「親の介護でやっていけないことは2つあり、1つはなんでもお金で解決しようと思わないこと。仕事や家事に追われていると、『手続きが面倒』『急いでいるから』といって、親の病院への支払いや介護費をつい立て替えてしまう人が多いようで、自分たちの生活にしわ寄せがきます。2つは、1人ですべて背負わないこと。介護はプロに任せるのが基本です。介護保険で使えるサービスを知っておくと“もしも”のときにも安心できます」そうアドバイスするのは、『残念な介護楽になる介護』(日経プレミアムシリーズ)の著者で、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。介護が必要になったとき、ほとんどの親は「住み慣れた家で過ごしたい」という希望を持つが、支える家族の負担は増える。介護にかかる費用を抑えながら、家族の負担を少なくするツールを知っておくことが、「楽になる介護」につながるという。「在宅介護を続けていると、一時的に介護が難しくなるときがあります。たとえば、介護者の残業が続くようになった。親戚や親しい友人の冠婚葬祭に出席するために、泊まりがけで出かけなければならない、また、介護疲れをリフレッシュするために旅行に行くということもときには必要でしょう。そんなとき使いたいのがショートステイです。さらに、日常的に介護が楽になるサービスは、あまり知られていませんが、小規模多機能型居宅介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護が便利です。自治体にこれらの介護サービスがあるかどうかは、介護保険の小冊子で調べるほかに、介護のよろず相談所の『地域包括支援センター』などで聞いてみましょう」(井戸さん・以下同)骨折など長期入院したときは、病院内の医療ソーシャルワーカーが、退院後の生活について相談してくれることもある。そんな介護サービスを使って“楽”になった実際のケースを井戸さんが解説してくれた。【ケース1】80代の両親を同時に同居介護専業主婦のB子さん(61)は同じ敷地内に住む両親の“同時介護”をしていた。3年前に父(享年86)をみとり、認知症の母(89)は今は要介護2。元々、父が母の介護をしていたが、父にがんが見つかり自宅で療養をすることに。父は要介護1だが、母の世話をする体力はなかった。2人とも「最期まで自宅で過ごしたい」と願い続けたので、1階の居間に介護ベッドを2つ並べて、B子さんが世話をし始めた。「母はトイレに行ったことを忘れてしまうので、1日に何度もトイレ介助の呼び出しをしてきたそうです。つきっきりで介護をする状態が続いたので、B子さんは体調を崩してしまいました」このままでは「親子共倒れになってしまう」と、心配したケアマネジャーが提案したのが、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」というサービスだった。【サービス】「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を使おう定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、1回につき15分程度の訪問介護サービス「定期巡回サービス」を1日に3〜4回行い、このほかに具合が悪くなったときや室内で転倒したときなど、24時間対応の「随時対応サービス」で、貸与されたケアコールで呼び出すと、介護事業所のオペレーターにつながり、看護師やヘルパー、ケアマネジャーが対応してくれるという仕組み。さらに、医師の指示のもと、訪問看護が受けられるというように、24時間体制で在宅生活を支えてくれる。「利用できるのは要介護1〜5の人で、利用料金は定額制です。B子さんの両親は1カ月3万9,749円で済んだそうです。ケアプランは、入浴のために週2回デイサービスに通い、定期巡回サービスの訪問介護を1日3回、3度の食事の世話のために来てもらいました。利用枠は1回で2人分、30分サービスが受けられるようにプランを組んでもらったそうです」このプランのおかげで、B子さんは食事の世話や母のトイレ介助のコールから解放されて、ようやくパートに出られるようになった。父をみとってからも安心した介護生活が続いているという。【ケース2】介護者がどうしても家を空けるとき契約社員のC子さん(55)は、母(79)と、夫と子どもの4人暮らし。母は心臓に持病があるため運動ができず、入退院を繰り返すたびに足腰が弱っていき、要介護3になってしまった。「介護者がどうしても家を空けるときにショートステイを使いますが、施設に空きがあれば、利用日数いっぱい使う方法もあります。C子さんの場合、母が留守番をしているときに倒れたら心配なので、ケアマネジャーに相談したところ、在宅介護で使えるサービスをショートステイのみにするプランを立ててもらいました」そんな使い方ができたとは知らなかったとC子さんはいう。【サービス】「ショートステイ」を活用しようショートステイとは、介護施設に短期間滞在して、生活援助やリハビリなどを受ける。「特別養護老人ホームや特定施設の認可を受けている有料老人ホーム(短期入所生活介護)で利用すると、食事や入浴などの生活援助を受けることができ、介護老人保健施設(短期入所療養介護)では、生活援助のほかにリハビリが受けられます。利用できる日数の目安は、要介護度によって異なります」C子さんの母は要介護3なので、26日使えるが、施設の都合で、3週間特養のショートステイで生活をして、1週間自宅で過ごす、というプランを立てた。「ケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、2泊など体験入所を経て契約。料金は介護保険の1〜3割と食事代などです」施設サービス費、居住費、食費代込みで、月3万8,575円(1割負担)。母の年金で支えた。介護はいつ終わるかわからないので、親も介護する家族も“楽”になれるプランを選ぼう!「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月28日介護を楽にするさまざまなアイデアグッズが日々、誕生している。そこで、実際に介護をしている人と、介護のプロたちが選んだ、おすすめ商品を紹介!介護作家・ブロガーの工藤広伸さんは、岩手県で一人暮らししている、認知症で要介護2の母(77)を9年間も遠距離介護してきた。「これまでやってこられたのは、さまざまなアイテムを活用してきたから。なかでも見守りカメラは欠かせません。一緒に住んでいないので、転倒をして何日も見つからないなんてことがないように、“安全を保つため”には必需品です」認知症介護で困るのが、もの忘れへの対処。財布や鍵など大事なものがないと大騒ぎに。「認知症で“モノ盗られ妄想”が出る人もいて、財布などが見つからないと、『盗ったでしょう』と泥棒扱いされて大ゲンカになることも。そんなときは、キーファインダーのリモコンのボタンを押すと、ビビビと鳴ってありかを教えてくれます。母も安心するのか「あら、ごめんね」と素直に謝ります」忘れっぽくなるにつれ、家の中に張り紙が増えていく家庭も多い。「トイレの場所や電話の使い方などを張り紙で説明して張っていても、めくれていると認知症の人は剥がしてしまうことが。長持ちするし、捨てられにくくなるので、手貼りでラミネート加工ができる商品がおすすめです」■便利グッズは介護売場以外にも介護ジャーナリストでオールアバウトガイドの小山朝子さんは、20年以上介護現場に関わり、祖母を介護した経験も持つ。「かつてある病院でおかずもごはんも同時にミキサーにかけ食べさせていたのを見ました。いまでは、見た目や食べやすさに配慮した『ユニバーサルデザインフード』と呼ばれるレトルト食品も増えています。在宅介護を担う多忙な人にもおすすめです」高齢になるとのみ込みづらくなる嚥下障害が生じることも。予防するためには、食事の前に冷たいものを食べて口内を刺激することが有効だという。「冷たいものを冷たいまま食べさせられるスプーンが活躍します。コロナ禍では、食事が唯一の楽しみという高齢者も多いので、食事まわりのグッズも工夫してみては」介護の負担を軽くしたり、介護される側の生活を向上させるような便利グッズは、介護用品売場以外に隠れていることも多い。「ホームセンターなどで商品を見てまわっているときに、これは、あの困り事に役立ちそうなグッズだ!と見つけることが多いですね」(工藤さん)ぜひ参考に、少しでも快適な介護を目指してほしい。「女性自身」2021年3月23日・30日合併号 掲載
2021年03月24日「82歳の母は、要介護1の認知症で、あまりに症状がひどいときだけ、抗不安薬を服用することになっています。しかし、効能や飲むタイミングを理解できず、症状が出なくても毎日薬を飲みたがって……。薬を隠しても、見つけ出して飲むことがありました。そこで、使ってみたのが偽薬です」そう話す東京在住のA子さん(52)が使っている偽薬がプラセプラス30。見た目は薬だが、ラムネのような甘みがある白いタブレットで、有効成分が入っていない“食品”だ。A子さんは続ける。「母には、着替えなどの日常動作ができなくなる『失行』という症状も出ています。特に表裏、前後左右がわかりにくい下着を着るときは、いつも間違えてしまう。しかし、手伝うとプライドが傷つくのか、怒りだしてしまうんです」そんな悩みを救ったのが、HONESTIESという会社が作った表裏・前後のない肌着だった。「偽薬とこの下着のおかげで、介護がぐんと楽になりました」介護を楽にするさまざまなアイデアグッズが日々、誕生している。そこで、実際に介護をしている人と、介護のプロたちが選んだ、おすすめ商品を紹介。【食事編】日々の食事を少しでも楽に■「木目持ちやすい茶碗」Skater(スケーター)/価格:550円/オンラインショップ「Skater」母がよく茶碗を割ってしまうのだけど、プラスチック製のものは“味気ない”と嫌がって。そんな悩みがある人にすすめたい一品。軽くて丈夫なプラスチック製だが、デザインは木目調で持ちやすい形状。持ち手のついた茶碗や皿もある。■「アルミアイスクリームスプーン」アイデアセキカワ/価格:660円/オンラインショップなど熱伝導効率のいいアルミで手の体温をスプーンの先に伝え、アイスクリームを溶かしながら食べられるスプーン。平べったい形状が食事の介助に使いやすく、冷たいものをそのまま食べられる。その刺激で、嚥下障害予防の期待も。■「やさしい献立 煮込みハンバーグ」キユーピー/価格:195円/スーパーなどのみ込む力やかむ力がない人に配慮したキユーピーの「やさしい献立」シリーズは全60種類。塩分控えめだが味は一流で、特に“煮込みハンバーグ”は介護食っぽさを感じさせない。疲れて食事の用意ができないとき用のストックにも。【介護者の負担軽減編】楽に介護できるように■「快適・介護インナー 白寿」介護用品のうさぎ屋/価格:3,990〜4,260円/オンラインショップ「うさぎ屋ショップ」元看護師が開発して反響を呼んだ認知症患者向けの下着。長めの前身ごろを股の下を通してお尻の上の面ファスナーで留めるため、着用している人に拘束感を与えず、おむついじりなどを予防できるデザインになっている。■「おむつが臭わない袋BOS 大人用箱型(Lサイズ90枚入)」クリロン化成/価格:1,430円/ドラッグストアなど医療向けに便を収容する袋を開発してきたメーカーが作った“驚くほど臭わない”と大ヒット中の消臭袋。尿臭や便臭のあるおむつや掃除のあとの処理に大活躍する。外出時にも、かばんや周囲への臭い漏れを防げる。■「アタック 消臭ストロングジェル」花王/価格:500円程度/ドラッグストアなど尿臭や体臭の発生を抑える「尿臭ブロッカーEX」成分を配合した洗濯洗剤ジェル。ドラッグストアの介護用品売場などで購入できる。「スプレータイプの消臭剤が必要なくなった」という家庭も。■「見守りカメラ」各種メーカーから/価格:3,000円前後〜/オンラインショップなど近年は3,000円程度から購入ができて、初期設定も簡単に。インターネット回線を使うのが一般的だが、携帯電話と同じシステムを使って、ネット環境がなくても利用できるカメラも。ただし、こちらは3万円前後と高額。【要介護者の生活ヘルプ編】介護される側の生活を助ける■「niho(にほ)小銭が取り出しやすい財布」DFCパートナーズ/価格:1万780円/オンラインショップ「dfshop」認知症当事者の目線で開発された財布。お札と小銭とカードなどの中身がひと目で確認でき、取り出しやすい。ストラップを付けてかばんなどにつなげることも可能。「楽しく出掛けられるように」との思いのデザイン。■「メガ曜日日めくり 電波時計」ADESSO(アデッソ)/価格:3,850円/家電量販店やオンラインショップなどひと目で曜日がわかる電波時計。介護は「月曜日は訪問リハビリ、火曜日はデイサービス」など、曜日単位で予定が決まっていることが多く、日付より曜日が大きくわかるものが重宝する。紙をめくる必要もない。■「HONESTIES∞インナーシャツ」HONESTIES/価格:2,750円/オンラインショップ「HONESTIES」などどう着ても正しく着られる下着。認知症などの影響でうまく下着を着られない人の助けに。また、洗濯時に表裏を気にする必要もない。もともと介護用に開発されたものではなかったが、便利だと介護現場で受け入れられた。【忘れ物対策編】認知症の症状がある人の生活に役立つ■「プラセプラス30(30粒)」プラセボ製薬/価格:999円/オンラインショップなど還元麦芽糖を主成分とする、甘味のある白いタブレット。認知症患者は薬を飲んだことを忘れたり、不安から大量に薬を飲んでしまうことがある。そういった場合に。また、飲んだという“自己暗示”で本人の心も安定するという。■「Aosnow キーファインダー」iitrust/価格:2,000円/オンラインショップなど認知症だと物をしまった場所を忘れたり、「盗られた」と思い込んでしまうことも。よくなくすものにキーホルダータイプの発信機をつけておけば、送信機のボタンを押すと大音量で受信機が鳴って場所を特定できる。■「持ち物・忘れ物チェッカー」コモライフ/価格:1,078円/全国生協、オンラインショップなど出掛ける前に「家の鍵」「財布」など持ち物の項目を確認しながら、スライダーを動かして「○」にすれば、持ち物を「見える化」でき忘れ物防止になる。外出先で「玄関の鍵しめた?」と“もの忘れ”しても安心。■「メモできるリストバンド」コスモテック/価格:1,320円/文房具店、オンラインショップなどリストバンドとして手首に巻くことができ、油性ボールペンで書いて消しゴムで消せるのが特徴。紙のメモのようにどこかになくしてしまうこともないので、外出先などで忘れたくない予定などをメモしておくのにぴったり。■「ホワイトボード」各種メーカーから/価格:100円前後/100均ショップなど何度も書いて消せるホワイトボードをわかりやすい場所に置いて、「今日の予定」や「出発時間」「介護者の居場所」などを書いておくと、何度も同じ質問をしてくる“質問攻め”が減少する。■「手貼りラミネートフィルム」大創産業/価格:110円〜/ダイソーで購入可能認知症介護で家中に張り紙をしている場合、ラミネート加工しておけば、剥がれたり、剥がされたりすることを防げる。この商品は専用の機械がなくても、紙をはさむだけで、手貼りでラミネート加工が可能に。サイズも豊富。※価格はすべて税込み。販売店によって価格が前後することがあります。予告なく価格が変更されたり、販売終了される場合もあります。「女性自身」2021年3月23日・30日合併号 掲載
