毎日の通学、クラスメイト、教壇に立つ先生、ぜーんぶなし!17歳のわが家の娘いっちゃんが通っているのは、生徒数が多いことで有名なある通信制の高校です。登校して授業を受けることもできますが、いっちゃんは、ASD(自閉スペクトラム症)に加え、非24時間性睡眠覚醒症候群と呼ばれる睡眠障害もあるため、日中登校することが難しく「通信コース」と呼ばれる完全在宅のコースに在籍しています。在宅なので、通学・クラスみんなで一斉に座る机・目の前にいる先生……など、学校と言われて思い浮かべる光景は当然ありません。「さーて、やるかあ」と言って、パソコンの前に座るだけです。Upload By 寺島ヒロオンラインでのリアルタイム授業やメタバースHRも!普段の授業は、録画ビデオを見てレポートを提出する形式で行われますが、週に1~2回程度、オンラインやメタバースを使ったリアルタイムの授業やHRもあります。その日に授業を受けられない場合は、あとでアーカイブを見ることもできます。アーカイブは大体動画サイトにアップロードされるのですが、視聴可能な人を生徒用アカウントに制限し、アクセスを管理しています。この柔軟な授業形式は、いっちゃんにとっては良い環境のようで、今のところ大したつまずきもなく、着々と単位を取得しています。予定変更に弱い特性のある子には意外と良い!?録画授業録画ビデオでの授業は、すでに用意された授業を公開するシステムなので、予定は早めに(1学期の分が2月中には!)全て提示されます。余程のことがなければ時間通りに実施されるため、急な予定変更に不安を感じやすい娘には大変都合がいいみたいです。Upload By 寺島ヒロゲームのクエストのように次の課題を教えてくれるまた娘の学校では、生徒用アカウントと共に「マイページ」と呼ばれるシステムがWeb上にあり、まるでシミュレーションゲームのホーム画面のような分かりやすいUI(ユーザーインターフェース)で、取得した単位や授業内容をいつでも確認できるようになっています。それはまるでロールプレイングゲームで次のクエストを確認するような感覚。「次に何をやればいいのかな?」と迷いがちな娘には大変うれしいシステムなのです。イベントは数多く、課外授業も充実しているけれど……娘の通っている高校は生徒数がとにかく多いので、さまざまなイベントや課外授業が毎日のように開催されています。学校が主催するものはもちろん、生徒会、部活、生徒の有志が主催になるものもあります。いっちゃんは、イラストやデザインの課外授業やイベントに積極的に参加しています。ただ実際は、こういうイベントが好きでいろいろ参加しているという人は、生徒さんの中では少数派なのではないかと思います。課外学習とか、学校全体で2万人も生徒がいるのに30人とかの募集ですしね……。そのあたりは、やはりどこかに集まって何かをするということが難しい通信制の一面が表れているのかもしれません。同調圧力をかけられるのも、かけるのもキライ!な娘しかし、いっちゃんは「集まらないからこそ、クラスメイトの『やりたくない』という雰囲気に巻き込まれることなく、自分の好きなことに好きなだけチャレンジできるから良い」と言います。「逆になんか私がやる気になって、それほどでもない人が協力してくれるみたいになるのも嫌だ」「やっても良い、やらなくても良いって雰囲気だから楽」なのだそうです。人目があると伸びる人、縮む人人目があったほうが頑張れる、人目があるから勉強しなければいけないと思えるという人もいますが、人目があると遠慮してしまう、思うように行動できないという子もいます。うちでは娘がそうでした。Upload By 寺島ヒロ通信制高校というと、就職率が……とか、大学進学率は……とか、気になる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、通信制の学校というものを、そういう「縮むタイプの子」が伸びる(かもしれない)場所として捉え直してみても良いのかもしれないと私は思います。執筆/寺島ヒロ(監修:室伏先生より)通信制高校の日常のリアルを共有してくださり、ありがとうございます。通信制高校を希望される方も増えていますので、通われている方の生の声はとても貴重な情報です!通信制高校は、基本的には遠隔で行われる授業を元に自身で学習を進め、レポートやスクーリング、テストなどにより単位を取得していくというスタイルをとっています。自分のペースで学習を進めることが苦手な方にとってはデメリットとなってしまう懸念もありますが、いっちゃんにとっては、人目を気にせずに自身の能力を伸ばす場所になっているだけでなく、自己管理能力をさらに鍛える機会になっているようにも思います。実際に登校すべき頻度や、イベントや課外活動の活発さなどは学校により異なりますので、ご自身の希望に合う学校を見つけられるとよいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月27日いよいよ発達相談。悩める母の救いの手となるか!?保健師さんによる発達相談……相談したいことだらけ、分からないことだらけで毎日闇の中を手探りで進んでいた私たち親子にとって、唯一の救いの手のように思えました。この子の未来を、私たちの毎日を明るく照らせるような方法を、道を教えてほしい……。わらにもすがる思い、だったんです。その時は。Upload By よいこ「この子は普通の幼稚園で大丈夫なんでしょうか?」「家でできる療育はありますか?」 相談室に通されるなり矢継ぎ早に質問した私にも問題はあったのかもしれないし、今思えば無責任に答えられない側面はあったのでしょう。Upload By よいこけれど、対応してくれた保健師さんは戸惑いながら「それはちょっと分かりませんね」「あまり分かりませんね……」を繰り返すばかり……。のれんに腕押し感というか、発達相談に来た意味とは?と思わざるを得ませんでした。発達相談に来た意味はあったの?とりあえず児童精神科の予約を取ったけれど……思うような答えを得られないまま、発達相談の時間は終わりに近づいていました。保健師さんのすすめで、とりあえずその場で児童精神科の予約を取りました。半年後の……。いや、そこまで何もできず手をこまねいているのか!?こんなに不安を煽っておいて放置とかちょっと……。と軽い苛立ちと焦りを抱えつつ、結局ほとんど何も相談できずに発達相談を終えたわけです。この時の心境は……割と絶望寄り。あら、もしかして誰に聞いてもこの解像度?私の不安や苦しみってすくい上げてもらうことはできないの?言葉を尽くして説明しても伝わらない?響かない?……発達相談への期待が大きかった分、失望も大きかったんですよね。Upload By よいこ大きな失望の中、かかってきた一本の電話。そんなこんなで一週間ほどモヤモヤした気持ちのまま過ごしていたところ、一本の電話が鳴りました。それは前回とは異なる保健師さんからの電話でした。曰く、「あーくんの様子をお聞かせいただきたいので、一度お宅に伺ってもよろしいですか?」そう、保健師さんによるお宅訪問の予定伺いだったのです。「そんなのあるんだー」と承諾はしたものの、私の本当の気持ちは、めんどくさい、嫌だなあ……でした。そもそも前回の発達相談で、保健師さんに対して期待を裏切られたと感じていたので、何か解決策が得られるとも思えず、片付けるのも手間だし……と後ろ向きになっていたからです。でもまあ仕方ない。来るものは来るのだから。と半ばヤケクソ気味で迎えた保健師訪問。まさかこの時はこれが救いの一手になるとは1ミリも想像していなかったのでした……!Upload By よいこ執筆/よいこ(監修:室伏先生より)よいこさん、発達相談にまつわるエピソードを共有いただき、ありがとうございます。親御さんとしては、発達の今後の見通しや通園に関すること、療育に通う必要があるのか、どんな療育が合うのか、ご自宅でお子さんに対してしてあげられることは何か、とっても知りたいですよね。よいこさんがされていたご質問は、発達外来でもよくご質問いただく内容です。そこで、分からないですね、お答えできません、ひとまず様子をみましょう、という返答ばかりでは不安になってしまいますよね。確かに、これらのご質問のお答えはお子さんによって異なりますので、発達外来の医師であってもお会いさせていただいたばかりでこれらの質問にお答えさせていただくことは難しいかもしれません。でも、その疑問の答えをどこで聞けるのか、今何かできることがないのか、そして今後のおおまかな方針だけでも聞くことができたら、安心できたかもしれませんよね。発達外来では、まずは親御さんのご質問内容をお伺いした上で、お子さんの評価を行い、それからご質問にお答えをさせていただくようにしています。とはいえ、この評価にはそれなりに時間がかかります。親御さんから困りごとや生活のご様子、これまでの発達のご様子をお伺いして、実際にお子さんのお話している様子や遊んでいる様子を観察し、診断、見立てをしていく必要があるからです。ですので、受診していただいた当日にはクリアな回答をお出しできずに、複数回の診察を重ねて少しずつお答えさせていただくことも多いです。保健師さんの訪問がどのようによいこさんを救ってくださったのか、よいこさんがまた別の機会に書いてくださるのを楽しみにしていますね。前の記事はこちら
2024年03月26日長男が、2歳半ごろのお話です。長男はクレヨンで絵を描いたり、ぬり絵が大好きでした。不思議だけど…当たってる!ある日「ママね、君がおなかにいるとき痛い痛いだったよ」と話すと、長男が「僕も首、痛い痛いだったよ」と話してくれました。そのとき私は、長男の首にへその緒が一重に巻かれていたと言う産婦人科の先生の説明を思い出しました。しっかりと胎内記憶が残っていた話です。また、ぬり絵を長男がしているときに、「緑が好きなのね」と言うと、長男が「僕、おなかにいるとき、赤かった、白かった」と話してくれました。おそらく、赤のときは太陽の光を浴びているとき、白のときは雨や曇りのときを、おなかにいるときに感じたのかなと思いました。 ◇◇◇ この出来事を通して、胎内記憶は本当にあるのだと、思うことができました。最初にわが子から聞いたときには、不思議な出来事だなぁと思うばかりで信じられない気持ちでしたが、産婦人科の先生から聞いた話ともリンクするので胎内記憶をしっかりと受け止めました。 作画/てる子著者:井上千尋40代、子どもたちも大学生になり、ようやく、あとひと息かなと思う今日この頃です。監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2024年03月25日保育や児童発達支援など、11事業28施設を運営する株式会社SHUHARI(本社:埼玉県志木市本町5-8-5)では、児童発達支援センター 元気キッズ チルズ(埼玉県朝霞市)にて、継続的に実施しているグループ内児童発達支援施設の利用者を対象とした「ヘアカット体験会」の第6回を2024年4月に開催いたします。元気キッズ チルズ外観■生きるために必要なヘアカットを、楽しいものうれしいものと思ってほしい発達に課題を抱えるお子さんの中には、一般の理美容室でのヘアカットが難しい子がたくさんいます。慣れない場所で慣れない人がハサミやバリカンをもっているのでパニックになってしまう子も少なくありません。そんなお子さんたちにとって、生きるうえで必要なヘアカットを少しでも「楽しいもの」「うれしいもの」と感じてほしい。そんな思いから2023年に10月27日に第一回ヘアカット体験会が実施されました。■きっかけは現役の美容師さんからのお声がけ青野氏今回お力を貸してくださったのは現役美容師の青野 賢士氏。ヘアカットが難しい子どもたちへ、何か力になりたいという思いから今回ボランティアとしてご協力くださいました。元気キッズの職員とご友人で、何気ない話の中でご自身の想いが元気キッズなら実現できると、お声がけいただきました。■いつもの場所、いつもの人がいる環境で、ヘアカットに慣れていくヘアカット児童発達支援センター 元気キッズ チルズの一部屋を利用し始まった体験会。いつも通っている施設での開催ということもありすんなりヘアカットができる子、やっぱり慣れなくてヘアカットを拒否する子など様々な反応がありました。初回は「慣れること」を重視し、決して完璧なヘアカットとはいかない部分もありましたが前髪がさっぱりして「可愛い!」「かっこいいね」という声に笑顔で返してくれるお子さんも。青野氏も、体験会を行うたびに「今回はこうだった。ああした方がよかったかもしれない」など子どもたちへの関わりについて試行錯誤されながらカットをされています。完璧なカットではなく、子どもたちが安心した空間の中でのカットを心掛けてくださっています。■保護者からは予想を大きく上回る反響が初回の開催以来、保護者の皆様からはたくさんの反響をいただきました。人数にも限りがある中、「次はいつですか?」と言っていただくこと少なくありません。すでに5回の体験会を実施していますが、毎回希望者が殺到している状況です。元気キッズの児童発達支援を利用される保護者の皆様の中にも、お子様のヘアカットに対して大変な思いをされた方がこんなにも多くあることを再確認しました。継続して活動を行うことで、きれいに整った自分を褒められてうれしい!と感じられたり、ヘアカットに慣れ、いずれは外部の理美容室へ行けるようになったりできることを目指しています。今後も青野さんのお力をお借りしながら邁進してまいります。■この活動をもっと広げるためにこのヘアカット体験会は月に1~2回程度で実施しています。現在はグループの児童発達支援施設利用者の方を中心に行っていますが、ゆくゆくは地域の理美容室とも協力しながらこの活動を広めていきたいと考えています。第6回ヘアカット体験会は4月に開催予定です。詳しくは下記のコーポレイトサイトのお知らせにて詳細を公開予定です。■元気キッズグループについて元気キッズグループロゴ「どんなGENKIもうけとめる」をコンセプトに多様なGENKIを認め合う保育・療育を理念とした、保育園や児童発達支援事業所を含むグループ。保育園から始まり、地域課題に向き合い、認可保育園、小規模保育園、埼玉県初の居宅訪問型保育、学童保育、病児保育、保育型児童発達支援、ペア指導型児童発達支援、相談支援など11事業28施設を埼玉県朝霞市、志木市、新座市で運営。インクルーシブな地域社会を作る事業、活動を行う。2023年には朝霞市から障がい児等療育支援事業を委託され、地域における障がい児支援の質の向上、医療的ケア児支援連携強化事業にも尽力している。また、代表 中村 敏也著書には「保育・療育で地域オンリー1になる 保育園運営の教科書」(かざひの文庫)、「発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください!~発達障がい、グレーゾーン…」(かざひの文庫)がある。【会社概要】会社名 : 株式会社SHUHARI所在地 : 〒353-0004 埼玉県志木市本町5-8-5 中村ビル2階代表者 : 代表取締役 中村 敏也設立 : 2009年2月26日元気キッズグループHP: 事業内容 : 認可保育、小規模保育、病児保育、居宅訪問型保育、学童保育、保育型児童発達支援、放課後等デイサービスペア指導型児童発達支援、居宅訪問型保育、保育所等訪問支援、相談支援 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月25日母子共に強迫性障害(強迫症)私は23歳の時、強迫性障害(強迫症)を発症して入院していました。現在23歳の息子も23歳、ASD(自閉スペクトラム症)、知的障害(知的発達症)のほかに強迫性障害(強迫症)があり通院中です。私が実際に行った強迫性障害(強迫症)の治療には、薬物療法だったり、認知行動療法だったり、認知行動療法の中の暴露法だったり、森田療法などがあります。