ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(所在地:東京都新宿区、所長:大井 静雄、以下:IBS)では、グローバル化社会における幼児期からの英語教育の有効性や重要性に関する情報を、IBSのホームページ上で定期的に発信しています。今回は、「demotivation(学習意欲の減退)」という分野で日本を代表する研究者、菊地 恵太教授(神奈川大学)にお話を伺いました。菊地教授<インタビュー記事のまとめ>●モチベーションが下がる外的要因は、教師に関する要因、授業の内容や特質、授業環境や教材など。内的要因は、学習者の失敗経験、学習者の英語に対する興味の欠如など。さまざまな要因が絡み合って学習意欲の減退につながる。●それぞれのdemotivator(学習意欲を減退させる要因)にどれくらい敏感に反応するかは、学習者によって異なる。また、学習者は変化していく。一人の学習者や一時点の状態を見て決めつけないように注意しなければならない。●生徒の「自律性・有能感・関係性」という三つの欲求をバランス良く満たすカリキュラム構築や授業実践は、生徒のモチベーション低下について教師ができることの一つ。また、ポジティブ感情を育てて幸福感を得られるものの幅を広げることは、英語学習のモチベーションにつながる可能性がある。■モチベーションが下がるのはなぜ?「やる気がない」「原因はこれ」と決めつけないように注意「がんばりたいと思っていたのに、いまは当時ほどやる気がない」。そんなふうに英語学習のモチベーションが下がってしまったとき、どのような要因が関係しているのでしょうか。菊地教授の研究では、外的要因(教師に関する要因、授業の内容や特質、授業環境や教材など)や内的要因(学習者の失敗経験、学習者の英語に対する興味の欠如など)が明らかになり、さまざまな要因が絡み合ってモチベーションの減退に影響することがわかりました。「それぞれの要因の重要さは、目の前にいる一人ひとりの学習者の反応を見ながら考えていくことでもあります」と話す菊地教授。demotivator(学習意欲を減退させる要因)があったとしても、それに敏感に反応してやる気が低くなる生徒もいれば、やる気に影響しない生徒もいるからです。さらに、学習者が変化することも明らかになり、「この子はやる気がない」とラベル付けをして「学習者の特定化」をしないよう気をつけなければならない、とのこと。「研究を重ねていくうちに、『この生徒はいまはやる気が低くなっているけれど、今後はどうなるのかな』という観点を持たなければならないと思うようになりました」と話します。■モチベーションが下がらないように教師ができることはある?菊地教授によると、学生たちの「自律性」や「有能感」、「関係性」という欲求(※)をバランス良く満たせるよう考えながらカリキュラムを構築したり、授業を実践したりすることは一つの方法です。「先生に名前を覚えてほしい」、「全員の名前を覚えてくれる先生はすごく記憶に残る」という「関係性」の欲求を満たすことでモチベーションが低下しない、という大学生の意見を聞き、「なるほどと思いました」と話す菊地教授。「私の場合は、褒めるというよりも『気にかけている』ということを伝えるようにしています。また、『今日はここが良かった』と具体性を持ったフィードバックを与えることも心がけています」と話します。また近年は、ポジティブ心理学を活用した授業も実践。「アルバイトに力を注いでいる学生のように、お金を稼ぐことで幸福感を得ている人に対して「英語を学びなさい」と言っても、英語学習のモチベーションは上がらないですよね。いろいろなことに対して幸福感が増えて、幸福感を得られるものの中に英語学習が入っていればいいわけなんです。ですから、『学習意欲が減退しないようにする』ということよりも、『学習者のポジティブ感情をどう増やすか』ということを考えています」とのこと。授業の実践例もご紹介いただきました。(※)自律性は、自分の学習に関することは自分で決めたいという欲求。有能感は、学習で求められる目標を達成できることへの欲求。関係性は、自分の学習に対する環境に関わる人(教師やクラスメートなど)と良い関係でいたいという欲求(Ryan & Deci, 2000)。取材後記:英語学習そのものではなく「幸福感」にアプローチ日本では、英語を学ぶ最大のモチベーションが高校や大学の入学試験になっている人が多いでしょう。そのため、比較的英語力が高い学生が集まる大学や学部であっても、入学後にモチベーションが下がり、英語学習のやる気が下がっていく学生がいるようです。菊地教授の研究成果やお話からは、日本の大学生たちの本音が垣間見え、いかに日本で英語学習のモチベーションを維持することが難しいか、いかに教師が生徒のモチベーションをコントロールすることが難しいかがわかります。ポジティブ心理学を取り入れた菊地教授の考え方は、多くの英語学習者や教師・親にとって新鮮なのではないでしょうか。