おもちゃ売り場に行くと女の子向けのおもちゃと男の子向けのおもちゃがはっきり分かれています。メルちゃんは戦隊ヒーローグッズと一緒には並んでいないし、プリンセスはトミカと一緒に並んではいません。そこで、なんのために子どもがおもちゃで遊ぶのか、根本的なところから考えてみましょう。■おもちゃは出力するためのツール通常、女の子のおもちゃと男の子のおもちゃをはっきりと区切る保育園や幼稚園は少ないと思います。それは子どもの好奇心が何よりも大切だからです。子どもたちは、毎日たくさんの情報を吸収しているので、子どもは遊びを通して頭のなかを整理するのです。そのため、おままごとをしているとき、男の子でもお母さん役をするし、女の子でもお父さん役をします。昨日あったできごとや自分がなりたい自分に、おもちゃや遊びを通してなりきります。そうしたことで積み重なった頭の中のことを発散し、整理するのです。一言で説明するとおもちゃは子どもにとって「出力ツール」なのです。秩序が芽生えた時期に大活躍するおもちゃ3歳ごろになると「秩序」が芽生えます。例えば道路は端っこを歩かなければいけない、ご飯を食べながらスマホやテレビを見てはいけない、靴は脱いだら揃えなければいけないなど、保育園やご両親から得たルールを人に求める時期です。それはもう赤ちゃんではない証拠です。彼らは「僕だってちゃんと見てるんだぞ」と正義の塊になります。以前、担任をしていたクラスに秩序の塊のような男の子がいました。誰かが順番を守らなかったり、食事中におしゃべりしたり、脱いだ靴をすぐにしまわなかったりすると一目散に飛んできて注意するんです。気づけば同級生に「○○くん、うるさい」「こないで!」なんて言われるようになり、少し可愛そうでした。そんなとき個人面談でお母さんから「電車のなかやスーパーなどで見知らぬ人を注意するようになって困ってる」と相談を受けました。これは彼が今まで教わった秩序のアウトプットが足りていないと解釈した私は、メルちゃんを買うことを勧めました。すると、彼はメルちゃんという自分でお世話しなければいけない人形=今まで教わったことをアウトプットする対象を得ました。そして、数日後から彼は保育園で友だちに注意することをやめ、公共の場で見知らぬ人に注意することもやめました。こういった例があるように、おもちゃは男女関係なく子どもたちに寄り添います。子どもが、なにかしらの理由を元におもちゃを求めることはよくあることです。頭ごなしにダメ、というよりも子どもの遊んでいる様子を観察してから考えてみてください。
2017年08月16日今秋冬の3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim)は「秩序に対する挑戦」というワードを掲げた。これまでにブランドが積み上げてきたデザインの特徴(=秩序)を新たに解釈し直している(=挑戦)。持ち味である“モノトーン”や”スポーティ”といった要素の中に、繊細な織りで表現された素材やフェミニンなファーなどを巧みに取り入れた。ブランドの象徴的なアイテムであるノースリーブカットソー(5万8,000円)も、断片を繋ぎ合わせたようなデザインにテーマを強く感じることができる。裾は巻きスカート風のディテールが付与された。ショート丈のブルゾンなどを羽織れば、装いを’90sライクな今季風レイヤードスタイルへと導いてくれる。<問い合わせ先>3.1 フィリップ リム ジャパンTEL:03-5411-2870
2015年09月18日東北大学は、光パルスの照射により磁性体の磁気秩序を高速で制御することに成功したと発表した。同成果は、同大 大学院理学研究科の松原正和准教授らによるもの。詳細は「Nature Communications」に掲載された。スピントロニクスの活用に向け、各所で研究が進められているが、今回、研究グループは、強磁性半導体であるEuOが、電気伝導を担うキャリア(この場合は電子)の密度に応じて磁気相互作用を大きく変化させる点に着目。EuOに不純物(今回はGd)をドープしてキャリア密度を増加させたところ、強磁性転移温度(キュリー温度)が上昇することを確認した。調査の結果、Gd濃度が低い(キャリア密度が低い)試料では光パルスの照射が磁気相互作用を強め、光照射によるキャリア密度の増加が磁気相互作用を強めるという予想と合致した結果が得られたほか、逆に、Gd濃度が高い(キャリア密度が高い)試料では光パルスの照射が磁気相互作用を弱めるという結果が得られたとする。この結果は、キャリア密度を精密に制御することにより、磁気相互作用を意図的に増強することも減少させることもできることを示唆していると研究グループでは説明するほか、そのどちらの場合においても、磁気秩序の変化は1ピコ秒程度の極短時間で起こることも判明。これらの知見は、今後、光による超高速磁気制御を実現するための物質設計や材料開発に向け新たな指針を与えるものとなるとコメントしている。