2021年03月24日家庭の諸事情によって、働き方を変えなければいけないことは、誰にでも起こりえます。定められた労働時間に働くことが難しく、勤務する時間帯をずらすなど、いろいろな調整を職場に相談することもあるでしょう。「介護します」と上司に話すと?とある男性は、自分の親を介護するため、職場の上司に遅刻や早退が増えることを相談しました。すると、上司はこんな言葉を返したそうです。「奥さんに仕事を辞めてもらうわけにはいかないの?」※写真はイメージ予想外のひと言に、あ然としてしまった男性。上司は「介護という役目は、妻が負うもの」と決めつけていたのかもしれません。男性は上司に、こんな言葉をいい返したそうです。「は?僕の親なんだから、仕事を辞めるなら僕のほうですよね?」共働きの世帯が増えていますが、未だに「家事や育児、介護は女性が担うもの」といった考えが根深くあります。男性が「育児休暇や介護休暇を取得したい」「働き方を調整したい」と考えていても、いい出しづらい職場もあるようです。男性が一連のやり取りをTwitterに投稿したところ、多くの反響が寄せられました。・よくいってくれた。上司さん、時代は令和よ…。・ド正論。世の中は「介護は家庭内、だから女の仕事」って思う人がまだ多いのかな。・この考え方が当たり前の社会に、早くなってほしいです。・かっこいい!スカッとしました。何もかも妻がやればいいと思ってるなら、大間違いです。男性はその後、上司と話し合いを進めることができ、共働きをしながら介護を続けているとのこと。「家事や育児、介護は女性がするもの」という偏見は、女性だけでなく、男性も苦しくさせてしまうでしょう。性別に関係なく、誰もが向き合う課題として捉え、働きやすい柔軟な社会を目指したいですね。※掲載許可は頂いておりますが、投稿者様のご意向により匿名で掲載しております。[文・構成/grape編集部]
2021年03月23日今年’21年は、3年に1度の「介護報酬」を改定する年です。介護報酬とは介護サービスの料金のこと。身体介護が何分でいくらと、国が定めている。4月からの改定に向けて、新しい料金体系が固まってきた介護報酬について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■政府は、介護報酬の公費負担増やすべき今回の改定では、介護サービス費全体を0.7%引き上げます。たとえばデイサービス(通所介護)は、1回約100円上がります。ただ多くの利用者が1割負担なので、「1カ月分で数百円上がる」という方が多いでしょう(所得によって2割負担、3割負担の方も)。今回のポイントは、床ずれの予防やおむつ使用がなくなるなど身体状態の改善に、介護報酬がつくようになったことです。そもそも介護報酬は、介護の手がかかったときに料金が発生します。そのため大変な労力をかけ自立を支援しても、たとえばおむつがはずれ、自分でトイレに行き、用が足せるようになると、排せつの介助に対する介護報酬はなくなり、結果的に介護業者の利益を減らしてしまいます。これが自立支援を阻んでいるのではと問題視されていました。3年前の改定で、おむつをはずすためのケアに介護報酬が設定され、今回はもう一歩進めて、おむつがはずれたなどの成果に料金加算が認められました。介護の重度化を防ぎ、自立支援に力を注ぐきっかけになってほしいと思います。またコロナ禍で、介護業者はかなり疲弊していると思います。そこで、新型コロナウイルスの対策費として、4〜9月の期間限定で、すべての基本料金に0.1%上乗せします。現場のご苦労を思うと、私は足りないくらいだと思います。こうした介護報酬は、介護サービスを受けた方の支払額に反映されるだけでなく、介護業界で働く方の給料にも影響します。介護保険サービスを行う事業者は、介護報酬が上がれば収入が増えますから、職員の給料を増やす余裕が生まれるでしょう。慢性的な人手不足の介護業界で働く方を増やすため、またコロナ禍のいま働く方の給料アップのためにも、介護報酬の引き上げは必要だと思います。介護報酬は、利用者が1〜3割を負担しますが、残りは公費(税金)と介護保険でほぼ折半しています。国全体の介護費は、介護保険制度が始まった’00年には約3兆6,000億円でしたが、’20年度予算は約12兆4,000億円とほぼ3倍。’25年には団塊の世代が後期高齢者になり、膨らんでいくでしょう。それにつれて、私たちが負担する介護保険料も上がっていますが、消費税率も引き上げたのですから介護報酬は公費負担を増やすなどして対応していただきたい。’20年度の第3次補正予算には、約1兆円ものGo To トラベル事業費が組み込まれましたが、正しい税金の使い道なのでしょうか。税金のムダを改め、介護や医療などの社会保障を充実させるよう努めていただきたいものです。「女性自身」2021年2月23日号 掲載
2021年02月12日2019年からスタートした、福祉・介護の魅力を伝えるプロジェクト「介護のしごと魅力発信等事業」の一環として、一昨年から昨年にかけてBSフジで放送された「にっぽんの要 わかる・かわる介護・福祉」。幅広い人に介護や福祉を身近に感じてもらうことを目指したユーザー参加型・体験番組で、俳優・タレントの要潤さん、介護福祉士でモデルの上条百里奈さんがメインパーソナリティを務めています。同テレビ番組は、昨年に引き続き、2021年2月より全3回でのオンエアが決定。これまで番組を通して日本の福祉・介護の“いま”を伝えてきた要さんと上条さんに、介護に対する意識の変化や、介護の現状について伺いました。要さんが語る、介護へのイメージの変化要潤さんは番組を通して、「介護に対して身近に感じることが出来るようになりました」と語り、介護のヒントは日常にあるということを実感したそう。介護福祉士でモデルの上条さんは、「介護施設などを訪問した学生の様子を見て、介護について知ってもらえれば魅力的だと思ってくれるというのを再認識しました」と語りました。「介護について知る」重要性上条さんによると、介護の現場では、認知症患者の徘徊や暴力など、症状が重篤になってはじめて介護の手が入るケースがあるといいます。「もっと早くSOSを出してくれたら、介護職員がここまで重労働にならなかったかもしれない」と、現代における介護の課題感について、介護分野における「情報不足」を挙げました。コロナ禍における介護の現状とは?コロナ禍における介護の現状について、上条さんが挙げた問題は以下2点。・コミュニケーション不足・介護職員の精神的な負担「認知症の方に対しては、表情や目の向け方、瞬きの回数、口の角度といった『非言語コミュニケーション』を多く使います。しかし今はマスクで半分が見えないため、コミュニケーションがうまく取れないこともあります」(上条さん)また「介護職員の精神的な負担」の背景には、クラスターの問題があるのだそう。「介護施設によっては、職員や入居者に感染者が出てクラスターが起きても、受け入れてくれる病院がないという現状があるんです。なかには4人部屋で隔離が難しく、介護職員の精神的負担が大きいことを心配しています」(上条さん)本当に必要な人が医療を受けられるように、それぞれが出来る限りの感染対策を行うのが大事だとコメントしました。「最新の介護・福祉」を知る第一歩に!2月7日より放送中の「にっぽんの要 わかる・かわる介護・福祉」は、まさに今回お二人に伺ったような最新の介護・福祉を知るきっかけとなる番組です。介護や福祉に興味のある方はもちろん、これまで介護に良いイメージがなかったという方も、ぜひ番組を最新の介護・福祉を知るきっかけにしてみてはいかがでしょうか。【参考】※にっぽんの要 わかる・かわる介護・福祉
2021年02月09日「介護は『一人でがんばれば、なんとかなる』ものではありません」そう話すのは約10年にわたって両親を介護したエッセイストの鳥居りんこさん。介護の実体験から『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス刊)を上梓した。「『介護は大変』って言いますよね。私も覚悟はしていました。それでも実際は、想定をはるかに超えてくる。私のメンタルは壊れる寸前でした」介護の初心者は、わからないことだらけ。用語さえ理解できない。「介護の相談窓口である地域包括支援センターを『ホウカツ』と呼ぶのですが、私はなぜか『呆活』と脳内変換してしまい、話が全くかみ合いませんでした」(鳥居さん・以下同)懸命に介護をしていても、心ない言葉を発する人もいる。認知症のために、親から罵声を浴びせられることもあるかもしれない。そんな状況でも、介護する人の心が折れないように守っていこう。経験者の鳥居さんに介護の本音をぶっちゃけてもらった。【金言1】親への恩が怨になっても大丈夫介護生活が長期化すると、介護をする人の心がむしばまれていく。「当時は、ひどい精神状態でした。母の前で『お願いだから、今日死んで』と思ったのは、一度や二度ではありません」親の恩はもちろん感じるが、仕事をセーブして、家庭をかえりみず、体力をすり減らして介護にあたる人は、どんどん追い詰められていく。「恩」が「怨」に変わっても仕方ない。それほど過酷なのだ。「ついぽろっと、禁断の言葉を吐き出してしまったら、『罰当たり』『親不孝』などと非難ごうごう。最終的には『介護って文句は言われても、誰からも感謝されないものだ』とわりきりました」他人がほめてくれないなら、自分で自分をほめてあげよう。怨がこぼれおち、親の死を一瞬願ったとしても、日々必死に介護する人にバチなんて当たるはずがない!【金言2】ゴネた人が得をするたったひとりで、徘徊のひどい親を介護していた男性がいた。親は認知症が進むものの体は丈夫で、要介護度は2。3以上が条件の特別養護老人ホームには入れない。数年に及ぶワンオペ介護の末、親が亡くなった。やっと解放されたとホッとした数カ月後、今度は彼が亡くなった。介護に追われ、自分の病気を放置していたのだ。「ただ黙ってがんばり続けるだけではダメだと思います。つらいときは必死でSOSを叫び続けないと、だれも気付いてくれません」介護は「ゴネた人」が得をする。何度も何度も助けを求め続けた人が救われる。変なプライドを捨てて、大声で助けを呼ぼう。「介護は孤軍奮闘では戦えません。困っていることは、具体的に訴えて。一度でダメなら、何度もかけあってゴネてゴネてアピールしましょう。命あっての物種ですから」【金言】「理想の死」は存在しない介護では、「延命治療をするかどうか」が大きな意味を持つ。「母は日ごろから『延命を望まない』と話していたので迷うことはないはずでした。それなのに、最後の決断はなかなかできませんでした」親は、延命治療の意味をきちんと理解していたのか。本当はもっと生きたかったのではないかと、余命いくばくもない母の姿に気持ちが揺さぶられるという。「介護施設の方から、『最期は、遠い溺死か、近い餓死のどちらか』といわれました。延命治療を行えば、水分が徐々に肺にまわって、おぼれるような感覚で死んでいく。いっぽう、延命治療を行わない場合は、栄養や水分の点滴もやめていき餓死が待っている。どちらを選んでもつらいのですが、どちらかを選ばないといけないのです」どんな死も苦しいのだろう。「理想の死」などないのかもしれない。きれいごとだけでは済まされない、ハードな親の介護。この“介護の金言”を、リアルな問題に立ち向かう心の支えにしよう。「女性自身」2021年2月9日号 掲載
2021年02月01日「介護は『一人でがんばれば、なんとかなる』ものではありません」そう話すのは約10年にわたって両親を介護したエッセイストの鳥居りんこさん。介護の実体験から『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス刊)を上梓した。「『介護は大変』って言いますよね。私も覚悟はしていました。それでも実際は、想定をはるかに超えてくる。私のメンタルは壊れる寸前でした」介護の初心者は、わからないことだらけ。用語さえ理解できない。「介護の相談窓口である地域包括支援センターを『ホウカツ』と呼ぶのですが、私はなぜか『呆活』と脳内変換してしまい、話が全くかみ合いませんでした」(鳥居さん・以下同)懸命に介護をしていても、心ない言葉を発する人もいる。認知症のために、親から罵声を浴びせられることもあるかもしれない。そんな状況でも、介護する人の心が折れないように守っていこう。経験者の鳥居さんに介護の本音をぶっちゃけてもらった。【金言1】介護の沙汰も金次第「介護は先手必勝です。『介護なんてまだまだ先』と笑えるうちに、親も含め介護に関わる全員を集めて親族会議を開くのがベストです」そこでの議題は介護のキーパーソンを決めたり、親がどんな最期を望むかを確認したり。なにより避けて通れないのが、お金の話だ。「介護の世界に、『格安なのに高品質』はありません。使える金額次第で、介護のカタチが決まります」お金持ちなら高級老人ホームも夢ではない。そうでなければ、お金の代わりに介護者の「時間と労力」を使うことになる。介護する人の負担は、『親がいくら持っているか』にかかっているのだ。「ストレートに『貯金っていくらある?』と聞くしかありませんが、集まった全員でエンディングノートを書くのもよい手だと思います」ポイントは、親だけでなく子どももそれぞれ書くこと。預金通帳のありかや暗証番号などを書き出し、親の貯蓄額も聞き出そう。「親が認知症になったら、親名義の財産を簡単に動かすことはできません。早め早めに、親の財産を把握して、現実的な介護方針を決めることが大切です」【金言2】外野は口を出すな金を出せ介護をする人は自分の生活を後回しにして、介護と日常のバランスをとっていることが多く、ギリギリの精神状態ということも。「介護ストレスが最高潮のとき、知人が『せっかくなら、笑顔で介護してあげたら』と。笑顔を出せない自分が悪い。でも、余裕などなくて、これ以上どうすればいいのだろうと、相当落ち込みました」そんなとき注文を付けてくるのは、介護に手を出さない外野だけ。上から目線で意見するのは、介護を経験したことのない人ばかり。「介護の当事者だったころは言えなかった本音を、いまから言います。外野は口を出すな!手を貸さないなら、金を出せ!」きれいごとだけでは済まされない、ハードな親の介護。この“介護の金言”を、リアルな問題に立ち向かう心の支えにしよう。「女性自身」2021年2月9日号 掲載
2021年02月01日2021年1月現在も、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威をふるっています。日本では感染者数の急増を受け、一部地域を対象とした緊急事態宣言を発令。また、飛沫感染対策を意識するよう政府は呼びかけています。要潤、コロナ禍での『悩み』を告白感染拡大を防ぐには、対面での会話や食事を避けたり、マスクなどを着用したりといった対策が重要です。しかし、マスクを着けると顔の半分が隠れてしまうため、テレビ番組や舞台では透明のフェイスシールドやマウスガードが代用されています。同月22日、俳優の要潤さんがTwitterにある悩みについて投稿。コロナ禍で、要さんは気になっていることがあるといいます。アゴ長い人用のフェイスシールド作ってもらえないかなぁ…— 要潤 (@kanamescafe) January 22, 2021 『アゴの長いイケメン』として知られる、要さん。これまでも「アゴだけ日焼けしたかも」などと、顔の特徴をネタにしていました。面長の要さんは、市販されているフェイスシールドを着けると口元まで覆いきれないのでしょう。確かに、感染対策という点では深刻な問題といえます…。要さんならではの悩みに、多くの人からコメントが寄せられました。・要さん、自分で積極的にネタにするの強すぎるし好感度爆上げ。・めちゃくちゃ笑った。要さんのこういうところが大好き。・要さんって、こんなにキレのあるツイートする人だったんだ!?一気に好きになったわ。また、面長の人からは共感する声も。同じような悩みを持っている人は少なくないのかもしれません。要さんや全国にいる面長の人たちの切実な悩みを知り、今後、長めのフェイスシールドが発売されることを祈るばかりです。[文・構成/grape編集部]