どんなに忙しくても、自分がポジティブな気持ちになれることや幸せを感じられることに気づいたり自分で見つけたりしてやろうとする。そういう人が英語を学んでいるときにも幸福感を感じられるのであれば、英語学習のモチベーションにつながる。「英語学習」だけではなく、日常生活に目を向けてみると、そこにモチベーションを維持するヒントがあるのかもしれません。(取材:IBS研究員 佐藤 有里)【菊地 恵太教授Profile】神奈川大学 国際日本学部 国際文化交流学科 菊地 恵太教授専門は、英語教育、教育心理学(特に英語学習者の個人差)。主に、日本の学習者を対象とした英語教育の方法について研究。現在は、英語学習者へのアンケート調査やインタビューをもとに、学習者のモチベーションを中心に研究しながら、教員が学習者の心理をどのように理解し、教室内でどのようにふるまうべきか、また、カリキュラムをどのように構築するべきか、といったテーマに取り組んでいる。ハワイ大学マノア校にてM.A. [修士] in ESL [第二言語としての英語]、テンプル大学にてEd.D. [博士(教育)], Curriculum, Instruction, and Technology in Education with Specialization in TESOL [TESOLを専門とした教育におけるカリキュラム、指導、テクノロジー] 取得。早稲田大学 国際教養学部 客員講師(専任扱い)、東海大学 外国語教育センター 専任講師・准教授、神奈川大学 外国語学部 准教授・教授を経て、2023年度より現職。※詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記の記事をご覧ください。前編: 後編: 【ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(IBS)について】所長 : 大井 静雄脳神経外科医・発達脳科学研究者ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所(INI)小児脳神経外科名誉教授・医学博士所在地 : 〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-15-7パシフィックマークス新宿パークサイド1階設立 : 2016年10月事業内容 : バイリンガリズムや英語教育に関する調査及び研究ホームページ : 公式X(旧Twitter): 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年02月22日イッツ・コミュニケーションズ株式会社(本社:東京都世田谷区 代表取締役社長:嶋田創 以下、イッツコム)は、神奈川大学宇宙ロケット部のロケット打ち上げ(10月中旬予定)を応援しています。打ち上げに先立ち、イッツコムでは、10月1日から、打ち上げを応援する『イッツコムひかり 爆速応援キャンペーン』を実施いたします。 (10月1日公開)高速インターネットサービスやモバイルなど、イッツコムは「速さ」「先進性」「無限の可能性」のあるサービスをご提供しています。神奈川大学宇宙ロケット部の活動が「速さ」「先進性」「無限の可能性」という点で共通していることから、イッツコムは今回の打ち上げを応援することとなり、クラウドファンディングで支援しています。更に、イッツコムは、本キャンペーンのリツイート数×10円分相当を打ち上げ活動のための支援に充てさせていただきます。神奈川大学宇宙ロケット部は、昨年、ハイブリッドロケット*で高度約10.1kmに到達し日本記録を更新しています。今回の打ち上げでは、更なる記録を目指します。■ キャンペーン概要《 キャンペーン名称 》 イッツコムひかり 爆速応援キャンペーン《 実施期間 》[第1弾] 10月1日(土)~10月9日(日)[第2弾] 10月10日(月)~10月16日(日)[第3弾] 10月17日(月)~10月23日(日)※第2弾、第3弾については随時公表いたします。専用サイトをご確認ください。キャンペーン専用サイト: (10月1日公開)《 実施内容 》[第1弾]イッツコム公式Twitterをフォローし、当キャンペーンツイートをリツイートすると、リツイート数×10円分相当を打ち上げ活動のための支援に充てさせていただきます。更に、リツイートされた方の中から抽選で宇宙関連グッズほか豪華賞品をプレゼント!リツイート後、その場で届くDMで当選結果が分かります。宇宙関連グッズ 『月の土地(証明書)』 など豪華賞品をプレゼント【イッツコムひかり】光ファイバー回線(FTTH)を利用して、テレビ・インターネット・電話・IoTなどを提供するイッツコムのサービス。下り最大通信速度2Gbpsの高速・大容量インターネットサービスやBS4K・8Kも提供。