意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「通常国会」です。テレビ中継が審議のすべてではありません。国会には、通常国会(常会)、臨時国会、特別国会、参議院の緊急集会があります。常会は毎年1月に召集され、150日間開催。審議が長引けば、会期を延長します。国会では翌年度の予算を決めたあとに、様々な法案を審議します。令和2年の常会は約50本の法案が提出されました。夏に東京五輪を控えていたため、会期延長は難しいだろうと法案の数が過去最少に抑えられました。多い年は100近い法案があがることもあります。国会というと、テレビで中継されるものがすべてと思われるかもしれませんが、そうではありません。テーマごとに少人数の「委員会」で議論を交わし、そのあとに「本会議」で採決をとります。内閣委員会、総務委員会などの「常任委員会」と、会期ごとに編成される「特別委員会」があり、国会議員は各々専門分野の委員会に割り振られます。委員会ではしっかり内容を揉み、法案の8割以上が与野党全会一致で可決しています。テレビで取り上げられる本会議は、派手な動きがあったり、政府の疑惑や不祥事を追及する場面が多いので、揉めてばかりいる印象ですが、その他の場所で建設的な議論が着々と進められているのです。新型コロナウイルス対策以外に現常会で注目されているのは「年金制度改革関連法案」。定年の延長も推進されることになりました。その他「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」。巨大IT企業に、運営状況の報告や企業内情報の提出を求めることができる法律です。たとえばアマゾンなどが突然大きな規約変更を行い、取引業者や消費者が不利益を被ったときに、メスを入れられる体制をとるためのものです。また、高齢ドライバーの交通事故対策を盛り込んだ「道路交通法改正案」も審議されています。近年、高齢者ドライバーによる交通事故が多発していることを受けて提案されました。運転技能検査の基準に達しない場合には75歳以上の免許更新を認めないという法案です。私たちの暮らしにかかわる法律が日々作られているのが国会。衆議院、参議院のHPでは、審議中継をインターネットで見ることができるので注目してみてください。ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)公開中。※『anan』2020年4月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年04月20日年中の時に保護者教室へミミが就学する2年前、次男ふーが産まれました。育休中だった私は、療育の先生に教えてもらった区が主催の保護者教室(区の特別支援教育の説明会)へ行きました。Upload By taeko通常学級の他に特別支援学級があることぐらいは聞いたことがあるけど、ほとんど知識のない私には、説明会の内容を理解するのに時間がかかりました。「学級」と「教室」って何が違うの?どっちも授業を受ける部屋じゃないの?今でも間違えてしまいます。学校公開日にミミと3校訪問Upload By taekoミミと一緒に、3校を訪問しました。その時のメモの一部をご紹介します。地区の特別支援教育拠点校特別支援教育の拠点校で、この学校の中にも特別支援学級がある。子ども達は下校していたので授業風景は見られなかったが、教室や個室などを見せてもらう。一番気になる「いじめ」について聞いてみると、「周りの子にも、なぜ〇〇君が別の教室に行くのかちゃんと説明しているので皆協力してくれます」とのこと。そうか...と思いつつ心配は尽きない。学区のA校いわゆる授業参観で、授業の様子を教室の後ろから見学。土曜日で特別支援教室は行っていなかったため見られず、通常学級と特別支援学級を見学。通常学級は1クラスに生徒が35人程いてギュウギュウ。先生とサポートの先生の2人体制だけど、人数が多すぎてミミは落ち着かないかもしれないと思った。特別支援学級は1クラスに8人程度で先生は3人。得意な子が朝礼をやり、先生の目も行き届いていてミミには特別支援学級で学ぶのが良いな、と思った。学区外B校通常学級は1クラスのみで30人。特別支援学級が5クラスもあり、ぜひ見たかった学校。校長先生が案内してくれ、学校の様子を聞くことができた。特別支援学級が多いので、通常学級からの移籍がしやすいそう。B校なら発達障害のある子どもに慣れた先生が多いし、いろいろな子がいてミミも受け入れてもらえるかも、と思った。どこまで本気かわからないけれど「この学校にする?」と聞くと、「うん」とミミ。この時点では私はB校が良いなと思いました。当時4歳のミミは、トイレが苦手、団体行動ができない、偏食...などがありました。実際には付きませんでしたが、療育の医療相談で精神科医に「保育園で加配を付けた方が良いでしょう」と言われていました。小学校を決めるまであと1年半あるので、月1回の療育と週1回の民間療育を続けて、ミミの成長を見守りながら考えることに決めたのです。Upload By taeko年長になり就学相談開始、9月に希望校を決定!年長になり、いよいよ就学相談が始まりました。区の広報誌で就学相談のための説明会を知り参加。翌日朝イチで就学相談の予約をし、3日後に最初の面談へ(親のみ)行きました。ざざざっと流れをご紹介します。Upload By taeko5月子どもの面接。初めての人と初めて入る部屋で検査。その後少人数で数人の職員さんと面談。どちらも親は見られない。部屋に入るのを嫌がるかな?と思ったけど、ニコニコで行ったので驚いた。6月親子で精神科医と面談。困りごとや私生活を話す。終始ニコニコな先生は、「(子どものことを)怒る必要ない」「怒らず、近くに呼んで普通に話せば大丈夫」と教えてくれたのが印象的だった。7月区役所で結果報告を聞く(親のみ)。通常学級に在籍し、週に2時間ほど特別支援教室で指導を受けることを勧められる。この頃、就学相談とは別に、小児精神科で初診を受ける。療育の精神科医との面談で、就学に向けて診断書を用意して小学校に提示した方が良いとアドバイスを受けたため。※文部科学省が「特別支援教室構想」を掲げて全国各地でモデル事業が行なわれており、2016年4月から東京都内の小学校で特別支援教室の本格的な導入が始まっています。8月小児精神科2回目の診察時に診断書を発行してもらう。9月学区の小学校から学校選択の書類が届く。一年前はB校が良いと思っていたけど、ミミがだいぶ成長してきたことや、家から近い方が親も子も負担が少ないと考えてA校で「特別支援教室で指導を受ける」を希望のチェックをして返信。10月学区の小学校で健康診断。計測後の先生との面談で発達障害があると伝えると校長先生が対応してくれた。発達障害児の特性を理解されていて私も安心した。11月就学相談とは別に、学童の説明会。発達障害のある子どもも受け入れてくれるところ。12月親子で学童面談。1月特になし2月小学校で新一年生保護者会(うちは親のみ参加)。特別支援教室に指導に来てくれる先生の拠点校での体験教室へ。子どもは3人、先生はたくさんいたのに皆の前で自己紹介をしっかりできたミミに感動!成長したね!Upload By taeko就学までの活動は一通り終了。3月は保育園の卒園イベントも無事に開催されました!ミミがお別れの歌を家で口ずさむので、それだけで切なくなる...。残りの保育園生活を楽しんでね!!
2020年03月24日通常学級でも大丈夫…?むっくんはADHDと自閉スペクトラム症の診断を3歳半の時に受けていて、就学相談の受付が始まる前から、小学校入学後の進路について考え始めていました。そのとき、まず最初にしたのは現在のむっくんの情報をできるだけ客観的に考えて整理すること。Upload By ウチノコ診断を受けた当時の手が付けられなかった頃と違い、6歳になった今は一見、困難さを抱えているようには見えません。自宅ではほとんど手はかからず、会話能力も十分あり、最近では気持ちを言葉で表現できることも増えてました。読み書きも数字や計算も好きな様子。5歳8か月で受けたWISC-Ⅳという知能検査や、言語発達遅滞検査でも大きく数値に現れるような偏りや遅れはありませんでした。コミュニケーション能力においては、多少の偏りはあるか?という評価を受けましたが、主治医や知り合いの特別支援学級の先生、療育教室の先生などからは、データから考えると問題なく通常学級に通えるだろうと判断されていました。そうだな、落ち着いていれば大丈夫だ。私もそう思います。そう、「落ち着いてさえ、い・れ・ば…」です。むっくんの見えない困難さとは?落ち着いていれば理性的なむっくんですが、「集団の中」に入ると様子が変わります。むっくんは自分の気持ちを我慢して、周囲の行動、大人や先生の要求に応じることがものすごく苦手です。また、感覚の過敏さから集団の中で生じる音や臭いなどをつらく感じることもあり、これも大きくコンディションを崩す原因になります。Upload By ウチノコそしてコンディションが崩れてきた時に、「強い衝動性からくる、やりたい!気持ちを無理に押さえつけられる」「一方的な叱責や行動制限を受ける」「不愉快な刺激から逃げられない」などの事象にさらされるとむっくんは別人のようになってしまいます。感情のコントロールがきかなくなり、大きな声で泣き、叫び、暴言、暴力、逃走など激しい行動に出ることがあります。普段の理性的なむっくんは消え、幼く退行してしまいます。この衝動について理性的なむっくんと話すこともありますが、今は「自分でもどうしたら良いかわからない」と話してくれました。就学相談開始前、私の思い小学校は集団で過ごすことになるので、基本的にむっくんのコンディションは「悪い」と捉える方が自然だと私は考えました。悪い=本人が辛いのだから、まずはできるだけコンディションを保ちやすい環境で過ごせることを大切にしたいと思いました。当時は、まだ特別支援学級がどういう場所であるのか、主治医が通常学級で大丈夫と言っているのに、通えるのかどうかも理解できていませんでした。それでも、少なくとも通常学級はむっくんにとって辛い可能性が高いと考え、仮に通常学級に通うとしても何らかの支援があると安心だと感じたことから、小学校と相談の場を持つために就学相談を申し込むことに決めたのです…。Upload By ウチノコわが家の就学相談スケジュール私の住んでいる市町村区では就学相談は年長になった4月より受付開始というシステムでした。早々に受けるつもりでいたので、年中の冬には主治医に希望を伝え、就学相談に備えて2月、3月に発達検査を受けました。(過去の発達検査は本人の検査拒否で参考値しかなかったので)4月早々に就学相談を申し込んで、その後の流れはこのような説明を受けました。Upload By ウチノコ就学相談担当者との面談を通して最初に就学相談担当者から様々な聞き取りをしてもらいました。むっくんも面談し、簡単な特性を見るテストのようなものを受けました。主治医に通常学級で良いと言われていたことから、特別支援学級を希望できるかわからなかったのですが、むっくんは希望すれば自閉症・情緒特別支援学級を選べるということで、選択肢が広がりホッとしました。その後も更に2、3回面談を行い、小学校の通常学級や特別支援学級のシステム(先生の人数、1クラスの人数、授業、活動内容)について説明を受け、質問にもわかる範囲で答えていただきました。担当者との相談を通して、私自身が不安に感じていることも見えるようになりました。小学校に通うのは子どもですが、何か起こった時は小学校と親の連携が大切になってきます。頑張るのは子どもだけではありませんので「子どもにとって」だけではなく、「私にとって」を考えることもまた、大切だと感じました。Upload By ウチノコ私なりに考えたむっくんに用意したい環境面談のおかげで「むっくんと私にとって理想的な環境」をイメージすることができました。・通常学級よりも人数の少ない自閉症・情緒特別支援学級の方がむっくんに合っていると思う・私自身も先生としっかりと連携してむっくんの小学校生活を支えたいと考えている(積極的に相談していきたい)・むっくんのコンディションが悪い時の避難先(クールダウンスペース)を用意しておきたい・通常学級には同じ園のお友達も多くいることからそちらとも繋がりは絶ちたくない・交流学級というシステムは素敵だが、集団生活が苦手なむっくんは必ずしも決まり通り行けるかわからない。その都度本人のコンディションを見て対応してほしい・むっくんは自分で決めたことはしっかりと頑張る人なので、しっかり対話した上で日々のことを決めて欲しいということでした。細かい支援方法は小学校によって異なる為、願ったからと言って叶えられるものではありません。だけど小学校訪問前にある程度自分の気持ちをまとめたことは、今思えば訪問時に何を確認し何を質問するかを明確にでき、当日を有意義に過ごすことに繋がりました。面談後、担当者の方は保育園を訪問し集団でのむっくんの様子の確認や担任の先生への聞き取り、小学校からも園にむっくんを見に来てもらったりと準備を進めていただきその年の11月、私たちは小学校訪問に臨みました。Upload By ウチノコ
2020年03月10日親として考えさせられた、娘の友達からの質問広汎性発達障害の娘は、小学3年生。現在、特別支援学級に在籍し、国語と算数以外の時間を交流学級で同じ3年生のみんなと過ごしています。娘は幸い、友だちにも恵まれていて、家に遊びに来てくれる子もいます。Upload By SAKURAクラスの友達が遊びに来てくれた時の話です。Upload By SAKURA私は正直、ドキッとしました。何と説明すればいいか迷ったのです。それは、娘の前で聞かれたからではありません。その質問に対する答えと説明が、この子(友達)が成長していく上での価値観に繋がる言葉になるかもしれない…。私の言葉で、偏見を持つようになってほしくない…そう思ったからです。一瞬迷って、私が出した答えは…私は一瞬(数秒)だけ迷って、「私があーさんに説明したように言おう!」と決め、話を始めました。Upload By SAKURA「なんで苦手になっちゃったの?」難しいその質問の答えは…Upload By SAKURAこの質問…一番悩みました。脳の問題…という言葉は、使い方を間違っては大変なので、出すべきではないと思いました。しかし、それを言わずにどうやって、小学3年生にわかるように伝えればいいか…。おそらく医学的な原因というより、「いつ、どういうきっかけで」ということを伝えればいいかなと考えて…。Upload By SAKURA娘の友達が全部理解できたかはわかりませんが、今回ちゃんと説明できたことは良かったと思っています。親である私たちが娘を認めているということを、少しでも感じてくれたら…大きな意味があった気がします。言葉が苦手なことは決して恥ではない私たちは普段から、娘に「なぜ特別支援学級にいるか」や「娘が苦手な言葉のこと」を隠さず話しています。そのため、娘は大人から特別支援学級や放課後等デイサービスについて尋ねられた時…。Upload By SAKURA私が答えるより早く、通っている理由を自信満々に説明しています(笑)言葉が苦手なことは、悪いことではない、恥じることではないという私たちの思いが、しっかり伝わっているのかなと感じます。自分らしい個性をいつまでも大切に娘は言葉以外にも苦手なことが多いですが、「私はすごい!私は私のことが大好き!」と言える娘を、私は心から娘を誇りに思っています。娘が自分の苦手な部分をうまく付き合いながら、自分らしく生きていけるよう、私たちは全力で娘をサポートしたいと思います。
2019年08月07日特別支援学級に移籍後の娘中学入学時、娘は通常学級への進学を希望しました。しかし入学後のさまざまな出来事や体調の変化があったことで、通常学級で過ごすことが難しくなっていきました。そして、娘は中2の1月に特別支援学級に移籍し、正式に入級しました。特別支援学級は“自立”に向けてのカリキュラムがメインなので定期テストもありません。通知表のフォームもそれまでとは全く違います。娘の学校生活は一変しました。当初は、希望する授業はそれまで在籍していた通常学級で受けたいと考えていた娘。ですが、特別支援学級独自の行事やその準備のための時間は思いのほか多く、思うように授業に参加できませんでした。授業に出られないのでプリントがもらえない、小テストが受けられない、提出物が出せない、そんなことが何度か続き、ついに娘は「定期テストも受けない、成績表もいらない」と言うようになりました。学校では通常学級と特別支援学級を行ったり来たりと忙しく過ごしていた娘でしたが、宿題もないので、家では「やることがない、どうしよう」と時間を持て余していました。自習用に問題集なども購入しましたが…Upload By 荒木まち子目的も提出期限もない問題集は結局手付かずのままになったのでした。自立のスキルを身に付けて欲しいと願う親の思いからは程遠く私は特別支援学級に入ったのだから身の回りの事は自分で管理できるようになって欲しいと思い、声掛けは控えるようにしました。するとテレビや漫画の時間ばかりが増えていき、部屋は散らかり放題になりました。忘れ物も増える一方で、特別支援学級入級に難色を示していた主人は娘の様子を見て「危惧していたことが起こった」と言いました。すっかり緊張感がなくなった娘を見て、私は「やはり娘には自己管理は無理なのかしら?」と思いました。しかしながらこの先もずっと親が彼女のフォローをし続けていくことに違和感も覚えていました。特別支援学級の先生ともやり取りはしていましたが「学校では指示されたことに丁寧に取り組み、自分で行動を把握しています。しっかりやっています」など、私が抱く困り感とのギャップがあるようでした。私が相談した先は「これから娘は、どうなってしまうのだろう?」高校進学のことも踏まえ、心配になった私は特別支援コーディネーターの先生に相談をしました。私「娘は特別支援学級に入級してから、だらけてしまったように感じます。部屋も散らかり放題です」先生「娘さんは特別支援学級に移籍して変わったのではありませんよ」私「?」先生「お母さんは娘さんの移籍後、口を出さないようにしたんですよね?」私「はい、本人に自主性を身に付けてほしかったので。以前は私が掃除の手伝いをしたり、一緒に提出物の優先順位を考えたりしていましたが…あっ!!」変わったのは私(親)だった先生「娘さんは特別支援学級に移籍して変わったのではありません。彼女はもともと彼女に適した指示や支援がないと、どうしたら良いか分からないタイプです(逆に言うと本人に適した指示、支援があればできる)。それはこれからも変わりません。『整理整頓ができない=だらけている』というわけではないことを理解してあげて下さい」そうだ、そうだった。私は忘れてしまっていた。何歳になろうと、所属がどこになろうと、どの学校に進学しようと、どんな会社に勤めようと変わることはない娘の特性を…。特別支援コーディネーターの先生は私の悩みを一瞬で解決してくれたのでした。視覚支援復活!すると...私達は部屋の隅で埃をかぶっていたスケジュールボードを作り直すことにしました。すると娘は、その内容を特別支援学級の先生にも見てもらい自ら改良を重ねていきました。娘の行動は一変しました。1.弁当箱を洗う2.翌日の持ち物の準備をする3.風呂を洗う4.やることが終わったら自由時間5.週末には部屋の掃除をするやることの優先順位を視覚化しただけで彼女はスムーズに行動ができました。生活のリズムも整い始め、娘は余暇時間を使ってパソコン検定や英検、パソコンを使った絵画作成などに積極的に取り組むようになっていきました。参考:子どもが自ら片付けや身支度をするようになる方法~スケジュールボードをつくろう!~ | Conobie親が行っていたサポートは徐々に支援者に自習用に購入した問題集は特別支援学級の先生が丸付けをしてくれることになりました。これは娘が先生に問題集の進め方を相談して決まったそうで、私はそのことを後から連絡帳で知りました。特別支援学級の先生は指導計画を立てる際、必ず本人と話をし、本人の意思を確認して決めて下さいました。ある時娘は通常学級の生徒に「特別支援学級の楽器の音がうるさい」と言われてショックを受けたそうです。娘はその場では言い返せないタイプです。娘は特別支援学級の先生に相談をし、後日「特別支援学級では市の合同学芸会に向けて楽器の練習をしている」ということを説明する手紙を書いて通常学級で読みあげたそうです。冷やかしやいじめを受けた時や、周りに自分のことを理解してもらいたい時などに、支援者に助けを求め自分の意思を伝える方法を学んだり「自分は一人ではない、安心できる居場所と仲間がいる」と実感できる機会が増えていったことで娘は一段と成長したように思えました。進学先探し――福祉併用のF学院へ日常生活では特別支援学級へ入級し、環境の変化の中で少しずつ成長をしていた娘。中学卒業後の進路についても、学校探しは引き続き行っていました。私は特別支援学級の先生に教えてもらったF学院に見学に行きました。F学院は、過去に特別支援学級の卒業生も進学したことがある学校です。見学に行ってみるとそこはそれまで私が見たことがなかった形態の学校でした。社会福祉法人が運営するその学校は、軽度障害のある生徒を対象に高等学校卒業資格取得を支援する“社会福祉制度併用の”高等学院でした。生徒は午前中は社会や国語、数学や英語などの授業を受け、午後は近隣の福祉施設を利用したスポーツやSST(ソーシャルスキルトレーニング)などを通じた自立訓練を行います。同じ建物の中に厨房や作業所もあり、就労移行支援の事業所や、自立訓練を行う自立センターなども併設されています。社会福祉制度を併用するので、F学院のサービスを受けるためには障害者手帳または障害福祉サービス受給者証が必要となります。グループホームなどの障害児・者に対してさまざまな事業を展開している社会福祉法人が運営するこの学校は、自立支援を主な柱としつつ、高校卒業資格習得を希望する保護者のニーズも満たしていました。また学校名に「学院」を入れることで技能教育施設であっても、生徒の多くが望む「学校らしさ」を感じさせる配慮もありました。私が見学した当時、この学校はビルの中にあり(2015年に新校舎が完成しています)「学校」というより「事務所」「作業所」といった雰囲気を強く感じました。また訓練ベースのイメージが強く、学生生活を満喫し友達と楽しく過ごしたいと考えている娘の希望には合いませんでした。それでも、教育現場を経験したスタッフが考えたシステムというだけあって、とても画期的で興味深い学校でした。また、学校の良いところばかりでなく、その時点での学校の課題なども先生自らが語る誠実な様子にとても好感が持てました。参考:障害福祉サービスについて | 厚生労働省最重要ポイントはやはり…娘が通っていた、NPO法人運営の学習支援や余暇教室には、今まで見学に行った学校に実際通っている生徒もいました。彼らからのクチコミはリアルかつタイムリーです。「今年、先生が変わって学校の雰囲気が違ってきた」「去年は倍率が高かったのに、今年は定員割れらしい」それら生の情報に、娘は少なからず影響を受けました。中3になった娘は、波長の合う1つ年上の特別支援学級の先輩が入学した特別支援学校を第1志望に、過去に見学したことのある単位制高校を第2志望に決めました。(この時期までに娘は療育手帳も取得していました。)中学を選ぶ時もそうでしたが、娘にとって進路選びの最重要ポイントはやはり「人とのつながり」でした。合格した時はとても喜んでいたけれど娘は、第1志望の特別支援学校に入学することができました。合格通知を受け取ったとき、娘はとても喜びました。入学後、先輩たちと遊びに行ったりと学生生活を楽しんでいた娘。でもしばらくするとさまざまなことが起こり、娘が「学校に行きたくない」「学校やめたい」と荒れたことは一度や二度ではありませんでした。親や先生が娘に求めるものと、自分のしたいこととのギャップに苦しんだり、自らが思い描くように上手くできない自分に対してイライラしたり…。理想と現実の差に悩むことは精神的成長の証でもありますが、娘はこの時期、本当によく親や先生に反抗しました。「周りの大人は自分の将来を思ってそう言っている。それは分かっているけれどやりたくない。」そんな思いが娘の悩みを更に深くしているようでした。社会人になった娘、昔を振り返って特例子会社に入社した彼女は、今年社会人2年目を迎えました。娘は言います。「100%満足する学校なんてきっと無いんじゃないかな。足りないと思う部分は自分からアクションを起こして、別のところで補うしかないんだと思う。例えばもっと勉強がしたい!と思うなら、今はネットが発達しているからネットの無料塾とかで勉強することもできるし、学校に話が合う友達がいないと思うなら、同じ趣味の友達をSNSでも探すこともできるかもしれない」「でも私はリアル体験しないと学べないタイプだから、実際社会に出てから学んだことの方が多いけど(笑)」「たとえ学校にどんなに立派な施設やシステムがあったとしても、私は最後はやっぱり“人”なんだと思ってる。あ、それは社会に出ても一緒だけどね」決断する時、いつも娘は“人”を中心に考えていました。これはきっとこれからもそうなのでしょう。”コミュニケーションは苦手だけど人が大好き。言葉では上手く表現できないけど、常に人と繋がっていたいと思っている”これが娘の根っこなのだと思います。それは、今までの学校生活でも、時にはつらい思いをしながらもずっとあきらめなかったことです。人との繋がりは生きていく上でとてもとても大事なことです。学校はそれぞれ、魅力的な施設や、さまざまなカリキュラムがあります。でもなにより「心許せる友達や先生と出会えたこと」「安心できる居場所を探し、見つけたこと」が、社会人となった娘の土台を作ってくれている。そう、感じています。そして自分のために必要な環境を自ら選び取ってきた娘を、頼もしく思います。だから私は娘に伝えます。“そうだね、あなたはこれからもそのままのあなたで良い!”
