レベルや収入が高い人ほどこの傾向が見られます」そこで、“トンデモ療法”を見分けるポイントを勝俣さんに解説してもらった。■保険が利かない、高額な治療法を勧めている「まず言っておきたいのは、がんと診断されたら“標準治療”を受けることが最善だということ。これは3大治療といわれる『手術』『放射線治療』『抗がん剤治療』のいずれかです。標準治療は、世界中で最も効果が確認されている最高の治療法だからこそ、保険適用によりコストが抑えられているのです。いっぽう、自由診療は有効性が証明されていない不確かな治療法がほとんどであることが問題です」“○○療法は保険適用外の自由診療となりますので、治療費は自費負担です”という文言が載っていたら注意。「一般的に自由診療や民間療法は標準治療より高額ですが、“料金が高いほどよい治療が受けられる”というのは問題です」■「どのがんにも効きます」とうたっている「がんの3大治療は、世界中で使われている治療法ですが、どれか1つの治療法がすべてのがんに効くというわけではありません」例を挙げると、放射線治療は前立腺がんにはよく効くが、胃がんにはあまり効き目がないと勝俣さんは語る。「抗がん剤治療でも、1つの薬がすべてのがんをやっつけることはありません。がんといっても、それぞれ性質が違います。すべてのがんに効く治療法など、“ありえない”のです」がんは、2人に1人がなる病気。“トンデモ療法”によってかえってがんが進行し、手遅れになることは人ごとでない、と勝俣さん。「抗がん剤治療は、いまだに『効かない』『体がボロボロになる』という誤った情報を信じて、拒否する人が少なくありません。それでみすみす命を失っている人も、たくさんいるのです」「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年07月01日日本は米国に比べて個人に対する医療費の負担が少ないといわれていますが、それは国民皆保険制度が確立しているからです。そもそも医療費自体が安いわけではなく、医療費の一部だけを負担する制度になっています。そこで本記事では、医療費の自己負担割合や高額療養費の扱いについて詳しく解説していきます。社会保険の中の健康保険の自己負担額の割合は何割?私たちが怪我や病気で病院を受診したときに支払っている金額は、医療費全額ではありません。病院の窓口で保険証を提示することで、健康保険法という法律で決まっている医療については、次のような割合で自己負担すればいいことになっています。1割、2割、3割負担に分かれる医療費の自己負担の金額を年齢別に表にしてみると、このようになります。未就学の子供の場合は自己負担する金額が減って2割となります。皆さんが病院の窓口で支払っている金額は、実際にかかっている医療費の3割部分だけなのです。また、75歳以上の一般・低所得者については自己負担額が1割になります。子供にかかる医療費医療費の自己負担は原則3割ですが、子育てをしているご家庭の方はこの話を聞くと疑問に思うことはありませんか?子供を風邪などで病院へ連れて行くと、窓口での自己負担がなかったという経験があるのではないでしょうか。日本ではあらゆる自治体で小学生以下の未就学児の医療費について助成制度が構築されてきており、自己負担額が3割ではなく2割に減額されたり、自己負担額なしになったりしてきています。このおかげで子供が小学校に入学するまでの間については、子供の医療費がかからないので子育て世代は安心です。医療費負担を軽くする制度医療費の自己負担は3割程度だとしても、それなりの負担であることは間違いありません。そこで、想定している以上に医療費がかかってしまった場合については、家計にかかる負担を軽くする制度として医療費控除があります。医療費控除とは1年間で払った治療代などが一定の金額を超えた場合に所得から控除されるという制度で、確定申告によって手続きをします。簡単にいうと、年間で払った自己負担額が10万円を超えると、超えた分が医療費控除額となり税金が還付されるのです。本人が支払わなかった部分の処理について自己負担部分以外の7割については、診療報酬の明細書等に基づいて健康保険組合が支払います。ただ、受けた治療の情報が病院から直接健康保険組合に行くのではなく、診療報酬支払基金を経由することになるため、処理に時間がかかります。通常は、私たち国民には何の影響もありませんが、高額療養費や付加給付金が遅く払われることになるのはこの影響があるのです。保険料の決まり方健康保険料の金額の計算方法は非常に複雑なのでここでは解説しませんが、基本的には次の3つの保険料から構成されています。医療分保険料後期高齢者支援金分保険料介護分保険料介護分保険料は40歳を超えると加算され、65歳になるとかからなくなります。高額療養費制度とは病気や怪我の治療によっては、自己負担が3割とはいえ、金額にするとものすごい負担になることもあります。ちなみに、アメリカでは新型コロナウイルス感染症で入院した人に億単位の医療費が請求されているという報道もあったりしますが、日本の場合は自己負担する金額が高くなった場合は、高額療養費が支給されます。支給される金額は本人の収入に応じて異なり、少ないほど自己負担しなければならない限度額のラインが低く設定されているのです。例えば、最も低い非課税世帯の場合、高額支給の回収が12ヶ月に3回以下だと35,400円、4回以上該当していると24,600円と非常にハードルが低くなります。基本的にはいったん自分で自己負担分を全部支払ったうえで、後から高額療養費という形で限度額を超えた部分が支給され、原則として1ヶ月にかかった医療費が対象となります。ただし、事前に分かっていれば限度額適応認定証の発行を申請することで、窓口で患者が支払う金額を限度額までに抑えることができます。また、医療費の計算はそれぞれの医療機関別に分けて計算し、入院費用も対象になりますが、差額のベッド費用や食事代、居住の費用などについては自己負担額から除外されます。[adsense_middle]高額療養費制度を使う率が今後高くなる日本は高齢化が進んでいるので、高額療養費制度を使う人が年々増えてきていて、中でも利用が多い高額療養費としては以下のようなものがあります。高額な手術代高額な薬代人工透析代だいたいこれらのいずれかに該当すると、高額療養費を適用することになります。例えば、がんの治療に使用する薬には高額なものが多く、オプジーポなどは1ヶ月で80万円以上かかるといわれているのです。これが医療費の自己負担3割だとすると約24万円の自己負担額になり、さらにそこから高額療養費制度によって年収500万円と仮定すると、約9万円の自己負担額にまで抑えられます。元の値段が高いだけに、高額療養費制度のありがたみが分かるところですが、実は今高額な医薬品に対する保険適用を除外する動きが出てきているのです。すなわち、高齢化によって国の負担する医療費がどんどん高額になっていることから、今後高額な治療薬については保険が利かなくなる可能性があります。よって今後は民間の医療保険などを活用して、将来的に自己負担額が増えた場合のリスク対策をしていく必要があるでしょう。付加給付金とは高額療養費とは別に健康保険組合によっては、別途付加給付金が支給される場合があります。付加給付金とは高額療養費のように、医療費の自己で負担する金額が一定額を超えた場合に保険組合から支給される給付金です。手続きについては、病院などの医療機関から基金経由で健康保険組合に送られる診療報酬請求書ベースで処理されるので、本人は特に手続きをしなくても自動で支払われます。会社員であれば給付金は事業主に対して支払われ、その後事業主から本人の給与の振込口座に支給されるといった流れです。医療費を安く抑える方法今後高齢化にともなって医療費の自己負担額の実質的な負担増が予想される中、どのようにすれば医療費を安く抑えることができるのでしょうか。かかりつけの先生を見つける普段からかかりつけの先生がいれば、その都度細かな検査が不要になって余分な医療費がかからなくなります。また、本人の健康状態をより把握している先生が診ることで、的確な治療にもつながるのです。町医者を活用する風邪など専門的な治療を必要としない場合については、できるだけ大学病院ではなく、地域医療を支えている町医者を利用することをおすすめします。大学病院は特別料金が加算されることも多いので、医療費がかさむ原因になるのです。平日の昼間受診する最近は24時間やっている病院も増えてきましたが、夜間や休診日に診察を受けると、初心・再診ともに料金が加算されます。例えば、22時から6時の深夜帯に受診した場合、初心で4,800円、再診で4,200円という高い料金が上乗せされますので注意が必要です。医療費の自己負担割合に関するまとめ医療費の自己負担額は、国民皆保険制度と高額療養費制度などによって大幅に低く抑えられていますが、今後は高齢化の影響で負担が増えていく可能性が考えられます。医療費を抑えつつ、民間の医療保険を合わせて活用していくことが大切でしょう。
2020年06月29日こんにちは、婚活FP山本です。一般的なイメージでいえば、医療費などには消費税はかからないように思えるのではないでしょうか。けして間違ったイメージではないものの、ある意味で間違った認識ともいえますから、少し注意が必要です。実際のところはどうなのか……ぜひ正しい知識を持っておきましょう。そこで今回は、医療費と消費税の関係や、医療費と健康保険の関係などについてお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。健康保険が使える医療は非課税取引の対象、だが……まずは早速、医療費と消費税の関係についてお伝えします。一応の結論からいえば、医療費は非課税取引の対象です。正確にいえば、「公的医療保険の対象になる医療」については非課税取引の対象になっていますから、患者が消費税を支払うことはありません。消費者としては、ホッとするところでしょうか。もちろんこれは、健康保険・国民健康保険を問いません。医療関係を管轄する厚生労働省も、これを堂々と掲げています。……ただ、実際の患者からは「増税で医療費が上がった」という声も上がっているのが現実です。モヤモヤした気分になられた方もいるかもしれませんが、少なくとも「保険対象の医療は非課税取引」という点は間違いではありません。まずこれはこれで、覚えておきましょう。薬や設備の仕入れには消費税がかかるという現実そもそも、消費税とは「最終消費者」が負担するものです。一方、病院が治療のために仕入れる薬や設備などは、病院が消費税を支払って仕入れています。しかし、医療は非課税取引です。とすると、薬や設備の消費税は「病院が」負担しなければならないのでしょうか。これが、医療費と消費税の少しおかしな関係性です。そしてこのため、実際の医療費については「独特の見解」で対応しているのが実情になっています。なぜか「消費税はかからないが実質的にかかる」という不思議な関係実際の医療費と消費税の関係性について、さらに詳しくお伝えします。結論からいえば、「医療費は非課税取引だが実質的に消費税がかかる」といった感じです。具体的にいえば、医療費に「消費税」はかからないものの、本体の医療費に消費税分が含まれているといった感じになっています。そしてこのため、消費税が増税されるたびに本体の医療費が値上げされているのが実情です。これは、「医療費は非課税取引」としていることと「消費税の性格」を合わせたことによる結果かもしれません。消費者としては困惑するでしょうが、病院経営もビジネスです。実際に厚生労働省でも、このような見解を掲載しています。この、なぜか「医療費に消費税はかからないが実質的にかかる」という不思議な関係を、しっかり知っておきましょう。日本での治療費や初診料は増税で引き上げられた実際、令和元年10月に消費税が10%に引き上げられましたが、それにともなって日本での治療費や初診料は増税で少し引き上げられています。外来なら10~40円程度ですが、入院となると100~180円程度上がったのが実情です。少し厳しい現実かもしれません……。