【神奈川大学 宇宙ロケット部】ハイブリッドロケットの設計・開発を目的とし、同大学工学部航空宇宙構造研究室と合同で活動を行うサークル。数年以内に高度100km到達を目指している。昨年の打ち上げの様子 [写真提供:神奈川大学宇宙ロケット部]*ハイブリッドロケットとは従来のロケット方式とは異なり、固体燃料と液体酸化剤を使用。ロケットが破損しても爆発の危険性がなく、開発が低コストで行えるため、超小型衛星などの打ち上げ手段として期待されている。なお、打ち上げロケットの先端部分の中に、イッツコムのキャラクター「コムゾー」(アクリルパネル製・全長6.5cm)も同乗させていただくことになりました。神奈川大学宇宙ロケット部のみなさんの手作り「コムゾー」がロケットに同乗! [写真提供:神奈川大学宇宙ロケット部]キャンペーン専用サイト: (10月1日公開)神奈川大学宇宙ロケット部HP: __________________________________________■イッツ・コミュニケーションズ株式会社について代表者: 代表取締役社長 嶋田 創所在地: 東京都世田谷区用賀4-10-1 世田谷ビジネススクエアタワー22F株主: 東急株式会社会社設立: 1983年3月2日 / 開局: 1987年10月2日資本金: 52億9千4百万円接続世帯数: 約98万世帯(2022年8月末現在)事業内容: 放送法による一般放送事業(有線テレビジョン放送事業)、電気通信事業法による電気通信事業 ほかサービスサイト : コーポレートサイト : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月30日2020年度の高校サッカー選手権大会で山梨学院高校を日本一に導き、前任の神奈川大学では日本代表のMF伊東純也選手(KRCヘンク)らを飛躍に導いたのが、長谷川大さんです。指導者としてのキャリアをスタートさせた秋田商業高校での監督時代は、「社会よりも厳しい状況をあえて作り出し、社会に出た時に厳しいと思わせないようにしたいと考えていました」と振り返りますが、以降は自主性を育むため、選手が考え、判断する指導を重視するようになりました。今回は指導者としての転機となった神奈川大での指導についてお聞きしました。(取材・文:森田将義写真提供:長谷川大監督)2020年の高校サッカー選手権で優勝した山梨学院高校サッカー部でも選手たちとの対話を大事にしていた<<前編:元山梨学院サッカー部・長谷川大監督が育成年代で大事にする「再現性」を生む指導とは■環境が変わったタイミングは、自分を変えるチャンス母校でもある秋田商からの転勤を言い渡されたのを機に、新たなチャレンジを決めた長谷川さん。声を掛けてくれたのは、関東2部リーグに所属していた神奈川大でした。「当時は秋田商業で選手、監督、先生をやっているから長谷川大があると思われていた。秋田商業では上手く行っていても、他に行ったら同じ指導は出来ないと思われていたと思います。ですから、自分が他のチームに行った際も、そこにある文化に応じて自分はこういう事もできるんだと示したかった。大学に行くからには、真に新しいチャレンジをしたかったんです」。そのため「俺はずっとこうやって指導してきた」、「俺の考えはこうだから、生徒もこうしろ」といった上から目線での押し付けた指導ではなく、選手一人ひとりがどんな背景を持って、大学に進んだのか、どんな想いを持って今ここにいるのかを知る所からスタートしました。同じ環境に身を置いていると何かを変えるには勇気がいりますが、環境が変わったタイミングは何かを変えるチャンス。長谷川さんを新監督に迎えた神奈川大の選手にとっても、立場や見られ方を大きく変えるチャンスでもありました。神奈川大に就任した当初は、周囲から「厳しい人が来るぞ」と伝えられていたため、緊張する選手も多かったのですが、時間が経って打ち解けていくと「大さんは怖い人じゃなかったですね」と笑顔で言われるまで距離が近付いていきました。就任した2014年は、現在はV・ファーレン長崎に所属するMF奥田晃也選手が2年生でした。長谷川さんが「今まで見てきた中で、サッカーセンスはトップクラス」と評する程の素質がありながら、自らが理想とするプレー像に拘り過ぎ、スタッフからは「アイツは一生懸命やらないから、ダメ。使えない」と評価されていました。認められるような評価を受けられないと感じていた奥田選手は、3年生になるタイミングで「このまま続けても仕方ないので、サッカー部を辞めます」と長谷川さんに伝えてきたそうです。奥田選手に、チャンスは誰にでもあるというのをもう一度分かって欲しかった長谷川さんはコーチと話して、「もう1回、チャンスを与えても良いかな?」と思えるように促しました。奥田選手ともサッカーだけでなく、プレー以外の事までたくさん話し、持っている可能性に気付かせ、ピッチで強みとして発揮できるよう導きました。最終的にはチームの中心選手へと変貌し、プロ入りを掴むまでになりました。