2歳半で自閉スペクトラム症、ADHD、中度発達遅滞の診断を受けた娘現在小4の娘は2歳半で自閉スペクトラム症、ADHD、中度発達遅滞の診断を受けました。娘は普段はおっとりさんで、学校などで友達が泣いたりすると励ましたりそばにいる優しい性格です。ですが、聴覚、嗅覚、視覚過敏で神経質な面もあり、特に聴覚過敏については人の声で苦手なトーンがあるらしく、一時担任だった女の先生の声がつらく、声のボリュームを低くしてほしいとお願いしたが、「〇〇(娘)さんとは仲良しだから大丈夫です」と聞き入れてもらえず一時期不登校になったことも。また、不安になりやすく「もしお友達に意地悪されたらどうする?」「髪を引っ張られたらどうする?」などを毎日のように聞いてきたりもします。今回はそんな娘が5歳のとき、帰省の移動中に起きたトラブルのお話です。障害のある娘との帰省の道のりはいつも大変!心掛けていたこと家から20キロほど離れた義実家に帰省したときのことです。基本的に帰省は夫の車で移動します。娘は不安が強いので、電車移動にすると振動、音、周囲の人の臭い、声などに反応して落ち着きがなくなり、あと一駅我慢すれば着くのに…というところで我慢ができずに下車をして、義父もしくは義母に迎えにきてもらうこともしばしばありました。また、車で行ったとしても、途中で夫がいつもと違う道を走ると「どこに行くの?」とパニックになってしまうこともありました。なので、事前にどこに行くのかなどはしっかりと伝えるようにしているのですが、知っている場所に行くと分かれば分かったで、安心からか道中何度も「どこ行く?」と聞いてきます。基本的にはおやつを食べて一人でしゃべっているのですが、夫が運転中、渋滞にイライラして子どもに対し大声で叱責したりすると、パニックを起こしてしまいます。運転席を蹴る、窓に顔や頭をぶつけあざができる、おやつを投げる…パニック状態になった娘は手がつけられなくなってしまうのです。娘が安心して過ごせるように、出かけるときにはおやつ、飲み物を持参し、車内では好きな歌をかけて、娘にとって居心地のいい空間になるよう工夫が欠かせません。好きな絵本を持っていき休憩中に読む、タブレットで好きなキャラを見せる、童謡を一緒に歌い、手遊びをして笑顔は忘れず到着まで娘が崩れないようにと、母である私はできる限りのことはしてやろうと、頑張っていました。Upload By ユーザー体験談道の駅での休憩中、おばあさんからの暴言に娘は…そんな帰省の道中、休憩のために道の駅に入りました。娘は多動の特性もあり、道の駅で走り回ったり、(視力がよくないので)興味のあるものに対して近づいて見たり、少し大きな声で私に何度も質問をしてきました。娘の声が騒がしかったのでしょうか。高齢のおばあさん数名が娘に対して「なんだこの子は?」と話していました。その様子を見て私は娘に注意をし、そばから離れようとしていたのに「親のしつけがなってないから、こういう子どもが増えるんだ」と大きな声で私たちに聞こえるように話しはじめました。何度も繰り返し言われたので、私はその方たちに娘の特性の説明と、不快に感じられたことに対して謝罪しました。ですが、許してくれませんでした。すると私の憤りや悔しさ、怒りが伝わってしまったのか、娘が激しい癇癪を起こしてしまいました。私は焦りましたが、夫はそばにいたのに他人のふり…クールダウンさせたくても良い場所が見つからず、落ち着きを取り戻せない娘をなんとか引きずりながら、やっとのことでその場を立ち去りました。Upload By ユーザー体験談おばあさんからの暴言がトラウマに。放課後等デイサービスも拒否するようになり、私はうつに…娘はその一件で傷ついてしまい、高齢の方を見ると怖がるようになってしまいました。よく挨拶をする近所の高齢者の方にもかわいがってもらっていたのに、怖がって泣いてしまうように…。近くの公園にも、犬の散歩にも行けなくなってしまいました。当時利用していた放課後等デイサービスは、高齢者も一緒に過ごすタイプだったのですが、道の駅で会ったおばあさんに背格好が似ている人や、声の大きな方に会うと走って逃げだすことを繰り返し、放課後等デイサービスに行くことさえ拒絶するようになりました。当時の私は両親の介護と育児からくる過労で入院をした経験もあり、レスパイトもかねてデイの利用を主治医からすすめられ、ようやく紹介してもらって通えるようになった放課後等デイサービスでした。そこに行けなくなった結果、両親の介護と娘のサポートでいっぱいいっぱいとなってしまいました。娘に対しても真摯に向き合えなくなり、うつと診断されました。Upload By ユーザー体験談意を決して義母に説明。義母の言葉は…このようなことがあり、もう義実家に行くことはやめようと思いました。義実家自体に不満などはないので、夫にこの経緯を義両親に話して欲しいと言ったら即答で断られたので私が意を決して電話で伝えました。義母も「うちで何かあった?」と心配してくれていたので、こういった経緯で子どもに無理をさせたくないと伝えると納得してくれ、「自分の息子(夫)も似たようなエピソードがあったよ」と教えてくれ、「あなたは二人分(夫と子ども)、子育てしているようなもの、偉いよ」と励ましてくれました。また、義両親から「こちらに来てもらうのは大変だろうから、自分たちが遊びに行ってもいいか」と聞かれたので、そうしてもらえるとありがたいと伝えました。