とはいえ、もはや消費税は「かかるほうが一般的」とさえいえます。分かりやすい〇%表示はないものの「医療費にも消費税は必要」と考えておき、増税されても対応できるように努めていきましょう。「自由診察」は消費税率アップでそのまま負担増に今度は、医療費の中でも自由診察についてお伝えします。元々が保険適用外の自由診察については、普通に消費税が必要です。ちなみに代表的な自由診察には、以下のようなものが当てはまります。美容整形や歯列矯正自然分娩や避妊手術・人工妊娠中絶人間ドックそしてこれらは、一般的に費用が高額なことが多いため、どうしても消費税が増税されると影響も大きくなりがちです。これらを検討中の方は、今後さらに増税されるかもしれませんから、その前に受けておいたほうが賢明かもしれません。ともかく、自由診察は消費税率アップでそのまま負担増になります。しっかり覚えておき、次の増税時に備えておきましょう。もともと自費が必要な保険外部分も請求額アップ自由診察ではなくとも、たとえば「差額ベッド代」など、もともと自費が必要な保険外部分も、消費税が増税されると請求額もアップします。何とも厳しい現実ですが、むしろ医療費と違って分かりやすく消費税として請求されるので、そういう意味では納得感もあるかもしれません。一方で、だからこそ病院に通う機会が増えるほどに、経済的な負担もより高まっていくのが実情です。普段から健康に気をつけながら、お金の面でも常に準備を心掛けておきましょう。医療費の高額化には「高額療養費制度」で対応をここからは、増税による医療費の高額化への対処法をお伝えします。結論からいえば、医療費の高額化には「高額療養費制度」を使うのが有効です。この制度は簡単にいえば、収入によって医療費の自己負担限度額が決められており、以下の表を上回る部分についてはお金が戻ってくる制度になります。※総医療費とは、保険適用の診察費用の10割金額のことちなみに計算は「同一月」ごとに行い、1人あたり2万1000円以上なら世帯内で合算することも可能です。さらに過去1年間で3回以上この制度を使った場合、4回目からはさらに自己負担限度額が下がります。使える場合は、使わない手はありません。上の表のとおり、日本ではどんなに年収が高い方でも、おおむね1ヶ月あたり「25万円少々」が自己負担額の上限です。年収が低いほどに限度額も低くなりますから、ぜひ積極的に活用していきましょう。合わせて「限度額適用認定証」を活用しよう高額療養費制度は実にうれしい制度ではありますが、お金が戻ってくるまでに3ヶ月程度もかかる点がネックです。いったんは病院に大金を支払わなければならない点もあります。そして、これらのネックを解消できるのが「限度額適用認定証」です。限度額適用認定証さえあれば、病院への支払い金額そのものを高額療養費制度の自己負担限度額までに抑えることができます。健康保険組合や役所にいえば簡単に作れますから、合わせて積極的に活用していきましょう。[adsense_middle]高齢両親と同居なら「高額介護合算療養費制度」が使えるかも?今度は、高額療養費制度に似た「高額介護合算療養費制度」をお伝えします。この高額介護合算療養費制度とは、簡単にいえば医療保険と一緒に介護保険も使っている世帯の自己負担限度額を定めた制度です。その自己負担限度額とは、以下のようになっています。ただし高額療養費制度とは違って、8月1日から翌7月31日までの「年間計算」です。また計算対象に入らない費用もありますし、世帯が同じでも同じ医療保険に入っていない場合は利用できません。医療費だけ、介護費だけ、という場合も使えない制度です。とはいえ、使える場合は実にうれしい制度といえます。特に高齢両親と同居している方なら使える可能性がありますから、ぜひ健康保険組合や役所に相談してみましょう。自動的には適用されず、自発的な手続きが必要!諸々の制度というのは、その多くが自動的には適用されません。その制度を知っている方が、自発的に必要な手続きをする必要があります。必要性が高いときに関係者が教えてくれることもありますが、教えてくれるとは限りません。常日頃の勉強や情報収集が大切です。ただ一方で、ほんの少しでも知ってさえいれば、必要なときには調べることもできますし、知っていそうな人に相談することもできます。ぜひ必要になるときまで、今回の制度のことを覚えておきましょう。年齢が高まるほどに医療費の必要性も必要額も上がるものの……最後に、ライフプランの観点における医療費についてお伝えします。何となく誰もが想像できるでしょうが、人間は年齢が高まるほどに老化しますから、おのずと医療費の必要性も必要額も上がるのが実情です。そこに消費税などの増税も加わればなおさらといえます。このような事態に備える方法の1つが「民間の医療保険」ですが、一方で「老後資金2000万円問題」もあるのが今の日本の現実です。そして、昔とは違って今は本当に年収が上がりにくい時代になっています。このままで、将来的な医療費や老後資金に備えられるでしょうか。少なくとも、「誰もが当たり前のように備えられるのが当然」ではありません。健康を維持することが大切な一方、同じくらい「ライフプラン上の資金計画」も大切です。ぜひ早くから、未来を見据えて動いていきましょう。「具体的な年収が上がる方法」を模索しよう!家計を改善する方法とは、大きく「収入を上げる、支出を下げる、投資をする」の3つしかありません。そして、支出を下げるには限度がありますし、投資をするにはお金が必要です。このため、将来が不安な方が最初にすべきことは「収入を上げること」といえます。年収が上がりにくい中で収入を上げるのは簡単ではありませんが、やるしかないのが現実です。ぜひ「具体的な年収が上がる方法」を模索して、未来の医療費や老後資金に備えていきましょう。実質的に医療費に消費税はかかる!「医療費は非課税取引」という建前ですが、実質的に医療費にも消費税はかかります。このため、今後の医療費はますます高まっていくであろう傾向です。しかし、年収は上がりにくい時代になっています。将来的には老後資金問題もありますから、年収が上がりにくい中ですが、なんとか年収を上げられるよう努めていきましょう。
2020年06月26日こんにちは、婚活FP山本です。医療費控除というのは、文字どおりの医療費だけでなく、そのための交通費も含めることができます。ただし、医療費控除の対象になるかどうかはさまざまなので、多くの方が含めていいのか悩んでいるのが実情です。勝手に判断するのは危険ですから、ぜひ正しい知識を身につけておきましょう。今回は、医療費控除の交通費について、さまざまな角度で対象か否かと申請方法をお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。医療費控除の対象は電車やバスでの通院が基本まずは早速、医療費控除の交通費についての基本をお伝えします。結論からいえば、医療費控除の対象になる交通費というのは、「電車やバスでの通院」が基本です。電車やバスを使って病院に行った場合は、基本的にその交通費は医療費控除の対象にできます。このような一般的な公共交通機関を使って病院に行くのは、普通に医療費控除の対象です。けして難しい話ではありませんから、しっかり覚えておきましょう。なお、PASMOなど電子マネーを使っても大丈夫ですが、あくまで対象は病院に行くための運賃分だけですので注意が必要です。そして、一般的な公共交通機関では「領収書」が貰えないことがあります。そのような場合には、利用者や目的(地)・日付・金額などをメモしておくことが必要です。後述する「明細書の内容」に沿った形で、正しくメモしておきましょう。領収書は不要だが、なるべく貰って5年保管を2018年1月以降、法改正によって確定申告での医療費の領収書添付は不要になりました。しかし、代わりに現在は「明細書」が必要です。この明細書を作るためにも交通費については、最低限メモくらいは必要になります。少なくとも、適当な金額を書いてはいけません。また領収書も、添付の必要はなくなったものの「5年間」保管する必要があります。いつ税務署から問い合わせが入るか分かりませんから、このあたりは正しく行動しましょう。「必要なら」タクシーや新幹線・飛行機なども例外的に使える次に、医療費控除の対象になる例外についてお伝えします。すでにお伝えしたとおり、医療費控除の対象になる交通費というのは「電車やバス」が基本です。ただし、どうしても必要な場合に限って、例外的にタクシーや新幹線・飛行機などの料金も控除対象になります。どうしても必要な場合とは、例えば深夜帯で電車やバスが使えない、重病で電車やバスに乗れないなどの場合です。新幹線や飛行機は、これらを使って遠方の病院に行かなければならないような場合に限って、医療費控除の対象になるという意味合いになります。あくまで例外ですし、必要性を認めてもらえないこともありますが、本当に必要ならちゃんと対象になりますから大丈夫です。むしろ控除を気にして使わないというほうが稀ですが、ともかくしっかり覚えておきましょう。宿泊費は控除対象にならない点に注意しよう特に、新幹線や飛行機を使う場合に気をつけたいのが「宿泊費」です。これらを使うほどの遠方の病院に行く場合は、ホテルなどを合わせて使うことも多いといえます。しかしこのホテル代などは、残念ながら医療費控除の対象にはならない点に注意が必要です。一般的な感覚とは少しズレているように感じるかもしれませんが、このようなルールになっているのですから仕方ありません。あくまで控除にならないだけで、使うかどうかは自由ですから、必要なときにはしっかりホテルも活用しましょう。「必要なら」付き添いの人の交通費も控除対象今度は、さらに医療費控除の対象になる例外についてお伝えします。医療費控除の対象になる交通費とは、元になる医療費も含めて基本的に「医療を受ける本人」限定です。しかしどうしても必要な場合に限って、付き添い人の交通費も医療費控除の対象にすることができます。どうしても付き添い人が必要というのは、例えば小さな子供や高齢者、あるいは重病人などが当てはまりがちです。このような「1人で病院に行くことが困難な人」に付き添った場合は、その人の交通費も医療費控除の対象にすることができます。ただし、その後に当人が入院して世話やお見舞いのために1人で病院へ行くような場合は、その交通費は医療費控除の対象になりません。このあたりは少しややこしいですが、しっかり分けて覚えましょう。無料診察の交通費や医師の交通費も控除対象ほかに、何らかの助成制度で医療費が無料の場合であっても、交通費だけを医療費控除として申請することもできます。さらに、医師を自宅などに呼ぶ場合は医師の交通費も医療費として請求されますが、この交通費(医療費)も医療費控除の対象です。思った以上に、医療費控除の対象になる交通費の範囲は広いといえるかもしれません。そして簡単にいえば、ここまでお伝えした交通費以外は医療費控除の対象外となります。病院に行く場合は、なるべく対象の範囲となる手段を用いましょう。ガソリン代や駐車場代・高速料金などは対象外ここからは、医療費控除の対象外になる交通費についてお伝えします。医療費控除の対象外になる交通費の代表格は、「自家用車のガソリン代や駐車場代」です。電車やバスより自家用車を普段使いする地方などは不利といえますが、ともかくこのようなルールになっています。またそこから、高速料金も対象外です。ちなみに一応の理屈では、医療費控除の対象とは「人的役務の提供の対価」限定になっているためといえます。ガソリン代や駐車場代・高速料金はモノの購入代金や利用料ですから対象外、という理由です。もっとも、電車やバスなら利用ごとの料金も明確ですが、「病院に行くためだけに」ガソリンを入れる方はまずいません。多少強引にでも納得して、受け入れていきましょう。「高額な代金だったから通してほしい」は通らない医療費控除の対象になる交通費とは、文字どおり「医療を受けるために必要と認められる範囲」に限られています。そして、それを客観的に示せることが必要です。「必要だった」と強引にいっても通りませんし、「高額な代金だったから通してほしい」も通りません。