■エネルギーの方向を変えるのが、指導者の役割奥田選手のようなケースは、どのカテゴリーでも珍しくありません。その理由について、長谷川さんはこう話します。「サッカーで力を発揮できない選手は、指導者に『お前は、もういいよ』と言われて、『それなら僕も、もう良いですよ』と拗ねているのがほとんど。ちゃんとプレーした上で、ダメだったと受け入れられる心理状態ではない。活躍している選手と同じ土俵で見られていると感じられないのです」。奥田選手に、チャンスは誰にでもあるというのをもう一度分かって欲しかった長谷川さんはコーチと話して、「もう1回、チャンスを与えても良いかな?」と思えるように促しました。奥田選手ともサッカーだけでなく、プレー以外の事までたくさん話し、持っている強みをピッチで発揮できるよう導きました。最終的にはチームの中心選手へと変貌し、プロ入りを掴むまでになりました。ヤンチャと言われる選手、手がかかる選手に対する対応も同じです。押さえつけたり、除外するのは簡単かもしれませんが、長谷川さんはこう話します。「教育的な立場に関わっている人間は、まずは一人ひとりの個性や強みを認めてあげる事。エレルギーの強い子に対して、『アイツは言う事を聞かない』、『アイツはダメだな』と思ったら、ずっと印象が変わらないままの指導者も多いけど、僕はそうした子どもの方が、きっかけ一つで社会に貢献できる人間になれる気がします。何かを成し得る人は、周りが感じるくらいの大きなエネルギーを持っている。そのエネルギーを押さえつけて消すのではなく、『エネルギーを違う方向に出してみたらどうだろう?』と思わせるのが、教育現場や育成年代の指導者に必要だと思います」。こうして個に応じた対話を重ねるようになったのは、大学生を教えるようになってからの長谷川さんの変化です。■選手自らが考えるのは、一番厳しい選手一人ひとりを見て強みを認め、伸ばす指導をモットーにしている長谷川監督声掛けの内容も意識するようになったと言います。以前は思い通りにプレーできない選手を見ると「お前は難しいな、ダメだ」と厳しい言葉をかけていましたが、そうした言葉をかけると選手は聞く耳を持たなくなってしまうためです。「育成年代で『お前は、もういいよ』と言われている選手は、強みよりも弱みをフォーカスされているから。守備ができない、走れない、戦えない、言う事を聞かないとか。でも、その選手が持っている人としての強みをまず認めて、強みを伸ばすために努力していくように導くのが大切なんです」まずは選手がピッチで長所を発揮できた際に「ナイスプレー」と声をかける事で、長所が強みとなれるよう更に磨いていこうと指導しました。しばらく選手を観察した上で、「ここも良くした方が更に良いんじゃない?」、「ここが解消されたら、お前の強みがもっと伸びる」といったアプローチをして、選手に自身の強みと弱みを理解させ、考えさせました。画一的だった秋田商業時代とは比べると選手へのアプローチは優しくなりましたが、選手が誰かを傷つけたり、迷惑をかけたりした際は厳しく接する事も忘れていません。「厳しい指導と選手の主体性を育む指導は、両極端にあると考えがちですが、どちらかではなく両方が大事」と話す長谷川さんは、「自分で考えることが、選手にとって一番厳しいと思う」と続けます。高校、大学と違うカテゴリーを経験したからこそたどり着いた長谷川さんの考えや指導法は、サカイクの読者であるジュニア年代の指導者や親御さんにも役立つヒントがあるのではないでしょうか。
2022年04月11日2020年度の高校サッカー選手権大会で2度目の日本一に輝いたのが、山梨学院高校です。立役者となったのは、監督として指揮を執った長谷川大さん。イヤホンを耳にし、ベンチから指示を送る姿が覚えている人も多いのではないでしょうか。優勝の原動力となった的確な試合分析に加え、選手育成にも定評があり、前任の神奈川大学監督時代には日本代表のMF伊東純也選手(ベルギー・KRCヘンク)を指導しています。昨年度限りで山梨学院高の監督を退任し、この春からはS級ライセンスの取得を目指す長谷川さんに育成年代での指導に関する考え方をお聞きしました。(取材・文:森田将義写真提供:長谷川大監督)選手たちに支持を与える長谷川監督。選手たちとは対話を大事にしていたという■再現性を生むためには、自分で答えを見つけようとする姿勢が大事「純也はこうしなさい、ああしないさないと強制的に指導されてきたら、たぶんサッカーをやめていたと思います。ずっとノビノビ自由にやってきたから、今がある」。伊東選手について評する通り、長谷川さんも神奈川大時代は選手の自主性を大切にする指導を行ってきました。選手に具体的なアドバイスを送るのは選手が壁にぶつかった時のみ。基本的には選手自らが考え、判断するよう促してきました。象徴的なのは、伊東選手が4年生だった頃のエピソードです。シュートが入らなくなったため、ドリブルスピードを落とし、顔を上げる事でシュートの質を上げようとしていた伊東選手に対し、「外しても良いよ。