ハンガリーの大都市デブレツェンの病院で働く看護師のアサト。骨肉腫との診断で左手の切断手術を受けたが、のちに誤診であったとわかる。その病院には、手の移植手術の権威ゾルタン医師がいて、労働者階級のポーランド人の手の移植をした。だが、接合された左手には、消えない違和感と強烈な拒絶反応が起こり…。本書は、あまたの読書家から熱い視線を浴びる朝比奈秋さんの最新刊だ。「手の移植をしたニュースを何かで見て衝撃を受けたんです。手の移植は世界的に見ても稀な手術で、そもそも教科書にも載っていない。前後してクリミア併合が起きて、領土が行ったり来たりするというのはどういうことなのかと、興味を持ちました。小さな院内で他人の手が意思に反してくっつけられる、個人のこぢんまりした話が、領土が勝手に分断されたり併合されたりする大きな問題と自然と結びつきました」アサトは日本人で、妻のハンナはクリミアのウクライナ人だ。マイダン革命以後、街の雰囲気が変わると夫婦で脱出したこともある。ハンナは看護師でもあり、紛争地に乗り込んで取材をするジャーナリストでもあるが、彼女が夫の故郷の島国をうらやましく思う感覚を、アサトは手の移植を介して初めて感じ取る。「常に戦争のリスクと隣り合わせで国境を維持してきたヨーロッパの人から見たら、日本はなんて恵まれた国かと思うでしょう。一方で、文化や宗教も含め他国を受け入れているようで、本当の意味では受け入れていないというのも、島国の特殊性なのかもしれません」物語はかなり進行するまで誰とわからない一人称語りで始まり、アサトの現在と過去が入り交じって進む。ゾルタンの視点も挟まれる。練られた構成に見えるが、朝比奈さん曰く、物語に対しては“受け身”。「僕が物語を考えているのではなく、思い浮かんだ映像を何とか理解して書いているだけ。なので、書く上で物語に対して干渉はしません。ただ書き終わるまでその映像が居座って離れないし、逆に言えば、物語とつながってる最中はアサトやハンナの苦しさや怒りの感覚が自ずと伝わってきて、自分の腹も背骨も震えます。そうやって、登場人物と一緒に苦しんで進んでいく書き方しかできないので、小説を書くのは僕にとっては業に近いです」写真:石渡 朋あさひな・あき1981年、京都府生まれ。2021年、「塩の道」が林芙美子文学賞に輝き、翌年、同作を収録した『私の盲端』でデビュー。今年『植物少女』で三島由紀夫賞を受賞。現役の医師でもある。朝比奈 秋『あなたの燃える左手で』医療人ならではの知識と、医師自身や患者、患者家族の思い、それを俯瞰する作家の目から生まれてくる言葉とイメージに揺さぶられる。河出書房新社1760円※『anan』2023年9月13日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2023年09月12日音楽レーベル・イベント企画制作などを行うT-Plans(所在地:(本社)佐賀県佐賀市、(支社)東京都新宿区、代表:宮地 武志)は、重度呼吸器疾患(臓器移植待機中・両肺)のシンガーLillyのデビューシングル「~Kisekiの羽~」の先行予約販売をクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて10月28日(金)に開始しました。「T-Plans」クラウドファンディングサイト 歌でKisekiを起こしたい!1■クラウドファンディング実施背景在宅酸素をし、臓器肺移植の手術待ちのシンガーLilly。手術に失敗したら声が出なくなる可能性もあります。『今やれる事をやりたい!そしてみんなに生きる希望を与えたい!』という思いで歌をリリースし、来年4月にはオムニバスCDとして全国流通させます。■「Lilly」について*シンガー Lilly「今やれる事をやりたい!そしてみんなに生きる希望を与えたい!」という熱い想いで、「~Kisekiの羽~」をサブスクリリースしました。両肺移植の術後には、必ず復活します!負けません。どうか応援して頂けますようよろしくお願いいたします。神奈川県・関東地域を中心に積極的に活動予定です。*Lillyの病気について重度呼吸器疾患で、臓器肺移植の脳死ドナー待ち。(2019年9月に臓器移植ネットワーク登録済み、両肺移植待機者)現在、在宅酸素・ステロイド・免疫抑制剤の服用が欠かせない状態であり、日々、感染症対策しながら毎日を過ごしています。*Lillyの公式SNS( )Twitter : Instagram : YouTube : ふわっち配信: ■リターンについて<1,000円>Lilly直筆メッセージ入りのポストカード(裏面、写真サイン付)<3,000円>(1)Lillyのデビューシングル「~Kisekiの羽~」発売前のプレミアCD(歌詞ジャケット・ケース付)※本歌・オルゴールメロディ付(2)Lilly直筆サイン(12cm×12cm)<8,000円>【プレミアCD・サイン付・キラキラスマホケース セット】(1)Lillyのデビューシングル「~Kisekiの羽~」プレミアCD(歌詞ジャケット・ケース付)※本歌・オルゴールメロディ付(2)Lilly直筆サイン(12cm×12cm)(3)キラキラスマホケース※iPhone・Android全機種対応■プロジェクト概要プロジェクト名: 奇跡を起こす歌をリリースしたい!期間 : 2022年10月28日(金)0:00~2022年11月30日(水)0:00URL : ■会社概要商号 : T-Plans市場 : 個人事業主代表者 : 代表 宮地 武志所在地 : 〒840-0814 佐賀県佐賀市成章町5-12-3F設立 : 2021年12月事業内容: 音楽レーベル・情報広告業・ICT教育事業資本金 : 200万円URL : 【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】T-Plans お客様相談窓口TEL : 080-3961-5350MAIL: miyachi0324@gmail.com 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月04日米国のメリーランド大学で今月上旬、遺伝子操作したブタの心臓をヒトに移植する手術が世界で初めて行われ、話題となった。移植を受けたデヴィッド・ベネットさん(57)は、末期の心臓病を患っており、今回の手術が命を繋ぐ最後の望みだった。長期的な生存が可能かどうかは未知数だが、画期的な手術の成功例として、世界中にその名を知られるに至った。そんな祝福ムードの中、ある女性が彼の過去についてBBCに告発し、波紋を呼んでいる。「みんなベネットをヒーローやパイオニアのように扱っていますけど、あの男はそんな人間じゃありません」こうBBCの取材に対して語ったのは、レスリー・シューメイカー・ダウニーさんだ。告発した内容は、ベネット氏が1988年、自身の妻がレスリーさんの弟・エドワードさんの膝に座っているのを見て激しく嫉妬し、持っていた刃物でエドワードさんの背中を何度も刺したというものだ。当時、ベネット氏は暴行と武器の所持で有罪となり、禁固10年を言い渡された。エドワードさんは一命は取り留めたものの半身不随となり、2007年に亡くなったという。「私の次女が、『ママ、この人、エドおじさんを刺した人だよ』とメッセージを送ってきて、初めてニュースを知ったんです。あの男が心臓を受け取ったことに腹が立ってしまって」と、レスリーさんはBBCに対して語っている。メリーランド大学医療センターはNew York Timesに対して、「病院や医療機関は、その門をくぐった全ての患者に対し、医療上の必要性に基づいて救命処置を行うという厳粛な義務を負っています」とコメントした。またBBCは、移植チームも「過去の犯罪歴は、治療を拒否する理由には決してなり得ない」と明言したと伝えている。
2022年01月17日■前回までのあらすじ不妊治療の病院を卒業することに。医師からは、受精卵の冷凍保存をするかどうかを聞かれて…。夫とも相談し、受精卵を冷凍保存することに決めました。待望の妊娠ライフで待ち受けていたのは…!?※この物語は私の経験を基に、一部編集しています。※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の身内の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師や専門家に相談いただき、ご自身の判断によって適切なご対応をお願いいたします。次回に続く(全24話)毎日10時更新!