私は患者の会である自助グループに参加しているのですが、良い意味でとても凄く理屈っぽい議論が交わされ、多くの学びを得ています。ます。ただ、知的障害(知的発達症)のある息子には理解しにくい内容なので一緒には連れて行っていません。不安という感情を抱えながらなすべきことをなす私はある自助グループに通うようになり、このようなことを学びました。不安があったとき、みなさんはどのように考えますか?例えば飛び込み台から飛び込まなくてはならない状況の時、A.飛び込むのを止めるB.「怖くない、怖くない」と不安をかき消す言葉をかけながら飛び込むC.「怖い」と思いながらも、行動する。飛び込こんでみる飛び込み台の例は極端ですけれども、A.飛び込むのを止めると、これ以降も飛び込むことができできなくなります。B.怖くないという感情に意識が行きすぎてしまうと、反対に「怖い」という感情が強化されてしまいます。不安をかき消そうと不安にスポットを当てれば当てるほど、不安が増大してしまうからです。C.のように自分の自然の感情に蓋をしないで、その思いを持ちつつもともかく行動してみます。すると飛び込めた事実によって自信がつきます。このことを他のケースに当てはめてみたいと思います。私は著者で講演依頼を受けることもあるのですが、依頼を受けた時、とても苦しく不安な気持ちになります。というのも、緊張しすぎてお腹が痛くなるからです。過敏性腸症候群です(身体的には病気ではないのに、腸がギュルギュルしてしまう)。これを先ほどの例に当てはめると3つの方法があります。人前でスピーチをしなくてはならない時、A.話をすることをやめて、依頼を断るB.「あがってはならない」「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせてスピーチに臨むC.不安、恐怖を抱えながらなすべきスピーチを行う人は自分の感情を自分の気合や努力で何とかできると思ってしまいますが、心臓や胃の動きを自分でコントロールできないように、自然に沸き起こる恐怖を自分の力でなくすことはできません。不安という感情はそのままにして、なすべきこと(飛び込む、スピーチをする)に意識を向け、それを行う。飛び込めた、スピーチできたという体験を通して自信になり、そのことによって不安という感情を抱えながらなすべきことをなせるようになるのです。このように考えながら、強迫性障害(強迫症)とつきあっています。定型発達の子とわが子を比べてしまう“比べる病”もコントロールできない感情。自分を責めてはいけないこの考え方は、発達障害のある子どもの育児でも参考になります。パートナーがいない時結婚式に招かれて、幸せな友人を見て素直に喜んであげられない自分を責める。妊活仲間が妊娠しても、自分の不妊治療がうまくいかないと「おめでとう」と素直に喜べない。これらも自然な感情です。「こんな風に思ってしまう私はなんて器が狭いんだろう。ダメな人間だ」と自分を責めてはならないと思うのです。同様に定型発達の子を見ては比べてしまい、「羨ましい」と思う。これも自然な感情、自分ではコントロールはできません。抑えつけてしまい「他の子をうらやむ自分はなんてダメな母親なんだ」と自分を責めないでほしいと思います。責めれば責めるほど、ますます、自分を追い込んでしまうからです。強迫性障害(強迫症)での体験を通して、自分の心から湧き上がる感情はコントロールできないことを私は学んでます。自分を責めない……まずそこを前提として、発達障害があるわが子と向き合うことが大切だと思っています。執筆/立石美津子(監修:森先生より)「自分の感情を否定しない」ということは大切ですね。人間誰しも、時にネガティブな考えが頭に浮かぶことはあります。そんな時に自分の感情に蓋をしてしまうと、後々になって感情が爆発したり、うつ病や心身症などの問題となってしまうことがあります。また、つらい状況であることが周囲からもわかりにくく、周囲から手を差し伸べることが難しくなってしまいます。不安、恐怖、嫉妬などなど……ネガティブな感情も、自分自身の心を構成する要素のひとつです。立石さんのように、ネガティブな感情も含めて受け入れて、感情とうまく付き合っていく方法を探していけるといいですね。前の記事はこちらUpload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月25日京都の保育園の挑戦ーー『保育園に心理士がやってきた 多職種連携が保育の質をあげる』Upload By 発達ナビBOOKガイド京都市にある認可保育所「みぎわ保育園」は、全国でも珍しい常勤心理士がいる保育園です。本書には、9年前まではごく一般的な保育園だったみぎわ園が、保育園に心理士を導入し、現在の「ユニバーサルデザイン保育」にまでたどり着いた道のりと共に、心理士や保育士など多職種の専門家たちが連携し、保育の質の向上をめざした同園の取り組みが紹介されています。「保育園で常勤の心理士を雇用する」、この理想を実現するにはたくさんの試行錯誤、汗と涙と、そして笑顔がありました。同園が発達支援分野に力をいれるようになった経緯から、保育現場に心理士の存在が受け入れられるまでのストーリー、保育園心理士の基本姿勢と専門性の活かし方や、みぎわ園における保育園心理の具体的な役割などが、数々のエピソードと共に記されています。そして、保育士と心理士だけではなく、保護者も地域の人々も、多くの目と手が関わり、連携することによって、障害があってもなくても、子どもをみんなで受け入れて育てていく社会を実現する。その方法の一つを、この本は提示してくれています。だれでも楽しく取り組めるーー『絵をみてまねっこ!いっしょにできたねおしゃべりカード』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、言語聴覚士の寺田奈々先生が相談室でおこなっている言葉の練習を、だれでもどこでも取り組めるように考案した言葉の発達支援教材です。「言葉を理解しているけれど、おしゃべりが苦手」「言える音が少ない」「おしゃべりが著しく不明瞭」「断片的・部分的なおしゃべりが多い」「身振りで伝えることが多い」など、このような悩みがあるお子さんに向けてつくられています。企画・監修の寺田奈々先生は、子どものことばの発達全般・吃音・発音指導・学習面のサポート・大人の発音矯正を専門とし、総合病院や区立障害者福祉センターなどに勤務。年間100症例以上のことばの相談・支援に携わっています。臨床のかたわら、「おうち療育」を合言葉にこれまでも数々の教材を発表しています。子どもが絵を見てまねをすることで言葉の発達を促すことを目的とした本書は、言語聴覚士の視点で選んだ言葉の練習に用いりやすいフレーズが書かれた50枚の「おしゃべりカード」、動物のイラストが描かれた5枚の「お口のたいそうふだ」、ガイドブックで構成されています。ガイドブックには、カードの使い方や練習方法だけではなく、発音の仕組みなど言葉の発達に関する基礎知識もやさしく解説されています。かわいいイラストが子どもの興味を引き、おうちで楽しみながら取り組めるように工夫された本書。「いっしょにできたね」と、わが子の成長を感じられるひと時も与えてくれるのではないでしょうか。2つの障害はどう関連するのかーー『知的障害と発達障害の子どもたち』Upload By 発達ナビBOOKガイド令和4年度の文部科学省の調査では、小・中学校の通常学級では特別な配慮が必要だと思われる子どもは8.8%いるという報告がされました。発達障害の特性がある子どもが多く含まれると考えられますが、そのなかには軽度知的障害や境界知能に該当する子どもが見逃されている可能性もあります。さらに、知的障害(知的発達症)のある子どもが在籍している特別支援学級・特別支援学校を合わせると、義務教育期間中の全体の一割以上は特別な配慮が必要な子どもたちなのです。本書では、発達ナビにもご寄稿いただいている精神科医の本田秀夫先生により「知的障害とは何か」「知的障害と発達障害にはどのような関連があるのか」「知的障害がある子をどうやって育てていけばいいのか」が分かりやすく解説されています。さらに、気づかれにくい軽度から境界知能についても言及されています。知的障害がある子どもの支援において大切なことは「早く」と「ゆっくり」であると本書では記されています。「早く」早期発見・早期支援を指しますが、「ゆっくり」も支援において重要なキーワードとのこと。前半では、発達障害と知的障害の基本を、後半では「ゆっくり」の意味の解説と、「ゆっくりな子どもをどう育てていくのか」が丁寧に紹介されています。本田先生の豊富な臨床経験から紹介されたさまざまな事例と、医学的知見に基づいたよりよい接し方を盛り込んだ本書。保護者はもちろん、園や学校の教育現場、支援者や医療関係者など、日々子どもたちと接する方にとって、手元に置いておきたい一冊となるのではないでしょうか。この街で生活していいんだと思えるためにーー『地域で育ち、地域で暮らすを支える発達支援』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、「障害がある子どもたちが地域で育ち、地域でくらすことを支援するためにどうしたらよいか」ということを、編著者の社会福祉法人青い鳥川崎西部地域療育センターが、これまでの数々の実践とエビデンスに基づく支援の方法をまとめた一冊です。川崎西部地域療育センターの開所は平成22年ですが、運営している法人「青い鳥」は50年以上の歴史があります。法人の設立当時は発達について継続して相談するところもなく、障害がある子どもをどのように育ててよいものなのか保護者たちは途方に暮れた時代でした。そのような中、法人「青い鳥」は、長きにわたり、子ども・家族・地域と向き合い、試行錯誤を重ねてきました。本書の特徴は教科書的な内容ではなく、これまで職員たちが出会ってきた子どもや家族との実践が、その温度感や手ざわり感と共に届けられていること。また、子どもたちのために開発された教材や、支援の具体例などがたくさんの写真や図表を用いて紹介されています。子どもを一人の人間として尊重し、専門職が家族と協力して、地域でその子ならではの生き方を貫くためのヒントがぎっしりと詰まった本書。子どもの支援に関わるすべての人に習得してほしい知識や技術、そして感動までもが満載です。親も子どもも笑顔になれる子育てのヒントーー『育ててわかった 発達障害の子の就学・就労・自立の話』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は発達ナビでライターとしてコラムを執筆中の立石美津子さんが、ASD(自閉スペクトラム症)のある息子さんを出産し共に歩んだ23年間をまとめた一冊です。障害がある子どもを出産し、たくさんの壁を乗り越えてきた立石さんが伝える、親と子どもも笑顔になれる子育てのヒントがまとめられています。発達障害を理解し、親として子どもとの向き合い方を学べる一冊です。障害受容、療育選び、カミングアウト、学校選びなど、子どもの将来を左右する大切な分岐点で、親としてぶつかるさまざまな悩みと解決方法を、立石さんと息子さんのエピソードを交えながら具体的に記されています。第1章ではASD(自閉スペクトラム症)の息子さんの体験から綴られた「発達障害がある子の特徴」について、第2章では障害と向き合う心構えについて、第3章では子育てで気をつけたいことが、自身の体験をベースに記述。さらに第4章では学校選びのポイントや、第5章では大人になってからの向き合い方についてなど、成人した子どもをもつ保護者ならではのエピソードが共有されています。最後の第6章では、保育者や支援者との関わりの中で感じたことなど、発達障害の理解を深めるために保護者として今感じることが書かれています。発達に課題があるお子さんのことで悩んでいる保護者の役に立ちたいという想いを込めて執筆された本書。同じ立場だからこそ伝えることができる子育てのヒントや、発達障害がある子どもを育てる気持ちなど、共感しながら学べる一冊ではないでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年03月24日知的障害(知的発達症)とは?知的障害(知的発達症)は論理的思考力や計画、判断など勉強に必要となる知的能力と、社会的なコミュニケーションなどの適応機能の遅れが発達期(おおむね18歳まで)に見られる障害です。知的発達症などと呼ばれることもあります。継続した支援がない場合、知的障害(知的発達症)のある人は、家庭や学校、職場などさまざまな状況において、コミュニケーション面や行動面、学習面などで困り事が多く表れると言われています。参考:知的障害(精神遅滞)|厚生労働省 e-ヘルスネット参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版知的障害の種類は?知的障害(知的発達症)の基準は、行政や医療などによって違いがありますが、多くの場合、障害の程度によって、軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と4つの種類に分類されています。分類はIQで表される知能指数と、社会的な能力である生活能力(適応能力)の両方を考慮したうえで行われます。厚生労働省の基準では知的障害(知的発達症)の程度を知能指数(IQ)と生活能力(適応能力)の両方を評価したうえで判定します。以下の表にあるように、知能指数(IQ)がⅠからⅣに、生活能力(適応能力)はaからdとどちらも4段階に分けられており、その兼ね合いによって程度が決まります。例えば知的指数(IQ)が軽度相当の51だとしても生活能力(適応能力)が最も困難を示すaの場合は「中度知的障害」と判定されることもあります。Upload By 発達障害のキホン参考:知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省厚生労働省での知的障害(知的発達症)の程度ごとの状態の目安は以下のようになっています。I :おおむね20以下II : おおむね21~35III :おおむね36~50IV :おおむね51~70適応能力は次のような判定表を用いて、aからdの4つに分類されます。・食事:一人でできる/介助要 /できる・用便(月経)の始末:一人でできる/介助要/できる・衣服の着脱:一人でできる/介助要/できる・簡単な買い物:一人でできる/介助要/できる・家族との会話:通じる/少し通じる/通じないここに挙げたのは基準の一例です。療育手帳を取得する場合は各自治体で別途基準を設けていることもあります。なお、医学的な診断基準である『DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版改訂版』では軽度・中等度・重度・最重度と4つに区分されていますが、知能指数(IQ)での目安は明示されていません。知的機能と適応能力について、概念的領域(記憶や言語、論理的思考など)、社会的領域(対人コミュニケーションなど)、実用的領域(生活における能力など)の3つの領域の状態から重症度を特定します。参考:日常生活能力判定表|宝塚市知的障害(知的発達症)は遺伝する?知的障害(知的発達症)が親から子へ遺伝するのか気になる方もいると思います。知的障害(知的発達症)の原因は一つだけでなく、さまざまな要因が重なっている事が多い傾向があります。遺伝も要因の一つですが、まれだと言われており、ほかの原因により知的障害(知的発達症)が生じる場合もあります。知的障害(知的発達症)の原因としては、遺伝以外にも妊娠中の感染症、母体の低栄養、アルコールや薬物の影響なども考えられています。