2019年07月23日学校生活を楽しんでいた息子が、ある日「学校に行くのが嫌になってきた!!」と叫んだ理由特別支援学級の利用を始めたことにより、教室で過ごす不快感を軽減。約1年半に渡る不登校生活を送っていたことが嘘であるかのように、息子は楽しそうに通学を続けた。しかしある日、「また学校行くのが嫌になってきたよ!!」と言い出すではないか。理由を聞き、息子が話してくれた内容をまとめると、下記の2点だった。●衝動性の高いクラスメイトとの衝突が絶えない(特別支援学級で)息子は感情を言語化するのがやや苦手で、頭の回転に言葉がついていかないことがしばしばある。そのうえ、言葉を選びながら話をするので、思考と言語がスピーディーに結びつくタイプの子からしたら、「どうしてすぐ返答がないのか」とじれったくなるのだろう。そこでけんかになってしまうらしい。●授業中に発言を求められるときや、給食のおかわりをするときなど、注目されるのが辛い(通常学級で)自閉症スペクトラム障害の特性か、息子は失敗を極端に恐れ、緊張と不安を感じやすい。同時に、注目を浴びることを心底嫌っている。授業であれば発言者の話を聞くのが当然の空気であるし、おかわりのときは「誰かおかわりしているな」と、音に反応する程度のことで、おそらく深い意味などないだろう。誰も悪くない話だ。どう返していいのか分からない。私は「そうか、それは大変だったね」と返したあと、しばし言葉に詰まってしまった。スピーディーなクラスメイトも、授業中や給食の時間、息子に振り向くクラスメイトたちも、誰も悪意があってそうしているわけではない…と伝えたところで、息子は自分だけが叱責されているような気分になるかもしれない。これには困った。困ったが、口を開いた。「大変だし辛いのは分かった。分かったんだけどね、一旦ここで回避しても、同じような問題がまた出てくると思うんだ。でね、あなたは決して悪くないんだけど、相手も悪くないんだよ。だから両方の話を聞いて、説明する人が必要だと思う。でもそれを私がしてしまったら、不公平になる気がするんだよね。だからさ、先生に相談してもいいかな?」合間合間に入る息子の「でも!」「だって!」をなだめつつ、私が話し終えると、息子は黙って頷いた。「それが解決しても、学校へ行くのは嫌かい?」と私が問うと、息子はかぶりを振って、「ううん、友達に会いたいし、勉強もしたい。学校に行きたい」と呟いた。学校側の迅速な対応で問題解決。円滑なコミュニケーションを行えるようになった息子連絡帳を通じて、私は担任の先生に相談をし、その日のうちに連絡をいただいた。耐えない衝突については、双方に思考と発言の特性の違いを説明し、スピーディーな子には「焦る気持ちは分かるけど、急かさずに待ってみよう」、息子には「急かされると困るのは分かるけど、“もうちょっと待ってね”と怒らずに言うようにしてみよう」と話してくださったそうだ。注目されることに関しては、特別支援学級で過ごす時間を増やすことで視線の数を減らし、そのうえでストレスが減るか様子を見ましょう、という話になった。以降、衝突することはほぼなくなり、注目への恐怖感については特に息子から何も言ってこないが、おかわりをしたなどの報告をしてくるところをみると、気にならなくなったのだろう。発達障害あるあるのひとつ、アレキシサイミア(失感情症)による感情の後出しは息子にも見られる。そのため、「あのとき学校でのあれが嫌だった!これが嫌だった!」と、急にいろいろ思い出して爆発することは今でもあるが、その都度私ができるケアは私が、できないことは先生に相談し、大きなトラブルには至っていない。そして「学校に行きたくない」という言葉も聞かれなくなった。以前よりコミュニケーションも円滑に行えるようになったのか、気の合う友達が増えたようだ。放課後はすぐ遊びにでかけ、家に戻る時間も少し遅くなった。学校が休みである土日も、友達と遊びに出かけることが増えている。良かった。本当に良かった。参考:失感情症(アレキサイミア)| e-ヘルスネット(厚生労働省)不登校のきっかけは、授業だった?特別支援学級への転籍を勧められた、息子の学習姿勢「来年、進級するタイミングで、息子さんの所属を特別支援学級に転籍しようと思うのですが、いかがですか」個人懇談のとき、特別支援学級の担任の先生から持ちかけられた。この方、実は1、2年生のときの担任の先生でもある。息子が登校渋りをしていたころや、不登校を始めたばかりのころは、意見が合わずに悩むこともあったが、徐々にこちらの思いをご理解くださり、校長先生と教頭先生、特別支援コーディネーターが入れ替わるまでは、学校の中ではほぼ唯一の味方になってくださった。校長、教頭、特別支援コーディネイターとの4者面談は毎回辛かったが、この先生が寄り添ってくださったからこそ、私は乗り切ることができたのだ。「今さらですが、ずっと頑張っていた息子さんが、あの辺りで心が折れたのかな、と思える場面を思い出したんです。算数の授業で掛け算が始まったとき、(数字が好きで、就学前に掛け算の九九を覚えていた)息子さん、“やったあ!”って喜んだんです。きっとそれまでは退屈だったのでしょうね」授業で掛け算が始まったと、息子が報告してくれたことは私も覚えている。本当に嬉しそうだった。「だからしばらくは楽しそうだったんですけど、すぐに高度な応用問題に授業が進むはずはありません。だんだん上の空で授業を受けるようになって…」おそらくその時期に、「大好きな算数が嫌いになってきた」と息子がこぼしたことがあった。感覚過敏による苦痛も訴えていたので、特別支援学級の利用をお願いしたのだが、「頑張れば通常学級でもやっていける」というのが学校側からの回答だった。行政の特別支援教育センターに間に入ってもらうこともあったが、こちらの要求が受け入れられることはないまま、息子は不登校生活を選択することになる。「あのときすぐに、特別支援学級を使ってもらえば良かったのかもしれません。本当に申し訳ありませんでした」とはいえ、今では特別支援学級での学習が叶い、息子も嬉しそうに登校をしている。だから私は気にしていないと伝えた。ただ一つ問題があるとすれば、私が学習のサポートをしきれなかったことで、いくつかの教科に遅れが生じてしまったことだ。「息子さん、それもあっという間に覚えていくんですよ。今はほとんど足並みが揃っていますよ。学ぶことが好きというか、そういうゲームをしているような感覚なのかもしれません。ここ(特別支援学級)では、今日はここからここまでと、授業を進める範囲が決められています。それが終わったら自由学習の時間。学習の範囲であれば何をしてもいいことになっているんです」自由学習の時間、息子は上学年の教科書を開き、タブレットでその内容について調べていることもあるらしい。やはり、新しいことをどんどん覚えていきたいという気持ちが強いのだろう。「せっかくの意欲を削いではいけないので…理解をしている内容に関しては復習程度にとどめ、他の児童が通常の学習をしている間、息子さんには応用問題などを解くなどして、先に進んでもらうようにします。そのためにも、通常学級も利用しながら学ぶことには変わりないのですが、基本の所属を特別支援学級にした方がいいかと思うんです」その他にも、さまざまな制度の説明を丁寧にしていただき、転籍した方がいいと思われる理由を伺った。細かな内容は忘れてしまったが、至極納得したことは覚えている。そして先生は、息子の様子をつぶさに観察なさって、どのように学習を進め、どのようにサポートすべきかを考えてくださっている。心底ありがたかった。衝突することもあったが、この先生に思いを伝え続けて良かった。ちなみに息子は、この先生のことが1年生のころからずっと大好きだ。「それでは、転籍する方向でよろしくお願いします」私は、先生に頭を下げた。不登校生活“一旦”終了。そして今思うことさて、もうじき夏休みに入ろうとしている現在、体調不良で2回欠席したものの、「あー、今日はあの授業受けたかったし、○○君たちに話したいことがあったのに!」とゲホゲホ咳をしながら申し上げる程度に、息子は学校好きである。しかし、成長に伴って解決する問題があれば、成長に伴って生じる困難もある。だから、今後トラブルが一切ないとは言い切れないし、「学校に行きたくない」と言い出さないとも限らない。「これからもあなたは学校が好きなままなのでしょうかね」と、聞いても仕方のない質問を私から息子に投げかけると、案の定「そんなの分かるわけないよ」と笑ったあと、「でも、ずっと好きだったらいいな。何かを勉強して覚えると、何かが楽しくなるじゃん。例えば、文字を覚えたら本が読めるとかさ。友達からは、のん(私の呼び名)と自分だけでは知ることができなかったことを教わったりできるし」と、彼なりに感じている“学校へ行くメリット”が添えられた言葉が戻ってきた。まあ、先のことなんて誰にも分からないのだ。不幸中の幸いと申せば語弊があるかもしれないが、息子の不登校生活をきっかけに、私は「小さなことであっても、学校にまつわる何かがあれば、迷わず学校に相談する」という手段を選べるようになったし、発達障害児やその保護者が受けられるさまざまなサポートや相談窓口があることを知った。そしてまた、信頼できる先生が、つぶさに息子の様子を把握し、最適な対応をしてくれている。終わってしまえば短かったかと問われたら、はっきり言って長かった。もうあんな日々は二度と訪れてほしくはないが、もし起きてしまったらそのときはそのとき。私はまた慌てたり騒ぐだろうが、頼れる存在に頼ったり相談をして、何とかするしかないだろう。経験は無駄ではない。と、思いたい。
2019年07月17日前回までのお話発達障害がある娘の進路、どう探す?どう選ぶ?何も分からないままスタートしたのは、小学5年生のときでした。地域の中学校の通常学級、特別支援学級、通級を見学。また、私立中学も検討しました。公立中学通常学級に進学してからは、高校以降の進路として、専修学校や単位制高校、特別支援学校の見学もしました。居場所がない中2の5月ごろ、娘は「数学の授業が難しくて辛い。あと優しい先生の授業のとき、男子が授業中に紙飛行機を飛ばしたりして騒ぐのが耐えられない。特別支援学級に移ろうかなと」という言葉を口にするようになりました。また一方で「本当は皆と一緒にいたい。薄々は気づいてはいるんだけどさ、『皆と違う』って言われると涙が出る」と涙ながらに語りました。娘の気持ちは日々大きく揺れていました。体育祭に向けた集団競技の大縄跳びやムカデ競争の練習がスタートすると、娘は腹痛や頭痛など体調を崩しはじめました。私の「練習も体育祭当日も休んで良いよ」という言葉に、娘は「それじゃサボリでしょ」と聞く耳を持ちませんでした。登校してもずっと保健室で休んでいる、8時に登校して8時30分に体調不良で早退する、そんな状態にも関わらず娘は毎日学校に通おうとするのです。体育祭が終わっても定期テストが終わっても娘の体調は良くなりませんでした。ある日のこと、娘は堰を切ったように自分の気持ちを口にしました。「自分で自分のことが分からない。クラスに居場所がない。友人関係がめんどくさい。友達が欲しいとも思わない。理解者も心を開く相手もいない。泣きそう。楽になりたい。私うつかな?」娘は過去にも学校行事の前などに体調を崩すことがありましたが、このときの娘はそれまでとは明らかに様子が違うようでした。私は学校と学習支援を受けていたNPO法人に娘の様子を伝えました。自ら特別支援学級へ娘は自ら学校の先生に「通常学級の教室にいるのが辛いです。でも保健室や相談室で一人ぼっちで過ごすのは嫌です。居場所としての特別支援学級を利用したいです」と伝えたそうです。学校は緊急措置として期間限定(※)で、特別支援学級に娘の机を設けてくれました。娘は通常学級の教室が騒がしくて辛いと感じたとき、通常学級のプリントを持参して静かな特別支援学級の教室で自習をしました。また可能なときは特別支援学級のカリキュラムにも参加しました(これは娘が中学の特別支援学級がどのようなものか知る良い機会になりました)。※1週間毎に振り返りをし、今後の事を考えていくというスタイル。通常は学年途中での在籍学級の変更はできませんが、娘の体調を踏まえ、緊急措置として対応してもらいました「積極的な休み」に理解のある学校娘が通っているNPO法人は学習支援の他に余暇支援も行っていて、娘にとって“居心地の良い居場所”になっていました。また同世代の子どもの「グチ会」なども開いていて、娘のストレス解消の場にもなっていました。そのことを知っている学校の先生方は「毎日学校に通うのが辛いなら週に1、2回早退や休みを取ってNPO法人などで英気を養うのも良いと思います」と『積極的な休み』に理解を示して下さいました。娘は金曜日は学校を早退し、NPO法人で過ごすことにしました。しばらくすると娘は私に特別支援学級の生徒や自分の障害について私に質問をするようになりました。Upload By 荒木まち子娘は“障害の専門書”から“親の手記”に至るまで通級やNPO法人、病院の待合室に置いてある“障害についての本”を片っ端から読んでいるようでした。娘の様子を見て私はそろそろ本人への障害の告知が必要だと感じたのでした。本人への障害告知学校内に居場所(避難場所)ができると、娘は少しずつ落ち着きはじめ通常学級で授業を受ける時間も徐々に増えていきました。授業に出られなかった分の勉強は、学校の夏期補習やNPO法人の学習支援で補うことができました。夏休み明け、娘はまだ所属に悩んでいるようでした。それでも「どうしたら良いのかはまだ分からないけど“過保護”は嫌だから、親には口を出して欲しくない」という娘の言葉から、親以外の相談先ができはじめていることを私は感じました。娘が落ち着いてきたこと、告知後の学校のフォローアップ体制ができていることを確認した上で、主治医は9月に本人への障害告知をしました。医師は障害の説明だけでなく、娘の長所やどのようにしたら困り感を減らせるかなどを“娘に分かりやすいように”説明してくれました。告知を受けた娘は「自分の事を理解してもらえてうれしかった」と言って喜んでいました。その後、娘は殆どの授業を通常学級で受けるようになりました。PC検定にチャレンジしたり、学校の文化発表で有志ダンスショーを企画したりと、娘の気持ちが前向きになった様子がうかがえました。そして自分に自信がついた娘は、当初考えていた特別支援学級への移籍について悩みはじめました。 特別支援学級ではなく、通常学級所属のままでいいのではないか、と。でもこの安定が「辛いときに受け入れてもらえる場所があるという安心感ありき」であることは本人もじゅうぶん理解していました。気がつけば、もう季節は先輩お母さんが言っていた“志望校を決めておくべき中2の秋”になっていました。クリエイティブスクールD高校特別支援学級を避難所として一時利用している間も、私たちは引き続き高校探しや見学を続けていました。私の住む地域では東京都のエンカレッジスクールと似た取り組みをしている「クリエイティブスクール」が数校あります。クリエイティブスクールは、中学校までに持てる力を必ずしも十分に発揮しきれなかった生徒を積極的に受け入れている公立の学校です。自宅から一番近いクリエイティブスクール、D高校では地域住民の協力のもと週に1回、学校の図書館内でカフェを開催するなど画期的な取り組みも行っていました。私はD高校に電話をして娘の状況を説明しました。担当の先生によると「発達障害に対する特別な配慮は行っていない」とのことでした。娘にD高校の話をすると「D高校の生徒を駅で見かけたことがあるけど、髪型とか服装とかすごく自由な感じだよね。私はルールがきちんと決められている学校のほうが自分の性格に合っていると思うんだよね。だからD高校は私には合わないと思う」私はふと思いました。娘が言う「合う」「合わない」は私が思うものと少し違うのかもしれない。私は学校を選ぶとき「障害に対する配慮があるか」や「娘が安心できる居場所があるか」に重点を置いていました。でもきっと今の娘には「そこに通う生徒と友達になれるか」「そこで友達と上手くやっていけるか」の方が大切なのでしょう。もちろん勉強もしたいのだろうけど、長い間「自分を理解してほしい」「一人ぼっちが嫌」と訴えてきた娘にとって、そこが一番ポイントとなるのは当然の事だったのかもしれません。D高校の見学は、娘が乗り気ではなかったこともあり、行きませんでした。揺れる気持ち娘が学校生活で一番の望んでいるものって何だろう?今まで候補として見学してきた学校は、実のところ親目線で選んではいなかったかしら?特別支援学級に入級するかしないか、娘の気持ちが揺れ動くのと同じように、親の学校選びの基準も振り子のように揺れ動くのでした。次回はそんな私たちの進路選択を決定的にした出来事について書こうと思います。
2019年06月20日今年は例年にも増してインフルエンザが猛威を奮っています。インフルエンザにかかると規定の日数を過ぎるまでは感染を防ぐために出席停止期間が定められており、熱が下がって元気になっても登園・登校はもちろん基本的に外出が出来ません。学級・学年閉鎖や学校閉鎖となるところまで出ており、全く病気になっていない子も外出が出来ません。また、冬は極端に寒かったり雪が降ったりで外で遊べないこともあります。ずっと家にいることになると、親も子もストレスがたまってしまいますよね。外出できない時にちょっとした工夫で楽しくなる室内の過ごし方をご紹介します。言葉だけですぐにできる遊び言葉を使うだけの遊びなら、何も用意する必要がなくすぐに始められます。家事をしながらでも出来るのでママの負担も少ないです。家遊びだけではなく、車や電車などの移動中でも遊べるのでオススメです。(1) スペシャルしりとり言葉遊びというと「しりとり」が定番ですが少し工夫をしましょう。テーマを決めて制限を設けると難しくなりより楽しむことができます。「食べ物」「3文字の言葉」「色」など、テーマを決めてしりとりをしてみましょう。(2) クイズ遊びクイズと言っても、少しずつヒントを出したり子どもが質問したりして答えを導き出します。まずヒントを出すパターンは、答えが「りんご」の場合、ママが「赤いです」「丸いです」「甘いです」など少しずつヒントを出していきます。聞いた言葉から想像するので園児に向いています。質問するパターンは、逆に子どもが「食べ物ですか」「何色ですか」などの質問をしていきます。小学生はこちらの方が楽しめるでしょう。(3) ジェスチャーゲームこれもクイズになりますが、体を大きく動かしてジェスチャーで問題を出します。大げさにやると子どもは大喜び。パパがいれば参加してもらうのもいいですね。ただ当てるだけに飽きたら、時間制限を設けたりすると更に盛り上がります。物を使って遊びをワンランクUP!家にある物を使ったり手作りしたりして、長時間飽きない工夫をしましょう。いつもやることでも工夫することで、より楽しむことができ時間をかけることも出来ます。(1) 折り紙家で手軽に遊べるといえば折り紙がオススメです。作るだけではなく、紙飛行機を作って飛ばしたり、動物を作っておままごと遊びをしたりすると長時間遊ぶことが出来ます。小学生であれば高度な「ユニット折り紙」に挑戦してみましょう。折り紙を組み合わせて作る多面体の作品です。動画で作り方を見ることが出来るので、親子で取り組んでみてはいかがでしょうか。(2) 粘土カラフルな小麦ねんどは100円均一でも手に入れられます。原料が小麦なので、小さい子も安心して遊べます。また、じっくり本格的に遊びたいなら紙ねんどもいいですね。乾燥させて色まで塗ると、長い時間遊ぶことが出来ます。(3) お菓子作り子どもが喜ぶこと間違いなしのお菓子作りは、作る工程を楽しむだけではなく完成したら食べることが出来ますね。ホットケーキミックスを使うとケーキやクッキー、ドーナツなど色々なものを簡単に作ることが出来ます。何を作ろうか、一緒に考えることも楽しいですね。(4) カードゲーム、ボードゲーム兄弟がいたりパパがいたりするならカードゲームは盛り上がりますね。トランプやUNO、かるたなどをじっくり遊ぶいい機会でしょう。ボードゲームもいいですね。最近は、盤面を変えるだけで様々な種類のゲームをできるものも売っていますので1つあるといいかもしれません。すごろくやかるたなら、手作りすると長時間遊ぶことが出来ます。筆者も幼少期、カレンダーの裏面を使って書いたり作ったりしていました。(5) 読まない絵本読む本ではなく、遊べる本があると一人で熱中してくれるかもしれません。ロングセラーである「ウォーリーを探せ」や「ミッケ!」などはテーマも様々で種類が豊富です。わざわざ購入しなくても、図書館で借りてもいいでしょう。迷路の本も子どもが好きで熱中できます。小さい子であれば楽器絵本があると、一人で遊ぶことも出来ますね。家であれば音を気にすることもなく思いっきり音を楽しめます。家にいる時はDVDを見せるばかりになってしまう、という声が多くありましたが、あまり長時間見せるのは避けたいですよね。ちょっとした工夫で色々な時間の過ごし方が出来ます。料理や本格的な工作は親が子についていなくてはならなく、片付けも大変ですが、「今日は〇〇する日」と決めて普段できないことにとことん取り組んで、学級閉鎖の日を有効に使ってみてはいかがでしょうか。
2019年03月01日学級閉鎖、学年閉鎖、学校閉鎖。どれも同じように、働くママにとってはドキッとしてしまう言葉だと思います。できれば避けてもらいたいことではありますが、こればかりは仕方ありません。筆者が子育て真っ最中の働くママを含む数人で集まったときの話なのですが、みんなこの悩みに頭を抱えているようでした。働くママが子どもと家でどう過ごしているかをご紹介しましょう。■ 塾もダメ!ウイルス拡散を防ぐため外出はNG!YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)いざ学級閉鎖となると、当然ですがずっと家にいなければなりません。子どもにとってはまるで拷問です。しかし、そもそも家から出てはいけないと言われているのは、ウイルスの拡散を防ぐためなのです。ですから、遊びに出掛けたりするのはご法度。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)「うちは塾だけは行かせているのよ」というご家庭もあるようですが、本来これもNGです。さて、家から出ることができない、体力と暇を持て余す子どもとどう過ごすか、というのは親にとってはかなり大きな悩みの種となります。具体的に、何をさせて過ごしているかリサーチしてみました。ワークやドリルをやるタカス / PIXTA(ピクスタ)「いくら休みとはいえ休日ではないので、授業よりは少し時間を減らしてはいるものの、その日の授業でやる教科のワークやドリルをやらせています」(34歳/フルタイム)ゆっくり会話をするkou / PIXTA(ピクスタ)「うちは夫も私も仕事で忙しいので、普段は話し相手になってあげることがあまりできません。そのため、学級閉鎖のときくらいはと存分に親子でのコミュニケーションを取るようにしています」(35歳/パート)お菓子づくりプラナ / PIXTA(ピクスタ)「過去に数回、学級閉鎖や学年閉鎖がありましたが、一緒におやつを作ることが多かったですね。そこそこ時間がかかるので、暇を持て余さなくなります」(31歳/パート)■ 苦手教科の復習をするのもオススメ!あんみつ姫 / PIXTA(ピクスタ)元塾講師の立場からしてみると、苦手教科の克服に当てるのも良いのではないかと思います。子どもたちにとって、苦手教科に取り組むのには少し勇気が必要。だから楽しみにしている休日(土日祝日など)には、ほとんどの場合やりたがりません。しかし、本来であれば授業があった日が自宅待機になったということで、この日は比較的「やっぱり勉強しなきゃいけないかな?」という思考に持っていきやすいのです。集中的に苦手を潰していけば、今後の勉強が楽になります。苦手教科と向き合うにはきっかけが大切なので、これはむしろ良い機会なのではないかと思います。ぜひ、参考にしてみてください。
2019年02月25日すべての肌タイプに使える石鹸化粧品輸入販売を手がけるコスメハウス合同会社が、「ナーブルスソープ」の人気商品「ダマスクローズ」の日本での通常発売を決定しました。「ナーブルスソープ」は、1611年創業のナーブルス・ソープ・カンパニー社に伝わる製造法で何世紀にもわたり作られ続けている無添加オーガニック石鹸。エコサート(ECOCERT)やフェアトレード、ハラールの認証も受けています。パレスチナ・ナーブルス産の一番搾りヴァージンオリーブオイルをベースに自然の原料で作られており敏感肌・乾燥肌・脂性肌・ニキビ肌・日焼け後の肌・年齢肌など、肌タイプや年齢を問わず使用可能です。抗うつ効果も期待できると話題ヨーロッパで1番人気の「ダマスクローズ」は2万種類以上あるバラの中でも最も高級な「バラの女王」と呼ばれる品種が原料。皮脂の分泌バランスをとる作用や浄化作用で体臭をおさえる働きのあるローズは「ナーブルスソープ」のベースであるヴァージンオリーブオイルの成分と合わせることで、柔らかくしっとりした肌へと導きます。その香りには女性ホルモンや感情のバランスをととのえる作用があり、リラックス感をもたらす効果があります。また主要な成分である「フェニルエタノール (Phenylethanol)」には抗うつ効果があることが川崎医療福祉大の研究で正式に発表され話題を呼んでいます。(画像はプレスリリースより)【参考】※コスメハウス合同会社のプレスリリース/PR TIMES※コスメハウス合同会社※ナーブルス・ジャパン公式ブランドサイト