2021年11月30日美容鍼灸師という仕事をしている私は、昔ながらの美容法や、ホリスティックなものを推している人と思われがちですが、必ずしも東洋医学に偏っているわけではなく、美容クリニック系の西洋医学的な美容施術も大好きです。個人的には、「美容効果があればなんでもいい」と思っている雑食とでもいいましょうか。西も東もナチュラルもケミカルもお構いなしなので、東洋医学に傾倒している鍼灸師の先生たちからしてみたら、「お前と一緒だと思われたくない」と、眉をひそめたくなるようなゆるい考え方なのかもしれません(笑)。■「培養皮ふ治療」(肌培養)は自分の若い頃の細胞を使ったアンチエイジングそういう考え方のため、自分で美容鍼を打つ以外でも、アンチエイジングとして、数年前から「培養皮ふ治療」を受けています。どんなものか簡単に説明すると、培養皮ふ治療とは、自分の皮膚を採取して、そこからコラーゲンやエラスチンを生成してくれる「線維芽細胞」を培養し、老化によって細胞が減ってきたところ(シワやたるみがあるようなところ)に培養した細胞を移植して、肌を若返らせるというもの。整形ではなく、肌の再生医療。自分の細胞を注入するため副作用もなく、治療後の持続期間が2~3年と長いことが魅力です。私は34歳のときの細胞を培養して保管しているので、これがなくならない限り、いくつになっても34歳時点の細胞を移植できます。60歳になっても34歳のときの細胞を移植できると考えると、相当すごいことですよね。これぞまさに、長期戦を見据えたアンチエイジング。デメリットとしては・細胞の培養に1カ月くらいかかるため、「今すぐ注入したい!」と思ってもそれは叶わないこと・移植した細胞が定着してから効果が出始めるため、効果を感じられるのが早くても1カ月後くらいからということ・細胞を、採取・培養・保管・移植する、という一連の治療の流れ上、かなりコストがかかることあたりでしょうか。また、残念ながら、細胞を移植したからといって、劇的に若返るということもありません。その点については治療開始時、ドクターから、「目に見える効果がほしいなら整形の方がいい」と釘を刺されたほどです。あくまで、長期的に見たときに老化がゆるやかになるというものなので、おそらく10年後、20年後と時間を経てからの方が、周りの同世代に差をつけられるという意味で、その効果を感じられるのではないかと思います。ご参考までに、治療については以下のサイトに詳しく掲載されています。■培養皮ふ治療(肌培養)と美容鍼で目の下のたるみを改善ちなみに私は、かなり効果が出ている方らしく、定期検診のときに、ドクターに「何か(ケアを)してるの?」と聞かれます。聞かれる度に、寝不足だったり疲れがたまっていたりと、あまりコンディションがいいといえる状況ではなかったため、心当たりはなかったのですが、よく考えてみると、美容鍼も線維芽細胞を活性化させてコラーゲンやエラスチンを生成させるもの。ひょっとすると、私の肌の中で、34歳の細胞がより活性化されて働いてくれているから、いい効果が出ているのかもしれません。たしかに、治療前の写真と最近の写真を見比べると、目の下がだいぶ違います。私が長年涙袋だと思っていたふくらみは、ドクターいわくたるみだったそうで、治療を重ねるとともになくなっていきました。ホルモンタンクの消失……。いいのか悪いのか、若干複雑な心境です。■きれいになりたいなら、先入観にとらわれないで培養皮ふ治療によって、私は1~2年でわかりやすい効果を体感したこともあり、「おすすめです」と言えるのですが、大半の方はもっと時間が経ってからその真価を発揮するものだと思います。手ごたえを感じるまでに時間がかかることを、どう捉えるかは皆さん次第。すぐに効果が現れるものがいいという方もいれば、長期的視点で見たときに老化がゆるやかになるという点に惹かれる方もいるでしょう。ただ、どんな美容法にも当てはまりますが、「整形っぽい」「なんか怖い」など、先入観だけで選択肢から外してしまうのはもったいない、と思います。自分の細胞を使って若返るということが、培養皮ふ治療と美容鍼の思わぬ共通点でした。中身を知ってみれば、西洋医学でも東洋医学でもやることは同じだったので、人工的だから、自然派だから、というような、ごく一部だけを見てジャッジを下すのではなく、まずは一度内容を見る・知ろうとすることも大事なのではないでしょうか。美容業界の技術も日々進歩しているので、昔聞いた常識が、今も通用するとも限りませんし。自分に合うか合わないかも、きちんと調べてみなければわからないものなので、そういう意味でのクリアな視点は養っておきたいものです。そんな風に、いいとわかったものはなんでも取り入れたがりな私は、最近目の下にゴルゴ線が発生しつつあるので、今日も美容鍼で細胞を活性化させつつ、そろそろまた34歳の細胞の移植をしたいなぁと思っているところです。2017年8月9日公開2020年4月27日更新
2020年04月27日3回目の受精卵移植失敗の後、心理カウンセリングを受けたことにより、新たな心持ちになれたこてつさん。4回目の移植に臨みました。不妊治療を2005~8年に受けた中村こてつさんの体験談。4回目の受精卵移植を行いましたカウンセリングを受けた後日、4回目の移植をしました。前回のように管が子宮に入らないなどのトラブルはなく、スムーズに終わりました。今回も2個移植で、受精卵(1)はグレードBB、受精卵(2)は「収縮中」。当時、担当してくださった培養士さん曰く、胚盤胞は収縮と拡張を繰り返しながら大きくなっていくとのこと。収縮したまま移植した卵は、時間がたてば普通の卵と同じようになるかもしれないし、ならないかもしれない。すでに移植して子宮の中なので見ることはできない、などの説明を受けました。そっか~…。残りの凍結卵は1回分です。それは今回のものよりも状態は良くないとのこと。グレードは関係ないというけれど、やっぱり気にしてしまいます。とりあえず、今回のものが着床してくれるよう、今は卵の持つ力を信じよう。その後、黄体補充の注射をして帰宅しました。4回目ともなると心穏やかに…待てるわけもなく、そわそわしながら迎えた判定日前日。夕方に出血しました。少量でしたが、見た瞬間ガーンとなって、冷静ではいられなくなりました。またか。なんで私だけ。そんな思いがグルグルと頭の中をかけめぐります。油断すると涙が出そうになりました。腹痛もありました。生理痛とにている痛み…。今までの移植でホルモン補充をやめる前にリセットすることは一度もなかったので、心の準備もできていませんでした。飲み会だったオットが帰ってきて、出血があったことを説明したら我慢できなくなって涙が出ました。そのまま翌朝になり、重い気持ちでクリニックへ。診察室に呼ばれ、ドクターから妊娠判定の結果が言い渡されました。 結果は「陽性」。え? 前日、リセットと思って泣いたはずが…。…そうか、よくよく考えたら着床出血とも考えられるんだよね。陰性続きで、まさか自分が妊娠するとは考えられずパニックになってしまい、その可能性を微塵も思い出しませんでした…(苦笑)。すっかり出血は生理だと思っていたオットも「ええっ!!」とビックリしていました(笑)。出血はこの時期よくあることだそうです。HCG(※)=78。まだ胎嚢すら見えません。次回は3日後、HCGがググっと上がっていなければなりませんが、今の時期はどうなるにしても卵の力次第。再び、妊娠しました。自分の中では、喜びもあるし、戸惑い・ためらいもあります。それは、妊娠で得るものもあるけれど、失うものもあるから。カウンセリングで教えてもらえていたので穏やかに受け止められました。どっちも自分の本当の気持ち。でも、それでいいんだよね。それが今の私。I'm OK. I'm OK.※=ヒト絨毛性ゴナドトロピン。妊娠中にのみ産生されるホルモン。※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2018年12月26日不妊治療を2005~2008年に受けた中村こてつさんが当時を振り返って綴る治療の体験談です。ついに移植当日。実際の移植の様子や、移植後の生活上の注意事項など、治療はまだまだ続きます。ついに卵を移植「それでは卵を戻していきますよ。」ドクターが言いました。細いチューブを子宮内に差し込み、卵を送り込みます。ものの十数秒だったでしょうか、すぐに終わりました。長い期間かけて作られた卵の移植はあっけないものでした。その後、超音波で移植した卵を確認…のはずが、チューブの中に卵が残っていたらしく、再度注入となりました。(だ、大丈夫…?!)と不安になりましたが、ドクターもスタッフも焦っていなかったので、まぁ大丈夫なんだろうと納得。15分くらいで待合室で待つオットのところへ戻りました。クリニックへ向かう途中、今までのいろんなことを考えてしまい押し黙る私の手をギュッと握ってくれたオット。そんなオットの顔を見て泣きそうになったけれど、こらえます。しばらくすると処置室へ呼ばれ、移植後もずっと続く黄体ホルモンの注射をぷすりと打ちます。黄体ホルモンの投与は、移植前5日間のうち3日間は膣座薬を使用しましたが、どうやら私に合わなかったようです。1日4個の膣座薬を続けるうちに…お股が痒い!!