40代になるとそろそろ気になってくるのが閉経。早く終わってほしい、終わるのは寂しい……と感じ方は人それぞれですが、閉経とはどういう状態なのか、何歳くらいで訪れるものなのか、閉経の基礎知識を産婦人科医・漢方内科医の駒形依子先生に聞きました。卵がなくなり、1年生理が来なければ閉経閉経とは、生理が1年来ない状態になったことを言い、最後の生理から1年以上たってから判断します。年齢とともに卵巣の機能が低下し始め、また、出生時に約200万個あった卵子のもととなる原始卵胞の数も少なくなってきます。そのため、更年期に入り閉経が近づくと生理周期が乱れたり、生理があっても無排卵月経が増えたりしてきます。原始卵胞がなくなった時点で閉経となります。閉経の平均年齢は50.5歳。実際は個人差が大きい日本人女性の平均的な閉経年齢は50.5歳ですが、個人差があります。40代で閉経する人もいれば、50代後半まで続く人もいます。40~50代のライフスタイルはさまざまで、体質や体力、気質や性格も千差万別です。閉経へのプロセスは、卵巣機能低下による女性ホルモンの減少由来以外にも、仕事、子育て、夫婦関係、介護、嫁姑関係、経済状況、もともとの健康状態などと複雑に絡み合っています。閉経がいつ訪れるか、事前に特定する方法はない!残念ながら、閉経の年齢を特定することはできません。ただ、閉経前後の5年間を更年期と呼びますが、この時期はホルモンバランスが崩れ、体調も崩しやすくなります。健康診断や検査では問題ないのに体調不良が治らない場合、更年期症状が考えられますが、閉経後に「あれがサインだったのか」と思うことも多いです。また、徐々に月経回数が減っていくこともサインの1つです。ただ、月経回数が減ってからしばらく続く人もいます。まとめ「卵がなくなれば閉経」という先生の言葉に改めて納得。妊娠・出産の条件がなくなることが閉経と感じました。閉経時期を特定する方法はありませんが、サインがないわけではないので、自分の体に向き合ってみる機会と捉えても良いかもしれません。取材・文/岩崎みどり(48歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重あごが悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。
2020年12月17日産婦人科医と美容家による「閉経」のホント閉経や更年期について、産婦人科医師と美容家が解説している新刊『「閉経」のホントがわかる本』が発売された。著者は産婦人科医師で医学博士、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長、NPO法人女性医療ネットワーク理事長の対馬ルリ子氏と、美容家でオーガニックスペシャリストの吉川千明氏である。四六判256ページ、1,700円(税別)の価格にて集英社より発売中である。キーワード検索や「わたしカルテ」も全ての女性に訪れる更年期。更年期は閉経前の5年間、閉経後5年間の計10年間のことをいい、心身に変調をもたらす。閉経や更年期という言葉は口にしづらく、その時期にある女性でも考えたくないと思ってしまうが、不調に直面し、相談しづらいことから1人で悩むことになってしまう。新刊では貴重な10年間とその後の人生を左右する閉経、更年期、女性ホルモンの正しい情報を紹介。様々な不調に対し、なぜそうなるのか、対処法、相談先などがわかりやすくまとめられている。120以上の用語については、キーワード検索で該当のページを探すことが可能となっている。また、検診データなどを記録できる「わたしカルテ」が収録され、記載のQRコードによりダウンロードも可能。何枚でも継続的に「わたしカルテ」を作ることができる。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※「閉経」のホントがわかる本~更年期の体と心がラクになる!/対馬 ルリ子/吉川 千明 - 集英社の本 公式