2019年02月10日お正月が終わり、仕事始めを迎えて、6日は山羊座で新月も起こりました。何もかもがすでにスタートを切っていて、仕事も生活も「通常運転」になっています。浮足立たず、堅実に歩みを進められる人が幸運を引き寄せそうです。そんな1/7-1/13の恋愛運を12星座別に詳しく見ていきましょう!■ 牡羊座(3月21日~4月19日生まれ)恋の優先度は低め仕事が気になったり、やりたいことに夢中になったりして、恋愛の優先度が低くなってしまいそう。ただ、「恋したいのに、忙しくてできない」というわけではなく、気づけば頭の中が仕事ややりたいことでいっぱいになるので、ストレスはあまりないはず。今週に限っては、恋を後回しにしても良いかもしれません。「恋しなくちゃ」という義務感は持たなくて大丈夫です。■ 牡牛座(4月20日~5月20日生まれ)行動あるのみ停滞感やつまずきはないけれど、だからといって、すごくチャンスに恵まれるわけでもないでしょう。好きな人がいるなら、むしろ肩すかしを食らうことが多いかもしれません。出会いを求めるにしても、行動あるのみ。今週は棚ボタ待ちをすれば、時間だけが過ぎていってしまいます。自力で恋を前に進めるスタンスが大事です。■ 双子座(5月21日~6月21日生まれ)チャンスは7日すぎ好きな人がいるなら、7日すぎに恋のチャンスがありそう。片思いの相手や恋人とは、積極的に関わることで関係が深まります。直接でもLINEでも、言葉をやり取りすることを心がけて、可能なら食事に誘ってみてください。自分から絡んでいったはずが、いつの間にか彼のほうが前向きになり、自らデートをセッティングしてくれるかもしれません。■ 蟹座(6月22日~7月22日生まれ)よく考え、よく行動する好きな人がいるなら、今週は二人の関係を自分の理想に近づけられそう。地に足をつけて、具体的にどうすればいいかを考えてみて。とてもいいアイデアが浮かぶはず。出会いを求める人は、新年会やランチミーティングのお誘いを積極的に受けてみましょう。人が集まる場に行かないと、今週は新しい出会いがなさそうです。■ 獅子座(7月23日~8月22日生まれ)理屈を捨てて直感で動く7日以降、ちょっとしたことがチャンスを引き寄せるはず。直感を大切にして、思いついたらすぐに行動を心がけると、「ツイてる!」と感じることが起きやすくなるでしょう。「こうしなければいけない」という思い込みや、定番ノウハウは捨てたほうが良さそう。それよりは直感を研ぎ澄まして、チャンスを見逃さないように。■ 乙女座(8月23日~9月22日生まれ)見えなくても動くものがある今週は、自分の恋がどういう状況なのか、どう進展するのかに注目してください。まったく動きがないと感じても、冷静に客観視すれば着実な前進があるはず。特に先週末、新しい出会いがあったり、好きな人との間に印象的な出来事があったりしたなら、この一週間で見えてくるものがあるでしょう。自分の思い込みや先入観にとらわれず、フラットな視点で判断して。■ 天秤座(9月23日~10月23日生まれ)ロマンチックな言葉でドキッ!7日の午後から9日にかけて、感じたままを言葉にすると、好きな人を惹きつけるはず。天秤座はセンスの良いロマンチストなので、ちょっとした一言が相手をドキドキさせるでしょう。ただ、ヘンに気取ってうまいことを言おうとすると、逆にドン引きされそう。頭で考えなくていいので、心に浮かんだことをそのまま口にしてみて。■ 蠍座(10月24日~11月21日生まれ)心が繊細になる10日から12日の夕方まで、良くも悪くも心が揺さぶられやすくなります。なにかと心配ごとが多くなって、言わなくてもいいことを言ったり、好きな人の何気ない一言に翻弄されたりするので、目に見えることだけを信じるように。ただ、いつもより情緒が豊かになるぶん、表情や発言がいっそう魅力的になるはず。アプローチする気がなくても、好きな人をドキッとさせられるかもしれません。■ 射手座(11月22日~12月21日生まれ)謙虚にチャンスを生かして今週は、月曜から人気運がアップ! 男性からの注目度が高まるので、新しい恋を探すには好条件が整いそうです。オシャレをして出会いが期待できそうな新年会などに参加したり、片思いの相手にアプローチしたりすると良いかも。ただ、今週はいつも以上に損得勘定が働いてしまい、自分が得をすることだけ考えると、かえって損をする可能性が。視野を広く持って。■ 山羊座(12月22日~1月19日生まれ)恋愛よりも自分のことをお誕生日を迎えている山羊座さん、おめでとうございます!6日の新月以降、意識が自分自身に向いて、考え事が多くなるかもしれません。恋愛に専念したくても、自分のことで頭がいっぱいで、気持ちはブレがち。新年会で新しい出会いがあったり、好きな人と話すチャンスがあったりするなら、頑張ったほうが良いけれど、今週はあまりムリしなくても良さそう。新しいことを始めるつもりなら、特に、恋愛をいったん脇に置いておいて。■ 水瓶座(1月20日~2月18日生まれ)動いた分だけ幸せになれるここしばらく恋が停滞していたとか、出会いが不調だったという場合、7日以降に順調さを取り戻すはず。今までが「3歩進んで2歩下がる」だとしたら、「足を動かしたぶんだけ、ちゃんと前に進む」と感じるはずです。今週だけでなく、今月はスタートダッシュがどれだけ早くできるかが、恋成就のカギ。のんびり受け身でいると、チャンスを逃すかもしれません!■ 魚座(2月19日~3月20日生まれ)不安は上手に受け流して今週は、気持ちがブレやすく、杞憂がふくらみがちに。10日から12日の夕方までは特に、アレコレ考えすぎてしまうかもしれません。また、今週の間に新しい仕事を任されたり、業務の幅が広がったりする人は、「恋が気になるけど、それどころじゃない」と思うはず。今週は、どっしり構えて多少のことには動じないように。何をどう感じても、心配するほどの事件ではないから安心して。(沙木貴咲/占い師)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2019年01月07日中学進学の時にぶつかった「発達障害と成績表」の問題。出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回は、うちの長男の中学受験の経験をもとに、発達障害のある子の進路に関する少々シビアな現実をお伝えします。うちの長男は私立中学受験という選択をしました。その理由のひとつは、学区の公立中学の支援学級・通常学級からの卒業後の進路に親子で不安を感じたからです。うちの学区の公立中学は超マンモス校。「人が多いと集中できない」長男には、通常学級では少々負担が大きいように感じられたので、それまでは、中学では支援学級進学ものんびりと考えていました。ところが、5年生の時、学区の中学の見学会で支援学級を実際に見てみると、「この支援学級を卒業した後、長男の進路は一体どうなるのだろう」という疑問に、全く答えが見えなかったのです。学区の中学の特別支援学級に在籍する生徒さんの大部分は、卒業後は、特別支援学校へ進学されるようでした。つまり、長男が希望する普通高校進学を前提とした生徒さんはその特別支援学級では見当たらず、卒業後の進路について何の情報も得られませんでした。また、小学校では柔軟に対応して頂けた、支援学級の子が通常学級でも授業を受ける「交流級」や、通常学級から特別支援学級へ、特別支援学級から通常学級へ、という「転籍」も、うちの地域の中学ではあまり行われていないようでした。学区の中学の支援学級からは「卒業以降」の普通高校進学の道がプッツリと途切れていたのです。今後、公立中学の特別支援学級から、公立高校の通級・支援学級への道が拓かれてゆく期待もありますが、うちの長男には間に合いませんでした。現在、こういった状況は地域・学校ごとで大きく違うようなので、まずは、お子さんが小学校卒業後、学区の中学の支援学級進学をご希望の場合は、早めに見学・相談等をされることをオススメします(正直、うちはかなり遅い例です)。中学の一斉公開日などもチェックしておくといいでしょう。出典 : 地域の中学の支援学級の現状に不安を感じた私が資料を調べたところ、うちの県では公立中学の支援学級から、全日制普通高校への進学率は公立・私立合わせても、わずか2%程。定時制・通信制の高校を含めて、ようやく20%弱(某県教育委員会のデータより)。「たった2%!? そんなマサカ…」と、文部科学省による全国統計「特別支援教育資料」を見ると、平成28年度の中学校特別支援学級卒業者の状況(国・公・私立計)は、支援学級在籍者19,135人に対し、「高校等」の進学者は約35%にあたる6,842人。その内、全日制の普通高校に進学した生徒が一体何人いるのかは、このデータからは分かりませんでした。特別支援教育について「特別支援教育資料(平成28年度)」|文部科学省では、特別支援学校に進学しない・できないタイプの発達障害のある子は、一体どうしているのかというと、うちの自治体では今のところ、普通高校への進学を希望するならば、中学では通常学級に在籍せざるを得ないようです。勿論、通常学級でもうまくいく場合もあるでしょう。でも、長男も私も、学区の中学の通常学級は様々な面で、彼にとってかなりハードルが高い環境のように感じていました。また、仮に公立中学の通常学級で、勉強を精一杯がんばれたとしても、高校入試に影響する中学の内申書は「学力以外」の面での評価も大きく、長男の現状では内申点はほとんど期待できません(理由は後述)。ですから、中学の通常学級から高校進学を希望しても、内申重視の傾向が強い公立・私立高校や、「内申点が○点以上から」と条件のある推薦入試は、かなり厳しくなるでしょう。それすらも、負担の大きな環境の中、「長男が中学にちゃんと通えたら」という前提での話。そして長男は「学区の中学に行くなら、おれは不登校する」と、キッパリ宣言しました…!そこで、遅まきながら、公立中学以外の選択肢を模索し始め、親子で私立学校等の見学会や説明会などに参加してみると、「自分に合った、小規模の私立中高一貫校に行きたい」と、本人が強く希望するようになりました。長男は学ぶ意欲が強く、自分の意思で決めたことなら人一倍がんばれるタイプです。でも、ここでも「成績表」の問題が。出典 : 私立中学各校の募集要項を見ると、中学受験でも、願書提出の際に成績表のコピーや調査票が必要になる場合があります(必要ない学校もあります)。ただしその場合も、内申重視の高校入試と違い、「小学校の成績表は参考程度」という私立中学も多いようです。それでも、推薦入試を行うある中学の説明会では、小学校の成績表に「最低評価が1つでもあるとダメ」「年間の欠席日数が○日以下」などの条件があると聞きました。私立中学でも成績表によって受験資格が左右される場合もあるようです。4年生までの長男の通常学級の成績は、C評価の「がんばりましょう」ばかり。そして、5年生の特別支援学級の成績評価は「言葉による表現」で記載され、「みんなと同じ」段階別の数値によるものではありません。長男の志望校の出願に必要なのは6年生の成績表なので(※5年生からの成績表が必要な学校もあります)、合格・不合格以前に、今の特別支援学級在籍のままでは、必要書類を揃えて願書を提出できるのかすら分からない状況でした。(ちなみに、「特別支援学級の言葉による評価の成績表を、そのまま受験用に提出した場合どうなるのか」は、いろいろと調べてみたものの、ほとんど前例がないようで、結局分かりませんでした…)ただし、私がネット上などで目にした「特別支援学級では、成績評価・内申点がつかない」なんて話は、本来はあってはならないことのハズです。ですが、現実的には信じがたいことに今だに「地域・学校によって、対応してもらえない場合がある」ようなのです。特別支援学級からの進学ーあまりに大きな地域差の現状|togetterうちの自治体の場合「特別支援学級の成績表は、ご希望があれば段階別の評価でも出せます」と、小学校の特別支援コーディネーターの先生はおっしゃってました。しかし、地域の受験事情に詳しい方のお話では「○○市では、特別支援学級でもお願いすれば、みんなと同じ形の評価で出すことはできます。ただし、その内容が問題なのです」とのこと。つまり、書類として揃えることは可能だけれど、いくら「成績表は参考程度」であっても、内容が殆ど「がんばりましょう」ばかりでは結局厳しいことには変わりない…のだそうです。出典 : 一見これは、「成績が悪いのは、本人の実力なのだから仕方ない」とも思えますが、特別支援学級在籍で「みんなと同じ」評価を受けるために、通常学級の「みんなと同じ」テストや宿題の提出が必要、となれば、実質本人にかなりの負担がかかります。「おれは、人が少なければ、集中できる!」と、自分のペースで学ぶために希望して特別支援学級に転籍した長男ですが、特別支援学級は授業の進度が通常学級とは違うため、そのままでは「みんなと同じ」単元のテストができません。実質、自力で相当な努力をして通常学級との進度の溝を埋めるか、毎日のほとんどを交流学級で授業を受け、同じテスト・同じ課題をこなさなくては、マトモな成績がつかない…ということになります。「自分のペースで学べばできる」「落ち着いた環境で学べばできる」という子も多い中、「○年生の○学期までにココの単元まで終わる」と学習指導要領で決められた中でしか段階別の評価ができなければ、特別支援学級でしっかり学んでも「みんなと同じ」基準での成績評価は難しくなります。つまり、現行の成績評価の仕組み自体が、特別支援学級の児童・生徒の多様な学び方に対応できていないのです。こういった「特別支援学級からの受験」の厳しい現状を、私は長男に噛み砕いて説明しました。すると彼は「じゃあ、おれ、6年からは元のクラスに戻ってがんばる」と通常学級への復籍を決意。そして、小学校の学習とは別の努力が必要な中学受験用の勉強と並行して、5年生の特別支援学級では交流学級を増やしながら全科目学年相応まで学習を進め、6年生からは通常学級で進学に備えることになりました。…要するに「個人の努力と根性で乗り越えた」のです。正直、11歳12歳の子には、かなり負担が大きかったと思います。長男の場合、本人の強い意志と興味のあることへの過集中、そして、周囲の理解・サポートで頑張れたのだと思います。でも、さまざまな課題を抱えながら特別支援学級で学ぶお子さん達に、ここまでの努力や負担を強いなければ「皆と同じ土俵にすら立てない」というのは、私は甚だ疑問です(仮に、学区の公立中学の特別支援学級に進学したとしても、高校受験の際、長男は同じ経験をしていたことでしょう)。そして、発達障害への理解・支援体制には地域・学校ごとで格差があり、その子の進路まで大きく影響されてしまう現状にも、大きな問題を感じます。こういった状況の中で、本人・親が希望する・しないに関わらず「受験を希望するなら、現実的には支援学級を選択できない」地域・学校もあるのです。とにかく、小中学校の特別支援学級からの受験を希望する場合、早めに在籍・進学先の学校や教育委員会などに、成績評価への対応についても、正確な情報を問い合わせておく必要があるでしょう。尚、論外ではありますが、万が一、在学中の小中学校で「特別支援学級では、みんなと同じ形式の成績評価・内申点は出せない」などと言われた場合や、正当に受験し合格しているにも関わらず、発達障害があることや元の在籍級を理由に合格を取り消された場合などは、障害者差別解消法違反に該当する可能性があるため、法的に対応していく必要があるでしょう。また、在籍校から受験校・進学校に提出される内申書や指導要録で、もしも、不当な評価や事実に反する記載・入力ミスなどがあり、受験資格の有無や合否、入学後の対応等に本人に不利益な影響を及ぼした可能性が疑われる場合などには、自治体に対し「自己情報の開示請求」ができます。発達障害児進学に苦悩私立中高一貫校入学辞退迫られ両親「多様性認めて」|西日本新聞(2013.6.11)内申書や指導要録を見せてほしい(ふらっと相談室)|ふらっと人権情報ネットワーク出典 : そして、「絶対行きたい!」志望中学のためにガムシャラになった長男は、小学校のテストの点も急上昇。ところが、オールCから脱出したとはいえ、実力に対して、成績評価は思ったようには上がりませんでした。それは、例え学習内容を十分理解している子や、真面目に勉強に取り組んでいる子であっても…・課題や宿題に取り組んでも、提出し忘れる。忘れ物が多い。・ノートや提出物の字が汚い。読み書きに時間がかかり、板書を写しきれない。・先生の指示を聞き逃したり、授業の準備や片づけに時間がかかる。・不器用さや局所的な苦手さ等から、体育や音楽などの副教科が努力だけではどうにもならない。・コミュニケーション面の苦手さにより、授業中の挙手の回数や発言内容が不十分。・学校自体の負担が大きく、欠席等が多くなりがち。…などの理由から、どんなに学ぶ意欲が強くても、本来の学力以外の「意欲・関心・態度」などの面で、成績評価が低くなってしまう傾向があるためだと思われます。でも、「態度」の評価が低くても、長男は決して不真面目なワケではありません。発達障害があっても、まじめな子、おとなしい子、ガマン強い子、人一倍優しい子は沢山います。そして、適切なサポート・療育や環境の工夫、または自然な成長によって、落ち着いていく子も沢山います。長男の場合、空気を読めないが故に、自習中クラスの皆が騒いでいる中でも同調せず「マジメにやってたのオレだけだった」なんてこともありました。ですから、ここでいう「態度」とは、「先生に言われたことを、言われた通りにできる力」のことなのです。集団行動に遅れたり、先生の意図を察して動けない子は評価が低くなりがちなのだと思います(親としては、書字に困難さのあった長男がノートを必死で書こうとする姿は、例え黒板を写しきれなくても、涙が出そうなくらい「意欲・関心・態度」が高いように思えますが…)。字のキレイさや挙手の回数で、「どれだけその子が学ぶ意欲を持っているのか」を、客観的に評価できるのでしょうか。また、発達障害のある・なしに関わらず、公立小の担任の先生に「中学受験への理解があるか」や、先生との関係性によって、「学力的に十分でも、厳しめに評価をつけられた」なんて話も聞き及びます。高校入試の際も、評価の甘い中学と厳しい中学での格差により、同じような学力の生徒間でも「A中学の子は推薦もらえたけど、B中学の子は内申点が足りず、〇〇高校の推薦入試が受けられない」のもよくあることでしょう。そして、先生の「内申に書くぞ」の一言が、生徒を従わせるための安易なツールとして広く普及していること自体にも、そろそろ社会全体で疑問を感じたほうがいい時期なのかもしれません。現在、学校の成績表・内申書は相対評価から絶対評価へと変わり、子ども達にプラスになった面もありますが、実質「先生の主観」に影響される部分もあり、成績表・内申書自体の客観性・信頼性・妥当性が問われています。中学校における指導と評価の一体化をめざす学習評価の在り方 -目標分析からすすめる学習展開例-(京都市総合教育センター)|国立教育政策研究所未来を拓く扉が、挑戦する前に閉ざされないために…出典 : 結局、中学受験での小学校の成績表への不安点・疑問点を、うちではどうクリアしたか、というと…まず、志望校の説明会で、私は「小学校の成績表は、どの程度合否の参考にされるのでしょうか?」と思い切って質問し、成績表は本当に「参考程度」なことを直接確認しました(ただし、「出席日数と諸活動・所見欄だけはチェックする」学校は多いようです)。また、記載内容で特に気になる点については、個別相談会で本人同席の上、成績表と普段のテストを持参し、具体的に相談していきました。また、何度も志望校の体験授業などに親子で足を運び、面接でも彼の全体像を知って頂けたので、入試本番の結果は勿論、長男のことを十分理解して下さった上で「合格通知」を頂いたもの、と思っています。(ちなみに、公立・私立問わず入学手続きには、在籍校最終学年の担任の先生が記入する「指導要録抄本(指導要録の写し。原本は在籍校保管)」が必ず必要となります。これにより、受験の際に成績表の提出が必要なくても、学籍の記録や全学年の成績評価、出席日数、所見等が記録された書類が進学先に学校経由で送付されます。)指導要録(参考様式)|文部科学省それでも私は、「発達障害と成績表」の問題は、子ども自身の努力と根性だけで全て解決できるとは思えません。新しい学習指導要領で「主体的な学び」の必要性が叫ばれ、また、大学の推薦・AO型入試の増加傾向など、多様な人材が求められるように世の中が変化している中、成績表や内申書のあり方も、早急に見直す必要があるのではないでしょうか。発達障害のある・なしに関わらず、本当に学びたい意欲と可能性にあふれた子ども達が、たかが成績表や内申書の印象で、未来を拓く扉の前で門前払いされないよう、私は心から願っています。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年09月20日2年生から特別支援学級に転籍する娘。大丈夫かな…?2年生から特別支援学級在籍になった娘。1年生の10月、慣らしのために特別支援学級へ行くと決まった時は、1日1時間だったこともあり、簡単な説明で済ませてしまった私…。Upload By SAKURA娘も深く考えていないような、あっさりとした返事でした。しかし2年生からは、「自分のクラス」が特別支援学級になります。通常学級での娘は交流という扱いになるので、出席番号も一番最後に変わります。色んな変化で娘が戸惑うかもしれない…。ちゃんと理解することは難しいとは思いますが、私は娘に、なぜ特別支援学級に行くのかを丁寧に説明しようと決めました。「こんな時、あるよね?」娘に説明してみたそこで私は娘に、こんな風に話をしました。Upload By SAKURAUpload By SAKURAなんとなくわかっただろうか…いよいよ特別支援学級での新学期がスタート!初日の感想はまさかの…?心配しながらも2年生になる初日の朝、娘を送り出しました。この日、私は放課後、娘を学校まで迎えに行きました。通常学級のホームルームと、特別支援学級のホームルームを終え、出てきた娘は、ちょっと疲れているように見えました。初日の感想を聞くと…Upload By SAKURA2つも教室があってすごい…!?なんとも前向きなその考え方に、脱帽しました。教室移動もバッチリ!対応できている娘に一安心娘は今、国語と算数の授業を支援学級で受け、他の時間は通常学級で過ごしています。Upload By SAKURA本人も「国語と算数は特別支援学級」という流れをきちんと把握し、時間になれば、教科書をもってクラスを移動するそうです。娘は、変化に対して柔軟に対応できていました。娘に伝えたい「特別支援学級にいる意味」より大切なこと私たちが、迷いに迷って決めた特別支援学級という選択。娘に受け入れてもらえないんじゃないかと心配もしていました。しかし娘は、私の予想以上に支援学級をすんなり受け入れてくれ、なじんでくれています。おそらく娘は、特別支援学級にいる意味を完全には理解していないと思います。何故ここにいるのか、自分は何が苦手なのか…親としては、自分の特性や苦手を知る上で、将来的にはある程度理解してほしいと思っています。特別支援学級はみんなは通わないけれど、あーさんが成長する過程で必要な場所…ここは後ろめたく思う場所ではないということも。でも、ちゃんとわかるのは今じゃなくていい。それより、伝えたいのは『いる意味』よりも大切な、娘に合う場所で『マイペースに、ゆっくり頑張ろう』ということ。Upload By SAKURA新しくスタートを踏み出した娘を、引き続きサポートしていきたいと思います。
