子どもたち、つまり、かつての私たちが主人公の小説をたくさん書いてきた辻村深月さん。最新エッセイ集『あなたの言葉を』は、そういった物語を読んだ子どもからたびたび寄せられる「大人なのにどうして子どもの気持ちがわかるんですか?」という問いがきっかけになっている。「自分の言葉」ってそもそも何?子どもと本音で向き合うエッセイ。「言われるたびに嬉しい半面、『仲間だよ!』と寂しい気持ちにもなりました。その質問が出てくるには、『大人は自分たちの気持ちがわからなくて当然』という思いがあるはずなので。だとしたら、子どもの頃の悔しかったこと、もやもやしたことなどを覚えているのが私の強みなので、大人の中の子どものスパイとして頑張ってみようと思ったのです」毎日小学生新聞に連載されたこのエッセイ。言語化や自身の言葉で話すことが尊ばれる昨今、「自分の言葉がある」とはどういうことなのか、辻村さんの子どもの頃の経験や時事問題、読者からの投稿を交えながら深めていく試みでもある。「大人が思う子どもらしい言葉ではなく、自分の感情や本音の部分を言語化すること。それを表に発さないとしても、心に保つことの大切さについて書きたいと思い、このタイトルにしました。そしてある程度記事が溜まってきて、これは同調圧力に屈しないことについての連載だったのだと、しみじみ思いました」たとえば、遠足のお弁当の時間、よく知らない子の陰口が始まって、「そうなんだ」と相づちを打ったエピソード。大人の世界でもよくあるシチュエーションといえるが、一緒にいた女の子のとった行動に小学生の辻村さんはハッとさせられる。「周りに流されず、思ったことはどんどん出したほうがいいとか、大人の思う正しさで語られることが多いけれど、表明することだけが向き合い方ではないと思うんです。子どもに伝えようと思うと表現はよりストレートになるのですが、だからこそ言葉の選び方は大人向けのエッセイ以上に時間をかけました」迷いが生じたときに本を開きたくなるような、辻村さんが子どもというひとりの人間と真摯に向き合った優しい言葉がちりばめられている。「作家としていろんな方の言葉や文章に触れる機会が増えてくると、本音で書いてあるものに勝る強さはないと感じます。そのことが、全体を通して伝わったら嬉しいですね」『あなたの言葉を』学校生活、出会いと別れ、読むこと、書くこと。かつての子どもたちにも響くエッセイ集。朝倉世界一さんの挿絵が文章に寄り添う。毎日新聞出版1540円つじむら・みづき作家。2004年デビュー。本誌で連載された『ハケンアニメ!』は、舞台・映画・ウェブトゥーン化された。近著『この夏の星を見る』はコロナ禍でつながる中高生の青春物語。※『anan』2024年4月24日号より。写真・土佐麻理子(辻村さん)中島慶子(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2024年04月24日辻村深月による同名小説を原作とした映画『傲慢と善良』の主演は、藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)と奈緒が務めることが分かった。第7回ブクログ大賞を受賞し、昨年には2023年最も売れた小説となった「傲慢と善良」。主人公の架と真実はマッチングアプリで出会い、婚約した直後、真実が突然失踪。彼女を探すうち、知りたくなかった過去と嘘が明らかになるドラマティック恋愛ミステリーだ。アプリで出会った真実と付き合うも、なかなか将来を決めない傲慢な西澤架を演じる藤ヶ谷さん。この小説に出会ったときに衝撃を受け、「もし映像化されるなら絶対に自分が演じたい」という強い意志が伝わり、満を持して映画化。また、親の敷いたレールの上で善良に生きてきたが、婚約直後、謎の失踪をとげる真実を演じる奈緒さんもまた、「辻村先生の映画に出るのが夢だった」と語る。2人は「やめるときも、すこやかなるときも」以来、4年ぶり2度目の共演。撮影現場では、恋愛観から人生観に至るまで、様々なことについて話し合い、価値観を共有したようだ。今回、場面写真も公開された。失踪した真実を探す架の、心配そうにも、切羽詰まったようにも見える表情と、原作の表紙を彷彿とさせる真実の表情の対比が、2人のすれ違いを予感させる。監督は、『東京喰種トーキョーグール』『サヨナラまでの30分』を手掛け、『ブルーピリオド』が公開を控える萩原健太郎。脚本は、「最愛」の清水友佳子が手掛けた。原作を印象付けたカバーイラストを手掛けたイラストレーター・雪下まゆが、映画化に向けて原作版の「その先の物語」を表現するイラストを描きおろしたティザービジュアルも公開。原作版では、真実が一人で夜景をぼんやりと見つめている姿だが、今回は架と真実が登場。同じ方向を見ているようでどこか揃っていない、ミステリアスな要素が秘められている、見る者の想像力が掻き立てられる一枚となった。<キャスト・監督・脚本・原作者 コメント>藤ヶ谷太輔映画化が決まる前から、「人生で1番好きな小説」に挙げていたほどこの作品が大好きでした。辻村さんは僕のこと知っているのかなって思えるぐらい、僕自身の物語のように思いました。「もし映画化するなら絶対に架を演じたい。叶わなければ一生後悔する。」と思い、原作の関係者の方へもアプローチしてご縁がつながり本作のオファーをいただきました。僕の俳優人生の中でも並々ならぬ想いで演じました。まだ気づいていない潜在的な感情に気づくことができ、自分の世界が広がるような作品です。恋愛面だけでなくミステリー要素も織り込まれているとても魅力的な作品です。奈緒辻村先生の作品に出演したいとずっと思っていたので今回夢が叶って嬉しいです!私自身いいところばかりの人間ではないのですが、昔から「いい子だよね」と善良に見られることも多いので真実とリンクしました。地方出身ならではの恋愛観や価値観にも共感できましたし、私自身30代目前となり人生の選択を考える時期になりましたので、様々な選択が描かれているこの作品に出会えて幸せです。藤ヶ谷さんや監督と結婚や恋愛の価値観についてとことん話し合いました。自分が好きになれなくて蓋をしたい気持ちを「傲慢と善良」という言葉が救ってくれるようなとても希望のある作品です。監督:萩原健太郎架は天然なんだけどどこか憎めないキャラクターです。スターなのに誰とでも常にフラットに接する藤ヶ谷さんと重なる部分を感じました。藤ヶ谷さんのコアにあるそういう人間に対する優しさが常に滲み出て、現場でどんどん架の事が好きになりました。奈緒さんは真実というキャラクターの背景をどこまでも深く広く想像力をもって演じてくださいました。撮影前は想像していなかった真実の姿を見る度に真実が自分の想像を超えて魅力的な女性であると気付かされました。原作小説の行間にある架と真実の感情の機微をお二人が繊細に表現してくださったお陰で実写映画化した意味を強く感じました。「傲慢」さと「善良」さは表裏一体で、きっとその狭間を行き来しながら生涯付き合っていかなければなりません。本作が、完璧じゃない他人や自分を受け入れて前に向かって進む一助となることを願っています。脚本:清水友佳子発売以来、多くの読者の心を揺さぶり続ける本作の脚色を担うプレッシャーは計り知れないものでした。小説の完成度があまりにも高いため映像作品として再構築するのは大変難しい作業でしたが、世界観を見誤らぬよう何度も原作を読み返し、辻村先生の助言も頂きながら執筆を進めました。完成した本編を見て強く印象に残ったのは、藤ヶ谷太輔さんと奈緒さんの圧倒的な表現力です。不完全だからこそ愛おしい架と真実がそこにいました。お二人の緻密で繊細なお芝居が、物語に深い奥行きを与えて下さいました。ラブストーリーでもあり人間ドラマでもある本作が、観て下さった皆様に愛して頂ける作品になることを祈っています。原作:辻村深月「あ、架と真実がいる」お二人の姿を撮影現場で目にしての、最初の感想でした。ただ、原作の二人はともに一癖も二癖もある人たち。そんな架と真実そのものと言われるのは抵抗もありませんか?と尋ねる私に「いえ!今この瞬間は、その言葉が何よりも嬉しいです」と藤ヶ谷さんがこたえ、奈緒さんが微笑みながら頷いてくださった瞬間、ああ、このお二人に彼らを託せて本当によかった、と感じました。何年も前から架役の藤ヶ谷さんが原作を心に深く刺さった本としていろんな場面でお話ししてきてくださっていたこと、真実役の奈緒さんが中学生の頃から私の本を愛情深く読んできてくださったこと、以前から伺って、とても光栄に思い、感謝してきました。映画の完成を心から楽しみにしています。『傲慢と善良』は9月27日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:傲慢と善良 2024年9月27日より全国にて公開©2024「傲慢と善良」製作委員会
2024年04月24日辻村深月のベストセラー小説を原作とする映画『傲慢と善良』が、2024年9月27日(金)より全国公開。藤ヶ谷太輔と奈緒がW主演を務める。辻村深月の恋愛ミステリー小説『傲慢と善良』映画化へ辻村深月による原作小説の『傲慢と善良』は、マッチングアプリで出会い婚約した2人の物語を描く恋愛ミステリー。現代に生きる人々のリアルな恋愛観や価値観を反映した物語が多くの共感を呼び、2019年に単行本が発売された後、第7回ブクログ大賞を受賞。また、発行部数は90万部を突破し、“2023年最も売れた小説”として人気を集め続けている。藤ヶ谷太輔×奈緒がW主演、婚約者役にそんな『傲慢と善良』が、藤ヶ谷太輔と奈緒のW主演で実写映画化。マッチングアプリで出会い交際した真実との将来をなかなか決めない“傲慢”な西澤架に扮するのは、藤ヶ谷太輔。主演を務めた『そして僕は途方に暮れる』では自堕落なフリーター役を好演したほか、ヘンリック・イプセンの代表作『野鴨』など、舞台の場でも活躍を見せる。一方、親の敷いたレールの上を“善良”に生きてきた坂庭真実は奈緒が演じる。『マイ・ブロークン・マリコ』や『陰陽師0』などの映画出演のほか、『ファーストペンギン!』『春になったら』などのテレビドラマや2024年7月に公開の『先生の白い噓』では主演を務めている。主人公・西澤架…藤ヶ谷太輔30代になりマッチングアプリで出会った真実と交際するが、なかなか将来を決めないでいる。主人公・坂庭真実…奈緒親の敷いたレールの上を生きてきた。婚約直後、謎の失踪をとげる。監督は萩原健太郎、脚本は清水友佳子監督は萩原健太郎。『東京喰種 トーキョーグール』や2024年8月に公開の『ブルーピリオド』など他の実写化映画でも監督と務めている。脚本はドラマ『最愛』や『彼女はキレイだった』などを手掛けた清水友佳子が担当する。映画『傲慢と善良』あらすじ婚約者・坂庭真実が突然姿を消した。過去も嘘もすべて隠したままー。仕事も恋愛も順調だった架だったが長年つきあった彼女にフラれてしまい、マッチングアプリで婚活を始める。そこで出会った控えめで気の利く真実と付き合い始めるも1年たっても結婚まで踏み切れずにいたある日、ストーカーの存在を告白される。そんな矢先「架くん、助けて!」と恐怖に怯えた真実からの着信が。彼女を守らなければとようやく婚約した直後、真実が突然消えたー。居場所を探すうち明らかになっていく<知りたくなかった過去と嘘>、すべてをさらけ出した2人の“一生に一度の選択”とは?【作品詳細】映画『傲慢と善良』公開日:2024年9月27日(金)監督:萩原健太郎脚本:清水友佳子出演:藤ヶ谷太輔、奈緒原作:辻村深月
2024年04月15日辻村深月による同名小説を原作とした映画『傲慢と善良』が9月27日(金)より全国公開されることが決定した。2019年に単行本が発売されると、現代に生きる人々のリアルな恋愛観や価値観が描かれた本作は第7回ブクログ大賞を受賞、20代、30代を中心に多くの共感を呼び話題が広がり、発行部数は90万部を突破し話題は広がり続けている。その感想はすでにSNSやメディアのレビューコーナーで多く取り上げられているが、「人生で一番刺さった」「明日からの生き方が変わるかも…」「どんどん引き込まれて最後は感動した」「男女で感想がわかれそう!」「まさに私のことだ」など、大きな衝撃を与えつつも様々な感想が寄せられている。主人公の架と真実はマッチングアプリで出会い婚約した直後、真実が突然失踪してしまう。彼女を探すうち<知りたくなかった過去と嘘>が明かされていく。そして最後にたどり着く、“一生に一度の選択”を描く恋愛ミステリーとなる本作。原作の辻村氏は映画化決定に、「いまも届く読者の皆さんの感想の声の切実さ、多様さに驚いています。それはおそらく、この小説の誰か・何かに皆さんが『自分』を見てくれているからなのでしょう。映画化を通じ、より多く深く、皆さんの心に刺さるものがあることを願っています」とコメント。今回解禁されたビジュアルには、「婚約者が、突然消えた―。真実なんて、何ひとつ見えてなかった―」のコピーとともに、架と真実らしき人物が窓辺から夜の街を眺めている姿が映し出されている。失踪した婚約者・真実(まみ)のことも、真実(しんじつ)も何も見えていなかった後悔を示すかのようなコピー。キャストの顔ははっきりとは見えないままで、主人公の架と真実を演じる俳優たちにも注目が集まっている。『傲慢と善良』は9月27日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2024年04月12日小説家・辻村深月氏の小説を実写化した映画『傲慢と善良』(9月27日公開)が公開されることが12日、明らかになった。○■映画『傲慢と善良』9月27日に公開原作は2019年に単行本が発売され、第7回ブクログ大賞を受賞。現代に生きる人々のリアルな恋愛観や価値観が描かれ、20代、30代を中心に多くの共感を呼んだことから話題が広がり、2023年最も売れた小説( ※ジュンク堂書店池袋本店調べ 2023年売上、文芸/文庫新書ジャンル)となった。発行部数は90万部を突破し、話題は広がり続けている。SNSの感想では「人生で一番刺さった」「明日からの生き方が変わるかも……」「どんどん引き込まれて最後は感動した」「男女で感想がわかれそう!」「まさに私のことだ」など、読者に大きな衝撃を与えつつも男女で感想が違うことで、より広がっているという。主人公の架と真実はマッチングアプリで出会い婚約したが、真実が突然失踪してしまう。架が彼女を探すうち、知りたくなかった過去と嘘が明かされていく。そして最後にたどり着く“一生に一度の選択”を描く恋愛ミステリとなっている。今回公開されたビジュアルには、「婚約者が、突然消えた――。真実なんて、何ひとつ見えてなかった――」のコピーとともに、架と真実らしき人物が窓辺から夜の街を眺める姿が映し出されている。キャストの顔はぼんやりとしており、誰が演じるかは今後発表される。○■辻村深月 コメント『傲慢と善良』を書いて数年、今も届く読者の皆さんの感想の声の切実さ、多様さに驚いています。それはおそらく、この小説の誰か・何かに皆さんが「自分」を見てくれているからなのでしょう。映画化を通じ、より多く深く、皆さんの心に刺さるものがあることを願っています。(C)2024「傲慢と善良」製作委員会
