先日、夫婦で六本木のフランス料理店に行った。こう書くと、僕らが普段からお洒落でブルジョワジー(古い表現)な生活をしていると思われるかもしれないが、実際は今回が初めてである。僕らには今まで六本木でデートをした記憶すらほとんどなく、外食するときはいつも家の近所の安い居酒屋だった。しかし先日は、妻のチーにとって29回目の誕生日だったため、たまには慣れない試みをしてみようと、フレンチを選択したのだ。結論から書くと、たまにはああいう外食も悪くないと思った。いかにも清原和博あたりが遊んでいそうな夜の六本木の街を夫婦二人で歩くのは新鮮だったし、いかにもダブル浅野(これも古い)や石田純一がワインを飲んでいそうな六本木のフレンチ店の雰囲気も洗練されていて、文句のつけどころがない。店員の接客サービスも心地良く、コース料理やワインは確かに美味しかった。あれなら、ダブル浅野もお気に召したことだろう。チーも喜んでくれたと思う。そもそも六本木のフレンチを選んだのは、彼女の「たまには、いかにも”東京”って感じの、ベタな都会的デートがしてみたい」という言葉がきっかけであり、そのリクエストに僕が応えたというわけだ。チーは田舎者なのである。しかし、ひとつだけ心に引っかかることがあった。これは何もフレンチだけに限った話ではなく、すべての”お上品系コース料理”に言えることなのだが、なぜにあんなに量が少ないのか。コース料理が全部で5品あるとして、それぞれの皿に盛りつけられている料理は、往々にして微量である。皿の大きさが、実にもったいない。本気を出せば、まるでわんこそばのように、皿を出された瞬間にすべて食べ終える自信がある。特に件のフレンチコースの最後に出てきたリゾットに至っては、それが運ばれてきたとき、思わず目を丸くした。スプーンで二回すくえば終わり、という量だったのだ。ダブル浅野も石田純一も、本気であの量に満足しているのだろうか。ダブル浅野はまだ女性だからいいものの、男性の石田純一は内心物足りないに違いない。清原和博なんて見るからに大食漢なわけだから、フレンチのコースなんてオヤツ感覚なのではないか。それとも彼らは「フレンチのコース、ごはん大盛りで」などと注文しているのか。とはいえ、そういう不満をなかなか表に出せないのが、フレンチ店独特の雰囲気というものだ。ああいう高級感漂う店というのは、どういうわけか僕のような小心者をいとも簡単に背伸びさせてしまう、得体の知れないプレッシャーを秘めている。だから先日も、僕はつい見栄を張って、にわか少食男子を装った。本当は出された料理をガツガツ食べたいのだが、あえてペースを落とし、ゆっくり噛み締めるように味わったのだ。「コース料理って、最初は量が少ないって思いがちだけど、時間をかけてゆっくり食べるから、案外お腹が膨れたりするもんなんだよねえ」。そんな月並みな見解ぐらい、今まで何度も聞いたことがあるが、僕はまったくそう思わない。早く食べようが、ゆっくり食べようが、量が少ないものは少ない。食べるペースを落としたぐらいで簡単に腹が満たされるほど、僕の満腹中枢は馬鹿ではない。大体どうしてコース料理のときは、わざわざ空腹を我慢してまで、ゆっくり食べなければならないのだ。人間の食べるペースとは、本来その人の自由に委ねられるべきだ。これははっきり言って、やせ我慢だと思う。「お洒落は我慢だ」という言葉があるが、世の上品系男子はみんな空腹を堪えながら、必死で少食ぶっているに違いない。石田純一もきっとそうだ。トレンディとは、すなわち我慢だ。あくまで冗談です。念のため。ちなみに、フランス人が日本のフランス料理店を訪れると、みんな量の少なさに驚くという。少量をゆっくり楽しむという食事マナーは、どうやら日本独自のものらしく、そこには日本人特有の摂生を美徳とする風潮が深く関係していると思われる。日本人には「たくさん食べること=美しくない」という無意識の理念が流れているのだろう。結局、その夜の僕は腹八分目どころか、腹五分目ぐらいで六本木のフレンチ店をあとにした。絶品の料理と最高のサービスを提供してくれた店側に文句を言うつもりは毛頭ないが、つくづく自分はお洒落男子に向いていないとは思う。我慢できないのだ。だから帰り道の途中、僕はなんとなく呟いた。「あー、ラーメン食べたい」。時刻はすでに午後11時を回っており、世のお洒落男子なら太ることを気にして、絶対にラーメンなど食べない時間帯である。しかも、今夜はチーの誕生日なのだ。女性にしてみれば夜のラーメンはますます大敵に違いなく、僕と同じ感覚を共有できるわけがない。しかし、意外にもチーの反応は良好だった。「いいねえ、ラーメン。わたしも食べたい。量少なかったから」。僕は思わず嬉しくなった。こういう微妙な感覚を瞬時に共有できるということは、一生を共にする夫婦にとって非常に大切なことだと思う。もちろん最低限のダイエットは必要だが、それも程度問題だろう。窮屈すぎない程度にタガを外すことも重要だ。かくして僕らは、家の近所のラーメン屋に迷わず駆け込んだのであった。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年02月24日野球評論家の清原和博氏が5月19日(水)、都内スタジオで、PRを務める映画『ザ・ウォーカー』のTVスポットCM収録と“宣伝番長”就任会見に臨んだ。世界の行く末を左右する本を守りながら30年間、旅を続ける謎の男、ウォーカー(デンゼル・ワシントン)の戦いを描く近未来アクション。主人公の生きざまに、「どこで終わるか見えないゴールに向かい、使命感を持って戦い続ける。僕も最初は夢で途中からウォーカーと同じ使命感で、最後はバットをどこに置くか、同じような心境だった。約30年の自分の野球人生に重なるところが多い」とビリビリしびれた様子。劇中、ウォーカーは独裁者と壮絶な戦いを繰り広げるが、「名前は言えないけど僕も独裁者のような監督と出会いました。