2020年09月11日ほぼ28日周期で訪れていた生理が乱れ始めたのが44歳ごろ。それから3年がたち、恐らく閉経も近い状態になりました。ここに至るまではプチハプニングもあり……。そんな終わりかけの生理について記します。閉経は他人事!?生理が来ないと相談され○○を疑う私の母親は43歳で閉経したそうです。早い。「子宮系は母親に似る」というまことしやかなうわさも聞くので、自分も閉経が早いのではとうっすら思ったのが30代。ところが、40歳を過ぎても生理は正常に訪れていました。そっかー、閉経はまだ先かーとどこか他人事のように感じていました。そんなある日のこと。学生時代の友人から「アレが来ないの。妊娠したのかも」と相談を受けました。「え! 彼氏には言ったの?」と騒ぐには20年遅い。私より2つ年上の彼女はこのとき44歳。彼女は既婚者でもう大学生&もう中学生の子どもがいます。身に覚えがあり、どうやら生理が10日遅れている。産婦人科に行くべきだろうかと悩んでいます。友人「出産するころには45歳で超高齢出産になるから、母子ともにリスクが高いんだよね。この年齢で育児するのも不安があるし」私「そしたら残念だけど、中絶するということ?」友人「でも……せっかく授かった命だし」私「そうだよね。もし赤ちゃんが生まれたら、子どもたちも大きいからすごくかわいがって、手伝ってくれるんじゃない?」友人「たしかに! 夫とは数年ぶりの1回だったのに、妊娠していたら奇跡だよね」私「じゃ、赤ちゃんの名前は男でも女でも“キセキ”ちゃんにしたら?」友人「それ、名前の由来がバレバレでしょ……」私たちは盛り上がり、話は出産の方向に進んでいきました(いや、友人は肝心の夫にはまだ何も言ってなかったけれど)。 が、後日、超遅れて友人に生理がやってきたのです。45歳の自然妊娠率は5%と言われています。「この年齢になったら、むしろ閉経を疑うほうが自然だったのかも」とは友人の弁。ああ!と私も目からウロコ。お互い閉経のことが抜け落ちていたゆえの、プチ妊娠騒動でした。終わりかけの生理に役立ったのは布ナプキン!改めて閉経を意識してから2年たった44歳のころ、私の生理の周期は乱れていきます。もう、いつ月のものがやって来るかわからない。「恐らく今日だろう」と踏んで、生理ナプキンを貼っておいたところで何もなかったときのちょっとしたムダ感。また、周期が早くなることもあり、予想外の出血で洗濯物が増えてしまったときのやれやれ感。月経期間も長くなりました。だらだらと8~9日続くのも終わりかけの生理の特徴です。しかも私の子宮はとてもフェイントじょうずで、朝起きてようやく生理が終わった!と思ったら、夕方ちょこっと出血があるということも。何そのドッキリ。また洗濯物が増えます。そこで活用するようになったのが布ナプキン。布ナプキンは羽つきナプキンの形をしていて、文字通り布製。使用後は洗濯しないといけないけれど、そもそも布だから下着の延長で使えるのがメリット。1日中、肌に当てていても蒸れたり肌荒れしたりしないのです(私調べ)。生理の訪れる予感がしたら、布ナプキンでスタンバイ。もう、ずっとつけっぱなし。来ないなら来ないで、下着と一緒にガラガラ洗濯機で洗います。だらだら少量の出血が続くときも布ナプキンを使用しています。これがラスト生理?寂しさよりうれしさが45歳を過ぎてから生理は2~3カ月に1度のサイクルになり、そして先月、半年ぶりに訪れたのが、恐らくラスト生理!?と思われるもの。最後の生理の出血量はごく少量で、さながら敵に討たれ、倒れる直前の主人公の吐血のよう(生理にセリフをつけるなら「フランス、ばんざ……い」とか)。子宮に「見事じゃ!」と言ってあげたいです。閉経すると寂しい気持ちがするとも聞きますが、私の場合はラクのひと言に尽きました。特に生理に関して思い出らしい思い出もなく。あ、ふかふかの綿ナプキン時代に、極薄ドライメッシュシートの「ウィスパー」が登場したときは驚いたなぁ。初代パッケージの女性のピクトグラム、なんとなく描けますもん。現在販売終了だそうで、自分のことよりそちらのほうが寂しいです。ともあれ初潮から数えて33年目に幕を閉じた(であろう)私の生理ライフ。子どものおむつが外れたような「ああ、すっきりした」という感覚だったのでした。まとめ「日本産婦人科学会」によれば、1年以上月経が訪れないときに振り返って「閉経」と定義されるとあります。日本人の閉経平均年齢は50歳だそうで、私は恐らく早いほうなのかも(ということは、やはり母親似?)。終わりかけの生理を経て、中年から階段を一段上った更年期。平穏に進んでいけば何よりです。