2021年01月23日’21年1月、「改正育児・介護休業法」が施行された。コロナ禍であまり注目されないが、育児・介護と仕事の両立には欠かせない法律だ。読者世代に関わりの深い介護を中心に、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■より利用しやすくなった介護休暇まず基本を確認しましょう。働きながら介護を行う方は、「介護休業」と「介護休暇」という2種類の休日が取得できます。介護休業はまとまった期間の休業です。介護される方1人につき通算93日間を、最大3回に分けて取得できます。たとえば、自宅の改修や介護施設の選定など、まとまった期間が必要なときに利用できます。いっぽう、介護休暇は単発で取得するものです。介護される方1人につき年5日まで、通院の付き添いやケアマネジャーとの打ち合わせなどに利用できます。今回の改正法では、介護休暇について2点が変わりました。1点目は、これまで介護休暇は半日単位でしたが、今後は1時間単位で取得できるようになります。たとえば1日6時間働く方は、1時間の介護休暇なら6回、2時間なら3回とると、1日分とカウントされます。これまでは半日単位だったので、年5日間は回数にすると年10回。毎月通院する付き添いには足りませんでしたが、1時間単位だと、1回を短時間にし回数を増やすこともできるので、使い勝手がよくなったと思います。また、1日の就業時間がまちまちで決まっていない方は、年平均を基準にし、1日の就業時間が7時間30分など1時間未満の端数がある方は切り上げて、8時間で1日分とカウントされます。ただし、勤務時間の途中で職場を離れる「中抜け」は、認められていません。介護休暇は始業時間を遅くするか、終業時間を早くする形で取得するもの。たとえば10~17時まで勤務の方が13~14時といった途中の時間帯では取得できません。なかには、社内規定によって中抜けOKの会社もありますので、ご確認ください。法改正の2点目は、これまで1日の勤務時間が4時間以下の労働者には介護休暇がありませんでしたが、今後はだれでも取得可能になりました。介護休暇は原則として、パートでも介護休業制度のない勤め先でも取得できます。ただ、正社員であっても雇用期間が1年未満の方や週の労働日数が2日以下の方は、労使協定によって対象外となることがあります。最後に、介護休業・介護休暇とも、給料は出ません。有給の介護休業制度がある会社もありますが、有給休暇もあわせて介護休暇の取り方を工夫してください。新型コロナウイルスの感染を恐れて、介護サービスの利用を減らす方もいるようです。ますます介護する家族の負担は重くなりますが、介護休暇・介護休業などを駆使して、なんとか離職しないで済む方法を考えてほしいと思います。「女性自身」2021年2月2日号 掲載
2021年01月22日コロナ禍で、高齢者はデイサービスの利用を控えたり、ヘルパーさんの来訪を断ることを余儀なくされている。そんななか代わって親の介護を担うため、仕事を休んだり差し入れをしたりと金銭的負担が重くなった人も多いはず。また介護にかかる費用は月額7.8万円(「生命保険に関わる全国実態調査・平成30年度調べ」)という試算もあるが、蓄えがなく無年金・低年金の親に代わって子どもが負担するケースも珍しくはない。『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)などの著書もあるファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんはこう言う。「親の介護で負担が重くなっている人には、国や自治体などからもらえるお金や税控除もいろいろあります。親名義、本人名義で手続きをしますが申請・届け出主義なので教えてはくれません」ということで井戸さんとともに主にどんな制度があるか利用方法や注意点を見てみよう。■高額療養費〈もらえる&得するお金〉医療費が規定額を超えた場合、お金が一部戻ってくる。年収により上限が異なる〈申請者〉親〈届出先〉会社員は会社の健保を通じて、自営業者らは市区町村「1カ月の自己負担が一定額を超えた場合、超えた分の医療費が戻ってきます。意外と制度を知らず、取り戻していない人もいるようです。たとえば入院手術で100万円かかったとすると3割負担の場合約30万円を窓口で払いますが、70歳未満で一般的な年収(370万〜770万円)であれば約9万円が自己負担額の限度額で、30万円から9万円を引いて約21万円が戻ります」(井戸さん・以下同)70歳以上は高齢者医療制度で自己負担の上限はさらに低くなる。高齢になると医療費の過度な心配はいらないということだ。■高額医療・高額介護合算療養費〈もらえる&得するお金〉医療費と介護費が規定額を超えた場合、お金が一部戻ってくる。年収により上限が異なる〈申請者〉親〈届出先〉市区町村「同じ世帯に医療と介護を受ける人がいる場合、年間でこの合計額が一定額を超えた分は戻ってきます。両親2人分を合算できますが、夫婦とも後期高齢者医療制度といったように、同じ制度に加入していることが条件となります」たとえば年収約370万〜770万円未満(年齢70歳以上)の場合、1年間の自己負担限度額は56万円となり、超えた分は戻ってくる。■親を扶養している場合の所得税控除〈もらえる&得するお金〉親を扶養している場合に節税可能。年収により額が異なる〈申請者〉子〈届出先〉税務署「同居で介護をしている人はもちろん、別居でも介護や仕送りをしているなら親を扶養にすることで48万円が税控除に。たとえば年収500万円(所得税率10%なら)の人は、48万円に10%をかけて、4万8,000円戻ってきます」「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月05日■親子愛神話にノーを突きつける、『きらいな母を看取れますか?』「そうは言っても、実の親子なんだから」「子どものことを愛していない親なんていないよ」親に対して抱いているマイナスの感情について人に話したとき、相手からしばしば返ってくる言葉。「親なんだから」子どもに愛情を注がないはずはないし、「子どもなんだから」親の気持ちを汲まなければいけない。“親子愛神話”とも呼ぶべきそんな考え方は、私たちの社会のなかにごく自然なものとして浸透し、いまもなお強固な地位を築いています。特に、親の介護と看取りという親子関係の最終章においては、第三者から「親子の絆や愛は絶対だ」という圧力がかけられがちです。中には、親子関係が良好ではないから親の面倒を見たくない、と言う人に、親の最期を見届けるのは子どもの義務であると言わんばかりに「和解しなよ」と説く人もいます。しかし、高齢者介護や医療の分野で取材を重ねてきたフリーライターの寺田和代さんは、それを“無知で傲慢なこと”ときっぱりと言い切ります。“人生の早い時期に親子愛の恩恵をあきらめざるを得なかった人たちに、「親の愛は山より高く海より深い」と説き、親子なのだから今生の別れまでに、赦せ、和解せよ、とたとえ暗黙のうちであったとしても期待するのは、異性愛以外のセクシュアリティの人に「なぜ異性愛になれないの?」と問うのと同じくらい、無知で傲慢なことではないだろうか。(――寺田和代『きらいな母を看取れますか? 関係がわるい母娘の最終章』8頁より)”この言葉にハッとしたり、胸がすくような思いをする方もいるのではないでしょうか。寺田和代さんによる著書、『きらいな母を看取れますか? 関係がわるい母娘の最終章』は、親からの虐待やネグレクト、過干渉などといった問題が原因で良好な関係を結べなかった母と娘が、親子にとっての最後の局面である“介護”とどう向き合うかに焦点を当てた1冊です。■父の不機嫌と母の過干渉に悩まされ続けた、50代女性のケース著者は、現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めている「AC(アダルト・チルドレン)」の当事者。本書には、著者と同じく母娘関係に困難を抱えた当事者である、6名の女性たちの語りが収録されています。たとえば、エリコさん(53歳)という独身女性のケース。会社員の父と専業主婦の母のひとり娘として生まれたエリコさんは、突然押し黙ったり、怒り散らかして家族に暴力をふるったりする父の不機嫌と、欠落した団欒の空洞を埋めるがごとく、エリコさんの人生をすべてひとりでコントロールしたがる母の過干渉に、幼い頃から悩み続けていたと言います。外面はいい両親だったために、その苦しみを大人になるまで誰にも打ち明けることのできなかったエリコさん。短大への進学、就職も母が決めたルート通りにしたものの、自分の人生を一切生きられていないストレスに押しつぶされ、神経症や摂食障害をたびたび発症してしまいます。40代で出会った本をきっかけにカウンセリングや自助グループに通い始め、43歳のときにようやく実家を出ることのできたエリコさんは、父が病気で亡くなったいま、ようやく母と“月に一度くらいは外食や温泉に出かける”関係になったと語ります。エリコさんは、母に過去のおこないを謝ってほしいとは思っていません。謝られても赦せないほどのことをされてきたからこそ、いまの母を特に責めようとは思わない、と考えています。“「赦せない気持ちを抱いたまま、母と向き合いつづけることはできません。お金や公的支援などを使って、(同居は)なにがなんでも避けるでしょう。一対一で本気で向き合ったら、危険な状況になってしまうのは目に見えているから。それを避けるためにもなんとか“本当の気持ち”にはふれないまま関係を終わらせたい。本当のことを口にしないことで、静かな別れを迎えられるかもしれない、と思っているんです」(――同書、36頁より)”現在、高齢者マンションで暮らす母の介護は、マンションに付帯するサービスに任せることが決まっている、とエリコさんは言います。あえて“本当の気持ち”を母に伝えないまま静かに関係を終わらせたいと語る彼女の選択を、間違っていると非難できる人はいないはずです。■「もとはと言えばそれだけのことを母が娘にしてきたからです」その他の5名の女性たちも、両親のアルコール依存症やギャンブル依存症に悩み「家族解散」を決めたというケース、支配的で暴力的な母に悩み、血縁以外の人々に支えられて生き延びる道を選んだというケースなど、立場や状況は違えど、「母を看取ることはできない/看取りたくない」という思いを抱えています。また、母娘関係やアダルトチルドレンなどの問題に取り組んでいるカウンセラー・信田さよ子さんへのインタビュー。そして、弁護士である松本美代子さんに介護や相続、親子関係の法律について聞くQ&Aも、本書の巻末に収録されています。親の介護をどうしても引き受けたくない、看取ることはできない――と考えている方にとって、本書の中で6名の当事者の女性たちがとった(とろうとしている)選択を知ることや、親に対する扶養義務の法律上の範囲について把握しておくことは、「親の老い」という遠くない未来を生きるためのたしかな力になるはずです。本書の中で、カウンセラーの信田さよ子さんは、“──世間は常に親の味方です。老いた母を“捨てる”のか? とヒューマニズムに訴えてきます。多勢に無勢です。押し返す力が娘に持てるでしょうか。”という著者からの質問に、“世間が娘に突きつけるヒューマニズムはいったいだれにとってのヒューマニズムでしょう。「人を殺してはいけない」以外に、万人に共通のヒューマニズムはない、と私は考えています。世間のヒューマニズムは親、しかも年老いた親の味方です。すると、だれかが必ずその犠牲になる。それははたしてヒューマニズムなんでしょうか。私は家族についてそういうシビアな全体観を持っています。自分の人生や子どもたちを守るために、手放さざるを得ないものもあるのではないでしょうか。(――同書、151頁より)”と答えています。さらに、“そんな関係”のまま親に死なれたらあなたが後悔する、と言ってくる人に対しては、“そんな関係になったのも、もとはと言えばそれだけのことを母が娘にしてきたからです。そこまで追い詰められ苦しんでいる娘たちは、なにも自分のわがままや身勝手から訴えているわけではありません。(――同書、152頁より)”とはっきりと言い切っています。親子関係で悩み続けている人にとっていちばんつらいことは、世間や家族からの圧力以上に、「介護をしたくない」「これ以上、親に関わりたくない」という自分の思いに、自分自身が罪悪感を覚えてしまうことかもしれません。しかし、親の介護や看取りにあたってどんな選択肢をとるかは、当然ながら自分自身が決めていいことです。本書は、当事者や専門家による複数の語りを通じて、親ではなく、自分自身の人生を最優先にしていいということを繰り返し説いてくれます。親の介護についてこれから考え始めたい人にはもちろん、「親がきらい」という気持ちにうまく向き合えず、モヤモヤとした思いを抱えている人にもお薦めしたい1冊です。
2020年12月02日家族による介護といえば、40代や50代の世代が自分の親を介護しているというイメージがあるだろう。だが、じつは10代や20代で介護している若者が多くいる。相談する相手もおらず、理解もされない孤独な介護を強いられているーー。「小・中学生や高校生など18歳未満の『ヤングケアラー』や18歳以上の『若者ケアラー』が大勢いることを知ってほしいです。しかも、通学や仕事をしながら家族を介護している、そんな若年介護者は増加しているのです」そう語るのは、16歳から難病の母親の介護した経験から、ヤングケアラーの支援や若者ケアラーの転職支援を行っている「Yancle(ヤンクル)」代表の宮崎成悟さん。総務省の調査によれば、15~29歳で家族を介護している人は’17年で21万100人。その5年前の調査(17万7,600人)から急増している。そのうち10代は全国に3万7,100人いることが、毎日新聞の分析で判明した。「総務省の調査では14歳以下の小・中学生が含まれていないため、本当の実態は把握できていません。ヤングケアラーのなかには、8歳からアルコール依存症の父親の世話をしていた人もいます。家族を介護している子どもたちはもっと多い可能性があります。若年介護者が増加している背景は、少子高齢化社会が進んだうえに、シングル世帯や共働き世帯も増加したこと。家族ケアをする大人の人手が少ないことから、たとえ未成年でも大人が担うような介護をしているのです」(宮崎さん)そんな若年介護者の問題点はどんなことなのだろうか?「家族がケアすることは悪いことではありません。ただ、認知症の祖父や祖母のケア、障害のある兄弟姉妹の介護、病気の親の世話などをするなかで、負担が限界を超えて、学業や就業、若者らしい生活や将来、自由まで犠牲になってしまう。その結果、不登校になったり、中退したり、進学や就職を諦めてしまったりするケースが多いのです」宮崎さんも、高校卒業する直前に母親の容体が悪化。介護に注力するため大学進学を一度は諦めた経験がある。さらに、介護の話をしても周囲が理解してくれない場合も多いという。「介護は中高年層がやるものだという認識が強いため、若くして介護していると『なんであなたが?』と疑問視されることが多い。そのため学校や会社でも事情が伝わらず、1人で抱え込んでしまうケースも少なくないのです。若年介護者の多くは、どんなにつらくても、家族のことだからとSOSの声を出しづらい。まずは実態把握が急務。さらに相談したり、カウンセリングが受けられたりするサポート体制が必要です。そしてなにより大切なことは、私たち大人が、若年介護者がいることに無関心でいないことです」厚生労働省は12月から若年介護者の実態調査を始める。今も多くの若い介護者が苦しんでいることを胸に刻んでおこう。「女性自身」2020年11月24日号 掲載