だったら、今まで5本打っていたのを8本打ってみろ。そうすれば1本ぐらい多く入るかもしれない。君はシュートを増やして、点をとるタイプだ」とアドバイス。その結果、再び大学サッカーで活躍し始め、その後の飛躍へと繋がりました。スランプに陥る前にアドバイスするのも一つの手ですが、長谷川さんの考え方は違います。「指導者が正解を教えてしまうと再現性が生まれません。一番大切なのは、自分で答えを見つけようとする姿勢を育む事。幼少期にやっていた「かくれんぼ」を思い出しても、誰かに居場所を教えて見つけるより、自分で工夫して見つけた時の方が喜びは大きい。成功体験を1度味わうと、子どもは同じ方法を再現しようとする。成功した時にちゃんと誉めてあげるぐらい、指導者がちゃんと見てあげていれば、また同じ事をやってみようとなる。成功しなくなった時には、また新しい事が必要だとヒントを与えてあげれば良い」。■指導者を始めたばかりの頃はゲームのスイッチボタンを押しているだけだった2019年度に移った山梨学院高でも大学生に接するのと同じスタンスで指導を行っていましたが、現役時代を過ごし、指導者としてのキャリアを始めた秋田商業高校時代は今とは全く違う指導法だったと言います。商業高校はその名の通り、接客業を始めとしたビジネスに必要な知識やマナーを身に付ける高校です。「商業は人作り。お客さんは神様という発想で耐性と言いますか、お客さんに理不尽な事を言われても、我慢する力を身に付けるのが商業高校の強みと教わっていた。だから、先生の言う事は絶対だし、周りから言われる事も絶対に守らなければいけない」(長谷川さん)。そうした考えは、サッカー部の指導でも変わりません。今でこそ伝統だった坊主頭を廃止し、髪を伸ばし始めるなど時代に合った指導が行われていますが、長谷川さんが監督だった時代は「社会よりも厳しい状況をあえて作り出し、社会に出た時に厳しいと思わせないようにしたいと考えていました」。また、コーチから監督になったのは30歳になる直前で選手の育成以上に、どうすれば勝てるのかを主に模索していました。「今にして思うと、若い頃はゲームのスイッチボタンを押しているだけだった。指導者がボタンを押せば、言われた所にボールを蹴って、諦めずに走りなさいというだけだった。選手には誰でも良いと言っているのと等しいくらい同じことを求めていました。そうしたマインドの指導者は、『アイツは使えない』なんて言葉が自然に出てくる。使えないというのは、自分が思っている通りに動かないから。『アイツは使える』というのは良い選手ではなく、自分が意図したプレーをひたすらやってくれるから」。■教育としてサッカーを教えるなら、自分で考える土壌を作らなければいけない2020年の高校サッカー選手権では山梨学院高校を率いて優勝を手にした長谷川監督(写真右)当時の厳しい指導は、高校を出て就職する選手も多いチームならではで、社会に出る選手の将来を思ってのもの。今とは時代背景も違うため、長谷川さんの指導は決して間違っていたとは言えません。ですが、母校を離れて指導者として様々なキャリアを積むうちに考え方に変化が生まれました。「使える選手を育てるのは、仕事として監督に使われるプロになってからでも良い。教育としてサッカーを教える際は、自分で考える土壌を作らないといけない。自分で考えられる選手が、ロジック(論理)をしっかり理解した上で、自ら進んで行動するのが凄く大切。指導者に言われて理由なくやるのとは全く意味合いが違います」。考え方に大きな変化が生まれたのは、2014年に神奈川大の監督となり、これまでの高校生から大学生を指導するようになってからです。以前は高校の部活動でよく見られる一糸乱れぬような挨拶や行動が何よりも素晴らしいと考えていましたが、大学に行くとそれぞれのスタイルで行う挨拶や、個々の責任ある行動力を目の当たりにしました。高校とは違い、全員が揃ってきちんと挨拶するわけではありませんが、より自主性が求められる中でも、礼儀が大事と考え、敬意を示すためにとっている大人としての行動です。「彼らの立ち居振る舞いをとても素晴らしいと思ったんです。高校の集団的指導が素晴らしいと考える文化しか知らなかったけど、大学生はよく考えて、自分たちにとって今必要なことをやっている。今までの指導とは両極端かもしれませんが、どちらも大事だと気付いた時に、一番大切なのは真ん中だと思いました。組織として団結した行動もできるし、それぞれが考えて行動もできる。大学生への指導で出た答えが、『その場に応じた確かな行動力とその説明責任を果たせる逞しい人作り』でした」。選手に対する考え方が変わった長谷川さんが、神奈川大でどんな指導を行っていたかは具体例を交えながら、後編で紹介します。