2024年04月12日アニメーション映画『かがみの孤城』が、3月15日(金) にHuluとPrime Videoで独占配信されることが決定した。原作は、2018年に本屋大賞を史上最多得票数で受賞し、累計発行部数200万部を誇る辻村深月の同名小説。声優陣に當真あみ、北村匠海、吉柳咲良、板垣李光人、横溝菜帆、高山みなみ、梶裕貴、芦田愛菜、宮﨑あおいといった面々を迎え、監督は『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』などで知られる原恵一が務めた。主人公は、学校での居場所をなくし家に閉じこもっていた中学生・こころ(CV:當真)。ある日突然、部屋の鏡が光り始め、吸い込まれるように鏡をくぐり抜けると、その先にあったのは城のような不思議な建物。そこには、こころと似た境遇の7人が集められていた。城の中には秘密の「鍵」が隠されており、その鍵を見つけた者は、何でも願いが叶うという。なぜこの7人が集められたのか。鍵はいったいどこにあるのか。すべてが明らかになるとき、7人の前に待ち受けるものとは――。2022年12月23日に全国公開されると、そのクオリティの高さと内容の良質さが話題を呼び、興行収入は10億円を突破。また、第46回日本アカデミー賞で優秀アニメーション作品賞を受賞したほか、第52回ロッテルダム国際映画祭 Limelight部門に邦画アニメで史上初の正式出品、フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭コンペティション部門に正式出品されるなど、国内外の映画賞でも高い評価を獲得した。<作品情報>映画『かがみの孤城』3月15日(金) Hulu&Prime Videoで独占見放題配信公式サイト:「かがみの孤城」製作委員会
2024年02月09日anan誌上で連載され、舞台、映画などさまざまな形で愛され続けている、辻村深月さん(辻は二点しんにょう)の小説『ハケンアニメ!』。今度はWEBTOON(ウェブトゥーン)で、“彼ら”にまた会えることに!アニメ業界で奮闘する“彼ら”に、新たな形で再会!上から時計回りに、行城、香屋子、瞳、王子。お仕事エンターテインメントの傑作『ハケンアニメ!』がウェブトゥーン化。11月18日(土)より「LINEマンガ」独占先行配信。制作プロデュース:マガジンハウス制作:WONDER TOON LABウェブトゥーンとは韓国発のウェブコミックなのだが、制作を担当した雲井蛍さんはその特徴を次のように説明する。「右から左へ横に読んでいく日本のマンガと違い、主にスマートフォンで読むことを想定しているので、縦スクロールでフルカラーの作品になります。制作に関しても、キャラクターデザイン、シナリオ、線画、着彩などを分業で行う韓国のスタイルを踏襲しています。そのためITベンチャーやゲーム制作会社など、マンガ業界以外からの参入も多く、日本でも盛り上がってきています」ウェブトゥーン版『ハケンアニメ!』の制作チームは6名ほど。作中で描かれるアニメの制作現場ほど大所帯ではないが、本作自体もチームワークで作り上げているのだ。「しかも私は、前職でアニメの宣伝と企画プロデューサーをしていたので、不思議なご縁を感じます。良くも悪くも本音でぶつかり合う、アニメ業界の人々の正直さや良心を、きちんと描いた小説だと思いました」今回配信されるのは、原作の第1章「王子と猛獣使い」。伝説の天才アニメ監督・王子千晴を、プロデューサー・有科香屋子が口説き落とし、一緒に仕事をすることになったものの、シナリオが未完成のまま王子が行方不明に。一方、同クールには気鋭の監督・斎藤瞳と敏腕プロデューサー・行城理がタッグを組む話題作も控えていて……。雲井さんはキャラクターデザインとシナリオ、さらにはネーム監修を担当している。「原作を読んだ人は、連載時や書籍の表紙でイラストを描かれているCLAMPさんの絵柄のイメージが強いと思います。香屋子や瞳は、自然とそれに近くなったのですが、王子や行城など男性のキャラクターデザインは、あえて少し違う雰囲気にしています。例えば王子は、見た目は若くて生意気だけど30代半ばになろうとしているじゃないですか。目や鼻など顔のバランスや服装をリアルに寄せつつ、キャラクターとして萌えるビジュアルを意識しました」シナリオには、登場人物のセリフはもちろん、そのときの表情、コマの情景、画角まで細かく盛り込み、物語の設計図を作成。その過程で雲井さんが気づいたのは、ウェブトゥーンと小説の相性の良さだった。「ウェブトゥーンは私たちが読んできたマンガよりも、主人公のモノローグが多い傾向にあるんです。それは読者とキャラクターの距離を早く縮めるのに効果的だったりするのですが、登場人物の内面を細かく描写する小説は、ウェブトゥーン化にとても向いていると思いました」スクロールで流れるようにコマが展開するため、映像を見ているような感覚を味わえるのも特徴。全体的に原作に忠実な印象だが、絵だからこそ表現できるニュアンスも。「香屋子と王子のやり取りで、“ちょっといい雰囲気”を演出しています。仕事場のディテールなどもリアルな描写にこだわっているので、その辺りもぜひ見てほしいですね」ウェブトゥーン版『ハケンアニメ!』はこちら原作・辻村深月さんからのコメントも到着!「また新しい王子や香屋子に会えて、とても嬉しいです。マンガ版の彼らも表情豊かで可愛く素敵。そして、熱いです!」『ハケンアニメ!』2012年から2年弱にわたって本誌で連載され、昨年の映画化も話題になった、辻村深月さんの長編小説。同クールに放送されるTVアニメで、最も成功した作品に与えられる「ハケン(覇権)」の称号を巡り、奮闘する人々を描く。仕事との向き合い方を教えてくれる、熱い群像劇。マガジンハウス文庫968円お話を伺った方・雲井 蛍さん(クリエイティブディレクター/WEBTOON作家)くもい・けいTVアニメの宣伝・企画プロデューサーを経て、現在はギークピクチュアズでクリエイティブディレクター及びWEBTOON原作者として、オリジナル作品を制作中。※『anan』2023年11月22日号より。写真・土佐麻理子(辻村さん)取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2023年11月18日辻村深月さんによる新作長編『この夏の星を見る』をご紹介します。「コロナ禍で行動が制限された頃、子どもの活動に対して、“失われた”という言葉が頻繁に使われることに違和感がありました。部活や修学旅行が中止になっても、そこで過ごした時間や思い自体は確かにあったはず。それを何もなかったもののように大人が断じるのはどうなのか、と。その抵抗感が、この小説を書く原動力になったと、今は思っています」と、辻村深月さん。新作長編『この夏の星を見る』は茨城、東京、長崎の五島列島に住む少年少女たちを描く2020年の物語。もともとコロナ禍前に“青春小説を書いてほしい”との依頼を受け、漠然と部活ものを書こうと考えていたという。「連載時期が近づいた頃に感染症が広まって。今の子どもたちの話を今の読者に届けると考えた時コロナ禍を入れない選択肢はなかったです」茨城県の高校2年生、天文部の亜紗(あさ)は部活動が制限されて悩んでいる。東京・渋谷区の公立中学に進学した真宙(まひろ)は、自分が学年唯一の男子生徒だと知ってショックを受けている。五島列島に住む高校3年生の円華(まどか)は、実家の旅館が他県の客を泊めていることで周囲から距離を置かれ落ち込んでいる――。そんな彼らが、“星を見る”ことで繋がっていく。「天文部の話にしようと決めてすぐタイトルが浮かびました。それで漠然と、地方の子や都会の子が、空を見上げることで繋がるというコンセプトができました」五島列島は星がきれいに見える場所、東京は星が見えにくそうで実は見える場所として選んだ。茨城県を選んだのには意外な理由が。「以前、偶然テレビ番組の『ナニコレ珍百景』を見ていたら、茨城県の地学部の活動が紹介されていて。彼らが自分たちで望遠鏡を組み立てて星を観測していると知って、そんなことができるんだと驚きました」意外な経緯で繋がった亜紗たちはリモート会議を重ね、それぞれ自作した望遠鏡で各地から星を観測する「スターキャッチコンテスト」を開催しようと試みる。「私もリモートで天文部のみなさんに取材したのですが、今の10代の子たちはしなやかで軽やかだという印象で。先生も生徒の自主性に任せていて、信頼関係を感じました。今回はそうした、“今”の子どもたちの姿を書けたかなと思っています」生徒たちはやりとりを重ねるうち、感染状況の違いや長崎への原爆投下など、互いの土地への理解を深めていく。人間関係の機微やコロナ禍に対する思いなど、繊細な感情を浮かび上がらせて突き刺さる場面がたくさんある。その中で伝わってくるのは、「好きなことを大事にしよう」というメッセージ。「何かに打ち込む子どもに対し“それが何の役に立つのか”“将来プロになれるのか”などと言う人っていますよね。私は“向いていないけれど好き”とか“ただ楽しいからやる”ことって、大人になってからも自分を支えてくれると思う。意味がないことに意味があるんだって、ちゃんと書いておきたかった」自分の心の中の小さな星が見つかるような、優しい青春小説である。辻村深月『この夏の星を見る』天文部に所属する高校生、亜紗は感染症の影響で夏の合宿が中止になり落胆する。しかし意外な経緯で、東京の中学生、長崎の高校生と出会うことに。KADOKAWA2090円スピンオフ短編を収録!辻村さんのガイドブック『Another side of 辻村深月』今年3月に刊行された本書に収録された書き下ろし短編「薄明の流れ星」は『この夏の星を見る』のスピンオフ。「例のテレビ番組で見た茨城県の高校は、共学なのに男子生徒が一人もいない学校だったんです。その時、もし男子が一人だけ入学してきたら、どんな子なんだろうと想像しました」ということから生まれた、あのキャラクターが主人公。この短編を書いてから本編の推敲に取り掛かったことで、作品世界がより広がったと辻村さん。これまで発表した全作品の解説インタビュー、宮部みゆきさんや伊坂幸太郎さんとの特別対談、各氏による論考、単行本未収録短編、過去の他媒体での対談記事の再掲載など盛りだくさんの内容。辻村さんの創作の裏側が分かります。KADOKAWA1870円つじむら・みづき2004年「冷たい校舎の時は止まる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。’11年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞、’18年『かがみの孤城』で本屋大賞1位。他の著書に『傲慢と善良』『噓つきジェンガ』など。※『anan』2023年7月12日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2023年07月10日2023年2月13日、人形師の辻村寿三郎(つじむら・じゅさぶろう)さんが亡くなったことが分かりました。89歳でした。サンケイスポーツによると、心不全のため同番組月5日に病院で息を引き取ったとのことです。1970年代に放送され、高い人気を誇ったNHKのテレビ人形劇『新八犬伝』や『真田十勇士』に登場する人形を手掛けた、辻村さん。ほかにも、同局の音楽番組『みんなのうた』の人形制作を担うほか、アートディレクターとしては著名人の衣装デザインなども行ってきました。2023年現在も、幅広い世代にファンを持つ『新八犬伝』と『真田十勇士』。辻村さんの旅立ちに対し、ネットからは多くの人から「素敵な人形が忘れられない」「あの人形は辻村さんしか作れない」といった声が上がっています。中には、『新八犬伝』と『真田十勇士』の再放送を望む声も。それだけ、辻村さんの作品はたくさんの人の心を突き動かしたのでしょう。辻村さんのご冥福をお祈りいたします。[文・構成/grape編集部]
2023年02月13日婚活を通じて“人を選ぶこと、人に選ばれること”を描き「胸が痛い」「刺さる」「名言だらけ」と支持を集め、大ヒットしている辻村深月さんの恋愛小説『傲慢と善良』。今作を2回以上読んだ3人が感想と魅力をトーク!自分の“惹かれる気持ち”と対峙するきっかけに。心をえぐられる人が続出!『傲慢と善良』辻村深月/朝日文庫突然、目の前から姿を消した婚約者・坂庭真実の居場所を捜す西澤架。行方を追って地元を巡り、話を聞くうち彼女の知らなかった一面やさまざまな過去、さらには、自分自身と向き合うことになり…。座談会参加者M子35歳、医療系。長らくマッチングアプリを活用して婚活をしていたが、最近、居酒屋で知り合った人とめでたくお付き合いをすることに。W子32歳、会社員。結婚3年目、2児の母。マッチングアプリは未経験ながら、結婚に焦る登場人物に過去の自分を重ね、今作の沼にハマる。S子34歳、フリーランス。5年ほど付き合ったパートナーと昨年別れ、数年ぶりにマッチングアプリを再開するも、早くも疲れを感じている。W子真実が失踪するというサスペンスっぽいシーンから始まるけど、読むにつれて毛色が変化して。恋愛や婚活における人の心理がフォーカスされる展開に夢中になっちゃった。S子1回目に読んだ時は、真実を捜す過程で描かれる、マッチングアプリでの出会いに疲れた架の気持ちに共感することが多くて。メッセージを送り、会って、違った…の繰り返しとか。M子コピペしたメッセージを送ったりしてたな(笑)。本当疲れるよね。S子待ち合わせまでして来ない人とかもいて、多分、実物を遠くから見て好みじゃなくて、帰ったんだと思う。やり切れなさを抱えながら、待ち合わせ場所近くの新宿末廣亭の周りを一人でグルグル歩き回った思い出…。M子落語を聴いて癒されてほしかったわ(笑)。そんな奴はいいやと思う一方で、しっかり傷ついている自分がいるんだよね。ジャッジメントをされるのは本当にメンタルと自尊心を削られちゃう。W子読者のみんなが震え上がったであろう、結婚相談所の小野里さんっているじゃない?彼女の「自己評価は低い一方で、自己愛のほうはとても強い」という言葉の破壊力は本当にすごかったな〜。泣くかと思った。M子わかる〜!自分がうまくいかない原因はそこだなと気づかされて目から鱗。辛すぎたけど(笑)。あと、小野里さんといえば、相手に対して〝ピンとこない〞とはどういうことか、という疑問への回答も恐ろしかった。W子架と同様に絶句したけど、これも身に覚えがあるんだよね。私、今のパートナーとは23歳の時に出会って告白されたんだけど、当時は付き合わなかったの。でも27歳になって婚活市場での自分の価値が下がっていると感じた時に、〝あの人、結婚したいと言ってたな〞と思い出して、急にピンときたというか。まさに小野里さんの言う通りのことをしていたわ。S子でも本当、恋愛関係になることを前提とした出会いって難しい。私、買い物をする時に、たとえば「コートが欲しい」と目的を持って行くと悩みすぎて買えなくて。逆に、ふらりと行った時に欲しいものが見つかるんだけど、これって自分の恋愛にも似てるなと。小野里さんは、婚活がうまくいくのはビジョンが明確な人だと言っていたけど、私はできない。人それぞれに惹かれ方とか恋の落ち方はさまざまで、得意な戦術や出会い方も違うんだろうなと。小野里さんには、だからダメなんだと怒られそうだけど(笑)M子自分を高く見積もりすぎているのかもしれないけど、できないことはできないからね。W子私、正直、1回目に読んだ時は真実にまったく共感できなくて。主体性がなさすぎてイライラしたりとか。でも、2回目に読んだ時に初めて彼女の気持ちに寄り添えたんだよね。善良さゆえの馬鹿正直なところにびっくりするんだけど、善良であろうとしたことや正しくありたいと思うことって、決して咎められるようなことやバカにされるようなことじゃないんだよなと。M子真実に主体性がないのは母親の存在も大きいよね。〝娘のために〞を盾にして、娘を支配してる感じが怖かったな。結局は、自分のためなんだよ。W子でも母親本人は、そのことに気づいてないからタチが悪い。M子真実の地元に重ねて、自分の地元のことも思い出したよ。結婚することが当たり前、結婚こそが幸せ、という空気が蔓延している感じとか。S子あと、真実にとっての結婚には、ライフラインの意味もあったのかなって。うちの地元では女性の給料が高くないから、実家を出るタイミングが結婚という人も少なくないんだよね。周りが結婚してるとか、寂しさもあるけど、今後の生活がかかっていることも焦ったり追い詰められた要因かも。独身女性が不安なく暮らしていける社会なら、もう少し気楽だったかもしれないよね。M子たしかに。いろいろなものを背負った婚活なんだろうね。W子あと、記憶に残っているのが架の女ともだちの美奈子。真実のことが嫌いで、辛辣なことを言うでしょ。彼女はそこまで深刻じゃないノリで言ったことが、真実にはめちゃくちゃ刺さってしまう。美奈子に対して、ひどいことするな〜と思う一方で、自分もこういうことしてきたんだろうなとも。すごく怖くなったし反省した。S子わかる。もうね、絶対やってる。恋愛だけでなく、人間関係における自分のダメな部分や弱い部分も突きつけられるから恐ろしい…。生きている以上、誰かに嫌われたりムカつかれたりしながら暮らしていくんだろうね。自分が誰も傷つけずにいられると思っていることこそが傲慢なんだろうな。M子でもさ、真実の善良じゃない部分を知り始めてからのほうが、架の真実に対する想いや興味が強くなってるのが面白いよね。人としての深みとか旨みを感じたのかなぁ。W子そう思うと、恋愛や人間関係において何が惹かれる理由になるかなんて、本当にわからないってことだよね。いろいろなことを考えさせられるわ。M子私もだけど、今、婚活が辛い人は救われるんじゃないかな。まぁ、棍棒で殴られて、一度めちゃくちゃになる感覚もあるんだけど(笑)。S子恋愛や人間関係の価値観と嫌でも向き合わされて癒される。自分を見つめ直したい時にぴったりだね〜。※『anan』2023年2月8日号より。(by anan編集部)