車社会の地方には厳しいルールですが、少なくとも本体の医療費については車で行っても対象です。通る部分だけでもしっかり申請して、ルールに合わせた行動を取っていきましょう。[adsense_middle]定期代や一時退院時の交通費も対象外今度は、さらなる医療費控除の対象外になる交通費についてお伝えします。都心部では通勤定期を利用する方も多いですが、この定期を使って医療を受けた場合の「定期代」は対象外です。あくまで通勤定期は「通勤するため」が主ですから、医療費控除の対象にはなりません。あと注意が必要なのは「一時退院」でしょうか。長期の入院患者が年末年始などで一時的に退院することがありますが、その場合の自宅まで帰る交通費は医療費控除の対象外です。自宅に帰る行動は「医療を受けるため」ではありません。少し注意しておきましょう。病院や治療が絡む交通費なら何でも医療費控除の対象になるというわけではありません。医療費控除の対象になるものに限って、正しく医療費控除として申請しましょう。通勤途中で立ち寄った場合も対象にならないまれに定期を使わず通勤するような人もいますが、通勤途中で病院などに立ち寄った場合も基本的に医療費控除の交通費には当てはまりません。その病院に行く明確な理由を示せないような交通費まで、強引に医療費控除として申請するようなことは控えましょう。先ほどお伝えしたとおり、今は5年間の領収書などの保管義務がありますし、いつトラブルになるか分かりません。あくまで税法ルールに沿った正しい節税を心掛けましょう。確定申告での申請方法は「人ごとにまとめて入力」最後に、確定申告における医療費控除の交通費の申請方法をお伝えします。現在の確定申告では、医療費については専用の明細書を添付しますが、その内訳は以下のとおりです。医療を受けた方の氏名病院・薬局などの支払先の名称医療費の区分「診察・治療」「医薬品購入」「介護保険サービス」「その他の医療費」支払った医療費の額4のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額そして交通費については、2を「JR・〇〇バス」などとして、3を「その他の医療費」を選択し、4に交通費の額を入力します。ちなみに国税庁は、1人あたりの年間交通費をまとめて入力・記載するよう促していますが、1件ごとに入力しても問題ありません。少なくとも、医療費控除の交通費の申請は難しいものではないといえます。申請できるのにしないのは損なだけですから、できる場合はちゃんと確定申告で医療費控除の交通費についても申請しましょう。書き方などが分からないときは税務署や国税庁へ相談を「これは医療費控除の交通費になるのか?」「明細書の書き方が分からない」など、初めて遭遇・経験する場合は何かと不安になるのが一般的です。そのような場合は自分で勝手に判断せず、事前に近くの税務署や国税庁に相談するのがおすすめといえます。少なくとも、税理士などと違って税務署や国税庁なら相談するのにお金はかかりません。それに、医療費控除の交通費は本当にケースバイケースなので、相談してみないと分からない部分も大きいといえます。今回お伝えした内容は、あくまで「基本」です。事情によっては話が通ることもありますから、申請を諦める前にまずは税務署などに相談してみましょう。医療費控除は交通費も含めて正しく申請しよう!医療費控除は、本体となる医療費だけでなく関連する交通費についても対象になります。久しぶりに病院に行ったような方ならともかく、定期的に通院しているような方なら交通費も相応な額になるはずです。ただし、医療費控除の対象外になる交通費も意外と多いですから、事前にしっかり知っておき、対象になる場合に限ってしっかり申請しましょう。
2020年06月24日「5月7日、『レムデシビル』が新型コロナウイルスの治療薬として厚生労働省から承認されました。同薬は、日本国内で初めての承認治療薬になります」こう話すのは、環境ジャーナリストの村田佳壽子さん。安倍晋三首相は4日、かねてより治療薬の候補として注目されていた抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、「今月(5月)中の承認を目指す」と言及した。それに先んじて、レムデシビルが承認されることとなった。「アビガンは日本の富士フイルム富山化学が、レムデシビルはアメリカのギリアド・サイエンシズ社が開発したもの。アメリカ発のレムデシビルが先に日本で承認されたのは、アメリカが急ピッチで治験を進め、5月1日には同国で治療薬として承認された影響が大きいと思われます」(村田さん)ゆくゆくアビガンが承認されたとしても、薬としての違いや効果、副作用などわからないことも多い。そこで、感染抑制の専門的知識を有する高知大学名誉教授で高知総合リハビリテーション病院院長の小川恭弘さんに、アビガンとレムデシビルについて解説してもらった。【アビガン】「もともとは『新型または再興型インフルエンザウイルス感染症』の治療薬です。日本で開発されたうえに、臨床研究で使用した患者さんの『8割が改善した』とされています」(小川さん・以下同)同薬については、開発者である富山大学名誉教授・白木公康さんが本誌(5月5日号)に『中国で行われた臨床試験では、“発症6日目まで”に使用することで重症化を阻止できた』と強く解説した。つまり、この薬は感染の初期症状への投薬によって効果を発揮するものだという。小川さんは同薬の治験の現状についてこう続ける。「薬の安全性を判定する『フェーズ1』に続いて、アビガンを使う患者さんのグループを無作為に分けて治療薬効果を比べる『フェーズ2』の治験が始まったばかり。データはまだまだ集めるべきです」【レムデシビル】今回承認されたレムデシビルは、もともと「エボラ出血熱」の特効薬として研究されていたが、アメリカを含め各国で新型コロナウイルスの症状にも有効性を示すとするデータが多く出ている。「しかし、この薬は腎不全などの副作用を起こす頻度が高いため、まだまだ発症初期の患者さんに処方される薬とはならないでしょう。国内ではあくまで『人工呼吸器の装着が必要な重症患者』などに限って使用されるはずです」前出の村田さんは、これらの“期待の治療薬”について、次のように話す。「いずれも、コロナへの治療薬として服用するには、PCR検査を経て感染が判明していることが大前提です。“あ、コロナに感染したかも”と思っても、検査を受けなければ容易に手に入るものではありません。まずはPCR検査の拡充が求められますが、いまの時点で私たちにできることは、落ち着いて電話相談できる“かかりつけ医”を持つことです」「女性自身」2020年5月26日号 掲載
2020年05月14日「5月7日、『レムデシビル』が新型コロナウイルスの治療薬として厚生労働省から承認されました。同薬は、日本国内で初めての承認治療薬になります」こう話すのは、環境ジャーナリストの村田佳壽子さん。安倍晋三首相は4日、かねてより治療薬の候補として注目されていた抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、「今月(5月)中の承認を目指す」と言及した。それに先んじて、レムデシビルが承認されることとなった。「アビガンは日本の富士フイルム富山化学が、レムデシビルはアメリカのギリアド・サイエンシズ社が開発したもの。アメリカ発のレムデシビルが先に日本で承認されたのは、アメリカが急ピッチで治験を進め、5月1日には同国で治療薬として承認された影響が大きいと思われます」(村田さん)承認を待つ新型コロナウイルスの治療薬候補はまだまだある。そこで、感染抑制の専門的知識を有する高知大学名誉教授で高知総合リハビリテーション病院院長の小川恭弘さんに、アビガンとレムデシビル以外の「新型コロナの治療薬」候補について解説してもらった。【イベルメクチン】「北里大学の大村智特別栄誉教授が、’15年にノーベル医学生理学賞を受賞した“虫下し”の薬。アメリカのユタ大学で新型コロナウイルス感染症の患者さんに使用したところ、使用しない場合に比べて死亡率が6分の1に低下したとされています」ウイルスの増殖を抑える効果も報告されているイベルメクチン。しかし、治験は本格化したばかりで、北里大学側は1年以内の承認を目指しているという。コロナの治療薬として安心して使用できるのは、まだまだ先になりそうだ。【オルベスコ】今年3月、神奈川県立足利上病院らの研究チームが新型コロナ患者3人に使用。3人ともオルベスコ吸入から2日程度で症状が改善し、うち2人は人工呼吸器をつけていた状態から持ち直したということで注目された。気管支ぜんそくに効能効果があるとされ、’07年にぜんそくの薬として日本で承認されている。「つまり、気管支ぜんそくの薬として国内では処方されている薬ですが、対コロナとしてのデータはまだまだ集めるべきでしょう」前出の村田さんは、これらの“期待の治療薬”について、次のように話す。「いずれも、コロナへの治療薬として服用するには、PCR検査を経て感染が判明していることが大前提です。“あ、コロナに感染したかも”と思っても、検査を受けなければ容易に手に入るものではありません。まずはPCR検査の拡充が求められますが、いまの時点で私たちにできることは、落ち着いて電話相談できる“かかりつけ医”を持つことです」アビガンはもちろんのこと、イベルメクチンやオルベスコが治験を経て、じゅうぶんに安全な治療薬であることが判明したら、一刻も早い“承認”を国に期待したいところだ。「女性自身」2020年5月26日号 掲載
2020年05月14日世界中で終息の時期が見いだせない新型コロナウイルス感染症。政府は4月7日、新型コロナウイルス感染症対策として、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪県、兵庫県、福岡県に緊急事態宣言を発令しました。これに先駆け、不妊治療に関する情報として、4月1日に日本生殖医学会が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの声明」を発表し、医師に対して、不妊治療を延期する選択肢を提示するよう推奨しました。これらの発表によって、各地の不妊治療施設でも新型コロナウイルスへの対策や今後の治療方針が打ち出され、妊活・不妊当事者の困惑と混乱は広がりを見せています。 そんななか、厚生労働省は4月9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不妊治療助成における方針を発表しました。 不妊治療の延期、助成金の年齢制限はどうなる?体外受精や顕微授精などの高度生殖医療(ART)を受ける夫婦には、特定不妊治療助成制度による助成金が支給されています。助成金の支給には、治療を開始したときの妻の年齢や受給の回数、夫婦の合算年収制限などの条件があります。 晩婚化・晩産化が進むなか、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴って出された日本生殖医学会の声明に従うことが、助成金を受ける際に大きな壁となってしまうことが危惧されています。 例えば、声明に従って不妊治療を1年延期したために、治療期間初日の妻の年齢 「43歳未満」という条件を超えてしまった場合には、助成事業対象外となってしまいます。不妊治療を延期することで、助成金が受け取れないという事態が発生してしまうのです。 厚労省が不妊治療助成における対応について方針を発表妊活・不妊当事者の不安の声が高まるなか、厚生労働省は4月9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不妊治療助成における対応について方針を発表しました。 具体的な内容は下記のとおりです。 【新型コロナウイルス感染防止の観点から一定期間治療を延期した場合、時限的に、 年齢要件を緩和】 ①対象者について療期間初日の妻の年齢「43歳未満」↓「44歳未満」 ②通算助成回数について初回助成時の治療期間初日の妻の年齢「40歳未満」の場合は通算6回まで(40歳以上43歳未満の場合は通算3回まで)助成↓「41歳未満」の場合は通算6回まで(41歳以上44歳未満の場合は通算3回まで)助成 このように、年齢の上限が1歳引き上げられました。