2018年06月13日広汎性発達障害の娘が特別支援学級に通い始めた!小学校入学後に通常学級が合わなくなってきて、2年生からの特別支援学級への転籍が決定した娘。特別支援学級在籍のための手続きが無事終わったのは9月でした。あとは3月ごろ、教育委員会から最終決定の書面が届くのを待つのみとなりました。そして養護教諭の先生から提案され、翌月の10月から、娘は1日1時間だけ支援学級へ通い始めました。Upload By SAKURA娘は、支援学級に行くことをすんなり受け入れてくれました。娘は「楽しい!」と言ってるけど…実際どんな風に過ごしてる?特別支援学級の慣らしが始まって、初日から「楽しい」という娘の言葉を聞くことはできたのですが、肝心の雰囲気、勉強のやり方、周りの様子など、特別支援学級での授業の様子が気になります。ところが、娘に聞いてみたところ…Upload By SAKURAすぐに、担任の先生、養護教諭の先生にお願いしましたが、授業参観やそれ以外の都合がなかなか合わず…年が明けた1月、やっと念願の見学できることになったのです。特別支援学級での国語の授業を見学見学する授業の教科は選ぶことができたので、私たちは娘が苦手とする、国語の授業を見学することにしました。娘が座る机の前に、養護教諭の先生が座り、家庭教師のような状態。本読みする時は、先生がそばにいてくれるようです。Upload By SAKURA娘が読むのに疲れ、集中が切れてしまったと感じると、深呼吸させたり、背伸びをさせたり、気分転換させてくれています!選ぶことが難しい娘、先生の対応は…?この日のメインは調べ物の授業。通常学級で後日やるお題選びを、特別支援学級で決めておく、というものでした。娘は、選択が苦手。自分が興味のないことだとなおさら。とりあえずなんでもいいから決める、ということがなかなかできません。この時も、案の定、先生から『この中でどれにする?』と言われた娘は、なかなか選ぶことができません。Upload By SAKURA親としては、見ていてなんとも歯がゆい感じ。娘は、「ちょっと考える…」と言ったままフリーズ。しかし、先生は娘を焦らせることなく待ちます。「どうするのかな」と思いながら見ていると、しばらく待った先生はお題の中から2つ取り、娘に聞きました。Upload By SAKURA常に先生は娘に二択から選択させました。二択になった娘はすんなり決めることができ、最後に残った一つにお題が決まりました。これなら娘も選びやすい!娘に合わせる特別支援学級のやり方に感激!娘に合わせてくれたこのやり方に、私は感動!特別支援学級という場所で、本当に娘に合った方法を取ってくれるのかと、不安だった私ですが、見学をしたことで、私の不安は一気に吹き飛ばされました。ここでいい!いや…ここがいい!ここで学んだら、娘も伸びるかもしれない!Upload By SAKURA不安が希望に変わりました。娘は2年生から、この特別支援学級に在籍し、国語・算数の授業のみ、特別支援学級で受けています。そして、特別支援学級の担任は、見学の時に担当してくれた養護教諭の先生です。特別支援学級の担任と通常学級の担任の連携も取ってくれ、連絡もこまめに取ってくれます。一年生の時あんなに迷った進級先でしたが、私の選択は、今のところいい方向に行った気がしています。娘が笑顔で学校生活を送れるように、私も引き続きサポートして行きたいと思います。
2018年05月30日主治医の先生に、特別支援学級進級のための診断書を頼まなきゃ夫婦で悩みながら、なんとか娘の次年度からの進級先を決めた私たち。しかし、まだやることが残っていました。それは、ずっと「通常学級」を勧めてくれていた主治医へ「特別支援学級にする」という報告をすること。そして、特別支援学級に進級するためには、主治医に診断書を書いてもらう必要があります。Upload By SAKURA実は、娘の進級先が決まる前から、7月にWISCという発達の検査を受けることになっていました。今現在の娘の得意不得意を詳しく理解し、家庭・学校での生活や、今後に役立てたいと思い、「1年生になったら・・・」と予約していたのです。7月の検査の日には、主治医の先生に会うことはできませんでしたが、WISC検査の結果が出た8月、先生から直接説明を聞くために病院を受診しました。「これなら通常学級で大丈夫!」検査の結果を見て喜ぶ先生に言いづらい…Upload By SAKURAあんなに通常学級を勧めてくれていた主治医の先生に、「特別支援学級にしました」と言わなければいけません。「通常学級の方がいいって言ったのに」なんて思われるんじゃないか…、ムッとされるんじゃないか…と、私は内心ビクビクしていました。検査の結果、娘のIQは凸凹はあるものの、すべて平均点内で、総合IQは、90。知的障害はありませんでした。主治医の先生は、この検査結果を見て、「項目によって凸凹が多いのは、こういう子たちの特徴だから。 知的障害はないですよ。 前より、実年齢と比べての激しい遅れもなくなっている。言語が苦手なだけで、今から少しずつ成長していくよ。ここまで来れたんだから! 成長のスピードも個性だよね!通常学級で大丈夫ですよ。」といつものようにニコニコ。しかし私は、診断書をもらうため、先生に「娘の特別支援学級行き」を伝えなければなりませんでした。思い切って「特別支援学級への進級」を報告私は、テスト結果の説明を終えた先生に「実は、今の学校に特別支援学級があったことがわかりまして。2年生から特別支援学級に行くことにしました」と事情を説明しました。Upload By SAKURA私は、 今まで学校で起きたことや、 自分の今の思いを、主治医の先生にお話ししました。「きっと今の先生は、お母さんと娘さんには合わなかったんだね。特別支援学級の方が、もしかしたら娘さんにぴったりの先生がいるかもしれないね。特別支援学級に行く…というよりは、特別支援学級と通常学級のいい所取りをしちゃいましょうよ!そう考えると、他の子より手厚いですね!」先生は、ムッとするどころか、私がこの決定に揺るがないよう、後押しする言葉をくれました。Upload By SAKURA「みんなに合う担任なんていない」先生の言葉に救われる1年生時に娘を担任してくれた先生は、低学年担任の経験も多いかなりのベテラン先生。クラスの保護者の方と話をしていても、皆さん今の担任の先生に、かなりの信頼を寄せていることはよくわかりました。「お兄ちゃんが○○先生(娘の担任の先生)に担任してもらったよ。とってもいい先生!だから、この子も見てもらえて嬉しい!」という声を、何人かの同じクラスの保護者の方から聞きました。悪い先生ではない…それはわかっていました。だからこそ、自分が違和感を感じるたび、どこの学校に行ってもある当然の対応のはず…と言い聞かせてきました。そんな私の思いに、主治医の先生は言ってくれたのです。「担任の先生との相性ってのは、すごく大事なんだよ。今の担任の先生がぴったり!って子もいれば、合わないなぁーって子もいる。みんなに合う先生なんていない。娘さんにぴったりで、お母さんの考え方に近い先生に見てもらうのが一番だよ」そして「お母さん、大変だったね~。いっぱい悩んで考えて…よく頑張ったね!」と労いの言葉までかけてくれました。それから先生は「よし!じゃぁ~診断書がいるよね?書くね!」 と、娘が特別支援学級に行けるように、診断書を書いてくれました。いつも精神状態がバラバラで来る私を、ニコニコ迎えてくれ、話をしっかり聞いてくれる主治医の先生には、本当に感謝しています。 困った時に的確なアドバイスをくれ、娘のことばかりか、私の思いまで汲んでくれる主治医の先生との出会いをありがたく感じました。Upload By SAKURA絶対に正しい判断はないから。大切にしたい親としての正直な気持ち娘の進学、進級問題において、当初から医者の意見に従えば間違いないと思っていた私でしたが、実際はそう簡単ではありませんでした。進学先、進級先を決める上で、主治医の先生の判断、アドバイスというものはなくてはならないものです。もちろん、専門の知識を持った先生ですから、その判断は医学的に見れば正しいのでしょう。でも主治医の先生…担任の先生…周りの人…それぞれのアドバイスは、絶対ではありません。そのアドバイスや思いを聞いて、保護者が悩みながらも判断し、決定する…それこそが絶対に大切にすべきことだと今回の娘の進級先を決めた経験から気づきました。主治医の先生であっても、来院した時の様子だけではわからないことがあります。私は今まで、発達外来の検診のたびに、学校での困りごとなどを話してきました。しかし、担任の先生に言われたことを、自分がどう感じているかや、やりにくさを話していませんでした。実際の学校生活の様子、担任の先生や周りの意見ももちろんですが、自分の感じることや不安…を正直に伝えることが大切だと思いました。Upload By SAKURA
2018年04月18日娘の進級先、選択肢は増えたけど…みんなの意見が違う娘の次年度の進級先について、担任の先生との話し合いの中で、知らなかった情報がわかった私たち。今後の選択肢が、①通常学級②通常学級在籍で、支援学級へ通級③支援学級在籍で、交流学級へ通級の3つに増えたと分かった6月…。選択肢が増えたことで、さらに悩みも増えてしまいました。Upload By SAKURA最初、この話を聞いた私は、今まで通常学級で過ごした娘の日々の様子や、授業での問題、お友達とのトラブル…いろいろな出来事を踏まえ、「支援学級があるなら、支援学級がいいんじゃないかな?」と考え始めていました。しかし、直前の定期検診で主治医の先生に「通常学級がいい」と言われていたし、主人や、主人の両親は、(支援級があったことを知っても)通常学級を希望していました。娘が通常学級で学んでいることで成長している、そのことに大きな価値を感じていたからです。でも、私は、このままではいけないとも感じていました。何かしら支援は必要…でも、みんながそういうなら、通常学級在籍のまま、通級という選択の方がいいのかもしれない。自分の気持ちと、周りの考えに揺れつつ、自分の思いと決断に自信がなかった私は、無意識に周りの意見に流されていったのです。進級の希望を伝えた面談で、担任の先生が話した言葉そして、後日、再び担任の先生との面談が。前回言われた、3つの選択肢の中で、どれにするかを決める話し合いでした。私は、周りと意見が分かれてしまい、モヤモヤしていた状態でしたが、担任の先生に、「まだ考え中ですが…主治医の先生も、通常学級を勧めてくれているし…主人も、身内も、通常学級を希望していますので、通常学級在籍で、通級にしようかと考えています。」と伝えました。しかし、それを聞いた先生は無言…。そして、自分の経験を話し始めました。Upload By SAKURA私たちは、娘の最大の課題は、学力ではなく、「人とのコミュニケーション」の部分だと考えていました。先生やお友達とのコミュニケーションを学校生活で一つひとつ学ぶことで、今娘が抱えている、「授業での問題」「お友達とのトラブル」は改善するのではないか…。そんな思いを話すと、先生は、「コミュニケーションの部分が課題…ということですが、支援学級在籍でも、朝の会、体育や道徳などの教科、給食や掃除、帰りの会は、通常学級で受けられます。ということは、支援学級在籍でも十分ではないでしょうか?」と、娘に支援学級在籍を勧めました。Upload By SAKURA担任・主治医・家族の意見が違う。そして私は…?主治医の先生、主人、担任の先生…。それぞれが、違う意見だったのです。Upload By SAKURA担任の先生の「支援学級」を勧める話を聞いた時、私は正直、ショックでした。きっと…担任の先生は、親である私たちの意見を尊重してくれる…私たちが出した決定には、何も言わないはず…そう思い込んでいたからです。「私たちの考えは甘い、現実はもっと大変なんだ」と暗にさとされた気がしました。しかし、現場で実際に娘を見ている人の意見は、説得力がありました。私は、ショックな気持ちと、そうか…と納得するような複雑な感情になりました。娘にとって一番いい場所を探したいからこそ、ますます決定できないその日は結局、決定を保留にして帰宅。私は主人に、担任の先生から言われたことを報告しました。主人は、「最終的に決めるのは、俺たち親なんだろ?先生の意見はわかるけど、親の意見が優先だろ?俺たちは、通常学級のままという希望を出すこともできるんだぞ」と言いました。主人は、娘のコミュニケーション能力を上げるためには、少人数の支援学級より、大人数の通常クラスの方が多くの刺激を受けられるのではないか…。そう考えていたのです。Upload By SAKURA娘の将来を決める、大事な決定。周りを気にして、決めてはいけない。それを理解しつつも、このまま先生の意見を無視して、通常学級にすることは、先生に申し訳ないし、気まずい…と思ってしまいました。結局私は、周りに気を使うというより、自分の意見を押し通して、批判されるのが怖かったのです。そんな私とは違い、揺るがない意志で、娘のために、娘のことを真剣に考え、進級についての意見を言う主人を見て、私は自分の弱さに、嫌気がさしていました。娘にとって、何がいいか…それがわからない状態で私の頭は、どんどん混乱していきました。結局、すぐに答えは出ることはなく、とりあえず、進級についての決定の最終期限である9月まで、私たちは考えることにしました。「宿題、やらなくていいですよ」の言葉に、感じた複雑な気持ちそれから一か月ほど経った、7月。修了式に、大荷物を抱える娘を迎えに行ったときのこと。担任の先生と、夏休みの宿題について話をしているときのことです。先生が、「宿題は無理して全部やらせなくていいですよ。暗記の宿題は、毎年クラスで数人しか覚えてこないんです。だから…娘さんはもうやらなくてもいいですよ。」と言いました。私は…娘がみんなと同じ宿題を、同じ課題を、できるようにするため、今までいろんなやり方で娘と頑張ってきました。宿題も、やらなかったことは一度だってありません。そんな思いでやってきていたこともあって、やる前に「やらなくていい」と言われて、とても悔しくなりました。しかし、それと同時に、先生が良かれと思って言っているであろうことも理解できたのです。私は、両方の感情が入り混ざって、自分の気持ちがわからなくなってしまいました。Upload By SAKURA無意識に負い目を感じていた私。感情も抑え込んでいたのかもUpload By SAKURA私は…こういう発言に、傷ついてもいいのかな…?もしかして「そういう子を通常学級に入れてるんだもの、当たり前だよね」と思わなければならないのかな…?小学校に入学して、娘がいろんな問題にぶつかるたびに、親として感じる思いはありましたが、「これに傷つくくらいなら、そもそも通常学級は向いていないんじゃないか…」そう自分に自問自答しながら、無意識に、自分の感情に自分でブレーキをかけるようになっていたのです。娘が小学校に入学してから、私は学校でよく謝っていました。娘ができないこと(作文や授業中の指示への反応など)を報告されるたび、「いつもすみません」「迷惑かけてすみません」と謝る。それは、手のかかる子を通常学級に入れているという申し訳なさがあったからでした。だけど、娘ができないのは娘のせいではない…娘が悪くないことで、私は謝りたくない…そう思いながらも、「発達障害がある子を通常学級に入れるというのはこういうことだ…」と自分に言い聞かせていました。自分の抱いた感情を自分で抑えているせいで、感情の行き場がなく、必死にこの思いの行き場を探していました。もう耐えられない…正直に気持ちを打ち明けてみた担任の先生、主治医の先生、家族の意見が違う中で、肝心の娘は、というと。通常学級がいいか、支援学級がいいか…今が辛いのか、楽しいのか…はっきりとは言いません。それなのに、大人が進級先を決めていいのだろうか。考えれば考えるほど、自分以外の人の話に、耳を傾ければ傾けるほど、もうどっちを選べばいいか、わからなくなりました。そして主人に、「このまま通常学級にいたら、私の頭と心が耐えられない…」と、今の私の正直な気持ちを伝えました。Upload By SAKURA主人の正直な思いは、通常学級だったと思います。でも、私の話を黙って聞いて、それから言ってくれたこの言葉が、私の悩みを楽にしてくれました。「わかった。たぶんお前は支援学級の方が、気持ちが軽くなると思う。直接向き合ってきたのも、見てきたのもお前だから、お前が『支援学級』と思うなら、そうだろうと思う。いいよ、支援学級にしよう!俺たちの子なら、どこにいても伸びると思う!」そして、ようやく、2年生からの進路が「支援学級」に決まったのでした。完璧な正解なんてわからない。だからこそ親として…娘の大事な進路を決めるあたり、悩む時間は不可欠だったのかもしれません。周りの意見は大事だし、話し合いも必要です。悩まなければ、結論は出ない。でも…周りを気にしすぎた結果、私は必要以上に悩んでいたような気がします。もっと自分の意見を大切にしていたら…主張していたら…もっと周りに流されずにいたら、冷静に決められたのかな、とも思います。周りの立場や思惑を気遣いすぎないようにして、我が子のために、自分が本当はどうしたいのかを大切にした方がいいのかもしれません。もちろん、この決断が正解なのかはわかりません。今回の私たちの決定に「間違ってる!」と思う人もいるでしょう。でも、何を選んでも、みんなが『それでいい!』という決定はないのではないかと思います。どっちにしても、反対意見はある。それに、正解か不正解か分かるのは、もっとずーっと先なのではないでしょうか。親が必死に考えた決断が、現状では最善なのです。もし、この先、「あぁ…あの時、間違ったな~」と思えば、そこから切り替えていけばいい。今も、これからも、最善の方法を娘のために探していく。それが決断をした私の…私たちの、親として役目かなと思います。Upload By SAKURA
2018年04月04日入学前に通常学級を選択した話娘が広汎性発達障害の診断を受けたのは、4歳(年中)の時。しかし、それより前の3歳(年少)の頃から、進学先について、夫婦共々、真剣に考えていました。発達外来の主治医のアドバイスもあって、年中は「療育に積極的に取り組む一年」として、いろんなトレーニングや言語訓練、自宅療育に取り組みました。そして、年長になり、進学先を決める時期になりました。娘の進学に関しては、私たちも初めてのこと…。正直、どこを選ぶことが正解かわかりませんでした。基本は娘が楽しく過ごせるところ。そうであれば、特別支援学校でも、支援学級でも、通常学級でも、どこでもいいと考えていました。Upload By SAKURA進学先を決めるにあたり、色んな人に相談したり、話を聞いたりしました。夫婦で、たくさん話し合いました。最終的には、発達外来の主治医の先生から「支援員の要請さえすれば、小学校の、通常学級で大丈夫だと思いますよ。」と言われたことが決定打となり、地元の小学校の、通常学級に進学することに決めました。私たち夫婦も「できるならみんなと同じことをこなせるようになって欲しい…少しレベルの高い所にいた方が、頑張れるのではないか…」そう考えたのです。入学直前に引っ越した我が家。同級生と馴染むために工夫もしました私たちは、娘の小学校入学直前に引っ越しをしたため、今まで通っていた幼稚園から、同じ小学校へ進学する子が一人もいませんでした。さらに、娘の通うことになった小学校は、付属の幼稚園からそのまま持ち上がりのシステム。娘以外の全員が、すでに仲良しの状態なのです。そこで私たちは、入学式の2か月前から、同じ小学校に入学する子たちが通う幼稚園のスポーツの日に週一回、数時間だけ通わせてもらっていました。少しでも、入学前にみんなと仲良くなってもらい、入学してからのスタートがスムーズになるようにしたかったからです。事前に交流を持っていたこともあって、入学当初は順調でした。お友達もたくさんでき、喧嘩はあっても、それなりに楽しく過ごせていている様子。小学一年生の授業も最初はそんなに難しくないこともあって、なんとかついていけているようでした。Upload By SAKURA授業が進み難しくなった頃、担任からの相談&報告が増えて来て…しかし、入学してしばらく経った頃から、だんだんと授業についていけないようになりました。支援員が入らない時は、全くついていけず…特に作文や感想文、日記などの、文を書く授業は困難でした。元々、言語自体が得意ではないため、何を書くかを考えたり、そのことを頭に置きながら、文章を構成することが娘にとってはすごく難しいのです。文が書けず、1時間白紙のまま固まっていたり…。そのことを、担任の先生から相談される回数も、増えていきました。文章を書けないことを先生に注意され、本人も困ってしまいます。そして、お友達同士のトラブルの内容も、少しずつ、娘には難しいものになってきました。娘は、自分が思っていることを、言葉で表現するのが苦手です。お友達から、自分がやっていないことで責められても、「私じゃない!」と自分の主張をうまく言えず…責められ続け、泣く…そして、さらに責められる…そんな姿を見ることも増えていきました。そんな状況の中で、お友達から、「なんであーさんはすぐ泣くの?」「なんで日記が自分で書けないの?」などと言われることが、どんどん多くなってきたのです。Upload By SAKURAもしかして、親のエゴで娘が合わない環境にいるのかな…私はこの時、自分が通常学級を選択したことが、間違いであったのではないかと思いました。そのために我が子が嫌な思いをしているのであれば、その決定は親のエゴだったのではないか…と考えるようになりました。とにかく状況をなるべく詳しく把握しようと、私は、なるべく学校に出向き、娘の学校の様子を見に行くことにしました。Upload By SAKURAトラブルはいつもじゃない。楽しそうな様子も見えてきたことで、深まる悩みしかし、実際のところ、悪いこと(娘がつらい状況)ばかりではなく、お友達と楽しく遊ぶ様子や、お友達に助けてもらっている様子も見えます。娘に聞くと「学校は楽しい、お友達は優しい」と言います。ただ、それが本心かどうかもわかりません。この状況は、いったいどういう判断をすればいいのか。ただただつらいことがあるばかりではない…楽しいこともある。実際、娘も「楽しい」と言っている。でも、泣いて帰ったり…できないことを注意されたりする。通常学級にこのままいて、いいのだろうか。どっちつかずの考えが、私の頭の中でぐるぐる回る日々が続きました。娘が帰宅した時、どんな顔をしているか…泣いている?笑っている?学校は楽しかった?楽しくなかった?そればかり気になるようになりました。Upload By SAKURA悩んで悩んで、たどりついた大切なコトはその堂々巡りの日々の中で、私が考えなければならないのは…本当に大事にしなければいけないのは…なんだろう…と考え続けました。Upload By SAKURA気づいたこと…それは、当たり前かもしれませんが「娘が笑顔でいられること」。進学先を決めるときに、一番の基本にしたことでした。そして、「それを見守る私自身も、笑顔でいられること」だと、改めて気づくことで、自分の思いが、少し固まるような感覚になりました。私はこの気持ちを大切にして、娘の居場所について、改めて考え、前に進むことにしました。この進級に関するお話は、長くなりますので、数回に分けてお話ししたいと思います。しばらくお付き合いいただければ、嬉しいです。広汎性発達障害の娘の就学相談で、迷った末に通常学級への進学を決めた私たち夫婦でしたが…入学後、徐々に娘には合わなくなってきたことから、この先どうするか…また新たに迷い始めた私たち。そんな時、今まで知らなかった情報が分かったのです。情報が把握できず学校や行政と行き違いになったことへの後悔と、そこから学んだことをお伝えします。