2023年02月10日「第52回ロッテルダム国際映画祭」Limelight部門に正式出品されている、辻村深月原作アニメーション映画『かがみの孤城』が、現地時間2月2日に上映。現地入りしていた監督の原恵一が、観客とのQ&Aを行った。観客から大きな拍手と歓声が送られた本作の上映後、原作からアレンジしているシーンがある中、どのような点を意識して製作したのか、質問が及ぶと、「原作では、孤城に集まる7人それぞれのバックストーリーが丁寧に描かれているのですが、映画で同じように描いてしまうと2時間に収まりきらないため、“安西こころ”という女の子を中心とした物語として、しかし原作のストーリーを損なわないよう構成しました」と原監督が説明。また“マサムネの声優は有名な某名探偵の声優と同じで、劇中で某名探偵の決め台詞が使われていて驚きました”と観客から感想が寄せられると、「オランダでまさかこのような質問が来るとは思ってなかったのですが(笑)某名探偵は日本ではとても有名なアニメーションですが、その『真実はいつも一つ!』という決め台詞をパロディで言ってもらおうと思い、遊びました」と話す監督。さらに、「ちなみに僕が長年監督を務めた『クレヨンしんちゃん』のしんちゃんの声を演じていた矢島晶子さんがある役で出演してますが、わかりましたか?」と問うと、観客からは「わかりました!」との声も。そして、本作を通して“伝えたいメッセージ”について質問が来ると、「日本でもオランダでも学校に行けない子はたくさんいると思うけど、そういう子は親も友達も誰も助けてくれないと思ってすごく孤独の中にいるかもしれないけど、それはずっと続くことではなく、きっと誰かが味方をしてくれるから信じて欲しいということが、この映画の伝えたいメッセージです。I believe you are not alone.(あなたはひとりじゃない)」と回答した。『かがみの孤城』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)■関連作品:かがみの孤城 2022年12月23日より公開©2022「かがみの孤城」製作委員会
2023年02月04日1月27日(金) 新宿ピカデリー スクリーン3にて映画『かがみの孤城』のティーチイン上映会が開催され、原恵一監督、原作の辻村深月が登壇。ここでしか聞けない映画の制作秘話や会場の観客からの熱い感想、そして質問を聞いてのQ&Aが行われた。原監督は「遅い時間の上映に来ていただき嬉しいです。観た人の熱気でしょうか、会場がとても暖かいです」と少しお茶目に挨拶をし会場を沸かせ、辻村は「たくさんの方々に観て頂けて胸がいっぱいです。そして第46回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞の受賞おめでとうございます」と原作者として感無量の気持ちを明かし、会場からも温かい拍手が贈られた。『かがみの孤城』大ヒットの反響を受けて、原は「鑑賞者からの感想も嬉しいが、原作を担当した辻村さんから『私が思い描いていたものがそこにありました』と言って頂けたことが嬉しかった」と語り、辻村が「子供の頃、原さんのアニメを観て育ったので、今回一緒にお仕事ができて嬉しかったです。また、話題になっているエンドロールなど、様々なアイディアで原作を超えたものを作っていただけて、お客様を喜ばせるために最後の最後まで粘る演出など仕事ぶりを間近で観ることが出来て幸せでした」と明かした。原恵一監督そして、今回のイベントでは特別に原が実際に使用したアフレコ台本を公開。脚本にはなかったセリフを原が直筆で追加しているシーンなど、なかなか観ることのできないものをスクリーンに投影し、客席からは感動の声が洩れた。そしてQ&Aでは、複数の観客からの質問に対して原と辻村が回答。「共感するシーンがたくさんありましたが、学校に行けないという心情は、なぜあんなに明確に描くことができたのでしょうか」という質問に辻村は「自分自身、学校生活がすごく充実して楽しく過ごした学生時代ではなく、きっと順風満帆な学生生活を送っていたら学校を舞台にした作品を書かないと思います。私の小説で学校を舞台にした作品が多いのは、きっと何か忘れ物があるから、何度も書いてしまうのかなと思います」と明かし、原は「学校に行けない子たちに『学校に行きなさい』という言うわけではなく、『今は何もしない時なんだね』という言葉をかけられる大人や周りの友達がいることが大事で、傍観者が話を聞いてあげて欲しいというメッセージが原作や映画に込められている」と今悩んでいる人やその周りにいる人へ、本作に込めた想いを明かした。また「『バカみたい』というセリフが、複数のシーンで使われていて、それぞれ異なる意味合いで使われていた点が印象に残っています」という感想に、辻村は「終盤の『バカみたいだよね、たかが学校のことなのにね』という東条さんのセリフは、同じ中学生なのに、外側からの視点を持っている子のことを書けて良かったなと思いましたし、私自身本を書きながら驚かされました。この言葉が心に残ったと言っていただけて嬉しいです」と答えた。原作者の辻村深月原は「こころと東条さんのシーンは作りながら僕も気に入っていて、東条さんの『たかが学校のこと』というセリフは学生に届いて欲しいセリフです。学校生活より社会に出てからの時間の方がよっぽど長く、今学校に行けてなく悩んでいる人に、『辛い時間は永遠には続かないよ』と言ってあげたい」と語った。「たくさんの伏線が張り巡らされた作品ですが、気を配られた点はありますか」という質問については、SNS上で話題になっている高山みなみさん演じるマサムネが言った某名探偵の決め台詞に関して、「単なる悪ふざけではなく、あれもちゃんとした伏線です。後付けですけど(笑)」と明かし、伏線の理由を説明。さらに、前半と後半のこころの靴の描き方に変化をつけることで、こころの心情を表現している点も注目してほしいと明かしました。最後に、辻村は「映画になって、多くの人に届いて嬉しいです。こころたちを原さんにお願いして良かったです。2回目を観ると気づくことがたくさんあり、自分で書いたのに色んなポイントで涙が出ます。何度観ても驚きがあって、何年先にも残るアニメーションになりました」とコメント。原は「この原作はすごく共感をしてくれる物語で、たくさんの人に観て頂けてとても嬉しかったです。こういうトークショーは楽しいです」と語り、惜しまれつつイベントは幕を閉じた。<作品情報>『かがみの孤城』公開中原作:辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社刊)監督:原恵一脚本:丸尾みほ主題歌:優里「メリーゴーランド」(ソニー・ミュージックレーベルズ)■出演當真あみ/北村匠海吉柳咲良/板垣李光人/横溝菜帆/高山みなみ/梶裕貴矢島晶子/美山加恋/池端杏慈/吉村文香/藤森慎吾/滝沢カレン/麻生久美子芦田愛菜/宮﨑あおい公式サイト:公式Twitter:公式Instagram:公式TikTok:
2023年01月30日2018年、本屋大賞を受賞した辻村深月さんの長編『かがみの孤城』の劇場アニメが現在公開中。主人公・こころをはじめとする中学生7人が、鏡の向こう側の世界でつながるこの物語の監督を務めたのは、辻村さんも以前から作品に魅せられてきた原恵一さんだ。観た人には絶対に伝わる「強さ」を秘めたアニメ映画に。原恵一:僕は以前『カラフル』という、ちょっとハードな現実を抱えた中学生のアニメを撮ったことがあったので、似た要素のある『かがみの孤城』の監督を最初は躊躇したんです。それで長いこと一緒に仕事をしてきた、プロダクション・アイジーの石川光久さんに相談をしたところ、すぐに原作を読んで「絶対にやったほうがいい」と言ってくれたので、彼の嗅覚を信じようと思いました。辻村深月:嬉しいです。原さんにお願いできることが決まってから、東京国際映画祭で原さんの特集上映があったんです。私が伺ったのは大好きな『エスパー魔美』が上映される回だったのですが、そのときご挨拶をしたら、原さんが「僕は原作クラッシャーじゃないですから安心してください」とおっしゃったんですよね。原:ふふふ(笑)。辻村:原さんにだったら、いかようにもやっていただいていいと思っていたのですが、たぶん原作の命が何なのかを見誤らない自信があるということなんだろうなと思ったのです。『カラフル』の原作を読んで映画を観た印象もそうでしたし、初期作品である『エスパー魔美』のときからずっとそこを大事にされていたんだな、と。改めて、原さんにお願いできるのはとても幸せだと感じました。原:幸いにも好きではない作品をアニメ化するようなことは、今まで経験がないんですよね。『エスパー魔美』にしても『ドラえもん』にしても、辻村さんと同じく藤子・F・不二雄先生にものすごいリスペクトがあるので、その上で面白くするにはどうしたらいいか考えてきました。辻村:アフレコの現場にお邪魔したとき、絵コンテを見せてくださって、より伝わる方法を相談されたことがありました。こころ役の當真あみさんが、間もなくオールアップするタイミングだったのですが、よりよい表現を探して、最後まで更新し続ける姿勢に感動しました。私はお名前を知る前から、原さんの作品に何度も出合っていたのですが、そうやって子ども時代に見ていた作品の監督と、大人になってクリエイターとしてひとつの作品に携われている。しかもそれが、大人と子どもの時間の物語である『かがみの孤城』で叶っているのが象徴的だと感じています。原:辻村さんが現場にいらっしゃったとき、全く構えずに迎えることができました。というのは、この映画は絶対に喜んでもらえるという確信が僕の中にあったんです。だから、どうぞ見てくださいって(笑)。辻村:その確信を監督が得ていることは私も感じていて、『かがみの孤城』をどんどんご自分のものにしていってくださった。例えば當真さんにこころ役をお願いすることになったとき、「こころを見つけました」とおっしゃったと伺ったんですけど、こころがどんな子かを完全に理解してくださったからこそ出てきた言葉だったんだろうなぁ、と。物語の世界観を監督自身が楽しんでくださっているのが、お会いするたびに伝わってきて心強かったです。原:アフレコでも前日や当日まで違うアイデアを探して、直前になってセリフやモノローグを追加したり、言い回しを変えたりっていうことを結構やってました。その辺はベテランなので、悪知恵が働くんですよ。辻村:いや、それは悪知恵ではなく、匠の技ですよ!今回、劇場で入場者特典を用意していて、物語が終わってからのみんなのその後をイラストのカードにしました。その絵をどんな場面にしたらいいか、映画制作の終盤に原さんと会議をしたのですが、私が思いつかないような角度から意見をいただけて、新鮮でした。原:絵に添える言葉を辻村さんが書いてくれたんですけど、面白くてもっと作りたかったくらい。この映画は、日々生きづらさを感じている子どもたち、大人たちにぜひ観てもらいたいですね。映画館に足を運ぶのもつらい人もいるとは思うのですが、ものすごく強い映画ができたので。「ワクワク」とか「ハラハラ」という例えは使いたくなくて、パッと浮かぶのが「強い」という言葉。観た人には絶対に伝わると思います。辻村:こころたちが鏡の向こうに居場所を作ったみたいに、自分が8番目の招待客になった気持ちで過ごせる時間だと思います。そして映画館の外に出たあとも、その世界は自分の中に残り続けてくれるはずです。『かがみの孤城』中学生のこころは、学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた。ある日、部屋の鏡が光り、中に入るとおとぎ話に出てくるようなお城と、見ず知らずの中学生6人が。そして城に隠された鍵を見つければ、どんな願いも叶えてやる、と狼の面をかぶった少女に告げられる。果たして鍵は見つかるのか。なぜこの7人が集められたのか。世代を問わずすべての人に贈る至極のファンタジーミステリー。原作/辻村深月監督/原恵一制作/A‐1 Pictures声の出演/當真あみ、北村匠海、芦田愛菜、宮﨑あおい新宿ピカデリーほかにて公開中。©2022「かがみの孤城」製作委員会つじむら・みづき作家。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でデビュー。『かがみの孤城』は2018年の本屋大賞を史上最多得票数で受賞。近作に『嘘つきジェンガ』『琥珀の夏』など。映画化作品は今回が5作目となる。はら・けいいちアニメーション監督。『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』『河童のクゥと夏休み』『バースデー・ワンダーランド』など国内外で高い評価を受ける。2018年、紫綬褒章を受章。※『anan』2023年1月11日号より。写真・土佐麻理子取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2023年01月10日當真あみ、北村匠海、板垣李光人、高山みなみ、梶裕貴、宮崎あおいらが出演する、辻村深月原作アニメーション映画『かがみの孤城』が現在公開中。本作では、鑑賞者をうならせるとある演出が仕掛けられているという。『映画クレヨンしんちゃん』シリーズを“大人も泣けるアニメ”に昇華させた本作の監督・原恵一。そんな監督のオリジナル演出を今回一部ご紹介。ひとつは、観れば分かる、有名なセリフ。鏡の世界に招かれたひとりが発するセリフで、これは監督の遊び心というだけでなく、そのセリフに対する別のひとりの返答が伏線にもなっているという演出。さらに、物語の途中で登場するオルゴールも、散りばめられた伏線のひとつで、原作にはないオリジナルアイテム。鑑賞後、なぜこのアイテムが必要だったのか、スッキリと理解できるはず。原監督は、原作から受け取ったものを「7人の中学生にはそれぞれ違った背景があって、読者は誰かに感情移入しつつ自分のことのように読めるし、お話に仕掛けられたトリックも面白いですよね。ただ、描かれている生きづらさは子どもだけのものではなく、じつは大人たちも抱えている気がするんです」と語り、「この映画を通して伝えたいのは『たいていの事はなんとかなるよ』ということ。映画って人の命は救えないかもしれないけど、気持ちを変えることぐらいはできる。僕はそれを信じているし、これからもそんな作品を作り続けたいと思っています」と演出に強い思いを込めている。これらは、物語の中に仕掛けられた演出の一部。リピートする際は、そんな伏線にも注目して観ることで、より楽しめること間違いなしだ。『かがみの孤城』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)■関連作品:かがみの孤城 2022年12月23日より公開©2022「かがみの孤城」製作委員会