2020年09月11日通常、生理が終わるのは50代に入ってからと言われていますが、「早期閉経」といって、若くして閉経してしまうことがあるというウワサを聞いたことはありませんか?そんな話を聞くと、もともと生理が不規則な人は不安になりますよね。そこで、本当にそんなことが起きるのかどうか専門家の先生にお話を伺ってきました。 答えてくれたのは……三鷹レディースクリニック院長天神尚子(てんじんひさこ)先生日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。 早期閉経(早発閉経)とは?「閉経とは1年以上無月経の状態で、かつ脳から指令を出すホルモン(性腺刺激ホルモン)が高値で女性ホルモンのエストロゲンが低値を満たす場合をいいます。通常は50代前半が多いとされています。早期閉経はホルモンの条件は同じですが、40歳未満で4~6カ月無月経の場合をいい、自然発生率は1%ほどです」 Q.生理がいきなり終わることってある?A.ない「女性ホルモン(エストロゲン)は30代後半から減りはじめ、40代に入ると卵巣機能が少しずつ低下してくるために排卵や生理も不規則になります。また、エストロゲンが減少することで子宮内膜が薄くなるため経血量も減っていき、大体50代で閉経を迎えます。生理はいきなり終わるというより、じょじょに不規則になって、量も少なくなって閉経に移行するという感じです」 Q.20代で閉経することもある?A.ない「普通はありません。あるとすれば、手術で両側卵巣を摘出したり、脳下垂体の手術をして女性ホルモンを出すための指令を脳が出せなくなった場合です。また、卵巣がんや子宮がんの化学療法や放射線治療によって卵巣の働きが低下して生理がこなくなることもあります。この場合は将来の妊娠に備えて治療の前に採卵して卵を冷凍保存することもあります。あとは染色体異常や遺伝的なものも言われていますが、実際には原因がよくわからないことが多いです。早期閉経が起こるのは、30代後半くらいからですが、それによる低エストロゲン状態が続くとホットフラッシュなどの更年期の症状や骨量低下、高脂血症などのリスクが出てくるためホルモン補充療法を行います。これによって卵巣機能が復活することもあります」 20代~30代前半の健康体であれば、早期閉経の可能性はほとんどないということが分かりました。また、早期閉経になってもホルモン療法で復活することもあるそうなので、ちょっと安心ですね。もし20代で急に生理が来なくなったり明らかに量が減っている場合は、妊娠や病気の可能性が高いということなので、迷わず受診することをおすすめします。 監修者:医師 三鷹レディースクリニック院長 天神尚子 先生日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
2020年05月27日出産してから下腹部や外陰部に不快感があったり、尿が出にくくなるなどの症状は出ていませんか?出産という大仕事をはたし、体も急激に元の状態に戻ろうとしているのですから、いろいろな症状が出て当たり前、と簡単に考えている人もいるでしょう。しかし、この不調をそのままにしておくと将来、発症する可能性がある病気が…。正しい知識と迅速な行動が必要かもしれません。このような症状が出ている場合、お母さんの体の中でどんなことが起こっているのか、将来どんな影響があるのかを説明しましょう。【監修】成城松村クリニック院長 松村圭子先生婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。■子宮脱って何?出産後から下腹部に違和感がある、尿意はあるもののいざトイレへ行くと出にくい、逆に頻尿みたい…。このような症状をそのまま放置した場合、加齢に伴って「子宮脱」へと進行する可能性があります。聞き慣れない言葉だと思いますが、この子宮脱、出産時の体の変化の影響で、将来発症する可能性がある病気の一つです。子宮脱とは子宮脱とは、骨盤の下のほうにある骨盤底筋という筋肉が弱くなり、子宮の位置が通常よりも下がって、外陰部から子宮の一部、またはすべてが出てしまう状態をいいます。