2022年04月07日製造系人材サービス事業を提供する日総工産株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:清水 竜一)は、第98回箱根駅伝に出場する学校法人神奈川大学(神奈川県横浜市、理事長:兼子 良夫)とスポンサー契約を締結いたします。神奈川大学と日総工産■背景と意義創業50周年を迎えた日総工産は、「人を育て 人を活かす」の創業理念に基づき全国に8カ所の教育訓練施設を有しております。その施設で人材教育を実施し、日本の製造業を支えるサービスを展開しており、社会変化や産業構造変化への対応の為に、多様なコミュニティとの共生に向けた活動を実施しております。神奈川大学は「質実剛健」「積極進取」「中正堅実」の建学の精神のもと、アスレティックデパートメントを中心に大学スポーツの発展に積極的に取組んでおり、重点強化部の学生たちは、まさに「文武両道」であるため、学業とスポーツに研鑚する学生生活を過ごしております。日総工産は神奈川大学の教育理念に賛同し、同じ地元である神奈川横浜を共に盛り上げ、「スポーツを通じて人材を育てる」ことを目的に陸上競技部駅伝チームの学生の夢をサポートする事といたしました。2022年1月2日~3日に実施される東京箱根間往復大学駅伝競走で地元神奈川県民の声援に後押しされ、夢の箱根路に挑む学生の姿を、神奈川を中心とした全国の日総工産の社員も声援を送ります。尚、2021年12月12日(日)13時より神奈川大学内にて陸上競技部駅伝チームと共同会見をオンラインにて開催いたします。詳細につきましては、神奈川大学広報部までお問い合わせください。会社イメージ■会社概要会社名 : 日総工産株式会社(ニッソウコウサン)所在地 : 神奈川県横浜市港北区新横浜 1-4-1代表者 : 清水 竜一事業内容: 製造系人材サービス / 求人サイト「工場求人ナビ」を運営創業 : 1971年2月 2021年に創業50周年を迎えたURL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年12月01日オーダーメイドの旅を提供するトラベル・コンシェルジュ・カンパニー、株式会社旅工房(東京都豊島区、代表取締役会長兼社長:高山泰仁)は、神奈川大学(横浜市神奈川区、学長:兼子良夫)とユナイテッド航空(本社:シカゴ、最高経営責任者:スコット・カービー)と協力し、神奈川大学の学生に向け、PBL型(課題解決型)とフィールドワーク型(空港内視察)の2つを経験する課外研修プログラムを11月4日より開始いたします。■神奈川大学×旅工房×ユナイテッド航空産学連携プログラム開催の背景旅工房は2021年4月に新設された神奈川大学のみなとみらいキャンパス内の観光ラウンジの運営を学校法人神奈川大学が設立した事業会社である株式会社KUパートナーズの下に受託し、キャンパス内に横浜みなとみらい支店を設置して、旅行会社としての専門性を生かし、神奈川大学と共に教育研究活動・国際交流・地域交流の充実、活性化に取り組んでいます。観光ラウンジとして大学との取り組みを行う中で、コロナ禍で窮屈な学生生活を送る学生に、観光業の活性化に繋がる新しい提案を考えるPBL型研修をこのたびユナイテッド航空と共同で企画いたしました。Z世代である学生の新しい視点を観光業に提案してもらうとともに、リアルビジネスを体感する学生の学びの場を提供します。観光ラウンジ(旅工房 横浜みなとみらい支店)■神奈川大学×旅工房×ユナイテッド航空産学連携プログラム2021の実施概要[期間]2021年11月4日~12月15日週1回開催[対象者]神奈川大学に通う、全ての学部・学科・年次の学生[内容]・エアライン業界のリアルビジネスを体験。(羽田空港でユナイテッド航空運航センターなどを視察)・特別ゲストスピーカーによる講義。(グアム政府観光局様、東京国際空港ターミナル株式会社様、ケンコーポレーショングループ様、ゲートグルメジャパン様他)・観光業のプロに提案する販促方法を習得し、実際に旅行企画を作成、プレゼンテーション[スケジュール][費用]3,000円[開催場所]神奈川大学 横浜みなとみらいキャンパス、羽田空港[募集期限]2021年10月22日(金)18:00[申込方法] にて詳細を確認後、 f.kanagawa@tabikobo.com にメールまたは神奈川大学みなとみらいキャンパス 1F 観光ラウンジにて申込[企画・実施・主催]神奈川大学みなとみらいキャンパス観光ラウンジ (株式会社旅工房 横浜みなとみらい支店)[協力]神奈川大学社会連携センターユナイテッド航空グアム政府観光局東京国際空港ターミナル株式会社ケンコーポレーショングループゲートグルメジャパン※新型コロナウイルス感染予防に十分配慮の上、実施します。場所は状況に応じて変更の可能性があります。■本プログラム開催について(担当者コメント)●神奈川大学社会連携センター課長市川洋行観光ラウンジは、本学における教育研究活動の新しい拠点として、観光を切り口とした各種教育プログラムの実施や周辺企業等との連携等を行うスペースとして整備して参りましたが、コロナ感染症蔓延の影響もあり、具体的な活動の創出が叶いませんでした。