2018年03月07日先生発案!目からウロコの「合理的配慮」の実例ベスト5出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。うちには、もうすぐ小学校卒業の発達障害のある長男と、グレーゾーンの小4の次男・小1の長女がいます。今まで私は、学校の先生方と連携し、さまざまな「合理的配慮」をお願いして、ここまでやってきました。でも、担任の先生がいつの間にかやってくれていた「さり気ない配慮」もたくさんあるんです。本当にちょっとしたことでハードルが下がって、すごく気持ちがラクになったり、みんなと一緒に取り組めたりするんですよ。今回はお忙しい通常学級の先生にも手軽にできて、「◯◯くんだけズルイ」だなんて目立たずに、クラス全体で取り組んだり、さり気な〜くサポートできる、目からウロコの「合理的配慮」の実例ベスト5を、一挙にご紹介します!Upload By 楽々かあさん教室の机の奥に、くっちゃくちゃのプリントやテストが押し込められて、大事なお知らせを持ち帰り忘れてしまう長男。おかげで、「一体いつの話?」という、提出期限切れの申し込み用紙が後から発掘されることも。そんな「困った」を担任の先生が、たった1本のヒモを使って問題解決して下さいました。連絡帳を入れる学校指定のジッパー式の「連絡袋」のカドに、書類用の綴じヒモを通して輪にするだけ!これを、長男の机の横のフックにひっかけて、プリントやテストを配ったら、すぐにそこに入れるように促して下さったのです。机の外に出て見えているので、長男も持ち帰る時に気づきやすく、先生も声かけしやすい、ナイスアイデアでした!出典 : ある年の学習発表会では、グレーゾーンの次男の担任の先生も、さり気ない配慮をして下さいました。緊張しやすく、大勢の人を前にすると固まってしまって、台詞や動くタイミングが吹き飛んでしまう次男。プレッシャーから、直前に「やっぱりムリィ〜!」と敵前逃亡した実績もあります。でも、その年の先生は、なんと、体育館のステージの正面2階の連絡通路から、まるでオーケストラの指揮者のように、次男に大きなジェスチャーでサインを送って、タイミングを教えてくれたのです。先生のサインに、マウンドのピッチャーのように小さく頷く次男。そして、無事台詞が言えたら、先生はニッコリ笑顔で大きな「マル」を作って見せてくれました。他の先生からは「◯◯先生と◯次郎君、コントみたい」なんて、面白がられていましたが、次男は安心して参加でき、「できた!」体験がとても自信になったようです。おかげで、翌年からは、配慮なしでも学習発表会が大丈夫になりました。出典 : もう一つ、次男の先生から。次男は「人の顔と名前が覚えにくい」ので、3学期になっても、クラスのお子さんたちの3分の2くらいは、名前が分からなくて、自信を持って話しかけることができず、本人もそのことを結構気にして悩んでいました。次の学年の初めに面談をお願いし、そのことを先生に伝えたところ、教室の後ろにクラス写真に名前を入れたものを掲示して下さいました。このように「クラス皆が共有できる」ことは、次男だけでなく、同じようなタイプの子や転校生、近年増えている外国人の子など、どんな子も安心できる素敵な「さり気ない配慮」だと思います。出典 : 教室の席というのは、実は大抵、視力や身長、クジ運だけではなく、ある程度担任の先生が、クラス運営のしやすさなどを加味して決められていることもあるようです。一般的に、席の配置では「ちょっと気になる子は、先生の目の前の、最前列中央の席」になることも多いかと思います。確かに先生がマメに声をかけやすく、目が届きやすいですよね。不注意性の高い長男が低学年の頃は、いつもココが定位置でした。でも、その時のクラスの雰囲気や他のお子さんたちとの関係で、優先することも変わって来るようです。3・4年生の時、長男の定位置は「中央一番後ろ」になりました。その理由は、「◯太郎君が授業中に何度も声かけされるのを、他の子の目につきにくくするため」とのこと。長男は「教科書◯ページだよ」「定規出してね」など、先生にその都度個別に声かけしてもらえれば気づきやすいけど、それが最前列の席だと、いつもクラスのお子さんたちから目についてしまいます。社会性が育って、仲間意識が強まる3・4年生は「ギャングエイジ」とも呼ばれ、ちょっとしたことが、仲間はずれやからかいの要因になることもあります。そんな空気をいち早く先生が気づいて細やかに配慮して下さり、一番後ろにしてくれました(そして、ちょっと遠回りしながら、声かけも続けてくれました)。この位置は長男もお気に入りで、安心できたようです。空気を読むのが苦手な長男は、自分で気づけない・モヤモヤした気持ちを言葉でうまく表現できないこともあるので、先生がさり気なく守ってくださって、本当に有難いなと思いました。また、聴覚過敏のある次男は、廊下側の柱の横の、片側が壁になっている席が落ち着くようです。班決めなども、大人しい子が多いグループになる確率が不思議と高い学年は、「ひょっとして、配慮してくれてるのかな?」なんて感じることもあります。他にも、夏休みの自由研究の発表などは、順番を最後のほうにしてくれて、他のお子さんたちの「お手本」をたくさん見てからだと、発表の仕方がイメージしやすくなったこともありました。マニュアルではなく、実際の状況に合わせた弾力的な対応と、ほんのちょっとの先生の采配で、下がるハードルも結構あります。出典 : 長男が1年生の2学期から、漢字書き取りが宿題に出るようになりました。ところが当時の長男は、視力に問題はなくとも、漢字のカドやトメ・ハネ・ハライが正確に認識できなかったため、どんなにがんばっても字がお手本どおりに書けませんでした。担任の先生は、漢字ノートをとても丁寧に添削して下さったのですが、本人には訂正前と後の違いが分からず、「どこをどう直していいのか、分からないよ〜」と泣きながら、何時間もかかって宿題をし、勉強にすっかり自信をなくしていました。丁度その頃に長男の発達障害の診断がつき、先生にそのことを相談したところ、漢字の間違っているところを「丁寧に訂正する添削」から、合っているところや丁寧に書けたところに、花マルやほめコメントをつけるという「丁寧にほめる添削」に、変えて下さったのです。そして「◯太郎君に良い方法は、他のお子さんにもいいと思うので、クラスで『ほめほめ作戦』やってみますね!」と、明るく言って、長男だけでなく、クラス皆のお子さんの漢字ノートを、同じように花マルで埋めて下さいました。先生が柔軟にものの見方を変えて、同じ添削指導に使うエネルギーを、少しでもできているところを見つける方向に使って下さったおかげで、長男は少しずつ自信を取り戻していきました(段階的に訂正にも慣れていき、今では、×をもらっても大丈夫になりました)。誰だって、自分のやり方を変えたり、人に合わせたりすることは、そんなに簡単なことではないのを、私は知っています。そこを快く譲って下さった、まだお若いその先生に、私は心底敬服したのです。先生方が、共に育ててくれたからこそ…出典 : こうして見ると、「合理的配慮」というのは、診断書を持っていって交渉するような、難しくて特別なことばかりではなくて、「集団教育の知恵袋」とでも表現できそうな、もっと手軽で身近な、さり気ないことだって、たくさんあるのだと思います。子どもたちにとっては、先生のちょっとした気遣いや思いやりが感じられるだけで、「学校」の印象だって全然違うんです。それにはまず、先生方に気持ちと時間の余裕が必要なのだと思います。ただでさえ、大人数の子どもたちをたった1人で引き受ける通常学級の担任の先生が、授業時間の増加や過剰な雑務による負担を長時間勤務でこなしている現状があります。そんな中で、子ども一人ひとりの小さな困り感に気づいたり、丁寧に関わる時間を持つのは、至難の業でしょう。中には、私がうまく連携できなかった先生もいましたが、お一人でさまざまな問題を抱え込んでいた印象でした。また、ある先生は「本当は◯太郎君のこと、もっと丁寧に見てあげたいのに、なかなか時間がなくて、そこまでできなくてごめんなさいね」と、申し訳なさそうに謝っておられ、私も胸が苦しくなりました。本当に今の教育現場は、厳しい状況に置かれているのが痛切に伝わってきます。でも、そんな中でも、結局6年間ずっと、学校があんまり好きではなかった長男に、それぞれの先生が「できる範囲で、できること」を探りながら関わり、一緒に育てて下さったからこそ、なんとかここまで来れたのだと思います。おかげさまで、その長男も、この春中学生になります。「取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと」尾木直樹・著(講談社+α新書)「池上彰の『日本の教育』がよくわかる本」池上 彰・著(PHP文庫)大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年01月15日1. お子さんの就学先に悩む保護者の方へ出典 : 障害のあるお子さんを持つ保護者の方にとって、お子さんの就学先選びは非常に大きな決断になると思います。特別支援学校・特別支援学級・通級・通常学級と様々な選択肢がありますが、それぞれの仕組みや教育環境、メリットやデメリットを把握したうえで、今、お子さんにもっとも合う学校を選ぶことが大切です。この記事では、特別支援学級の対象となる障害や教育環境、通級・特別支援学校との比較、入学の方法から卒業後の進路などについて詳しく解説していきます。ぜひ就学先選びの参考にしてください。2. 特別支援学級ってどんなところ?出典 : 特別支援学級とは、障害のある子ども一人ひとりに応じた教育を行うため、小・中学校に設置された、障害種別ごとに編成された少人数の学級をいいます。学校教育法81条では、以下のように定められています。幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。○2 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。一 知的障害者二 肢体不自由者三 身体虚弱者四 弱視者五 難聴者六 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの○3 前項に規定する学校においては、疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。年の文部科学省の調査によりますと、特別支援学級に在籍している幼児児童生徒の数は187,100人で、幼児児童生徒全体に対する割合は1.2%です。ただし、高校で特別支援学級を設置している例はまだ見受けられず、在籍している生徒数も調査によると0人になっています。特別支援学級を設置している小学校の割合は76.6%、中学校は73.7%と、ほとんどの小・中学校が特別支援学級を設置しています。また、特別支援学級に在籍している幼児児童生徒の数、特別支援学級の数は、どちらもここ20年間は増加傾向にあり、そのニーズの高まりとともに小・中学校での支援体制の整備が進んでいます。文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】3. 特別支援学級の対象となる障害の基準は?出典 : 特別支援学級は障害種別ごとに、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害の7種類のの学級があります。特別支援学級の対象となる障害の程度は以下の通りです。知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で、社会生活への適応が困難である程度のもの補装具によっても歩行や筆記等日常生活における基本的な動作に軽度の困難がある程度のもの・慢性の呼吸器疾患その他疾患の状態が持続的または間欠的に医療又は生活の管理を必要とする程度のもの・身体虚弱の状態が持続的に生活の管理を必要とする程度のもの拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度のもの補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが困難な程度のもの口蓋裂、構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のあるもの、吃音等話し言葉におけるリズムの障害のあるもの、話す、聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがあるもの、その他これに準じるもの(これらの障害が主として他の障害に起因するものではないものに限る。)で、その程度が著しいもの・自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの・主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの文部科学省通知「障害のある児童生徒の就学について」これらの基準をもとに、最終的な就学先は、お住まいの市区町村で行われる就学相談を通して、保護者の方の意見を尊重しながら決定します。また、これらの基準より重い障害のあるお子さんは、多くの場合、特別支援学校の対象になります。以下の記事も参考にしてみてください。4. 通常の小・中学校でもきちんと支援を受けられるの?出典 : 通常の小・中学校でも、障害のある子どもに対して理解ある支援が受けられるのかどうかを心配されている保護者の方は多いのではないでしょうか。ここでは、障害のあるお子さんも保護者の方も安心して学校生活を送ることができる支援体制の例をご紹介します。「個別の指導計画」とは、障害のある子どもに指導を行うためのきめ細かい計画です。子どもの一人ひとりの教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法を盛り込んであります。例えば、単元や学期、学年等ごとに作成され、それに基づいた指導が行われます。特に、後述する「自立活動」の指導は、この計画に基づいた内容になっています。「個別の教育支援計画」とは、進級・進学時の引継ぎ、他機関との連携を図るための計画をいいます。乳幼児期から学校卒業後までの一貫した長期的な計画である点が「個別の指導計画」との違いです。学校が中心となって、教育・福祉・医療・労働などの関係機関と連携し、保護者の意見とともに作成することなども求められています。通常の小・中学校でも、障害のある児童・生徒に対しては学校の教員と保護者とが一緒になってこの計画を作成し、学校と協力しながら適切な支援を受けることができるようになっています。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(4)個別の指導計画と個別の教育支援計画特別支援教育コーディネーターは、学校内や福祉・医療等の関係機関との間の連絡調整役として、あるいは保護者に対する相談の窓口として、校内の関係者や関係機関との連携協力の強化を図るための役割を担っており、学校内の教員が指名されています。つまり、特別支援教育コーディネーターは学校や担任の先生と保護者、専門機関とのパイプ役を果たしており、必要なときには相談できる体制になっています。また、小・中学校の教員は障害に対する専門的な知識を必ずしも持っているわけではありませんので、特別支援教育コーディネーターが担任に対する助言も行っています。5. 特別支援学級の教育環境出典 : では、特別支援学級のなかはどのような教育環境になっているのでしょうか。特別支援学級では、障害のあるお子さんが能力を最大限発揮して学習できるよう、様々な工夫がされています。また、障害のない通常の学級の子どもと触れ合う機会も設けられています。特別支援学級の上限定員は8人と定められています。少人数教育で、障害のある子ども一人ひとりのニーズに合わせた教育が受けられるようになっています。また、教室内は、子どもの実態に即して安全で過ごしやすい環境になるような工夫がされています。例えば、教室という多目的な空間に混乱してしまう子どもがいる場合、一つの場所では一つの活動が行われるような環境が作られます。自立活動とは、特別支援学校学習指導要領に定められている教育活動の一つです。障害による学習上または生活上の困難を改善・克服するための指導を行う目的で設けられています。「個別の指導計画」に基づいて子ども一人ひとりにあった指導目標が設定され、その目標を達成するような指導が行われます。例えば、身体の動きに困難のある子どもに対してはそれを改善するための指導が、コミュニケーションに不安のある子どもに対してはそれを支援するための指導が自立活動の時間に行われます。具体的な内容は子ども一人ひとりに合わせたものになっています。文部科学省特別支援学校学習指導要領解説自立活動編特別支援学級では、必要に応じて、各教科の目標・内容を下学年の教科の目標・内容に替えたり、各教科を知的障害特別支援学校の各教科に替えたりすることができます。これは通常の学級に所属している場合は受けることのできない大きなメリットです。小・中学校や特別支援学校の学習指導要領などには、障害のある子どもと障害のない子どもが活動を共にする機会を積極的に設けるよう示されています。これにより、障害のある子どもが通常の学級で障害のない子どもと触れ合うことができます。例えば、・朝の会や帰りの会を、同じ学年の通常の学級である「交流学級」で、通常の学級の子どもたちと一緒に過ごす・給食や体育、音楽の時間は通常の学級で活動するなど、通常の学級と特別支援学級を行き来するといった例があります。6. 障害種別ごとの教育内容出典 : 特別支援学級は小・中学校に設置された学級であるため、上述したような配慮を行う場合であっても、学校教育法に定める小学校及び中学校の目的・目標を達成するものである必要があります。特別支援学級においてもその教育目標を達成するために、障害の種別ごとに教育内容が工夫されています。知的障害特別支援学級における教育内容としては、・特別支援学校の学習指導要領を参考にしながら、子どもの知的発達の段階に合わせた目標、内容を選択し、教科学習の内容を決める・特別支援学校の学習指導要領に示されている「自立活動」の指導を行う・学校教育法施工規則に規定されている「領域・教科を合わせた指導」を行うという工夫がされています。「領域・教科を合わせた指導」とは、指導内容を教科別・領域別に分けない指導のことを言い、これが時間割に取り入れられています。具体的には以下のような授業があります。■日常生活の指導基本的生活習慣や集団生活をするうえで必要な内容■遊びの指導遊びを学習活動の中心に据えて、身体活動を活発にし,仲間とのかかわりを促し、意欲的な活動を育てていくもの■生活単元学習生活上の課題処理や問題解決のための一連の目的活動を組織的に経験することによって,自立的な生活に必要な事柄を実際的・総合的に学習するもの■作業学習作業活動を学習活動の中心に据え,児童生徒の働く意欲を培い,将来の職業生活や社会自立を目指して総合的に学習するもの。産業現場等における就業体験等を含め,学校卒業後の社会生活につなげるようにしていく。肢体不自由特別支援学級においては、通常の学級での授業のほかに、身体の動きや認知能力などの向上を目指した指導が行われています。また、子どもの個人差を考慮し、個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたり、教材・教具の開発・工夫を行ったりするなどの配慮が行われています。さらに、通常の学級の子どもと運動会や給食の場を通じて一緒に活動するなど、社会性や集団へ参加する力を高めるための配慮もされています。また、子どもが可能な限り自らの力で学校生活が送ることができるよう、廊下やトイレに手すりを取り付けたり、便器を洋式にしたりするなどの配慮がされている学級が多いです。病弱・身体虚弱特別支援学級には、病院内と学校内の2つがあります。■病院内の特別支援学級入院中の病弱児のために、近隣の小学校や中学校を本校として、病院内に設けられている特別支援学級です。ここでは、病院の職員との連絡を密にしながら、健康状態の回復・改善等を図るための指導を行うとともに、各教科等の指導に当たっては内容の精選を行い、特に身体活動を伴う学習については、指導方法や教材・教具を工夫するなど、様々な配慮をしています。子どもの病状や発達段階に合わせて、子どもの学年に準じた教育課程、下学年・下学部適用の教育課程、特別支援学校(知的障害)の教育課程などが準備されます。■小・中学校内の特別支援学級入院を必要とせず家庭などから通学できる病弱・身体虚弱児のために、小学校や中学校の中に設けられている特別支援学級です。ここでは、通常の学級とほぼ同様の授業内容・授業時間を定められますが、子どもの病状や発達段階等に応じて下学年・下学部の教育内容が指導されることがあります。通常の学級の子どもとともに活動する機会を積極的に設け、家庭などとの連絡を密にしながら、健康状態の回復・改善や体力の向上を図るための指導もあわせて行われます。弱視特別支援学級では、原則として小学校や中学校と同様の学習指導が行われます。しかし、子どもの視覚障害の実態に合わせた少人数のクラス編制になっており、子ども一人ひとりの障害の状態や特性に応じて具体的な目標を設定し、特別な配慮や工夫をしながら指導が行われます。特に必要がある場合には、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にして教育課程を編成することがあります。難聴特別支援学級でも、原則として小学校や中学校と同様の学習指導が行われますが、自立活動などが時間割に取り入れられることもあります。例えば語句・文・文章の意味理解やコミュニケーションの改善についてが自立活動の内容になります。また、聴覚活用のためにオージオメータや集団補聴器、発音・発語指導のための音声直視装置などの機器が用意されています。言語障害特別支援学級では、自立活動の時間として言語障害の状態の改善もしくは克服を目的とする指導が取り入れられています。また、国語や算数・数学など個別指導などでより手厚く行う必要があるものについては特別支援学級で行い、生活科、図画工作(美術)・体育科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間など集団の中で行うことがふさわしい教科等については、通常の学級で行うといった教室間の行き来をすることもあります。自閉症・情緒障害特別支援学級の授業内容は、通常の小・中学校の教育課程を基準にしながら、必要に応じて、特別支援学校学習指導要領を参考にして、学級や子どもの実態に応じて決定されます。また、自閉症や発達障害をもつ子どもが将来の社会生活に適応できるような指導が行われています。■日常生活習慣形成のための指導自閉症・情緒障害特別支援学級では、日常生活における生活習慣を身に付けるため、食事・排泄・衣服の着脱などの指導を学校生活の中で行います。子どもの発達段階を考慮し、例えば、食事領域では、「スプーンやフォークで食べる」「箸を使って食べる」「スプーンやフォーク、箸を使い分ける」「マナーを守って食べる」など、段階的に指導目標を立てていきます。■運動機能・感覚機能を高めるための指導運動発達や知覚の発達の基礎をつくり、情緒の安定や言語の発達、時間・空間の概念を形成するための指導です。自閉症などの子どもは、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚などの感覚刺激に対して、過敏性などの問題がある場合があります。これらの感覚知覚の問題が、日常の生活環境において不安や苦痛の原因となっていることもあるので、この対応には十分に配慮しながら、できるだけ不安を軽減できる環境を工夫し、改善に向けて指導していきます。■言葉の内容を理解するための指導人の声に注意を向ける、人の話を聞く、返事やあいさつをするなど社会生活に必要な態度を形成し、人とのかかわりを深めるための基礎をつくることが目的です。注意力や集中力を身に付け、言葉を理解するとともに、実際の生活に必要な言葉を適切に使用できるようにコミュニケーションの指導を行います。サイン、絵カード、写真、文字、ジェスチャー、表情などの手段を使って、必要最低限の相手とのやりとりができるようにしていきます。■人とのかかわりを深めるための指導人とのかかわりが苦手な子どもに対して、強引に他の子どもたちと一緒の集団活動に参加させることは、人とのかかわりの困難さを強くしてしまいがちです。そのため特別支援学級では、大人との一対一の関係の構築から始めて、少しずつ小集団の児童生徒との関係に広げていくようにしています。7. 特別支援学級と発達障害出典 : 発達障害がある子どもは知的障害特別支援学級か自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍することになります。これは、子どもに知的障害があるかどうかによって異なります。文部科学省によると、特別支援学級に在籍している187,100人の子どもたちのうち、50.7%である94,821人が知的障害特別支援学級に、43.6%である81,624人が自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍しています。このことから、特別支援学級に在籍する子どものうち90%以上が知的障害や発達障害をもつ子どもであることが分かります。8. 特別支援学級と、通級指導教室・特別支援学校との違いは?出典 : 特に義務教育が始まる小学校入学の前に、お子さんをどの教育環境で育てるか迷う保護者の方は多いと思います。障害のある子どもの教育環境として、通常の学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の4つがあります。それぞれの対象となる障害の程度に明確な基準はありませんが、一般的に通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の順に障害の程度は軽くなります。Upload By 発達障害のキホン通級は、通常学級の学校に籍があり、通級指導の時間のみ通級指導教室に通います。通級指導教室が通常学級の学校にない場合は、通級指導教室がある他の学校に通級指導の時間のみ通います。