2020年11月12日身の回りのことは、全部自分で決めたい。そういえば、趣味が少ないほうかも……。思い当たるフシがある人は要注意!介護によるストレスで、「介護うつ」になってしまうかも。回避のポイントは“頼る”ことだーー。「現在のコロナ禍にあっては、とくに介護うつ発症のリスクが高いといえるでしょう。ただでさえ弱っている高齢の家族に万が一のことがあってはいけないと、外出や友人との食事を控えたりしているうちに、家に閉じこもって介護に向き合う時間が増え、逃げ場がなくなる。こうした傾向は、うつ病の発症につながります」そう話すのは、高齢者の訪問診療に取り組む、つばさクリニック院長の鈴木智広先生だ。介護うつとは、介護や看病からくる精神的な負担から発症するうつ病のこと。介護者の過半数が精神的負担を感じているのが現状だ。高齢化社会といわれて久しい日本において発症する患者はあとを立たず、介護、看病疲れが原因の自殺者は、今や年間200人以上にのぼっている。「症状としては通常のうつ病と同じで、無気力になり、今まで楽しかったことが楽しいと感じられない、自責の念が強くなるなどの傾向が目立ちます。また、よく眠れなくなったり、食欲が落ちたりするケースも。原因は、介護によるストレスです。介護によって仕事を辞めたり、趣味の時間を減らしたりと生活を変えざるをえない方が多いかと思いますが、これは大きなストレスになりえます。また、つきっきりの介護で24時間気が抜けないような緊張状態も大きな負担になりますし、介護に関わる経済的な負担が原因で、気持ちが不安定になることもあるでしょう」しかし、こうした過酷な状況であっても、介護うつを発症しない人がいるのも事実だ。そこにはどんな差があるのだろうか。「生真面目で責任感が強く、すべてを一人で抱え込もうとする人は、追い詰められやすく、介護うつになりやすいといえます。いわゆる“ワンオペ介護”をしている人は、要注意です」’17年に発表された厚生労働省の調査によると、夫婦のみの世帯では、配偶者の要介護度が重症化しても、施設への入所を検討していない割合が高いとの結果が出ている。つまり、妻、もしくは夫ひとりで介護を背負い込んでいる家庭が多いということだ。住み慣れた自宅で夫婦で過ごしたいという思いのいっぽうで、介護する側にかかる負担が大きくなりすぎると、その生活自体が破綻してしまう危険もある。「介護者が疲労から介護うつになり倒れてしまったら、介護をする人がいなくなってしまいます。本末転倒の結果を招かないためには、なにより介護する人自身の健康が重要です。適切な介護サービスを利用して負担を軽くするのもそのためだと考えれば、“甘え”とはならないことがわかるはず」介護うつになりやすい人の特徴をチェックリストにまとめたので、自分が該当するかどうか、確認してみて。【介護うつ危険度チェックリスト】□ 生真面目□ 融通が利かない□ 責任感が強い□ 完璧主義□ 趣味がない□ 自分でなんでも決めたい□ 近親者にうつ病になった人がいる「介護うつにならないためには、誰かに相談すること。相談相手として、いちばん身近なのが高齢者福祉のスペシャリストであるケアマネジャーです。要介護認定を受けると、介護サービス利用のサポートをしてくれますが、実務的なことだけでなく、介護にあたって不安に感じていることを包み隠さず相談してみましょう。訪問診療をしていると、ケアマネジャーから『介護しているご家族が、かなり疲弊されています』と連絡があり、施設への入所やショートステイを案内するケースがあります。自身では判断ができなくても、身近で見ているケアマネジャーが気づいてサポートしてくれるのはよくあること。ふだんから、なんでも相談できる関係を築いておくことが大事です」介護の負担が減ればそのぶん自分のために使える時間が増え、気持ちを休めたり、趣味に時間を費やしたりして、ストレスの解消ができる。それが結果として、介護うつ発症の回避につながるのだ。「介護をひとりで抱え込んでいる方は、まず市区町村の役所の介護担当部署に相談することからスタートを。また、地域の医療や福祉などを支援する『地域包括支援センター』では、介護認定を受けていなくても相談ができます」介護を受ける家族のためにも、助けを求める勇気を持とう。「女性自身」2020年9月22日 掲載
2020年09月20日お笑いコンビ『EXIT』のりんたろー。さんが、2020年9月17日にTwitterを更新。介護に悩む人の心を軽くするコメントに、称賛の声が寄せられています。りんたろー。、泣きながら電話をかける祖母に…8年間、老人ホームで介護のアルバイトをしていていた、りんたろー。さん。祖母は老人ホームを利用しているといいます。ある日、今日が何日の何曜日なのか分からなくなってしまった祖母が、泣きながら母親に電話をかけてきたことがあったようです。焦る母親ですが、りんたろー。さんは、認知力が低下してしまった祖母にこのように声掛けをするのだとか。おばあちゃんが何日の何曜日かわからなくて泣きながら電話をかけてくると母が大騒ぎ「僕もわからないよ」「そのうち思い出すよ」「そんなに曜日が重要?」「職員さんが教えてくれるよ」僕は適当に言葉をかけます!介護って良い意味で適当さが重要一緒に落ちたら共倒れ!認知と共に楽しく生きよう!— りんたろー from EXIT (@rinnxofficial) September 17, 2020 「僕は適当に言葉をかけます!」と、介護には適当さも必要と明かすりんたろー。さん。きっと、肩に力を入れすぎないことは、認知力が低下した祖母にも、その介護をする母親にとっても、いい関係を保つことに繋がるのでしょう。ネット上では、たくさんの称賛の声が寄せられていました。・自分だって曜日と日にちが分からなくなることがある。そんなの重要じゃないって考えたい。・適当さがないと支える家族もつぶれてしまう。本当にその通りだと思います。・りんたろー。さんの言葉に救われました。ありがとうございます。認知症が進むと話が通じなかったり、すぐに忘れてしまったりして支える家族はどうしてもイライラしがち。ですが、「認知と共に楽しく生きよう!」というりんたろー。さんの言葉は多くの人を励ましたに違いありません。[文・構成/grape編集部]
2020年09月19日羽屋きとさんは、ブログに夫との日常や前職での実体験をもとにした漫画を投稿しています。さまざまな人物とのやりとりがゆかいに描かれ、「クスッ」としてしまう作品ばかりです。介護士だった頃の話羽屋さんが介護士として働いていた時のエピソードの中から、選りすぐりの作品をご紹介します!気難しい男性に、とんでもないお願いをした結果…クリスマス会の準備中、サンタさん役を誰にするかという話になり…。いや、めちゃめちゃノリノリやん!!普段の気難しい様子とは反対に、ノリノリでサンタ役をこなすSさんでした。「それ息子だと思ってチョイスした…?」利用者のSさんが、スタッフに向かって怒りをぶつけています。そこに救世主がやってきて…。Sさんは自分の息子が、イケメン俳優に似たリハビリの先生だと思っている様子。最後の羽屋さんの冗談まじりの鋭いツッコミが、冴えていますね!利用者が行方不明になる大ピンチ。実は…。利用者さんが行方不明に…!?羽屋さんが働く施設の利用者であるCさんの姿が、見えなくなった時のこと。慌てて探して回ると…。ずっと部屋にいましたー!Cさんは、なんとベッドと壁の間に挟まっていたのです。無事で本当によかった…。利用者たちの日常を支える介護士。羽屋さんの描いた利用者たちの笑顔は、まぎれもなく介護士の力があってこそのものといえるでしょう![文・構成/grape編集部]
2020年09月18日「介護をしている家族は心身の健康を損なったり、仕事を犠牲にしていたりするなど多くの問題を抱えています。ところが、そんな家族に支援の手が及ぶことはありませんでした。この条例が要介護者の影での存在であるケアラー(=家族などの無償の介護者)に光をあてるのです」3月27日、埼玉県議会で成立した「埼玉県ケアラー支援条例」について、こう語るのは日本女子大学名誉教授で日本ケアラー連盟代表理事の堀越栄子さん。全国初となる「埼玉県ケアラー支援条例」は、介護をしている人が個人として尊重され、健康で文化的な生活を営めるように、ケアラーが孤立しないように社会全体で支えることを目標としている。現在、ケアラーについての実態調査が行われており、その後、介護者のための相談窓口の設置や休息施設の整備、経済的支援、就業機会の提供などの支援策が検討されていくという。条例に関する有識者会議のメンバーでもある堀越さんが解説する。「実態調査の結果を受け、計画を練り上げ、来年3月には基本方針と具体的支援策を定めるスケジュールで動いています。介護というと、中高年の女性が行う高齢者介護のイメージがありますが、ケアラーには男性もいるし、18歳未満の“ヤングケアラー”から100歳のケアラーまでいます。また2〜3人と複数の人を介護している人、子育てと親の介護を同時にしている人など多種多様。当初、ケアラーの定義には、介護期間や継続してやっていることなどの要件がありましたが、間口を広げて、誰もが相談できるような体制にしたほうがいいという認識で、その要件は外されました」埼玉県条例が定義するケアラーは、次のとおり。《高齢、身体上又は精神上の障害又は疾病等により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上の世話その他の援助を提供する者をいう。》(「埼玉県ケアラー支援条例」第二条一より)厚生労働省の調査によると、介護者の約6割が同居家族だ。日本労働組合総連合会が’14年に行った要介護者を抱える家族に対しての実態調査によると、介護者の35.5%が要介護者に対して憎しみを感じたことがあると回答。認知症の人を介護している人にいたっては7割にのぼった。家族介護に依存しない“介護の社会化”を掲げた介護保険制度がスタートして20年たつが、日本では、家族による介護殺人や心中事件は2週に1件の頻度で起きている。また介護離職者は年間約10万人いるが、その8割弱が女性だ。現在、議論が進んでいる「ケアラー支援条例」では、どのようなサポートが行われるのだろうか。今回の条例の有識者会議のメンバーでもある「認知症の人と家族の会」副代表理事の花俣ふみ代さんが語る。彼女自身も、姑の在宅介護を7年間したあと、実母の遠距離介護を5年間した経験がある。「支援策として、1人で抱え込んでいる介護者にとって駆け込み寺のようなところを設置して、介護者が『がんばらなくてもいい』と言ってもらえる空間をつくることが重要だと考えています」海外では介護者に対する支援を法律で明記している国が少なくない。次にあげた3カ国は、とくにケアラー支援の先進国だ。■日本が見習いたいケアラー先進国の取り組み(※IACO supported by Enbracing Carers TM、「家族介護者支援に関する諸外国の施策と社会全体で要介護者とその家族を支える方策に関する研究事業」より本誌作成)【全人口】イギリス:6,643万5,550人ドイツ:8,291万4,191人オーストラリア:2,499万2,860人【65歳以上人口】イギリス:1,216万5,557人ドイツ:1,779万8,089人オーストラリア:391万4,673人【65歳以上の割合】イギリス:18.3%ドイツ:21.5%オーストラリア:15.7%【ケアラーの数】イギリス:650万人ドイツ:320万人オーストラリア:265万人【ケアラーの定義】イギリス:無償で長期にわたって、身体・精神的な疾病・障害、また高齢にともなうケアの必要によって、家族や友人、その他の人を世話している人ドイツ:介護保険で要介護者と認められた近親者を、通常は週に2日以上、かつ合計10時間以上介護しているオーストラリア:障害のある人、医学的状態、精神疾患、または加齢による身体の衰えのある人々に対し、身の回りのケア、手助けもしくは援助を提供する人々【現金給付】イギリス:日本円で週約9,000円(介護者1人当たり。収入要件あり)ドイツ:在宅ケアの場合、月約4万〜11万円を要介護度に応じて介護を受けている人に支給オーストラリア:介護のため就労できない単身者の場合、約10万円を支給【介護休暇】イギリス:介護のためにフレックスタイム、休暇および休職を要求できるドイツ:最長2年の介護休暇の権利。緊急に介護が必要な場合は最長10日、終末期ケアとして最長3カ月の休暇オーストラリア:年間10日間の有給の介護休暇に加え、無給の「2日間休暇」やケガや病気を負った場合「2日間特別休暇」など【保険・税制】イギリス:現役世代のケアラーでも、基準を満たせば、公的年金を受給できるドイツ:収入減には無利息での貸付け制度。ケアラーには労災、年金、失業、疾病、介護保険が適用オーストラリア:介護者給付、介護者手当は非課税【その他の支援】イギリス:夜間の見守りサービス、教会、病院、美容院、映画などへ行く時間などの休養プログラムドイツ:介護技術を学べる無料講習や介護者同士の交流の機会の提供オーストラリア:カウンセリング、デイサービスや宿泊付きの施設利用などケアラーの負担軽減サービスこれら“先進国”から学ぶことは多いと、花俣さんが語る。「ケアラーが孤立しないように、また苦しくなったり疲労困憊したりしたときに、いつでも休息が取れるなど、さまざまな支援で支えているのが特徴です。各国のような現金支給の導入も議論されていいでしょう。ただ、それだけでは家族介護の固定化につながるので注意が必要です」最後に堀越さんが語る。「ケアラー支援は、よい介護をするための支援ではなく、介護者自身の人生の支援。この埼玉県の動きが国全体にも波及してほしい」「女性自身」2020年9月8日 掲載
2020年08月27日介護は子が親にする最後の恩返しといわれますが、実情は甘いものではありません。認知症ともなれば、「手に負えない」ことが多く、困り果ててしまいます。高齢化が進むなかで、介護の必要性は高まっていますが、受け入れる側の体制は整っていないようです。 親の介護を拒否したいHさん介護について悩んでいるのが、50代男性のHさんです。彼の父親は窃盗などで犯罪を重ねており、つねに頭を悩ませられてきた存在。疎遠になりほとんど連絡もとっていませんが、最近病魔に倒れ、親戚から「息子に介護を頼みたい」と話していると伝えられました。様々な場面で「ネック」となってきた父親の介護をすることについて、Hさんは強い抵抗感を持っており、関わりを持ちたくないと考えているそう。しかし周囲には「お前が面倒を見るべきだ」「子供としての義務を果たすべきだ」という声もあり、思い悩んでいます。Hさんは介護しなければならないのでしょうか?あすみ法律事務所の高野倉勇樹弁護士にお聞きしました。 介護しなければいけないのか?高野倉弁護士:「自分で介護する必要はありませんが、経済的援助(扶養)をする必要はあります。まず、子ども自らが父親を介護する必要はありません。これは、父親が犯罪を重ねていてもいなくても同じです。大人になった子どもには親を扶養する義務があります(民法877条1項)。扶養の方法は、金銭的な援助が原則です。同居するなどして子ども自身が世話をする必要まではありません。介護保険を利用して介護サービスを入れる、施設に入所してもらい施設費を援助するといった方法が考えられます」 保護責任者遺棄になる場合も高野倉弁護士:「ただし、既に介護していた父親を何の手当もなく急に放置した場合には、保護責任者遺棄罪(刑法218条)に問われる可能性があります。扶養義務自体はなくならないとしても、親の不行状は扶養の内容に影響する可能性はあります。親子間に「容易に融和できない対立」があり、その原因が親の「やや異常と思える程のかたくなな性格」にあるとしても、扶養義務自体は認められるとした裁判例があります(大阪高等裁判所昭和45年11月26日決定)。このような事情は、扶養として支払う金額を少なく定めるという方向に働きます。なお、介護を受けるような状態にある人が犯罪を重ねるケースの場合、認知症を含む精神障害がないか、その影響で犯罪に及んでいるのではないかと考えてみることが必要です。精神障害が原因であれば、精神科病院や精神保健福祉センターなどでの治療によって状況が改善する場合があります」 遺産相続はどうなる?仮に介護を拒否した場合、遺産相続はどうなるのでしょうか?