この度、観光ラウンジとして初めての正規企画をユナイテッド航空様を始め、グアム観光局、ケンコーポレーショングループ様のご協力も経て、非常に充実したプログラムを実施できますことを大変嬉しく感じております。参画する学生にも満足感の高いプログラムとなると確信しております。●観光ラウンジ(旅工房横浜みなとみらい支店支店長)岩崎早弥香コロナ禍により思う存分学生生活が満喫できない学生の皆様に少しでも外とのつながりを感じてもらえる研修プログラムを企画いたしました。コロナ禍に打撃を受けている観光業ですが、明るい未来を信じて業界スタッフは日々頑張っています。学生の皆様と一緒に観光業に新しい光を灯せるような研修プログラムを実施したいと思います。●ユナイテッド航空アジア・太平洋地区 プライシング&レベニューマネジメント統括本部長桐山謙一通常はなかなか見る機会の少ない航空会社のリアルな運航現場を視察してもらい、航空会社のビジネスの現状を体験していただくとともに、学生の皆様のフレッシュかつ新しい観点からコロナ後のグアム観光における斬新な切り口をご提案いただけることを楽しみにしています。また同時に、今後の学生の皆様のキャリア選考の面からも、航空業界の魅力について学んでいただける絶好の機会になればと期待しております。■会社概要【株式会社旅工房】代表者:代表取締役会長兼社長高山 泰仁所在地:東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60 46階設立:1994年4月18日URL: 旅工房は今後も、平和貢献できる観光人財育成のために積極的に活動をしていきます。・旅工房及びトラベル・コンシェルジュ・カンパニーは株式会社旅工房の登録商標です。・プレスリリースの内容は発表時のものです。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。<本件に関するお問い合わせ>株式会社旅工房担当:間野深津水嶌TEL:03-5956-3051(携帯:050-5364-4483)E-mail: s.pr@tabikobo.com 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年09月28日1月3日に行われた箱根駅伝で、神奈川大学の走者が東京千代田区の交差点付近を走行していたところ、交通整理にあたっていた警察官が車を止めずに通行させ、あわや事故になる事案が発生。ギリギリで走者がかわしたため大事には至らなかったものの、警察官や暴走車への批判、そして長時間に渡り道路を封鎖する駅伝やマラソンについてもその必要性を問う声があがりました。警察は今後交通整理員の増員を検討しているようですが、不信感を持っている人もいるようです。*画像はイメージです:■事故が発生した場合責任の所在は?最近は健康ブームの影響で、走ることを趣味にしている人が増えています。市民マラソンに参加し、1つでも上の順位を目指し練習にうちこんでいるランナーも多いでしょう。とくに2月には東京マラソンもあり、出場する市民ランナーの皆さんは多少不安を感じているかもしれません。快調に走っているときにいきなり車が突っ込んで事故になった。仮にこのような事態が発生してしまった場合、気になってくるのは、「責任の所在」です。今回の箱根駅伝では交通整理を担当していた警察官の不手際が不祥事発生の原因と言われていますが、警察の責任はどのようなものになるのでしょうか?また、主催者や実際に事故を起こした自動車運転手への処分も気になります。エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に見解をお伺いしました。 ■運転者の責任は免れない「行動を運転しているときには、信号機に従わなければいけないのは当然ですが、マラソン大会の際には、警察官が交通整理をしていることも多いと思います。それにもかかわらず事故が起きてしまう可能性は否定できず、最近で言えば箱根駅伝が記憶に新しいところですね。まずはそのような場合について触れますが、警察官は、信号機と異なる手信号等をすることができ、運転者に対して必要な指示等をすることができ、運転者はこれに従わなければならないとされています(道路交通法6条及び7条)。これに従わなかった場合、一般の交通事故と同様に、自動車の運転者は、道路交通法70条の“安全運転義務”に違反(前方不注意)したとして、違反点数を加算されることになりますし、警察官の交通整理に違反して突っ込んだということであれば、道路交通法違反としての懲役刑ないし罰金のみならず、自動車運転過失致傷罪、民事上の損害賠償責任を負う可能性があります。また、警察官の交通整理がなく、自動車の運転者側の信号が青であったとしても、前方注意義務が免責されるわけではありません。