入れた後ドロリと出てくる白い液体にかぶれてしまうようでした。それをドクターに伝えると、10日後の判定日までは毎日注射に通うことになりました。地元の産婦人科クリニックにて打ってもらいます。移植~判定日までの生活この日からお酒も禁止となりました。(名残惜しく、移植直前までガッツリ飲みました(笑))コーヒーも1日1~2杯までと言われました。夫婦生活は子宮が収縮してしまうのでよくないとのことで判定日まではNGだそうです。激しい運動も禁止です。愛犬の散歩は、時折激しくなることがあるので(おもに猫(笑))オットに任せます。重いものは持たないほうがいいので、ゴミ捨てもよろしく。あ、ご飯の準備もついでに…、洗濯物も重いかな…(笑)。こうやって父になる練習をしていかなきゃね。と言うと、「それじゃ父というより、主夫だよね」と言われる。はい、調子に乗りました(笑)。何はともあれ2人でがんばっていこう。オットと決意を新たにしました。今、私はお母さんです。任務期間は10日間となるか、それ以上となるか。判定日を待ちます。※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2018年05月09日不妊治療を2005~8年に受けた中村こてつさんが当時を振り返って綴る治療の体験談です。いよいよ移植となると注射やお薬、とさらに準備が進められるようです。移植日が決まる卵胞ホルモン剤(プレマリン)を服用しだして12日目、診察のためクリニックへ。子宮内膜が8mm以上あれば黄体ホルモンの投与を開始して、排卵後の状態に戻すそう。プレマリンは子宮内膜を厚くしていって着床可能な状態にする働きと、勝手に排卵しないようにする役割もあるとのこと。ジャスト8mm。合格です。4日後の移植が決定しました。初回はグレードが一番よかった凍結胚を一つ移植予定です。移植日のスケジュールとしては朝、凍結胚盤胞を融かし、昼過ぎに回復と生存確認をします(凍結・融解によってダメージを受ける場合があるため)。私の通っているクリニックでは生存率90%、10個に1個の割合でダメージを受けるデータとのことでした。融解に関しては同意書が必要になります。生存が確認できたら、午後に移植となります。移植後もプレマリン、黄体ホルモンは継続して投与します。黄体ホルモンは基本注射だけれども、希望すれば膣座薬に変更可能とのこと。1日4個、まあまあ多い…。しかし、クリニックに通う大変さ(片道1時間半)を考えると座薬のほうがよさそうです。移植後10日で血液検査によって妊娠判定を行います。そんなに早く分かるものなのねぇ。妊娠していれば更に黄体ホルモンとプレマリンは継続します。黄体ホルモンは妊娠8週まで、プレマリンは妊娠12週までとのこと。これは、自然妊娠の場合は、排卵した後の卵巣の黄体からホルモンが補充されるのだけど、わたしはプレマリンを使っているため排卵が抑えられており、その状態では黄体が作られないため、胎盤からホルモンが作られるようになるまで外的に黄体ホルモンを投与する必要があるとのことでした。ドクターにちゃんと聞けばよかったと後悔移植日が決まり、ドクターから「戻す卵は1個でいいよね?」と念を押されました。診察が終わり立ち上がっている途中だったので「あ、はい…!」と慌てて即答してしまいました。たしか前の診察でも確認をされたのでした。1個移植と2個移植とどういうメリットデメリットがあるか聞けばよかった…とあとで後悔しました。私のドクターは寡黙な方で、さらに方針なのか、治療に対しての説明は質問しないと詳しく話してもらえません。説明を聞いたうえで、それはどういう意味? とかじゃあこういう場合は…などの質問も生まれてくると思うのですが。最近はネットで情報が氾濫しているから余計な混乱は避けようという考えでしょうか。毎回、診察までに質問することを考えておかないと、あっという間に診察が終わってしまい、聞けばよかったぁ…と後悔したことがよくありました。私は頭がパパッと回らないほうなので余計にそうなのかもしれません。治療仲間は、毎回提出する基礎体温表に質問を書いたメモを挟んでいました。口頭でうまく伝えられない人にはよい方法かもしれません。また、ドクターには聞けないけれど、看護師さんには気軽に聞けるという人もいました。子宮内膜の厚みが基準に達したので、黄体ホルモンの投与が開始されました。その日は注射(プロゲストン50mg)でした。排卵誘発の注射ほど痛くはないけれど、よく揉まないと翌日にコリコリに硬くなりました。その後3日は膣座薬(朝夕2個ずつ)で、移植前日だけ地元の産婦人科クリニックで注射することになりました。注射&座薬以外に、錠剤のお薬(デュファストン)も毎食後、飲みます。プレマリンとバファリンもあるし、薬だらけです。飲み忘れないか不安になります。準備は整いました。次はいよいよ移植となります。とうとう、ここまで来たか…ここに辿り着くまでに、上がったり下がったり、自分の中の様々な感情を味わってきました。もう「頑張ろう」などそういう次元ではなく、来るべき未来がどんなものであろうと丸ごとそのままを受け入れようという心持ちです。心の中には凪いだ海がどこまでも続いています。※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2018年04月11日不妊治療を2005~8年に受けた中村こてつさんの体験談をシリーズでお届け。採卵を終え一安心するも移植可能な胚盤胞がいくつできたか…ドキドキしながら結果を待ちます。移植できる卵はいくつできたか採卵の3日後、心配していた採卵後のOHSS( 第21話参照 )についてチェックするために、体重と腹囲を計測しました。採卵直後とあまり変わっていませんでしたが、内診してもらうと、少し腹水がたまっていました。残った卵胞たちもかなり大きくなっていました。それに伴い、卵巣も腫れているようです。言われてみれば、少し張った感じはありました。もう少し水が溜まってたら、かなり苦しかったと思うよ~とドクターに言われました。残った卵胞はもう排卵しないので、これ以上症状が悪化することはないとのことで、軽いOHSSとの診断です。これくらいで済んで本当に良かったです。しばらくは、飛んだり跳ねたりはNGです。卵巣がぐるんと捻じれると大変なのです。(余談ですがこの7年後、本当に捻じれてしまい(卵巣茎捻転)救急搬送されました。幸い手術は免れましたが、正直出産より痛かったです!二度と味わいたくない痛みです。)腫れた卵巣は1ヶ月で戻るのは難しいかもとのことで、移植は年明けになりました。年末はゆっくり過ごせるんだぁ~と嬉しくなりました。受精から5日経ちました。13個の受精卵のうち、いくつ胚盤胞になったか電話で確認します。高校受験のドキドキを思い出します。結果…10個!おぉ。想像していたより多い!4日目の夕方に初期胚盤胞になったものが4個。あとは5日目以降になったものが6個。私の場合はそれら全てを凍結し、OHSSが改善されてからの移植になります。4日目の4個は各1個ずつ凍結しました。5日目以降のものは各2個ずつ一緒に凍結しました。なかなかいい卵です。とドクター。とりあえず高校に合格したようです(笑)。あとは無事に卒業できるか…何はともあれ、移植できる卵が凍結できてホッとしました。最後に言われた、凍結料金9万円は悲しかったけれど…。※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2018年02月07日セレーナ・ゴメスがこの夏、腎臓移植を受けていたことをインスタグラムで明かした。セレーナは2つのベッドで友人のフランシア・ライサと固く手をつないで横たわり、希望に満ちた笑顔を見せている画像を掲載。セレーナが以前から持病の全身性エリテマトーデス(ループス)と闘っているのは周知の通り。今回、身体の回復のために腎臓移植に踏み切ったという。セレーナは腎臓を提供してくれたフランシア、手術を行った医師チーム、家族のサポートに深い感謝の意を述べている。「夏の間、新曲のプロモーションをしない私に『なぜ?』と思った人もいるでしょう」と投げかけたセレーナ。実は人生に大きくかかわる決断と向き合っていた。「ループスへの誤解はいまだ多いけれど、ぜひみんなに過程を知ってもらいたいわ」とループスに関するサイトへの訪問を促している。セレーナは約1週間前に現在付き合っている歌手のザ・ウィークエンドとのツーショットをインスタに掲載し、デートする姿が目撃されていたこともあり、この衝撃告白にファンもびっくり。勇気ある行動にファンからは「誇りに思う」、「元気になって!」などの励ましコメントが殺到している。ザ・ウィークエンドとの交際は好調で、「ETonline」によれば“一時的”ではあるものの、ニューヨークのアパートで同棲を始めたとの報道も。また、「Businedd of Fashion」とのインタビューでは「彼にとっても素敵なシャネルのバッグをもらったの」とのろけ発言もしている。(Hiromi Kaku)