2022年12月31日2018年本屋大賞を史上最多得票数で受賞した辻村深月による同名ベストセラー小説を劇場アニメ化した『かがみの孤城』の公開前夜祭が12月22日、東京・丸の内ピカデリーで行われ、声優を務める當真あみ、芦田愛菜、宮﨑あおい、原恵一監督が出席した。宮﨑あおい学校での居場所をなくし家に閉じこもる主人公の中学生・こころが、迷い込んだ「鏡の中の城」で、見ず知らずの“選ばれし”少年少女6人とともに、見つけた者の願いをかなえる秘密の鍵を探し出すファンタジーミステリー。1,000人を超えるオーディションの中からこころ役に抜てきされた當真は、「初めての経験がたくさん。今はすごくドキドキしていますし、ご覧になる皆さんが、私と同じ気持ちになってもらえるのかと考えるとワクワクします」と主演作の船出に声を弾ませた。當真あみ原監督によると、アフレコを終えた瞬間、涙を流していたそうで「楽しかった反面、不安やプレッシャーもあったので、無事に終わり、ふっと肩の荷が降りて、気持ちがあふれて、涙が出たのかな」としみじみ。「迷ったとき、悩んだとき、背中を押してくれる映画」だとアピールしていた。原恵一監督主人公たちを冒険に誘うオオカミのお面を被った謎の少女・オオカミさまの声を担当した芦田は、辻村氏の大ファンで「私にとっては神様みたいな存在」。それだけに「オファーをいただき、最初は信じられなかった。大好きな作品なので、本当に私でいいのかと思いつつ、イメージを壊さないように挑んだ」と強い思い入れを示し、「私の味方でいてくれる映画」と話していた。芦田愛菜この日はスペシャルゲストとして、原作者の辻村氏も駆けつけ「こころがお世話になりました。クライマックスで、みんなのためにヒロインになる姿が、初主演で声優をやり遂げた當真さんと重なるものがあった」「オオカミさまは、子どもの心を持ち、大人のようにすべてを知っている。そんな“あわいの時間”を生きる存在を、18歳の芦田さんに演じていただいた」とそれぞれの声優に感謝していた。辻村深月取材・文=内田涼<作品情報>『かがみの孤城』2022年12月23日(金) 全国公開原作:辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社刊)監督:原恵一脚本:丸尾みほ主題歌:優里「メリーゴーランド」(ソニー・ミュージックレーベルズ)■出演當真あみ/北村匠海吉柳咲良/板垣李光人/横溝菜帆/高山みなみ/梶裕貴矢島晶子/美山加恋/池端杏慈/吉村文香/藤森慎吾/滝沢カレン/麻生久美子芦田愛菜/宮﨑あおい
2022年12月23日直木賞作家・辻村深月の同名ベストセラー小説を劇場アニメ化した『かがみの孤城』のプレミアイベントが11月24日(木)、都内にて行われ、声優を務める當真あみ、北村匠海、吉柳咲良、板垣李光人、横溝菜帆、梶裕貴、宮崎あおい、原恵一監督が出席した。主人公は学校での居場所をなくし家に閉じこもる主人公の中学生・こころ。突然、迷い込んだ「鏡の中の城」で、見ず知らずの“選ばれし”少年少女6人と出会い、見つけた者の願いをかなえる秘密の鍵を探し出す冒険に旅立つ。オーディションで1,000人以上の中から主人公こころの声優に選ばれた當真さんは「こういう舞台挨拶は初めてで、とても緊張しています。もともと好きな作品だったので、声優として関わることができて、本当にうれしかったです」と喜びの声。原監督は「原作のイメージと、かけがえのない當真さんの“今”が一番ピタッとクロスした」と起用理由を説明した。北村さんはサッカーが得意で、誰にでもフラットに接する爽やかな少年リオンを演じており、「日本、勝ちましたね!すご過ぎる。サッカーが好きなリオンもきっと、喜んでいるはず」とワールドカップ日本代表の大金星に今も興奮冷めやらぬ様子だ。中学生役に「年齢がネックになると思った」と振り返りつつ、「原監督が『そのままでいてくれればいい』と言ってくださった」と感謝の意。原監督によれば、4時間に及んだアフレコ中、北村さんは「最後まで座らず、立っていた」そうで、「そんなにミスもなく順調で、役者魂を感じました。高倉健さんみたい」と絶賛。この発言に北村さんは「光栄です!」と誇らしげだった。ちなみに映画のテーマにちなんで「かなえたい願いは?」と問われると、「小栗旬さんと同じ身長182センチ(正確には184センチ)になりたい」と話していた。こころを優しく見守るフリースクールの先生・喜多嶋を演じる宮崎さんは、「お母さんのような気持ちで参加させていただきます」と若手精鋭が居並ぶステージに、思わず目を細める場面も。原監督とは「はじまりのみち」「カラフル」に続き3度目のタッグで、「いつも迷いのない演出で、道を照らして、正しい方向へ導いてくださる」と全幅の信頼を寄せると、原監督は「アフレコ中は直すところがなくて、敗北感でした…」と脱帽していた。『かがみの孤城』は12月23日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:かがみの孤城 2022年12月23日より公開©2022「かがみの孤城」製作委員会
2022年11月24日辻村深月のベストセラー小説を劇場アニメーション化した『かがみの孤城』より、アフレコ現場を収めたスペシャル映像が公開された。今回公開された映像では、キャラクターとともにキャストの顔ぶれが紹介され、アフレコ現場の様子が映し出されている。引っ込み思案で大人しい性格のこころを演じる當真あみは、物語冒頭にモノローグとして語られる重要なセリフに挑戦。主役の座を掴んだオーディション時にも課題となったセリフに、思いを込めて演じる當真さんは「脚本を読んでいる時もこころちゃんのことを応援したいなと思いながら読んでいたので、みんなに応援してもらえるような作品にできるように頑張ります」と意気込む。こころと同じく、鏡の中のお城に招かれた少年・リオン役の北村匠海は「難しいながらも僕もアニメが子供の頃からすごい好きなので、リスペクトを込めてやらせて頂いた」と収録をやり切った感想を語り、謎の少女・オオカミさま役の芦田愛菜は「(原作者の)辻村深月さんの大ファンなので、大好きな物語の世界の中に自分が入れた、その一員になれたというのがどこかまだ信じられないような気持ちでいます」と喜ぶ。また、こころを優しく見守る喜多嶋先生を演じた宮崎あおいは、自身のお気に入りシーンについて「オオカミさまが出てくる登場のシーンが好きです」「何か始まるぞっていうワクワク感が好き」と笑顔で明かした。映像ラストには、初出しとなる當真さんのクランクアップも見られ、監督から花束が贈られ、思わず涙を流す様子も映し出されている。『かがみの孤城』は12月23日(金)より公開。(cinemacafe.net)■関連作品:かがみの孤城 2022年12月23日より公開©2022「かがみの孤城」製作委員会
2022年11月17日辻村深月のベストセラー小説を劇場アニメ化した『かがみの孤城』のアフレコ現場を収めたスペシャル映像が解禁となった。本作は、鏡の中にある不思議な城を舞台に、7人の中学生たちがなんでも願いが叶うという秘密の“鍵”を探すさまを描いたファンタジーミステリー。當真あみ、北村匠海、吉柳咲良、板垣李光人、横溝菜帆、高山みなみ、梶裕貴、芦田愛菜、宮崎あおいなど豪華声優陣を迎え、『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』などの原恵一が監督を務める。本映像では、アフレコ現場の舞台裏に完全密着。引っ込み思案で大人しい性格の中学生・こころを演じる當真あみがアフレコシーンで挑むのは、物語冒頭にモノローグとして語られる重要なセリフ。「たとえば、夢見る時がある。転入生がやってくる。その子はなんでもできる、素敵な子」。主役の座を掴んだオーディション時にも課題となったセリフに想いを込めて演じる當真は「脚本を読んでいる時もこころちゃんのことを応援したいなと思いながら読んでいたので、みんなに応援してもらえるような作品にできるように頑張ります」と意気込む。こころと同じく鏡の中のお城に招かれた少年・リオンを演じる北村匠海は「難しいながらも僕もアニメが子供の頃からすごい好きなので、リスペクトを込めてやらせて頂いた」と大好きなアニメ作品のアフレコ収録をやり切った感想を語った。中学生7人を鏡の中のお城に招く謎の少女・オオカミさまを演じる芦田愛菜は「(原作者の)辻村深月さんの大ファンなので、大好きな物語の世界の中に自分が入れた、その一員になれたというのがどこかまだ信じられないような気持ちでいます」と本作に参加できる喜びを語った。こころを優しく見守るフリースクールの喜多嶋先生を演じた宮崎あおいは、自身のお気に入りシーンを問われると「オオカミさまが出てくる登場のシーンが好きです」と答え、「何か始まるぞっていうワクワク感が好き」と素敵な笑顔で理由を明かした。また、本動画の最後には、初出しとなる當真あみのクランクアップの瞬間を捉えた映像も。全てのアフレコ収録が終わり、原恵一監督から花束が贈られると、思わず涙を流す當真あみ。原監督から「理想的なこころが生まれました」と声をかけられると安堵の涙を流し、「こころの声優をできて本当によかったです。ありがとうございました」と思いを語った。『かがみの孤城』豪華キャスト競演!アフレコ現場特別映像※宮崎あおいの崎は立つ崎(たつさき)が正式表記『かがみの孤城』12月23日(金)公開
2022年11月17日Q-pot.(キューポット)が手がけるQ-pot CAFE.は、辻村深月の小説『かがみの孤城』とコラボレーション。2022年12月26日(月)から、限定メニューやスイーツがQ-pot CAFE. 表参道本店にて発売される。辻村深月の小説『かがみの孤城』とコラボ辻村深月の小説『かがみの孤城』は、青春期独特の繊細な感情や感性をリアルに描く、ファンタジーミステリー作品。2018年本屋大賞を受賞したベストセラー作品であり、2022年12月にはアニメ映画も公開される。そんな辻村深月の『かがみの孤城』とQ-pot.がコラボレーション。『かがみの孤城』の世界観を表現したQ-pot CAFE.のカフェメニューが展開される他、Q-pot. 各直営店では、コラボレーションアクセサリーを販売する。リボンを飾ったオオカミのスイーツプレートカフェで提供される「オオカミさまのかがみの孤城プレート」は、真っ赤なリボンクッキーを飾った“オオカミさま”のケーキが目を引く1皿。なめらかなカスタードミルクムースに、甘酸っぱいストロベリームースとパールクラッカン、ショコラジェノワーズをあしらった“オオカミさま”のケーキに加え、オオカミさまとかがみのクッキーや、フレーバーを選べるマカロンなどがセットになっている。また、シナモンが香るたっぷりのりんごジャムにアップルティーを注いだ「アップルシナモンフレーバーティー」も登場。ゆったりと過ごすティータイムに最適な、上品な香りを堪能できる。「オオカミさまのかがみの孤城プレート」とセットで味わうのもおすすめだ。オオカミやこころをイメージしたクッキー缶テイクアウトで楽しめる、Q-pot CAFE.のクッキー缶・プティフールセックも『かがみの孤城』仕様に。かがみに写るオオカミをイメージして立体的に仕上げたクッキーや、主人公・こころをイメージしたピンクのハートクッキーなど、9種類の焼き菓子がアソートされている。缶には、城で繰り広げられたお茶会の雰囲気を表現した切り絵タッチのオリジナルアートをレイアウト。おとぎ話の挿絵のような、ミステリアスな雰囲気が目を引く。【詳細】Q-pot CAFE./「かがみの孤城」コラボレーション販売期間:2022年12月26日(月)~2023年1月15日(日)場所:Q-pot CAFE. 表参道本店住所:東京都渋谷区神宮前3-4-8営業時間:11:00~19:00(L.O.18:30)※平日・土日祝同様年末年始休業:2022年12月30日(金)~2023年1月2日(月・祝)※2022年12月29日(火)は18:00閉店(ラストオーダー17:30)。※営業時間は変更になる場合あり。〈イートイン予約詳細〉開始日:2022年12月10日(土) 12:00予約方法:ウェブ、電話(03-6447-1218)予約可能時間:11:00/12:30/14:00/15:30/17:00メニュー例:・オオカミさまのかがみの孤城プレート ドリンクセット 2,100円・アップルシナモンフレーバーティー 850円※セットドリンクの場合+200円■プティフールセック&紅茶缶店頭発売日:2022年12月26日(月)~※Q-pot. オンラインショップでは2022年12月20日(火)10:00~発売。場所:Q-pot CAFE. 表参道本店※発売日や商品の仕様は、変更になる場合あり。・プティ フール セック・かがみの孤城 2,484円・アップルティー・かがみの孤城 1,404円【問い合わせ先】Q-pot CAFE. 表参道本店TEL:03-6447-1218
2022年11月13日YOASOBIの新曲「海のまにまに」が、2022年11月18日(金)に配信リリース。直木賞作家コラボ第3弾、辻村深月の小説を楽曲化“小説を音楽にするユニット”YOASOBIの「海のまにまに」は、直木賞作家とのコラボレーションプロジェクト第3弾となる新曲。辻村深月が“はじめて〇〇したときに読む物語”をテーマに書き下ろした小説「『ユーレイ』――はじめて家出したときに読む物語」を楽曲化した。小説の主人公は、家出をして海沿いの駅に降り立った少女。たどり着いた夜の海で、不思議な少女に声をかけられ、主人公は神秘的な一夜へと進んでいく...。新曲「海のまにまに」では、主人公の心の変化や、物語の舞台となる夜の海の情景を、サウンドで表現。不思議な世界観のミドルテンポナンバーに仕上げた。なお、「海のまにまに」のミュージックビデオは、アニメーション作家として様々な賞を受賞している土海明日香が監督を務めた。【楽曲概要】YOASOBI 新曲「海のまにまに」配信日:2022年11月18日(金)作詞・作曲・編曲:Ayase/歌唱:ikura原作:「『ユーレイ』――はじめて家出したときに読む物語」(辻村深月 著 / [『はじめての』(水鈴社刊)より])
2022年11月10日累計発行部数160万部を超える辻村深月の同名ベストセラー小説を劇場アニメ化した『かがみの孤城』。この度、物語の鍵を握る謎の少女・オオカミさまの声を芦田愛菜が担当することが分かった。併せて、コメントが解禁された。本作は、学校での居場所をなくし家に閉じこもる中学生・こころを主人公に「鏡の中の城」で巻き起こるファンタジーミステリー。ある日突然、こころの部屋の鏡が光り出し、吸い込まれるように中に入ると城のような不思議な建物と、見ず知らずの中学生6人が集められていた。主人公こころを含めた中学生7人の前に現れるのが、オオカミのお面を被った謎の少女・オオカミさま。7月に本作の特報が解禁されて以降、SNS上で「オオカミさまの声は誰…?」「オオカミさまの凛々しい声がぴったり!」「オオカミさまの声ってもしかして…?」など話題を集めていた。そしてこの度、ついにオオカミさまの担当声優が芦田愛菜であることが発表された。芦田さんは、『ゴースト もういちど抱きしめたい』で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞、SF大作『パシフィック・リム』でハリウッドデビューも果たし、今年公開された映画『メタモルフォーゼの縁側』など様々な話題作で主演を務める実力派人気俳優だ。アフレコを終えた芦田さんは「辻村深月さんの大ファンなので、本当に大好きな物語の世界の中の一員になれたというのがどこかまだ信じられないような気持ちでいますし、すごく嬉しいです」と本作に参加できる喜びを語った。さらに、「私が原作を一番最初に読んだ時は主人公たちと歳が近かったので、こんなにも私たちの気持ちを代弁してくれるのか、と思いました。私も歳を重ね、大人に近づいて、もう一回読み直してみると、登場人物たちのすごく真っすぐで純粋な気持ちというのが、何かを思い出させてくれるような気がして、そういう大人と子供を繋いでくれるというのが辻村さんの作品の魅力のひとつなのではないかと思っています。ぜひこころたちと同い年くらいの方にも、もっと大人の方にもたくさんの方に見ていただきたいです」とコメントを寄せた。芦田さんが演じることも相まって、物語の鍵を握る重要な役柄に期待が高まる。『かがみの孤城』は12月23日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:かがみの孤城 2022年12月23日より公開©2022「かがみの孤城」製作委員会