また、出産時や出産後の低酸素症や脳感染症、頭部への負傷なども原因となり得るとされています。遺伝子疾患、染色体疾患など、先天性の疾患が原因で知的障害の症状が表れる場合もあります。なお、上記のような疾患がある場合も、必ずしも知的障害があるというわけではありません。このように、知的障害(知的発達症)には遺伝的な要因もありますが、遺伝以外の要因によっても生じる可能性もあります。参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版1歳ごろに知的障害の症状は表れる?発達の遅れ、違和感、1歳半健診などここでは、知的障害(知的発達症)のある1歳児に表れる症状について紹介します。1歳頃の赤ちゃんは簡単な言葉を発したり、一人でおもちゃ遊びをしたり、いないいないばあをして笑ったりといった様子が見られ、食事の面では離乳食から普通食へ変わり、スプーンも使えるようになってくる頃と言われています。知的障害(知的発達症)のある子どもは以下のような様子が見られることがあります。・おもちゃで遊ばない・あまり笑わない・あまり泣かない/いつも泣いている・つかまり立ちをしない・歩かない・喃語を話さない・保護者の言葉に反応しない・かむ力が弱く離乳食が進まない・全体的に発達の遅さが見られるただ、上記のような様子が見られるからといって、必ずしも知的障害(知的発達症)というわけではありません。赤ちゃんの発達は個人差があることや、ほかの病気や障害が背景にある可能性もあります。心配な様子がある場合は、後ほど紹介する相談窓口に問い合わせてみるといいでしょう。参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版参考: 0歳児から2歳児の発達過程|東京都保健福祉局保健センターで行われる乳幼児健診に1歳半健診があります。1歳半健診では子どもの発達について詳細な質問項目が用意されていて、発達が年齢相応かどうかを測ることができるようになっています。1歳半健診における質問項目をいくつか抜粋して紹介します。・絵本を見て知っているものをさしますか。・周りの人の身振りや手振りをまねしますか。・自分の好きなおもちゃで遊びますか。・かんしゃくをよく起こしますか。・手をひかれて階段を上がることができますか。・手足の動きがぎこちなく突っ張った感じがありますか。・鉛筆を持ってなぐり書きをしますか。・スプーンを使って食事ができますか。・大人の言う簡単な言葉が分かりますか。(おいで・ねんね・ちょうだいなど)・何かに興味を持った時に、指さしで伝えようとしますか。などこういった項目にはい/いいえで回答していき、発話や人への興味、指さし、運動面などで発達の遅れが見られる場合は、医師からアドバイスなどがもらえることがあります。また、気になることがあれば保護者から医師や保健師などに相談することも可能です。参考:乳幼児健診における標準的な項目一覧|厚生労働省1歳ごろに表れる知的障害の症状をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐに知的障害(知的発達症)と診断されるわけではありません。発達の遅れが気になる……どこに相談をすればいい?普段の様子や周りの赤ちゃんと比較して、うちの子は発達が遅れているのではと心配な保護者もいると思います。また、1歳半健診では「様子見」と言われたが、やはり気になるという場合もあるでしょう。そういったときに相談できる窓口がありますので紹介します。かかりつけの小児科予防接種や健診で定期的にみてもらっているかかりつけの小児科にまずは相談しましょう。定期的にお子さんの発達をみてもらいながら、必要だと思われる福祉的な支援などについても相談してみても良いでしょう。保健所/保健センター保健所も保健センターも、地域における保健衛生を担当する専門機関です。子どもの発達に関しても相談でき、医師や保健師など専門的なスタッフが相談に対応しています。児童相談所18歳未満の子どもに関するさまざまな相談を受けつけている機関で、発達の遅れについても相談することが可能です。児童福祉司、児童心理司、医師、保健師などのスタッフが対応しています。児童家庭支援センター身近な地域で子どもに関する相談を受けつけている機関です。発達の遅れに関してもアドバイスがもらえるほか、児童相談所などと連携した対応も行っています。児童発達支援センター障害のある子どもが通いながら、日常生活や集団生活への適応を目指してさまざまなサポートを受けることができる場所です。児童指導員、保育士、医師など専門のスタッフもいて、発達の遅れなど気になることを相談することもできます。まとめ知的障害(知的発達症)は知的能力と適応能力に遅れがあり、支援を受けていないと身の回りのことや学習などで困り事が生じる場合があると言われています。知的障害(知的発達症)の子どもは、1歳頃から今回紹介したような様子が見られる場合があります。しかし、子どもの発達は個人差が大きいものです。子どもの発達が遅いなど気になることがある場合は、不安を抱え込まずに1歳半健診の際に相談したり、そのほか相談できる専門機関に問い合わせてみたりするといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年03月23日新生児の頃、長男がおとなしかった理由は……長男は生後1ヶ月の頃、先天性甲状腺機能低下症と診断されました。成長に大切なホルモンが正常に出ていないと医師に話をされました。あまり泣かずよく寝ており、「おとなしい子だなぁ」と感じていましたが、それは先天性甲状腺機能低下症の影響であると説明を受けたのでした。治療を開始し症状は安定しましたが、発育について私はとても心配していました。しかし歩行や発語の遅れは特に感じず、身長や体重などの成長も順調でした。1番初めに覚えた違和感……同じ場所を行ったり来たり常同行動が始まった1歳半の頃心配をしながらも長男は順調に成長していきました。そのような日々のなかで、私が1番最初に長男の行動に違和感を覚えたのは、だいぶ走れるようになった1歳半過ぎの頃でした。「特定のお気に入りの物を持ち、同じ直線を行ったり来たり走る」という常同行動が目につくようになったのです。 男の子がよくヒーローの世界などに入り込み、走ったり戦ったりすることは聞いたことはありましたが、そんな要素もありつつ、でも何か違うような……。しかしまだ幼いこともあり、よくある子どもの行動かもしれないと様子を見ていました。 しかし、2歳になるとその常同行動を1日に何度もやり、多いときは1日の半分以上走っているということもよくありました。夫も若干何か感じていたようで、当時何度か夫婦で話をしましたが、本人がとても楽しそうなので、なんとなく「これは長男にとって大切な時間なのかもしれない」と、2人で納得していました。行ったり来たり走っている時も声をかければ切り替えもできていたし、特に誰かを傷つけたり迷惑をかけるということもなかったので深く考えすぎないように見守っていました。Upload By ねこじまいもみ2歳頃、保育園での息子の様子は長男は2歳で保育園に通い始めました。登園時に泣くこともありましたが、徐々にすんなりと通えるようになりました。保育園ではおままごとのフライ返しがお気に入りだったようで、お迎えに行くとそれを持って1人で部屋の隅をちょこちょこと走っている姿を毎日毎日見かけました。保育士さんに「1人でいつもよく走っていますか?この行動について何か感じたりしますか?」と尋ねたことがありました。保育士さんは「みんなで取り組む時はちゃんと参加していますよ。受け答えも切り替えもきちんとできてますし、問題行動もありませんよ。本人も楽しそうに過ごしているので、私からは特に何も感じないですよ」とおっしゃってくださいました。Upload By ねこじまいもみ集団行動が苦手なのかもしれない……。でも、発達障害と結びつけるのも……しかし後から思えば、集団行動の苦手さもあり、集団を避けていたのもあるのかなぁと感じています。なぜなら、 長男は3歳の時、2つ上の長女と一緒にダンスの習い事をしていたのですが、長男はあまり取り組むことはなく体育館の隅っこでずっと同じところを行ったり来たり走っていることが多く見られました。そして、私が声をかけても逃げてしまい、なかなか取り組むことができませんでした。その時もダンスの先生に「小さい子だと最初はやらないことも多いですよ。でも、だんだんとやるようになってくると思うから大丈夫!」と言われました。たしかに気分で取り組んだり、発表会などはきちんとできていたのですが、長男の様子を見ていた私は、ダンスの習い事を一旦辞める選択をしました。この習い事先での様子も、私の中ではずっと抱いて長男の違和感で、集団行動が苦手なのではないかと気づいてゆく出来事の一つでした。 しかし、園や習い事でも集団行動ができている時もあり、発達障害に結びつけて良いものか当時は本当に分かりませんでした。そしてこの常同行動が、就学後、長男にとって学校がつらい場所となっていく原因の一つとなるのですが、それは、また別の機会に詳しく書いていこうと思います。小学3年生なった長男、常同行動はどうなったかというと……小学3年生になった今も長男はこの常同行動をしますが、主に自宅だけです。 年齢が上がるとともにやってはいけない場面を自分なりに理解したり、人の目を気にしてやらなかったりと、変化しているようです。でも、この行ったり来たりする行動は、長男にとって楽しい時間であり、大切なんだと今は自分で言っています。また、トランポリンも好きで家で頻繁に跳んでいます。長男にはストレス発散になっているようで、 常同行動と同じくらいスッキリすることなのだと聞いて、私も長男にとっての常同行動がどのようなものなのか、理解できたような気持ちになりました。Upload By ねこじまいもみ執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くん2歳の時に覚えた違和感、常同行動についてのエピソードをありがとうございます。違和感がありつつも常同行動をやめさせたり、集団活動が苦手そうだなと感じつつも集団活動にちゃんと参加しなさいと強く促したり、そうした働きかけをせずにいてくださったこと、長男くんにとってどれほど救われたかと思います。子育ての中で、「……あれ?」という違和感を感じることは多かれ少なかれあると思います。その際に、自分の思いや思い込み(○歳なら普通こうするもんでしょ!)でお子さんの言動を“変えよう”とするのではなく、お子さんの様子を観察し、どうしてこういう言動が出ているのか考えたり、園の先生方はじめ相談できる人に相談したり。そうした動きが初発であることがとても良いと感じます。集団行動自体は取れていても、あまり得意そうではないから、習い事として(つまり園生活プラスアルファとして)続けることを止められたという判断にもつながったのですね。苦手そうなことを日常生活にプラスしてまでやるかどうかはよく考えたいところです。特に、嫌だ、苦手だという表出が少なく、やろうとしたらできるけれどすごく疲れる、あるいはかなり時間が経ってからそのつらさが出てくるタイプのお子さんもいるので、そのあたりの細やかな見取りは長男くんにとってとても助かったと思います。常同行動のその後についてもありがとうございます。成長とともに出し方が変わってくる様子があるのですね。人によってはコンディションによって出方が変わったり、あるいは変わらなかったりということもあると思います。お子さんにとって常同行動によって得ているもの(安心、スッキリなど)は何か、あるいはどんなときにそれが出やすいか(不安、緊張など)をよく観察しておけると良いだろうと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月22日発達障害のある大学生が受けられる「合理的配慮」って?合理的配慮とは、障害のある人が社会生活を送るにあたって、社会の中にあるバリアによって生活が送りづらかったり、困ったりしている際に周りの人や事業者などが負担が重くない範囲で対応することが求められるものです。令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化され、学校や事業者と障害のある人が対話を重ね、一緒に解決策を検討していくことがより重要になってきます。参考:リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」|内閣府発達障害(ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、SLD/LD(限局性学習症)など)のある大学生は以下のようなことに困りやすい傾向にあります。・朝起きられない(睡眠トラブル)・友達トラブル・突然の予定の変化が苦手・マルチタスクの作業が苦手・空気を読むのが苦手・課題を溜め込んでしまう・履修表の登録方法が分からない・大勢の前での発表ができない・不器用さ・整理整頓ができない・時間が守れない・字を書くのが苦手、読むのが苦手、簡単な計算ができないなど※上記は一例ですこのコラムでは、「支援の手厚い大学」の見分け方、大学の合理的配慮の具体例、大学への伝え方、よくある困りや対策など、発達障害のある大学生の困りについてのギモンを専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。発達障害のある子どもの大学生活が不安!大学選び、合理的配慮の具体例、よくある困りなど専門家が回答ここからは鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生に、発達障害のある子どもの大学生活についての質問にお答えいただきます。Q:子どもに発達障害があります。大学進学を目指していますが、大学によって支援の手厚さは異なりますか?異なる場合は、どのようにしたら手厚い支援が受けられる大学なのかを見分けられるでしょうか?A:大学の規模、学生の人数、学部によって受けられる合理的配慮の幅は異なります。オープンキャンパスなどで直接学部を見学し、必要であれば質問してみましょう。特に、実習が卒業の必須条件になっている場合、その内容や必要な配慮について予め調べておくことが大切だと思います。Upload By 発達障害のキホンQ:発達障害のある生徒は大学でどのような合理的配慮が受けられるのでしょうか?具体例が知りたいです。A:すべてのニーズに対して合理的配慮が得られるわけではありませんが、提出物の期限の延長とリマインドや授業中の配布物や板書の撮影、別教室での試験や試験時間の延長、パソコンの使用などがあります。これらは本人との話し合いの中で決定されます。Upload By 発達障害のキホンQ:子どもに発達障害があり、配慮してほしい項目がいくつかあるのですが、大学にどこまで伝えていいのか悩みます。過保護だと思われないでしょうか?A:過保護だと思われるかもとのご心配は不要です。修学に際しての保護者からの相談を受けることはありますが、合理的配慮の実施に関しては基本的に本人からの申し出が必要となります。できれば高校生の頃から、親御さん以外に自らのニーズを相談できる体験をしておくと良いと思います。Upload By 発達障害のキホンQ:一人暮らしで起きられない、提出物の期限が守れない、単位の計算ができず卒業できなかったらどうしよう……大学入学後に起こりそうな困りに不安を感じています。合理的配慮の範疇からは外れてしまう場合もあるかもしれませんが、発達障害のある大学生のこのような困りへの対策が知りたいです。A:合理的配慮で解決すべきか、個々の工夫や対応によって解決すべきことかの判断はケースバイケースで変わってきます。それらを整理していく意味でも学内の相談機関を利用していくことが大切です。