2017年09月14日経験や年齢を重ねていくと、人生とは何かを失っては何かを得ることの繰り返しであるということがだんだんと身に染みてくるもの。そこで今回は、喪失と再生を描いた話題作をご紹介したいと思います。それは……。美しい映像と音楽で紡いだ感動作『あさがくるまえに』!【映画、ときどき私】 vol. 112フランス北西部の都市ル・アーブル。シモンはガールフレンドの眠るベッドから抜け出し、夜明け前に友人たちとサーフィンに出かけていた。しかし、自宅へと帰る途中、交通事故に巻き込まれ、脳死と判定されてしまう。医師はシモンが蘇生する可能性が低いことを両親に伝え、臓器移植を提案するのだった。いっぽう、パリに暮らすのは心臓に末期的症状を抱えていた音楽家のクレール。もはや心臓移植しか選択肢はなかったが、若くはない自分が他人の命と引き換えに生き延びることの意味を自問していた。そんなとき、クレールは担当医からドナーが見つかったという連絡を受けることに……。映画化をめぐっては争奪戦になったほどのベストセラー小説が原作の本作ですが、今回は独自の感性で新たな命を吹き込んだある方に、見どころや撮影を振り返ってみて感じたことを語ってもらいました。それは……。若手女性監督として大注目のカテル・キレヴェレ!本作が長編3作目にも関わらず、いずれの作品もカンヌ国際映画祭やヴェネツィア国際映画祭で高く評価されるなど、今後が期待されているキレヴェレ監督。小説を読んですぐに映画化したいと思ったというだけに、この作品にかける強い思いを聞いてきました。今回、この作品を映像化するうえで大事にしたことは何ですか?監督私がこの映画を作るにあたっては、小説のなかで描かれている3つのことを一番重要視したわ。まず1つ目は、物語のなかに描かれている科学や医学へのアプローチについて、いかに正確に緻密さを持って描けるかということ。2つ目は、登場人物たちが見せる感情の描写。というのも、それぞれのキャラクターがそれぞれの場所と立場でひとつの体験を共有していくんだけれど、そういう違いによって感情の動き方は変わってくるものなのよ。だからこそ、その部分をどういうふうに映画で描写するかということを考えたわ。そして最後は、人の死をまた生に活かすということに関わるすべての人たちの関係性。たとえば、ひとつの出来事に対して注がれる目線というのは、家族か医者かによっても違うものなのよ。だからこそ、そこをどのように描くかを大事にしようと思ったわ。では、逆に原作と変えたところは?監督小説と映画の大きな違いというのは、特に物語の後半の部分。原作では臓器を提供するシモンのほうにウエイトが置かれて描かれていたんだけれど、私は提供する側と提供される側の両方を同列に描くことが重要だと思ったの。それに、死よりも生をより描きたかったし、そのほうが映画的にはいいんじゃないかという思いもあったからなのよ。シモンとクレールをつなぐ役割を果たしている移植コーディネーターは、誰かの命を救うと同時に誰かの命を終わらせなければいけないという精神的にはかなりきつい職業。実際に病院で彼らの様子を見て感じたことはありますか?監督彼らの仕事ぶりや感情の捉え方を間近に見ることができて、いろいろと新しいことを学べたと思うわ。事前に医学的な知識や臓器移植に関するプロセスというのはそれなりに自分のなかに蓄えてはいたけれど、実際に彼らを観察することで彼らの抱いている感情を知ることができたので、ものすごく細かく、具体的に描写することができたのよ。それから、移植コーディネーターというのは、死から生へと人々をつなぐメッセンジャーのような役割を果たす神秘的な仕事だとも感じたわ。患者さんが脳死していて生きる見込みがないとき、その事実を家族に伝えなければいけないのだけれど、どういう言葉を使って伝えるのかを考え、家族が決断を下すまで彼らはただ待つだけで決して説得はしないのよ。そういうふうに、あるがままを受け入れて淡々と役割を果たしているところが神秘的な存在だと思ったわ。このテーマと向き合ってみて、ご自分のなかで何か変わったことは?監督自分の人生観や死生観にも、もちろん変化もあったわ。ただ、映画監督が作品のテーマを決めるときというのは、たまたま本を読んだからとか、偶然何かを見たからということではなくて、それまでに体験してきたいろいろなことがそのテーマへと向かわせるんじゃないかしら。だから、今回の作品についても、私のいままでの個人的な経験というものが、このテーマに向かわせたんだと思っているわ。あともうひとつ変わったことは、この仕事を終えてドナーカードを作ったということかしら。撮影を通して印象に残っていることはありますか?監督まずは人間の肉体というのは本当に不思議なものだなと強く感じたわね。作品の準備のために心臓手術の全工程を間近で見ることになって、初めて心臓を見たんだけど、ひとつの肉体から心臓が取られて、次の肉体に移植されて、一度止まった心臓がドクドクと動き始める様子を見て、やっぱり人間の力というのはすごいものがあるんだなという印象を受けたわ。だけど、それは科学の力に裏打ちされていることでもあるから、人間というのはすごい生命力を持っていて神秘的だといういっぽうで、ものすごくメカニックなものなんだなというような見方もできるわね。心臓移植は驚くほどリアルな描写でしたが、その理由は?監督今回、詳細な手術シーンを入れたのは、心臓に対する2つの見方をしっかりと描きたいと思ったからなのよ。まず心臓というのは、一般的にはポンプの役割を果たす臓器のひとつであること。そして次に、心臓は筋肉の塊だけれど非常にミステリアスな部分も持っていて、人間の感情のメタファーでもあるということなのよ。そんなふうにいろいろな感情を含んでいるのが心臓という臓器なんじゃないかという思いを描きたかったし、リアルに映像で見せたことで、物質的な部分と感情的な部分の両方が含まれている心臓を自分が思うように表現することができたと思うわ。本作では各シーンで目がとても印象的に描かれていますが、こだわったことは?監督私は以前から目の描き方にはとても関心があるの。この作品でいうと、医療関係者が持っている目の説得力はものすごいなと感じていたところもあるし、いろんな感情の動きを目で捉えられるとも考えていたのよ。それに、もともと私は映画というのは “無言のアート” だと思っているの。それゆえに、登場人物たちの感情の移り変わりや表情の動きというところを重視しながら描いていくべきだし、だからこそ目の動きや力といった “目の表情” というものにとても興味を持っているのよ。臓器移植というシリアスな題材でありながら、作品のトーンを明るめにした部分は意図的ですか?監督確かにそういうふうなことを意識したところはあるわね。なぜなら、ものすごくヘビーなモチーフがたくさん入っているからこそ、若くてエネルギッシュで活き活きとした感覚や光、それから優しさや愛情といったテイストを加味していかないと、自分がやりたいことをいろいろな人に伝えられないと思ったからなのよ。最後に日本の女性たちにメッセージをお願いします!監督私は映画を作る人なので言葉としてはうまく伝えられないけれど、それぞれの人が自分の置かれている状況のなかで無意識のうちに戦っていると思うの。だから、周りのみんなも同じように戦っているんだということを感じて欲しいし、派手なことに惑わされないで、自分の存在というのを自覚して欲しいと思っているわ。生の尊さと儚さに溢れる涙が止まらない!すべての人物に共感し、「もし自分だったら」と問わずにはいられない本作。心をえぐられるような痛みとともに、ひとりひとりの持つ生命の重みを感じるはず。優しく差し込む朝日のような希望の光を体中で受け止めてみて。心臓の鼓動が高まる予告編はこちら!作品情報『あさがくるまえに』9月16日(土)よりヒューマントラスト渋谷ほか全国順次にてロードショー !配給:リアリーライクフィルムズコピアポア・フィルム© Les Films Pelléas, Les Films du Bélier, Films Distribution / ReallyLikeFilms
2017年09月12日食欲の秋、食と一緒にお酒もススム季節ですね。私たちの体には沢山の臓器があります。今回は、その臓器の働きを整えるポーズをご紹介します。Jan Sirsasana(ジャーヌシルシャーサナ)ジャーヌは膝、シルシャは頭を意味します。このポーズは片方の膝を曲げ、もう片方の足に頭を置くという意味のポーズです。方法まず、両足をまっすぐ伸ばして座ります。次に左膝を外側に曲げ、ももの外側とふくらはぎをマットにつけ 左に開きます。かかとは、なるべく恥骨に近づけます。そして、両手を右足の方に伸ばし、足をつかめれば足の裏で手を組みます。右膝は伸ばしたまま、息を吐きながら前屈し、上体の前面を右足に近づけていきます。しばらく、この体勢で1分間ほど呼吸をしましょう。最後に、息を吸いながら頭と上体を起こしもとの体勢にもどります。足を変えて同様に行います。【例1】【例2】ポイント前屈する際に、顔よりも、お腹が太ももに近づくイメージで行いましょう。背中が丸まったまま頭がついてもあまり効果がありません。足の裏まで手が届かなければ、 太ももの横に、手を置いてもかまいません。呼吸を忘れず、無理せず行いましょう。効果肝臓、脾臓(血のフィルターの役割)の働きを整えるので、消化を助け、血液の循環も良くなります。その他にも、骨盤の可動範囲が広がり、ハムストリングのストレッチ効果もあります。食欲の秋だからこそ、しっかり体調管理をしましょう!