2022年10月24日辻村深月さんの新作『嘘つきジェンガ』は、詐欺をテーマにした3作を収録。実はこれ、2012年に直木賞を受賞した『鍵のない夢を見る』と繋がりがある作品だ。『鍵~』は、どこにでもいそうな人々がままならない成り行きで泥棒や誘拐などの罪を犯す様子を描いた作品集で、初出は雑誌『オール讀物』だった。「次は詐欺の話を考えていたら、“枚数が揃ったのでこれで本にまとめましょう”と言われて書き損ねてしまったんです。それで、今度『オール讀物』で書く時は詐欺の話にしようとずっと思っていました(笑)」本書で最初に書いたのは、巻頭の「2020年のロマンス詐欺」。大学進学で上京した春にコロナ禍で入学式が延期となり、一人孤独に部屋にこもる青年が友人からネット上のロマンス詐欺に誘われる。「以前は振り込め詐欺などを考えていたんですが、10年経つうちに詐欺の形もずいぶん変わったので、人の恋する気持ちに付け込むロマンス詐欺を書きたくなって。実際に2020年は給付金詐欺に学生たちが協力してしまった出来事などもありましたよね。あの時期ってみんな不安で、情報が欲しくてネットにアクセスした結果、道を踏み外した人も多かったと思う」これを書き上げた時、今回は詐欺をテーマにした作品集にまとめようと決めた。「詐欺は人の願いや不安に付け込む犯罪。今を生きる人が何を望んでいるのか、何を怖がっているのか、時代の空気感が滲みますよね。それを小説の形で真空パックしてみたいな、と。それと、詐欺ってなんだかジェンガみたいだなと思って。自分が絶妙なバランスをとりながら相手がバランスを崩すことを祈り、崩壊したら終わるゲームですから」2編目の「五年目の受験詐欺」は、息子が私立中学入試に臨む際、合格させるために夫にも黙って学校関係者という相手に金を払った母親の話だ。5年後、あれは詐欺だったと判明するのだが…。「あらゆる詐欺の被害者が感情移入できる要因を持つ被害者を描き切りたいと思いました。被害者の中には、騙されたと分かった後も、当時の心理状態ではお金を払わない選択肢はないと感じる人も多いと思うんです。それにこの母親が息子の実力を信じられなかった後悔や、息子が実力で受かったんだと喜ぶ権利を奪われた悔しさを抱くように、いろんな感情が入り交じるんじゃないかな、って」3編目は「あの人のサロン詐欺」。SNSで人気漫画の原作者と間違えられたことを機に、本人になりすまし、創作講座まで開き、長年にわたりファンを騙し続けている紡という女性が主人公だ。「書いていてめちゃくちゃ楽しかったです。もしも自分になりすましてサロン詐欺を働いている人がいたら、私は絶対に参加しに行きたい(笑)。偽者の言動を見て、私ってこういう発言をする人だと思われているのか、とか自分を客観的に知れそうです」紡は、作品解釈でも講座でのアドバイスでも、本人が言いそうなことを徹底的に研究している。「彼女はお金のために騙しているのではなく、充実感や高揚感、自己実現感が欲しいんですよね。やっていることは詐欺ですが、そのためにめちゃくちゃ努力していて、なんだか愛おしい」しかし、予想外のところに落とし穴が待っていて…。どの話も、終盤に予想外のもう一展開が待っていて、さらなる驚きだけではなく、読み手の心を揺さぶる結末となる点が秀逸だ。「3編とも詐欺というジェンガは崩壊しますが、今回はその先を書きたい、というのがあって。失敗してもう終わりだと思っても、意外と人生って終わらない。そこからも生きていかなければならない強さを書きたかったんです。現実の世界で人のミスを許さない風潮がすごく強くなったと感じるので、あえてこういう話にしたくなった気がします。誰かの生き方を他者が正解か間違いか、幸せか不幸かを評価することなんてできない、ということが3編ともに表れていたら、嬉しいです」『嘘つきジェンガ』大学進学で上京したが、コロナの影響で入学式は延期。自宅で孤独に苛まれる耀太は妙なアルバイトに誘われ…。「2020年のロマンス詐欺」ほか2編。文藝春秋1815円つじむら・みづき2004年「冷たい校舎の時は止まる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。’11年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞、’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。※『anan』2022年9月28日号より。写真・増田彩来(辻村さん)中島慶子(本) インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2022年09月26日辻村深月原作の映画『かがみの孤城』の公開日が12月23日(金)に決定し、特報映像とポスタービジュアルが公開された。そして、主人公・こころの声優に、1000人以上のオーディションを勝ち抜いた新人女優・當真あみが抜擢。當真のメイキング映像も公開された。原作は、本屋大賞15年間の歴史の中で歴代最多得票数を獲得し1位となったほか「王様のブランチブック大賞2017」や「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 2017」など9冠を獲得し、 TV・新聞ほか各メディアでも大絶賛の話題作。2019年にコミカライズ、オーディオブック化、2020年には舞台化されるなど様々なコンテンツでメディアミックスされ注目を集め続けている。劇場版アニメ化にあたっては、制作のA-1 Pictures筆頭に、脚本には丸尾みほ(『百日紅』)、音楽には富貴晴美(『そして、バトンは渡された』)、キャラクターデザインには佐々木啓悟(『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』)、ビジュアルコンセプト / 孤城デザインはイリヤ・クブシノブ(『攻殻機動隊SAC_2045』)など豪華スタッフ陣が集結。監督は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』や『河童のクゥと夏休み』など「泣けるアニメの名手」として知られる原恵一が務める。主人公は学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生・こころ。ある日突然部屋の鏡が光り出し、吸い込まれるように中に入ると、そこにはおとぎ話に出てくるようなお城と見ず知らずの中学生6人が。さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、こう告げる。「おめでとう、君たちは選ばれし7人だ。どんな願いでも、一つだけ叶えてあげよう」。なぜ自分が選ばれたのか?7人の共通点とは?それぞれが抱える”人に言えない願い”とは?全てが明らかになるとき、想像を超える奇跡が待ち受ける。先日、21日に公開された超特報で、「イメージしてたこころちゃんの声そのまんま!」、「こころちゃんの声は誰なんだろう」とSNSで早速話題を集めていた主人公・こころの声を務めるのは、 原監督に「こころを見つけました」と絶賛され、1000人を超えるオーディションから抜擢された、當真あみ。若手女優の登竜門としても知られる14代目「カルピスウォーター」CMキャラクターに6年ぶりに起用されるなどブレイク必須・大注目の若手女優だ。地元沖縄でスカウトされ、デビューすると、デビュー半年でTBSドラマ『妻、小学生になる。』に出演。その高い演技力が話題となった。本作が自身にとって初のアニメ主演となる。原作の大ファンである當真は「こころちゃん役に決まったと聞いたときは本当にびっくりして、聞き間違いじゃないかと思いました」と喜びを語った。あわせて、孤城へとつながる鏡からこちらを見つめる主人公こころが描かれたポスタービジュアルと特報映像が公開。映像では「ようこそお待ちしておりました」と物語のカギを握る、狼のお面を被った不思議な女の子・オオカミさまのセリフを皮切りに、「奇跡なんて、起こらない。そう思っていた」と切なく思い悩む表情に瑞々しい當真の声が吹き込まれたこころの姿が映し出されている。同じく、公開となった當真のメイキング映像には、初々しいオーディションの様子やヒロインに決定し目を潤ませる當真の表情が映し出されている。原監督は、當真の起用理由について「當真さんの無垢でまっさらな声や、言いたいこともなかなか言えないような辿々しさ、當真さんの今とこころの今がぴったり一致していて、こころは彼女だと思いました。こころを見つけました」と語っている。原作者の辻村深月は「原監督は私が多感な時期にとても影響を受けた方です。その原監督に今回、『かがみの孤城』をお願いできることに大きな幸せを感じています。スクリーンで生きて動くみんなに会えるのを、今からとても楽しみにしています」と期待を寄せた。<コメント全文>主演・當真あみ「こころちゃん役に決まったと聞いたときは本当にびっくりして、聞き間違いじゃないかと思いました。原作の『かがみの孤城』はお薦めされて読んだあと、自分でも買って読み返したくらい好きな小説だったので、すごく嬉しいです。声のオーディションというのが初めてだったので″こういう感じでいいのかな”と不安もありながら、こころちゃんと自分が似ているところがあると思ったので、どうしてもこころちゃん役を勝ち取りたいと思って必死に練習して挑みました。こころちゃんは少し臆病なところもあって、私自身ちょっとした事や思っていることを口に出せないことがあるので、そういうところが自分と似ている気がします。原作を読んでいるときに、こころちゃんのことを応援したいと思いながら読んでいたので、同じように、観ていただく皆さんに応援してもらえるような作品にできるよう頑張ります。」原作・辻村深月「『かがみの孤城』は映像化がかなり難しい小説なのではないかと感じていました。しかし、アニメであれば作中の城の世界観や、主人公たちの思いを原作の持つ雰囲気のまま届けていただけるのではないか、と想像が膨らみ、ぜひお願いしたいと思いました。書いている時には気づかなかったのですが、自分の部屋の鏡を入り口に城に出かけるという設定は、自分が十代の頃、本やアニメ、映画に求めていたことそのものだなと感じています。ページを開けばそこに自分の居場所がある。読んでいる間は主人公たちの仲間になる。今回の映画も誰かにとってのそんな存在になってくれたら、とても嬉しいです。また、原監督は私が多感な時期にとても影響を受けた方です。その原監督に今回、『かがみの孤城』をお願いできることに大きな幸せを感じています。スクリーンで生きて動くみんなに会えるのを、今からとても楽しみにしています。」『かがみの孤城』12月23日(金)公開
2022年07月28日辻村深月原作アニメーション映画『かがみの孤城』の公開日が12月23日(金)に決定し、特報映像が公開。主人公・こころ役には、新人・當真あみが抜擢された。物語は、学校での居場所をなくし、家に閉じこもっていた中学生・こころを主人公にした、鏡の中の城で巻き起こるファンタジーミステリー。ある日突然、こころの部屋の鏡が光り出し、吸い込まれるように中に入ると、城のような不思議な建物と見ず知らずの中学生6人が。全てが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる――。特報映像は「ようこそお待ちしておりました」と、物語のカギを握る狼のお面を被った不思議な女の子・オオカミさまのセリフから始まり、「奇跡なんか、起こらない。そう思っていた」と切なく思い悩む表情のこころの姿も映し出されている。また、孤城へとつながる鏡から、こちらを見つめるこころが描かれたポスタービジュアルも公開された。制作のA-1 Picturesを筆頭に、脚本は丸尾みほ(『百日紅』)、音楽は富貴晴美(『そして、バトンは渡された』)、キャラクターデザインは佐々木啓悟(『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』)、ビジュアルコンセプト/孤城デザインはイリヤ・クブシノブ(『攻殻機動隊SAC_2045』)など、豪華スタッフが集結した。こころを演じるのは、14代目「カルピスウォーター」CMキャラクターに起用され、今回オーディションで抜擢された當真さん。「『かがみの孤城』はお薦めされて読んだあと、自分でも買って読み返したくらい好きな小説だったので、すごく嬉しいです」と喜びのコメントも寄せた。また、オーディションの様子が収録されているメイキング映像が、YouTubeにアップされている。原作・辻村深月コメント『かがみの孤城』は映像化がかなり難しい小説なのではないかと感じていました。しかし、アニメであれば作中の城の世界観や、主人公たちの思いを原作の持つ雰囲気のまま届けていただけるのではないか、と想像が膨らみ、ぜひお願いしたいと思いました。書いている時には気づかなかったのですが、自分の部屋の鏡を入り口に城に出かけるという設定は、自分が十代の頃、本やアニメ、映画に求めていたことそのものだなと感じています。ページを開けばそこに自分の居場所がある。読んでいる間は主人公たちの仲間になる。今回の映画も誰かにとってのそんな存在になってくれたら、とても嬉しいです。また、原監督は私が多感な時期にとても影響を受けた方です。その原監督に今回、『かがみの孤城』をお願いできることに大きな幸せを感じています。スクリーンで生きて動くみんなに会えるのを、今からとても楽しみにしています。『かがみの孤城』は12月23日(金)より公開。(cinemacafe.net)■関連作品:かがみの孤城 2022年12月23日より公開©2022「かがみの孤城」製作委員会