症状が進むと膀胱(ぼうこう)や直腸などの臓器も一緒に下がってしまい、腟(ちつ)が裏返ってしまうこともあります。骨盤の中で周囲の臓器が下がってしまうことからこの状態を、骨盤内臓脱ともいいます。参考サイト:日本女性心身医学会 「子宮脱」 子宮下垂との違い子宮下垂は子宮脱とは違い、子宮は外陰部より出ていない状態で、子宮の位置が通常位置よりも下がった位置にある状態を指します。子宮下垂が悪化すると子宮脱に進行します。ごくまれにですが、妊娠中に子宮下垂が起こり、尿が出にくい、便が出にくい、または頻尿や尿もれなどの症状が出ることがあります。このような症状がある場合は病院を受診しましょう。子宮脱の症状子宮下垂の状態は、痛みを伴わないため、婦人科検診などで指摘されるまで気づかない人もいます。しかし、症状が進むと、子どもを抱っこしたり、重い物を持ったり、しゃがんだりなど腹筋に力を入れることで違和感を覚えるようになります。悪化すると丸くて硬いものが外陰部から出てくるようになるので、そこで気づく人が増えます。膀胱や直腸などの内臓も子宮と一緒に下がってくると、下腹部がひきつれた感覚になり、太ももの間に何かが挟まっているような症状も出ます。下がった子宮が下着に擦れて、出血することもあります。■子宮脱の原因は? 経産婦がなりやすいの?子宮脱はどうして起こるのでしょうか?原因1:経腟分娩による出産子宮脱の発症の原因で一番多いのが経腟分娩です。子宮脱は女性の約10%が経験し、そのうち95%が経腟分娩経験者だそうです。出産時、赤ちゃんが骨盤内を通過するとき、おなかや内臓を支える骨盤底筋が損傷したり伸びたりすることが原因と考えられます。しかし、分娩後すぐに子宮脱になるのはまれで、大抵、閉経を迎える50歳頃から多くなり、60歳代が発症のピークとなるようです。原因2:加齢先に解説したように、出産時に骨盤底筋が傷ついても、すぐに子宮脱になることはほとんどありません。しかし、加齢で筋力が衰えるとおなかや内臓を支えきれなくなり、腟から子宮が出るのです。ひどくなると膀胱や直腸などの内臓も一緒に下がってくる骨盤臓器脱になります。原因3:重いものを持つなど腹圧がかかった子宮脱の原因となる骨盤底筋のゆるみは、加齢以外にも起こります。それは重いものを持つ、せきやくしゃみの頻発など腹圧がかかった場合です。妊婦はホルモンによる骨盤のゆるみと子宮の重量の増大のため、骨盤底筋に負担がかかりやすいといわれています。重量物の取り扱い業務が原因で有害な健康状態を生じる恐れがあることを厚生労働省でも注意喚起をしています。参考サイト:厚生労働省 「母性保護に係る専門家会合報告書」 原因4:外傷トラブルケガや事故で骨盤底筋を損傷することで、子宮脱が起こる場合があります。非常にまれなケースではありますが、骨盤底筋を傷つけることで、機能をはたせなくなり、子宮下垂を引き起こします。この状態を放置すると、症状が進行し、子宮脱の状態に移行します。■自分でできる子宮脱の予防対策子宮脱の予防には体重管理が大事です。太っていると骨盤底筋に負担がかかるため子宮脱だけではなく内臓下垂にもなりやすくなります。また、体重過多の人ほど、症状の進行が早くなる傾向もありますので、栄養バランスのとれた食事と適度な運動、ストレス発散で適正な体重を維持することが大事です。子宮脱を防ぐ体操をしようごく簡単な体操で子宮脱は予防が可能です。出産でゆるんだ骨盤周りの筋肉を取り戻すことで、下垂した子宮を元の位置に戻すことができます。簡単なので、すぐに試してみてください。やり方は簡単! 肛門や腟をぎゅっと閉めたりゆるめたりするだけ。これを朝晩10回ずつ試してみてください。慣れてきたらゆっくり時間をかけて閉めたりゆるめたりを繰り返します。3~5秒閉めたらゆっくりゆるませるくらいの時間がちょうど良いでしょう。これがどこででもできるおすすめの骨盤底筋を鍛えるトレーニングです。骨盤ベルトは効果的?出産でゆるんだりゆがんだりした骨盤を、正常な位置に戻す骨盤ベルトも効果が期待できます。下着の上からベルトで骨盤を締めて支えることで、子宮や内臓下垂を防ぎます。産院で購入できるところもありますが、市販のものもあります。出産から半年も着用すると、骨盤が元の位置に戻り、下垂が治る場合もあります。