高野倉弁護士:「親(被相続人)の不行状は、相続に特別の影響はありません。子ども(相続人)は、相続したくなければ「相続放棄」の手続をすればよいということになります。相続放棄は、親(被相続人)の存命中はできません。親(被相続人)が死亡し、相続が開始した後に初めて、家庭裁判所に申立てをすることで相続放棄をすることができます」 子が親を介護は義務?介護は由々しき問題です。Hさん以外にも、放棄したいと考えている人はいることでしょう。子は親を介護しなければいけないものなのでしょうか?高野倉弁護士:「先ほど述べたとおり、子どもが『自ら介護をする義務』はありません。ただし、扶養義務として、経済的な援助をする義務はあります。法的に『親子の縁を切る』ということはできないので、扶養義務はどうしても残ります。介護するかしないかの選択権はありますが、扶養するかしないかの選択権はないといえます」 しっかりと覚えておこう子が親を介護するのは一般的なケースですが、「しなければいけない」という義務はありません。誤った認識を持っている人も多いと聞きますので、しっかりと覚えておきましょう。 *取材協力弁護士:高野倉勇樹(あすみ法律事務所。民事、刑事幅広く取り扱っているが、中でも高齢者・障害者関連、企業法務を得意分野とする)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)犯罪を重ねる親の介護を拒否したい!子は親を「介護しなければ」いけない?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。犯罪を重ねる親の介護を拒否したい!子は親を「介護しなければ」いけない?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2020年07月31日’00年に介護保険制度がスタートし、認知症などの高齢者の介護は家庭だけでなく、社会全体で取り組むことになった。ところが介護を理由とした家族間での殺人の件数は減らず、厚生労働省の統計によると年間20〜30件起きている。2週間に1件程度の頻度で、介護殺人が起きている計算だ。同調査によると、加害者の3割から4割が女性で、女性が男性を上回ることは一度もなかった。しかし、「異変が起きている」と語るのは、日本福祉大学社会福祉学部教授で『介護殺人の予防』(クレス出版)の著書がある湯原悦子先生だ。「介護殺人の加害者の男女比率は長年この割合で推移してきましたが、今年1月から7月までを調べてみると、女性が加害者である割合が増加しているんです」次の「2020年に起きた介護が理由とみられる死亡事件」を見てほしい。湯原先生が独自に調べた、今年に入ってから7月21日現在までに起きた15件の介護殺人の内容だ。加害者が女性のケースは9件と、男性を上回っている。■2020年に起きた介護が理由とみられる死亡事件(※年齢は逮捕当時。湯原先生の調査を基に本誌が作成。高齢者に対する介護を原因とした死亡事件に限った)【1月2日・神奈川県相模原市】容疑者/加害者:娘(53)1月6日、85歳の母親の遺体を自宅に放置したとして、死体遺棄の疑いで娘を逮捕した。5日に自ら通報して発覚。娘によると母は2日に亡くなったという。遺体の顔面や上半身に内出血があり、「たたいたことはある」と供述している。【1月7日・静岡県伊豆の国市】容疑者/加害者:息子(54)1月7日、警察が衰弱した母親を自宅で見つけ、病院に搬送されたが、死亡した。81歳の母親は歩行困難だったが、介護をしていた息子は1月5日朝に家出。3月12日に発見され、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された。【1月28日・愛知県東海市】容疑者/加害者:夫(79)夫は「妻を刺した」と長男に電話し、長男が通報。駆け付けた警察官が72歳の妻の遺体と意識不明の重体の夫を発見した。夫妻は2人暮らし。夫は周囲に妻の介護に悩んでいると漏らしていたといい、心中を図ったとみられる。【2月3日・宮城県気仙沼市】容疑者/加害者:妻(69)妻が親戚に「夫を殺してしまった」と連絡し、事件が発覚。目が不自由な74歳の夫は日常的に介護が必要だった。妻は「介護に疲れた」と供述し、警察は殺人の容疑で妻を逮捕。近所の人たちの証言によると、2人は仲むつまじい夫婦だったという。【2月4日・宮城県仙台市】容疑者/加害者:妻(69)、息子(43)2月2日、末期がんで体が不自由な78歳の夫を放置して、妻と長男が外出。3月未明に、妻の通報で救急搬送されたが、4日午前に死亡。妻と長男は保護責任者遺棄容疑で逮捕、送検されたが、3月6日に仙台地検は妻と長男を不起訴とした。【3月2日・兵庫県明石市】容疑者/加害者:息子(41)マンションの一室で72歳の母と息子が倒れていると、親族が通報。母はすでに死亡しており、意識不明だった息子も病院搬送後に死亡が確認された。母は認知症を患い息子が介護していた。無理心中だとみられている。【3月7日・埼玉県羽生市】容疑者/加害者:妻(71)「夫を殺した」と妻が自ら通報。「介護に疲れていた」と供述し、72歳の夫を、首を絞めて殺害した容疑で逮捕された。妻の首や手首には切り傷があり、無理心中を図ったとみられている。【4月7日・東京都杉並区】容疑者/加害者:夫(82)夫は「母さんが死んだ。俺も後を追う」と長女に電話。長女が通報して、事件が発覚した。81歳の妻は要介護3だった。夫は「将来を悲観して一緒に死のうと思ったが、死ねなかった」と供述、殺人容疑で逮捕された。【4月18日・大阪府大阪市】容疑者/加害者:息子(57)特別養護老人ホームに入所した91歳の母を毎日のように見舞っていたが、新型コロナの流行で面会が禁じられ、4月17日に自宅に引き取った。翌日の夜、母を殺害し、自身も自殺。「母に『死にたい』と言われ、糸が切れた」という遺書が残されていた。【4月28日・宮城県仙台市】容疑者/加害者:娘(68)強い足の痛みを抱える94歳の母が「早く逝きたい」と言うように。娘は多量の睡眠薬を混ぜたジュースを飲ませ、座布団で顔を押さえつけて母を窒息死させた。嘱託殺人の罪に問われ、7月15日に検察は懲役3年を求刑。判決は8月19日予定。【5月5日・埼玉県さいたま市】容疑者/加害者:娘(26)60歳の母を殺害し、娘が自ら110番通報した。母と娘の2人暮らしで、「3年ほど前に脳の病気で体が不自由になった母を、自分が介護をしていた」と供述し、「介護に疲れた」と容疑を認めているという。【5月14日・茨城県利根町】容疑者/加害者:妻(73)5月14日、呼び鈴を押しても応答しないことを不審に思ったデイサービス施設の職員が長男を呼び出して確認したところ、死後数日が経過した夫婦の遺体が見つかった。介護が必要だった77歳の夫は首を絞められた痕があり、妻は首をつっていた。【6月5日・神奈川県小田原市】容疑者/加害者:妻(73)83歳の夫と妻、長男次男と4人暮らしだった。5日午前0時ごろ、妻は夫の首を絞めて殺害。妻に起こされて、事情を明かされた長男が通報し、事件が発覚。妻は「夫の介護に疲れた」と供述し、殺人容疑で逮捕された。【6月18日・沖縄県南風原町】容疑者/加害者:妻(72)6月18日夕、同居している家族が帰宅すると、意識不明の76歳の夫と妻を発見。介護が必要な状態だったという夫は搬送先の病院で死亡した。自殺を図ったとみられる妻は、意識が回復後に「介護に疲れた」と供述し、殺人容疑で逮捕された。【7月11日・鹿児島県知名町】容疑者/加害者:息子(70)90歳の母親を複数回殴打した翌日、ぐったりとしているのに気づき、息子自らが通報。息子は寝たきりの母を介護しながら2人暮らしだったが、介護を巡って親子で対立があったと伝えられている。「妻が夫を殺害し、その後、自らも命を絶とうと無理心中を図っても死にきれなかったという事例が増えています。気がかりなのが、加害者となった女性が、一様に『介護に疲れて』と動機を語っていること。これまで『介護に疲れた』という理由で肉親を殺害するケースは比較的男性に多かったのです」(湯原先生)いったいどうすれば、最悪の事態を防ぐことができるのだろうか。「まずは介護する人は、自分も支援される立場だということを認識することが大事です。介護者(ケアラー)支援の先進国であるイギリスやオーストラリアではすでに法整備されていて、介護者に対して休暇取得や現金支給、カウンセリングなどのサービスが提供されています。今年3月には埼玉県で、全国初となる『ケアラー支援条例』が施行。介護事業者や医療機関を通じて介護者が抱える課題を聞き取り、具体的な支援につなげることを法制度化しました。この動きが全国に広がっていくことが求められています」(湯原先生)湯原先生は、こんなアドバイスをしてくれた。「たとえば、要介護者の4分の1を占める認知症の場合、家族である介護者は『戸惑い・否定』『混乱・怒り・拒絶』『割り切り・あきらめ』『人間的・人格的理解』という4段階の心理的ステップを必ずたどります。介護殺人は第2段階にとどまっている人が、1人で苦しんだ末に事件を起こしているケースが少なくありません。とくに親など自分が大切な人が、訳のわからない言動をすることで戸惑い、そして混乱や怒りの感情を抱いて『今が最悪』な状況と思ってしまうのです」早く次の「割り切り・あきらめ」の段階に進むことが重要だという。「この段階になれば、さまざまなサポートを受け入れられるようになり、介護者がイライラせずに、肩の力を抜いて穏やかに暮らすことが可能になります。第2段階から第3段階に進むためには、他人の介護の体験談から学ぶことです。多くの体験を聞くことで、自分の状況を相対的に見ることができたり、心構えができたりするのです」(湯原先生)認知症患者とその家族の交流の場「認知症カフェ」を開催している目白MMクリニックの内田暁彦院長が語る。「認知症の症状を止めるのは困難です。私ができるのは、患者と家族が自分らしい生活を続けられるよう寄り添い続けることです。心身の負担が大きい介護者が語り合い、情報交換をする場は、問題を共有することで介護者の気持ちが少し楽になるという効果も。またデイサービスも、患者さんのためだけではなく、介護者にとって自分の時間を作るためにも活用するようにしてください。介護の苦しみは永遠に続くわけではありません。1人で抱え込まずに、仲間を作ることも大切。公的な介護サービスを利用したりして負担を分散することが重要です」もし、自分や周囲の人が介護によって追い詰められる事態になれば、どうすればいいのか?「病院や医師だけでなく、住んでいるところの地域包括支援センターや役所、地域の家族会など、介護の不満やSOSが言える場所をいくつか確保しておくほうがいい。また、社会としても、困難に陥っている介護者を早く見つけ出して、いかに手を差しのべるかが課題なのです」(内田院長)介護殺人を回避するためには、介護者の心の余裕と社会のサポートが欠かせないようだ。「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年07月30日介護の疲れから、身内の苦痛を見るのがつらくて……親族に手をかけてしまう“介護殺人”は長年の社会問題だ。だが、コロナ禍で起こり方に変化の兆しがあるというーー。’00年に介護保険制度がスタートし、認知症などの高齢者の介護は家庭だけでなく、社会全体で取り組むことになった。ところが介護を理由とした家族間での殺人の件数は減らず、厚生労働省の統計によると年間20〜30件起きている。2週間に1件程度の頻度で、介護殺人が起きている計算だ。同調査によると、加害者の3割から4割が女性で、女性が男性を上回ることは一度もなかった。しかし、「異変が起きている」と語るのは、日本福祉大学社会福祉学部教授で『介護殺人の予防』(クレス出版)の著書がある湯原悦子先生だ。「介護殺人の加害者の男女比率は長年この割合で推移してきましたが、今年1月から7月までを調べてみると、女性が加害者である割合が増加しているんです」次の「2020年に起きた介護が理由とみられる死亡事件」を見てほしい。湯原先生が独自に調べた、今年に入ってから7月21日現在までに起きた15件の介護殺人の内容だ。加害者が女性のケースは9件と、男性を上回っている。■2020年に起きた介護が理由とみられる死亡事件(※年齢は逮捕当時。湯原先生の調査を基に本誌が作成。高齢者に対する介護を原因とした死亡事件に限った)【1月2日・神奈川県相模原市】容疑者/加害者:娘(53)1月6日、85歳の母親の遺体を自宅に放置したとして、死体遺棄の疑いで娘を逮捕した。5日に自ら通報して発覚。娘によると母は2日に亡くなったという。遺体の顔面や上半身に内出血があり、「たたいたことはある」と供述している。【1月7日・静岡県伊豆の国市】容疑者/加害者:息子(54)1月7日、警察が衰弱した母親を自宅で見つけ、病院に搬送されたが、死亡した。81歳の母親は歩行困難だったが、介護をしていた息子は1月5日朝に家出。3月12日に発見され、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された。【1月28日・愛知県東海市】容疑者/加害者:夫(79)夫は「妻を刺した」と長男に電話し、長男が通報。駆け付けた警察官が72歳の妻の遺体と意識不明の重体の夫を発見した。夫妻は2人暮らし。夫は周囲に妻の介護に悩んでいると漏らしていたといい、心中を図ったとみられる。【2月3日・宮城県気仙沼市】容疑者/加害者:妻(69)妻が親戚に「夫を殺してしまった」と連絡し、事件が発覚。目が不自由な74歳の夫は日常的に介護が必要だった。妻は「介護に疲れた」と供述し、警察は殺人の容疑で妻を逮捕。近所の人たちの証言によると、2人は仲むつまじい夫婦だったという。【2月4日・宮城県仙台市】容疑者/加害者:妻(69)、息子(43)2月2日、末期がんで体が不自由な78歳の夫を放置して、妻と長男が外出。3月未明に、妻の通報で救急搬送されたが、4日午前に死亡。妻と長男は保護責任者遺棄容疑で逮捕、送検されたが、3月6日に仙台地検は妻と長男を不起訴とした。【3月2日・兵庫県明石市】容疑者/加害者:息子(41)マンションの一室で72歳の母と息子が倒れていると、親族が通報。母はすでに死亡しており、意識不明だった息子も病院搬送後に死亡が確認された。母は認知症を患い息子が介護していた。無理心中だとみられている。【3月7日・埼玉県羽生市】容疑者/加害者:妻(71)「夫を殺した」と妻が自ら通報。「介護に疲れていた」と供述し、72歳の夫を、首を絞めて殺害した容疑で逮捕された。妻の首や手首には切り傷があり、無理心中を図ったとみられている。【4月7日・東京都杉並区】容疑者/加害者:夫(82)夫は「母さんが死んだ。俺も後を追う」と長女に電話。長女が通報して、事件が発覚した。81歳の妻は要介護3だった。夫は「将来を悲観して一緒に死のうと思ったが、死ねなかった」と供述、殺人容疑で逮捕された。【4月18日・大阪府大阪市】容疑者/加害者:息子(57)特別養護老人ホームに入所した91歳の母を毎日のように見舞っていたが、新型コロナの流行で面会が禁じられ、4月17日に自宅に引き取った。翌日の夜、母を殺害し、自身も自殺。「母に『死にたい』と言われ、糸が切れた」という遺書が残されていた。【4月28日・宮城県仙台市】容疑者/加害者:娘(68)強い足の痛みを抱える94歳の母が「早く逝きたい」と言うように。娘は多量の睡眠薬を混ぜたジュースを飲ませ、座布団で顔を押さえつけて母を窒息死させた。嘱託殺人の罪に問われ、7月15日に検察は懲役3年を求刑。判決は8月19日予定。【5月5日・埼玉県さいたま市】容疑者/加害者:娘(26)60歳の母を殺害し、娘が自ら110番通報した。母と娘の2人暮らしで、「3年ほど前に脳の病気で体が不自由になった母を、自分が介護をしていた」と供述し、「介護に疲れた」と容疑を認めているという。