個別具体的な状況に応じて、前方不注意があったと言える場合には、運転者の責任は免れないことになると思います」(大達弁護士) ■警察の責任はどうなる?「警察に関しては、交通整理を職務で行っているため、職務上の義務、具体的には、“マラソン大会で交通事故が生じないように適正な交通整理をする義務”が存在し、それに反した過失があった結果として交通事故が生じたといえる場合には、その警察を所管する地方公共団体は、損害賠償責任を負う可能性があります(国家賠償法1条1項)」(大達弁護士) ■主催者の責任は?最後に主催者の責任はどうでしょうか?「次に、走路、周辺道路の交通量などから、マラソン大会をするには危険であり不適当な場合や、マラソン大会の開催について周知されず、自動車の運転者が、マラソン大会が開催されていることを知るのが困難であった場合など、マラソン大会の選手に危険が及ぶ可能性が高いことを考慮に入れず、大会が開催されていたといえる場合には、マラソン大会の主催者も民事上(不法行為)あるいは刑事上(業務上過失致傷罪)の責任を負う可能性があります。また、マラソン大会の主催者は、安全に大会を運営する義務、“いいかえれば参加者が交通事故に遭うことのないように配慮する義務”を負っているにもかかわらず、その義務を怠ったとして、マラソン大会に参加することの契約に付随する安全配慮義務の違反するものとして、民法上の債務不履行を問われ、損害賠償責任を負う可能性もあります」(大達弁護士) 大規模なマラソン大会には管理する主催者、交通整理を担当する警察に管理監督それぞれ責任があり、道路を走る自動車の運転者にはそれにしたがう義務があるようです。今後東京マラソンなど大規模な大会もありますので、主催者・警察・運転手・参加者それぞれが注意をする必要がありますね。 *取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Dachs / PIXTA(ピクスタ)
2017年02月06日神奈川大学は9月30日、「何世代にもわたって細胞分裂できるモデル人工細胞」の構築に成功したと発表した。同成果は同大学理学部の菅原正 教授らの研究グループによるもので、9月29日の英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。菅原教授らはこれまでの研究で、細胞膜に見立てたジャイアントベクシルという直径3~10μmの人工分子膜でできた袋が、外部から膜分子の原料を取り込み、膜内でその原料から膜分子を作り出すことで自らを成長・分裂させ、さらに内部で染色体のモデルであるDNAを増幅することを報告していた。しかし、分裂後はDNAの複製に必要な原料分子が枯渇し、親細胞と同様の効率よい分裂を行わせることができなかった。今回の研究では、DNA複製の原料を外部から摂取する方法を開発し、DNAが枯渇した子供細胞に、内部でのDNA複製能力を回復させ、孫細胞を作らせることに成功。さらに、この人工細胞では現実の細胞と同様に摂取期、複製期、成熟期、分裂期を巡回する周期性が存在することを確認した。今後、この人工細胞が繰り返し分裂していく中で優れた形質をもつ「変異種」が出現し「進化」するモデル人工細胞が誕生する可能性もあるという。同研究グループは今回の成果について「物質からどのようにして生命が誕生したかの謎の解明に通じる研究であり、原始地球での生命誕生や、原始生命からどのような形で萌芽的な進化の仕組みを備えるに至ったかを知る手がかりになる」としている。
2015年09月30日ナイキは今年の駅伝シーズンに向けて、ランニングプロダクトの提供やサポートを行ってきた東洋大学、駒澤大学、早稲田大学、城西大学、神奈川大学の5大学をモチーフにしたランニングアパレル&フットウェアコレクション「EKIDEN COLLECTION」を発表した。今回展開されるコレクションは、各大学のカラーをモチーフにした”ランニング”や”たすき”などをデザインインスピレーションに、最新テクノロジーを搭載したプロダクトとなる。アパレルでは、優れた通気性と軽さ、耐久性を実現した「ナイキ EKIDEN ベイパージャケット」を展開。シューズは、日本人トップアスリートからのフィードバックを反映して設計・開発を行ったエリートレーサー向けのマラソンシューズ「ナイキ ズーム スピードレーサー 4 AP」や、レーシングモデルの「ナイキ ルナスピード ライト+ AP」、人間本来の足の力を鍛えるために開発されたトレーニングシューズ「ナイキフリー4.0 V2 AP」を各大学のカラーリングで展開する。ナイキ スポーツウェアからは、ビンテージ加工を施したフーディやTシャツ、フットウェアも展開する。「EKIDEN COLLECTION」は10月よりナイキ原宿などで販売を開始する。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月05日