また、担任は通常学級の先生が受け持ちます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学級に通う場合は、特別支援学級が設置されている学校に籍を置きます。基本的に特別支援学級で授業を受けますが、体育や図画工作、給食の時間は通常学級の子どもたちと過ごすこともあります。担任は特別支援学級の先生が受け持ちます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学校に通う場合は、通学する特別支援学校に籍をおきます。また、通級・特別支援学級は通常の教員免許のみでも受け持つことができますが、特別支援学校の教員は通常の教員免許に加え、特別支援学校の教員免許を取得しています。9. 通級・特別支援学級・特別支援学級のメリット・デメリット出典 : 教育システムの違いから、通級・特別支援学級・特別支援学校それぞれにメリット・デメリットがあります。お子さんの学校選びの参考にしてみてください。■通級・通常学級での子どもとコミュニケーションをとる機会が比較的多い・学習面で通常学級の授業が受けられる・必要なフォローを受けられる・通常学級から離れる時間が気分転換になることもある■特別支援学級・給食の時間や昼休みなどは通常学級での子どもとのコミュニケーションなどの経験ができる・発達・障害の程度に準じたカリキュラムで指導を受けられる・学校と相談しながら通常学級との行き来ができるようにもなる■特別支援学校・個々人の障害の程度に合わせたカリキュラムで、専門性を持った先生からきめ細かい指導が受けられる・高等部では職業教育が受けられる■通級・特別支援学級・在籍基準があいまい・すべての学校に通級指導教室や特別支援学級があるわけではなく、場合によっては遠くの学区に通学しなければならない・高校では通級制度はまだ整えられておらず、特別支援学級も設置されていないのが現状(ただし、2018年度から高校でも通級指導を始めるよう文部科学省が準備を進めている)・学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい・通常学級との行き来がお子さんのストレスになることもある■特別支援学校・通常学級の子ども、同世代の子どもと触れあう機会が少ない・転学・転校は可能だが手続きが必要・障害の程度によっては入学できない可能性がある・特別支援学校高等部を卒業しても、通常の高卒資格は得られない(ただし大学入学資格を得ることはできる)・地域差、学校差がある10. 特別支援学級への入り方出典 : ■年中期~6月ごろ:情報収集お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、ホームページを参照して、地域にある特別支援学校や、小学校の特別支援学級の有無などについて情報を集めましょう。地域によって異なりますが、4月から6月ごろにかけて、特別支援学級や特別支援学校などへの就学を検討している保護者向けに、教育委員会が就学についての説明会が行われる場合もあります。ここでは就学先として考えられる選択肢について、それぞれどのような支援や教育が受けられるか、今後の就学相談や就学先決定までの流れなどについて説明があります。保護者が情報収集や相談をしない場合もあるので、教育委員会では様々な機関と連携して特別支援学校への就学のニーズがある子どもの把握につとめます。教育委員会が幼稚園や保育園、園や発達支援センターや療育センターなどに調査票の作成を依頼したりする地域もあります。その場合、通常の学級・学校に就学することに不安があると思われるお子さんについて、園やセンターは保護者の了承を得て調査票を作成します。■7~9月ごろ:就学相談市区町村の教育委員会へ連絡し、就学相談を受けます。園やセンターの調査票がない場合は、ご自身で市区町村の教育委員会に問い合わせをしましょう。就学相談では、専門の就学相談員と保護者との面談(複数回のこともあります)を通して子どもにとって最適な就学先を決めます。子どもの状態を把握するための検査が行われたり、相談員がお子さんの在籍園・在籍校に赴いてお子さんの様子を確認することがあります。障害の状態、障害に基づく教育的ニーズ、保護者・専門家の意見、学校や地域の状況などを考慮して、就学指導委員会がお子さんにとって良いと思われる就学先を決定します。この決定に保護者の方が同意をすれば就学先が決定します。もし同意できない場合はその旨を教育委員会に申し立て、再度就学相談を受けることもできます。最終的には保護者の方の意向が尊重されます。就学相談では、子どもの状態を正確にしっかりと伝えることが大切です。医療機関で受けた診断書や療育手帳などがあれば持参することをおすすめします。■10~11月:就学時健康診断と小学校の選択就学時健康診断とは、小学校に入学する前に行われる健康診断のことであり、身体検査に加えて発達検査、知能検査等があります。お子さんの障害や発達の遅れについて、この健康診断によって初めて気づく場合があります。就学基準にお子さんが当てはまると思われる場合、就学相談・就学指導を受けることを教育委員会からすすめられます。就学相談で、特別支援学校、特別支援学級、通級、通常学級という選択肢の中からお子さんにとって最適と思われる就学先を決定します。小学校入学時は通常学級に在籍していた子どもが、その後特別支援学級に転籍する場合もあります。これには小・中学校の校内委員会が関係しています。校内委員会とは、子どもの状態に早期に気付き、適切な支援を行うために小・中学校に設置されたものです。その役割は以下の通りです。・学習面や行動面で特別な教育的支援が必要な子どもに早期に気付く。・特別な支援が必要な子どもの実態を把握し,担任の指導への支援方策を具体化する。・保護者や関係機関と連携して,個別の教育支援計画・個別の指導計画を作成する。・特別な支援が必要な子どもへの指導とその保護者との連携について,全教職員の共通理解を図る。また,そのための校内研修を推進する。・専門家チームに判断を求めるかどうかを検討する。※LD,ADHD,高機能自閉症の判断は教員が行うものではない・保護者相談の窓口となるとともに,理解推進の中心となる。こういった支援体制が小・中学校内にあるため、最初に通常学級に入学したお子さんでも、特別支援学級や通級での支援を受けることができます。小学校で特別支援学級に在籍していたお子さんが、中学校でも特別支援学級に在籍する場合、同じ学区域内であれば、特別支援学校や特別支援学級で行われた特別支援教育の内容は、小学校と中学校の先生、特別支援教育コーディネーターを通して引き継がれます。11. 中学校卒業後の進路出典 : 高等学校においては特別支援学級が設置されていないのが現状です。その理由としては、義務教育でないこと、入学試験など選抜があること、高等学校学習指導要領に特別支援学級に関する記述が少ないことなどがあげられます。ただし通級については2018年度から開始されるよう文部科学省が準備を進めています。高校における特別支援学級の整備が進んでいないことから、中学校卒業後のお子さんの進路を心配されている保護者の方も多いのではないでしょうか。文部科学省の報告によれば、中学校の特別支援学級を卒業した子どものうち、進学する子どもの割合は94.1%です。進学した子どもの中では63.4%が特別支援学校の高等部に進学しています。他の進路としては、教育訓練機関等が2%、就職が0.8%、社会福祉施設などへの入所・通所およびその他が3.0%となっています。このデータからわかるように、多くの子どもが特別支援学校高等部もしくは通常の高等学校に進学しています。文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】12. まとめ出典 : 高校での整備が遅れていたり、全ての学校に特別支援学級があるわけではなかったりと課題はあるものの、特別支援学級は同世代の子どもたちと触れ合える機会があり、かつ子どもたちに合った支援を受けられる点で魅力的です。地域や学校によっても特別支援学級の雰囲気は異なるので、お子さん自身や学校の先生、かかりつけのお医者さんなどの周りの方や学校の先生、特別支援教育コーディネーターと相談しながら、お子さんの障害の程度や性格に合った就学先を選ぶのがよいのではないでしょうか。
2017年10月29日<目次> ■「枠からハミでる子」は、普通のママには異質なのか!? ■「まともな子ども」を評価する社会 ■「発達障害のない子になって欲しい」という気持ちはないか? ■活躍している人は個性的な人が多い 【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】 毎日子育てに悩み、自分の子どもが「普通」になれないことに心を砕いているママがたくさんいます。「素人なのにプロ」を求められてしまうママ業。そこで「どうしたら、ママのプロになれるのか?」を木村 泰子先生にうかがいます。<木村 泰子先生とは>全国で多くの反響をよんだ不登校ゼロをめざした小学校のドキュメンタリー映画『みんなの学校』で初代校長を務める。普通の子と発達障害の子どもを「普通に育てる」ことに悩み続けた3人の子持ちであるライター楢戸ひかるが、木村先生と子育てについて話をします。木村先生が教えてくれる「ママたちに伝えたい20のこと」とは?■「枠からハミでる子」は、普通のママには異質なのか!?「枠からハミ出てしまう子(発達障害)」と「普通の子」を一緒の教室で学ぶことは、はたして本当に良いことなのでしょうか。大人が出す「あの子がいると迷惑」という空気を吸ってしまっている子は、めちゃくちゃ不幸だと木村先生は話します。木村:「枠からハミでた子」と「普通の子」が一緒に育つ良さについて理解するために、『みんなの学校』という映画が存在していると思うの。静かな環境で勉強してつく力と、いつも誰かが動きまわる環境の中、勉強してつく力。どちらの方が、より高い力がつくかを、ママさんたちに問いかけてみたらどう答えると思いますか?楢戸:おそらくいつも誰かが動き回っているうるさい環境で勉強したほうがより高い力がつくと答えると思います。木村:誰が考えても、そういうふうにわかるわけですよね。それだけではダメなの? 楢戸:そういったことを、多くのママたちにどうやって伝えていけばよいのだろうか? と考えています。わが家の場合で言うと、長男は品行方正な普通の子で、次男が発達障害なんです。■「まともな子ども」を評価する社会木村:そうやって、比較されてしまう子どもが不幸なんよ! あなたの次男は、二次障害(被害)、三次障害(被害)を受けているんじゃないかと心配になります。楢戸:でも、普通の子(定型発達の子)と、枠からハミ出た子(発達障害の子)は、「生き物として違うんじゃないか」と思いたくなるときがあるんです。これは実際に育ててみての実感です。木村:本人たちにしか、「自分がまとも」なんてわからないの。いまの世の中は、長男が評価される社会であるっていうだけの話。楢戸:長男は、「俺は、次男みたいなものをもっていないから、次男とずっと暮らしたい」と言っています。長男は、次男のことを、すごく評価しています。■「発達障害のない子になって欲しい」という気持ちはないか?木村:それは、長男がじゅうぶん育っている証拠じゃない。だから、ちゃんと次男を尊敬できる。そうしたら次男は、家庭の中では、絶対に安心して育つ。楢戸:正直に言えば、「長男も次男も安心して家庭で暮らしていられる」というのは、私のコンディション次第、という条件がついちゃうんです。木村:その心の根底にあるのは、発達障害があると診断されている次男に、母として「この子は、発達障害のない子になって欲しい」という気持ちがあるからじゃないの? ■活躍している人は個性的な人が多い楢戸:じつは、意外と、それはないんです。私がマスコミ業界で仕事をしていて、普通の職場でないというのもおおきく影響しているとは思うのですが。私が取材で出会う相手は、みな個性的な人が多いです。だから「あなたの話を聞かせてほしい」と思えるような人は、もしかしたらある意味、発達障害傾向があるんじゃないかと思っています。木村:私も、発達障害あると思いますよ。多動だし。めっちゃ、学習障害だし。みなさん、どう思っているかわからないけれどね。楢戸:ピンで活躍されている人は、普通とはどこかが異なっていると、取材を重ねた実感として言えます。だから、私自身は「発達障害」に対して、あまり悪いイメージはないんです。木村:発達障害という名前を、「素晴らしい能力を持った方々」にするっていうのは、どうでしょうね?次回は、「「この子は良い子」「この子は悪い子」と枠に入れたママの未来は?」 です【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】15. 子ども本人たちにしか、「自分がまともかどうか」なんてわからない。いまの世の中が普通の子が評価されるというだけ。16. 静かな環境で勉強してつく力と、いつも誰かが動きまわって勉強してつく力。どちらの方が、より高い力がつくう?17. 発達障害という名前を、「素晴らしい能力を持った方々」にしませんか?≫「木村先生がママたちに伝えたい20のこと」については こちら ■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)木村 泰子先生プロフィール大阪市出身。大阪市立大空小学校初代校長として、「みんながつくるみんなの学校」を合い言葉に、すべての子どもを多方面から見つめながら、全教職員のチーム力で「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに情熱を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画『みんなの学校』が話題に。2015年に退職後、現在は、全国各地で講演活動を行っている。
2017年05月26日<目次> ■「うちの子が迷惑をかけている」と思ってしまう ■「迷惑をかけている」というのはママの思い込み ■失敗体験が続いているから傷つかないようにしている ■ベテラン教員でも「いち保護者」になると迷う 【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】 ママ業は、「素人なのにプロ」を求められる仕事。どうしたら、ママのプロになれるのか? 「ママのプロ」になるために必要な極意「ママに伝えたい20のこと」を教えてくれるのは、プロ教師歴45年の木村 泰子先生。<木村 泰子先生とは>木村先生は、映画『みんなの学校』の舞台となった大空小学校の初代校長。大空小学校は、特別な支援が必要な子が全校児童220人中30人を超えていたが(映画撮影時)、特別支援教室はつくらず、みんなが同じ教室で学び、「不登校児0人」を実現。お話をきくのは、自身が小学校時代に「ダメな子」だと思いながら学校に通った経験があり、いま現在「まわりに理解されにくい子」を育てるライターの楢戸ひかる。「うちの子が周りに迷惑をかけている」と思っているママに送るメッセージです。■「うちの子が迷惑をかけている」と思ってしまうママ前回、木村先生からは、ママである私の価値観が変わっていたら、息子が通常の学級で学んでいたかもしれないというお話までお伝えしました。楢戸:実際には、小学校6年生現在(取材時)、息子は通常学級で学べています。だから、私自身の「ダメ」という気持ちはだいぶ緩和されてきています。でも「うちの子がまわりに迷惑をかけているんじゃないか」といった悩みは、普遍的だと思うので、木村先生のお話を聞かせてください。木村:「自分がやってしまった失敗を、他人に少しでもさせない。自分の失敗を学びに変えて一緒に考えていきましょう」というのが、今回の連載の趣旨だと思っています。楢戸さんの息子さんのような、「まわりには理解されにくい子」がいるとします。そういった子が同じ教室の中にいるのと、いないのだったら、どちらがまわりにいる子は、成長すると思いますか?楢戸:「『理解されにくい子』いる方が成長する」と言える世の中だったとしたら、うちの息子のような子が生きやすくなると思います。でも、実際には普通のママさんたちは、「いると邪魔だ」と思っていると、私自身が思ってしまうんです。本当は、そんなことまわりのママさんたちは思っていないのかもしれないのですが…。■「迷惑をかけている」というのはママの思い込み木村:それよ! それは、楢戸さんの偏見じゃないの?「ほかのママさんたちがそう思っている」っていうのは、事実ではないわけです。そんなふうに思わないと、自分が生きていけないっていう、ママ自身が立ち向かってきた壁。その壁に対して持っている偏見なだけなんですよ。それは結局、ママ自身、楢戸さん自身が持っている偏見なんですよ。楢戸:私自身がこれまで持ってきた自分の傷を見ているだけということですか?木村:自分のことを「まわりに迷惑をかけている存在だ」と思っていると、相手側の方が悪いように感じてきませんか?楢戸:相手のママさんたちを悪いとまでは思わないけれど、「気をつけなければいけない集団」だと思って緊張します。もしかすると、ちょっと恐れているのかもしれないですね。木村:楢戸さんがそんなふうに感じているから、まわりからも「気を使わなければいけない存在」となるわけ。そこがね、そうではないの。「みんなに悪く思われている」と思ってしまっているママに、「まず自分が変わりなさいよ」というメッセージを出してあげないといけないと思います。■失敗体験が続いているから傷つかないようにしている楢戸:枠からはみ出てしまっている子のママからすると、「自分の子どもは、上手に育っていない」という劣等感があると思います。木村:ママが失敗体験を続けてきてしまった。だから自分が傷つかない方法を選んでいるっていうことですよね?楢戸:ママ自身が、「向こう」をシャットアウトしちゃっているっていうことです。木村:そこに至る過程を、少し考えてみて欲しいのです。小学校6年間も大事だけれど、「幼児期にママと子どもの関わりがどうであったのか?」がとても大切で、ママ自身が問わないといけないと思うの。幼児期は、はじめて集団の中に入る時期。そんなときに、ママ自身が子どもに対して、「どんな立場でいてあげるか」を考えることが大切なことです。この「ママの立場はどうあるべきか」を考えるために、ひとつの事例を紹介しますね。じつは、今日、ここに来る前に、親しくしている教員の同僚から「相談したいことがある」とメールがきたんです。■ベテラン教員でも「保護者」になると迷う●木村先生の同僚の教員(Aさん)から受けた相談内容Aさんは、発達障害の子とたくさん接してきたベテラン教員。そんなAさんの孫は、幼稚園で先生の言うことをまったく聞かない子で、Aさんも幼稚園での参観日やお迎えで孫の様子は理解しています。この孫が小学校就学前相談を受けることになります。そこでAさんの娘さんから「就学相談で、息子の現状をきちんと伝えるべきか? 伝えないべきか?」と相談を受けたそうです。どんなに「ベテラン教員」であっても、「保護者(祖母)」となると、どうすればいいのか判断することができなかった。そこで、Aさんは木村先生に相談することに…。楢戸:何だか安心しました。「ベテラン教員」でも、「ひとりの祖母」となるとブレるんですね。だったら、何の知識も経験もない私がブレてしまうのは、仕方がないと思えます。それで、木村先生は、Aさんにどんな回答をされたんですか?木村:聞きたい? 楢戸:もちろん!!!!木村先生が、ベテラン教員にどんなふうに答えたかについては、次回お送りします。次回は、「学校が子どもを守ってくれない時代。「ママの仕事」はなんですか?」 です。■【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】4. 自分がやってしまった失敗を、他人(子ども)に少しでもさせない5. ママ自身が立ち向かってきた壁に対して持っているのは、結局自分の偏見6. 「みんなに悪く思われている」と思ってしまっているママは、「まず自分が変わりなさい」7. はじめて集団の中に入る時期に、ママが子どもに対して、「どんな立場でいてあげるか」を考えることが大切≫「木村先生がママたちに伝えたい20のこと」については こちら ■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)
2017年05月23日支援級って、実際どうなの?出典 : 「支援級って、実際どうなの?」「どんな雰囲気で、何をやってるところなの?」…と、特別支援学級という「未知の世界」が気になっているお母さんも多いかと思います。うちの長男は、発達障害に気づかずに通常学級で入学し、4年生まで過ごしました。そして、5年生になった時、自分の意思で支援級に転籍。さらに今年の4月からは、また通常級に戻る予定でいます。今まで繰り返しお伝えして来た通り、本当に支援級を巡る状況は千差万別です。これは「あくまで一例」ではありますが、長男と私が経験した「うちの」支援級ルポを、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。うちの支援級の1日の流れ出典 : まず、朝の風景から。うちの支援級の登下校は、お母さんが付き添って歩いたり、車で送り迎えをしていたりする場合が多いです。我が家では、行けるときは登校班で歩いてゆき、不安定な時期や、行事などで心身の負担が大きな時期は、車で送って行きます。うちの学校の支援級は2クラス。身体・知的障害のあるお子さんのクラス(以下、A組)と、長男が在籍していた、主に発達障害の傾向のあるお子さんが中心となる、情緒クラス(以下、B組)に分かれています。通常級の出席番号とは違い、支援級のそれぞれの子には「専用カラー」が決められています。下駄箱やロッカーには、名前と共に、その子カラーのテープが貼られて目印になっているのです。そこに靴を入れて、クラスに向かいます。うちの支援級は、一階の保健室近くに配置されていて、普通級とはやや離れています。逆に、職員室、1年生のクラスとは同じフロアです。登校すると、子ども達はその日の予定を確認します。スケジュールボードに、それぞれの子の時間割がマグネットで並べられています。時間割はそれぞれの子で違うものになっています。教科によって支援級で過ごしたり、交流級に行ったり、運動場や音楽室に行ったりと、けっこう移動が多いです。交流級というのは、通常級のクラスでの授業・活動に参加することです。「協力学級」「親学級」などとも呼ばれています。B組在籍の子どもは、全部で6人程ですが、B組の教室に常時いるのは2〜3人。なかには1日中交流級で過ごす子もいます。A組、B組の子達が揃うのは給食の時間。机を全部くっつけて、2クラス合同で先生方も一緒に食べています。その様子は、カオスと言っても過言ではないくらい賑やかです。両クラスの最上級生である、A組の6年生の男の子は人気者。下の学年のお子さん達が慕って、おんぶをせがんだり、給食を配ってあげていたりと、微笑ましい様子も見られます。下校時刻は、それぞれの学年に準じたものになっています。上級生になるほど、6時間目の授業も増え、クラブ活動などもあります。低学年の子達が下校する6時間目には長男と先生のマンツーマンになることも多く、学習が捗るようです。チームで子ども達を見守る、先生達出典 : 支援級の担任は、A組はしっかりした女性の先生、B組はベテランの男性の先生です。そして、それぞれのクラスに副担任の先生がつきます。介助員さんも、両クラス合わせて常時2~3名が学校にいる感じで、主に身体介助の必要なお子さんのお世話や、交流級に行っている子の付き添いなどをして下さっています。子ども1人当たりの大人の数が多く、チームで手厚く見守って頂けます。とはいえ、クラスに不安定になっているお子さんがいる時には、複数の先生がその子にかかりきりになる状況などもありました。そして、支援級の担任の先生は、前回の記事でもお伝えしましたが、必ずしも、支援に詳しいとは限りません。長男のクラスの担任の先生は定年間近の大ベテランの先生でしたが、4月の時点では支援について、ほとんど何もご存知ではありませんでした。ですが、「お母さん達のほうがお詳しいでしょうから…」と、親の話を一人ひとり、謙虚に丁寧に聴いて下さり、私は本当に頭の下がる思いでした。その姿を見て、私は「あ、大丈夫だな」と思いました。先生は多少のことには動じないタイプで、個性の強い子ども達に忍耐強くつき合って下さり、長男も信頼している様子で、私は安心して見ていることができました。知識・経験以前に、先生自身が安定していること、子どもと基本的な信頼関係が築けることが、私はまず必要なように思います。そして、その子に合わせたり、親の話に耳を傾けてくれる姿勢があれば、例え支援に対する知識・経験が十分ではなくとも、次第に「プロ」になって下さるように思えます。