【5月14日・茨城県利根町】容疑者/加害者:妻(73)5月14日、呼び鈴を押しても応答しないことを不審に思ったデイサービス施設の職員が長男を呼び出して確認したところ、死後数日が経過した夫婦の遺体が見つかった。介護が必要だった77歳の夫は首を絞められた痕があり、妻は首をつっていた。【6月5日・神奈川県小田原市】容疑者/加害者:妻(73)83歳の夫と妻、長男次男と4人暮らしだった。5日午前0時ごろ、妻は夫の首を絞めて殺害。妻に起こされて、事情を明かされた長男が通報し、事件が発覚。妻は「夫の介護に疲れた」と供述し、殺人容疑で逮捕された。【6月18日・沖縄県南風原町】容疑者/加害者:妻(72)6月18日夕、同居している家族が帰宅すると、意識不明の76歳の夫と妻を発見。介護が必要な状態だったという夫は搬送先の病院で死亡した。自殺を図ったとみられる妻は、意識が回復後に「介護に疲れた」と供述し、殺人容疑で逮捕された。【7月11日・鹿児島県知名町】容疑者/加害者:息子(70)90歳の母親を複数回殴打した翌日、ぐったりとしているのに気づき、息子自らが通報。息子は寝たきりの母を介護しながら2人暮らしだったが、介護を巡って親子で対立があったと伝えられている。「妻が夫を殺害し、その後、自らも命を絶とうと無理心中を図っても死にきれなかったという事例が増えています。気がかりなのが、加害者となった女性が、一様に『介護に疲れて』と動機を語っていること。これまで『介護に疲れた』という理由で肉親を殺害するケースは比較的男性に多かったのです。男性は認知症になった妻や親の介護を抱えても、周囲に悩みを打ち明けたり、何かに頼ったりしない傾向があります。思いどおりにいかない介護を1人で背負い、あるとき何かがポキンと折れるように事件を起こしてしまうケースが多いのです」(湯原先生・以下同)一方、女性の場合、介護のことを育児と同じように身近な話題として、友人や知人、職場などで愚痴や悩みを共有しやすいという。「女性に多い動機は、夫や親など、介護している対象の『苦しみを終わらせてあげたい』というものが多かった。しかし、ここにきて、介護疲れを理由とした女性の事件が増えているのです」いったい、何が起こっているのだろうか?「『介護に疲れて』という動機は『将来を悲観して』という動機と表裏一体。この先、よくなるとは思えない暗い将来を憂い、介護を続ける気力を失い、“ならば一緒に死んでしまおう”、という発想になってしまう女性が増えているのかもしれません」昨年は「老後資金2,000万円不足問題」など、老後の不安が拡大する話題が多かった。そして、今年は新型コロナウイルスの感染が拡大。他者との交流がしづらく、悩みを共有する機会を失ったり、将来への不安を深めたりしている人は多い。そんな時代背景が介護している女性を追い込んでいるのかもしれない。「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年07月30日【今週の悩めるマダム】コロナ禍のなか、同居している要介護1〜2の義父母(主人の両親)の介護に明け暮れる日々です。近くに住んでいるのに両親と仲の悪い主人の2人の妹たちは、訪問はおろか電話1本ありません。私の都合の悪いときくらい、手伝ってくれてもいいのにと思ってしまいます。唯一の救いは主人からの感謝の言葉です。(愛知県在住・50代主婦)これは切実な話ですね。奥様の立場になって、いろいろと考えてみました。結論から申し上げますと、奥様はとっても優しい方です。だから、断れないのですね。少しきつい言い方をしますが、お許しください。綺麗事を言っていても解決できません。奥様がこの問題で離婚するとか、不幸になることは絶対にあってはいけませんから、多少は心を鬼にして挑んでもらいたい。奥様も生きているんですよ。ご自身の幸せを大事にしないと生きていることが辛くなりますよね。僕が暮らすフランスでは、子どもたちが親の介護をすることはほとんどありません。親がそれを望まないからです。ましてや嫁がやることではありません。フランスの親は子どもに頼らない。そういう国もあるんだ、と思ってください。これが日本の価値観に当てはまるとは思っていませんが、でも、実際にそういう世界もあるんです。奥様は優しくて、またご主人を愛しているし、ご主人のご両親にも情が湧いているのがよくわかります。しかし、これを続けていくと、奥様ご自身の人生が死んでしまいます。それはダメだ。絶対、ダメです。僕がもし奥様の立場だったら、まず、ご主人とご主人の妹さんたちにはっきりと言います。血の繋がったあなたたちが何もやらないで血の繋がってない自分がすべて引き受けるのは不条理だ、と。ストライキというのは人間の権利です。奴隷じゃないんです。実の娘が2人も近所にいて何もやらないっておかしいです。鬼ですよ。妹さんたちとご両親が仲が悪いということは奥様にはまったく関係ない話です。もし奥様が病気になったら、誰かがこの代わりをすることになるわけです。そういうことは起こりえます。まず、ご主人と妹さんたちと話をし、なんなら妹さんたちのご主人たちも含めてみんなで話し合い、自分にも時間が欲しいと訴えてください。そういう話し合いの場を持つべきでしょう。その上での解決策ですが、デイサービスや介護施設などを利用することに持っていければいいですね。まずは時間の確保が必要です。費用は3家族で割りましょう。そして、その判断をご主人と妹さんたちにやってもらうのがいいでしょう。こうすれば、これまでのようなハードな毎日からは多少解放されるはずです。それをしなければ、奥様はずっと自分を犠牲にして生きていかないとならなくなるのです。奥様にだってご両親がいますね。自分の親の面倒もそのうち看ないとならなくなるでしょう。奥様の優しさはわかりますが、ここはご自身が死なないためにはっきりと訴えましょう。「赤ん坊は泣かないとミルクを与えてもらえない」のです。我慢せず、演技でもいいので、号泣してください。「あなたたちの親でしょ、私にだって親がいるんですから」と主張してください。【JINSEIの格言】僕が暮らすフランスでは、子どもたちが親の介護をすることはほとんどありません。親がそれを望まないからです。ましてや嫁がやることではありません。そういう国もあるんです。この連載では辻さんが恋愛から家事・育児、夫への愚痴まで、みなさんの日ごろの悩みにお答えします!お悩みは、メール(jinseinospice@gmail.com)、Twitter(女性自身連載「JINSEIのスパイス!」お悩み募集係【公式】(@jinseinospice)、またはお便り(〒112-0811 東京都文京区音羽1-16-6「女性自身」編集部宛)にて絶賛募集中。※性別と年齢を明記のうえ、お送りください。以前の連載「ムスコ飯」はこちらで写真付きレシピを毎週火曜日に更新中!
2020年07月28日新型コロナウイルス感染拡大の中心として名指しされた歌舞伎町。感染者数が1,000人近くとなった新宿区は、感染者に見舞金10万円を支給すると決めたが、それが自粛要請の妨げになっているとの批判もある。それにしても、このご時世で“夜の街”に繰り出すなんて何を考えているのか?本誌がその現状を見に訪れると、衝撃の光景が……。マスクを着けず大騒ぎする者、回し飲みをする者。20代そこそこの若者がほとんどだったのだ。「もちろん多くの店は感染対策をおこなっています。ですが、たくさんお金を使う上客だった“オトナ”が感染を恐れてしっかり自粛しているので、コロナを意に介さない若いコを狙ったイベントをたくさん開催して集客しなければならないのが現状。そのため、いつも以上の多くの若者が集まっているんです」(新宿・飲食店関係者)経済を回すことも大切だが、クラスターの原因はしっかり自粛してもらいたい。「女性自身」2020年7月28日・8月4日合併号 掲載
2020年07月21日2011年に当時23歳だったタレントの加藤綾菜さんと結婚した、『ザ・ドリフターズ』のメンバーである加藤茶さん。45歳差という『超・歳の差婚』は世間を驚かせました。結婚から9年が経ち、加藤茶さんは77歳に。そんな加藤茶さんを支えていくため、綾菜さんは必死に勉強をして介護試験に合格したといいます。加藤茶「めっちゃ幸せ」加藤綾菜が明かした『介護試験のエピソード』に「尊敬」の声加藤綺菜、介護の知識を深めるため介護施設で働くことを決意同年6月16日、綾菜さんがInstagramを更新。初任者研修の合格では満足せず、介護の知識を深めるために実務者研修の合格を目指すことにした心の内を明かしました。介護の基礎知識を学ぶ初任者研修からステップアップし、より実務的な知識と技術を求められる実務者研修。綾菜さんは「介護の現場に立ちたい」という思いから、介護施設で働くことにしたといいます。撮影が終わり緩和ケアの授業をうけたノートを復習。やっぱり、初任者研修(ヘルパー2級)をとったなら1級(実務者)とって知識を深めたい!自己満のためじゃなく役に立つ自分になりたいと心から思ったよ!介護の現場にも立ちたい。。。学びたい!って事で働かせてもらえる施設を探してまして。。。 見つかりました。働かせて頂ける事になりました‼️感謝です。katoayana0412ーより引用※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 加藤綾菜(@katoayana0412)がシェアした投稿 - 2020年 6月月16日午前7時48分PDT情報番組『ノンストップ!』(フジテレビ系)で初任者研修の合格を明かした際、「介護試験は介護職のためではなく夫のため」といっていた綾菜さん。きっと勉強しているうちに、さらに知識を深めたいという思いや、介護現場で働きたいという気持ちが強くなったのでしょう。加藤茶さんとの結婚が報じられた際は、その年の差から綾菜さんに対して心ない言葉や憶測がネットで飛び交ったこともありました。しかし、綾菜さんの加藤茶さんを想う姿に多くの人が心打たれたようです。・結婚当時は心ない言葉も多かったけど、夫のために頑張っているのが伝わってきます。・純粋にすごいと思う。尊敬するし、頑張ってほしいです。・自分は介護従事者ですが、行動力が素晴らしいと思いました。応援しています!大切な家族のためだからこそ、綾菜さんは「もっと学びたい」「頑張りたい」と思うことができるのでしょう。今後も夫婦で仲よくいてほしいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年06月17日病気やケガが原因で介護が必要になった場合、真っ先に思い浮かべるのは「介護保険が使えるかどうか」ではないでしょうか。まさしくそのとおりで、「介護状態になったら介護保険」というイメージで合致しています。では、医療保険では全く介護のサポートができないのかというと、そうではありません。今回は、介護保険と医療保険のそれぞれの制度の概要と、どのような場合に、どちらの保険が適用されるのかを詳しく解説していきます。介護保険とは介護保険とは、40歳以上になると加入義務のある制度です。40歳から65歳までの第2号被保険者と、65歳以上の第1号被保険者に分けられます。要支援1または2、要支援1から5までの7段階に区別され、それぞれの支援や介護の度合いによって、被保険者の負担割合が違います。介護保険が適用された場合、認定された区分に応じた介護サービスを受けることができます。要支援・要介護のそれぞれの区分に応じて、支払限度額が設定されており、それを超えた分は全額を自己負担として支払う必要があります。介護保険の被保険者介護保険の被保険者(対象となる人)は2種類に分けられます。65歳以上:第1号被保険者40歳以上65歳未満:第2号被保険者介護保険の適用条件第1号被保険者と第2号被保険者で、介護保険の適用される条件が違います。介護状態になった理由を問わず、介護状態になった場合に適用されるのは、65歳以上の「第1号被保険者」です。一方、40歳から65歳までの第2号被保険者の場合、加齢が原因とされる16種類の特定疾病が原因で介護状態になった場合のみ、介護保険が適用されます。介護保険料の支払い介護保険料は、加入している健康保険に上乗せして納付します。40歳の誕生日を迎えると、当月分から介護保険料が上乗せされた金額を納付することになります。自営業者やアルバイトの方など、国民健康保険に加入している方は、納付書(または自動引き落とし)にて支払います。会社員や公務員など社会保険加入の方は、介護保険料の上乗せされた金額を給与天引きにて支払うので、未納がなく安心です。すでに退職後で年金受給者の方は、受給する年金から、あらかじめ介護保険料を差し引いた金額が2カ月に1度振り込まれます。これを「特別徴収」といいます。申請すると、特別徴収ではなく、それぞれ納付書で介護保険料を納める「普通徴収」に変更することもできますが、万が一の未納などの恐れを考えると、特別徴収のほうが利便性は高いといえます。医療保険とは医療保険(公的健康保険制度)とは、日本国民全員が加入する義務のある制度です。「国民皆保険」という言葉で表されることもあります。医療保険は「病気やケガに対して広く保障する」という役割があります。なお、医療保険はお勤めの形態によって2種類に分けられ、加入要件などが少々違います。医療保険の概要は違いますが、どちらの医療保険に加入していても、一般的には自己負担3割で医療を受けることができます。お子さんを対象として、お住まいの地域ごとに乳幼児助成制度があります。未就学児の医療費は全額無料になる地域もあります。または、1か月の医療費上限が1000円程度で済む制度を取り入れている自治体もあります。該当する子どもの年齢も、就学前までなのか、義務教育期間中なのか、行政によって規定はさまざまです。主に2つの健康保険制度自営業者やアルバイトの方などが加入するのは「国民健康保険」です。会社員や公務員などが加入するのは「社会保険」です。その中には協会けんぽや、企業独自の健康保険組合などがあります。いずれの場合でも、ひとりに1枚「健康保険証」が発行されます。医療機関でこの健康保険証を提示すれば、かかった治療費のうち、自己負担分の3割のみを清算すればよいという決まりになっています。もうひとつの健康保険制度として、後期高齢者医療制度という制度があります。75歳以上になった方は、どなたでもこちらの健康保険制度に移行することになります。75歳以前に加入していた健康保険制度に関わらず、一律「後期高齢者医療制度」の加入者ということになります。一般的な分類でいくと、自己負担割合は1割です。ただし、現役並み所得のある75歳以上の方は、3割負担です。介護保険と医療保険の関係ここまで、介護保険と医療保険のそれぞれの概要についてまとめました。介護と医療は密接な関係にあり、混同してしまいがちですが、相互に作用する部分もあれば、全く違う部分もあります。似通ったイメージのある2つの保険ですが、2つの関係について項目別に解説していきます。[adsense_middle]併用できる?介護保険と医療保険は、基本的には併用できません。どちらかのみを利用する決まりです。何らかの理由から介護状態になった場合、介護や支援の認定が受けられれば「介護保険」の適用となり、認定が受けられない場合は「医療保険」で可能な限り介護のサポートをすることになります。末期がんなどで、医療も介護も手助けが必要であると判断された場合は、一部例外的に2つを併用できる場合もあります。介護保険が優先介護や支援の認定を受けることができ、介護保険も医療保険もどちらでも受けられる状態となった場合、その2つが併用ができないのはおわかりいただけたと思います。この場合、優先されるのは「介護保険」です。介護や支援の認定を受けたということは、その区分に応じたサポートが必要であるということです。介護保険と医療保険のそれぞれの概要でも説明しましたが、医療はケガや病気の治癒と目的としていて、介護だけに特化しているわけではありません。つまり、介護や支援に認定を受けたのであれば、介護保険を使ったほうがよりよいサポートが受けられるということです。