■子宮脱の治療法を知っておこう子宮脱の治療は、症状や状態により違ってきます。年齢が若く、体力もあり、症状が比較的軽い場合は筋力をつけることで回復することもありますが、そうではない場合は外科手術が必要になることもあります。治療法1:ペッサリー療法症状や状態にもよりますが、比較的軽症の場合は手術ではなく、リングペッサリーを腟内に挿入して子宮を正しい位置に戻す療法がとられます。ただし、ペッサリーはある一定期間で交換する必要があるため、定期的な通院が必要です。治療法2:TVM手術子宮脱の治療はゆるんだ筋肉やじん帯を補強する手術が基本となります。しかし、効果は100%ではないため、再発した例もこれまでにあります。以前は腟から子宮を摘出したり、ゆるんだところを縫い縮める手術が主流でしたが、現在は腟壁と臓器の間にメッシュを取り付け、それでハンモックのように内臓を支える手術が主流になっています。術後の痛みや体への負担も少なく、再発率が低いことで今後も期待されている手術です。合併症は起きないの?手術の合併症もまれに起こる場合があります。症状としては出血やうずきが挙げられます。これらの症状が出たとしても術後数日から数週間で消失しますし、問題がないことがほとんどです。しかし、術後3~6カ月して、腟部びらんが起こることがあります。こちらも発症率は1%前後と以前に比べるとかなり低くはなっています。症状はメッシュが腟壁から露出するケースや出血です。たいていは内服薬や軟こうで完治しますが、感染症が発生した場合は摘出する必要があります。■まとめ出産時、お母さんの体の中では赤ちゃんの頭を通すために、ホルモンの働きで骨盤周りの筋肉やじん帯がゆるみます。その状態が元に戻らないままで骨盤底筋も傷ついていると20年、30年後、10人に1人が子宮脱になるリスクがあることがわかりました。しかし、将来の子宮脱は落ちた筋力を産後に回復することで、自力で予防できることでもあります。腟やお尻の穴を閉めるトレーニングで骨盤底筋の衰えを防ぎましょう。みなさんもぜひ試してみてください。参考資料:・千葉市医師会 「中高年の女性に多い『子宮脱』」 ・NHK 「子宮脱・直腸瘤骨盤臓器脱の症状や治療、改善できる体操を解説」 ・ 日本女性心身医学会 ・ 厚生労働省
2019年11月27日一般的に女性は10代前半で生理が始まり、年齢を重ねると卵巣の機能が次第に衰え、生理が完全に止まる閉経を迎える。閉経の目安は50歳前後とされている一方、最近では卵巣機能の異常から「早期(早発)閉経」になってしまう20代や30代の女性も出始めており、問題視されている。ただ、最新の研究は食事によってそのリスクを低減できる可能性を示唆している。海外のさまざまなニュースを報じる「MailOnline」にこのほど、「ビタミンDと閉経の関係」にまつわるコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。閉経を迎えると骨粗しょう症や心臓疾患のリスクが高まり、妊娠の機会が減る。生理が止まった後、生理がない状態が1年間以上続けば、閉経したと診断されるのが一般的だ。ビタミンDは女性の卵巣の老化ペースを緩やかにすると考えられており、今回の研究によって、ビタミンDが含まれている脂っこい魚や卵を食べれば早期閉経リスクを17%低減できることが判明。さらに、カルシウムの豊富な食べ物でも卵巣老化リスクが13%低くなることも明らかになっている。ハーバード大学を含むアメリカの研究チームは、20年以上にわたり11万6,430人の女性医療従事者を分析した。研究期間中に5回の食生活アンケートを行い、2,041人の女性が閉経期を迎えた。その結果、最も多くビタミンDを摂取していた人たちは早期に閉経を迎えるリスクが17%低かったとのこと。また、カルシウムを多く摂取していた人たちも早期閉経のリスクが13%低かったそうで、この結果は牛乳に閉経を遅らせるホルモンが含まれていたのが主因と考えられている。「早期閉経は心血管疾患や認知症、骨粗しょう症のリスクが高くなることと関連しているだけではなく、女性の妊娠機会にも影響を及ぼします。たとえば、43歳に閉経期にはいる女性は33歳から妊娠が難しくなる可能性があります。