世界最大級の自主映画コンペティション「PFFアワード2012」の公募が今年も2月1日(水)から開始される。その他の写真「PFFアワード」は、“新しい才能の発見と育成”、“映画の新しい環境づくり”をテーマに、1977年より続くPFF(ぴあフィルムフェスティバル)のメインプログラム。事務局には、毎年2か月という短い応募期間に、平均500本以上もの自主映画が寄せられる。PFFでは、通常の映像コンペに設けられる、年齢、プロアマ、上映時間などの一切の規制を排し、「過去1年以内に制作された未公開作品」であれば、どんな作品を応募しても受け付けられる。集められた作品は、「最低3人が必ず最初から最後まで1分1秒もらさず観る」というルールで審査。さらに一次通過作品を審査員全員で審査した後、7月に入選作品を決定。入選作品は、9月に東京国立近代美術館フィルムセンターで上映され、その後、全国を巡回する。事務局が海外の映画祭などにも積極的に作品を紹介するため、応募作品次第では応募作の海外上映の可能性もある。これまで、森田芳光、黒沢清、中島哲也、園子温、矢口史靖ら多彩な監督たちを発掘し紹介してきたPFFだけに、今年も多くの応募が予想される。「PFFアワード2012」応募締切:3月31日(土)当日消印有効※本年度よりフィルム作品以外の応募はDVDのみの受け付け応募に関する詳細は映画祭公式サイトに記載「第34回PFFぴあフィルムフェスティバル」2012年、東京国立近代美術館フィルムセンターほか全国で順次開催
2012年01月25日一般の人々が有志で映画を上映する“自主上映会”が、全国各地で盛り上がりをみせている。公共施設のホールなどで行われる上映会には多くの観客が集まり、上映終了後は監督や主催者と観客が熱いトークを繰り広げる。そんな自主上映会ブームの背景からは、ソーシャルメディア時代に求められる、映画上映の新しいスタイルが見えてくる。その他の写真自主上映作品として今最も注目を集めているのは、鎌仲ひとみ監督によるドキュメンタリー映画『ミツバチの羽音と世界の回転』だろう。先月、都内で行われた自主上映会&監督トークイベントには平日にも関わらず120人を超える観客が集まった。2010年の公開当時、マスコミにはほとんど取上げられなかったが、インターネットを中心としたクチコミで観客数を増やし、3月11日の震災後にようやく大手新聞各社に取上げられた。「小さな掲載でしたが、反応はすごく大きかった。若い人しか観に来なかったのが、紙媒体の情報のみを受け取る世代の人たちも観てくれるようになった」(鎌仲監督)。現在も週末には全国各地3~6カ所で上映が行われ、2010年6月からの自主上映回数は320回を超える。また、観客側にとっての大きな魅力は、ほとんどの自主上映会で監督や関係者と直接対話できる機会が設けられていることだ。「ひととひとが繋がる場を作りたかったので、始めから自主上映のスタイルにこだわった」と語るのは、遺伝子研究で知られる村上和雄博士のドキュメント『SWITCH…』を手がけた鈴木七沖監督だ。「この15年くらいでコミュニケーションの仕方が大きく変わってきた。バーチャルなコミュニケーションの力がどんどん大きくなると、今度は振り子のように全く反対のアナログのコミュニケーションの力が大きく働くんじゃないかと思う。昔の移動紙芝居のような、リアルな場が復活するのではないか。言葉を音のバイブレーションとして、耳で直接受け取る。そういうのはインターネットでは体感できないですからね」(鈴木監督)。もともと映画館は同じ時空間で同じ体験を共有するリアルな場として機能しているが、自主上映会では映像の作り手である監督や、情報発信者である主催者との縦のつながり、また受け手である観客同士の横の繋がりがよりはっきりと感じられる。すでにDVD発売されている映画の上映会でも観客が集まる理由に、こうしたつながりを求める心理が働いていると言えるのではないだろうか。このようなソーシャルメディア時代にフィットして支持される自主上映会のスタイルが、通常の映画上映の未来にも変化をもたらすことになるかもしれない。『ミツバチの羽音と地球の回転』全国各地の劇場にて上映&上映会実施中『SWITCH 遺伝子が目覚める瞬間』全国各地にて上映会実施中取材・文:渡部真里代
2011年10月11日