適用範囲の違い似ているようで違う部分も持ち合わせている2つの保険ですが、まず全く違うのは「適用範囲」です。根本的に、介護保険が適用されるのは「介護認定を受けてから」です。そもそも40歳以下の場合であるなど、介護認定を受けることができなければ、介護保険を使うことはできません。一方、医療保険は、国民健康保険または社会保険のいずれかの健康保険証を持っていれば、かかる医療機関にその保険証を提示することで、必要な医療を受けることができます。介護認定の有無は関係ありません。介護保険でできること介護保険は、介護だけのために使うことができます。病気やケガによって介護状態になった場合、行政から要支援や要介護の認定を受けます。その認定された区分の範囲内で、介護サービスを受けることができます(介護サービスについてはこの後詳しくまとめます)。ただし【介護保険の適用条件】でも書きましたが、40歳から65歳までの第2号被保険者では、16種類の特定疾病が原因で介護状態になった場合のみ、介護保険の適用を受けることができます。介護保険の第2号被保険者で、この16種類が原因ではなく介護状態になった場合や、脳疾患や交通事故などが原因で、40歳未満で介護状態になった場合は、介護保険の適用がありません。医療保険でできること医療保険は、保険証さえ提示すれば、誰でも医療機関を3割負担で利用することができます(後期高齢者制度や、市町村の乳幼児医療費助成などを除く)。介護保険と違って、何かしらの認定を受けなければ医療保険を使えない、ということもありません。なおかつ、医療保険は国民全員が加入義務のある制度なので、医療機関にかかる理由・原因を問わず、どなたでも必要な医療を全国の医療機関で平等に受けることができます。2つの違い介護保険は「介護認定を受けなければ使えない」医療保険は「保険証を提示すれば誰でも使うことができる」対象となる介護サービスの違い医療保険と介護保険が併用できないことはおわかりいただけたかと思います。では医療保険、介護保険、それぞれで受けられる介護サービスとは何があるのでしょうか。ここからは、医療保険、介護保険それぞれの概要をご紹介します。介護サービスの中でも、今回は主に、在宅のままで受ける訪問サービスについてまとめます。訪問サービスには「訪問看護」と「訪問介護」の2つがあります。これまでに解説したとおり、「看護(医療)」と「介護」は似ていますが実は全く違います。「訪問看護」とは在宅で医療行為を行うことで、「訪問介護」とは介護サービスを行うことです。[adsense_middle]医療保険における訪問サービス医療保険で訪問サービスを受けるには【医師が必要と認めた範囲内】という条件が付きます。医療保険の根本的な考え方は【必要な医療行為を受けること】ですので、それに則って行われることになります。医療保険による介護サービスの場合は、看護師や保健師などの看護に携わる専門職の方が行います。訪問看護の場合では、主に血圧や脈拍など健康状態の把握から始まり、点滴や注射など、医師の指示に基づいた処置が行われます。要支援・要介護認定を判断する役割も看護師や保健師など、看護の専門職の方が訪問看護を行うもう1つの役割は、医療保険ではなく介護保険に切り替えたほうがよいのではないか?という点を判断することです。簡単にいうと、看護職の方の訪問看護を通じて、要支援や要介護の認定をする際の判断基準となるということです。最初は医療保険上の訪問看護のみでよかった方でも、状態によっては後に支援や介護が必要となることも十分ありえます。その判断の1つとして、専門職の方による訪問看護は大切な役割を担っているということです。介護保険の訪問サービス介護保険における訪問サービスは、言語聴覚士や作業療法士、理学療法士などのリハビリを専門に行う専門職の方や、訪問介護専門のヘルパーさんなどが行います。ここで一番の注意点は、【介護では看護はできない】ということです。ヘルパーさんは医療行為はできません。訪問介護での在宅サービスの一例としては、入浴の介助や食事の手伝いなど、主に日常生活のサポートをすることがメインです。介護サービスの一環として、自宅のリフォーム費用も対象となる場合があります。介護のために必要とされるリフォームを実施した場合や、必要な介護用品のレンタルも認められる場合があります。これらのサービスを利用する前に、リフォーム業者や介護用品レンタルショップに、あらかじめ訊ねておくことをおすすめします。いずれも現金の給付はない介護保険と医療保険、どちらのサービスを受けることになっても、現金での給付はありません。介護は長期化する場合がほとんどです。そのリスクに備えて、民間の生命保険会社が販売している介護保険(介護特約)などで費用を準備しておくと安心です。民間の介護保険も、所定の介護認定を受けたら「一時金」として給付を受けられるものから、一定期間あるいは一生涯に渡って「年金形式」で介護年金を給付するものなど、いろいろな商品があります。公的な介護保険と併用することを前提に、介護費用の準備として検討してみるのもおすすめです。判断に迷うときは医療保険と介護保険、どちらをどのように利用したらよいのか、なかなかわかりづらい場合もあるかと思います。特に医療的な判断というのは、医療や介護に携わる方ではない限り判断に迷うのも当然です。適用されるのが医療保険か介護保険か、よくわからない場合には、お住まいの地域の医療や介護に関する相談窓口に尋ねてみましょう。また、かかりつけの医療機関がある場合は、医療機関内に相談窓口が併設されている場合もあります(大きい病院ではほとんどが相談窓口があります)。ご自身やご家族だけで抱え込むのではなく、早めに然るべき相談機関に相談し、先々の対策を取っていくようにすると安心できます。介護保険と医療保険・まとめ介護保険と医療保険は、一見すると似ている制度です。どちらも加入義務がありますが、介護保険は利用するのに一定の条件があり、医療保険は保険証さえあれば誰でも使うことができます。今回はこの2つの違いと、同時に併用できない場合がほとんどであるということを、少しでもご理解いただければ幸いです。似ている制度とはいえ「介護は介護」「医療は医療」それぞれ専門の役割があります。然るべき医療サービス、介護サービスを受けることができるよう、基礎知識だけは覚えておくときっと役に立つでしょう。
2020年06月16日今回のテーマは「介護保険」です。介護保険といっても、40歳以上になると加入義務のある、行政が主体の「介護保険」ではなく、生命保険会社が販売している民間の介護保険について、制度の内容から加入要件についてまとめていきます。本記事をご覧になっている方ご自身にすぐに直結する内容ではないかもしれませんが、親御様など身近な方のためにも知っておくと役に立つ内容です。民間介護保険の仕組み民間介護保険の仕組みは、公的介護保険制度とは違って、保険会社が定めた所定の介護状態になった場合に、保険金として現金が給付されます。公的介護保険制度では、現金給付ではなく介護サービスの提供がメインです。その大きな違いを把握しておくと、これから民間の介護保険について解説を進めるにあたって、整理がしやすくなります。参考・公的介護保険制度とは公的介護保険制度とは、40歳になったら必ず加入しなければならない制度です。保険料の徴収方法は、国民健康保険加入の方は、毎月の保険料に上乗せされて納付します。会社員などで社会保険加入の方は、毎月給与天引きで自動的に納付しています。要支援・要介護合わせて7段階に分けられており、それぞれの段階に応じた介護サービスの提供を行政から受けられることになっています。民間の介護保険の内容現在、国内の生命保険会社のほとんどで介護保険を販売しています(介護特約も含む)。昭和の時代ごろまでは、医療保険と死亡保険、せいぜいがん保険が販売されている程度でしたが、平成に入り、平均寿命も毎年伸びていることから「長寿化」へのリスク対策として「介護保険」が注目されるようになりました。もちろん加入している医療保険でも、補うことができる部分もあるでしょう。しかし、介護には介護の、より充実した保障内容があるほうが安心ですよね。現在販売されている商品の主な概要について、これからご紹介します。公的介護保険に連動している介護保険に加入している方が、その保険から給付を受ける場合に、ひとつの目安となるのが「公的介護保険の認定」です。たとえば、保険会社が独自で定めた介護状態にならなければ給付金がもらえないのでは、少々わかりにくさが残ります。一方、近年販売されている介護保険では、給付の対象が「公的介護保険における要介護2以上で給付金をお支払い」など、公的介護保険で一定の基準以上の認定を受ければ、給付金がもらえるというわかりやすい仕組みになっています。給付金が受けられる所定の要支援・要介護状態は、保険会社・保険商品によって基準が違いますので、ご加入の際にはあらかじめ調べておきましょう。要介護・要支援認定だけでなく、公的介護保険の介護サービスを利用したら給付金が支払われるタイプの介護保険もあります。一時金として給付される場合もある保険会社によっては、所定の要介護状態になった後、一生涯に渡って年金形式で一定の金額を支払う商品も販売されています。また、介護保険として別に加入していなくても、ベースは医療保険で、介護に関する特約を付加することで、一時金としてまとまった金額の給付金を受け取ることができる商品もあります。介護保険単体で加入するよりも、特約で付加する場合のほうが保険料が安い場合もあります。ぜひ見積もりを作成してみて、ご自身のニーズにより近いものへの加入を検討しましょう。介護保険の主な種類一般的な民間介護保険の商品の中には、大きく2種類があります。保険期間や保険料に、それぞれ正反対の特徴を持っています。介護に対する考え方や、必要としている保障内容によって使い分けをされるとよいでしょう。貯蓄型(終身)介護保障が一生涯続くタイプの介護保険は、終身型であることがほとんどです。終身型とは、一般的に貯蓄性が高いので、掛け捨ての定期型保険よりも保険料が割高です。しかし、終身型で貯蓄性の高い介護保険に加入するメリットとしては、「保障は一生涯」「保障に代えて年金としても受取可能」などがあります。特に「年金として受取可能」という点は、貯蓄型が人気であるポイントです。介護状態に該当しなくても、まとまった額の死亡保障として遺族へ遺すこともできます。さらに、ご本人の生前に、解約してまとまった資金として使うこともできます。貯蓄性の高い介護保険では、介護状態に該当しない場合の使い道もあり、より自在性に富んでいます。掛け捨て型(定期)一定期間の介護保障を目的とした定期タイプの介護保険は、いわゆる「掛け捨て」ですので保険料が安価で済みます。前述した「終身型」とは正反対の特徴を持つ掛け捨ての介護保険は、貯蓄性がほぼない、または少しだけ解約金が戻る性質を持っています。高い保障が欲しい場合でも、保険料が割安なので、使い方によっては非常に合理的です。預貯金やほかの生命保険商品で十分な備えをお持ちの方は、それらに掛け捨ての介護保障を上乗せをするイメージで加入を検討してもよいでしょう。民間介護保険の加入条件民間の介護保険に関しては、加入条件は特にほかの生命保険と変わりがありません。既往症がなく、加入時にありのままを告知し、保険会社所定の加入条件を満たしていれば、介護保険に加入できます。ただし、すでに介護状態である場合や、認知症であるなど、そもそも加入できない場合もあります。民間介護保険・加入のピーク公益財団法人・生命保険文化センターの取りまとめたデータによると、介護保険(特約も含む)の加入率は50代がピークだということです(平成30年度生命保険に関する全国実態調査・民保の特定の機能を持つ生命保険や特約の加入状況・参照)。50代というと、一般的には子育てがひと段落し、定年を前に、老後ご自身の生活について立ち止まって考える時期でもあります。実際に、親御さんの介護が始まるのも50代くらいが多いと推定されます。そのような環境の変化から、50代が介護保険(特約)の加入のピークであると推測されます。[adsense_middle]比較・検討のポイントこれまで、民間の生命保険会社による介護保険(特約)について、制度の内容や仕組みについてまとめてきました。ここからは、実際に加入しようとする際の目安となるポイントについて、いくつかご紹介します。①受取方法の違いまずポイントとなるのは「介護保険の給付金を、どのような受け取り方でもらいたいか」という点です。受け取り方法は、以下の3パターンがあります。【一時金】所定の介護状態に該当したら「一時金」としてまとまった金額の給付を希望する【年金形式】介護状態になったら、その後の長期間に渡って「年金形式」で年に一度受け取りを希望する【一時金+年金形式】最初は「一時金」として大きな金額を、その後は年金形式で、少しの額でも長期間受け取りたい一時金民間の介護保険に加入した場合、一番シンプルでわかりやすいのは「一時金で受け取る」内容の商品です。保険会社が定めた条件に該当すれば、加入時に設定した金額を「一時金」として一括でまとまって支払われます。デメリットとして考えられるのは、介護が長引いた場合に、最初に一時金で受け取った給付金が足りなくなる場合があるという点です。年金形式年金形式で介護保険を受け取る保険商品は、長引く介護生活の支えになります。ただし、年金形式での受け取りを希望する場合、一時金受取タイプよりも保険料が割高の場合がほとんどです。加入年齢と保険料のバランスを見て検討してもよいですね。一時金+年金形式とても合理的な受け取り方法は「一時金+年金形式」です。介護保険を請求した際に、まずは「一時金」としてある程度まとまった給付金を受け取ります。その後、毎年一定額(加入時に設定した年金額)を生涯に渡って受け取ります。とても理想的で、安心できる受け取り方法ですが、3パターンの中で一番保険料が割高です。例えば独身の方で、万が一老後にご自身の介護のお手伝いをしてくださる方がいらっしゃらない場合などは、このような安心できる保険で備えるとよいでしょう。②加入するタイミング先にも書きましたが、介護保険の加入年齢のピークは50代です。50代になって、ご自身やご家族の介護に触れることでリスクに直面し、介護保険に加入する方が多いようです。公的介護保険制度では、40歳以上になると公的介護保険の第2号被保険者となります。主に加齢が原因の16種類の特定疾病が原因で介護状態になったと認定されれば、公的介護保険制度から介護サービスを受けることができます。ただし、介護状態になるリスクは40歳から突然増えるというわけではなく、例えば脳卒中の後遺症などで40歳以下でも介護状態になるリスクもあります。ご自身の現在の環境などを踏まえ、いつごろから備えたほうがよいか検討してみましょう。介護保険だけでなく、生命保険の保険料は「若ければ若いほど安価で加入できる」システムです。本当に介護のリスクが迫ったときに加入しても、保険料が高くて加入を断念することがないよう、早めに検討することをオススメします。民間介護保険・まとめ公的介護保険制度が適用となるのは、40歳以降です。しかし実際は、40歳から65歳が含まれる第2号被保険者では、16種類の特定疾病に該当しなければ介護保険制度を利用することができません。若年層でも、脳疾患、心疾患の後遺症などで介護状態になるリスクはあります。生命保険の本来の意義どおり「リスクに備える」としたら、より若いうちから、安価な掛け捨て型でもよいので、介護に対する備えはスタートしておいたほうがよいのではないかと考えます。また、民間介護保険を選ぶポイントとして、保険金受取の方法があります。3パターンのうち、ご自身のニーズにより近い方法はどれなのか検討してみるとよいでしょう。