本人が大学の学生相談室に行けることで単位履修や授業への出席、実習中の困り事などさまざまなことに対して相談が可能になります。入学前に学生相談室や相談センターについて情報を集めておくと良いと思います。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年03月21日大人になったときの状態から「逆算」する私は知的障害のあるお子さんの親御さんと話すときに、例えばこんなことをお伝えすることがあります。「お子さんは将来、スーパーマーケットに買い物のリストを持っていって、必要なものを購入してくることは十分にできそうです。ただし、金額の複雑な計算は難しいかもしれません」そして、その見通しから逆算する形で「いま教えたら身につきそうなことを一緒に考えていきましょう。例えば、買い物リストを見ながら必要な商品をカゴに入れることはできそうですから、練習してみましょう」といったことを具体的に提案するわけです。本人が着実に身につけていけることを考える本人が一人で買い物リストをつくることや、必要な金額を計算することは難しいかもしれません。そのようなことを教えても、適切な支援にならない可能性があります。それよりも本人が着実に身につけていけることを考える。そして家族にはサポートの仕方を知ってもらう。そのような形で、支援の枠組みを考えていくのです。家族が買い物のリストと代金を用意する。本人はそれを持って買い物に行く――そのような枠組みで、生活習慣を習得していける場合があります。仕事についても同じようなことが言えます。例えば、職場側にマニュアルを用意してもらえれば、それにそって作業を行うことはできるという人もいます。知的障害の子育てではそのような形で、本人に合った枠組みを整えていくことが大事です。親御さんがお子さんに対して「こういう支援があれば、こういうことができる」という見通しを持てれば、それをほかの人に伝えることができます。家族や園・学校の先生、療育機関の支援者、職場の関係者、ヘルパーさんなど、お子さんに関わる人たちに「こういうところを手伝ってください」と、具体的なお願いができるようになるのです。ピアジェの「認知発達理論」を参考に「逆算」を考えるときに、参考になる理論があります。スイスの心理学者ジャン・ピアジェが提唱した「認知発達理論」です。ピアジェは子どもの認知の発達を、次のように4段階に分けて説明しました。・感覚運動期(0〜2歳頃)赤ちゃんはおもちゃを手でさわったり、口にくわえたりして、ものとして認識します。ピアジェは、乳幼児期の子どもは感覚と運動によってものごとを理解していると考え、この時期を「感覚運動期」としました。・前操作期(2〜7歳頃)幼児期になると子どもは、言葉を使ってものごとを理解するようになります。しかしまだ理解があやふやで、情報をうまく扱うことはできません。ピアジェはこの時期を、ものごとを頭の中で「操作」する前の時期ということで「前操作期」としました。・具体的操作期(7〜11歳頃)小学校に入るくらいの年代になると、子どもはものごとを具体的に理解できるようになってきます。ピアジェは情報を「操作」すること、つまり論理的に考えることも、少しずつできるようになると考えました。一方で、この時期にはまだ抽象的な思考、例えば仮説を立てることなどは難しいとされています。・形式的操作期(11歳頃〜)ピアジェは11歳頃から認知の発達が次の段階に進むと考えました。この頃から、子どもは抽象的に考えることができるようになっていきます。頭の中で仮説を立てたり、一般論を考えたりするようになります。知識を使って、形式的に考えられるようになる時期ということで、「形式的操作期」とされています。ピアジェの認知発達理論を参照すると、知的機能がどのように発達していくのかがよく分かります。それによって、知的障害のあるお子さんへの支援を検討しやすくなります。大人になって「抽象的な思考が難しい」場合認知の発達には4つの段階があるわけですが、知的障害のあるお子さんの場合、将来的にも具体的操作期の段階にとどまる可能性があります。中等度よりも重い知的障害がある場合には、その可能性が高いでしょう。大人になったときに「抽象的な思考が難しい」状態だと想定される場合もあるわけです。その場合、成人期に「状況に合わせて臨機応変に立ち回る仕事」に就くのは難しいでしょう。各部署の思惑を察して社内調整をするような業務は、おそらくできません。そのような将来像を目標にしてしまうと、幼児期や学齢期に適切な支援ができなくなります。一方で、その子は将来「具体的なものを取り扱う定型的な仕事」であれば、問題なくこなせる可能性があります。そういった見通しから逆算して、今から取り組んでいけることを考えるのが「逆算の支援」です。例えば、まだ学齢期でも「一定の作業を何時から何時まで実行する」「作業が終わったら報告する」といった習慣を身につけることはできるかもしれません。将来像から逆算してそのような取り組みを考えていくと、子どもの成長をサポートできます。認知発達理論は算数・数学にも当てはまる発達の段階によって、学べることは違います。これは学校の勉強にも当てはまる話です。小学校では「算数」を学習します。中学になると「数学」になります。算数では、主に身近なものごとが扱われます。日常生活の中でも使うような、例えば人数や、ものの大きさなどを計算します。算数では、具体的なことを主に学ぶのです。それに対して数学では、抽象的なことも学んでいきます。xやyなどを使って関数の計算をしたり、「n」という記号を自然数とみなしたりします。この違いは、ピアジェの認知発達理論とおおむね一致しています。「数学は難しいが算数は分かる」状態でできる支援11歳ぐらいまでは具体的なものごとを扱い、その後少しずつ、抽象的な思考を広げていく。xやyのような抽象的な概念を扱うためには、一定の理解力が必要になるのです。これまでに何度か述べた「抽象的な思考が難しい」状態というのは、算数と数学の例で言えば、「数学を理解するのは難しいけど、算数は分かる」というようなものです。そのようなイメージを持って、逆算の支援を考えるのもいいかもしれません。大人になったときに「数学レベルの計算はできないけど、算数レベルの計算はできる」と考えると、例えば金銭管理でも、どの程度のことを教えればしっかりと身につくのかが、検討しやすくなるのではないでしょうか。Upload By 本田秀夫(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年03月21日次男の出産をきっかけに、私は3歳の長男には自分のことは少しずつでもできるようになってほしいと考えていました。そのため、長男が「手伝ってほしい」と言ってくるまでは、なるべく見守るようにしていたのですが……。 孫に甘すぎる母…次男の出産後、実家に帰省していたときのこと。自分なりに食事や着替えなど頑張っていた長男ですが、母が仕事から帰宅すると態度は一変。「あれやって! これやって!」と甘え始めるのです。母は甘える長男の言うことをそのまま聞いてあげるだけ。そんな日が続き、長男は次第に自分で何もしなくなっていきました……。母は相変わらずそんな長男を甘やかすばかりだったので、私はとうとう怒りが爆発! 「何でも〇〇(長男)の言うことを聞いて甘やかさないで! 〇〇(長男)もばあばに甘えてばかりいないでよ!」と長男と母に怒鳴ってしまいました。長男は急に怒られたことに驚き、号泣。そして母は「あなたに厳しくしすぎた分、孫には同じことをしないようにと思っていたの……」と、自分の育児に対する思いや後悔の念をぽつりとつぶやきました。私は自分の幼少期を振り返り、確かに母は私に厳しく、それが嫌だと思っていたこともあったことを思い出します。母が孫を甘やかそうと考えるのも仕方ないのかもしれないなと納得し、すぐ2人に謝りました。母には母の、私には私の子育てへの考え方がありますが、お互いに誤解のないようきちんと相談しながら協力していくことが大事だなと感じた出来事でした。 作画/Pappayappa著者:谷 ふみ
2024年03月20日知的障害(知的発達症)とは?知的障害(知的発達症)とは、おおむね18歳までに思考力や計算力などの知的能力と、社会生活を営むための適応能力に遅れがみられる障害のことです。症状としては、言葉や文字の習得の遅れ、意思疎通の困難、ルールの把握の困難、食事や着替えなどの身の回りのことの困難、学校での学習の遅れなどがあります。行政や医療などによって知的障害(知的発達症)の基準には違いがあります。多くの場合、障害の程度によって、軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と4つの種類に分類されています。分類はIQで表される知能指数と、社会的な能力である生活能力(適応能力)の両方を考慮したうえで行われます。医学的な診断基準である『DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版改訂版』では軽度・中等度・重度・最重度と4つに区分されていますが、知能指数(IQ)での目安は明示されていません。知的機能と適応能力について、概念的領域(記憶や言語、論理的思考など)、社会的領域(対人コミュニケーションなど)、実用的領域(生活における能力など)の3つの領域の状態から重症度を特定します。参考:知的障害(精神遅滞)|厚生労働省 e-ヘルスネット参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省知的障害(知的発達症)は遺伝する?知的障害(知的発達症)が生じる要因の一つに遺伝があります。しかし、知的障害(知的発達症)が遺伝による場合はまれだと言われています。遺伝以外にも出生前の感染症や染色体異常、出生後の頭部損傷や感染症などさまざまなことが要因となり得ます。参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版0歳頃に表れる知的障害(知的発達症)の症状、発達の遅れ、違和感0歳の赤ちゃんには身体面、神経面で知的障害(知的発達症)の特徴が表れることがあります。身体面では頭の大きさや手や足の形などに異常がみられる場合があります。また、運動機能の発達が遅れることで、寝返り、座る、立つなどといった動作が0歳の間にみられないといった場合もあります。ほかにも、けいれんや嘔吐、尿の匂いの異常、哺乳不良などが兆候として表れることがあります。これらは、背景に遺伝的な疾患や感染症などがあるために生じる兆候だと言われています。なお、この上記のような症状がみられる場合も、必ずしも知的障害(知的発達症)があるというわけではありません。知的障害(知的発達症)がある場合、運動発達面での発達の遅れなどがみられることが多いとされています。例えば、下記のような症状があげられます。・あまり泣かない、またはいつも泣いている・首が座るのが遅い・寝返りをするのが遅い・座位をするのが遅い・ずりばいをしない・ミルクの飲みが悪い・低緊張がある・全体的に発達の遅れがみられるただ、ほとんどの子どもには幼稚園に入る3歳頃までは、周りが気づくような症状はみられないとも言われています。また、0歳の赤ちゃんの発達は個人差が大きいため、上記のような様子がみられて心配な場合は、専門機関に相談するようにしましょう。参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:山田 和孝著「精神遅滞児の運動発達面でのスクリーニング検査」『 脳と発達』26巻(1994)6号 p. 498-5030歳頃に表れる知的障害(知的発達症)の症状をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐに知的障害(知的発達症)と診断されるわけではありません。発達の遅れが気になる……どこに相談をすればいい?0歳の赤ちゃんに前の章で紹介した様子がみられたり、発達の遅れが気になる場合に相談できる窓口が複数あります。心配な気持ちは家庭だけで抱えるのではなく、専門機関に相談するといいでしょう。かかりつけの小児科予防接種や健診で定期的にみてもらっているかかりつけの小児科にまずは相談しましょう。定期的にお子さんの発達をみてもらいながら、必要な福祉的な支援などについても相談してみてもいいでしょう。保健所・保健センター保健所や保健センターは地域の保健サービスを担っている機関で、子どもの発達に関しての相談をすることもできます。また、保健センターでは0歳児だと1ヶ月健診、3~4ヶ月健診など複数回乳幼児健診の機会があるので、気になることがあればその際の相談してみるといいでしょう。児童相談所児童相談所は18歳未満の子どもに関するさまざまな相談に対応している機関で、発達に関する相談も受けつけています。また、知的障害(知的発達症)の判定も行っています。児童家庭支援センター18歳未満の子どもに関する悩みについて、身近な地域で相談ができる場所です。発達に関する相談もでき、状況に応じて児童相談所などとも連携を取りながら支援を行っています。児童発達支援センター障害のある子どもが通いながら、日常生活や集団生活に適応するためのさまざまなプログラムに取り組んでいく場所です。発達に関する相談も受けつけています。まとめ知的障害(知的発達症)は知的能力と適応能力が低いことで、生活や学習などに困難が生じる障害のことです。0歳児から表れる兆候としては、ほとんど泣かない、またはよく泣く、ミルクの飲みが悪い、寝返りが遅い、首が座るのが遅い、ずりばいをしないなどがあげられます。ただ、知的障害(知的発達症)は多くの場合、3歳頃までは周りの人が気づくような目立った症状はみられないとも言われており、上記の症状がみられたからといって必ずしも知的障害(知的発達症)があるというわけではありません。気になる様子があって心配という方は、まずは乳幼児の発達について相談できる窓口に相談してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年03月20日7男2女の大家族! 1歳の7男くんと中学生の長男くんの日常をご紹介!6人の弟がいる長男くん。何度も弟たちの「寝返りできた!」「歩いた!」「しゃべった!」を経験してきたはずなのに……!?12歳差兄弟の日常ハイタッチで「おかえり」12歳差の長男くんと7男くん。中学生の長男くんが学校から帰ってくると…… 7男くんもお出迎え♡長男くんはいつもやさしく、「イエーイ!」と言いながら、ハイタッチをしてくれます。 手をしっかり握り合って、再会を喜び合う2人♪ また別の日も、長男くんからハイタッチ! 7男くんはまだうまく片手でハイタッチができませんが、一生懸命長男くんの手をつかむ姿がかわいい♡ 弟の成長に兄は思わず…そんなある日。いつものように長男くんがハイタッチをしようとすると……。 7男くんが初めて「イエーイ!」と返してくれました! 弟の成長に気づき、うれしすぎた長男くんは…… 喜びが爆発!! 「え~!!!」と叫びながら、胸の前で握りしめた手をブンブン振っています! お兄ちゃんに喜んでもらえて、7男くんもとってもうれしそう♪ こんな幸せな2人の姿を見たお母さんは、喜びも2倍♡ 思春期真っただ中の長男くんですが、7男くんが癒やしになっているそうですよ♪ 動画のコメント欄には、「お兄ちゃん、将来いいパパになりそう!」 「7男くん、お兄ちゃんズに愛されて毎日楽しいだろうね」 「上の子が下の子にデレデレしちゃうのって、どっちもが天使に見えて至福の時ですよねぇ♡」 「なんていい子なんだろう。本当にご家族の教育の賜物なんだろうな。『イエーイ』だけであんなに喜んでくれるお兄ちゃんがいて、下に続くきょうだいたちも、やさしい子に育つんだろうなぁ」と、兄弟のふれあいに癒やされる人がたくさん♪ 何度も目の当たりにしてきたはずの成長の瞬間でも、体全体で感動する長男くん。見ているこちらにも、喜びが伝わってきます。家族でお互いの成長を見つけて共有することで、より一層絆が深まっていくのでしょう。これからも、子どもたちの成長が楽しみですね! 画像提供・協力/@9kids_saiさん