2015年04月07日東北大学は12月4日、新型鉄系高温超伝導体のモデル物質である鉄セレンにおいて、超伝導を担う電子が、異常な秩序状態を形成することを観測したと発表した。同成果は、同大 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、谷垣勝己教授、および同大大学院 理学研究科の中山耕輔助教らによるもの。詳細は、米国物理学会誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載される。鉄セレンは、鉄系超伝導体の中で最も単純な結晶構造を持つことから、超伝導機構の解明に向けた基礎科学的な面でも、モデル物質として期待を集めている。高温超伝導が起こる起源を解明するためには、超伝導を担う電子の状態を調べることが重要だが、高品質の鉄セレン結晶を作成することが極めて困難だったため、この物質の電子状態はこれまで明らかになっていなかった。今回、研究グループは、鉄セレンの高品質単結晶の育成に成功し、外部光電効果を利用した角度分解光電子分光という実験手法を用いて、鉄セレンから電子を直接抜き出して、そのエネルギー状態を高精度で調べた。その結果、超伝導が発現するよりも高い温度(110K)で電子のエネルギー状態に大きな変化が起こり、伝導面を縦方向に動く電子と横方向に動く電子で、動きやすさに違いが生じることを明らかにした。さらに、このような異常な状態が、鉄セレンの結晶構造の変化が起こる温度(約90K)よりも高い温度(110K)で起こっていることも明らかにした。これは、電子軌道の変化が、結晶構造の変化という外的要因によらず、自発的に引き起こされている可能性が高いことを示している。鉄セレンでは、高温超伝導をはじめとする興味深い超伝導特性が報告されているが、今回の研究によって、その背後に異常な秩序状態が存在することが明らかになったとコメントしている。
2014年12月09日東北大学と中央大学、岡山理科大学、名古屋大学は11月24日、有機金属中の電子の動きをレーザ光の照射によって凍結・秩序化することに成功したと発表した。同成果は、東北大学 大学院理学研究科の岩井伸一郎教授、石原純夫教授、中央大学 理工学部の米満賢治教授、岡山理科大学 大学院理学研究科の山本薫准教授、名古屋大学 大学院工学研究科の岸田英夫教授、東北大学 金属材料研究所の佐々木孝彦教授らによるもの。詳細は、英国科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。一般に、光の照射は固体物質を加熱する。これは、物質を構成する電子や原子が光から運動エネルギーを得て、動きやすくなるためである。一方、真空中の孤立原子では、レーザ光の照射によって原子が"止まる"という現象(レーザ冷却)が知られている。レーザ冷却は、気相の原子に特有の仕組み(ドップラー冷却)によるものである。このため、光によって固体中の電子の運動を止めるためには全く異なる原理が必要となる。この固体中の電子を"止める"方法は、30年以上前に提案されていた。金属に電場を印加すれば、電子は加速され、電場の向きを反転させれば電子もそれに追随して向きを変える。また、電子が追いつけないほど素早く電場の向きを変え続けると、電子はどちらの方向へ動いたらよいのかわからなくなって、結局止まってしまうと考えられていた。電子の動きが追随できないほど素早く電場の向きを変えるためには、1秒間に百~千兆(1014~1015)回のスイッチングが必要となるが、この周波数はちょうど光の振動数に相当する。つまり、物質に光を照射すれば、電子に高周波数の交流電場をかけることができる。しかし、理論計算によればこうした高周波の電場によって電子を止めるためには、物質の破壊限界をはるかに超える強い光が必要となる。このため、物質を壊さずに電子を止めることは現実的には不可能だった。そこで、研究グループは7フェムト秒(fs)という極めて短いパルス幅の赤外(中心波長1.7μm)レーザ光を開発した。この波長の光において、7fsという時間は電場の振動の1.5周期しか含まない。また、7fsは原子が動く時間スケールよりも短いので、物質が原子の熱振動によって温度が上がったり、原子移動によって物質が壊れる暇もない。この短パルスを用いることによって、試料を壊したり、極端な高温にすることなく10MV/cmの大きな電場を印加することが可能になった。そして、典型的な有機金属の1つであり、BEDT-TTF分子とI3分子が層状に積層した電荷移動錯体である2次元有機金属(α-(BEDT-TTF)2I3)中の電子の動きをこのフェムト秒レーザ光を照射して凍結、秩序化することに成功したという。研究グループでは、より強度が大きく、よりパルス幅の短い光の開発を行っている。この新しい光によって、将来、物質の中の多数の電子を止めるだけでなく、好きな方向に動かしたり、並び方を変えたりすることによって、物質の色、電気抵抗、磁性を瞬時に自在にデザインすることが可能になることが期待できるとコメントしている。
2014年11月26日