2016年10月06日東京医科歯科大学(TMDU)は2月16日、これまで治療が困難だった重症の先天性肺胞蛋白症患児に対して造血細胞移植による治療に成功したと発表した。肺胞蛋白症とは、肺胞内に肺サーファクタント(肺胞の表面張力を減少させるための肺表面活性物質)が異常に貯留する疾患で、有病率は100万人あたり6人という希少疾患。そのうち先天性のものは1%とされ、極めて稀だ。今回、造血細胞移植を受けたのは埼玉県在住の1歳女児で、肺胞蛋白症の原因は樹状細胞の欠損によるものと考えられたため、同治療法による治癒が望めると判断された。女児は2015年7月に造血細胞移植を受け、移植後さまざまな合併症が生じたものの賢明な治療により回復、同年11月に退院することができた。移植後は樹状細胞が回復し、肺胞蛋白症が改善したが、なぜ女児で樹状細胞が欠損していたかはわかっておらず、同大において原因解明に向けた取り組みが進められている。今後、原因が明らかになればより安全で効果的な治療法の開発につながると期待されている。
2016年02月18日日本にも、病気を抱え、臓器移植を待っている子どもたちがいます。ですが日本では臓器移植はほとんど行われておらず、心臓に持病を抱えた子どもたちは、大金を支払ってアメリカに渡り、心臓移植の手術を受ける場合も少なくありません。しかも莫大な費用は、寄付などで賄われていることがほとんど。日本ではアメリカよりも、臓器移植の手術が20年遅れているとされています。医療先進国でもある日本で、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?背景にどのような問題が隠れているのかを探ってみました。■日本では臓器提供が難しい日本は保険制度が行き渡っており、お金のある人もない人も、少額の負担で医療行為が受けられます。一方、アメリカでは、貧しい人は治療を限定した保険にしか入れなかったり、保険そのものに入れなかったりなど、格差が大きくなっています。医療は非常に進んでおり高度な医療が受けられるのですが、お金があることが前提なのです。しかし臓器提供に関しては、日本のように意思確認が難しくないため、新鮮な臓器の供給が可能になります。アメリカでは、ボランティア活動をすることが当たり前。そこで、経済的な理由で病気の治療を断念した人が「自分の臓器が使われれば」と臓器提供するケースが多いのです。そのため、臓器移植を受ける側にとって有利な環境にあります。そもそも日本では、終末医療において、死亡時以外の医療行為の停止は認められていません。この点について、神戸大学大学院法学研究科の丸山英二氏も自身のサイト上で指摘しています。どんな人でも限界まで最大限の医療を受け、治療を長引かせるため臓器の状態が悪くなり、移植に対応できる臓器の供給が難しいという面があるのです。いま、「異色の漫画」として注目を集めているナガテユカさんの『ギフト±』では、女子高生が犯罪者の臓器を闇ルートで販売に関与します。ドラマ化もされた大人気漫画『エンジェル・ハート』では、主人公が心臓移植で一命をとりとめます。フィクションでは驚くほど簡単に臓器移植をしていますが、現実の日本ではほとんどありえない状況なのです。■日本では脳死が死ではない臓器移植の問題は、脳死の問題でもあります。みなさんは、脳死を人の死とするかについては医者の間でも議論が分かれていることをご存知でしょうか。日本では特に倫理上、脳死をまだ人の死とはみなさず、臓器移植は人道に反する行為だと感じて反対する考え方もあるのです。たとえば哲学者の梅原猛氏は、脳死は人の死ではないとして反対しています。この問題は国会議員も巻き込んで大論争となり、脳死を人の死とする立法を目指す活動もはじまりました。ですが、脳死は脳死後ただちに臓器の移植が始められるという誤解が一般に浸透しています。アメリカではむしろ、人の死よりも「人の生のはじまりはどこか」という議論が主流で、妊娠中絶などについて激論が交わされています。そういった文化の違いもあって、日本では議論そのものがかなり欧米に比べて未成熟なのだといえるでしょう。そこが日本の臓器移植が遅れている点でもあります。社会全体がこの問題に向き合い、正確な医学的知識を持って、命と死に関して向き合っていく必要がありそうです。日本人には、「できるだけ死に向きあいたくない」という国民性もあります。しかし、いまこそ議論を進めるべきなのではないでしょうか。(文/渡邉ハム太郎)【参考】※(社)日本看護協会・神戸研修センター「終末期医療とこれからの課題―救急医療から緩和ケアまで―」-神戸大学大学院法学研究科 丸山英二※脳死は人の死か-永井俊哉ドットコム※臓器移植と人工中絶-RELNET(レルネット)
2016年02月02日国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)はこのほど、日本医療研究開発機構(AMED)および先端医療振興財団との共同研究により、再生医療用の移植細胞の製造中に混入または発生するがん化のリスクを持つ悪性形質転換細胞(がん細胞)を超高度に検出する「デジタル軟寒天コロニー形成試験法」を開発したと発表した。同成果は同研究所再生・細胞医療製品部の佐藤陽治 部長とAMEDリサーチ・レジデントの草川森士 博士を中心としたグループによるもので、2015年12月8日に英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。再生医療に用いられる移植細胞の製造工程管理では、がん細胞が混入してしまった場合にそれを高感度で検知し、移植細胞の品質を確保する必要がある。がん細胞の特性である足場非依存性増殖を利用する従来の「軟寒天コロニー形成試験」は、正常細胞への混入を比較的短期間かつ簡便に評価することができるが、従来のアッセイ法におる検出感度は低く、正常細胞中に微量に混入したがん細胞から形成されるコロニーを検出することは困難だった。これに対し、同研究では画像解析によるコロニー検出に挑戦し、細胞の核、ミトコンドリアをそれぞれ青、赤に染める生細胞染色試薬を用いてコロニーを染色し、コロニーの形状、大きさ、蛍光輝度などを指標とすることで1個のコロニーを高精度に認識することが可能となった。また、画像解析のハイスループット化にも成功した。さらに、同技術を応用して、細胞試料をマルチウェルプレートに分割、播種して軟寒天培養を行い、各ウェル内での細胞コロニー形成を解析し、足場非依存的に増殖するがん細胞の混入を評価する「デジタル軟寒天コロニー形成試験」を考案。同試験法は大量の細胞からなる試料であっても、複数に分割したウェル毎にコロニー形成の有無を解析するため、高シグナル/ノイズ比が確保され、試料中に微量に存在するがん細胞を高感度に検出することが可能となる。同試験法を同グループが評価したところ、HeLa細胞相当のがん細胞が混入する細胞試料であれば0.00001%の感度で検出可能であることが示唆されたという。また、細胞試料を分画、播種するウェル数および培養細胞数を調節することで、検出感度を適宜向上させることが可能であることに加え、細胞数にかかわらず、高検出感度を保持する同試験法の適用が可能だと考えられている。同研究グループは今後、再生医療用の移植細胞の製造工程における品質評価のための標準的な試験系にすることを目指し、試験系の自動化などもふまえ、試験方法の最適化に向けた研究を進めていくとしている。
2016年01月18日大日本印刷(DNP)と筑波大学は7月9日、臓器の内部構造が視認しやすい臓器立体模型を3Dプリンタで安価に作製する手法を開発したと発表した。同成果はDNPと筑波大学医学医療系の大河内信弘 教授、大城幸雄 講師、システム情報系の三谷純 教授の研究グループによるもので、7月15日~17日に開催される「第70回日本消化器外科学会総会」で発表される予定。今回開発した臓器立体模型の特徴は、臓器の機能を担う実質部の外面に沿うように形成し、内部をほとんど空洞にしている点だ。内部の状態が見やすいため、血管が複雑に入り組んだ箇所でも確認しやすいというメリットがある。また、樹脂材料の使用量が削減されたことで、コストダウンも実現。3Dプリンタを用いた従来の手法では立体模型1つの製作に数万~数十万円かかっていたが、新手法では約3分の1の価格が可能となるという。3Dプリンタを用いて作る患者ごとの臓器立体模型は、手術のシミュレーションや練習に使用されており、頭蓋骨や顎の一部の手術では実物大の模型の利用が保険適用となるなど導入が進められている。しかし、コストが高いことに加え、不透明またはカラーの樹脂を用いるため光の屈折などによって内部が歪んで見えるなどの課題がある。両社は今後、開発した手法をさまざまな臓器へ展開し、2016年度までの実用化を目指すとともに、外科医のトレーニングや臨床現場での応用を進めていくとしている。