2024年03月18日1歳半を過ぎると、徐々に言葉が増えてきてかわいい盛り。ところが、わが家の長男が最近習得した言葉で大変困っているものがあります。それはズバリ「いたいよー!」。二言目には「いたい」と大声で叫ぶので、困り果てていました。今回はそのときの体験談をご紹介します。 お風呂場でも「いたいよー!」お風呂場に入ったとたん、「いたいよー!」が始まります。いつもお風呂場の窓を開け放っているので、間違いなく声は外にダダ漏れ。「お風呂場で痛いこと+子どもに熱湯でもかけている?=虐待」と思われそうで不安です。 「はー、始まった……」と思いつつ、長男に向けてというよりは、外を通る未知なる人物に向けて「いたくないでしょお~。あったかくて気持ちいいよねえ~。きれいきれいしようねえ~」と大声で話しかけ、「虐待していませんアピール」をする日々です。 ママの姿が見えなくなった途端にトイレや洗濯干しでママの姿が見えなくなると、とたんに絶叫が始まります。「ママーっ!!」と見つけるまで大声で叫び、最近覚えた「ねーどこー!?」に続きます。 外に聞こえるほどの大声なので、ご近所さんに「幼児を置き去りにして親が外出している+育児放棄=虐待」と思われるのではと気が気ではありません。私の返事が息子に届かないものなら、「いたいよーう! いたーい!」と習得した言葉が始まります。 きょうだいとのやりとりでも「いたいよー!」長女とおもちゃで遊んでいて、取り合いになると「いたいよー!」が始まります。長女が手をあげた形跡はないのですが、「いたい」を繰り返します。食事中もエプロンをつけると「いたいよー!」、苦手な野菜を食べさせようとすると「いったいよー!」です。歯磨きはもちろん断固拒否。無理に磨くと「いったーいーっ!」。 こんなに連呼されると、「あの家では子どもが1日中痛い目に合っている=虐待」と思われても無理ないレベルです。 「いたい」という言葉を発したときの家族の反応から「注目が集まる」ということを覚えたのかもしれませんが、なかなか厄介な言葉です。しばらくはこちらも大声で「虐待していませんからアピール」を外に向けて続けていかなくてはならなさそうです。 監修/助産師 松田玲子イラストレーター/シュー子著者:伊川 遥
2024年03月18日樹里さんには2歳年上の姉・海さんがいます。海さんには発達障害があり、樹里さんはいわゆる「きょうだい児」であり、「ヤングケアラー」でした。小学生のころから海さんのお世話や家事を頑張っていた樹里さんですが、中学生になり不満が爆発。見かねたお母さんが児童相談所の一時保護所を利用することを提案し、樹里さんは受け入れます。しかし一時保護所には発達障害の子も多く、家にいるときよりもストレスを感じるように。職員からのやさしい言葉も樹里さんにとっては的外れで、苦しい日々を送っていました。実際に一時保護所で生活してみるものの、樹里さんが自分の居場所だと思えることはありませんでした。そうこうするうち、あっという間に満期の3カ月が訪れ、樹里さんは一時保護所を出て家に戻るのでした。もう誰も信じない…愛なんか求めない… ※文句が → 文句を 一時保護所での保護期間が終了し、家に帰ることになった樹里さん。しかし、家族との関係を修復することはできず、その溝は深まっていくばかり……。 そんななか、樹里さんは進学した通信制高校で友だちができます。この友だちの存在のおかげで、樹里さんは自分の人生を諦めることなく、これから足を踏み出す外の世界に希望が持てるようになりました。 ◇ ◇ ◇ 友だちに支えられ、受け入れてもらえたおかげで、ようやく自分の気持ちを外に出すことができた樹里さん。今まで自分の気持ちを理解してくれる人がいなかっただけに、とてもうれしかったでしょう。 すべてを諦めてしまう前に、人生に希望を持つことができて本当によかったです。 これからも、樹里さんが樹里さんらしく生きていけるような道を選んでいってほしいですね。そしていつかは、家族との溝も埋まっていくことを願います。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2024年03月17日与えたパーランクー(小太鼓)でのエイサーごっこに飽きて、暴言が出るようになってきたUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろで、発達に特性があるタイプです。5歳になった孫サルルゥは、小学校入学を目前に控え、動きがますます激しく大きくなり、大声を出すようになってきました。3歳頃から始めた沖縄の小太鼓パーランクーは、一時は早朝から深夜まで叩き続けるほど夢中になっていたのに、急に見向きもしなくなりました。まるで卒業してしまったかのように、まったく関心を示さなくなったのです。でも私と夫ラクマは特に驚きませんでした。4人いる私たちの息子や娘も、夢中になっていたことを突然やめることが多かったからです。孫サルルゥは近所に住んでいるので、多いときは週に数回わが家に遊びにやってきました。孫サルルゥは活発なタイプですので、夫や息子たちをつかまえては、決闘ごっこや野球ごっこなど動きの大きな遊びをやりたがります。夫ラクマはフリーランスとして自宅で仕事をしているので、もっぱら彼がサルルゥの相手をしています。サルルゥに悪気はないのですが、夢中になるとよく勢いあまって、家具やラクマの腕などを叩いてしまいます。ラクマはペアレント・トレーニングなどを受けた経験があるので、サルルゥに近づいて、穏やかな声で彼を注意します。ふだん味方になることが多いラクマから注意を受けるとサルルゥは大声で「おじいちゃんのおうちこわす」と怒ります。ラクマは「お家を壊されると困るなぁ。お家壊すとサルルゥはおじいちゃん家に遊びに来られなくなるよ。おいしいおやつやごはんも食べられなくなるよ」と静かに諭していました。するとサルルゥは興奮おさまらない表情ながら、反発はやや控えめになりました。自らの体験をふりかえり、さらに大きな運動の機会を与えたいと考えるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ孫サルルゥと夫ラクマの、そのようなやりとりを見ながら、私は、小学校入学に向けて、サルルゥには新しい工夫が早急に必要だと感じていました。定期的に夫婦で通っている発達支援施設のトレーナーさんに相談しつつ、新しい方法を考えてみました。ヒントは私の幼少期にありました。私と孫サルルゥの特性には多くの共通点がありました。私自身も多動で身体をぶつけあう遊びが大好きだったのです。私が子どもの頃やりたかった習い事は、キックボクシング・プロレス・空手・カンフーでした。なかでも私の最大のアイドルは、カンフーで悪者をやっつける香港の映画スターでした。でも、私のまわりにいるきょうだいや友だちは、いっしょにカンフーごっこで遊んでくれる子がいませんでした。そのため、私は母にカンフーか空手の道場に通わせてほしいと、けんめいにお願いしました。ところが母は、ピアノや活け花、書道、剣道、算盤を習わせ、花模様のワンピースを着せたがりました。女の子らしく育ってほしいと願っていたようです。私は激しく失望し、母に反発しました。教育熱心な母は、私が反発するとなおさら厳しく接するようになりました。家庭内での無理解に加えて、学校では過剰適応の傾向があったため、二重のストレスから私はやがて不登校になっていきました。私の独特な好みや行動パターンは、周囲にまったく理解されず、問題行動と受け取られることがありました。もし私が子どもの頃、希望通りの運動をやらせてもらえれば、きっとストレス発散をすることができて、不登校は起こらなかっただろうと感じています。次女リスミーと話し合って空手道場に通うことにUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ孫サルルゥへの工夫として、どんなスポーツがいいのかと思いをめぐらしつつ、サルルゥの母親である次女リスミーの意見を聞いてみました。リスミーも、新しい工夫が必要だと感じていたようで「空手がいいかもしれない」と答えました。その頃はちょうど東京オリンピックで地元の選手が金メダルをとっており、子どもたちの間で空手道場に通うことが静かなブームになっていたようです。その後すぐにサルルゥは近所の空手道場に入門しました。私と夫ラクマは、道場までのサルルゥの送迎をかって出ました。習い始めたのはいいものの、空手の技で仲間を殴ったりしないか気になり、稽古の様子を観察したかったのです。結果として、サルルゥが乱暴をする心配はまったくありませんでした。空手道場では礼儀作法をしっかり指導してくれていたので、とても安心して見ていられました。サルルゥは、すっかり空手に夢中になりました。昇級試験を目指して稽古に励むようになり、家族の都合で稽古を休む時は悔しがって大泣きするほどでした。空手道場の稽古と礼儀指導で自信がつき、目に見えて落ち着くようにUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイサルルゥは実家にやってくると空手の型を披露するようになりました。まるで別人のように落ち着き、棒をふりまわすようなことはなくなりました。堂々とふるまうようになり、学校では落ち着いて授業を受け、学童クラブでももめごとは起こりませんでした。サルルゥは、この春から小学2年生に進級します。空手道場への送迎も必要がなくなりました。サルルゥの落ち着きぶりを見た私は、改めて、ぴたりとハマる工夫をすることの大切さを知りました。私は今年で還暦を迎えましたが、キックボクシングのジムに通うことを、ひそかに計画中です。夫ラクマは賛成してくれますが「キックボクシングのやりすぎ防止の工夫をしないとね」とアドバイスをしてくれます。私は小学生の頃、それまで苦手だった跳び箱を克服することに夢中になり、夏休みに朝から夕方までほぼ毎日練習。知らないうちに両方の手首を脱臼していました。脱臼に気づいたのは大人になった30年後。病院のレントゲン検査で分かりました。私の場合、習い事を始める前にケガ防止の工夫から入るのは、趣味を長く続けるためのよいアイディアかもしれませんね。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:井上先生より)空手やスポーツに限らず、本人の興味関心に合った習い事やそれができる環境は大切なものだと思います。ワッシーナさんが書いておられるように、お子さんのタイプによってはのめりこみすぎて身体を壊してしまう、ほかのことを全くしなくなってしまうなどの心配はあるかもしれませんが、始める前にお約束をしたり、対策を考えておくのは良いですね。活動に加えて、指導者の存在も大きな影響を与えます。叱責が多く力で抑え込むような指導者は合わないことが多く、その活動も嫌いになってしまうかもしれません。活動は好きだけど指導が合わず、協力体制が取れない場合は親も子も疲れ切ってしまうので、早めに別の指導者を探すなどの決断をしていくことも大切です。また、実際に活動してみると本人が思っていたことと違っていたり、その活動が本人の特性に合わないこともあります。その場合どこまで頑張るかは柔軟な判断が必要になってくると思います。最近ではインターネットでの習い事もあるので、チャレンジの幅が広がっているのではないでしょうか。前の記事はこちら
2024年03月17日発達障害グレーゾーン小学生、特別支援学級に在籍。思春期・反抗期を迎えた時に二次障害を起こさないか不安ですQ:発達障害グレーゾーンの子どもがいます。幼少期から多動や癇癪、こだわりが激しく、就学前のWISC検査で発達にかなりの凸凹があることが分かりました。小学校では特別支援学級に在籍し、放課後等デイサービスにも通っており、今のところ大きな困り事はありませんが、思春期・反抗期を迎えた時に二次障害を起こさないか不安です。トラブルが起きないよう今からできることはないのか知りたいです。A:学校では個に合わせた教育環境を整えることで、二次障害の原因になる心理的負担を減らしたり、対人関係スキルを学びトラブルを減らしたりできると思います。家庭では、本人が困ったことなどについて親子で気軽に話せる関係を築いていけるといいでしょう。Upload By 発達障害のキホンこのケースのお子さんの場合、特別支援学級に在籍しておられるということですが、個に合わせた教育環境を整えることで、失敗経験の積み重ねによる不安や抑うつなど、二次障害の原因になる心理的な負担感を和らげることができると思います。加えて、対人関係のスキルを学ぶことで、トラブルなどを減らすこともできると思います。※法的には特別支援学級入級に際して医学的診断は必須ではありませんが、求められる地域もありますので注意が必要です。ただし教育的評価は必要です。中学校段階では、引き続き特別支援学級に籍を置いて学習面を伸ばすことを重視する場合と、通常学級に籍を移して大勢のクラスメートの中での学習に慣れていくことを重視する場合があります。これらの方向性は一人ひとりのニーズや状態、クラスメイトや学級担任などの環境要因によって変わっていきます。家庭では過剰に心配する必要はありませんが、本人が困ったことやつまずいていることに対して、親御さんと気軽に話題に出せたり相談できたりする関係を築いていけるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年03月16日樹里さんには2歳年上の姉・海さんがいます。海さんには発達障害があり、樹里さんはいわゆる「きょうだい児」であり、「ヤングケアラー」でした。そんなある日、日ごろ我慢していた気持ちが爆発し、お母さんに不満をぶつけた樹里さん。そしてそれ以降、家にいるときは部屋からほとんど出なくなったのでした。家事の手伝いもする気になれず、引きこもりがちになった樹里さん。それでも学校へは通っていたのですが、今度はその学校でもある問題が……。「家にいるくらいなら…」妹が選んだのは…? ※話し→話 中学校での友人関係もうまくいかず、家でも海さんと喧嘩ばかり……。自分の居場所を見失った樹里さんはお母さんに「もう限界!」と訴えます。 そんな樹里さんの叫びを聞いたお母さんは、児童相談所の一時保護所の利用を提案。一時保護所がどんなところかわからない樹里さんでしたが、「お姉ちゃんと離れて暮らせるなら……」とお母さんの提案を受け入れるのでした。 ◇ ◇ ◇ 発達障害のお子さんが自傷行為をした場合、周りは過剰な反応をせず冷静に対応してください。自傷行為をよくしてしまう場合は、どんなときに起こっているのかを記録し、原因と思われるストレスを減らせるよう環境や接し方などを工夫すると良いでしょう。 しかし、家にいてもどんどん気持ちの余裕がなくなっていく樹里さんが、つい海さんにきつく当たってしまうのもしかたないと思う方は多いのではないでしょうか。 逃げ場のなかった樹里さんは、家族の状況がわかっていても自分の気持ちを吐き出す場所もなく、ただただ自分の中にため込んでいくしかなかったのかもしれませんね。 そんな中で、お母さんから提案された児童相談所の一時保護所の話。どんなところなのかは実際に見てみないとわかりませんが、樹里さんが少しでも落ち着けるような環境であればと願わずにはいられません。 >>次の話 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2024年03月14日「騒がしくてすみません……」謝ってばかりだった私が変わった3回の転機わが家には特別支援学級に通う小学校3年生の息子がいます。診断は重度知的障害(知的発達症)とASD(自閉スペクトラム症)ですが、ADHD(注意欠如多動症)とLD・SLD(限局性学習症)の傾向もあります。息子が2歳頃は、大きい声で迷惑をかけないようにしないと気を張り、「すみません……騒がしくして……」と周りにあやまってばかりでした。そんな中、息子が3歳、4~5歳、6~9歳の頃、育児の転機を経験しました。Upload By ユーザー体験談3歳の頃訪れた転機は「母」3歳の頃、1ヶ月ほど母、息子、私の3人で一緒に暮らしたことがありました。それまでも年に1、2回は帰省していましたが、長期間一緒に暮らすのは産まれてすぐの時以来でした。この頃の息子は、癇癪を起こすとジャンプしたり、壁を叩いて大きな音を出したり、大声を出したり。でも、注意すると逆効果でますます癇癪を起こしてしまうので、「おいで」と膝に座らせてお話をしたり、別の話題で気持ちを切り替えさせたり、物を投げそうな時は「こっちだったらいいよ」とタオルを渡したりしていました。お気に入りのラムネを準備しておいて、おやつ時間にして切り換えタイミングにしたりもしていました。母へは「息子に手がかかって大変だ」という話はよくしていたのですが、実際に目の当たりにしてびっくりしたのでしょう。「本当にこの生活は大変よ。全部一人でやってるんだもん」と分かってくれました。Upload By ユーザー体験談それからは、家族などで外出や外食の話題が出た際に、私が「いやぁ、食べるもの限られてるし、まだオムツだし、温泉一緒に入れないし、バス乗れないし……」などと話していると、母が「ほんとよ!この子連れていくのは大変だと思うわ。一緒に生活してみてよく分かった!」と味方をしてくれるようになりました。自分の口からいくら伝えても理解してもらえないときがあったのですが、第三者である母による、実際に経験したうえでの言葉は伝わりやすかったのだと思います。家族や親戚へ説明するのはなかなかの負担だったのですが、母が担ってくれるようになり、また一緒に面倒を見てくれるたことで、とても救われました。「彼はこのままでいい」という自由を与えてくれた海外生活2回目の転機は、年少の時から2年間海外赴任帯同で息子も連れて行ったことでした。それまで日本で通っていた幼稚園では、椅子に座らず歩きまわる息子をほぼ放置。歯磨きやお弁当箱の片づけについて、教えられた通りにこなす息子に笑顔はありませんでした。そんな環境のあと、海外で入った保育園に驚き!園中の先生が無理なく、しかし教えるべきことはしっかり教えながら息子に寄り添って下さいました。お迎えに行くと、園長先生のオフィスで先生の膝に座って一緒にパソコンでお絵描きしていたり、先生が仕事をする横に座って窓の外を眺めたりしていたこともあり、日本で通っていた幼稚園では考えられない「彼はこのままでいい」という自由を与えてくれました。個を大事にする、みんなと同じでなくてもいい、子どもらしさを大切にしようというおおらかさがあって救われました。Upload By ユーザー体験談この時、私自身が本当の意味で障害受容ができたと思います。周りの人に積極的に息子の障害のことを話して理解を求めたり、それでも息子のこんなところがすごいということを伝えるようになりました。放課後等デイサービスでどんどん成長した息子3回目は日本に帰国したあとに療育手帳を取得し、小学校の特別支援学級と放課後等デイサービスに通えるようになったことです。特に放課後等デイサービスはとても良い施設と出合え、明るい先生たちのご指導で困りごとが改善していき、いろいろなことができるようになりました。とても根気強く、スモールステップで対応してくださったので、息子は毎日学校と放課後等デイサービスを楽しみにし、どんどん成長していきました。スタート当初はおやつも1種類しか食べられなかったので持参していたのですが、好きなおやつの日を挟みながらいろいろな種類に挑戦させてくれ、息子が気に入る新しいおやつ(バウムクーヘン)を見つけてくれました。全員で取り組むダンスに参加したくない場合は、決まった場所に座って見るなどルールを作って許すなど、無理をさせ過ぎず、かといって自由にさせ過ぎない。ちょっと頑張る日もつくるという、ちょうどよいバランスをはかりながら、支援に取り組んでくれています。おかげで、最近ではお友達との交流もできるようになり、施設内や送迎の車内でも、声を掛け合いながら楽しそうに遊んでいる様子も見られるそうです。土曜日にはいろいろな公園や施設に連れて行ってくれるのですが、3年生になったくらいからは、放課後等デイサービスで行って楽しかった場所をママともいきたいと、日曜に私を連れて紹介してくれます。思い出や感情を分かち合いをしたいというところまで成長してくれたんだな~と日々感動しています。Upload By ユーザー体験談私だけで抱え込む必要はないこれらの3つの転機は、自分だけで子育ての悩みを抱え込む必要がないことを実感させてくれました。両手を広げて迎え入れてくれる存在は、息子にとっても、私にとっても、安心して息をつける時間を作ってくれています。息子が周りのたくさんの方に愛情を注いでくださっている分、息子の笑顔も増え、私も救われているということに、この文章を書きながら改めて気づきました。今後は、息子と一緒に新しい地へ旅行をして、一緒に新しい体験をしたいなと思っています。まだ将来のことは正直よく見えないところがありますが、楽しい思い出をたくさん作って、楽しい記憶でいっぱいの人生にしてあげたいです。イラスト/マミヤエピソード参考/おかんレベル9(監修:鈴木先生より)日本と海外では教育の仕方が全然違います。私自身も小学校の3年間は米国の地元の小学校へ通っていました。生活指導は厳しかったですが、宿題はなく、昼はランチボックス持参で外の芝生の上でみんなとランチしていました。帰国すると、毎日宿題があり、昼は給食当番まであり、みんなと同じ給食を黒板に向かって食べるという殺風景なランチになってしまいました。日本にいると普通だと思っていることが、もっと広い目で見たら当たり前ではないかもしれません。これからもどんどん新しい地へ旅をして新しい体験をするべきだと私も思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年03月14日寝ない!とにかく寝ない2歳児!タケルは、乳児期はとても大人しい赤ちゃんでした。今思えば、ちょっと大人しすぎたかもしれないと感じるほど、手のかからない赤ちゃんで「なんて親孝行な良い子だろう!」と思っていました。しかし、生まれて5ヶ月が過ぎた頃、悪夢のような……いえ、夢を見ることができないほどの過酷な日々がやって来ました。……寝ない!とにかく寝ないのです!タケルはおっぱいを飲むとウトウトはするのですが、ベッドに下ろすと火のついたように泣き始めます。抱っこするか、おんぶしていれば、少しは長く寝るのですが、いったん布団に寝かせると振り返った瞬間もう起きているのです。Upload By 寺島ヒロそれでも、1歳ぐらいまでの間は、おっぱいを飲ませれば1~2時間は寝ていましたし、寝不足が続くとその辺で寝落ちしていました。しかし、2歳になる頃には体力がついたのか、タケルは寝ること自体に苦労するようになりました。眠くて眠くて寝ようとするのに眠れないのです。眠れなくて本人も真っ赤な顔になっているのですが、抱っこしようが、一緒に布団に入って本を読もうが、全く眠れない状態が続き、次第に体調が悪くなり、何かのきっかけで「ギャー」と泣きだし、最後はへとへとに疲れて寝落ちしてしまいます。この頃、唯一効いたのがドライブでした。チャイルドシートに乗せて、ぐるぐるドライブすると次第に落ち着いて眠りにつきます。チャイルドシートからおろす時に起きてしまう事もあるのですが、体も大きくなった2~3歳頃は、私が抱っこしてあやすのも体力の限界があり、車(とドライバー役の夫)の助けを借りて何とかする日々が続きました。何でもかんでも気にくわない!?3歳の頃3歳になっても眠れないのは相変わらずでしたが、体格はますます良くなりました。つまり、暴れると手が付けられなくなったということです。タケルは、普段は大変大人しく、ニコニコとひとり遊びをしているような幼児でしたが、赤ちゃんの頃と同じく、ひとたび何か嫌なことがあると大泣きして暴れ出し、止まりません。一旦おさまりかけても、「ブロックが赤い」「救急車が通った」と言っては、怒りを再燃させ、顔を真っ赤にして騒ぐのです。3歳頃になると流暢に喋るようになっていましたが、理由を聞いても原因らしきものは教えてくれませんでした。あとあと聞いてみると、「うるさかった」とか「何かやろうとしていたことを中断された」ということがきっかけだったようなのですが、その時は何をそんなに怒っているのか分かりませんでした。また、一度泣きだすと1~2時間もワンワンと泣いているのですが、どうしてこんなに長いことつらい気持ちが続くのか、本人も不思議に思っていたようです。「もう大丈夫だって分かっているのに、悲しい気持ちが止まらないんだよ~」と言いながら泣いていることもしばしばでした。怒っている原因も分からず、泣き続けてる理由も分からず、抱きしめながら私もただ見ていることしかできなかったのでした。これってイヤイヤ期?それとも……ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは、予測可能性や一貫性を求める傾向があるそうです。タケルも「何か」があって、自分の予定が変わると、それがとてもストレスになり泣いたり暴れたりしてしまいます。そして、自分が泣いていることで、その後の予定までどんどん変わってしまうことがまた耐えられないようなのです。Upload By 寺島ヒロ人に言えば「3歳でしょ?それってイヤイヤ期よ。来年ぐらいまでにはなくなるわよ」と、言われるのですが、なんだかちょっとほかの子とは違う感じがしました。結局、タケルの「イヤイヤ期?」は、小学校高学年まで続いたのでした。執筆/寺島ヒロ(監修:新美先生より)生後5ヶ月頃から始まり、小学校高学年まで続いた大泣き、癇癪のエピソードについて聞かせて下さりありがとうございます。寺島さんも「イヤイヤ期?」とはてなマークを付けていらっしゃるように、イヤイヤ期とはちょっとレベルが違いますよね。感覚の偏り、特に過敏さが強いと、乳児期早期から泣いたりぐずったり眠れなかったりが目立つことがあります。また自閉特性で行動・気持ちの切り替えがスムーズにいかず、一度嫌なことがあると、「ま、いっか」と切り替えることが行かなくて、頭では「しょうがない」などと分かっていたり、怒ることや泣くのを止めたいと思っていても、嫌な気持ちを引きずってしまいどうしても切り替えられないということが起きやすいです。気持ちの切り替えのコントロールは、段階的に練習したりして身に着けたり、なにかのきっかけで自分なりの切り替えスイッチを見つけておさめられたりするようになったりしていきます。成長してくると本人も切り替えたいと思っているのに切り替えられなくて本人自身が困っていることも多いので、その場合は、心理士などの先生に切り替え方の練習法などについて相談してみてもいいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月14日樹里さんには2歳年上の姉・海さんがいます。海さんには発達障害があり、樹里さんはいわゆる「きょうだい児」であり、「ヤングケアラー」でした。小学校低学年のころから姉の面倒をみつつ、母の手助けもしていた樹里さん。その日常は想像以上に大変なものでした。「私の気持ちはどうでもいいの…?」 ※樹里のお姉さん→樹里とお姉さん 何気ない友人との会話から、自分の置かれている境遇に引け目を感じてしまった樹里さん。さらに、家で騒ぐ海さんの姿を目にしてしまい、思わずイライラが爆発。大きな声で海さんを怒鳴りつけてしまいます。 すかさずお母さんが仲裁に入りますが、お母さんは海さんのことをかばうばかり。これには樹里さんも自分の気持ちを抑えきれなくなり、胸の内に抱えていた思いをお母さんへと訴えかけるのでした。 ◇ ◇ ◇ 思わず大きな声で怒鳴ってしまった樹里さんですが、発達障害のお子さんを大声で叱るのはよくありません。急な大声にパニックを起こして指示がほとんど聞き取れなくなり、冷静に行動することが難しくなってしまうのです。何か伝えたいことがある場合は、穏やかな声で静かに話しかけると良いでしょう。 しかし、幼いころから家事や海さんのフォローにと、自分の時間を犠牲にして努力してきた樹里さんにとって、自分の味方をしてくれる人がいないというのはつらいこと……。お母さんにも、できるだけ樹里さんのことも気にかけてあげてほしいですね。とはいえ、お母さんだって海さんのお世話や家事でいっぱいいっぱいの状態で、樹里さんを気づかう余裕がないのが現状です。 どうか、樹里さんとお母さんのお互いが、無理なく心身ともに平穏に過ごしていける方法を見つけられますように。 >>次の話監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2024年03月13日年長になり、困りごとが減ってきたワケ。それは……しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。現在保育園の年長クラスで、4月からいよいよ小学生になります。最近は困りごとが少なくなったしのくんですが、それはしのくん自身の成長だけではなく、しのくんを支えて下さった先生たちのおかげだと思っています。しのくんは2歳を過ぎるまで意味のある発語がほとんどなく、2歳半を過ぎても2語文が出ていませんでした。3歳児クラスに上がった時、保育園から「読み聞かせの時間に一人で違う遊びをしていたり、教室から脱走したり、集団行動が苦手な様子がみられます。専門家の支援を受けてはどうですか?」と薦められたことがきっかけで、療育センターへ通うようになりました。Upload By keiko特性理解に加配対応、視覚支援まで!しのくんに変化が保育園でも、しのくんの特性を理解するために、さまざまな取り組みをしてくれました。例えば、ことばの発達を促すために「ことばの教室」へ通い出した時には、保育園の先生が一緒にことばの教室へついてきてくれました。また、療育センターの先生を保育園へ呼んで、どうやったらしのくんが集団行動に参加できるようになるのか、アドバイスを求めてくれたこともありました。Upload By keikoさらに、園での支援体制についても配慮していただきました。しのくんが年少クラスに上がるタイミングで、加配の先生がつくことになったのです。加配の先生が、しのくんの特性を理解して視覚支援などで環境を整えてくれたので、しのくんは活動に参加できることが増えてきました。Upload By keiko園長先生も協力してくれていた!?保育園の配慮に驚き実は、保育園の配慮はこれだけではありませんでした。加配の先生が来る以前のことですが、みんなとの活動が難しいときには、園長先生の部屋にしのくんのお部屋(スペース)をつくってくれて、しのくんはそこで園長先生と過ごしていたそうです。それを聞いたときは驚きを隠せませんでした。また最近になってから、「家でゲームをしたり動画を見たりしたい」と泣いて、登園渋りすることがたまにあったのですが……そのときも園長先生に泣き止むまで抱っこしてもらっていたそうで、申し訳ない気持ちと感謝でいっぱいです!!Upload By keiko先生方が保育園の環境を整え、きめ細やかな支援をしてくださったことで、しのくんも大きく成長することができました。