医師や看護師、パートナーとの丁寧なコミュニケーションが必要報道では、不要不急という言葉が繰り返されています。世界各国のARTのデータ収集・分析・普及をおこなう非営利国際機関のICMART( International Committee for Monitoring Assisted Reproductive Technology)の声明文の和訳には、「新規治療の開始を見合わせること、不妊治療に関連するその他の非緊急処置をすべて延期することを推奨する」との一文もありました。 妊婦さんや胎児に対する影響等が不明な状況では、患者の安心・安全を考えると、それも致し方ないことでしょう。しかし、妊活・不妊当事者にとって不妊治療は不要で不急ではありません。不妊治療施設のなかには、この状況において、一律に治療を延期するのではなく、個々の状況や希望に沿って治療方針を決めていく、または治療を継続できるような仕組み、対策を取っているところもあります。 不妊治療当事者は、自身が通院している施設の情報をホームページなどで確認し、また先生とよく話し合い、治療方針を決めていくことが大切です。 著者:ライター NPO法人Fine 理事准ファンドレイザー 野曽原誉枝(のそはらやすえ)福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年間の不妊治療を経て、2012年12月に男児を出産。自らの不妊治療と仕事の両立での経験、高齢出産の経験から、今の妊活、多様な家族形態を認め合う社会を作るために2013年よりNPO法人Fineに参画、2014年9月同法人理事に就任。主にFine妊活プロジェクト~みらいAction~の推進と企業や自治体向け啓発活動に力を入れている。
2020年04月10日交通事故で怪我をした場合に被害者の方がまず心配になるのが、治療費を誰が負担するのかという点です。被害者としては加害者に請求すると考えるのが当然ですが、実務的なレベルで考えた場合、病院の窓口ではどのように精算するのでしょうか。また、通常の診療と同じように健康保険を使って治療を受けられるのでしょうか。そこで本記事では、交通事故の怪我治療における治療費や入院費の負担先や、健康保険の利用の可否、自己負担の有無などについて詳しく解説します。交通事故による怪我の治療費は誰が負担しなければならないのか交通事故で怪我をさせられた場合は、怪我の治療費を加害者に対して請求することになります。ここについては、皆さんご存知かと思います。ただ、事故を引き起こした相手に請求するから被害を受けた側の自己負担が何もないのかというと、必ずしもそうとは言えないところが、交通事故の損害賠償の難しいところなのです。被害者にも過失がある?停車中に追突されたなど、完全に車が走行していない状況で接触された場合であれば、被害者の過失はゼロと認定される可能性はあります。ただ、走行中の接触事故については、原則としてドライバー双方が交通事故を回避するという最低限の義務を負っているため、たとえ相手が交通標識を無視したことで事故が発生した場合でも、被害者にわずかだとしても多少の過失がつくことがあるのです。病院で負担する治療費が落ち度によって変わる被害者にも一定の過失割合があると認められる場合については、被害者の治療費満額を加害者に賠償してもらうことができなくなる可能性があります。例えば、以下のような交通事故が発生したと仮定して、治療費の負担について考えてみましょう。過失割合:加害者9、被害者1損害額:加害者40万円、被害者200万円仮に、被害者に一切過失がないようなケースであれば、被害者は200万円全額を加害者に対して請求することができます。ところが、上記のように被害者に1割でも過失割合が認められる場合は、次のように過失相殺がされてしまい、加害者に請求できる金額が減ってしまうのです。加害者が被害者に請求できる金額:40万円×0.1=4万円被害者が加害者に請求できる金額:200万円×0.9=180万円上記を相殺すると、被害者が加害者に請求できる金額は次のようになります。180万円—4万円=176万円このように、被害者に過失が1割でもついてしまうと請求できる金額が思った以上に減ってしまうのです。今回は加害者側の治療費が低額でしたが、万が一高額な治療費がかかったような場合については、過失相殺するとさらに被害者が加害者に請求できる金額が低くなってしまいます。よって、交通事故の被害者という認識だったとしても、過失割合が少しでもつく場合については、治療費満額の保証が受けられない可能性が出てくるのです。病院窓口での料金負担は自費なの?交通事故で実際に治療を受けるとなると、病院の窓口でどのように精算することになるのでしょうか。被害者としては交通事故の治療だから、加害者に支払ってもらいたいと考えると思いますが、加害者が病院までついてきてその場で財布からお金を出してくれるわけではありません。となると、被害者は一旦自分の財布から自己負担して立て替えなければならないのでしょうか。原則は被害者が一時的に費用を負担する被害者としては納得できないところかもしれませんが、病院からすると交通事故という事情はあくまで患者側の事情なので、治療費については通常通り本人に請求するというパターンが原則です。ただ、これではあまりにも被害者の方がかわいそうですよね。立て替えて支払うことができるお金があればまだいいかもしれませんが、たまたま金欠の時に交通事故の被害に遭ったとすると、一時的に立て替えることすらままならないことも十分考えられます。そこで交通事故で治療を受ける際には、次にように対応するとよいでしょう。加害者側の保険会社から直接払い交通事故の加害者が任意保険に加入している場合は、任意保険会社が病院に直接連絡を入れて病院との間で被害者の治療費を直接精算してくれる場合があります。この流れを利用するためには、事故後加害者から加入している任意保険会社の連絡先と担当者を聞いて連絡し、治療を受ける病院を伝えた上で直接治療費を精算して欲しいと伝えましょう。また病院の窓口でも、交通事故による怪我であることと任意保険会社名を伝えることで、あとは任意保険会社とやり取りをして直接治療費を精算してくれるため、被害者が窓口でキャッシュを負担する必要がなくなります。自賠責保険に請求する方法加害者が自賠責保険に加入していない場合は、強制加入保険である自賠責保険に連絡をして相手の自賠責保険会社と病院との間で治療費の精算をしてもらうことも可能です。ただし、任意保険とは違い自賠責保険に直接請求する場合は、そのために必要な諸手続きを全て被害者自身でやらなければなりません。加害者が任意保険に加入していれば、任意保険会社の担当者が自賠責保険分についても手続きを行ってくれますが、任意保険に非加入の場合は被害者自身が苦労することになります。よって、加害者側が任意保険に加入していない場合は早い段階で交通事故に強い弁護士に相談しておいたほうがよいでしょう。[adsense_middle]交通事故に健康保険は使えないはウソ通常、病院で治療を受ける際には窓口で保険証を提示することで、治療費を3割負担に抑えることができます。では、交通事故の怪我の治療でも健康保険を利用できるのでしょうか。病院が健康保険の利用を拒否するわけ結論からいうと、交通事故の治療でも健康保険を適用して治療を受けることが可能です。これは旧厚労省からも次のように正式な見解が次のように示されています。「自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい。」ところが交通事故の治療で健康保険を利用しようとすると、病院側が拒否するケースがあるため注意しなければなりません。では、なぜ病院は交通事故の治療による健康保険の利用を拒否したがるのでしょうか。自由診療にしたい病院側治療をする病院としては、健康保険を使わずに治療をするといわゆる自由診療扱いになるため診療報酬が非常に高額になるのです。病院側としては自由診療扱いにすると請求額が増えるので、できるだけ健康保険を使わせたくないと考えられます。事故で心と体を痛めている被害者の心理からすれば、冗談じゃないと思うかもしれませんが、病院としても窓口に来ている人が本当に被害者なのか知る術はありません。もしかすると加害者という可能性もないわけではないのです。そうなると、ややこしくなる健康保険ではなく、シンプルに手続きができる自由診療扱いにしたほうが楽なのかもしれません。ただ、ご説明した通り交通事故でも健康保険を利用することは可能なので、万が一病院の窓口で断られてもしつこく説明すればおそらく使わせてもらえるでしょう。健康保険を使わないと、賠償金がヤバイことに交通事故の損害賠償請求において注意すべきことは、できるだけ損害額を低く抑えるよう考えることです。どうしても被害者心理としては、かかった費用全てを加害者に負担させたいと考える傾向にあるため、治療費や入院費の値段を気にせずどんどん負担して後から請求しようとすることがよくあります。ところが、これをやってしまうと先ほど解説したように、過失相殺が発生した時に被害者がかなりのダメージを受けることになるため注意が必要です。[adsense_middle]治療費が高額になるとどうなる?例えば先ほどの事例で再度検証してみましょう。過失割合:加害者9、被害者1損害額:加害者40万円、被害者200万円このような交通事故の場合、被害者が請求できる金額は174万円だとお話ししました。ではもしも被害者の損害額が健康保険を使わず自由診療で治療を受けてしまったことで、1,000万円かかってしまったと仮定します。この場合に加害者に対して請求できる金額は次の通りです。加害者が被害者に請求できる金額:40万円×0.1=4万円被害者が加害者に請求できる金額:1,000万円×0.9=900万円過失相殺後の金額:900万円—4万円=896万円当初の200万円の損害額の場合、被害者の自己負担金額は24万円でしたが、今回の場合は損害額が高額になったことで1,000万円—896=104万円も自己負担しなければならないのです。過失割合が同じでも治療費で結果が変わるこのように同じ過失割合の交通事故だとしても、自分自身の治療費がいくらになるのかによって、たった1割しか過失がなかったとしても自己負担額に80万円もの差が生じてしまうのです。被害者の多くは、治療費の全額を加害者に負担させられると思い込んでいるケースが多いのですが、それはあくまで被害者の過失割合が0だった場合になります。ほとんどの交通事故で、被害者の過失割合が0になるケースは少ないので、基本的には自分にも過失割合がつくことを前提に考えて治療費を必要最低限に抑えることを考える必要があるのです。よって、交通事故の治療であればなおさら病院の窓口で健康保険証を提示して健康保険を適用し、治療費の自己負担額を減らすよう努めましょう。健康保険が加害者に請求するちなみに、健康保険を使った場合は保険組合などが治療費の7割を負担してくれますが、本来的にはこの7割を負担すべきなのは加害者です。そのため7割負担した保険組合は、独自に加害者に対して負担した治療費の求償をします。何れにしても、健康保険に負担してもらえば被害者の自己負担が大幅に減ることに間違いありません。健康保険と労災保険の関係通勤途中や業務中に交通事故の被害に遭って怪我をした場合は、労災保険を使って治療を受けることも可能です。では労災保険が使える場合において健康保険を使って治療した場合、労災保険に切り替えることはできるのでしょうか。労災保険への切り替え労災保険が使える交通事故は、基本的に労災保険を使うことをおすすめします。健康保険をすでに使っている場合は、健康保険組合などがすでに負担している7割部分を一旦返した上で再度労災保険に切り替えることが可能です。場合によっては、病院の協力が得られれば治療開始から遡って労災保険に振り替えて精算をやり直してくれる場合もあります。交通事故における健康保険の取り扱いに関するまとめ今回は交通事故における治療費の負担と健康保険の利用のポイントについて解説してきました。被害者にも過失割合がつくケースでは、健康保険を使わずに自由診療としてしまうと過失相殺によって被害者の負担額が増えてしまいます。そのため、交通事故の治療であっても病院の窓口で健康保険を提示してできるだけ自費による出費を抑えるよう注意しましょう。