気になる学習内容は…?出典 : うちの支援級の学習内容は、その子の進度に合わせたプリント学習です。プリントは本当にオーソドックスな問題を、教科書の順に添ってひたすら取り組むような形です。私は支援の本にあるような手作り教具やICT機器などをジャンジャン使って、体感的な授業がそれぞれの子に行われる様子を夢見ていたので、正直、やや肩すかしでした。それでも、通常級の一斉授業のスピードについていけず、ノートも取らずにぼーっと過ごしていた時に比べれば、私にはずっと有意義な時間のように感じられました。算数は、長男がつまづいている九九や、筆算の手順など、何学年も前のところから戻ってスタートし、少人数の環境の中、自分のペースでじっくり取り組んでいました。国語は、学習内容はほぼ理解できるものの、漢字がどうしても出て来ないので、学習補助用のiPadを持ち込んで辞書アプリで調べながら進めました。ただ慣れて来ると、プリント中心の学習はつまらなくなったのか、苦手科目以外のプリントに落書きが増えてきました。その時は先生に相談して、もう少し学習内容を調整して頂けるようお願いをしました。課題のレベルは「大体できるけど、定着してないこと」から「やや難しいけれど、なんとかできそうなこと」くらいが、その子にちょうど良い学習レベルだと思います。長男は「やさし過ぎる」「難し過ぎる」ものは、どちらも集中できないようです。長男の場合は、パソコンなど興味の強い科目から交流級で参加し始め、体育や図工などの実技教科、2学期には理科・社会も…というように、長男の様子をみながらこまめに連携し、徐々に交流級を増やして頂きました。そして算数もマイペースにコツコツとプリントに取り組み続けた結果、学年相応まで進めることができ、3学期には、全科目交流級での授業になりました。通常級でできてしまった大きな段差を、支援級で長男自身のステップで徐々に上がっていったことにより、学習への自信がついたのです。異年齢・多種多様!支援級の子ども同士の様子は…?Upload By 楽々かあさん休み時間、B組(発達障害の傾向のあるお子さんが中心となるクラス)の男の子達は、手作りカードゲームなどをして楽しく遊んでいました。時折、通常級の次男も、支援級に顔を出して、一緒に遊んでいたようです。次男曰く「エアコン、効いてるんだよね~」とのこと。体温調節が身体の機能的に苦手なお子さんもいるため、うちの両支援級はエアコンが完備されています。転籍前、精神面の凸凹差の大きな長男は、通常級の同年齢のお子さん達と、やや話が合わないようでもありました。でも、異年齢で多種多様なお子さんの集まる支援級では、年下のお子さんと気が合ったり、年配の先生方とたくさん雑談できるので気が楽だったようです。とはいえ、B組の子同士の関係は、仲のいいときはすごく良いけど、ちょっとしたきっかけで大げんかするという、ジェットコースター式。気持ちを言葉で伝えたり、妥協することが苦手な子が多いため、実際の所、衝突事故も多かったです。でも、その中で長男は、「ゆずってあげる」「合わせてあげる」ことの大切さに少しずつ気づけたようにも思います。また、B組では長男は一番年長。クラスのお子さん達をまとめたり、お手本になる役割も与えられました。それよって学校での「居場所」ができたようです。支援級で過ごしたことは、長男の心の成長にも大きなプラスになったように思います。支援級に移ったことを、通常級の子たちはどう受け止める…?出典 : 交流級に行くことで、支援級と普通級を行き来していた長男は、通常級の先生の目から見てもさほど違和感なく溶け込んでいたようです。また、支援級にいても、運動会などの行事では今までクラスメイトだった通常級の子達と一緒でした。運動会の組み体操も林間学校での野外活動も、支援級の先生方に見守られながら、不安に思うことをひとつひとつクリアしながら参加しました。少しだけハードルを下げたり、大人が見守ってあげたりすることで、皆と一緒にできることはたくさんあると思います。長男が支援級に移った時は、それまでと態度が変わった子もいました。長男に対して以前より距離を置く子もいれば、かえって優しくなった子もいるし、何も変わらない子もいました。でもさまざまな機会を通して、一緒に過ごすことで、普通級の子達も支援級の子たちに慣れていきます。多感な年頃の子達の間には、お互いに取り扱いが難しい面も少なくありません。さらに、空気を読めなかったり、集団の中で目立つ行動を取ってしまう長男にとって、コミュニケーションのハードルが高いであろうと思う部分は今でもあります。それでも長男は、6年生に進級したら、居心地良さそうにしていた支援級を卒業して、皆と同じクラスに戻ると言います。私は、支援級に転籍したときのように、長男に通常級の良い点、そうでない点の両方を伝えましたが、今回も長男の決意は変わりませんでした。そこには、好奇心の強い彼にとって今の成長に必要な刺激があるのかもしれません。また、合理的に物事を判断する長男にとって、考えられるデメリットを上回る何かを、今は感じているのかもしれません。子どもの成長と学び方は、一律一様ではないのだから…。ここまで3回に渡り、私達親子の実際の体験から、支援級と通常級の間にある選択肢、支援級を検討する際の判断のポイント、そして、うちの支援級の実際の様子をお伝えして来ました。支援級は本当に千差万別で、私には「うちの」支援級が標準的かどうかも分かりません。でも、具体的な情報が開かれてゆくことで、もっと支援級が身近で気軽に感じられる場所になってほしい、と私は願っています。また、支援級と通常級、それぞれにメリット・デメリットがあり、私にはどちらがいいとも言えません。でも、通常級にいる子達にとっても、長男が5年生を過ごした支援級を「別世界」と感じてるわけではないと感じています。そして、一つだけ確かなことは、日々成長する子どもたちによって、その個性の発達のスピードやその子に合った学び方は、一律一様ではない、ということです。これは長男の今までの育ち方と、興味関心のあり方を見守って来た私が、実感として思うことです。柔軟に、臨機応変に、その子に合った学び方が、どんなお子さんにも安定して提供される日が、なるべく早く来ることを、同時代を生きる子を持つ一母親として、私は願ってやみません。Upload By 楽々かあさん大場美鈴(著), 汐見稔幸(監修), 『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』ポプラ社, 2017年
2017年04月10日出産2~3年後に訪れると言われる夫婦関係の危機…。産後クライシスとも呼ばれていますが、そんな状況に陥らないためにも“夫婦会議”を勧める“父親学級”が注目を浴びています。講師は現役パパだというから興味津々!潜入取材決行です!産前・産後の子育て力アップセミナーある月の日曜日、千葉県流山市の福祉会館にて「産前・産後の子育て力アップセミナー」が行われました。主催は子育て支援団体Nakocco(なこっこ)。“子育てを共に楽しむ・考える・助け合う”ことを目的として活動する特定非営利活動法人です。この日は夫婦8組と、パパが急遽参加できなくなったママ1人が参加。実母が広報誌でセミナーを見つけて勧められ参加した妊娠6カ月のM・Mさん。パパも「子どもが生まれてくる前に受けておいたほうがいいと思って!」と、とても前向きです。男性女性、互いの認識の“ズレ”を知ることがスタート広い畳の会場、真ん中を境に男性と女性別に座った参加者、その中で3~4人のグループに分かれ「90秒で互いの共通点を多く見つけよう!」というセッションから始まります。この最初の質問でグループの連帯感が生まれ、静かだった会場が一気に良い雰囲気になりました。ちなみにこの質問を夫婦間でやった場合、共通点が12個見つけられるとコミュニケーションが上手に取れている証拠なのだとか。結婚13年目の私たち夫婦は12個も見つけられるのだろうか…ドキッとしました。講座の主な内容は、“女性と男性の認識のズレを知る”ワークショップ。男女それぞれのグループで話し合い、答えを考えるのですが、ここではっきりとわかったのが「思っていたよりも妻のことを知らなかった…」「妊娠・出産の負担を知っているようで、実はあまり知らなかった…」など、男性陣の認識が思ったよりも甘かったこと。「甘いからといってパパを責めたり辱めたりするのではありません。まずは“知らなかった”ことを知ることが大切なのです」と講師の渡辺大地さん。3児の父でもある渡辺さんは「この父親学級はイクメン講座でもないし、イクメンを勧めるものでもありません!」ときっぱり。その後、妊娠中の母体の変化と体の負担や産後の体と心のいたみ、女性が口にしないで我慢している心の内、孤独感や焦燥感などを自身の経験も交えながら自然体で話す渡辺さん。妻が夫に理解してほしいと思う点ばかり、私もうなずきながら話を聞きました。参加者のパパとママも“夫婦といえども話さなければわからない”ことを改めて知ることができた様子。“脱・産後クライシス”夫婦で育児をはじめるために!講師の渡辺さん、実は第1子が生まれた後に離婚の危機が訪れます。「自分が良いと思ってやっていたことが、妻にとっては不満だった。妻の思いをまったく知りませんでした…」と当時を振り返りました。その頃から妻の気持ちを理解するために、夫婦で話し合いの時間を持つように。以降定期的に“夫婦会議”を行い、離婚の危機を回避できたそう。そのおかげで今では夫婦円満、去年3人目の子どもにも恵まれました。2012年、第2子の妊娠時に“産後サポートサービス(家事代行サービス)「ままのわ」”を立ち上げました。当時のスタッフから「産後ケアの必要性にパパたちの理解が追い付いていてなくて、思うようなサポートができない」という声が耳に入るようになります。このことがきっかけとなり“父親学級”をスタート。今では全国各地で年間約100の講座を持つまでに。反響の大きさがうかがえます。どれだけ妻の気持ちに寄り添うことができるか、夫婦で育児をスタートさせられるかがその後の夫婦関係を左右すると渡辺さん。「それには出産前から“夫婦会議”をする習慣をつけてほしい。この講座がそのきっかけになるとうれしいです」。夫婦間のコミュニケーション、夫婦会議のススメこの日、1歳の男の子と夫の3人で参加していたY・Kさん。第2子を妊娠中の彼女も産後危機を体験した1人。「第1子の産後は夫婦でかなりぶつかり、すれ違いました…」とY・Kさん、ちょうど数カ月前に渡辺さんの著書『赤ちゃんがやってくる!』(KADOKAWA/メディアファクトリー)を見つけて購入、すぐに夫にも読んでもらったそう。そしてこの日はパパ自身が講座を受講する!という気持ちで参加してくれたのだとか。受講後にパパにも話を聞くと、「講師が男性で自分と同じ立場、共感する部分が多くてよかったです。さっそく帰って夫婦会議をしていきたい」と、すがすがしい表情。夫婦のカタチも十組十色、夫婦間の“ズレ”もそれぞれ。渡辺さんは、夫婦会議をしても意見が一致するとは限らない、夫婦といえども他人であるから意見が違うのは当たり前だと言います。「大切なのはそれぞれの夫婦がお互いの考えを言い合える、一緒に考えることができる関係になることです。今夜は夫婦会議をしましょう!」と締めくくりました。産前・産後の夫婦だけでなくどの夫婦にも共通して言える大切なことを、改めて学ばせてもらいました。わが家も夫婦会議をしなくちゃ。<取材協力>アイナロハながれやま子育てコミュニティNakocco<文・写真:フリーランス記者林未香>
2017年04月02日うちの子は支援級?それとも通常級?悩む前に知ってほしい、もう一つの選択肢出典 : 「うちの子、本当に通常級で皆と一緒にやっていけるの…?」「心配だから支援級にしたけど、本当にこれで良かったの…?」この時期、発達障害・グレーゾーンのお子さんの入学を控えたお母さんは、気持ちが揺れ動いているかもしれません。また、入学後のお子さんを見て、「通常級で頑張っているけど、正直ついていけないみたい。私もトラブルばかりで、なんだか疲れちゃった…」「支援級でのんびりやってるけど、正直持て余しているみたい。うちの子、ずっとこのままでいいの…?」…なんて悩まれているお母さんもいるでしょう。我が家の長男は、通常級・支援級の両方を経験しています。通常級と支援級、両方を経験した私たち親子だから分かること。そして、「通常級か、支援級か」の二者択一ではなく、通常級で受けられる支援や、支援級でも出来る通常級との交流など、さらなる選択の可能性だってあることを、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。通常級から支援級へ、そしてまた通常級へ。それぞれのクラスで受けることが出来た配慮出典 : うちの長男は、小学校入学時の健診までは、目立った知的・言葉の遅れはなく、発達障害に気づかずに入学し、4年生まで通常学級(以下、通常級)で過ごしました。そして、5年生で特別支援学級(以下、支援級)に自分の意思で転籍し、来年度は、また通常級に戻る予定でいます。(※転籍を希望する場合、いつ頃までに伝えれば翌年度のクラス編成に間に合うかは、地域・学校ごとによって異なりますので、それぞれご確認下さい)支援級にも、通常級にも、それぞれにメリット・デメリットがあり、その時々の担任の先生との相性や、クラスの他のお子さん達との関係などでも大きく、その環境が合うか、合わないかは変わってきます。正直、そのクラスがお子さんにとっていい環境になるかは、「実際に、フタを開けてみないと分からない」のです。だから、一概に「通常級で伸びる」「支援級で落ち着く」とは、言い切れない現実もあると思います。また逆に、「通常級で落ち着く」「支援級で伸びる」可能性だって十分あるのです。そして、「支援級か、通常級か」の間で揺れ動く、うちの子と似たようなお子さんには、「その中間のスタンス」である「通常級で受けられるサポート」と「支援級で可能な通常級との交流」もそれぞれあることも、是非知っておいて欲しいと思います。加配や取り出し個別指導、我が家が通常級で受けることが出来たサポート出典 : さて。入学時までに、親に発達障害に気づかれず、いきなり通常級に放り込まれた長男(ごめんね)。当然、大混乱・大パニックです!ランドセルの中身はからっぽ。登下校ではケンカばかり。漢字書き取りは投げ出す…毎日トラブル続きで、私も育児にすっかり自信をなくし、途方に暮れていました。そしてある日。長男はクラスのレクリエーションに参加できずに、泣いて教室を飛び出しました。…そんな時、一緒にいてくれたのが、「加配」の先生でした。「加配」とは、担任に加えて、他の教員などが通常級に入り込む形で、支援の必要な子を中心にサポートしてくれる制度のことです。呼び方も役割もそれぞれビミョーに違いますが、「加配」「補助教員」「支援員」「介助員」「民間のボランティア」などといった呼び名の人が、クラスに配置されて子供を支援してくれます(学習指導ができるのは、教員免許保持者のみ)。自治体の予算で人員が確保されるので、状況によっては、希望を伝えても、配置や増員がすぐには難しい場合もあるかもしれません。うちの学校の場合、加配教員の先生が、1・2年生の各学年に1名が配置され、各クラスを巡回しています。うちの子達がお世話になった例は…・教室を泣いて飛び出したり、パニックになってしまった時に、一緒に廊下にいてくれた・授業中、ぽわ〜んと上の空になっていた時に気づかせたり、漢字学習の時、下書きを入れてくれた・休み時間、友だちともめ事になった時に、仲介役をしてくれた…などなど。普段から何かと長男に声をかけてくれ、コミュニケーションを図ってくれました。他にも、読字障害のある子や、言葉での表現が難しい子、日本語が母国語でない子などに、教科書の代読や筆談をする、などのサポート例もあるようです。加配の先生は、支援・介助の必要な特定の児童1人につく場合もあれば、うちの学校のように、障害の有無に限らず「教室で気になる子」を中心に、全体的にフォローすることもあります。うちの加配教員の先生方は、商売大繁盛。いつも走り回っていて、忙しそう。正直、学年に1人の配置では、低学年のクラスでは手が足りず、充分とは言えない状況のように感じましたが、子ども達にとっては「教室を飛び出したら、加配の◯◯先生が捕まえてくれる」という、不思議な安心感があったようです。出典 : ところが、3年生になると、学年への加配教員の配置はなくなってしまい、特別支援コーディネーターの先生にご相談したところ、頂いた提案が「取り出し個別指導」(以下、取り出し)でした。実は、うちの自治体の他校に設置の「通級」は、希望者が多くて順番待ちの待機状態。私は「何年も待ってる間に、うちの子は大きくなっちゃう!」と、最初から通級の希望は出しませんでした。「取り出し」は、その学校の独自の裁量による任意のサポートです。必ずしも全ての学校で実施されている訳ではないのですが、近年、徐々に実施する学校も増えて来ているようです(実施の有無は、各学校にお問い合わせ下さい)。これは本当に助かりました。うちの場合、希望者が多く、週に1時間程度でしたが、空き教室を利用して、その時間に手の空いている先生(音楽などの教科担任、少人数指導、管理職の先生等)が1対1で、長男を個別に見てくれるというもの。算数を中心とした学習のフォローや、習字や作文など、授業の時間内に取り組めなかった、終われなかった課題を、一緒に丁寧に仕上げてくれました。それでも終わらなかったことは、家でフォローしていたので、私は内心「週1時間では全然足りない」と思っていました。でも、長男はこの「取り出し」の時間をとても楽しみにしていて、少しでも「これならできる」という体験を学校内で得られることが大事なのだと気づきました。それに、この1対1の時間で、長男はいろんな先生と打ち解け、何かと声をかけてくれたりと、学校に長男の理解者・味方が増えました。そして、「おれは、人数が少なければ集中できる!」という自信が持てたので、人数の少ない支援級への転籍を、自ら希望したのです。交流級制度を使うことでこれまでのクラスメイトとも一緒に学ぶことが出来る!出典 : 「交流級」は、「協力学級」「親学級」などとも呼ばれ、支援級に在籍しながら、特定の普通級のクラス(長男の場合、5年◯組)で、一部(または全部)の授業・活動に参加することです。長男は5年生で支援級に移ってからも、それまで一緒に普通級で学んで来たクラスメイトと突然「別世界」に切り離された訳では決してありません。というのも、長男の場合、書字や集中など特定分野に苦手さがあるだけで、今までも、「全て」の教科で「全く」ついていけない、という訳ではありませんでした。そこで「交流級」を活用して、一部の授業や活動は、今まで通り「皆と一緒に」、それ以外の授業は支援級で「その子に合ったペースで」という、選択をしました。長男の場合、転籍してすぐの数週間は、一日中支援級にいましたが、様子をみながら、徐々に交流級で参加する科目を増やし、3学期の現在は、全科目交流級で授業を受けています。他の支援級のお子さん達も、一日中支援級にいたり、交流級を増やしたり減らしたり、ずっと交流級で過ごしたり…と様々です。また、交流級では、支援級の介助員の先生が、慣れるまでそばで見守ってくれたりもしています。それから、それぞれの学年の係活動、運動会や遠足などの行事も、基本的に交流級のクラスメイトと一緒に活動しています。長男は、支援級で苦手分野をマイペースに学びながら、徐々に交流級で過ごす時間を増やしていった結果、再び学習への自信がつき「おれ、もっといろいろ勉強したくなった」と、6年生はまた普通級に戻ることを自ら希望しました。通常級と支援級を行き来させながら私が考えたこと…出典 : オリジナルな発達で、その時々で、伸びたりつまづいたりを繰り返してきた長男。うちでは、そんな彼にとって、なるべく「自信になるほう」の選択をし続け、今があります(勿論うちでも、全てが希望どおりに運ばなかったことだって沢山あります)。子どものことを真剣に考える程、親は期待したくもなるし、不安にもなりますよね。私だってそうです。ただ、私が実感しているのは、子どもの可能性に「絶対」などないということです。私自身、つい思い詰めてしまう性格なので、普段から「絶対〜すべき」や「必ず〜しなくてはならない」といった極端な考えが浮かんだ時は「できれば〜して欲しい」「なるべく〜だといいなあ」と頭の中で変換するように意識しています。子供への声かけ変換を、自分自身に対しても応用した形ですね。そして、「ずっと」「全部」ではなく、「今は〜かもしれない」「ここは〜の可能性もある」と、問題を部分的に絞って考えたりもしています。●「絶対、通常級でがんばるべき」→「できれば、通常級でがんばって欲しいなあ」●「ずっと、支援級で守ってあげなくては」→「今は、支援級で守ってあげたほうがいいかもしれない」…こんな風に変換して考えると、少しだけ気が楽になりますし、子どもの可能性だって広がります。選択肢は2択じゃない!あらゆる可能性には、あらゆる選択を。さて、うちの「もう一つの選択肢」って、何だったと思いますか?そう!ちょっとちゃっかりしていますが、通常級でもサポートの力を借りたり、支援級の在籍でも通常級との交流を行うなどといった、「通常級と支援級の、イイトコ取り」。マイペースな子には、マイペースな支援を。オリジナルな子には、オリジナルな支援を。あらゆる可能性には、あらゆる選択を。「支援級か、普通級か」の2択ではなくこんな選択肢だってあることを、頭の片隅で覚えておいて頂けたら嬉しいです。Upload By 楽々かあさん大場美鈴(著), 汐見稔幸(監修), 『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』ポプラ社, 2017年