2015年07月09日WOWOWで7月12日からスタートする小泉孝太郎主演の連続ドラマ『死の臓器』は、「臓器移植」をテーマにした麻野涼の同名小説を映像化した、この夏注目の社会派サスペンス。このほど、主演の小泉孝太郎と共演の小西真奈美が、撮影が行われている東映東京撮影所で、本作への意気込みを語った。取材当日、撮影されていたのは小泉演じる主人公・沼崎と小西演じる彼の元恋人・雨宮が働くテレビ番組制作会社での1シーン。2人は2003年の映画『僕だけのマドンナ』以来、12年ぶりの共演となる。「こうやって再会できるのはうれしい。それだけ僕らも大人になったんですね。それなりに成長を重ねたことで20代ではない空気感が生まれて、お互いにナチュラルでいられます。今回は元恋人役なので、"久しぶりの再会"という感覚が役作りの上で助かっています」と感慨深い様子の小泉。一方の小西も「久しぶりで懐かしい! と思いましたし、ちゃんとお芝居をするのも初めてなので楽しいです。以前に共演した時よりもすごく話しやすくて、壁がないオープンな方だと思いました。一度ご一緒している安心感を感じながらも、役柄としてぶつかり合うエネルギーを楽しみながら撮影していけたらと思います」と共演を喜んだ。ちなみに小西はこの日がクランクイン初日。2人は再会を噛みしめながらも緊迫感のあるシーンに堂々と臨んでいた。撮影現場の感想について小泉は「佐藤(祐市)監督はユーモアがあって明るい方ですが、ドラマについて考える時は僕らもスタッフも真剣な空気感になります。撮影が終わった時には今まで見えなかった景色を感じるんじゃないかと期待しています」とコメント。小西も「難しいテーマを扱ってる印象ですが、撮影現場はエネルギーがあふれて明るい雰囲気で回っています。視聴者の方が一緒に考えてくれるような目線の方向付けができれば嬉しいです。私自身もいち人間として考えながら進んでいくと思いますし、このテーマについていろいろ感じながら最後まで臨めたら良いなと思っています」と、本作への意気込みを語った。また、物語のカギを握る医師・日野誠一郎役の武田鉄矢との共演については「武田さんに『やられてる~』って感じで飲み込まれたいです。武田さんと対峙した時に、その色や温度はどうなんだろうと肌で感じたくてワクワクしている自分がいます」(小泉)、「親子役はすごく楽しみです。以前ご一緒した時は、漢字の由来を熱く語っていただいて『金八先生の一人授業!?』みたいな気持ちになりました(笑)。すごく楽しかったので、また、いろいろなお話を聞けたら良いなと思っています」(小西)と期待を寄せていた
2015年06月24日小泉孝太郎がWOWOWドラマ初出演にして初主演を務める、社会派医療サスペンスの連続ドラマW「死の臓器」。このほど、その撮影が行われた東映東京撮影所で、主人公・沼崎役の小泉さんと、その同僚でかつての恋人・雨宮を演じる小西真奈美が、実に12年ぶりの共演となった本作について、当時のお互いの印象とともに作品への意気込みを語ってくれた。本作は麻野涼の同名小説を実写ドラマ化。臓器移植をテーマに、臓器売買の知られざる闇と現代医療の倫理を、映画『キサラギ』『ストロベリーナイト』『脳内ポイズンベリー』など、話題作を手掛けてきた佐藤祐市監督がリアルに描き出す。小泉さんが演じる主人公は、腎臓が摘出された女性の遺体を発見したことをきっかけに、臓器売買の闇を追うテレビ番組制作会社「イフプロ」のディレクター・沼崎恭太。また、臓器移植売買疑惑をかけられる医師・日野誠一郎役には武田鉄矢、沼崎の同僚で元恋人の雨宮由香里役で小西さんが共演する。この日は、「イフプロ」の社内セットで撮影が行われた。報道資料などが置かれた雑然とした制作部では、小泉さん演じる沼崎と社長・野呂三樹雄役の大高洋夫の問答が繰り広げられている。緊迫感のあるシーンながら、佐藤監督のおどけた「オッケー!」という声に、小泉さんからは思わず笑顔が。一方、デスクで2人のやり取りを聞いているのは、雨宮役の小西さん。この日がクランクインだったが、シーンの合間に小泉さんと談笑するなど、終始、和やかな雰囲気で撮影は進んでいた。すでにクランクインから2週間という主演の小泉さんは、撮影現場の様子について、「佐藤監督はユーモアがあって明るい方ですが、ドラマについて考えるときは僕らもスタッフも真剣な空気感になります。普段は考えていなかったことを考えたりするので、撮影が終わったときには、いままで見えなかった景色を感じるんじゃないかと期待しています」と、その手応えを語り、佐藤監督がつくり出す世界観に「すでに引き込まれていて、とても心地が良いものがあります」と話してくれた。ドラマ「僕だけのマドンナ」(’03)以来の共演となる小西さんに対しては、「こうやって再会できるのはうれしい。20代のころは思わなかった感覚ですし、それだけ僕らも大人になったんですね」と感慨深いものがある様子。「『いまでもいい女性だな~』と思う」と明かしながら、「それなりに成長を重ねたことで、20代ではない空気感が生まれて、お互いにナチュラルでいられます。今回は元恋人役なので、“久しぶりの再会”という感覚が、役作りの上で助かっています」と語った。実は、小泉さんと小西さんは同い年。小西さんも「『久しぶりで懐かしい!』と思いましたし、ちゃんとお芝居をするのも初めてなので楽しい」と言う。「一度ご一緒している安心感を感じながらも、役柄としてぶつかり合うエネルギーを楽しみながら撮影していけたらと思います」と期待を込める。今回、ヒロインとして本作に参加することについては、「難しいテーマを扱ってる印象ですが、撮影現場はエネルギーがあふれて、明るい雰囲気でまわっています。視聴者の方が一緒に考えてくれるような目線の方向付けができればうれしいです。私自身も一人間として考えながら進んでいくと思いますし、このテーマについて、色々感じながら最後まで臨めたらいいな」と、意気込みは十分。また、父親役となる武田さんとの共演にあたって、「すごく楽しみです。以前、ご一緒したときは、漢字の由来を熱く語っていただいて、『金八先生の一人授業!?』みたいな気持ちになりました。すごく楽しかったので、また、色んなお話を聞けたら良いなと思っています」と明かす。一方の小泉さんは、武田さんとは初競演。「武田さんに『やられてる~』って感じで飲み込まれたいです。武田さんと対峙したときに、『その色や温度はどうなんだろう』と肌で感じたくてワクワクしている自分がいます」と期待を込める。クランクイン前には、「大きな転機となる作品にしたい」と熱く語っていた小泉さん。「1つの作品で、『視聴者の方がどう感じるんだろう』とここまで強く思ったことがありません。観終わった後に、『どこを見てたのか、何を感じたのか』がすごく気になる作品です。プレッシャーを持って、引き込まれる見応えのある作品にしたいという気持ちです」と、骨太でリアルなWOWOWドラマ初参戦に並々ならぬ決意を覗かせていた。連続ドラマW「死の臓器」は7月12日(日)より毎週日曜日22時~WOWOWにて放送(全5話)。(text:cinemacafe.net)
2015年06月24日京都大学は6月16日、新しい細胞移植法を開発し、ラットの聴神経の機能を再生することに成功したと発表した。同成果は同大学医学研究科の関谷徹治 研究生(医師)らの研究グループによるもので、6月16日に米国科学アカデミー紀要に掲載された。脊髄損傷や神経変性疾患では、中枢神経細胞が次第に死んで神経変性が起きるため、手足の麻痺などが発生する。こうした問題に対し、細胞移植治療による神経機能の回復が試みられているが、現状では、移植された細胞の大部分が短期間で死んでしまうという課題がある。移植した細胞が短期間で死んでしまうのは、中枢神経細胞が死んでいく際に硬い「瘢痕組織」ができるためだと考えられている。同研究グループが開発したのは、従来の細胞を神経内に注入する方法とは異なり、細胞を神経の表面に置く手法。ラットの聴神経瘢痕化モデルを用いた実験では、表面に移植された細胞は、瘢痕化した神経内に次々と入り込み、瘢痕組織を利用しながら形を変えつつ、長期間生き続け、3カ月後にはラットの聴神経の機能が改善していた。顕微鏡による観察でも、移植された細胞がシナプスを介して元の神経と連結していることが確認された。今回の研究は、神経組織の再生にとって瘢痕組織は有害であるという従来の考え方を覆すもので、新手法は筋萎縮性側索硬化症(ALS)やポリオで障害された運動神経の表面に細胞を移植することなどへ応用できる可能性がある。
2015年06月16日小泉孝太郎が7月12日からスタートするWOWOWの連続ドラマ『死の臓器』で主演を務めることが19日、明らかになった。原作は麻野涼の社会派医療サスペンス小説。腎臓が摘出された女性の遺体と、ある一人の医師(武田鉄矢)にかけられた人体実験容疑の接点とは…。患者を救うために必要とされる「臓器移植」をテーマに、大病院と製薬会社の暗躍と現代医療の倫理を問いかけていく問題作だ。女性の遺体を樹海で発見するテレビ番組制作会社のディレクター・沼崎を演じる小泉は「今回演じる沼崎という役は、最終的にこれが正しいんだという答を出す役ではないので、彼が心の中で揺れ動く姿を表現したいと思います。今の日本の医療の現状を考えると、サイコロを上から見るのと下から見るのとで数字が異なるように答が出ない難しい作品ですが、視聴者のみなさんと一緒にこのテーマについて向き合える時間を共有出来たらと思います。30代半ばという年齢から見ても、自分にとって大きな転機となるような作品にしたいです」と意気込んでいる。佐藤祐市監督(映画『ストロベリーナイト』『脳内ポイズンベリー』)は「グレーゾーンに相当する『レストア腎移植』(※癌に侵された腎臓を摘出し、病巣を取り除いた後に腎臓を修復。その腎臓をレシピエントに移植するという術式)というものをどうやってエンタテインメントとして構築するのか、これが最大の問題です。作品を創るというのはいつでも挑戦だと思っていますが、今回はハードルが高いと感じています。とても難しいテーマを扱うからこそ出来る新しいドラマになれば素敵だなと思います」と語っている。出演はほかに豊原功補、小西真奈美、小木茂光、川野直輝、新妻聖子、柴俊夫。『死の臓器』はWOWOWプライムにて7月12日(日曜 22:00~)スタート。全5話(第1話無料放送)。