2020年02月21日交通事故で受けた怪我を治療する場合は、風邪や病気になって病院にかかるのとは事情が変わってきます。交通事故による治療費や入院費は交通事故を起こした相手が負担することになるため、実際に治療に入る前に守るべき流れや注意点について知っておくことが大切です。交通事故の怪我はどこに通院すればいいのか交通事故で怪我を負った場合は、適切な治療を受ける必要があります。目に見える外傷がある場合は、事故現場での状況次第で救急車で病院へ送られることになるので、通院先に悩むなんて必要はないでしょう。問題はむち打ち症など外見を見ただけではわからない外傷が無いような症状の場合や、自覚症状が全くない場合で、念のため検査をしてほしいような場合にどこを受診すべきかが問題となります。むち打ちや腰痛の正しい受診先むち打ちや腰痛の症状が出た場合は整形外科を受診して下さい。それが一番確実です。また、総合病院が近くにある人は、受付で交通事故である旨申し出れば適切な診療科を案内してくれます。インターネットで「交通事故治療」と検索すると、病院よりも接骨院や整骨院が沢山出てきますが、できる限り医師による診察を優先すべきなので病院やクリニックを受診して下さい。通院期間の治療費を負担してもらうために交通事故の治療で医師による診察を優先させるべきなのは、次のような理由があるからです。接骨院や整骨院、鍼灸院、整体などは病院ではないため、治療内容によっては保険会社に治療と認められず、治療費や慰謝料、休業補償が支払われない場合がある。3ヶ月以上など治療が長引く場合に症状固定までの治療過程を、できる限り同じ医師に継続的に診断してもらうことが、後遺障害認定に対して有効である。誤解されている方も多いのですが、接骨院や整骨院は医師ではなく柔道整復師です。国家資格ではありますが、後遺障害診断書は医師にしか作成できませんので、その点も踏まえて注意しましょう。転院したい場合の流れと必要な説明病院での入通院治療が開始した後、症状が一向に回復に向かわなかったり、医師の診察や治療に不安を感じたりする場合もあります。そんな時、病院を転院する事は可能なのでしょうか。交通事故ではなく、通常の病気などであれば本人の意思によって病院を変える事になんら問題はありません。最近では、セカンドオピニオンが一般的になりつつあるので、カルテなども他の病院の医師に見せることも可能です。ただ交通事故の場合は、治療費について事故を引き起こした相手の保険会社に出させることになるため、転院する場合は事前に注意が必要です。[adsense_middle]保険会社に説明して同意してもらう治療費を支払う保険会社の了承を得ることができれば、転院先の治療費についても問題なく負担してもらえます。ただし、医師の対応に対するクレームや病院のランクに関する希望など、私的な事情による場合についてはそう簡単に認められません。保険会社に転院を認めてもらうには、以下のような点が重要になります。現在の医師の転院に対する見解転院先の病院の見解これまでの治療経緯と将来的な治療方針これらの要素を総合して、客観的に見て妥当だと保険会社が判断すれば認められます。例えば、通院中の病院の設備では今後適切な治療を施す事が困難な場合など、医師の指示により転院するような場合は認められる可能性が高いです。なお、交通事故による転院は、受け入れ先の病院によっては事前に保険会社から転院の了承が取れていないと受け入れ自体を拒否される場合があります。引継ぎが上手くできていないと治療自体に影響を及ぼす恐れがありますので、受け入れ先病院とのすり合わせは慎重に行いましょう。転院を認めてもらえない場合転院は必ずしも保険会社が了承しなければできない、ということではありません。忘れてはならないのは、治療において最優先すべきは少しでも早く良くなる事であり、保険会社を説得する事ではありません。保険会社の説得に時間がかかると、怪我が今よりも悪化する可能性もあります。ですから、本当に必要性があるのであれば、保険会社の説得は後回しにしてでも転院させるという判断も必要になる場合があるでしょう。万が一後から保険会社が治療費を負担しないという事になるとまずいので、この場合は必ず事前に弁護士に相談することをおすすめします。状況次第では、弁護士が間に入る事であっさり転院を了承する場合もあります。保険会社が了承を渋っている場合は、速やかに弁護士に相談しましょう。適正な通院の頻度とは?交通事故で適正な賠償を受けたいと思った場合、重要になってくるのが通院の頻度です。重傷で入院している場合であれば考える必要もありませんが、むち打ちや骨折、腰痛、打撲など症状が比較的軽い場合については通院頻度を考えることがあります。素人的に考えると、より多く通院した方が慰謝料も多くもらえそうなイメージがあるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。むち打ち・骨折・腰痛等における通院日数と通院期間の関係性結論からいうとたくさん通院したからといって、それに比例して慰謝料額がどんどん増えていくわけではありません。そもそも、慰謝料計算のポイントとなるのは何回病院に行ったかではなく、どのくらいの期間治療をしていたのかです。このことを通院期間といい、通院期間が長い方が慰謝料額が高額になります。ただ、月に1回ずつ12回通院したとして通院期間が1年になるとすると、あまりにも極端です。そのため、あまりにも1月あたりの通院日数が少ない場合は、実際の通院日数の3倍程度を通院期間の目安に考えることもあります。適切な通院頻度適切な通院頻度は怪我の種類にもよりますが、基本的には週2回から3回程度、月にすると10回程度通っていれば通院期間としてカウントしてもらえる可能性が高いでしょう。ただし、慰謝料請求のために通院頻度を調整するのは本末転倒です。基本的に交通事故で怪我をしたのであれば、怪我を治すのが最優先なので、必要がないのに病院に行っても意味がありません。例えばむち打ちの方の中には、通院期間をできるだけ伸ばして慰謝料を高くしようと非常に短い頻度で通院し、その都度湿布だけ処方してもらっていたというようなケースが時々あります。いくら病院に通院していたとしても、単に湿布を処方してもらうだけでは通院として認めてもらえない可能性が高いでしょう。基本的に表面上だけ通院を装っていても最終的にはバレてしまうので、慰謝料目当てで通院期間を引き延ばそうと考えることはやめた方がいいです。治療費はいつまで負担してもらえる?交通事故の被害を受けた際、治療にかかる費用については交通事故を起こした側が任意保険に加入していれば、その保険会社が補償してくれます。ただ治療費については、いつまでも際限なく補償してもらえるというわけではありません。例えば、交通事故でむち打ち症の後遺症が残ってしまうと、最悪の場合その治療は一生続く可能性があります。このような場合、加害者にいつまで治療費を請求することができるのでしょうか。また、加害者側の保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。[adsense_middle]治療費は症状固定までが原則交通事故による怪我の治療費を、事故を起こした側が負担するのは当然ですが、いつ完治するかわからないような怪我の治療費をこの先一生負担し続けるのはあまりにも大変です。そこで、交通事故で負傷した怪我の治療にかかる費用の支払いについては、怪我が治るか、回復の見込みがないと判断されるタイミングである症状固定までという1つの基準が設けられています。症状固定とは、これ以上治療を継続しても回復の見込みがない状態のことで、この状態に達した場合は、そこで治療費の支払いは打ち切られます。症状固定以降も病院で治療したいという被害者の方は、治療費はすべて実費で自己負担になってしまうのです。交通事故関連の情報サイトで、次のような記載をよく目にします。「相手の加入していた損害保険の会社の担当者から、もうこれ以上の治療費は賠償できないといわれた」これは保険会社側が一方的に症状固定と決めつけて、治療費の支払いを拒否している状態なのです。では、そもそも症状固定は誰が決めることなのでしょうか。症状固定は誰が決めるの?症状固定が、これ以上治療を継続しても回復の見込みがない状態である以上、その判断ができるのは医学的知識のある医師(主治医)と考えるのが当然です。ですから、通常は交通事故における症状固定の判断をするのは主治医ということになります。けれども、保険会社からすると1日も早く治療費の支払いを終わらせたいため、症状固定にするタイミングを一方的に決めつけてくるのです。保険会社にはそれぞれ独自の症状固定時期の目安的基準があるといわれていて、それに達しても被害者から症状固定の連絡がないと、保険会社側から「もう治療は終わっているのでは」と一方的に決めつけて治療費打ち切りの連絡をしてくるのです。例えば、むち打ちや骨折など、比較的交通事故の中でも軽傷な怪我の場合は、3〜6ヶ月程度で形式的に治療費の打ち切りを連絡してきます。治療費が打ち切られたら被害者の負担は重くなる万が一保険会社からの治療費の支給が打ち切られると、以降の治療費は全て実費になってしまいます。本当に治療が終わっていればいいのですが、まだ回復に向けて治療を行っている場合には、その治療費は大きな出費となってのしかかります。そのため、万が一治療費の打ち切りの連絡が保険会社から入った場合は、その場ですぐに応じず、本当に治療の必要性があれば弁護士を通して話し合いをする必要があります。治療費の打ち切りを一方的に伝えられた場合、その後の流れは次の2つのパターンが想定されます。弁護士に治療費の打ち切りを阻止してもらう早い段階で弁護士に相談をすれば、弁護士が代理人となって保険会社と交渉してくれるため、適切な主張によって治療中であることを保険会社に理解させ、そのまま治療費の支払いを継続してもらうことも可能です。示談や訴訟で後から請求する弁護士への相談が遅れたり、保険会社が一切譲らなかったりするような場合は、一方的に治療費を打ち切られることもあります。ただ、このような場合でも諦める必要はありません。本当に治療中なのであれば、それを示談や訴訟で相手方に主張して証明すれば、後から被害者が立て替えた分の治療費を請求できる場合もあります。保険会社は治療費の支払いをできる限り低く抑えようとなんとか説得しようとしてくるのです。そのため実際の治療状況を無視して、3〜6ヶ月程度で一方的な打ち切りの連絡が入ることがよくありますので、十分注意しましょう。症状固定にされる期間の目安加害者側の保険会社は、常に被害者が過剰に治療費を請求してこないかを警戒しています。そのため、通院頻度が1ヶ月に1度も通院していないような場合や、通院していても湿布をもらいに行ったのみのようなことが続くと、保険会社側から治療費の支払い打ち切りを宣告されやすくなります。また、むち打ちや打撲といった怪我については概ね3ヶ月程度、骨折でも長くて6ヶ月程度で保険会社から機械的に症状固定で打ち切りの連絡が入る可能性が高いです。もしも、本当に治療が継続しているようであれば、それが客観的に見ても納得できるような形で通院と治療を行うことがとても大切です。治療と通院のポイント保険会社と治療費や慰謝料の請求について争いになった場合に、もっとも重要になってくるのが主治医の見解です。保険会社がどんなに症状固定だといったとしても、主治医がまだ治療する必要があるとはっきりとした見解を示してくれれば、治療費の打ち切りは回避できます。さすがに医師の見解に反する判断は、いくら保険会社でもできないということです。交通事故後の治療に関するまとめ交通事故後の治療については、適切な場所で適切な通院、治療を受けることが損害賠償請求の上でもとても大切です。治療費の打ち切りは、交通事故後のトラブルとして比較的よく発生します。万が一保険会社から治療費の打ち切りを宣告されても決して慌てず、まずは弁護士に相談をして今後の対策を考えることをおすすめします。適切に対処すれば、本来もらえるべきものは交通事故を起こした相手側に請求することが可能です。