2020年06月15日飲食業や観光業の窮状、あるいは医療関係者の奮闘はあらゆる媒体で日夜報じられているが、それに比して、見落とされがちなのが介護事業者だ。いま、現場は非常に厳しい闘いを強いられている。「自粛生活開始後“1カ月しのげば元に戻る”と期待していましたが、新型コロナとは長い闘いとなりそうです。とくに通所介護施設は中小、零細でやっている事業者が多く、自転車操業。返済が苦しいので融資も躊躇します。この状態が続けば数カ月後にはバタバタとつぶれていく可能性があります」そう話すのは、通所介護事業を行う「DAYS BLG!」(東京都)スタッフ代表の佐藤亜美さん。こうした声を受け、「全国介護事業者連盟」は4月、5月の2回にわたり、同連盟会員の事業者を中心に、新型コロナウイルス感染症に係る経営状況への影響についての緊急調査を行った(有効回答数・合計約3,600)。同連盟の専務理事・斉藤正行さんが分析する。「あらゆる業務で売り上げの悪化が見られます。特に通所介護の利用控えは顕著で、9割が経営への影響があると回答」介護サービスの事業者の利益率は、介護報酬の設定によって2〜3%ほどに抑えられている。「ギリギリで経営している所が多く、10%や20%の減益で、急速に経営状況が悪化してしまうんです」5月25日、緊急事態宣言が解除された。介護事業も“日常”に戻るのかと思いきや、それは甘い認識だという。介護施設のコンサルタントを請け負う「スターパートナーズ」代表の齋藤直路さんはこう指摘する。「介護事業の利用者は、新型コロナウイルスの影響を受けやすい高齢者や基礎疾患を持つ人が中心です。一般の業界よりも影響は長く、今後1〜2年は続くでしょう。休業のまま閉鎖したり、身売りを検討している施設は少なくありません。倒産数も増えるでしょう」“施設がなくなれば、別の施設に”という単純な問題ではない。「利用者にとって重要なのは、なじみの職員や友人との人間関係。それが断ち切られてしまう影響が大きい。また、施設がなくなるということは、家族がカバーしなくてはならない。“介護疲れ”や“介護離職”が起こりかねません。施設単位の努力だけではなく、国や自治体にも、人件費や家賃の補助、最前線の職員への慰労金の拡充など、介護施設を“つぶさない制度”が求められているのです」前出・全国介護事業者連盟の斉藤さんは最後にこう付け加える。「介護サービスがなければお風呂に入れない人もいるし、働きに出られないご家族もいます。介護は生活や命に関わるもの。不要不急ではなく、必要不可欠なものです」ウイルスから利用者を守るために闘う全国の介護事業者の声は、政府に届くのだろうか。「女性自身」2020年6月16日号 掲載
2020年06月10日飲食業や観光業の窮状、あるいは医療関係者の奮闘はあらゆる媒体で日夜報じられているが、それに比して、見落とされがちなのが介護事業者だ。いま、現場は非常に厳しい闘いを強いられている。「3月7日に、最初の利用者の感染が判明してから、施設内で32人(利用者25人・職員7人)に感染が広がり、約1カ月、デイケアをストップしました。そのために、この部門の収入は10分の1になってしまいました」苦しい事情を明かすのは、通所リハビリ施設「グリーンアルス伊丹」(兵庫県)の事務局長・塩田眞一郎さんだ。「当初から通所される際には検温や症状チェックを行っていたのですが、“無症状”の方が感染されていたため、防ぎきることができませんでした」3月7日、1人目の感染者が判明した直後から、すべてのサービスを休止した。「さらに2人の陽性が判明したので、保健所の指示で、3月12日からデイケア利用者150人とスタッフ26人、すべてにPCR検査を行うことになりました。保健所の判断は早かったんですが、大人数を一度に検体採取する体制は整っておらず、当施設の常勤医に依頼することに」苦労したのは送迎だ。ほとんどの利用者が歩けなかった。「感染している可能性を考えて、個別の送迎が必要でした。送迎車にビニールシートを貼って、送迎が終わるごとに消毒する。この工程を合計100回以上繰り返しました」利用者やその家族のため、一刻も早く検査結果を明らかにしたい。そんな思いから、検査を急いだ。当初は手間取ったものの、1日に取れる検体数はだんだん増えていった。その矢先、保健所からこんな要請がーー。『たくさん陽性者が出ると入院先がなくなるので、検査は1日15人までにしてほしい』塩田さんは耳を疑った。だが、保健所の要請は拒めない。要請に従い少しずつ検査を進めると、保健所は「今日は陽性者2人」「今日は1人」と、さみだれ式に結果を発表した。「すると、すでに業務はストップしていて、感染が広がることはないのに、『あの施設は、いまだに感染者を出し続けているのか』という印象を与えてしまったのです」PCR検査がすべて終了したのは3月24日。利用者からは、「まだ再開しないのか」という声が多数届いていた。「いちばん多かったのは、『入浴サービスを再開してほしい』というものです。自宅では入浴できない利用者の方も多くいるんです」この時点で、3月30日を目標に、入浴などの一部サービスに限定した業務の再開を目指したが……。「厚労省の専門家の方が『あと2週間、再開を延ばしましょう』というんです。理由を聞いたら『社会的インパクトです』と……」科学的な根拠のない話だが、この要請にも従わざるをえなかった。結局、業務を再開できたのは4月9日。休業から1カ月後だった。「このときには、再開の遅れと風評被害によって、施設への不安が増幅してしまっていました」ちなみ、グリーンアルス伊丹は、厚労省のクラスター班や保健所から初期対応を評価されている。“長らく感染者を出し続けた”という風評は続いているが、全員で知恵を絞って前に進んでいる。訪問介護の現場でも混乱は広がっている。障がい者の介護に特化した訪問介護「でぃぐにてぃ」(東京都)代表の吉田真一さんはこう語る。「職員はだいぶ疲弊しています。事務所は以前のような明るさがなくて……。昔はケアに出かけるとき、元気に『行ってきます!』とあいさつしていたのに、いまはぐったりした様子なんです。感染リスクと隣り合わせであるというストレスのためですね」職員の精神的負担は大きい。「4月は毎週のように、2〜3件は発熱のある利用者さんがいました。微熱状態が続いた利用者さんに肺炎症状が出ると、濃厚接触した職員は休まざるをえません」施設から感染者は出なかったが、利用控えは深刻で、4月は15〜20%、5月は25%の減収。このままの状態が続くと、半年後には倒産する計算になるという。「利用者さんからの『こんなときに来てくれてありがとう』『つかれたでしょう。ちょっとお茶でも飲んでいって』という言葉を励みに、なんとか頑張っています」訪問介護事業を行う「ケアネットワーク」(東京都)代表の関口和幸さんもこう話す。「700万円あった1カ月の収入が、4月は200万円に。それでもうちはマシなほうです。それなのに、政府は介護従事者には危険手当などをつけません。看護師でさえ、1日にわずか300円程度ですから、あまりにもばかにしています」コロナ禍によって、表面化した経営基盤の脆弱さをみて、介護業界の行く末に、不安を抱かずにはいられないという。「ヘルパーなど、介護資格を取得するにはお金がかかるうえ、賃金は安い。安定して働ける制度を国が構築しないと、人材が激減し、適切な介護サービスを受けられない人が続出するでしょう」通所介護や訪問介護が止まることで、利用者に与える影響も懸念されている。通所介護や特別養護老人ホームなどを展開する「くだまつ平成会」(山口県)の理事長・岩本昌樹さんが解説する。「すぐに利用者の方の心身に影響があらわれます。やはり家にばかりいたら、刺激がないので落ち着きがなくなる。認知症の方は、現在の状況が理解できず、『なぜ、天気もいいし体調もいいのに(デイサービスに)行けないんだ』と家族を困らせることもあるそうです。またリハビリを1カ月もおろそかにすると、普通に歩いていた人が、立ち上がるのもやっとという状態になるケースも多いんです」「女性自身」2020年6月16日号 掲載
2020年06月10日嫌なことがあった時、その出来事から目をそらし、結局考えないようにしている人も多いのではないでしょうか。しかし、考えないようにしても、ずっともやもやした気分が残りますよね。せるこ(@seruko)さんが、『愚痴をあまり言葉にできない人に知ってほしいこと』を漫画にし、話題となっています。愚痴あまり出せないタイプのひとに見てほしい、ストレスを言語化するの大切よって話です。(以前話題になったものをまとめ直しました)些細なことでも意識的に言葉にするの大切らしい…ネガチブの海に流されるのはあかんけど、私も気付かず溜め込むタイプなのであらためて気を付けねば… pic.twitter.com/vc2LhQ838T — せるこ (@seruko) May 21, 2020 思いきって誰かに愚痴を聞いてもらった時、「それはあなたがもっとこうすればよかった」「ほかにもっとつらい人はいる」などといわれ、逆に落ち込んだという人もいるのではないでしょうか。そういった経験があると「愚痴は吐いてはだめ。我慢しないと」と思ってしまいますよね。投稿には多くの声が集まりました。・分かります!ストレスを溜めすぎて何もかも嫌になる時は、言葉に書き出してみるとスッキリします。・私は「愚痴は心のデトックス」と思うようにしています。・漫画を読んで涙が出ました。私も、自分に合う方法をいろいろと試してみようと思います。・私も溜め込んで爆発してしまうタイプの人間です。これを機に、言語化してみます。せるこさんは、「悪口になってしまうと自分にもよくない感情が生まれるので、愚痴と悪口は違うものだと思っていますが…難しいところです」とも語っています。また、コメントには「SNSに愚痴を書き込んでいると嫌な気持ちが増幅してしまった」という人もいました。嫌だった気持ちを肯定されたり否定されたりすると、必要以上に攻撃的になってしまう人もいるかもしれません。自分に合った方法で、ストレスを言語化し、解消したいものですね。[文・構成/grape編集部]
2020年05月28日俳優の要潤が25日、公式YouTubeチャンネル「要 潤【Jun Kaname】」に投稿した動画で、トム・クルーズ主演、渡辺謙出演の大ヒット映画『ラストサムライ』(03)のオーディションを受けていたことを明かした。要はその冒頭で、「今日は、僕がどうしても出演したかった作品の話をしようと思います」と切り出し、「僕も役者を20年やっていますので、いろいろな作品に参加してきました。でも、スケジュールとかのタイミングでどうしても参加できなかった作品も同じように多々あります」と俳優人生を回顧。「実はあるハリウッド映画のオーディションを受けていたんです」「そのハリウッド映画は『ラストサムライ』です」と告白した。そのオーディションは、『仮面ライダーアギト』(01~02/テレビ朝日系)を終え、昼ドラ『新・愛の嵐』(02/東海テレビ・フジテレビ系)の準備に入っていた頃。ハリウッド作品の侍役であることや「殺陣ができる人を探しているらしい」という事前情報をマネージャーから告げられ、「『仮面ライダー』で1年間ずっと殺陣の練習をやってきましたし、武士の役のために道場にも通っていました」と要にとっては絶好の機会だった。気合十分でオーディションに挑んだ要だったが、ある不運に見舞われる。動画ではその真相やオーディションの詳しい内容も赤裸々に語っている。コメント欄には「すごいお話」「まじすか」「初めて聞くお話で、びっくり」など、驚きの声も寄せられている。
2020年05月27日「公的介護保険は本来、あまねく提供される社会保障として『平等に受けられる』というのが基本的な考えのはずです。医療は、保険証があればだれでも受診できますが、介護保険サービスは、要支援や要介護に認定されなければ利用できません。公的サービスを受けるための大事な“入り口”である介護認定に、大きな地域差が出るのは、望ましいことではないと思います」厚生労働省のデータをもとに編集部が作成した介護認定率の全国ランキング(※)を見て、こう分析するのは、介護施設のコンサルタントを請け負う「スターパートナーズ」代表の齋藤直路さんだ。介護度は、要支援1〜2、要介護1〜5の7段階に分けられており、それぞれ利用できるサービス内容や利用上限額が変わってくる。ランキングは都道府県別に65歳以上の高齢者に占める要支援・要介護者数の割合で介護認定率を算出した。上位3県と下位3県は次のとおり。■上位3県【1位】和歌山県/介護認定率:21.8%【2位】大阪府/介護認定率:21.7%【3位】愛媛県/介護認定率:20.8%■下位3県【45位】山梨県/介護認定率:15.7%【46位】茨城県/介護認定率:15.4%【47位】埼玉県/介護認定率:15.3%その結果、介護認定率がもっとも高い和歌山県と、最も低い埼玉県では6.5%、約1.4倍もの地域差が生じる結果となった。介護保険がスタートして20年。当初、自己負担分も含めた介護にかかる総費用は3.6兆円だったが、高齢化が進んで現在は10兆円以上に。介護財政はひっ迫している。「財務省からは、要支援1〜2は訪問介護や通所介護サービスを保険給付の対象外にする案も出されています。来年の法改正では見送られる公算が大きいですが、全国的に介護の費用を少なくするため、認定の抑制は始まっています」(齋藤さん・以下同)そのきっかけの一つとみられるのが、介護認定率がいちばん低い埼玉県の和光市での取り組みだ。「和光市は高齢化率がまだ高くなかった’03年ごろから介護財源が枯渇する将来を見据え、認知症カフェ等の交流の場や健康促進サービスを整え、介護が必要な高齢者を減らす“和光モデル”を始めました。介護財政の負担を軽くするために、予防に力を入れて認定率を下げるという理想的な試みですが、一方で“認定率を下げれば、財政負担が軽くなる”と、短絡的な捉え方もされるように。中心となった職員が厚労省に出向したこともあり、全国的な“認定抑制”の流れができたと感じています」広がる“認定抑止”の流れ。齋藤さんは、今後もこうした流れは強まると予想する。「’18年度から都道府県や市区町村ごとに、介護予防への取り組みを61の項目から点数評価し、点数が高い地域に交付金が分配されるようになりました。要介護状態の“維持”や“改善”も、評価基準となっています」つまり介護認定率が低く、給付費が少ないほど交付金がもらいやすい仕組みになっているのだ。その効果なのか、制度開始前の4年間はほぼ横ばいだった数字にも変化があらわれており、要支援1で“1年後に介護度が上がった人の割合”は約36%から約24%と、10%以上も低下。要支援2の場合も約25%から約17%と8%ほど下がり、どちらも“介護度が維持される人の割合”は増えている。交付金制度の開始を境に“健康維持”ができている人が増えるという不可解な現象が起きているのだ。「’18年度には、地域支援総合事業といって、より介護予防に力を入れる事業も始まっています。軽症者の介護度が上がるケースがかなり減っているのは、もちろん地域でリハビリ等の取り組みの成果もあるでしょうが、効果が出るまでには時間もかかるため、ほかにも要因がある可能性はあります」交付金の予算は、’20年度には200億円から400億円に倍増されており、“介護度が上がりづらい”傾向は強まる可能性がある。適切な認定を受けるためにはどうしたらいいのか。「審議会の際、大きな影響力を持つのが医師の意見書です。たとえ一次判定が現実の介護の必要度にそぐわなくても、意見書によって個々の事情が反映されます。介護を受ける人の状況をよく知った、信頼できる医師を見つけて、相談してみてください。また認定された介護度が実際と見合わない場合、ケアマネジャーと相談し、ときには地域によって設けられている特例を利用することも、自衛のための重要な要素といえます」※厚生労働省「介護保険事業状況報告(暫定)令和2年1月分」をもとに作成。介護認定率は内閣府「要介護(要支援)認定率の地域差要因に関する分析」での計算方法を参考に、要支援1〜2と要介護1〜5の総数を第1次保険者数(65歳以上の人口)で割って算出。「女性自身」2020年5月26日号 掲載
2020年05月21日