しのくんとほかの子どもの成長の違いを比べては落ち込み、不安定だった私のメンタルが落ち着いたのも、保育園の先生方のおかげだと思っています!人にも環境にも恵まれた保育園で大きく成長したわが子。就学を控えた今4月から小学校の通常学級で学ぶしのくん。保育園時代のようなきめ細かい支援は受けられないだろうな……と不安な気持ちもあります。それでも、これまで保育園や療育で培ってきたしのくんの力を信じて、学校の先生や放課後等デイサービスの先生とも協力して、しのくんの学校生活をサポートしていきたいと思っています。執筆/keiko(監修:室伏先生より)keikoさん、しのくんの保育園での過ごし方や、ご配慮の様子を共有くださり、ありがとうございました。保育園の先生方、とても親身に協力してくださって、keikoさん、しのくん共に安心して生活できる園生活が送れて本当によかったですね。保育士さんに気持ちや情熱があっても、保育士さんの人数や仕事量、ほかの園児さんへの配慮の必要度などいろいろな環境が整わないときめ細やかな配慮が難しいこともありますが、困っているお子さんの全員がこのような支援が受けられる社会になるといいなと思います。子どもの苦手な部分の指摘を受けた時、ご家族は、抵抗や不安を強く感じてしまうこともあるかもしれません。とても自然な感情です。もしかしたらkeikoさんもそのようなお気持ちを感じられていたかもしれませんが、先生方の言葉に耳を傾け、療育センターへの通所を始められたことで、園の先生方とのコミュニケーションがより円滑になったり、園の先生方も支援の方法を相談できる場ができたりして、より丁寧な支援に繋がったのではないかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年03月13日さらに怒らせる!男性に【言ってはいけないNGワード】3つ男性との関係性を良好に保つために大切なのが、適切な言葉遣いです。今回は、男性に言ってはいけないNGワードを紹介します。「自分でやるから大丈夫だよ」男性からの申し出に対して、遠慮してしまうことはないでしょうか。例えば重い物を持ってくれようとしたり、難しい作業を手伝ってくれようとしたりするときなど。「自分でやるから大丈夫だよ」と言ってしまうと、実は男性のプライドを傷つける可能性があります。「そんなこともできないの?」男性は、喜ばせようと努力する姿勢を持っています。しかし、その努力の成果に対して否定的な言葉を投げかけると、男性のプライドを傷つけてしまいます。上手くいかなかった時には「手伝ってくれたの?嬉しい!ありがとう」と感謝の気持ちを伝え、改善点を上手く伝えることが重要です。恋愛や仕事においても、伝え方は非常に重要なポイントと言えるでしょう。「〜くんはもっと稼いでるよね」競争が激しい現代社会において、収入などの比較を行うのは避けた方がいいでしょう。他の男性と比較されたり、羨ましいと思われる発言は男性のプライドを傷つける可能性があります。もし口にしてしまったなら「でもあなたが1番好きだよ」というフォローアップが重要です。勢いで言わないように男性との関係を築いていく上で、NGワードに気をつけることが重要です。男性の気持ちを大切にすることで、よりいい関係を築くことができるでしょう。(Grapps編集部)
2024年03月12日音楽家・秦万里子さんが10日に自身のアメブロを更新。発達障害の双子の娘達が学校で大変だったことを明かした。この日、秦さんは「すごく面白い特徴がある双子を育てている、、、という自覚しかなかった私が、発達障害の娘たちを育てているという意識を持ってから、約15年」と述べ「その間にはいろいろなことがありました」と回想。「学校を出てからの過ごし方が難しいところ」だといい「二人とも芸術の道を進んでいるので、いわゆる自由業。自分のスケジュールを誰も決めてはくれません」とつづった。続けて「仕事自体もプロジェクトによって始まり時間が昼だったり、夜だったり」するといい「その日に寄って、集合時間、場所、色々変化があります」と説明。「『予定が立っていることが安心』の彼女たちには、不安定になりやすい要素です」と述べ「学校はその点、ある意味形があって、それに自分を当てはめていけばいいのですが、これが自由となると、、なかなか」とコメントした。また「学校でも、ルーティンがそのまま現実のものになる時はいいのですが、、、休校、先生の突然の欠席、補講、など急に決まるものは大変」と説明。「自習になっても、ちゃんと『自習』をしていないクラスメイトに対しては????になるので、重ねて大変でした」とコメントし「休み時間も、好きな学科に入学した二人には、『雑談』の意味が分からなかった」と双子の娘達の学校生活での様子を振り返った。さらに「そしてやってきたのは、にっくきコロナです」と述べ「学校では時間で勉強を区切られるので」「ダンス、声楽、音楽の知識、どの授業にも終わりがある」と説明。一方で「自宅での勉強にはありません」「どこまでやったらいいのか、わからず、自分を追い込み、精神的に参ってしまいました」と娘達の様子を明かし「彼女たちは、『人間は怠けやすい動物である』という公式が当てはまりません」とつづった。また「自由になったら、倒れるまでやってしまう」といい「これは今まででも何回かありました」と告白し、娘達について「学校という社会でも『???』がいっぱい」と説明。「発達障害の人は、このルールで色々行われている社会に合わせて頑張りましょう、、という傾向があります」と述べ「社会に合わせて、やっとこさ、頑張ってやると、、彼女たちの『とても大変なこと』は『やればできること』と解釈されてしまうことがとても多いのですね」とコメントした。最後に「ASDの人たちにとって、『なんだ、やればできるんじゃない!』って言われてしまうこと、一見なんでもなく見えるものも、とっても頑張って頑張ってやっとできたものもあるんです」といい「だからこそ、社会に『理解しよう』としてくださる方が一人でも増えたらすごく嬉しいと思っています」と思いをつづり、ブログを締めくくった。
2024年03月11日幼稚園では母子共に先生に怒られてばかり……。そんな私たちに転機が現在小学校低学年の息子は、3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断を受けました。年少の頃はしたくないことがあると教室から脱走したり、思い通りにいかないと癇癪を起こすことが多く、幼稚園では「こんな困った子みたことない」「家でも対応してください」と注意される日々。ほぼワンオペ育児だった私。家族には相談できずどうすればいいか悩み、保健所やこども発達支援センターで育児相談(発達相談)に乗ってもらいました。そこで児童発達支援を勧められ、年中の春から通い始めました。Upload By ユーザー体験談入所前の説明会では、児童発達支援の先生方から優しく丁寧に説明をしてもらいました。こちらの質問にも優しく答えてくださり、幼稚園では母子共に先生方に注意されてばかりで、疲れ切っていた私は(笑顔で受け入れてもらえるなんて!ここなら安心して親子で通わせてもらえる!)と地獄で仏に会ったような気持ちになったことを覚えています。児童発達支援の先生方に私達親子の成長を見守っていただけたことが、私の育児の大きな転機となりました。ポジティブな声がけがこんなにうれしいとは!児童発達支援の先生方は、やってほしいことを息子に強制しようとしません。さらに先生方は私も見つけられていなかった息子の良いところを見つけ、のばしてくれたのです。「○○君は、周りから指摘されても、『あ、そっかぁ!』と素直に人の意見を聞けるところがとっても良いところですよね!」など、私に対してもポジティブな声かけをしてくださいました。私の対応についても良いところ探しをしてくださった先生。ある時、家でなかなかお風呂に入ろうとしなかった息子に私が「いらっしゃいませ~。1番目のお客さん!お風呂屋さんへようこそ~」と声がけすると、楽しそうにスムーズに入ってきたと先生に伝えると、「○○君は、数字が好きですよね。お母さん、本当によく見てらっしゃいますよね!」と肯定していただけたことが、とてもうれしかったのを覚えています。Upload By ユーザー体験談息子は個別指導とマンツーマン、小集団トレーニングで成功体験を積んだ児童発達支援で息子は個別指導とマンツーマン指導、年長の最後のほうでは小集団トレーニングも受けました。見通しを立てることや、思い通りにいかなくても別の物で代用したりして切り替える練習、「貸して」「どうぞ」「ありがとう」のやり取りすることなどに取り組みました。そして小さな成功体験を積み続けると、息子にも笑顔が増えていきました。そして児童発達支援が大好きになった息子。教室のある日は「やったー!お教室だ!」と毎回楽しみに通いました。ペアレントトレーニングで家でも成功体験を!そして私は、年長の春にペアレントトレーニングを受けさせてもらいました。私も息子に効果的な関わり方を知りたい、私がイライラせず楽しいと思える育児法を学びたいと思ったからです。コロナ禍だったため、オンラインで先生方と8人ほどの保護者の方々と行いました。その回の課題(褒めポイントを探す、子どもに合った褒め方を工夫するなど)に取り組み、自分たちの意見を出し合いました。参加された方々の意見もとても参考になり励みにもなり、よかったところや取り入れてみようと思ったところを発表し合うことで、前向きな気持ちになれました。Upload By ユーザー体験談これをわが家でも取り入れようと決意した私。適切な行動が取れるように、適切な行動を一つずつ付箋に書き、まず『見える化』をしました。そして、息子が適切な行動ができたら、その付箋をホワイトボードの『できた』欄に移動させ、大いに褒め、カレンダーにも花丸を書いていきました。これが息子にとってよかったようで「適切な行いをする→褒められて成功体験を積む」ことで、適切な行動が増えていきました。Upload By ユーザー体験談小学校ではクラスが荒れ気味……。子どもが安心できる環境を作りたい児童発達支援、そして小学校入学後に通うようになった放課後等デイサービスでのか関わりは、息子と私にとてもよい影響を与えてくれました。どうすればいいか分からなかった育児に、「こういうことをしてみればいいかもしれない」という道筋が見え、サポートしてくださる先生方に精神的にも支えられました。ですがいま現在、小学校低学年になった息子は問題を抱えています。実は担任の先生が怒りっぽい方のため、学級全体が荒れ気味で息子にとって落ち着かない環境となっているのです。どんなに、どんなに、児童発達支援や放課後等デイサービスの先生方や保護者がポジティブなかかわりをしていても、毎日通う学校での環境が整わないと、子どもの成長は停滞したり退行したりするんだなと実感している毎日です。そんな状態ですが、ともかく私は息子が安心して過ごせる環境が少しでも増えるように、親としてできることをしていきたいと思っています。息子を支えてくれる方たちと相談しながら、頑張っていきたいです。イラスト/keiko※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:鈴木先生)園からは「困った子」に見られていますが、実は本当は「困っている子」なのです。そんな困っているお子さんに対しての扱い方をすることが大事だと思います。自閉スペクトラム症のお子さんは一番が好きでこだわりがあることが多く、どこかへ行くときもきょうだいに先を越されるとイライラしたりします。また、見える化も良かったと思います。自閉スペクトラム症のお子さんは一般的には視覚認知が優れているので言うより見せた方が通じやすいからです。ただ、小学校に入ると、毎年担任が変わって環境も変わるので落ち着かなくなることがあります。担任の神経発達症に対する知識や経験も異なります。できるだけ早い時期に校長先生や町の教育委員会にも相談して早期の改善策を見出すことが必要になります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年03月11日気になる周囲との差、発達について指摘される?みんなの3歳児健診エピソード3歳児健診は、子どもの身体の発育や心の発達を確認して、病気などの早期発見や、専門機関につなげる機会となる大切なものです。しかし、問診票の記入や尿検査などといった事前準備も多く、保護者にとっては負担に感じる部分もあるかもしれません。特に、発達障害や発達に特性があるお子さんは、事前準備や健診に行くこと自体が大変な場合もあるでしょう。今回は、発達ナビ連載ライター陣に、3歳児健診でのエピソードをご紹介いただきました。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)のコウ君は現在中学生。コウ君のお母さんである丸山さとこさんは、コウ君のことを「マイペースな子どもだな」と感じつつも、初めての子育てだったこともあり「3歳児ってこんなものなのかな?」と思っていたそうです。しかし3歳児健診で、大きな転機を迎えることに……。1歳半児健診の時にヘトヘトになった記憶がよみがえり、3歳児健診には行きたくない気持ちでいっぱいだったカタバミさん。それでも「耐え忍ぶしかない」と、重い腰を上げて向かったところ、まさかの健診「2回目」を受けることになって……!?ダウン症の息子きいちゃんを育てる星きのこさん。同じダウン症の子どものママ友たちと「3歳児健診行く?行かない!?できれば行きたくないよねえ……」と話していたそうです。周囲の視線が気になって耐えられないかも……と思った星さん。果たして、3歳児健診には行ったのでしょうか?ねこ太くんは現在小学1年生。ADHDグレーゾーンで特別支援学級に在籍しています。3歳児健診の時、ねこ太くんはまだおむつが外れておらず、事前の尿検査から苦戦!お母さんである鳥野とり子さんに、当時のことを振り返っていただきました。ASD(自閉スペクトラム症)の長男、けんと君を育てるゆきみさん。転勤族で知り合いもほとんどおらず、孤独を感じながらの育児でした。わが子の発達について悩んでいたゆきみさんは、相談していく中で少しずつ支援の輪が広がっていったそうです。寺島ヒロさんのご長男、タケル君は2000年生まれ。3歳児健診を受けた当時、ASD(自閉スペクトラム症)の特性については、まだあまり知られていませんでした。健診では、医師に心配なところを訴えるも理解されず、不安は解消されないままさらに7年の月日が経って……。よいこさんのご長男あー君は、現在小学6年生。ASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。家庭や幼稚園でのあー君の行動に違和感があり、3歳半健診で発達相談する!と決意していたよいこさんでしたが……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年03月09日私は8歳の長男と6歳の次男、そして4歳の三男の3人の子どもを育てています。にぎやかな日々を楽しく過ごしていますが、実は3人目を妊娠したときに、産むかどうしようかかなり悩んでしまったのです。葛藤した当時の体験談をお話しします。4歳と2歳の育児に追われる日々当時4歳のわんぱくな長男と2歳の泣き虫な次男の子育てに追われる日々の中、仕事復帰をした私。そんなときに予想外の妊娠をしました。当時の私は家事や育児、仕事の両立でメンタルがギリギリの状態でした。 こんな私に子どもを3人も育てられるのだろうか? また、経済的不安もあり、人工妊娠中絶も考えてしまいます。夫に相談したところ、できれば産んでほしいが最終的には私が決めてという返答だったので、人工妊娠中絶について調べるとともに、同じ悩みを抱えている人がいるのでは?とインターネットで探しました。 