2020年02月19日不妊治療を始めて3年過ぎたあたりから、子どもを授かりたいと思う願望が義務のように変化していき、妊娠に対する感覚が徐々に麻痺し始めていました。ついに、私たちは精神的な余裕が完全になくなってしまいました。そして、治療へ真剣に向き合うことが怖くなり、できなくなってしまいました。 治療法を変えても、結果は出ず一度転院して新たに通い始めた病院で3年近く人工授精を続け、不妊治療期間が約5年過ぎていました。しかし、毎月決まった時期に儀式のように病院へ行き、医師から妊娠していない事実を聞くと、妻だけでなく自分の努力が無駄に感じてしまい、夫婦共々どんどん落ち込んでいきました。 さらに、医師のすすめで体外受精・顕微受精を数回試しましたが、1回につき約40万円の出費になるため、長期的に継続して治療することは断念せざるを得ませんでした。そして、医師と会話することすら嫌気がさしてしまって、また転院することにしました。 2度目の転院にして、最後の病院次の病院でできなかったらあきらめよう、と夫婦で決めていました。年齢と負担だけが増えていって、本来の目標を失いかけていたからです。 次に決めた病院では、お金も精神的負担もかけたくなかったので、タイミング療法のみで治療を再開しました。ここの診療方針は、上の子どもが一緒に行くことも自由、なんとなく決められた日程での診察というのんびりとした環境で、私たちはそのおかげである程度平常心を取り戻していきました。 しかし同時に、妊娠することへのこだわりも徐々に薄れていきました。もうここが私たちの不妊治療の限界だと感じていたからです。 ストレスが減り、そして…最後の病院は、負担を感じることがほとんどなく、通院することができました。電車でひと駅の距離にあることや、繁華街にあるため、寄り道して気を紛らわすこともできたことなども要因だったと思います。 あまりストレスを感じずに治療を続けた結果、最後の病院へ通院して半年、不妊治療開始から約6年目でようやく妊娠することができました。正直、喜びよりも驚きのほうが大きかったです。 今思えば私も妻も、経済的な不安も含む精神的な不安が赤ちゃんを授かることができなかった1番の原因だったように思います。自分が頑張りすぎると、妻にとって負担になります。逆の場合も同じです。妻のため、夫のためと思ってしている行動が、かえって相手を苦しめていたのかもしれません。 改めて感じること次女が無事生まれ、今、冷静に振り返って考えると、私たちは不妊治療を体験できて本当によかったと思います。 真剣に家族揃って同じ目標に向かって取り組み、家族の結束が一層深まりました。さらに、不妊治療に予想外に時間がかかったおかげで8歳差の姉妹になりましたが、長女が本当によくかわいがってくれており、楽しんで子育てに参加してくれています。 妻はもちろんですが長女も頑張って協力してくれたおかげで、子どもを授かることができたのだと私は感じています。 ゴールが見えないまま、どこまで続ければいいのか不安を感じながら治療を続けることが、ここまでつらいとは正直思っていませんでした。ただ、子どもを授かることができ、さらに家族で苦難を乗り越えることができたという充実感も得ることができました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト:(c)chicchimama 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年02月15日何もかも手探り状態で始めた不妊治療ですが、小さな疑問や不安が少しずつ大きくなっていきました。自分たちに合う治療・病院とはなんだろうと考え続けても、答えが見つかりそうにない時期が続き、約2年が経過していました。 最初の転院原因が特定されないままに始めた不妊治療のため、タイミング療法をずっと続けていました。ただ、時間が経つにつれ、通院当初は気にならなかった片道約1時間の通院時間も負担に感じ始めました。今までの生活リズムも徐々に狂い、夫婦間の衝突も次第に増えていった結果、自宅から15分くらいで通院できる病院に転院することにしました。 次の病院は、地元では有名な不妊治療専門院に決めました。そこは院長先生がメディアにも度々露出して有名なので人気もあり、治療費も今までの病院と比べて割高でした。 毎週診察があり、1回の診察で約1万円、人工授精で約2万円、何かイレギュラーな診察があると、また数万円といった費用がかかりました。しかし、通院時間短縮や妊娠確率が上がるならと思い、その病院へ通院することにしました。 精神的な余裕がなくなっていった有名な病院だけあって、事前に大きな会場でいろいろな分野の先生から説明があり、大学のセミナーのような規模でした。ただ、ここでの説明は、私の予想と反して確率やリスクといった現実的な話ばかりでした。 私は、妊娠・出産は非常に神秘的で尊いものだと考えていたので、先生たちの生物学的な話が妊娠に対する神秘から離れていくように感じてどうしても受け入れられませんでした。うれしいはずの妊娠を前に、どんどん自分のなかに暗く不安なものを感じ始めました。 今思えば、2年続いた不妊治療でのストレスの結果、私は精神的に余裕がほとんどなく、自分本位の考え方になっていたのかもしれません。 ゴールが見えない不安の連続の毎日精神的な不安に加え、なかなか結果が伴わない状態が続いたため、この病院での治療は順調には進みませんでした。それでも、なんとか子どもを授かりたいという思いから通い続けていたのですが、2年の通院期間が過ぎたあたりから、この病院に対して不信感が芽生え始めました。 治療費だけがかさんでいき、いつまで経っても結果が出ないため、「病院側はきちんと治療しているのか?」と、病院に責任があるようにも感じ始めていました。さらに私自信の被害妄想は膨れ上がり、院内で笑い声が聞こえるたびに自分が笑われているのではないかと感じるほど、精神的に滅入っていました。 次の段階の治療へ治療内容は、この病院をきっかけにタイミング療法から人工授精へと変わっていました。医師の説明だと、治療法で飛躍的に確率が上がるわけではないと念を押されていたのですが、現状を変えたい、少しでも確率が上がるのでは、という思いで挑戦しました。 人工授精は、私の負担もさらに増大します。その病院では、朝6時に精子を病院に持ち込まなくてはなりません。そのため、不妊治療にかける時間も一気に増えました。病院によると思いますが、禁欲はもちろん、食生活から運動まで、いろいろと指示があり、妊娠のためと理解しているつもりでしたが、毎日が楽しめなくなってきていました。 自分たちが若くないため、育児できる体力や経済力を考慮すると、時間がないことが一層焦りを生んでいました。さらに、治療に時間がかかるほど経済的負担も大きくなっていくことも不安要素の原因にもなっていきました。 次回は2回目の転院・抱えていたプレッシャーについてお話しします。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/(c)chicchimama監修/助産師REIKO 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年02月14日今回は、妊娠中に親知らずの治療は可能かについてお話しします。 妊娠中に親知らずの治療は可能?妊娠中は基本的にどのような歯科治療でも受けることは可能ですが、赤ちゃんの器官や臓器が作られる妊娠初期は、緊急性の高い歯科治療のみに限定されます。 歯科医院や歯科医によっては、妊娠中の親知らずの痛みに対して治療を控える方針にしているところもありますが、治療をしないで痛みやそれに伴う感染などをそのまま放置しておくほうが妊娠経過に与える影響は大きいでしょう。 親知らずは奥歯やあごの痛みで気づくことが多いです。歯ブラシが届きにくい部分に萌えるため、周囲の歯を虫歯にしたり、横や斜めの方向に萌えて歯並びを乱すことあります。また、歯ぐきにの中に埋まった状態で痛みが生じることもあります。親知らずの状態によっては歯科医院ではなく、大学病院などの口腔外科での治療が必要なこともあります。 妊娠中の親知らずの治療については、応急処置のみにするか、抜歯するかについて、妊娠週数や親知らずの状態に合わせて歯科医が総合的に判断します。妊娠週数に関係なく、親知らずによる痛みがあるときは、まず歯科医院を受診して相談しましょう。 妊娠経過や赤ちゃんへの影響が心配な場合は、歯科医院を受診する前に、産婦人科の担当医へ相談しましょう。また、歯科医院を受診する際には妊娠していること、妊娠週数や妊娠経過、産婦人科の担当医の意見などを歯科医へ伝えることが大切です。 妊娠中は口腔環境が変化しやすい妊娠中は女性ホルモンの増加に伴って、歯ぐきの出血や発赤、腫れが起こる歯肉炎など歯周病が起こりやすくなります。妊娠をきっかけに歯周病や虫歯、親知らずの痛みが生じることもあります。受診しない限り、応急処置だけで大丈夫か、妊娠経過に影響を与えない状態かについて判断はできません。妊娠中だから歯科治療を受けてはいけないということはありません。口腔内の出血や痛みなどがあれば、早めに歯科医院を受診して相談しましょう。 妊娠中にあお向けの姿勢になったときは、大きくなった子宮が体の右側にある下大静脈を圧迫して、急激に低血圧を起こす「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)」に注意が必要です。歯科医院での治療中に仰臥位低血圧症候群が起こることがあるので、治療当日の体調に合わせて無理のない範囲で治療を受けることが大切です。 妊娠中の歯科治療に麻酔を使っても大丈夫?歯科治療で使う局所麻酔薬は、主に2%塩酸リドカイン(歯科用キシロカイン®、オーラ注®)です。妊娠中に局所麻酔薬を使っても、おなかの中の赤ちゃんへの影響はほとんどありません。痛みを伴う歯科治療の場合、痛みをひたすら耐えるよりも局所麻酔を使用したほうがストレスを軽減できるでしょう。 妊娠中に抜歯しても大丈夫?抜歯時に使用する局所麻酔薬や抜歯後に服用する抗菌剤や痛み止めの薬(解熱鎮痛薬)について、おなかの中の赤ちゃんに影響が少ない薬を選択することで抜歯することは可能です。抜歯しないことで起こる感染や炎症、持続する痛みを放置することのほうが妊娠に与える影響は大きいといえます。妊娠中の抜歯に対して戸惑いやためらいがある場合は、担当医と十分に話し合いましょう。 妊娠中に歯科でエックス線撮影(レントゲン検査)を受けても大丈夫?エックス線撮影(レントゲン検査)は、歯の口腔内の状態を確認し、診断や治療方法を決めるために必要に応じておこなわれる検査です。歯科医院でおこなうエックス線検査(レントゲン検査)は、赤ちゃんのいるおなかから離れている歯とその周りの口腔部分のみに微量の放射線を照射して撮影します。また、撮影時には腹部を覆うように防護用エプロンを着ることで、放射線被ばくを軽減するため、おなかの赤ちゃんへの影響はほとんどありません。 赤ちゃんの健康状態への影響はありませんが、妊娠中のエックス線検査(レントゲン検査)について心配なことがあれば、担当医に相談してみましょう。 妊娠中の歯科治療後に痛み止めなどの薬を飲んでも大丈夫?妊娠初期は胎児の器官や臓器が作られる時期に重なるため、妊婦さんは使用した薬による影響が心配になるかもしれませんが、実際には薬の影響で奇形が生じることは稀なことです。 薬を使用しなければ妊婦さん本人に悪影響があると考えられる場合は、おなかの中の赤ちゃんに対して安全性の高い痛み止めの薬である、アセトアミノフェン(商品名:カロナール®)や抗菌薬(セフェム系・ペニシリン系)が処方されます。 