参院選でしたっけ?まあ、ここ流してくれていいけど。感じ悪い人で僕も戦いましたね」と今年7月の参院選に自民党の比例代表候補として立候補することを表明した巨人前監督の堀内恒夫氏を猛“口撃”した。同CM収録では、ウォーカーと似たコートを羽織って剣を振り上げて「男なら観ろや」などのPR台詞をキメて、自己採点は「100点」と笑顔。俳優業進出の意気込みを聞かれ、「考えたことがないですね」とあっさりしていたが、監督は?の問いに「野球選手だったのでそういう夢は持ってます。12球団ですから12人しか選ばれない。勉強しないといけないのでこれからも修業を続けたい」と熱い眼差し。どこの監督に?と突っ込まれると、「どこでしょうねぇ」と頬を緩めた。映画のPRにひと役買うのは初めて。テレビ局各局のレポーターのマイクと音声を拾うガンマイク約20本を向けられての囲み取材に、「いまの状態に一番戸惑っています。野球選手、こういうのないんで。あんまり得意じゃないなぁ。これ、怖いですよね。CM撮影より緊張する」と意外な弱みを見せ、取材陣の笑いを誘うひと幕も。一方、プロ野球・阪神の金本知憲選手が右肩故障を理由にスタメン落ちを自ら申し出てから、ちょうど1か月ぶりの18日にスタメン復帰したことを、祝福。「現在、世界を変える人は、金本選手。1試合出られることには、20歳の選手が1年分出るくらいの価値がある。勇気づけられます」と敬意を表した。同CMは6月5日(土)からオンエア予定。『ザ・ウォーカー』は6月19日(土)より丸の内ピカデリーほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:ザ・ウォーカー 2010年6月19日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2009 ALCON FILM FUND, LLC■関連記事:「これはD・ワシントン版『ゴルゴ13』」 デンゼルとゴルゴ13のツーショット実現?『ザ・ウォーカー』D・ワシントンインタビュー映像到着!27キロ減の肉体に注目実写版『AKIRA』監督有力候補の兄弟が最新作取材で「AKIRA」への思いに言及!デンゼル&G・オールドマン新作プレミアに揃い踏み!16分連続アクションに自信
2010年05月19日アーノルド・シュワルツェネッガーを主演に、世界中で大ヒットを記録した『ターミネーター』シリーズ。その最新作にして、これまで描かれることのなかった“審判の日”以降の未来における機械軍“スカイネット”と人間との戦いを描いた『ターミネーター4』がまもなく公開を迎える。これに先立ちスタッフおよびキャスト陣が来日!6月4日(木)にジャパン・プレミアイベントが開催され、主演のクリスチャン・ベイルを始め、ブライス・ダラス・ハワード、アントン・イェルチン、ムーン・ブラッドグッド、そしてメガホンを握ったマックGが来場した。レッドカーペットにキャスト陣が姿を現すと、会場は興奮に包まれた。主人公のジョン・コナーを演じたクリスチャンは日本語で「みなさん、こんばんは!今日は来てくれてありがとう」とファンに呼びかけ大歓声を浴びた。その妻・ケイト役のブライスは、本作に参加する直前に子供を授かったことに触れ、「お腹の中に8か月の生命を宿っているということで、自分と夫、そして人類の未来を意識して演じました」と感慨深げに語った。未来から、シリーズ第一作で描かれた過去の世界に送られ、やがてジョンの父親となるべき運命を持っているカイルの若き日の姿を演じたアントン。「『ターミネーター』シリーズのファンだったからとても嬉しかったよ。素晴らしい経験でした」とふり返った。屈強な女戦士・ブレアに扮したムーンは、自身とブレアの共通点について尋ねられ「私も強い女性でありたいとは思っているけど、ブレアの方が強いわね」と笑顔で語った。そして、登壇者の中で最もハイテンションだったのが監督のマックG。「コンニチハ、ハジメマシテ!」と興奮気味に挨拶し「僕は日本の文化や映画を観て育ちました。この作品に詰まっている日本のハート、スピリットを感じてください!」と大声で呼びかけた。この日は、スペシャルゲストとして“球界のターミネーター”元プロ野球選手の清原和博が登場。清原さんは「激しいアクションと共に主人公の生きざまが魅力的でした」と映画を絶賛。さらに「何度も打ちのめされるところは自分と似てますね」と共感を口にした。これに対し、クリスチャンは「ジョンは自らの運命――人類を救うという重い責務を背負って戦い続ける男です。スポーツと映画、どちらも観る者を興奮させるというところはよく似てますね」と応じ、清原さんは笑顔で、ターミネーターの決めゼリフ「I’ll be back!」と叫んでプレミアイベントは幕を閉じた。『ターミネーター4』は6月13日(土)より丸の内ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:ターミネーター4 2009年6月6日、7日先行公開、6月13日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2008 SONY PICTURES DIGITAL INC. ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:『ターミネーター4』始動!クリスチャン・ベイルが妻と娘とプロモ・ツアーに出発クリスチャン・ベイルら登場!『ターミネーター4』ジャパン・プレミアに50組100名様をご招待約束通り…シュワちゃん『ターミネーター4』出演!クリスチャン・ベイル来日も決定謎めいた言葉の意味は?『ターミネーター4』ポスター解禁ノベライズ版も先行発売【ハリウッドより愛をこめて】『トランスフォーマー』第3弾の公開日が早くも決定!?
2009年06月07日