科学者は、早期閉経のリスクを下げるものを探しています。食生活のように簡単に変更できるものでリスクを下げられるのであれば、女性にとっては朗報です」と研究をまとめた論文の筆頭著者であるマサチューセッツ大学のアレキザンドラ・パードゥ-スミス氏は語る。そのうえで「女性はビタミンDとカルシウムが豊富に含まれている乳製品や、脂っこい魚を食べることで早期閉経のリスクを減らすことができます」とパードゥ-スミス氏は続ける。ビタミンDは日光をもとに生成できるが、脂っこい魚や卵黄、強化シリアルなどから摂取できる。ビタミンDのサプリメントが早期閉経予防に効果があるのか否かに関しては、今後の研究が必要だと研究者グループは結論づけている。※写真と本文は関係ありません○記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。
2017年05月24日12歳前後で始まって以降、毎月やってくる生理。しかし女性が年齢を重ねると、やがては「閉経」し、生理が来ることはなくなります。閉経の前後には、さまざまな症状や体の変化が起こるといわれています。それらは、いつ頃、どのように起こるのでしょうか。今回は、どんな女性にも訪れる閉経の基礎知識をお伝えします。○閉経年齢の目安は「50歳前後」閉経とは、卵巣の機能が次第に衰え、生理が完全に止まること。生理が止まった後、生理がない状態が1年間以上続けば、閉経したと診断されるのが一般的です。閉経する時期には個人差がありますが、日本人の平均的な閉経年齢は50歳前後といわれています。若い女性は、まだ先のことのように思えるかもしれません。しかし最近では、20代や30代で卵巣機能の異常により閉経してしまう女性も増えています。これは「早発閉経」と呼ばれ、多くの場合は原因不明ですが、ストレスや無理なダイエットが関係していると考えられています。そのほか、遺伝や免疫の異常などが早発閉経を引き起こす可能性もあります。○閉経前に起こる兆候閉経に向けた体の変化は、30代後半からすでに始まっています。女性の体の中では、35歳を過ぎたあたりから、卵巣の加齢が少しずつ進み始め、妊娠や生理に大きな影響を与える女性ホルモン「エストロゲン」の分泌も減り始めます。45歳前後になると、エストロゲンの分泌は急激に減少します。するとホルモンバランスが不安定になり、生理の周期が長くなったり短くなったりと、不規則になりやすくなります。また、ホルモンバランスの崩れが自律神経の乱れを引き起こすため、不眠や肩こり、冷え、頭痛のほか、のぼせやほてりとともに大量に汗をかく「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状が起こることも。イライラや憂うつなどの精神的な症状に悩まされる人もいます。なお、閉経前後の約5年間を「更年期」といい、先に挙げた閉経の予兆といえるさまざまな症状を「更年期症状」と呼びます。40代半ばになって生理不順が続いたら、そろそろ更年期に入り、閉経に近づいているのだと考えて、心の準備をしておくとよいかもしれません。ただ、更年期症状には個人差も大きく、人によっては、特に予兆がなく、突然生理が終わることもあるようです。また、不正出血(生理時以外の出血)がある場合は、子宮筋腫や子宮がんなどの病気の可能性もあるので注意が必要です。○閉経後はどうなる?閉経すると、卵巣の機能が止まるため、妊娠しなくなります。ただし、いったん閉経したと診断されても、その後1年ほどは、妊娠する可能性がゼロではありません。妊娠を望まないのであれば、避妊を続けた方がいいでしょう。そのほかの体の変化としては、卵巣から分泌されていた女性ホルモン(エストロゲン)がほとんど分泌されなくなるため、おりものの量がぐっと減ります。腟のうるおいも少なくなるため、セックスのときに痛みを感じることもあるでしょう。また、エストロゲンは、骨や血管の健康を維持する役割を担っているため、閉経してエストロゲンの分泌が低下すると、骨粗しょう症や動脈硬化などの病気にかかるリスクも高まります。○更年期症状に悩んだら、婦人科へ閉経前後に生じる更年期症状は、婦人科で、女性ホルモンを補う治療(ホルモン補充療法)や漢方療法などを受ければ、改善する可能性があります。