同じ悩みを持つ人が意外に多かった…3人目の妊娠についていろいろと調べているうちに、意外にも同じような悩みを抱えている人が多くいることがわかりました。その中で、人工妊娠中絶が可能な病院自体、少ないことを知ったのです。そのときの私は3人目を育てる自信をなくしていたので、近くで人工妊娠中絶ができる病院があるか、電話で問い合わせて見つけました。 いざ病院に行くと、先生は中絶を希望する理由などは聞かず、「まだ手術をするには早いから、次回までにどうするか決めてきてね」と言いました。私にもう一度考え直す時間を与えるかのような先生の対応により、私の中で何かが変わっていったような気がしました。 自分を見つめ直して考え方を改めた先生が何かを察してくれたかのように感じた私は、考え方を改めてみようと思いました。私の場合は、そのときの現状でいっぱいいっぱいとなっていることから、新たな子育てへの不安を感じていたのです。そこで、家事などもう少し手を抜けるところは抜くことにしました。 また、きょうだいも2人より3人いたほうがうれしいのではないかと思えるようになり、経済的な不安については働きながら節約できるところはするなど、どうにかなるだろうと考え、私は「産もう」と決意しました。このことから、いろいろな物事に対して、今だけではなく先のことも考えながら行動するようになりました。 無事に三男も生まれてきてくれ、現在は、3人で仲良く遊んでいる姿がよく見られます。次男も三男のお世話をよくしてくれるようになり、私は大変どころか上の子に大変助けられています。手を抜くところは抜いて、子どもたちと向き合って過ごすことの大切さを実感しました。そして3人の子どもたちと楽しく過ごしている今、産むという決断をしてよかったと思っています。 ※人工妊娠中絶は、母体保護法により定められた適応条件を満たしている場合に限り、施行されます。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラストレーター/シュー子著者:太田 ゆみ監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2024年03月08日小学校卒業まで、イヤイヤ期から反抗期まで切れ目なし!?Upload By 丸山さとこ子どもが2歳頃になると、自我が芽生えることで『イヤイヤ期』が始まると言われています。「あれをしたい、これはイヤ」などの自己主張が強くなり、強い抵抗や癇癪も始まるイヤイヤ期。赤ちゃんの頃とは違った形で手がかかるようになり、大変な思いをされる保護者の方もたくさんいらっしゃると思います。そんなイヤイヤ期は一般的に3歳から4歳にかけて落ち着いていくそうですが、コウは自己主張が強くなりだした2歳頃から小学校を卒業するまで『イヤイヤ期』と『反抗期』の切れ目がないような状態でした。現在中学生のコウ本人がこれまでを振り返って「僕は小さな頃からずっと反抗期みたいなものだからね」と言うほど長く続いた彼の反抗は、地味に大変なものでした。コウのイヤイヤ期&反抗期は、怒って暴れたり駄々をこねてひっくり返ったりするような見た目の派手さはありませんでした。基本的に泣いたり反論し続けたりするような感じで、激しいときでも癇癪を起こして床を叩く程度だったので、反抗の程度としては大人しいほうだったかもしれません。ただ、その『泣いたり反論し続けたり』がすごいのです。息が吸えずに顔色が真っ青になるまで泣きますし、「何で?〇〇は□□のハズなのに!」と混乱からパニックになっていくこともしばしばでした。Upload By 丸山さとこそれに加えて、反論はコウが納得するまで長時間に渡り続くこともありました。対応している私としては、精神的につらいのはもちろんのこと、長く時間がとられることにも負担を感じることがありました(私はグッタリと疲れ果てながら「説得の千本ノックみたいだな……」と思っていました)。今のコウは、当時を振り返って「あの頃はねぇ、あらゆることに『納得いかない!』って思ってた」と言っています。その『納得いかない!』の暴風雨にコウ本人も周囲の人も振り回された、嵐のような時期だったと思います。小学校6年生から少しずつ現在のコウに近くなってきましたそうしてイヤイヤ期から反抗期までを過ごしてきたコウは、小学校6年生から少しずつ落ち着き始めました。周囲の様子や事情が見えるようになり始めたことで、「理不尽だ!おかしい!!」と思うことが減っていったのだそうです。また、クラスメイト同士の関わりを落ち着いて見るようになったことで、「自分の感情表現は周りに比べて激しすぎるのかな?」と気づいたのも大きかったと言います。それにより、コウは感情表現の仕方を意識的に調整するようになったそうです。Upload By 丸山さとこ周りを見ることにより0-100思考も少しずつ和らぎ、「まぁいいか」と言えるようになったことで、パニックも減っていったようです。その流れは中学校に入ってからも続き、今では滅多にイライラすることはなくなりました。コウ本人も「思春期に入って自分や周りを見るようになってきたことで、イライラが減って情緒が安定してきた」と言っていました。幼児の頃から今までを『反抗期みたいなものだった』として振り返りつつ、コウは「自分としては反抗期だとは思っていないところもある」と言います。詳しく聞いていくと、以下のように話してくれました。・保育園や小学校の頃は特に反論しまくっていたと今なら分かるんだけど、疑問や納得できない点をそのまま言っているだけで、自分としては反論しているつもりはなかった。・納得できない!おかしい!と思うことはよくあったけど、反抗的な気分ではなかった。人に対してではなく、『納得できないこと』に向かってイライラしている感じ。・先生や親に対して反抗しようと思うほど、人のことを見たり考えたりしていなかったと思う。自分のことだけって感じ。でも、結果的に反抗的と取られる言動をしていたってことも今は分かる。Upload By 丸山さとここのように思っていたことを話してくれたコウは、今では別人のように落ち着いたと言われることもあります。ですが、私は「実は内面はそれほど大きく変わってはいないのではないかな?」と思ったりします。コウのこれまでを振り返ると、今のコウも言葉や態度がマイルドになっただけで、納得を求めて疑問を投げ続けるようなところは変わっていないと感じるからです。Upload By 丸山さとこそれでも、納得できない気持ちを「おかしいよ!」ではなく「それはなぜ?自分はこう考えたんだけど」と表現できるようになったコウは、確かに変化しているのだと思います。コウの調子の悪い日は納得するまで『説得千本ノック』が始まることもありますが、私に対して疑問を飲み込まずに投げてもらえる内が華なのかもしれません。「今日はコウのボールを受け止められそうかな?」と、心身の余力と相談しながら可能な範囲で対応していきたいです。執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)コウくんの幼児期から小学生までのご様子を、コウくん自身の言葉も交えて共有くださり、ありがとうございます。疑問や納得できないことをとことんまで納得しようとする姿勢、ご本人もご家族も本当におつらかった時期があったことと思いますが、ついつい自分を甘やかしてしまう私からすると、尊敬の気持ちでいっぱいです。また、それを客観視して表現の仕方を自ら変えていかれたことも素晴らしいと思いました。その姿勢ゆえにストレスや苦悩を抱えてしまうこともあるかもしれませんが、誰にでも真似できることではありません。また、コウくんのその疑問やイライラに向き合ってこられた、さとこさんの忍耐強さも決して簡単に真似できることではありません。さとこさんのその大きな愛情の中で、コウくんは安心して疑問、そして感情をぶつけることができ、少しずつ自身を客観視できたのかなと思います。次の記事も楽しみにしております、時々コウくんのお言葉も聞かせてくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年03月08日タレントの小倉優子が7日に自身のアメブロを更新。11歳の長男が作った料理を公開した。この日、小倉は「カップケーキ」というタイトルでブログを更新。「昨夜は、長男がカップケーキを焼いていました」と長男がお菓子作りをしていたことを明かし「慣れた手つき」と調理中の長男の写真とともにコメントした。続けて「メレンゲを使ったフワフワのカップケーキ」と完成したカップケーキの写真を公開し「朝ごはんに子ども達三人で食べ切っていました」と報告。最後に「私も味見したかったなぁ笑」とつづり、ブログを締めくくった。
2024年03月07日学校生活での困りごと、保護者はどう対応すればいい?発達障害のあるお子さんは個性的な面も多いですが、それに対して学校はどちらかというと平均的なお子さんにあわせて作られています。ですので、発達障害のあるお子さんは学校生活の中でどうしても困りごとが多くなりがちです。学校での困りごとを解決するには、家庭と学校の連携が不可欠ですが、どうすればいいのか迷うことも多いのではないでしょうか。学校でのトラブル、今回はお友達を叩いてしまったケースを紹介します。次のような困りごとが起きたら、みなさんはどのような対応をしますか?ケース:子どもが学校で友達を叩いてしまったUpload By 専門家体験談同級生に他害をしてしまったケースです。子ども同士でもめているうちに、お子さんが相手の子に手をあげてしまいました。子どもに何があったか聞いたところ、「うまくできないことを何度もからかわれた」という背景があったことが分かりました。このような場合、どのように対応すればいいでしょうか。「からかわれたこと」と「叩いたこと」は分けて考えるUpload By 専門家体験談保護者としては、まず相手に謝罪することが第一です。それと同時に今後のトラブルを防ぐ予防策を講じることが大切です。そのためには「事実の確認」をする必要があります。子どもに確認してみると、「ちょっとした小競り合いの中で偶然手があたってしまった」ということもあります。その場合は相手に謝罪し、今後は気をつけるということでいいでしょう。しかし、今回の例のように「うまく字が書けないことを何度もからかわれた」といった理由がある場合は、「からかわれたこと」と「叩いたこと」は分けて考える必要があります。「叩いたこと」は当然悪いですが「言葉の暴力」が許されてよいわけではありません。からかってしまったお子さんにも適切な行動を教えていく必要があります。ただ、暴力を振るってしまった側が相手に対して「そちらにも原因がある」というのは簡単ではありませんので、こんなときは、担任の先生、校長、副校長などの管理職の先生も協力して、学校での出来事を確認するような形で話し合いを持つのがいいでしょう。話をしてみると、相手のお子さんも「自分はルールを守っているのにあの子だけは違うことをするのはずるい」と思っていたりする場合があります。そんなときは「学校のルール」を見直すことで、どちらのお子さんも活動しやすくなる場合もあります。私がこれまでに見聞きしたケースだと、叩いたことだけが問題視されて「とにかく暴力はいけない」で話し合いが終わってしまう例が多いです。学校の「標準」ができないことをからかわれていたお子さんは、追い詰められてしまいます。学校、相手方と話し合うのは大変なことだと思いますが、子どもを守るためには話し合うことが必要です。場合によっては、医師などの専門家に協力を求めることも一つの方法です。難しい問題に直面したときには、さまざまな人たちを頼りながら対応していきましょう。学校へどう伝える?保護者ができる3つのコツ今回のケース以外にも発達障害があるお子さんの学校でのトラブルはさまざまです。ですがどれも、保護者一人で対応するべきことではありません。学校と家庭が一緒に対応していく必要があります。学校へどう伝えるか迷われたら、以下の3つのヒントを参考にしてみてください。子どもの学校での環境を整えるためには、子どものことを一番知っている保護者が具体的な困りごとを学校へ伝えて、家庭と学校で情報共有することが大切です。しかし、保護者が困りごとに対して「こうしてほしい」という形で伝えると、学校へ対する「要求」のようになってしまうことがあります。また、こう伝えられると学校側は「はい」「いいえ」の二択を迫られる状態になり、学校側の考えと一致していない場合は、「いいえ」と断られてしまいます。学校の先生にも教育方針があり「こうしたい」という考えがあります。保護者の考えを通すのか、先生の考えを通すのかといった争いのようになってしまうと話し合いがうまくいかないので、「相談」になるよう心がけましょう。「相談」にするためには、「状況を認識して相手に伝えること」と「相手の意見を聞くこと」の両方が必要です。私が保護者の方、先生方と話すときは「お子さんにはこういう特徴があって、こういう条件だとこうなります」という伝え方をしています。「だから、こうしてください」とまでは言わないのがポイントです。そうすると「そうだとすると、こうすればいいでしょうか?」という提案が出てきます。そのような形でお互いが考えを出し合っていけるといいでしょう。先生に「こんなことが起きて困っています」と伝えたとき、一緒に対応を考えてくれる先生だといいのですが、そうならない場合は同じ話を繰り返しても対応が変わらない可能性が高いので、やり方を変えましょう。私のおすすめは、その先生と一対一で話すのは避け、ほかの先生にも話し合いに入ってもらうことです。学校には「特別支援教育コーディネーター」を担当している先生(特別支援学級の先生がなられている場合が多い)やスクールカウンセラーが必ずいます。担任の先生へ2~3回相談しても話が通じなかったら、ほかの人に入ってもらうことを検討しましょう。発達障害のある子どもはどうして学校で困っているのか私は、今の日本の学校には子どもが「標準的にやるべきこと」が多すぎると思っています。・持ち物を揃えて登校する・提出物を出す・登校の際に先生、友達に挨拶をする・授業中は席について、正しい姿勢で先生の話を聞く……など、まだまだたくさんこなさなければいけない行動があります。これが「学校の標準」になっていると、「学校の標準」をこなせない一部の子どもたちは追い詰められてしまいます。私は「学校で、みんなと同じようにできない」と学校へ行くことができなくなった子どもたちをたくさん見てきました。進学をエスカレーターにたとえると、今の学校生活は「みんなと同じ」でなければエスカレーターからはみ出し、その後の進学や進路選択がしづらくなるという面があります。ですので、「みんなと同じ」ではない標準的な道を歩くことが難しい子は、学校生活だけでなくその先もどうしても生きづらさを感じてしまい苦しむのです。そしてそれはお子さんだけでなく保護者のみなさんも同様で、学校で困っているわが子に対して、どう対応すればいいのか不安に思っている方も多いと思います。私は、この狭すぎる「学校の標準」からはみ出しても基本的に大丈夫だと思っています。フリースクール、ホームスクールなど別のルートを選んだほうが学びやすくなる場合もあります。子どもは何のために学校へ行くのか、それは、「社会に出ていくための土台をつくるため」です。学校へ登校すること、いい成績をとることなど、学校生活だけに目標をしぼると、学校を卒業することが人生のゴールのようになってしまいます。「学校の標準」という基準にあわせることを求めて、発達障害のある子どもに無理をさせない環境を保護者と先生がよくコミュニケーションをとって、そして困ったときは専門家にも相談して整えていけるといいですね。マンガ/吉田いらこ前の記事はこちらUpload By 専門家体験談(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年03月07日