2015年05月19日麻野涼原作の社会派医療サスペンス小説「死の臓器」がWOWOWの連続ドラマWにて映像化されることが決定。この度、主演に小泉孝太郎が抜擢され、医師役・武田鉄矢と初共演を果たすことが明らかになった。テレビ番組の制作会社のディレクター・沼崎恭太は、富士の樹海で女性の遺体を発見する。法医解剖で凍死と判断されたが、片方の腎臓が摘出されていることも判明。刑事の白井は心に何か引っ掛かるものを感じる。一方、療聖会日野病院では、患者の高倉治子が人工透析を受けていた。治子の体は限界に近づいており、娘の裕美は主治医の日野誠一郎に自分の腎臓を母に移植するよう懇願。しかし日野は頑として受け付けない。そんな中、救愛記念病院にけがをした男女が搬送されてくる。男女にあったそれぞれの手術痕から院長の大田勇は、この男女の間で行なわれた腎臓移植を知る。そしてその腎臓が金で売買されたことを知り、警察に通報。執刀した日野は警察に任意同行を求められる。そのニュースに触発された沼崎は、樹海で見つけた遺体と臓器売買の関係について継続取材を決意。やがて医療現場の闇に近づいていく…。本作の監督を務めるのは、『キサラギ』で第31回日本アカデミー賞優秀監督賞など数々の賞に輝いたほか、『ストロベリーナイト』『脳内ポイズンベリー』を手掛けた佐藤祐市と、「世にも奇妙な物語」シリーズの植田泰史が担当し、患者を救うために必要とされる「臓器移植」をテーマに大病院と製薬会社の暗躍と現代医療の倫理を問う。今回小泉さんが演じるのは、女性の遺体を発見したテレビ番組の制作会社のディレクター・沼崎恭太。“真実の報道”にこだわる誠実な性格ではあるが、一方で報道の正義に翻弄され苦悩する主人公を好演する。医療倫理のはざまで葛藤する医師・日野誠一郎には歌手や俳優など多岐にわたって活躍する武田さんが演じる。そのほか、豊原功補、小西真奈美、小木茂光、川野直輝、新妻聖子、柴俊夫ら豪華俳優陣が顔をそろえた。主演の小泉さんは「WOWOWのドラマは骨太で見応えあるドラマを作っているということは感じていたので、いまのこの30代半ばという年齢から考えても、こういった社会派ドラマをやりたいと感じていました。あとあとふり返った際に、30半ばでの大きな転機となるような作品にしたいと思います」と喜びのコメント。さらに、初共演となる武田さんについては「百戦錬磨の方で凄まじい存在感があるので、考え過ぎずに直観を大事にして、新人の挑戦者として自分の感覚や感性のまま演じたいと思います」。主演の小泉さん、武田さんなどこれまで一緒に作品を作り上げたキャスト陣を迎える佐藤監督も「以前仕事をご一緒したキャストと再び仕事が出来るのはとても嬉しい事です。知っている相手だからこそ以前の仕事よりも良い作品に仕上げなくては、折角の優位性を生かした事にはなりません。これも挑戦です」と意気込みを語った。連続ドラマW「死の臓器」は7月12日(日)より毎週日曜日22時~WOWOWにて放送(全5話)。(text:cinemacafe.net)
2015年05月19日理化学研究所(理研)、オーガンテクノロジーズ、慶応義塾大学(慶大)は4月22日、生体外において臓器の長期保存と臓器の機能を再生する技術を開発したと発表した。同成果は理研多細胞システム形成研究センター器官誘導研究チームの辻孝 チームリーダー、オーガンテクノロジーズの手塚克成 研究開発部長、慶大医学部の小林英司 特任教授らの共同研究グループによるもので、近日中に英科学誌「Scientific Reports」に掲載される予定。現在の臓器移植では、ドナー臓器を臓器保存液に浸して低温で保存する方法が一般的だが、この方法では臓器の鮮度を保てる時間が限られているという課題がある。世界的にドナーが不足する中、長い時間血流が送られなくなって移植不適応となったドナー臓器を再生する技術の開発に期待が寄せられている。同研究グループは今回、臓器が血管網を通じて絶えず血液の供給を受け、ガス交換や栄養分の補給、不要物の排泄などによって恒常性を維持していることに着目し、生体の血液循環を再現できる臓器灌流培養システムを開発した。同システムを利用して、ラットから摘出した肝臓を、22℃の温度域で、酸素運搬体として赤血球を添加した培養液を用いて培養したところ、48時間にわたり肝障害を抑制することに成功した。また、摘出した肝臓を24時間灌流培養した後に、レシピエントであるラットに移植した結果、生存率100%となり、移植した肝臓が正常な大きさまで再生し、生体内で正常に機能することが確認された。さらに、90分間の心停止によって重度の肝障害を受けたラット肝臓に対し100分間の灌流培養を行うことで、肝臓を蘇生させることに成功。蘇生した肝臓を移植されたレシピエントの移植後14日目の生存率は100%だった。今後、ヒトへの応用に向けて研究が進められると同時に、未だ不可能とされている生体外での再生臓器の育成のための培養装置としての発展が期待される。
2015年04月23日富士フイルムは3月19日、再生医療に向けた細胞培養・移植に必要な足場素材「リコンビナントペプチド(RCP)」のマイクロサイズのペタロイド状微細片(petaloid μ-piece)を開発したと発表した。これを細胞と組み合わせて、モザイク状の三次元細胞構造体「CellSaic」を作りマウスに移植すると、細胞だけを移植した場合に比べて、生存効率が大幅に向上するという。生体に移植した細胞を機能させるには、移植した細胞や組織を効果的に生体内に生着させることと、移植した組織や細胞において栄養・酸素の供給や老廃物排泄を可能にすることが重要となる。細胞を生着させるためには細胞の足場となる素材使うこと、栄養・酸素の供給や老廃物の排泄を可能にするためにはその通り道となる血管を早く導入する方法が有効とされている。しかし、細胞塊が大きくなると中心まで栄養や酸素が供給されず、老廃物の排泄も困難になるため血管導入までに細胞が死滅してしまうという課題がある。富士フイルムが開発した「RCP」のペタロイド状微細片を用いて作製した「セルザイク」では、細胞の足場が確保されるとともに、内部に空間が形成され、その空間を通じて栄養・酸素の供給、老廃物の排泄が可能となり、生体からの血管系の通り道が形成される。マウスで行った実験では細胞のみ移植した場合と比べて生存率が約2倍に向上した。また、1型糖尿病モデルマウスを用いた実験も行った。1型糖尿病など、血液中のブドウ糖を調節する役割を持つ膵島の機能不全によって血糖値の制御が困難な場合には、ドナーから膵島を移植するという治療方法が存在する。その際、間葉系幹細胞(MSC)と共に移植することで治療効果が上がることが報告されている。同実験では、hMSCと「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」を膵島と共に1型糖尿病モデルマウスに移植したところ、正常レベルまで血糖値を下げることができた。これは、移植したhMSCが生体内で多く生存しているため、膵島移植の効果が高まったことによるものだと考えられるという。「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」は今後、細胞移植や細胞再生、臓器再生などさまざまな再生医療への活用が期待される。
2015年03月20日東京医科歯科大学は3月17日、扁平メダカを解析し、重量下で潰れない3次元臓器の形成に関わる遺伝子を特定したと発表した。同成果は英バース大学の古谷-清木誠 博士の研究グループとオーストリア IST のハイゼンベルグ 博士、東京医科歯科大学難治疾患研究所発生再生生物学分野の仁科博史 教授ら、大阪大学、慶応大学、広島大学、名古屋大学、英オックスフォード大学、米ウイスコンシン大学の共同研究によるもの。3月17日付けの国際科学誌「Nature」に掲載された。生物を構成するさまざまな組織は整然と配置されることで機能する臓器を形成するが、生物がどのように重力に抵抗して身体の形作りをするのかはこれまで謎とされていた。例えば、ヒトの眼球はレンズがカップ型をした網膜の中心に配置されることで機能するが、レンズや網膜組織が独自の3次元構造を取り、正しく配置するメカニズムは解明されていない。今回の研究では、体全体が扁平になるメダカ変異体を解析した。解析の結果、細胞内で遺伝情報の読み取りを調節する分子YAPの変異が原因であることが判明。YAPタンパク質が消失すると、細胞張力が低下し、重力に抵抗できなくなり、3次元構造をとる組織が崩壊することが明らかとなった。この結果により、YAPが細胞骨格アクトミオシンネットワークの重合・脱重合を調節する遺伝子の発現調節を通じて、細胞張力を制御する仕組みが存在することがわかった。さらに、組織・臓器を正しく配置できないのは、細胞張力が低下したことで、接着の働きをする細胞外基質フィブロネクチンに異常が生じるためであることも突き止めた。この細胞張力制御メカニズムは、ヒトでも同様であることが確認され、脊椎動物の臓器形成に共通したメカニズムであると考えられるという。現在、iPS細胞を目的細胞に分化誘導する研究が推進されているが、立体的な組織や臓器を作ることは未だ困難な状況にある。今回の研究成果は、細胞張力制御の観点からこの問題解決の糸口となることが期待される。
2015年03月17日東京医科歯科大学と科学技術振興機構(JST)は8月16日、マウスをモデルとした実験で体外に取り出して培養した小腸上皮細胞を消化管(大腸)へ移植することに成功したと発表した。この成果は、同大学大学院医歯学総合研究科 消化管先端治療学の中村哲也 教授、同 消化器病態学分野の渡辺守 教授、同 水谷知裕 特任助教、同 福田将義 医員らの研究グループによるもので、米科学誌「Genes & Development」にて発表された。同研究グループは2012年に、大腸の最も内側にならぶ上皮組織の幹細胞を体外で増やし、移植することで傷害を受けた大腸の修復が可能であることをマウス実験で確認していた。しかし、小腸について同様に体外で増やした細胞の移植による上皮組織の再生が可能かどうかはわかっていなかった。今回の研究では、肛門付近の大腸に上皮の欠損を生じる大腸傷害マウスモデルを作成し、全身で蛍光を発する別のマウスから小腸上皮細胞を取り出して増やした後に、大腸傷害マウスへ移植。その後経過を観察して体外で増やした小腸上皮細胞を別のマウスへ移植し上皮組織が再生可能であるか、移植片内で再生する細胞はいかなる性質を示すのかを調べたという。大腸傷害マウスを調べたところ、移植直後から蛍光で識別できる移植小腸細胞が大腸組織に接着して新しい上皮を形成し、2週間後には、移植細胞が生体内で分裂・増殖を繰り返すことが判明。4週間あるいは4カ月経過後にも、小腸細胞が移植を受けたマウスの大腸に安定して組み込まれていることがわかり、移植細胞が体内で上皮組織を再生する幹細胞として機能することが確認されたという。次にこの移植片を詳しく調べたところ、増殖を繰り返す細胞群とともに通常の小腸上皮に含まれるすべてのタイプの細胞を含むことから、移植された細胞が個体内で小腸型の上皮幹細胞として機能していることがわかったという。それに加え、移植片内に通常小腸に見られ大腸には見られない特徴が含まれること、その細胞が示す遺伝子パターンも大腸とは明らかに異なることもわかり、実際に小腸型上皮幹細胞に特徴的な形態と機能を持つ細胞を確認することができたとのこと。同研究グループは、これらの結果から、「体外で増やした小腸上皮幹細胞が、たとえ自身が由来する小腸と異なる(大腸)環境に長期間おかれても、小腸型幹細胞としての性質を維持できることも明らかとなった」と結論付け、今後この発見がさまざまな細胞を利用する消化管上皮再生医療技術の基礎となることが期待されるとしている。