2017年02月26日インフルエンザが全国的に流行しています。東京都感染症情報センターによると2017年1月末には「流行警報基準」を超えたそうです。それにより多くの学校では学級閉鎖なども行われています。学級閉鎖になった場合、子どもは外出させないことが基本と言われていますが、実際のどうしているかをパパやママに調査をしてみました。Q.学級閉鎖中の過ごし方、どうしてる?1.まったく外出させない 22.6%2.必要がある場合のみ外出させる 64.9%3.人が多い場所を避けて外出させる 6.9%4.特に気にせず外出させる 4.4%5.その他 1.3%必要がある場合のみ外出させるが64.9%と多数派の意見のよう。学級閉鎖というのはインフルエンザ等の感染症を拡大しないために行われるものですので、家からは外出はさせないのが基本です。必要な場合というのは通院などやむを得ない事情のものが含まれているようです。■親なんだから学級閉鎖の意味を考えて学級閉鎖中は学校からも自宅待機と言われることが多いです。体調に変化がなくとも潜伏期間中の可能性もあるので、よほどのことがない限り外出は避けた方がいいでしょう。「学級閉鎖って自宅待機でしょ? 外出していたら閉鎖の意味ない。元気な子供とか関係なく自宅にいなきゃ」(神奈川県 40代女性)「うちは全く外出しませんでした。習い事も休みました。感染拡大防止のために人と接触しないよう学校を休むのに、外出したら本末転倒になってしまうと思うので」(茨城県 40代女性)「学級閉鎖中に塾とか行かせないでくださいよー。この時期、受験生を守ってあげましょう。マスクして出かけてますとかそういう問題ではないですよ」(神奈川県 40代女性)■みんなどうしてる? 学級閉鎖中の過ごし方自宅待機が基本なのに、人の多い場所へ子どもを連れて行くことは大丈夫なのでしょうか。「インフルエンザにかかっているから公園に行けず、室内のジャスコなら連れて行ったという保護者がいました。」(愛媛県 30代女性)「昔、学級閉鎖になったことがあります。スーパーへ買い物に行くとインフルエンザにかかった子どもを連れて『インフルエンザかかっちゃった』って、その親が言っていたのが今でも印象的です。」(神奈川県 40代女性)■子どもだけでなく大人も感染したら自宅待機子どもだけでなく大人も感染症の場合はすみやかに自宅待機しましょう。会社や満員電車など人に接することが多い大人こそ、常識ある行動が大切です。「残念な話ですが、クラスメイトの保護者さんがインフルエンザで微熱があるにもかかわらず、会社へ出勤されたと子どもから聞かされました。」(鹿児島県 40代女性)Q.学級閉鎖中の過ごし方、どうしてる?アンケート回答数:8202件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2017年02月15日毎年、インフルエンザやノロウィルスなどの病気が猛威を振るう今の季節。働くママを悩ませるのが、突然の学級閉鎖です。「明日から学級閉鎖」という連絡が来たら、3~4日間は登校禁止。たとえ自分の子どもは元気でも、学級閉鎖になったクラスの子は、学童でも預かってもらえないのが一般的です。いざというとき慌てないために対策を考えておきましょう。■前もってクラスの欠席状況をリサーチクラスで欠席者が何人になったら学級閉鎖になるか、という明確な決まりはありません。インフルエンザやノロウィルスなど、感染力の強い病気で休む子どもがクラスに数人出はじめたら、学級閉鎖を警戒しておいたほうがよいでしょう。突然「明日から学級閉鎖」といわれて慌てないためには、日頃からクラスの欠席状況をリサーチしておくことが大切。「今日のお休みは何人?」「インフルエンザの子はいた?」などと子どもに聞き、できるだけ状況を把握しておきましょう。「もうすぐ学級閉鎖になるかもしれない」という予測ができれば、あらかじめ職場に話をしたり、仕事の量を調整したりできます。また、別の学年やクラスで学級閉鎖になっている場合は、いずれ自分の子どものクラスにも広がる可能性も。ママ友同士でも積極的に情報交換をしておきたいですね。■学童保育の規約を確認原則として、学級閉鎖になったクラスの子どもは、たとえ本人が元気であっても、学童保育で預かってもらうことはできません。ファミリーサポートセンター(ファミサポ)も同様に、学級閉鎖中の子どもは利用NGな場合がほとんど。ただ、潜伏期間を過ぎているなどの条件によっては、学級閉鎖中でも対応してもらえることもあるようです。普段利用している学童やファミサポの規約を、今のうちにしっかり確認しておきましょう。■パパとも連携して乗り切る学級閉鎖の日数は、たいてい4日ほど。1~2日なら何とかなっても、期間中ずっと仕事を休むわけにはいかない、というママもいるでしょう。学級閉鎖は突然の非常事態。ママひとりで何とかしようとするのではなく、パパとの連携が必要です。クラスの欠席状況はパパとも共有し、万が一に備え、パパにも心づもりをしておいてもらって。「明日仕事を休んで」というのは無理でも、「来週のどこかで休んでもらうかも」なら、対応可能なケースも多いはず。学級閉鎖の期間中、前半はママ、後半はパパが休みをとるなど、うまく協力し合って乗り切りたいですね。■ママ友に子どもを預けるのはOK?インフルエンザやノロウィルスなど、学級閉鎖の原因になる病気には潜伏期間があります。たとえ元気でもウィルスに感染している可能性があるため、学校などからも「不要不急の外出は避けてください」というお知らせがあるはず。たとえ親しいママ友であっても、学級閉鎖のときに子どもを預けるのはNG。もし潜伏期間だった場合は、ママ友の子どもに病気をうつしてしまう危険性があります。働くママ同士で交互に預け合う、相手から「預かる」と言ってくれるなど、感染リスクに納得している場合を除き、ママ友に子どもをお願いするのは避けたほうがよいでしょう。■やむを得ず子どもひとりで留守番させるときの注意点どうしても仕事が休めないなどの事情がある場合には、やむなく子どもを留守番させるケースも。小学校4年生ぐらいからであれば、子どもの性格やタイプによっては留守番もできるようになります。だからといって、いきなり学級閉鎖で留守番させるというのは難しいので、前もって練習して留守番できるか確かめたり、子どもとの約束ルールを作ったりする必要があります。留守番をさせる前に、次のようなものを家庭の中で決めておきましょう。<留守番させるときのルール作り>・電話や訪問者への対応方法・ガス、マッチ、ライターなどの火を使わない・子どもだけで外出しない・災害が起こったときにどうするかしっかりしている子どもでも、朝から夜までひとりで留守番をさせるのは心配。半休や早退、祖父母に応援を頼むなどして、できるだけ留守番の時間は少なくしてあげたいですね。ただし、学校によっては、学級閉鎖が起こった場合には、ひとりでの留守番を禁止するというところもあります。なぜなら今現在は、発症していなくてもいつ発症するかわからない要観察期間であるからです。日ごろから子どもの体調をチェックし、留守番できる状態かどうか十分注意して判断する必要があります。クラスの欠席状況で決まる学級閉鎖は、いくら子どもの健康管理に気をつけていてもどうにもなりません。できるだけスムーズに仕事と両立できるよう、しっかり考えておきたいですね。
2017年02月05日妊娠中に「母親学級」に参加するプレママは多いと思いますが、男性は「両親学級」や「父親学級」になかなか参加しないことも多いようです。それは、どのような内容なのか情報が少ないからなのかもしれません。実際にはどのような体験ができるのか、参加して得られたメリットは? リアルな声を紹介します。■男性も一度は妊婦体験を!Mさん(40歳・5歳児のママ)の夫は、仕事を理由に結婚後も家事に対して消極的。Mさんが妊娠中もそれは変わらず、「俺にはどうせできないから」とまったくやる気がなかったそうです。「そんなときに、病院で両親学級の話を聞いて。休日に開催されるので、夫にも参加してもらいました。パパたちは『妊婦スーツ』体験をしたみたいですが、それから積極的に家事を手伝ってくれるように。『あんなに大変な思いをしているとは知らずにごめん』とまでいってくれて、やっぱり妊婦スーツはすごい!」「妊婦スーツ」とは、お腹の部分におもりなどが入った被りもので、これを着ると男性にも妊婦の疑似体験ができます。慣れない男性には体を動かすのも一苦労で、妊婦の大変さを実感できるといいます。男性は自分の体に変化が起きないから、その大変さをイマイチ理解しにくいことも。「病気じゃないから手伝わなくても大丈夫」とまで思ってしまうこともあるようなので、一度この妊婦スーツを体験してもらえば、考え方がかわるかもしれません。「子どもが成長した今でも、下手ながら家事を手伝ってくれるようになった」というMさん。それ以来、家事も育児も協力して進めているそうです。■パパ友ができるメリットもTさん(42歳・小学5年生のパパ)さんは、結婚後に現在の住まいに引っ越したから、地域とのつながりがなかったそう。ご近所さんとの関係も、顔を合わせればあいさつする程度でした。しかし、父親学級でパパ友ができてからは、公園の掃除などの地域活動にも積極的に参加するように。「父親学級への参加は面倒だし、ぶっちゃけ気が進まなかったけど、赤ちゃんのことが学べただけでなく、パパ友ができたのでよかった」といいます。子どもが大きくなった今も、パパ友と飲み会をすることも多いのだとか。そんな夫を見て奥さんは「飲みに行く回数が増えたのは少し問題かもしれないけれど、育児や地域活動に積極的になってくれたので仕方ないかな」とのこと。なかなか父親学級へ参加したがらない夫には、こうしたメリットを伝えれば参加しやすくなるかもしれませんね。■パパが育児の楽しみを見つけるきっかけに「とにかく細かい性格の夫。父親学級では、出産祝いでもらったおむつのサイズが合わなかったらどうするかなど、私には気づかないような細かいことまで質問してくれて助かった」(Aさん・35歳・1歳児のママ)パパたちはふだんから情報収集をしていないせいか、「そんなことまで聞くの?」と思うようなことまで質問する人も少なくないとか。しかし、それがかえって役立つこともあるようですね。このパパに話を聞いたところ、「ほかにも、おむつの吸水性や素材に興味をもち、そこからうちの子にはどれがいいか調べるようになった」とのこと。凝り性な男性は多いといいますし、育児に対しても一度興味を持てば、徹底的にこなしたいと思うのかもしれません。また、夫婦それぞれの視点を持つことで、より広い視野で育児に取り組めそうです。残念ながら、男性にはまだ存在感の薄い父親学級。「みんなも行ってるから」「父親なら行くべき」と押し付けると嫌がられるので、「パパ友もできるし、試しに参加してみない?」「今日は少し体がつらいからついてきてくれるとうれしいな」など、参加するメリットや相手の必要性などを訴えつつ誘うといいかもしれません。
2017年01月28日普通級から特別支援学級へと転学した長男。過ごしやすさはどう変化した?出典 : 小5の長男には、自閉症スペクトラム・ADHD・学習障害の診断が出ています。就学相談では普通学級を勧められて小学校へ入学しました。ところが学年が上がるごとに学習障害に苦しめられ、学校に行くことができなくなった長男。いろいろ悩みましたが夫婦で話し合った結果、今年の2学期から知的障害対象の特別支援学級に転学しました。長男が現在通っている支援学級では、3人の担任と4人の介助員とで、1年生から6年生まで十数人の子どもたちを指導しています。授業では、学年ごと3、4人の少人数指導で、1人ひとりの実態と目標に合わせた課題の提示をしてくれるので、今まで授業のスピードについて行けず、わからなくても聞くこともできずに、ただ授業時間を耐えていた長男にとっては、やっと「学べる」授業を受けられるようになったのではないかと思います。生活面では、朝学習と朝の会から始まる規則正しいスケジュールで時間にもゆとりがあり、スケジュール変更や慌ただしいことが苦手な長男にとっては、過ごしやすいようです。また、友達と遊ぶことが大好きな長男に、新しい学校で友達ができるのか?楽しく遊べるようになるのだろうか?という不安もありました。今は同じ学年の交流学級には行かず、支援級だけで学習や生活をしています。その中で、下級生の面倒をよく見るので慕われているらしく、6年生のお兄さんとは意気投合し、放課後お互いの家で遊ぶほど仲良くなることができました。先生方のフォローなどがきっと行き届いていることもあるのでしょうが、すぐにみんなと仲良くなれて、休み時間には楽しく遊ぶ毎日を送れていること、本当に良かったと胸をなでおろしています。それでも、悩みや不安は尽きなくて…出典 : 彼の特性に合ったカリキュラムにはなったけれど、長男本人にとっても、以前より学校生活は楽になったのかな…?私たち親にとっては、それが何より気になるところです。家での様子は、以前に比べて穏やかになったと感じています。イライラして当たり散らしたり、自分を責めて大泣きしたりすることは減ってきました。それでもたまに、「学校いやだな~」「今日も疲れちゃったよ…」という言葉を長男から聞くたびに、「なんで?何があったの?何がまだ辛いの?」とビクビクしてしまう私がいます。支援級に移ってもまだ毎日が辛いなら、後はどうしてあげたらいいの?わからない…。また、将来のことを夫婦で話し合うたびに、「支援級に移ったことで、長男が将来やりたいことができなくなったらどうしよう…」という弱音を吐いてしまいます。今まで辛そうな長男をずっと見てきたので、親の私が少し過敏になっているのかもしれません。そんなある日、長男が自ら語ってくれた現在の心境出典 : そんなある日のことでした。大好きなハンバーガーショップでニコニコとお昼を食べていた長男が、私と2人きりになったとき、急に話し始めました。長男「お母さんあのね…、今ね、毎日楽しいな~と思えるんだ。大変なこともあるけど、前より楽になった感じ。」私は急に話し出した長男にビックリしましたが、笑顔で「うんうん」と聞くことにしました。長男「そうだな~…小さい頃の僕に戻った感じかな。いろんなことが楽しいって思えるし、嫌なことがあっても、まあいっかって思えるんだ。幼稚園の年中さんぐらいからね、僕ずっと辛かったんだ。グラグラする吊り橋にずっと乗ってるみたいで、いつかヒモがブチっと切れるんじゃないかって、怖かった。今思えば、1番辛かったのが、3年生の頃だったな。色んなことがワーッて僕を襲ってきて、どうしたらいいのかわからなかった。今はね、大丈夫だなって、思えるんだよ。」私たちの選択は適切だった。長男に、そう励まされた気がして…出典 : 私はただ笑って、彼の頭を優しくなでていました。次男がそのとき席に戻って来なかったら、たぶん泣いていたでしょう。長男は、幼児の頃から自分が抱えている辛さを自覚していたのでしょう。でも、上手に表現できなかったし、助けを求めることもできなかった。ただただ「幼稚園行きたくない、学校行きたくない。」と言って泣くことしかできない彼に、当時の私は「わがまま言わないの!」と理解してあげられなかった…。どれほど絶望的で救いがなく、辛い毎日だったのか…。その頃の気持ちを客観的に捉え、今こうして表現できる長男に本当に驚きました。そして、今を「楽しい!」と笑顔で話してくれた長男に、私の方が救われたような気がしたのでした。夫婦で思い出したのは、子育てで最も大切なことだった出典 : ちょうどその日の翌日、夫が嬉しそうに私に話しかけてきました。たまたま通勤途中に長男の学校を通りかかったところ、支援級のみんなで朝マラソンをしている長男に会ったそうです。友だちと笑顔で話したり、じゃれあったり…本当に楽しそうだったとのこと。夫「俺、思い出したんだよ。長男は小さい時、あんなふうに底抜けに楽しそうな笑顔をする子だったよね。長いことあんな笑顔見ていなかった気がするけど、そういえば最近また見られるようになったと思わない?」ああ…支援級に移って、あの子は本当に良かったんだ。やっと心底、そう思えるようになった瞬間でした。不安は尽きない。それでも「楽しい!」と思える日々が、きっと将来への道につながっている出典 : それでも、将来への不安はやはりあります。彼が幸せな大人になるための道を、これからも親子で真剣に模索していかなくてはならないし、支援級にいたことで辛い思いをすることが、今後出てくるかもしれません。それでも、今を「楽しい!」と言って、前を向いて生きていける。本来、長男が持っている明るさや優しさを活かし、伸ばすことができる。そんな長男なら、きっと困難にぶつかっても乗り越え、自分の道を前へと進んで行けるんじゃないか…。今の彼を見ると、そう思えるのです。私たち親にできることは、彼が「楽しい!」と思える毎日を過ごせるよう、環境を整えていくこと。そして、困難にぶつかったときに、「一緒にいるよ」と伝えて、共に乗り越えていくこと。これからも揺らぐことはあると思いますが、改めて親として彼を支え、見守っていきたいと思います。
2017年01月23日4月からの就学先、親子の願い通り特別支援級に決定!でも周りの反応は…出典 : 我が家の娘は来年から小学生になります。就学先を決める就学相談の結果、「特別支援学級固定制が望ましい」との判定を受け取りました。娘はもともと、「人が少ないクラスがいい」と強く希望していました。私は娘の兄が過ごしていた通常学級を例に出しながら、・支援学級は、通常学級とは違った形の少人数のクラスだということ・支援学級でも、通常学級で一緒に過ごす機会などもあることなどを何度も聞かせ、意思の確認を行っていました。希望通りの結果になり、娘もホッとした様子でした。しかし私たちが喜んでいる一方で、特別支援学級へ就学になったことを周囲の人に伝えると、中には「え?!そうなの…(お気の毒に)」といった感じの反応をもらうことが何度かありました。どうも「特別支援学級に行く」ということは、「みんなと一緒では勉強についていけないかわいそうな子」というイメージでとらえられているようです。特に娘の場合は、「そんな風には見えないのにそれまた何で?」「やっていけそうなのに、どうしてわざわざそんな所に入れるの?」と疑問に思われているようでした。確かに一見すると問題なさそうに見える娘。でも本人に希望を聞いてみると出典 : 確かに娘は一見何の問題も「無さそうに見える」タイプかもしれません。発達検査の数字を見ると、大きな凸凹がありますが総合値は107と知的能力は平均的です。生活面も自分のことは自分でそれなりにできていますし、問題がないというよりむしろしっかりしているように見えます。たぶん、就学相談で私が特に何も言わなければ、通常学級への就学が決まっていたことでしょう。でも、そんな娘に、どんな学校に行きたいか聞いたときのことです。私「どんな学校がいい?」娘「人が少なくて、静かな学校がいい。」私「どうして人が少ないほうがいいの?」娘「だって、うるさいと疲れるでしょ?それに、お友達がいっぱいだったら困っても先生に言えない。」私「そうなんだねー。あと、先生が『〇〇してください。』って言ったときはどうかな?言われたとおりにできそう?」娘「んー。私は言われたことと違うことをしたり、何を言われたか分からなかったりするでしょ?いっぱい人がいたら教えてもらえなくて嫌だ。…ねえママ、いっぱいって何人くらい?幼稚園のクラスより多いの?」私「30人とか、35人とかかな?今のクラスより多いねぇ。」娘「人が少ないクラスは?」私「多くても多分8人くらいかな。」娘「8人!?そんなら絶対少ないクラスの方がいい!」迷いがなかったわけではない。それでも「娘を支援級に」と考えた理由出典 : 娘は、自分が大勢の中にいるとき、時には一対一でも指示が受け取りにくいことやうるさいのが苦手なことなど、自分がどんなことに困っているのかを幼いながらも自覚していたのです。私はそんな娘を頼もしく思いましたし、こうして一緒に確認することができたのは、私が支援級を希望する大きな動機にもなりました。私はそんな彼女が出来るだけ楽しく、心を壊すことなく通学できるということを最優先に考えました。そして娘が個性を持ったまま伸び伸びと成長するためには、通常級は厳しい環境になるというのが私の結論でした。娘は独特な感性を持っていると同時に、とても繊細な一面があります。ちょっとユニークな彼女が周りに溶け込めなかったとき、その自覚と感情などが言葉に繋がって、私に伝えられるようになったときはもう傷は相当深いものになることや、ちょっとしたことが二次障害に直結するだろうということは、私も主治医も予想するに難くありません。もちろん私も決して迷いがなかったわけではありません。「考えすぎかも」「過保護で心配性すぎかしら」と思ったこともありました。支援級だと送り迎えが必要だったり、自立活動などの時間が入るため勉強が遅れがちになるであろうことや、中学でも支援級だと内申がつかない可能性なども耳にします。それでも私が「娘を支援級に入れたい」と思ったのは、そこが娘にとって一番居心地のいい環境だと考えたからです。大切なのは、「子どもにとって」一番過ごしやすく、能力を最大限発揮できる環境を選択するということだと思います。子どもにとって過ごしやすい環境であれば、それだけトラブルや問題を回避することができ、親のストレスもそのぶん減らせるのではないでしょうか。支援級や支援学校に入ることは、本当に「かわいそうなこと」なのだろうか?出典 : おそらく私と同じように色々な心配をし、さまざまな葛藤や思いの中をグルグルと彷徨いながら、たくさんの考えを経て就学や進路を決めている保護者の方はたくさんいると思います。これだけの思いを経て出した選択なのに、「支援級」や「通級」「支援学校」などに通うことは本当に「かわいそうなこと」なのでしょうか?残念ながら、周囲の方々の中には「支援級」「通級」というものをご存じない方や、正しく理解していない方もまだまだ多数いらっしゃるかと思います。私も、私の親世代の方にはなかなかどういうものかを伝えることができず、最終的に「昔でいう障害児学級みたいなものだよ。」と説明したことがあります。でもそうすると「この子たちは『障害児』ではないでしょう?昔はこんな子いっぱいクラスにいたのに…」などとまた一から堂々巡りの説明に疲れてしまいました。他にも、その必要性を感じていながら我が子を支援学級や支援学校にへ入れることをためらい、家族の理解も得られず、ひとり我が子や学校と向き合い続けてる方もいらっしゃるでしょう。私のように周りの反応にモヤモヤしてしまったり、凹むこともあるかもしれません。ですが、それぞれに考え抜いて出した結論に、自信を持って良いと思うのです。私たちの結論や期待に十分沿えることができる教育環境であって欲しいのはもちろん、通級・支援級・支援学校に対する正しい理解や認識が広まり、子どもたちが、そしてその親たちが何の引っかかりもなく当たり前の選択としてそれらを選べる社会であってほしいと思います。
2016年11月06日付き添い登校でなんとか通っていた普通級。コーディネーターとの面談をする機会があり…出典 : 長男は小学2年生から特別支援学級に通っていますが、1年生のときは普通級でした。今回は、特別支援学級へ入級することになった経緯について、ご紹介したいと思います。入学式早々「学校、行かれへん!」となった長男。これでは不登校になってしまう!と、私が付き添いながら、ゆっくりと学校に慣れていきました。少し落ち着いてきた頃に、コーディネーターの先生から「1度面談しましょう」と声をかけてもらい、面談を実施。そこで言われたのは、「支援学級を受けてみてもいいのでは」というアドバイスでした。小学校入学を期に、長男の変化は家庭にも現れていました。まず、1人で祖父母宅に行きたがらなくなったのです。学校に行きにくいことと、祖父母の家へ行きたがらないことを、夫の両親に打ち明けると、それはショックだったようで、「母親が甘やかしているのがよくない」「いっそのこと引き取ろうか」という話まで出ました。不安になった私は、改めてコーディネーターの先生にもう1度面談をお願いしました。やはり「今は母親から引き離さないほうがいい」というアドバイスと、専門家から話をしてもらえばと、児童精神科の紹介を受けました。児童精神科で発達検査を受けることになった長男。そして…戸惑いを隠せなかった検査結果出典 : 私自身、子どもの心にいったい何が起こったのか知りたい、という気持ちもあり、児童精神科を受診することにしました。そこでは発達検査(WISC)を受けることに。しかし当時、何を言っても「いや!」と反抗的になっていた長男は、なかなか検査の質問に回答できません。全ての項目を終えるまでずいぶん時間がかかりました。後日、結果を聞きに行くと、「FIQなどの数値を正確に出すのは難しいが、おそらく60位だろう、発達障害であることは間違いない」と言われました。植物が大好きで、庭でいろいろ栽培の実験をするなど、探究心旺盛な毎日を過ごしていた長男。幼稚園でも特に指摘がなかったため、この結果をどのように捉えるか、正直ショックで戸惑いました。出典 : 先生に不安を打ち明け、今後のことについて相談しました。私「学校は1人で通えるようになりますか」先生「実年齢より数年遅れてると考えてください。幼稚園の子が1人で学校に通えますか。まずは特別支援学級に在籍することをお勧めします」私「以前はおとなしい子だったんですが、今は別人のように攻撃的になって、困惑しています」先生「他害などの問題行動は衝動性の現れです。カウンセリングを受けて治るというものではありません。療育で対応していくことになりますが、小学校低学年で受けられる施設はこの地域ではほとんどありません」希望するならば衝動性を抑える薬を出すことはきるが、まずは服薬無しでしばらく様子を見てはどうか?というのが医師の勧めでした。どう接していけばいいのでしょうかと尋ねると、教育大学の相談機関を紹介されました。診断書に書かれていた診断名は、自閉症スペクトラムおよび軽度知的障害でした。長男のために決断した「特別支援学級」への入級。準備に追われ、慌ただしく過ごす中…出典 : その後、特別支援学級への入級手続きを進めることにしました。検査結果には戸惑いましたが、コーディネーターの先生からのアドバイスや診断結果を受け、長男のためにはその方がいい、と判断したからです。手続きのためには、市のセンターで発達検査(K式)を受ける必要がありました。予約すると2ケ月待ち、その頃はちょうど夏休みでした。長男は嫌がりましたが、「検査が嫌な気持ちはわかるけど、学校生活を考える上でとても重要だから…」と丁寧に説明し、なんとか連れていきました。その結果、療育手帳を取得することに。長男の状況を夫の両親に伝える時は、できるだけ夫から説明してもらい、また、顔を見せる機会を増やすなど、できるだけギクシャク感を減らしていきました。子どもに診断が出ていることをどう伝えるかは、今も手探りです。ひとまず、より長男に合った教育を受けるため、という方向で説明しました。希望は捨てなくていい。診断名に惑わされず、子どもの資質を活かす方法を探して出典 : こうして私は、夏休みの間に心身を休ませ、頭を整理することができました。その後は腹を据え、書字、体育、そうじ、給食など、長男のつまづきに1つひとつ対応していきました。この頃から、発達障害関係の本やサイトを少しずつ見るようになりました。家では長男と本気で遊びました。身体づくりと関係づくりの両方を狙ってでしたが、ボール投げなど体を動かして遊ぶことは、私自身の心を落ち着ける上でも良かったと思います。遊んでいる間は、子どものことでガミガミ言うことを忘れます。長男も、登校の覚悟を決めるまで時間はかかるものの、布団から出られない、ということはなくなりました。それと同時に、長男のココロとカラダの個性もくっきり見えてきました。一見「退行」に見える現象も、長男自身の生き伸びる力の発露だったのかもしれません。悩みつつ、面白がりつつ。2年生からは支援級の先生も巻き込んで、社会の中で、長男の資質を生かし、いきいきと過ごす方法を一緒に探求しています。
2016年09月27日