先述のように、症状の陰に病気が潜んでいる可能性もあるので、症状がつらいときや気になることがあれば、必ず医療機関を受診してください。更年期から閉経後にかけての性生活では、パートナーとよく話し合って、無理のない範囲で工夫しながら楽しむことが大切です。セックスのときの痛みがある場合は、ホルモン補充療法で改善することもありますし、潤滑ゼリーを使う方法もあるので、婦人科を受診した際に相談するといいでしょう。何かと不調が多い更年期ですが、更年期症状が落ち着くと、精神面でも体調面でも安定した時期がやってきます。閉経後の50代や60代になっても、多くの女性が仕事や趣味を楽しみながらアクティブに過ごしています。若いうちは「閉経なんてまだまだ先」と思いがちですが、更年期を前向きに乗り切るためにも、今のうちから知識を身につけておきましょう。※画像は本文と関係ありません○記事監修: 星合明医師星合勝どきクリニック 院長1986年獨協医科大学・医学部医学科卒業。1992年獨協医科大学大学院卒業。同年獨協医科大学付属病院産婦人科臨床助手。1994年より獨協医科大学産婦人科教室非常勤講師。その後、文京区星合産婦人科病院副院長を経て2001年2月より、東京都中央区勝どきにて「星合勝どきクリニック」を開設、医長を務める。
2017年03月22日質問:更年期障害の症状が出てきました。高齢出産だったため、授乳による栄養分不足も骨粗しょう症に影響しないかと心配です。最近、更年期障害の症状を自覚することが多く、また閉経を境に女性ホルモンが減少し、骨粗しょう症になりやすくなると目にしました。45歳という高齢出産だったため、授乳による栄養分不足も骨粗しょう症に影響しないかと心配です。育児で時間もとられるので、生活習慣を見直すことで骨粗しょう症を予防することができたら実践したいと思っています。どのようなことをしたらいいのでしょうか?生活習慣で防ぐことは難しいでしょうか?兵庫県:なおこさん(49)回答:女性の「骨粗しょう症」についてお答えします。――「骨粗しょう症」の予防骨粗しょう症の予防に関するご相談ですね。小さなお子さんの子育て、お忙しいことでしょう。確かに、女性で40代になると骨粗しょう症も気になり始めると思います。骨粗しょう症は、もちろん体質的な影響もありますが、生活習慣も大いに関係してくる病気ですので、これから気をつけていくことで、将来的な骨のトラブルを防ぐために非常に役立つでしょう。骨粗しょう症予防の二本の大きな柱は、やはり食事と運動ということになります。それぞれに分けて、注意すべき点をお話ししたいと思います。まず食事に関しては、よくいわれるカルシウムの摂取は非常に大切です。一日700~800mgを目安に積極的に摂取するようにしたいものですね。また、カルシウムだけでなく、骨の代謝にかかわるビタミンDや骨形成を促進するビタミンKをきちんととることも忘れないようにしましょう。牛乳や小魚などにカルシウムが多く含まれることは有名ですが、ビタミンDはサンマやサケ、シイタケに多く、納豆や小松菜、ニラにはビタミンKが豊富に含まれています。また、肉や魚に多く含まれるたんぱく質も骨の形成に役立ちますし、全体にバランスの取れた、適正なカロリーの食生活を送ることも大事です。骨粗しょう症には痩せすぎもリスクファクターになるといわれています。一方、運動に関しては、適度な運動は骨の代謝を盛んにして骨を強くするので、ぜひとも生活に取り入れたいものです。骨密度を上げるためには体重をかける運動、ウォーキングやジョギング、ダンスなども有効です。太陽光はビタミンDの合成を促進するので、屋外を散歩する、公園の階段を上り下りする、といったこともよいでしょう。<その他の注意点>また、喫煙や過度な飲酒は骨粗しょう症のリスクを高めることがわかっているので、ぜひ控えるようにしたいですね。特に女性は、閉経するとエストロゲンの減少により、骨粗しょう症のリスクが高まることがわかっていますので、忙しい日常とは思いますが、できることから対策して、丈夫な骨を維持していきたいものです。ご参考になれば幸いです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日