2014年08月18日(画像はプレスリリースより)「臓器」に注目する!株式会社美術出版社は3月20日に、きれいになる絵本シリーズ第一弾として「臓器セラピー」を発売します。本書のキーワードはズバリ、「臓器」!肩こり、頭痛などの症状の原因を「臓器」からのメッセージだと考えるものです。そのメッセージの原因は何なのか知ることより、身体だけでなく心も健康になってしまおうという一冊です。絵本の内容内容は実にユニークです。第一章では、自分の症状とその原因として考えられる、「考え方や性格」などが紹介してあります。これによって読む人は自分の症状だけでなく自分の心も見つめ直すことになるでしょう。第二章では、「心と身体を軽くする足裏のもみ方」が紹介されています。著者の大谷由紀子先生は「ふくらはぎをもむと超健康になる」「足裏をもむと健康になる」などの著書もあり、フットマッサージ関連の書籍を多数出版していらっしゃいます。絵を担当しているのは、イラストレーターの坂崎千春さん。坂崎さんによって描かれたカワイイ臓器たちに、癒やされること間違いなしです。価格は1400円(税抜き)、120ページです。【参考サイト】▼PR TIMES▼株式会社 美術出版社「きれいになる絵本」の紹介
2014年03月17日いつも財布の中に入っている運転免許証や健康保険証。その裏に、臓器提供についての意思表示をする欄があることを知っていますか? なかなか普段考える機会はないかもしれませんが、例えば突然交通事故に遭ってしまったら…。臓器移植をするかどうかという問題は、意外に身近なところにあるのです。毎年10月は臓器移植普及推進月間。臓器移植について考えるのによい機会です。またそれに合わせ、公益社団法人日本臓器移植ネットワークは、アステラス製薬株式会社の支援によって、10月1日から 「グリーンリボンキャンペーン」 を全国で展開中なのだとか。キャンペーンでは、「音楽」「ゴルフ」「ゆるキャラとのコラボによる地域密着イベント」の3つを柱として、幅広い世代へ臓器提供についての意思表示の大切さを伝え、健康保険証・運転免許証・意思表示カード・インターネットでの意思表示という具体的なアクションへとつなげていくそう。また、今年のスローガンは、「THINK FOR ACTION」。ぜひ、この機会に臓器移植について考えてみませんか。音楽を通じて臓器移植の意思表示について考えるために、MTVと共にSHIBUYA-AXにて10月15日(火)にライブイベント 「Green Ribbon HEART BEAT LIVE with MTV」 が開催されます。グリーンリボン活動に賛同する4組のアーティスト(堂珍嘉邦さん、moumoon、片平里菜さん、BREATHE)が出演し、音楽を通じて臓器提供の意思表示について考える機会をもたらしてくれそうです。ゴルフを通じてグリーンリボン活動を広げるために、PGMホールディングス株式会社のゴルフ場運営子会社、パシフィックゴルフマネージメント株式会社と共に、リーフレットや「PGM×グリーンリボンキャンペーン」オブジェを設置したり、グリーンリボンバッジをつけるなどして、啓発活動を行っているそう。ゴルフツアートーナメント「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」でのタイアップや、「グリーンリボンカップ」と題したオープンコンペも開催予定なのだとか。「グリーンリボンキャンペーン」が広く知られるきっかけになりそうですね。また、「グリーンリボンキャンペーン」の使者に任命された“ハーティちゃん”が全国のゆるキャラを訪問し、各地で臓器提供についての意思表示の大切さを伝えていくという取り組みも。早速、10月5日には訪問第一弾として、さっぽろテレビ塔1階で開催される、秋のさっぽろテレビ塔「キャラクター大集合!!」に、ハーティちゃんが登場するそう。ハーティちゃんの活躍をぜひ見てみては?グリーンリボンは、世界的な移植医療のシンボル。グリーンは成長と新しいいのちを意味し、“Gift of life”(いのちの贈りもの)によって結ばれた臓器提供者(ドナー)と移植が必要な患者さん(レシピエント)のいのちのつながりを表現しているそう。この「グリーンリボンキャンペーン」が、臓器移植について考えるきっかけになるといいですね。・日本臓器移植ネットワーク 公式サイト ・グリーンリボンキャンペーン 公式サイト
2013年10月03日なくてはならない男らしさと威厳の象徴トルコで男性の健康や美容をテーマにしたツアーが急成長中だ。中でもヒゲの移植を目的としたツアーに人気がある。12月26日、イギリスの the guardianが報じた。(写真はバブルマッサージを受けるツアー客)口ヒゲと顎ヒゲの移植がポピュラーになってきたのは2年ほど前。国内だけではなく中東アラブ諸国からのツアー客も多い。アラブ諸国では男性の口ひげは男らしさと威厳の象徴であり非常に重要なものだ。ヒゲのないスポーツマンのような顔ではビジネスもうまくいかないという。当然結婚にも影響する。2人、3人、4人と妻を迎える度に移植を繰り返すリピーターもいる。しかし、女性パートナーからの勧めで移植を決める人はほとんどなく、みな自分の意志で施術に来るのだそうだ。移植後、ヒゲが増えたからと言ってそれまで以上の手入れが必要になるということはなく、ほぼ放置状態だという。アラブ諸国からツアー参加西欧にも?4日間イスタンブールに滞在し、移植施術料込みのツアー料金は2,300ドル。アラブ首長国連邦、クウェート、サウジアラビア、イラクからの参加者がある。ツアー・マネージャーの Irfan Atik は、今後はイギリスなどにもツアーを広めたいが、アラブ諸国とはファッション感覚が違い、西欧の方がファッショナブルだ。と話す。トルコ・イスタンブールはアラブ諸国の中で最も観光客が多い。訪れる観光客は2001年には約70万人だったが2011年には400万人に増えた。カルチャー、ファッションの面でも近隣諸国へ与えている影響は大きく、トルコの俳優や歌手は各国のテレビで見ることができる。彼らにももちろん立派な口ひげがある。元の記事を読む
2012年12月30日ソーシャル・ネットワーキング・サービスの「Facebook」は9月5日、臓器移植のあっせん機関「日本臓器移植ネットワーク」の協力のもと、Facebookのタイムライン上で、臓器提供の意思表示を共有できる機能を、日本国内向けに追加したと発表した。同機能は、5月にアメリカとイギリスで提供を開始。以降10カ国(オーストラリア、オランダ、スウェーデン、デンマーク、スイス、アイルランド、ニュージーランド、南アフリカ、コロンビア、ブラジル)で使えるようになっている。また、韓国でも同日から提供を開始しており、同機能が公開されてから、25万人以上の人が、臓器提供者として登録されているという。臓器提供者として意思表示を登録するには、自分のタイムラインページの投稿欄で「ライフイベント」をクリックし、「健康」から「臓器提供」項目を選択。タイムライン上に投稿欄が表示されたら、日付や思いを入力し、共有範囲を指定した上で投稿する。投稿した内容は、友達とシェアすることも可能。投稿欄には、日本臓器移植ネットワークへのリンクが表示されるので、臓器提供の意思登録を行いたい場合は、そこから手続きすることができる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月06日ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーは、女性特有の疾患である、骨盤臓器脱に関する「骨盤底ケア通信」を発行。同疾患の認知向上をはかるとともに、患者のQOL向上を目指すという。同疾患は、臓器が本来の位置より下がり、場合によっては腟(ちつ)の外に出てきてしまう病気である。女性の骨盤の中にある子宮、ぼうこう、直腸、腟(ちつ)などを支える骨盤底の筋肉や、靱帯(じんたい)の力が加齢とともに低下することが原因だそうだ。排尿や排便のトラブルなどの症状が現れ、中高年女性のQOLを著しく下げるといわれている。同社によれば、アメリカでは女性の10人に1人が生涯のうちに骨盤臓器脱か尿失禁の手術を受けており、スウェーデンの調査では、20~59歳の女性の31%、出産経験者の44%が骨盤臓器脱だという報告があるという。しかし、日本における同疾患に関する認知は低く、同社が2011年に同疾患のリスク層である50歳以上の女性530名を対象に実施した意識調査によれば、64%の女性が「知らない」ことが明らかになっている。同通信では、骨盤底筋の緩みを予防・改善する「骨盤底筋体操」を紹介。尿漏れ、頻尿の改善はもちろん、臓器がすでに腟(ちつ)から出てきている人でも、症状が軽度であれば、体操で改善することもあるそうだ。また、一般の人からの電話相談を受け付けている「ウロギネホットライン」も紹介している。看護師などの専門家が、同疾患に関する症状や日常生活の悩みについて一緒に考え、アドバイスを行うという。WEBサイトでは、尿漏れや同疾患について詳しく解説している。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月01日