歯科治療に使用した薬について心配な場合は、妊娠と薬について専門的な相談を受けてくれる「妊娠と薬情報センター」(厚生労働省事業)などの相談窓口を利用しましょう。まとめ妊娠中の親知らずの治療については、妊娠週数や親知らずの状態に合わせて、応急処置のみにするか、抜歯するかなどを歯科医が総合的に判断します。妊娠週数に関係なく、親知らずによる痛みがあるときは、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。妊娠経過や赤ちゃんへの影響が心配な場合は、歯科医院を受診する前に、産婦人科の担当医へ相談しましょう。 <参考>・日本歯科医師会 母子健康手帳活用ガイド 作成:平成24年3月・日本小児歯科学会・日本放射線技術学会・妊娠と薬情報センター 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2020年02月11日年が明けて2019年分(平成31年1月1日~令和元年12月31日)までの還付申告の受付が始まり、書類を整理している方もいらっしゃると思います。その中で医療費控除の対象となるかどうか分かりにくい項目もあります。その中で妊娠・出産に関わる項目を中心にお伝えします。 医療費控除とは医療費控除とは、所得税・住民税(市区町村民税・都道府県民税)に適用され、自身や家族のために医療費を支払った場合に対象となる所得控除です。手続きは原則として医療費が10万円を超えた場合、住所を管轄している税務署に確定申告書を提出し、その後所得税・住民税が減額または還付されます。医療費控除の対象となる医療費には該当するもの、該当しないものがあります。次の項目で妊娠・出産に関して該当するもの、該当しないものの概要をお伝えします。 妊娠・出産について医療費控除に該当する主なもの医療費控除に該当する「医療費」の範囲は医療機関に支払わないものでも、病院までの公共交通機関の交通費のように該当するものがあります。妊娠・出産時に主に医療費控除に該当する費用等は以下のとおりです。①妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用②妊娠と診断されてからの通院費用③通院・入退院時に電車、バスなどの通常の交通手段での通院・入退院が困難な場合、タクシーを利用した場合、そのタクシー代④病院に対して支払う入院中の食事代⑤助産師による分娩の介助費用⑥病院都合による差額ベッド利用料、個室利用料⑦不妊治療の費用 なお、平成29年分の確定申告から、医療費控除に関する領収証は提出が不要となり、「医療費控除の明細書」を添付する代わり領収証は申告者が保管することとなりました。 妊娠・出産について医療費控除に該当しない主なもの医療費控除に該当しない「医療費」の範囲は医療機関に支払うものでも、診断書の費用や予防接種費用のように該当しないものがあります。妊娠・出産時に主に医療費控除に該当しない費用等は以下のとおりです。①里帰り出産するために実家に帰省する交通費②通院・入院時の自家用車のガソリン代、駐車場代③入院の際の寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用④病院食以外の外食、出前、売店などで購入した食事費用⑤無痛分娩講座の受講費用⑥予防接種の費用⑦自己都合で希望する場合の差額ベッド利用料、個室利用料⑧診断書の作成費用 該当しないものの考え方としては、治療・療養・分娩に直接関わらない費用です。予防や美容に関する費用、テレビ料金や文書料金などの医師や看護師等の治療行為に該当しない費用は原則医療費控除の対象外と考えてください。不明な点は最寄りの税務署への確認または国税庁ホームページをご参考になさってください。 出産時には普段よりも医療費がかかるケースが一般的で、家計への負担も少ない場合があります。そのためにも医療費に関する領収証をまとめ、お早めに還付申告をしてその負担を軽減できるようになさってください。また、出産直後で手続きが難しい場合でも確定申告期間にかかわらず5年間は申告できますので、余裕のあるタイミングで還付申告をすることをおすすめします。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年02月03日「医療費は、手術や入院を伴う病気にばかり目が行きがちですが、1回の医療費が安価であっても、20年、30年と長期間治療を受け続けることの多い生活習慣病のほうが、最終的には高額になるケースがあるのです」こう語るのは、新宿・立川・川崎に展開する駅ナカ診療所「ナビタスクリニック」理事長で、医師の久住英二さんだ。そこで女性の更年期特有の病気の医療費が、どのくらいになるのかを算出してみた。■更年期障害(50~59歳)閉経で女性ホルモンのバランスが乱れ、自律神経の失調に苦しむ50代の女性は多い。更年期障害の治療はホルモン補充療法がメイン。薬代(メノエイドコンビパッチ・1週間775.2円〈2枚〉)・1年=3万7,209円調剤費(薬剤1種類800円〈1カ月〉)・1年=9,600円診療費(1,400円〈1カ月〉)・1年=1万6,800円1年のトータル医療費=6万3,609円50歳から59歳までの負担額=19万820円■更年期によるうつ(50~59歳)更年期障害に起因するうつは「不安感を軽減する精神安定剤ではなく、気持ちを明るくする抗うつ剤を処方した場合で計算」。薬代(パキシル・1日78.8円)・1年=2万8,762円調剤費(薬剤1種類800円〈1カ月〉)・1年=9,600円診療費(4,700円〈1カ月〉)・1年=5万6,400円1年のトータル医療費=9万4,762円50歳から59歳までの負担額=28万4,280円「身近な病気にいくらかかるのかを知っておき、健康に留意すれば、将来的に病気や家計の不安を軽減できるはずです」(久住さん)「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月16日「医療費は、手術や入院を伴う病気にばかり目が行きがちですが、1回の医療費が安価であっても、20年、30年と長期間治療を受け続けることの多い生活習慣病のほうが、最終的には高額になるケースがあるのです」こう語るのは、新宿・立川・川崎に展開する駅ナカ診療所「ナビタスクリニック」理事長で、医師の久住英二さんだ。「とくに年金生活では、医療費は大きな負担となります。ましてや、これまで医療費が1割負担だった75歳以上の高齢者でも、’22年度からは一定所得があれば2割負担に引き上げられる見通しです。身近な病気にいくらかかるのかを知っておき、健康に留意すれば、将来的に病気や家計の不安を軽減できるはずです」そこで50代女性が罹患しやすい糖尿病の医療費が、92歳(将来的に現在の平均寿命87歳よりも5年ほど長くなることを想定)までに、どのくらい膨れ上がるのかを算出してみた。糖尿病は40歳以上の4人に1人が患者か予備軍といわれる国民病。「インスリンは血糖値を下げる働きがありますが、その能力を超える糖質を摂取して高血糖状態が続くと、血管内皮細胞が傷つき、血管が狭く、細く、血栓ができやすくなります。その結果、腎症、網膜症、神経障害を合併するリスクを高めることに」(久住さん・以下同)月に1回の診療費は、概算で再診料720円+処方箋料680円+糖尿病が適用される特定疾患療養管理加算2,250=3,650円。3カ月おきに行う血液検査は4,020円だ。「薬は、インスリンの働きを促すメトホルミン(10.1円)を1日4錠、血中の糖分を尿として排出させるSGLT2阻害薬(195円)と、血糖値の高さに応じてインスリンを分泌させるDDP-4阻害薬(127円)を、それぞれ1日1錠とします。薬局で支払う調剤費は1種類につき800円ほどなので、3種類で2,400円になります」診療費、薬代、調剤費を合わせると、年間で22万956円となる。現在は69歳までは医療費の自己負担が3割、一般的な所得であれば70~74歳は2割、75歳以上は1割だ。よって、50歳で糖尿病に罹患した場合、生涯の医療費は194万4,385円となる。だが、現在検討されている“75歳以上2割負担に引き上げ”が実施された場合、医療費は234万2,113円と、約40万円もアップしてしまうのだ。「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月16日交通事故で体にケガをした場合は、病院で支払った治療にかかった費用について事故を起こした加害者に対して請求することができます。ただ、現実に相手と話し合うとなると、どこからどこまでが治療なのかについて意見が分かれてしまい争いになることがあるため注意が必要です。そこで本記事では、交通事故のケガの治療を受ける際に利用する人が多い接骨院を例に、治療費が認められる範囲について解説したいと思います。どこまでが治療なの?治療費について事故を起こした加害者の人(基本的には加害者が契約している損保会社)に請求できるというのはイメージできると思いますが、じゃあどこまでが治療費になるのかはイメージできますか?事故によって体から出血しているようなケガについては、有無を言わさず病院に搬送されるでしょうから普通に考えて治療費となるでしょう。ところが、中には事故にあっても目に見えて出血することなく、ただ首や腰が痛い気がするといったケースはとてもよくあります。このような場合では病院に搬送されずに自力で診てくれるところを探す場合もあります。接骨院に通院するケース交通事故で首や腰に痛みを感じた場合、人によっては接骨院や整骨院、もしくはマッサージなどに通院しようと考える人がいます。普通は治療というと病院やクリニック、町医者などを思い浮かべるかと思いますが、目に見えるほどの外傷がないケガの場合、医者の世話になることを面倒くさがってあえて気楽に通える接骨院などを選択するのです。では、接骨院で支払った費用についても交通事故を起こした張本人である加害者に請求できるのでしょうか。保険会社の見解は医師に相談すること賠償金の交渉をする相手になる損保会社の考え方としては、医師による治療イコール治療費という傾向があります。要するに、医学的に根拠を持って説明ができる治療については治療として認めますが、そうではないものについては認めませんというスタンスです。接骨院や整骨院については医師がやっているのではなく、柔道整復師という資格者がやっているところで医学的な根拠を持ってやっている場合もありますが、やっていることは治療ではなくて施術なので損保会社はあまり治療として認めたがりません。実際、治療でもないのに体の中で痛い場所をでっち上げて書類を書いて、不当に健康保険を使って接骨院でマッサージ的なことをやってもらおうとする人がいるため、損保会社としてもあまり接骨院での施術まで保証したくないのです。接骨院の看板には保険対応可能などと書いてあることがよくありますが、実際に保険が適用できるかどうかは損保会社に申請しなければわからないはずなので、そう言った看板の表記を鵜呑みにして施術を受けない方がよいでしょう。弁護士に相談すれば認められる場合も接骨院で受けた施術費用が一切請求できないかというとそうではありません。接骨院の中には交通事故を専門として扱っているところもあり、実際にむちうちなどに一定の効果があるところもあるようです。ただ、損保会社は被害を受けた人が直接交渉してもなかなか首を縦に振りません。専門家である弁護士を通して接骨院での治療が必要だったと主張することで、場合によっては治療費として支払ってくれる場合があります。例えば、医師が接骨院に通うよう指示を出したような場合については、損保会社が治療費として認める傾向があります。基本は医師に診てもらうべきこのように接骨院で施術を受けた場合についても、弁護士を交えて損保会社と交渉すれば治療費として認められる可能性が残されています。ただし、あくまで可能性があるというだけで、病院で治療を受ける場合に比べればはるかにハードルは高いです。言い換えれば、わざわざそこまでして接骨院で施術を受ける意味はほとんどありません。