2022年07月28日辻村深月原作の映画『かがみの孤城』が2022年冬に公開される。この度、監督を原恵一が務めることが明らかにになり、超特報映像、「生徒役声優オーディション」の開催などが一挙発表された。原作は、本屋大賞15年間の歴史の中で歴代最多得票数を獲得し1位となったほか「王様のブランチブック大賞2017」や「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 2017」など9冠を獲得し、 TV・新聞ほか各メディアでも大絶賛の話題作。2019年にコミカライズ、オーディオブック化、2020年には舞台化されるなど様々なコンテンツでメディアミックスされ注目を集め続けている。大人も子どもも夢中になるファンタジーミステリーとして幅広い世代から支持され、累計発行部数は今年に入り125万部を突破。辻村深月は、2004年『冷たい校舎の時は止まる』でデビュー。映画化もされた『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、『鍵のない夢を見る』では第147回直木賞を受賞している。その他、日本アカデミー賞を含め多数の賞を受賞した『朝が来る』や『ハケンアニメ!』など数々の作品が映画化されてきた。本作の主人公は、学校での居場所をなくし家に閉じこもっていた中学生・こころ。ある日突然、部屋の鏡が光り始め、吸い込まれるように鏡をくぐり抜けると、その先にあったのは城のような不思議な建物。そこには、こころと似た境遇の7人が集められていた。城の中には秘密の「鍵」が隠されており、その鍵を見つけた者は、何でも願いが叶うという。なぜこの7人が集められたのか。鍵はいったいどこにあるのか。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。公開された超特報映像は、「たとえば、夢見る時がある。転入生がやってくる。その子はなんでもできる、素敵な子。」と、主人公・こころのモノローグで始まる。こころが誰にも言えない秘めた思いを語るこのセリフは、原作の冒頭シーンに登場する印象的なモノローグを引用したもので、その惹き込まれるような透明感あふれる瑞々しい声により、こころのキャラクター像が一気に浮かび上がってくる。控え目でありながらも深く深く胸に沁みこんでくるような、一度聞いたら忘れられない魅力溢れるこの「声」の正体とは。さらに、こころが何処かへ歩き出している足元や、光る鏡に手を触れようとしている手元のほか、7枚の鏡が並ぶ広間、海の上にそびえ立つ城など様々な印象的な情景が映し出される。また7月28日(木)には続報も発表予定。こちらにも期待だ。監督の原恵一は、『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年)、『河童のクゥと夏休み』(2007年)の両作品で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞し、『カラフル』(2010年)では、世界最大規模のアニメーション映画祭「第35回アヌシー国際アニメーション映画祭」長編作品特別賞観客賞を受賞、『百日紅~Miss HOKUSAI~』(2015年)では同映画祭審査員賞を受賞している。2018年には、高畑勲監督、大友克洋監督につづき、アニメーション監督では3人目として紫綬褒章を受章するなど、国内外ともに高い評価を得ている。そして『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』(2013年)、『心が叫びたがってるんだ。』(2015年)など、数多くの名作青春アニメを世に送り出してきたA-1 Picturesが制作を手掛ける。さらに「生徒役声優オーディション」も開催。指定のセリフを読む動画にタグ「#かがみの孤城オーディション」を付けてTikTok・YouTubeに投稿すると、生徒役として本作の世界に入れるチャンスが。ぜひこちらも応募してほしい。<原恵一監督・コメント>監督は孤独だ、などと云う。それは実際その通りで、自分は孤独では無い、なんて云う監督は大噓付きか大馬鹿者だし、孤独に耐える覚悟が無い人間は監督なんかやるべきじゃない。スタッフ、キャストの仕事をジャッジして、OK、NGを決め、進むべき方向を示さなければならない。それは個人の意地を貫くことで、故にその責任を負うには孤独である必要があると思うのだ。そんな監督仕事ではあるが、甘美な瞬間がある。それは作品が、自分の思っている以上のものになる予感を感じた時、監督をやって良かった、としみじみ思うのだ。今、『かがみの孤城』という映画を作りながら、そういう予感を感じ、ワクワクと仕事をしている。『かがみの孤城』2022年冬公開
2022年07月21日辻村深月の小説をアニメーション映画化する『かがみの孤城』の超特報映像が公開された。本作の主人公は、学校での居場所をなくし、家に閉じこもる中学生のこころ。映像では、「たとえば、夢見る時がある。転入生がやってくる。その子はなんでもできる、素敵な子」と、こころのモノローグから始まる。誰にも言えない秘めた思いを語るこのセリフは、原作冒頭に登場する印象的なモノローグを引用したものだ。また、こころの足元や、光る鏡に手を触れようとしている手元、7枚の鏡が並ぶ広間、海の上にそびえ立つ城など、印象的な情景が映し出されており、本作の世界観が感じられる。本作を手掛けるのは、“泣けるアニメーション”の名手と呼び声高い原恵一監督。制作は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(’13)、『心が叫びたがってるんだ。』(’15)などを世に送り出してきた「A-1 Pictures」が手掛ける。原恵一監督コメント監督は孤独だ、などと云う。それは実際その通りで、自分は孤独では無い、なんて云う監督は大嘘付きか大馬鹿者だし、孤独に耐える覚悟が無い人間は監督なんかやるべきじゃない。スタッフ、キャストの仕事をジャッジして、OK、NGを決め、進むべき方向を示さなければならない。それは個人の意地を貫くことで、故にその責任を負うには孤独である必要があると思うのだ。そんな監督仕事ではあるが、甘美な瞬間がある。それは作品が、自分の思っている以上のものになる予感を感じた時、監督をやって良かった、としみじみ思うのだ。今、『かがみの孤城』という映画を作りながら、そういう予感を感じ、ワクワクと仕事をしている。『かがみの孤城』は冬、公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:かがみの孤城 2022年冬、公開予定©2022「かがみの孤城」製作委員会
2022年07月21日公開から1カ⽉近く経った今、満席続出を受け上映期間の延⻑を決定した劇場や、新たに上映が決まる劇場なども出てくるなど、話題となっている映画『ハケンアニメ!』。6⽉末から毎週催されている本作のティーチイン付き上映会が、7月7日に実施された。第3回⽬となる今回は、吉野耕平監督、原作者の辻村深⽉、劇中アニメ『サウンドバック 奏の⽯』の監督・⾕東に加え、アイドル声優・群野葵を演じた高野⿇⾥佳が登壇。盛り上がりを見せた上映会の様子をレポートする。本作は、直木賞&本屋大賞受賞作家辻村深月の大人気小説を映画化。世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いた、“胸熱”お仕事ムービーだ。一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴を中村倫也、瞳を振り回す掴みどころのない超クセ者プロデューサー・行城理を柄本佑、王子の才能に人生を懸ける作品命のプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子と、実力派俳優陣が集結している。本編上映後、吉野監督、原作者の辻村、劇中アニメ『サウンドバック 奏の⽯』の監督・⾕東、アイドル声優・群野葵を演じた高野⿇⾥佳が登壇すると、観客からは⼤きな拍⼿が沸き起こった。吉岡演じる斎藤瞳が⼿掛ける『サウンドバック 奏の⽯』(通称︓『サバク』)と、中村倫也演じる王⼦千晴による『運命戦線リデルライト』(通称︓『リデル』)が、最も成功したアニメの称号=「ハケンアニメ」を競う本作は、その劇中アニメのクオリティの⾼さが話題となっているが、辻村は本作の映画化にあたり、アニメの制作陣がそれぞれの作品のイメージをより具体的に構築できるよう、2作品全24話のプロットを作成した。それについて辻村は「⼤変かなと思ったが、書き始めたら楽しくて。意外とすぐに書き終えました」と語り、⾕が「最初に辻村先⽣の資料が届いた時にその分量にびっくりしました」と話すと、辻村は「私が書いたものを、吉野監督がさらに膨らませてくれた」と話し、吉野監督は「つい嬉しくなって、テンションが上がって、全然使わないシーンまで書いた」と、楽しみながら、劇中アニメを構築していったことを明かした。これに、⾕監督は「普段、アニメ制作をずっとやっていると苦⾏になってくることもあるんですが(笑)これは楽しんでやっているな、というのがすごく伝わってきてすごくよかったです」と応じ、劇中アニメの制作秘話で会場を楽しませた。また、声優・群野葵として『サバク』の主⼈公トワコを演じた⾼野は、トワコを演じるにあたり「オーデションの段階で、原作を切り抜いたシーンがたくさんあって、そこを読んでいるだけでも、瞳監督の演技プランや、トワコってこういう⼈なんです、という情熱が伝わってきたので、それをただぶつけていこうと思った」と語ると、吉野監督は「オーディションの時から聞き⼊ってしまった。普段から⾊々なキャラクターを演じられているので、台本のちょっとした描写からキャラクターを膨らませていただけるので、プロの現場の⽅なんだなと感じました」と絶賛。さらに⾼野が「トワコの最後のセリフが⼀番難しかった」と明かすと、⾕監督は「僕も正直正解というものがわからないまま収録に⾏っていて、ずっと吉野監督の顔を⾒ていました(笑)」と応じ、吉野は「瞳監督と同じ気持ちで、⾼野さんの表現が正解だと思ったので、お任せします︕という⼼境だった」と⾼野へ絶⼤な信頼を寄せていたことを伝え、辻村が「あのシーンは本当にグッとくる、何度も泣いちゃう」と話すと、観客は、共感の印とばかりに温かな拍⼿で応じた。続いて「“好きをつらぬく”クリエイター応援コンクール」と題し、6⽉末まで募集をしていたオリジナルイラストキャンペーンの各賞を発表。 劇中アニメ『サバク』と『リデル』の各テーマに沿ったオリジナルイラストをtwitterに投稿するこのキャンペーンには、なんと104作もの応募があり、選考は辻村、⾕監督と、『リデル』の⼤塚隆史監督の3名によって事前に⾏われた。壇上では【優秀賞】4作、【サバク賞】1作、【リデル賞】1作が発表され、受賞したイラストがスクリーンに映し出されると会場からは都度⼤きな拍⼿が沸き起こり、登壇者たちはそれぞれの絵についての、選考理由・感想を楽しげに語った。今回のコンクールについて、選考者である辻村は「私が原作で書いた『リデル』と『サバク』の設定を⽣かして、それを⾃分のものにして⾃由に遊んでくださっていて、どのイラストにもすごく惹かれました」とコメント。⾕も「絵を描くのはすごく熱量が必要で⼤変なことだけれども、どの作品からも熱が伝わってきて、元気をもらえた。皆さんの絵で明⽇からのアニメを作る活⼒をもらえました」と応募者たちに感謝の念を述べるとともに、熱い想いに感嘆した様⼦だった。その後、辻村は「ロビーにあるポスターに、この間サインを書いて「原作者冥利」と書かせていただいたんですが、こんな幸せな⼩説家はあまりいないだろうなと思っています。キャスティングが発表になった時に、⾼野さんがマスコミに向けて「葵ちゃんの悔しさとか、そういうところを全部演じたいと思っている」とコメントを書いてくださって、⾃分の書いたキャラクターたちに対して、俳優さんがひとりひとり、その⼈の親友になってくれるような距離感でやってくださっているんだなと思って、そのことにものすご幸せを感じました」と語った。すると⾼野も「私自身が、映像系のお仕事もある中で、声優の仕事がなかなかできなかった時に、⼼ない⾔葉をかけられたりして、悔しさみたいなものがありました。それを葵ちゃんももしかしたら抱えているかもしれないと感じた瞬間に、オーディション台本の段階で涙が込み上げてきて。この悔しさを、葵ちゃんの『サバク』での演技だったり、⼀つの作品を作り上げるプライドを表現することで、皆さんの⼼の中に残したい思っていたので、今⽇、素敵なイラストを⾒たときに、ちゃんと皆さんの⼼に残っているな、皆さんの⼼に⽣きてくれているんだなと思って、本当に嬉しくなりました!」と、⾃⾝の演じた役柄についての熱い想いを語った。最後に、斎藤瞳の好物「エクレア」をそれぞれが持ち、会場のお客様をバックに記念撮影。⼤盛り上がりの中、イベントは幕を閉じた。『ハケンアニメ!』公開中
2022年07月08日吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子らが集結し、辻村深月の大人気小説を映画化した“胸熱”お仕事ムービー『ハケンアニメ!』。普段は表に出ることのないアニメ制作の裏側や、そこに生まれる熱いドラマを描いた本作に、SNSの絶賛コメント&リピーターが続出、そんな観客の感動コメントと本編胸熱シーンを収めた特別映像が解禁となった。SNSには連日観客からの絶賛コメントが相次ぎ、現在公開2週目ながらすでに複数回鑑賞するリピーターも続出。「上半期で一番の『覇権』映画」「今年の実写邦画のNo.1は揺るがない」「お仕事系映画では人生ベスト級」「評判通りの良作!アニメや映画に助けられた経験のある人には刺さりまくりの2時間」「主要キャストがそれぞれのキャリア史上最上級のハマり役」「劇中アニメのクオリティの高さに鳥肌が立った」「アニメのみならず、今までのエンタテインメント体験が一気に押し寄せて来た」など、今年のベスト映画として上げる声も。熱気冷めやらぬ感想コメントをきっかけに、映画を観た新たな観客がさらに口コミを拡散しているようで、アニメづくりに心血を注ぐ主人公・瞳(吉岡さん)が劇中で語るセリフ「刺され、誰かの胸に」のように、本作の魅力は多くの観客に“刺さり”始めている。解禁となった映像で、「今も泣きそう」「作品への愛がすごく伝わってくる」など、目を潤ませながら率直かつ胸熱な思いを語るのは、映画館で本作を鑑賞したばかりの観客たち。さらに、主人公の新人アニメ監督・瞳が「(私の名前を)憶えてくれてるだけで、どれだけ誇らしい気持ちかわかりますか?」と力強く訴えるシーンや、瞳と“ハケン=(覇権)”を争う天才監督・王子(中村さん)が「ひたすら噛り付くようにやるしかないんだ」と生みの苦しみと闘うシーンを始め、それぞれの監督が手掛ける劇中アニメのワンシーンなど、映画のハイライトとなる場面が切り取られている。仕事やものづくりにかける主人公たちの熱い想いには、誰もが共感を覚えるだろう。『ハケンアニメ!』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月27日現在公開中の『ハケンアニメ!』より観客のコメントと印象的な場面を合わせた特別映像が公開された。本作は、直木賞&本屋大賞受賞作家辻村深月の大人気小説を映画化。世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いた、“胸熱”お仕事ムービーだ。一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴を中村倫也、瞳を振り回す掴みどころのない超クセ者プロデューサー・行城理を柄本佑、王子の才能に人生を懸ける作品命のプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子と、実力派俳優陣が集結している。監督は『水曜日が消えた』の吉野耕平。さらに劇中アニメの制作には『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションやトップクリエイター陣が参加し、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を手がけた。解禁された映像で「今も泣きそう」、「作品への愛がすごく伝わってくる」など、目を潤ませながら率直かつ胸熱な想いを語るのは、映画館で本作を鑑賞したばかりの観客たち。さらに主人公の新人アニメ監督・瞳(吉岡)が「(私の名前を)憶えてくれてるだけで、どれだけ誇らしい気持ちかわかりますか?」と力強く訴えるシーンや、瞳と“ハケン=(覇権)”を争う天才監督・王子(中村)が「ひたすら噛り付くようにやるしかないんだ」と生みの苦しみと闘うシーンをはじめ、それぞれの監督が手掛ける劇中アニメのワンシーンなど、映画のハイライトとなる場面が切り取られている。アニメ業界が舞台ながら、仕事やものづくりにかける主人公たちの熱い想いには、誰もが共感を覚えること必至の本作。これから映画を観る人もすでに観た人も、何度でも熱い感情が呼び起こされる本映像は必見だ。また公式サイトでは、映画の感動投稿キャンペーンと共に、ユーザーの人生を変えた一本を投稿する「ベストアニメ投稿キャンペーン」も実施中。劇中で瞳(吉岡)が王子(中村)の代表作『光りのヨスガ』に出会ってアニメ業界を志したように、自身に影響を与えた作品や心に残る“私のベストアニメ”が、日々大量に投稿されている。こちらもぜひチェックしてほしい。『ハケンアニメ!』公開中『ハケンアニメ!』感想&ベストアニメ投稿キャンペーン:
2022年05月27日直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月の人気小説を原作に、アニメ制作の現場で働く人々が織りなすドラマを描いた映画『ハケンアニメ!』が先日、公開を迎えた。計441ページ(単行本)におよぶ原作小説を約2時間の映画として脚色したのが、ドラマ「死役所」、「レンタルなんもしない人」、「あのコの夢を見たんです。」など、一風変わった設定やシチュエーションの異色ドラマを数多く手がけてきた脚本家の政池洋佑である。新卒で一般企業に就職するも突如、サラリーマンとしての生活を捨て、脚本家を志したという政池だが、どのようにしてこの世界に入り、年に数本の連ドラを任される人気脚本家となったのか? いまの時代に、脚本家に必要とされる視点や能力とは? たっぷりと話を聞いた。――まず、政池さんが脚本家になられるまでの道のりについて伺ってまいります。大学卒業後、まず企業に就職されて、その後、エンタテインメントの世界に入られたそうですね。学生時代から脚本家になりたいという気持ちはあったんですか?いや、なかったですね。ただ、TVドラマは好きで、ドラマのプロデューサーや監督になりたくて、就職活動でTV局は受けていました。ただ、選考はわりと進むんですけど、最後の最後で落ちるんですよ。たぶん、薄っぺらさが伝わるんでしょうね…(苦笑)。実際、薄っぺらかったと思います。「ドラマが好き」と言いつつも、僕よりももっと好きな人はたくさんいたと思いますし、なんとなくノリだけで面接は進んでたんでしょうね。結局、TV局は全部落ちたんですけど、就活で受かったUSENで新卒で働き始めたんです。そこで毎朝、1時間ひたすらバナーの確認をするといった仕事をしてまして。1時間ずっと「F5」ボタンを押し続けて、特定の広告が何回出たのかをカウントするんですけど「これはつらいぞ…」と(苦笑)。僕、大学の頃にママチャリで日本縦断をしたことがあるんですけど、その頃の親友がTBSで働いていたんです。そのつながりである日、音楽番組の収録を見学させてもらったんですけど、なんて楽しそうな世界なんだろう!って。大学時代は2人ともあんなに楽しそうだったのに、一方はいまもキラキラ楽しそうにしてて、俺は「F5」を延々と押し続けてて…。加えてその頃、大失恋をしたんですね。そのイキオイで会社を辞めて「脚本家になろう」と思ったんです。――会社を辞める時は、この先、生きていく自信はあったんですか?いや、完全なノリですね。当時、付き合ってた彼女にフラれて「絶対にあいつを見返してやる!」って感じでそのままノリで辞めちゃいました(笑)。いや、こう言いつつ、僕はもともと、ものすごい安定志向なんですよ。メチャメチャ貯金するタイプだし。なのにイキオイで辞めちゃったんですね。つくづく、いろんな歯車が狂った結果として、いま、ここにいるんだなと思いますね(笑)。だから『ハケンアニメ!』を書くときも、主人公の瞳に感情移入できる部分は大きかったです。彼女は大学を出て、県庁で働いていたのに、退路を断ってアニメの世界に飛び込んでくるじゃないですか。自分自身を重ねながら脚本を書いていました。――会社を辞められて、その後、有名な放送作家の元に弟子入りしたと伺いました。そうです。当初から脚本家を目指してはいたんですが、構成作家にも興味があって一度、そちらも勉強してみたいなと思って、放送作家さんの弟子として働き始めました。――その後、すんなりと構成作家に?そうですね。構成作家というのはわりと人数が多い業界なんですね。いまも僕は朝の情報番組で仕事をさせてもらっていますが、わりと早い段階からいくつかの番組に入れましたね。――構成作家のお仕事というのは、ドラマや映画の脚本家とは全く違うものですか?違うと思われる部分が多いと思いますけど、僕は構成作家であることが、脚本を書く上ですごく活きているなと感じることが多いです。『ハケンアニメ!』もそうですね。今回の原作小説を読むと、3人の主人公たちが少しだけ時系列がずれているところで奮闘していて、それぞれがすごく良いセリフを口にするんですよね。それを俯瞰で見て「このセリフは絶対に大事にしなきゃ」とか「このシーンは大切だな」というふうに組み替えながら1本の映画として“構成”していくんです。僕はこの“構成力”が、脚本家として自分が得意な部分なのかなと感じていて、おそらく今回、僕を起用してくださった東映の須藤(泰司)プロデューサーもそこを評価してくださったんじゃないかと思います。――構成作家が具体的にどういうお仕事なのか詳しく説明していただけますか?やることはメチャクチャいっぱいあります。それこそ番組の企画書を書いて、その企画を会議で通して…、といったこともしますし。先ほどもお話した映画やドラマ脚本の仕事との類似という部分で言うと、例えば、ある俳優さんのことを、情報番組で紹介するとします。「昨日の映画のイベントに出席しました」とか「過去にこういう作品に出演しています」とか「インタビューの映像があります」とかいくつも“素材”があって、それらを決められた時間の中で、どういうふうに見せたら視聴者の興味を引くことができるか? というのを考えます。「オリンピック」であれば、「競技の映像」、「過去の映像」、「表彰式」や「インタビュー」の映像があって、それらをどういうふうに組み合わせて、どういうふうにVTRを終わらせたら、一番面白いか? カタルシスを感じられるか? といったことを考える仕事ですね。素材は決まっているので、“ゼロ”から“1”を作ることはできないんですけど、素材を並べて魅力的なVTRを作っていくということをやります。――構成作家として仕事をしつつ、どのように脚本家にシフトしていったのでしょうか?まずはシナリオセンターというところに通ってみました。その後、賞に応募したりもしたんですが、なかなかそこからは仕事につながらなかったんですよね。ただ、ある幸運な出会いがありまして…。サラリーマン時代にお世話になっていた先輩がいて、その人から「昼間に西荻窪で飲もう」ってずっと誘われてたんですね。最初のうちは何度か断ってたんですけど、5回目くらいにようやく行ったんです。そこになぜかリンボーダンスを踊る人たちがいて(笑)、そこで先輩に「お前も踊れよ」と言われて僕も「イェーイ!」ってメッチャ踊ったんですけど、なぜか先輩たちはすぐに帰っちゃって、せっかくリンボーダンスを踊ったのに、ひとりで寂しく飲んでたんですよ(苦笑)。――なかなか酷い展開です…。「もう帰ろう」と思ったら、隣に座ってた2人組の女性が「さっき踊ってたよね?」と話しかけてくれて、ひとりがドラマのAPをやっている方で、もうひとりは脚本家の大島里美さん(※「1リットルの涙」、大河ドラマ「花燃ゆ」など)だったんですよ! 僕は「1リットルの涙」が大好きだったので「えぇっ! 大島里美がいるよ! 嘘でしょ?」って感じで(笑)。「こんなチャンスはない!」と思って、そこから親しくさせていただいて、自分が書いたシナリオを送って読んでもらったり、一緒に飲みに行ったりするようになって、ある時、大島さんのピアノの発表会に行ったら、そこでテレ東のプロデューサーの方と知り合って、その出会いがきっかけで、脚本家として連ドラデビューすることになったんです。いま振り返ると、あそこでリンボーダンスを踊ったことがデカかったなって思います。リンボーダンスで人生変わりましたから(笑)。だから、若い脚本家の人と話をするとき、「何かあったら、自分から動けば人生変わるかもしれない」ってことはよく言いますね。――脚本家の金子ありささん(「恋はつづくよどこまでも」、「中学聖日記」など)に師事されていた時期もあったそうですね?そうですね。金子さんは大島さんの先輩で、大島さんから「いま、金子さんが弟子を募集してるけどやらない?」ってお話をいただいて、「やる!」と食い気味に行きまして(笑)、金子さんの下で1年ほど修行させていただきました。金子さんは本当に優しくて面倒見がよくて、とにかく脚本会議などの現場に常に連れて行ってくださって、そこで、僕が考えたプロットも発表する時間を持たせてくれるんです。もちろん僕のプロットなんて1ミリも使われないんですけど(苦笑)。まず会議で、金子さんがプロットをどうやって練り上げていくか? というシナリオ術と会議術を見ることができて、さらに会議の後にカフェで1~2時間ほど、金子さんが僕のプロットの何が悪いのか? どうしたら良くなるかということをマンツーマンで指導してくださるんです。それは本当に貴重でありがたい時間でした。その時のメモは「一生忘れちゃいけないな」と思って大切にとってあるし、いまでもたまに見返してます。「あぁ、金子さん、このことを言ってたんだ!」って当時はわかってなかったことが理解できたりしています。――そもそも「脚本家になろう!」と思ったのはなぜだったんでしょう? 映画やドラマは昔から好きだったんですか?好きでしたね。ただ、学生時代にそういう創作活動は全くやってなかったんです。さっきも言いましたけど、学生時代にやったことと言えば、ママチャリで日本縦断ですから。後は遊び歩いてました。だから我ながら、よくこの仕事をやれてるなぁって思います。僕は「自分に才能がない」と認める才能があって、そのぶん、吸収力はハンパないと思うんです(笑)。他人が作った面白いストーリーから学んで、自分のものにしていくのが得意なんだと思います。いまでもいろんな作品から勉強させてもらって、自分の力にしていますね。――好きなドラマや影響を受けた作品はありますか?ドラマは好きでわりと何でも見てましたけど「やまとなでしこ」とか「マイ ボス マイ ヒーロー」、映画だと『耳をすませば』とかメチャメチャ好きでした。クリエイターで言うと古沢良太さんとかは本当にすごいなぁと思います。ただ、さっきも言いましたけど、僕の武器ってたぶん「普通」であることなんですよね。ドラマがメチャクチャ大好きで、メチャメチャ見ているという人もいるじゃないですか? でも、僕は「普通」に好きで、「普通」に見てるんですよね。だから就活の時、TV局を落ちたんだと思いますけど、それは弱点でもありつつ「普通の感覚を持っている」ことが自分の特徴なのかなと思います。なので「○○さんが大好きで、憧れて、追いかけてます!」みたいなのはないですね。――先ほど、お話に出た「武器」と通じるかと思いますが、これまでいくつもの作品を手がけてきて、ご自身の作風だったり、作品の特徴ってどういう部分だと思いますか?『ハケンアニメ!』はちょっと違いますけど、「ぶっ飛んだ設定」と「ぶっ飛んだキャラクター」ですね。ドラマ「スナイパー時村正義の働き方改革」(※)なんかはまさにそうですね。※「スナイパー時村正義の働き方改革」:2020年3月にCBCテレビで深夜枠で放送された連続ドラマ。情報機関の伝説のスナイパーと同機関の人事部のOLの2人だけで繰り広げられるシチュエーションコメディで、仕事一筋のスナイパーが社会の波を受け、ミッションのさなかに“残業ゼロの定時退社”や“デジタル化”といった働き方改革を強いられていくさまを描く。2020年日本民間放送連盟賞番組部門 テレビドラマ番組最優秀賞、令和2年度(第75回)文化庁芸術祭 優秀賞、JNNネットワーク協議会 特別番組賞などを受賞。ただ、こうして賞をいただいたりもしたんですけど、番組自体は全然見られていないんですよね…(苦笑)。――CBCでの深夜放送ということもあって、「見られなかった」という人も多いのかと思います。Paravi(パラビ)でも配信されてるんですけど、なかなかね…(苦笑)。ネットでバズることもなく、「月刊ドラマ」の5月号にもシナリオを載せてもらったんですけど、これもあんまり売れてないのかなぁ…(苦笑)?ちょっと話が脱線してしまうんですけど、今回、シネマカフェさんにこの「映画お仕事図鑑」でインタビューをしていただこうと思った理由が、この「スナイパー時村正義の働き方改革」がきっかけなんですけど、自分で自信のある面白いものを書いて、それが賞をとったとしても、意外と人々に届かないというのを感じたからなんです。民放連の最優秀賞をいただいた時に「よし、これで売れるぞ」「大ブレイクするな」と思ってたんですけど、この作品をきっかけにしたお仕事のオファーというのがひとつもなかったんです。そこにはもちろん、いろんな要素があると思うんですけど、“僕”という人間のコンテンツ力がメチャメチャ低いというのも原因のひとつだなと思ったんです。まず、僕自身が多少なりとも有名になることも大事なことだなと。この連載で、少し前に『罪の声』の野木亜紀子さん(「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」など)のインタビューが掲載されていましたが「野木亜紀子の新作!」となると、その時点で「絶対見る!」というファンの方が多くいると思いますけど、脚本家でなかなかあのレベル、あのゾーンに達するのって簡単なことではないですよね。もちろん、「面白いものを書く」というのが一番大切なのは言うまでもないですが、それと同時に違うアプローチ、違う戦い方も必要なんじゃないかと考えるようになったんですね。「スナイパー時村正義の働き方改革」のシナリオが「月刊ドラマ」に掲載されたのも、その一環で「今度、Paraviで配信されるので、載せてもらえませんか?」と自分から編集部に売り込んだんです。これまでは「面白いものさえ書いてれば、いつか評価される」と思ってた部分があったんですが、民放連の受賞をきっかけに、それだけじゃダメなんだって勉強させてもらいました。――ここまで話をうかがってきて、『ハケンアニメ!』の脚本を政池さんに任せようと考えた須藤プロデューサーが慧眼だなと思います。僕がお話をいただいたのは5~6年前かな? 当時はまだドラマは1本くらいしか書いてなかったと思います。実は、最終的に実現には至らなかったあるプロジェクトがあったんですけど、その作品のプロットを僕が書かせていただいたんです。それを須藤さんが読んで気に入ってくださって、そのことがきっかけで『ハケンアニメ!』で僕を抜擢してくださったんだと思います。――ここから今回の『ハケンアニメ!』の脚本の執筆に関して、詳しくお話をうかがってまいりますが、政池さんはこれまで、『ハケンアニメ!』以外のドラマ作品でも、漫画や小説の脚本家を手がけてきています。原作を脚本にする際に大事にしていること、心がけていることはありますか?一番大切にしているのは最初に読んだ時に「素晴らしい!」と思ったセリフやシーン、展開で、読みながら「おぉっ!」って心が動いた部分に関しては印を付けていくようにしています。で、脚本にする際に、その部分を確実に入れるということを大事にしています。それって当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、他の脚本家の方が書いた作品を見ていて「え? あの原作のセリフなくす?」「あのシーン、削っちゃったの?」って思うことってわりとあるんですよね。「ちょっと待って! あのセリフのためにここまでの展開があったんじゃないの?」という部分がバッサリなくなってたりしてると「この作品の面白さの“核”を理解してますか?」って思っちゃう。まあ、これは他人の作品だからこそ冷静に見られる部分もあると思いますけど(笑)。これはやはり、構成作家をやっている影響が大きいと思います。「このコンテンツがなぜ世の中で流行っているのか?」「この作品がなぜ多くの人の心を打つのか?」ということを考えていかなくてはいけない仕事なので。この原作の一番面白い部分はどこなのか? を的確に見つけて、それをきちんと脚本に組み込むことが大切だなと思います。――辻村深月さんの書かれた小説「ハケンアニメ!」を最初に読んだ時は、どんなことを感じましたか?とにかくキャラクターが魅力的過ぎるなと。全キャラクターが本当に魅力的で、これを2時間の映画にまとめるのはメチャクチャ難しいぞと思いましたね。あとはセリフのうまさが印象的でしたね。小説家もいろんなタイプの方がいらして、必ずしもセリフで勝負しない方もいると思うんですけど、辻村さんが書くセリフは本当に“刺さる”んですよね。これは一文字も変えちゃいけないな! と思わせるセリフが多いので、それは実際に原作のまま変えずに脚本にしています。中村倫也さんが演じた王子監督が新作発表の場で熱く語るシーンとかはまさにそうですね。――原作は、プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)、アニメ監督の斎藤瞳(吉岡里帆)、アニメーターの並澤和奈(小野花梨)をそれぞれ主人公にした3章の物語で展開します。この3つの物語をどのように1本の映画にしていったのでしょうか? また、映画では、同時刻に放送される瞳と王子(中村倫也)のアニメ対決が中心に据えられています。こうした構成はどのようにして生まれたのでしょうか?映画として作るとき、バトルとした方が見やすいだろうというのはありました。原作では瞳が手がける「サウンドバック 奏の石」と王子の「運命戦線リデルライト」は違う時間帯に放送されることになってるんですけど、“ハケン(覇権)”を争うということを考えても、同じ時間帯に放送されて対決するとした方が、わかりやすく多くの観客に刺さるだろうと思いました。原作の3章の物語は、つながってはいるけれど、時間軸がちょっとずれてるんですよね。それを同じ時間軸の物語にしつつ、対決させることで物語として見やすく、まとまるなと思いました。そうすることで、映画オリジナルのシーンとして生まれたのが、瞳と王子がアニメイベントで、それぞれの新作について語る対談のシーンです。僕自身、あのシーンが映画オリジナルであることを忘れてて(笑)、撮影現場にお邪魔して「良いシーンだな」とか思って見てたら、ちょうど辻村さんもいらして「こういうつくり方もあるんですね」とおっしゃって「そうか、俺が作ったんだ!」って(笑)。――原作では、瞳がアニメの世界を志すきっかけになった作品が、別の監督の作品だったのが、映画では王子のデビュー作という設定に変更されていますね。「憧れの監督との対決」となることで、瞳と王子のバトルがより運命的なものになっていると感じました。そうですね。そこは映画として2時間で見せる上で、ギュッとコンパクトにするというのもありましたし、そうすることで瞳の思いをより強く感じさせられるんじゃないかと思いました。――原作を読んで「キャラクターが魅力的過ぎる」と感じたとおっしゃっていましたが、この魅力的なキャラクターを映画で描く上でどんなことを意識されたんでしょうか?2時間の映画にする上で、どうしても描き切れないキャラクターというのは出てきてしまうんですが、それでも、そのキャラクターが放つ魅力的なセリフは短くても最大限活きるように――たとえワンシーンだけだったとしてもなんとか残したいなと思って、死守しました。映画では決して長くはないですけど、並澤と市役所の宗森(工藤阿須加)のやりとりはまさにそんなシーンですね。――特に政池さんの心に残っている大事なセリフやシーンを教えてください。一番を選ぶのは本当に難しいですが…やっぱり、王子が瞳との対談で“オタク”について熱く語るところですかね。僕自身、読んでてしびれたし、これを中村倫也さんが演じたら面白くなるなと。このセリフを辻村さんがどれほど大切に思って書いたかということも感じました。行城(柄本佑)が「うちは大手だからこそ、こういう作品を作る」ということを言うところも好きですね。あと、その少し前の瞳の独白で「人生には、何かを失っても、それでも何かを成し遂げたい時がある。やらなければならない時がある」というのがあるんですけど、これは瞳の人生、彼女のストーリーの全てが詰まっているような言葉だなと思いますね。――いま、話に出ました「サウンドバック」のプロデューサーである行城に関して、映画を観てファンになる人が多いと思います。原作では「ポロシャツにジーンズ」と描写されていますが、映画では一貫してスーツを着ていますね。こうした変更など含め、“キャラクターを立てる”ためにどういった工夫をされたんでしょうか?衣装に関しては、衣装合わせで監督や柄本さん、衣装スタッフさんが話し合って決めたんだと思います。行城のキャラクターに関しては、とにかく瞳を振り回す男にしたいなというのはありました。彼なりに「作品を届ける」という思いもあって、そうしているんですけど、それをイヤ~な感じで見せたいなというのがあって、映画オリジナルで瞳を振り回す描写をいくつか入れています。辻村さんが描いたキャラクターをより魅力的に見せるために一度、僕自身で飲み込んで、咀嚼して、自分に憑依させて「この男なら、こういうことをするんじゃないか?」「こうすると、辻村さんが描いたキャラクターの魅力が最大限に際立つな」と考えながら、行動を描いていきました。――先ほど、個人的に思い入れのあるセリフやシーンについて伺いましたが、登場人物で政池さんが最も感情移入したのは誰ですか?やっぱり瞳かな? 僕自身、この作品が初めての映画脚本で、吉野耕平監督は2本目なんですよね。だからこそ、長編アニメデビュー作のために奮闘する瞳の心情をここまで丁寧に描けたんじゃないかっていう内容の感想を試写会で映画を鑑賞したお客さんからいただいて「なるほど!そうかも」って思いました。仕事をしている中で「これは絶対に外しちゃダメだ!」という仕事ってあると思うんです。最近は僕もそれなりにお仕事をいただけるようになりましたけど、最初の頃ってそんなにチャンスをいくつももらえないんですよ。まさに野球でいうところの“代打”みたいな感じで、巡ってきたその1打席で結果を出さないといけないという。僕の場合、文字通り最初にいただいたテレ東のドラマの仕事は、別の方が降板しての代打でしたからね(笑)。代打って難しいんですよ(苦笑)! 誰かが作っていたものを引き継いだり、時間があまりなかったり、条件が決して良くない中で、その1回で結果出さなきゃいけないんですから。だからこそ瞳に感情移入する部分があるのかなと思いますね。――改めて、『ハケンアニメ!』の脚本執筆の中で、一番大変だったこと、苦労されたのはどういう部分ですか?原作でそれぞれ別の章で描かれている3人をきちんと絡めるという部分ですかね。原作では、有科と並澤ってそこまで深く絡む描写ってないんですけど、映画では有科が「リデルライト」の原画を並澤に頼みに行くシーンを描いてますし、あれは良いシーンになったなと思います。それから、瞳と有科がボクシングジムで偶然出会って、銭湯に浸かって…というシーンも映画オリジナルですね。原作はそれぞれの章が独立して素晴らしいので、あまり必要なかったんですけど、映画にする上で、3人の女性がそれぞれ戦いつつ、支え合うという描写は絶対に必要だなと思っていました。かといって、あまりに都合よく、無理やり描いてもよくないので、辻村さんの世界観を大切にしつつ、彼女たちをいかに絡めるか? 瞳と王子の対談のシーンを作ったのもそうだし、冒頭に雑誌の表紙を巡るシーンを入れたのをそのためです。最初に表紙のシーンがあるからこそ、並澤をそこできちんと出して、群像劇として描くことができたんです。そのあたりはすごく考えて、工夫しましたね。完成した映画と原作を比べてみると、時間軸を組み替えたり、オリジナルで加えたりしている部分は結構あるんです。でも、原作を読まれている方が見ても、都合よく変更したような無理やりな印象を受けることはないと思います。――映画は瞳を中心に進みますが、瞳だけでなく有科、並澤、王子、行城らに感情移入し、自身を投影する観客も多そうですね。本当にひとりひとりの人物が“脇役”ではなく、それぞれ“主人公”として丁寧に描かれていると思います。原作者の辻村さんが映画オリジナルのセリフで一番刺さったとおっしゃっていたのが、有科が王子に「私に(TV)局と戦えるだけの武器をください」というセリフなんですけど、出来上がった映像を見て、書いた僕もしびれましたね。“心で戦っている”というのを尾野さんと中村さんのお2人が表現してくださったなと思いました。実は、最初の時点で瞳を主人公にするか? それとも有科を主人公にするか? というのは、結構時間をかけて議論した部分でした。初見では有科のほうが入りやすいところはありました。最終的には須藤プロデューサーが瞳を中心に据えることを決めましたが、そういう議論があるくらい、全ての登場人物が本当に魅力的でした。――ここから再び、政池さんご自身のお仕事観などについて伺って参りますが、今後、やってみたいお仕事や目標などはありますか?昔は「朝ドラを書きたい!」とか目標はあったんですけど、最近はとにかく「誰も書いてないような話を書きたいな」と思っています。こんな話、1億回は見たなって話じゃなく、設定やキャラクターがぶっ飛んだ物語を作りたいです。最近、フジテレビで放送された「ここにタイトルを入力」という深夜バラエティでドラマを書いたんですけど「予算が足りなくて、撮影中にどんどんセットが減っていく」という設定のドラマなんです。徐々に会議室の机や椅子がなくなっていったり、主人公の男がパンツ一丁になってしまったりして、最終的に主人公とヒロインがパネルの写真になってしまって、会話もできなくなるんですけど、なぜかグッとくるという展開になってます。視聴者には事前に設定などは説明されないので、物語が進むにつれて「あれ?どうなってんだ、これ?」ってなると思います。こういう仕事をしている時に、自分はこういうのが好きなんだなって実感しました。誰もやらないようなクレイジーな話を書いてるとワクワクするんです。個人的に「笑って泣ける」話が好きなんですよね。くだらなくて「あははは!」って笑ってるのに、最後に泣けてきちゃって「え? なんで俺、これで泣いちゃってるの?」となるような。そういう話を書きたいです。――物語の着想を得るために大事にしていることやアイディアを考える上での自分なりの方法はありますか?よくあるのは「逆のことをぶつける」ってことですよね。「スナイパー時村正義の働き方改革」はまさにそうですけど、スナイパーという“働き方改革”とか関係なさそうな仕事にあえてそれをぶつけてみるという。アイディア帳という意味では、スマホのメモに10年以上前から「この設定、面白いな」と思ったことをメモするようにしています。――本作も人気小説の映画化ですが、最近の日本の映画やドラマでは、オリジナル脚本による作品よりも、どうしても人気漫画や小説を原作とした作品が多い傾向があります。脚本家としてはこうした傾向をどう感じていますか?原作ものが好まれるのもわかります。制作側からしても、オリジナルで連ドラ全10話を作るって、メチャクチャ大変ですから。とはいえ最近、またオリジナルの作品が少しずつ増えてきている気もします。そこはチャンスだと思うので、面白い企画を考えて、通していくしかないなと思いますね。――いま、脚本家になりたいと思っている人に「こういうことをやっておくといい」というアドバイスがあればお願いします。いまの時代、昔と比べて脚本家になりやすいかなりにくいかで言うと、なりやすいと思います。深夜も含めてTVドラマは増えていますから。とはいえ、狭き門ではあるので、なるための戦略は必要だと思います。いま、僕の下にひとりアシスタントがいるんですが、その子はYouTubeで漫画やシナリオを配信しています。そういうところでストーリーを作ることで脚本家としての“筋肉”をつけることはできるなと思います。昔よりはこうした“ストーリーコンテンツ”をアウトプットする場は増えているので、ドラマを書きたいなら、その手前にあって誰でも自分の作品を発表できるところで、ストーリーを作る筋力や技術を身に着けることは役に立つと思いますね。いまはNETFLIXやAmazonプライムビデオなど、配信事業も増えていて、コンテンツの量が増えているのはもちろん、自分が書いた作品が届く範囲も昔よりも広がっているので、そういう意味で“夢”を持てる業界でもあると思います。もちろん、大変なことはたくさんありますけど。コンテンツが増えるのは、ありがたいことですけど、TikTokとかと戦わなきゃいけなかったりするわけですから、大変ですよ!――政池さんご自身も配信作品や韓国ドラマ、海外のドラマなどもご覧になりますか?見ますね。「参考のために」というのもありますけど、見てるとやっぱり面白いですね。もちろん、韓国ドラマが何でも面白いというわけではないんでしょうけど、人気のある作品は日本の作品と比べてもバーンっと突き抜けてると思いますね。先ほども言いましたけど、僕は自分で見ていて心が「おぉっ!」って動いたら、一度止めて、なぜそう感じたのか? というのを分析し、メモしておくということを10年以上やっているんですけど、韓国ドラマを見てると「おぉっ!」というシーンの連続ですね。「愛の不時着」とか一時停止しまくってなかなか進まなかったです(笑)。あれは本当に勉強になりましたねぇ。――「愛の不時着」はプロの脚本家の方から見てもすごい作品なんですね?抜群に面白かったですね。僕の中で「やまとなでしこ」が長くNo.1ドラマだったんですが、久々に「やまとなでしこ」を脅かす…ヘタしたら陵駕するような作品が出てきたなと。大前提としてやはり、設定が面白いですよね。先ほどの「どうしたら見てもらえるか?」という話とも通じるんですけど、いまの時代、「見てみたら面白かった」じゃなくて、「見る前から面白そう」なコンテンツを作らないといけないんだと思っています。だからこそタイトル、設定が本当に大事なんですよね。意外とドラマを作っている人たちって、自分も含め、そのことを忘れがちな気もしてて。バラエティを作ってる人たちは「タイトル命!」というくらい、そこは大事にするんですけど、ドラマだと、わりとフワッとしたタイトルが多かったりしますよね。タイトル、設定に関しては以前から大事だけど、ここ数年、より大事になっているなと感じています。――お話を伺っていて、改めて「面白い作品を作る」ということが大事なのはもちろんですが、それをどう届けるか? 「面白そう」「見てみようかな」と感じてもらうためにコミュニケーション力やマーケター的な視点も必要なんだなということを感じました。そう思います。行城と同じですね。実際、行城が映画の中で言ってることは「わかる!わかる!」って思います。“クリエイター”というのは本来、そういう部分からもっとも遠い存在だと思うんですけど、もはやそういう時代ではないんですよね。最初の話に戻るんですけど、やっぱり自分は「才能がない」ことを認める才能があるからこそ、一歩引いた視点で物事を見ているんだと思います。今回の映画で言うと王子のようなタイプは、才能と寝食を忘れるほどの情熱で自分の作りたいものを作って、その作品が世間に称賛される天才ですけど、自分はそうじゃないんですよね。だからこそマーケター的な視点も必要だし、実際、この映画を通じて行城に教えてもらったことはすごく多いなと思いますし、瞳と一緒に成長させてもらえたなと感じています。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月26日