むちうちや腰痛などが交通事故によって発生したとして、あえて接骨院に行くよりも整形外科の専門医の先生にちゃんと診察してもらった方が、治りも早いはずですし何より治療費として認められます。医師ではないところに行ってしまうとそれだけでハードルが高くなってしまうので、よほどの事情がなければ接骨院や整骨院、マッサージなどはおすすめしません。接骨院が治療費に認められないと大変昔にあった事例で、接骨院での施術は治療費として認められにくいということを知らずに数ヶ月通いつめていた人が、いざ損保会社に請求したところ反対されて全て自腹になってしまったことがあります。通常、損保会社が治療費として認めたものについては、被害を受けた人がその都度窓口で高額な治療費を支払わなくてもいいように、損保会社が直接病院に支払ってくれることもあります。ですが、接骨院を使った場合は被害を受けた人自身で一度立替え払いをした上で後から請求することになるため、立て替えた後に損保会社が請求を認めないと大変なことになるのです。交通事故で被害を受けた人の多くは、事故を引き起こした加害者とされる人に対して強い怒りを感じていることから、かなり広い範囲まで治療費として請求できる、または請求してやると意気込んでいるケースが多いように感じます。ただ実際に治療費として法的に認められる範囲は、医学的な根拠に基づくものにある程度限定されてきています。ちなみに、鍼灸院でのいわゆる針治療について質問を受けることがよくありますが、法的に認められやすいのはいわゆる西洋医学に基づく治療であって、東洋医学に基づくものについてはものによっては否定されやすい傾向があるため注意が必要です。こういった原理原則を頭に入れた上で、どこで治療を受けるのかについて冷静に考えることが大切です。接骨院に通院したくなるケガ交通事故で受けるケガの中で接骨院を使おうとする人が多いのがむちうちです。むちうちは正確にいうと医師の使う用語ではなく、正しくは頚椎の捻挫(けいついねんざ)といいます。例えば、車に乗って停車している時に前方不注意の車にもろにぶつけられたような場合、被害を受けた側の人は体をシートベルトに固定していることから、首よりも上の部分が激しくしなります。このしなりがムチのようなことからむちうちというのですが、むちうちになると次のようにいろんな症状が現れるのです。頭痛めまい吐き気首の近辺に痛みを感じる首が完全に回りきらない、横を向きにくい握力が下がる体がだるく感じるこのように症状が人それぞれのため、人によっては頚椎が捻挫しているとは気が付きにくいです。実際、交通事故が起きたすぐ後に頚椎が捻挫していると自覚していない人も多く、事故が起きて一週間以上経ってから上記のような症状を感じて病院に行ったところ、頚椎が捻挫しているとわかるというケースがよくあります。頚椎の捻挫はレントゲンを撮ってもはっきりわからないことがあるため、被害者の方がしっかりと医師に自分の症状を伝えないと医師も気が付かないので注意が必要です。[adsense_middle]治療方針が慰謝料に与える仕組みとは被害を受けた人が請求できる慰謝料は、同じケガの程度だとしても治療の方向性などによって金額が変わってきます。先ほどの頚椎の捻挫のケースで考えてみましょう。頚椎の捻挫は病院で入院したり通ったりすることに対する慰謝料の他に、事故が起きる前の状態に治癒されず後遺症が残った場合の後遺障害による慰謝料を交通事故の相手に対して請求することができます。後遺障害に対する慰謝料は等級によって金額が違い、頚椎の捻挫の場合は14級か12級に割り振られることがあるのですが、弁護士に交渉をお願いした場合で考えて14級なら110万円、12級なら290万円が慰謝料の相場となり、どちらに認定されるのかによって慰謝料が大きく違ってくるのです。もっといえば、頚椎の捻挫の多くは後遺障害に認定されないケースもあるため、認定を取れるかどうかは慰謝料の金額に大きな影響を与えます。14級と12級の違い14級と12級の差は一言で言うと客観的な証拠があるかどうかです。頚椎の捻挫は「首がいつもと違って横を向いたり、下を向いたりすると痛い」と被害を受けた人が口で言うだけでも、医者が「頚椎の捻挫の可能性がありますね」とすることもあるようですが、いわゆる自覚症状しかない場合12級は認定されません。12級の基本的なポイントとしては、被害を受けた人自身の申告にプラスして客観的な裏付けとなるレントゲンやCT、MRIなどの画像によって頚椎の捻挫であることが証明できる必要があります。接骨院では証明できない接骨院や整骨院、整体、マッサージなどに通っている場合については、たとえ頚椎の捻挫という症状があったとしても医師による診察、診断がされていないことから後遺障害として認定されないことが多いです。そもそも、柔道整復師については医師ではないので診断書を書くことができません。このような事実を後で知って慌てて整形外科を受診しても、事故からの経緯がはっきり証明できないため証拠として認めてもらえない可能性もあります。頚椎の捻挫など交通事故が発生してから時間的間隔を置いてから発症する症状については、事故との因果関係(事故があったから症状が出た)について争いとなるため、症状が出たらできるだけ早く整形外科で診察を受けて、カルテに記録をつけてもらうことが重要です。接骨院では健康保険は使えても、保険会社から治療費として認めてもらえず実費を支払わされる結果となる可能性が高いので気をつけたほうがいいでしょう。保険会社との交渉のポイントすでに接骨院でマッサージや電気療法などの施術を受けている人については、できるだけ早く整形外科を受診するとともに保険会社との示談に向けて対策を考える必要があります。[adsense_middle]治療する期間、日数についてむちうちなど接骨院に通うような痛みがある場合、保険会社からは大体3ヶ月くらいで治療費の支払いを止められることが多い傾向があります。それ以上の日数で治療を続けたい場合については、まだ治療中だという医師の見解が必ず必要になるため、整形外科を受診しなければなりません。保険会社は基本的に医師の見解しかあてにしておらず、柔道整復師や整体師、鍼灸師の見解についてははねのけてしまうことが多いので注意しましょう。画像を撮る検査をする接骨院・整骨院・鍼灸院・整体などに通っていると、施術は受けられてもレントゲン・CT・MRIなどの画像検査を受けていないため頚椎の捻挫を客観的に証明することが難しくなります。そのため、まだ整形外科を受診していない場合はすぐに受診して画像検査を受けてください。客観的な証拠がないと本人の自己申告だけになってしまい、慰謝料がとっても少なくなるかもしれないので必ず整形外科に行ってカルテに記録してもらいましょう。また、その際に交通事故との関連性について触れてもらうことも忘れないようにしましょう。医師の指示は非常に有効治療費として認めてもらうためのキーワードは医師の指示です。どこに通うにしても、医師が医学的な理由をもとに指示したことであれば大体治療費として認められますので、医師が腕のいい接骨院を教授していくのであればその流れを診断書などに記録しておくことで治療の一環として認められます。過去にも交通事故の治療として温泉治療をした人がいるようですが、この際も医師の指示があったということで治療費として認められたことがあるくらいです。繰り返しますが、接骨院は医師ではなく柔道整復師なので医師の診察、診断を受けなければ示談において不利になることは頭に入れておきましょう。交通事故における整骨院・接骨院の扱いに関するまとめ今回は交通事故における整骨院・接骨院の扱いについて解説してきました。接骨院、整骨院、整体、鍼灸院、マッサージなどは看板などに交通事故対応などの看板を掲げているケースはありますが、示談において必ずしも治療費として保証されることを意味しているわけではありません。柔道整復師、整体師、鍼灸師などについては医師の資格はないので、医学的な根拠で頚椎の捻挫などの症状を証明することができません。また画像検査についても整形外科で受診する必要がありますので、事故後は料金などは気にせずできるだけ早めに病院で精密検査をしてその上で医師の指示があった場合に接骨院に通うという流れをとるようにしましょう。
2020年01月10日赤ちゃんが欲しい……! そう願い、不妊治療の末、念願の赤ちゃんを授かったママたちの妊活成功体験談を4つご紹介します。 タイミング指導で見事、妊娠!体力がある20代に子どもを産みたかったのですが、基礎体温をつけてみても、排卵検査薬を使ってみても授かることができず婦人科を受診しました。私も夫も何の問題もありませんでしたが、卵管造影検査後のタイミング指導で妊娠に至りました。詰まりが取れて妊娠しやすくなると聞いていたときは嘘かと思いましたが、無事妊娠に至りました。病院で検査すると原因があるのか、実際に排卵しているかどうかがわかるので、行ってよかったと思っています。(コリラックマ♪さん) 不妊治療が苦になり、うつ状態に……結婚する前から生理不順などあり、夫婦で検査したところ異常はなし。でもなかなか妊娠しなかったためタイミングを3年おこないました。当時まだ不妊治療専門病院が少なかったので、注射のため会社帰りに2時間かけて毎日通院していました。帰省しても会社でも妊娠しないことについて言われ、病院でもいろいろあり、軽いうつのような症状が出て、結局何もかも途中で放り投げてしまいました。 それから10年後、近所に高額ですが評判のいい専門病院があることを知り、通院することに。高齢なこともあり顕微授精をすすめられ、治療期間は1年半、一回の治療で数十万のお金が本当に羽が生えたみたいにとんでいき……ウン百万円もかけて、何も残らないのだろうかと思うと正直怖かったです。採卵4回、5回目の移植で39歳で初妊娠、40歳で出産しました。(はなるんさん) 処女でセックスなし! でも授かりました!処女で結婚、未完成婚だった私たち夫婦は人工授精を選択しました。しかし共働きで単身赴任だったため、排卵日に合わせて毎月トライというのが困難に。そんなとき思いついたのがセルフ人工授精(シリンジ法)です。病院の先生に相談してさっそくチャレンジ。すると、2回目で妊娠。奇跡だと思いました。 セックスすらできなかった私が本当に出産できるのか、正直怖かったけれど、出産は案外スルッと終わり、振り返ってみると単身赴任で過ごしたつわりの時期が一番つらかったかもしれません。(bluetreeさん) 1人目は自然妊娠、その後異常が続々と判明……1人目は23歳のときに自然妊娠。離乳して生理が再開し、夫が7つ年上で実家の仕事をゆくゆくは継ぐこともあり、「まだ時間と体力のあるうちに次を」と考えて、基礎体温や排卵検査薬などを使いトライしましたが、なかなか授からず。 そうこうしているうちに2年が過ぎたので自力では難しいと思い、産婦人科を受診。いろいろ検査した結果、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣が判明。その他、卵管造影検査をしてみると両卵管狭窄、と次々と異常が! 自覚症状がなかったのでここまでだとは……。自力じゃとても妊娠なんて無理な状態でした。 その後、ホルモンを整えるお薬と卵管を通す処置、基礎体温と毎月の卵巣の超音波検査、フーナーテスト、タイミング指示で1年程経過したころ、無事2人目を授かることができました。 高校生のころから母乳のような分泌物が出たり(乳腺科で診てもらいましたが血液検査などなく、体質と言われ、治療もなし)、最初の妊娠で初期流産を経験していたので、もしかしたらホルモン値異常など、もともと要因があったのかもしれません。3人目が欲しくて、今回も生理不順でまた治療に行かないといけないかなぁ~と思っていたところ、自然妊娠し、今は3人目妊娠中です。(cowboyママさん) 不妊治療の末、待望の赤ちゃんを授かったママたちの声をまとめてご紹介しました。少しでもベビ待ちさんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 【関連記事】・妊娠検査薬はいつから使える?どれがいい?妊娠検査薬のすべてを徹底解説!
2020年01月02日