娘は義父母に懐いていたので、家に義父母が遊びに来てくれると大喜び!高齢者を見るとパニックを起こしていた娘ですが、義両親に対しては拒否感は全くなく、変わらず室内では楽しそうに遊んでいました。Upload By ユーザー体験談今でも忘れられない道の駅での出来事と小4になった娘の現在小4の現在は、娘も自分で選択ができるようになってきたので本人が「おばあちゃんの家に遊びに行きたい」と言ったらいつでも帰省したいと思っています。(ただ、夫の兄弟や義父の兄弟が帰省している時期ではなく人が極力少ない時期になってしまうとは思いますが…)道の駅で、私たちに注意をしたおばあさんにとっては、のんびり休憩したい気持ちがあったのだろうと思います。ですが、ほんの少しでも小さな子どもへの優しい気持ちを持ち続けていてほしかったです。謝罪しても謝罪しても新たに厳しい言葉を投げかけられたこと、いぶかしげな表情、娘をばかにするジェスチャー、娘だけでなく私にとっても、つらく忘れることができない出来事となってしまいました。娘には、人の心に寄り添える人、弱っている人に優しい気持ちでそばにいられる人に育ってほしいと考えています。やっとここ数年で笑顔がたくさん見られるまで回復してきたので、これからもいろいろなことはあるでしょうが、多くの支援者とも繋がってきていますし、娘自身も以前に比べ、スルースキルも身につけたので、しなやかに乗り越えていってほしいと願っています。イラスト/SAKURAエピソード参考/うさぎ(監修:鈴木先生)巷にはまだ診断されていないASD傾向の方が大勢いらっしゃいます。そして、ASDに関する知識がない方も大勢いらっしゃいます。今からでも学校教育の中でASDやADHDに関する知識を啓蒙する授業をやっていけば娘さんのようなお子さんにも優しく接することのできる人々が増えるのではないかと思います。母親が娘さんの行動に対して何度も謝っても許してくれなかった経緯をみると、恐らく、道の駅にいたおばあさんたちも実は聴覚過敏があったのではないかと推測されます。嫌な思い出があるとその対象すべてが嫌になってしまう傾向がASDの方にはあります。吠える犬がいて怖がるとすべての犬が苦手になるのと同じです。母親の負担が増えて母親がうつ病になることも珍しくありません。優しい義母の理解があることで少しは助かっているものと思われます。夫が実家への電話を即答で断り、協力を拒んでいることから、お父様にもASDの傾向があるのではないかと推測されます。ASDのある父親は末っ子の弟と思ってください、と私は外来でいつも話しています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月21日小学生になった次男は、できないことが山盛りわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。たとえば、末っ子の次男ウッシーヤは、牛のキャラクターです。これは彼がなにをしても動作がゆったりしているところを表現しています。 いまは社会人5年目になる、おっとりキャラの次男ウッシーヤの小学生のころをふりかえります。勉強も運動も、学業全般で問題続出Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ小学生になって集団行動が増えると、ウッシーヤには困ったことが次々と起こりました。まず、朝は寝起きが悪いのです。何度起こしても目を離すとまた寝てしまいます。しかたなく半分寝ているような状態で服を着替えさせて、抱きかかえるように食卓に連れていきます。席についても目を離すと寝てしまいます。そばにいてこまめに声をかけながら肩などをゆさぶりながら食事をさせます。学校でも学習態度をたびたび注意されました。授業中も寝ているのです。しかも通学バックを枕にして床に寝ているというのです。当然、先生に強く注意されます。でもウッシーヤは「枕、しているから(しっかり寝れているので)だいじょうぶです」と、トンチンカンな受け答えです。ウッシーヤは先生から叱られているということが分からず、逆に安眠できているか気にかけてもらえたと勘違いしていたのです。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ小学3年生になるころには、勉強にもついていけなくなりました。本読みはたどたどしくつかえて、文章を飛ばしたり、勝手に文章をつくったりしていました。あせった私は、家庭学習をしっかりやらなければいけないと強く感じました。ですので、夜はつきっきりで勉強を教えるのですが、なかなか理解が進みません。宿題が深夜まで終わらないことがしばしばありました。いろいろ工夫しても分からせてあげることができないので夫に代わって教えてもらいました。でも結果は同じです。夫婦ふたりで首をひねるばかりでした。たとえば算数では、数字の概念そのものがうまくのみこめません。そのため足し算、引き算も2桁以上になると、まるで理解できないのでした。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイノートをとったり作文を書いたりするのも苦手で、文字なのか絵なのか分からない状態です。ノートのマス目のなかに文字をおさめて書くこともうまくできず、すごくはみ出したり、上から書いたり、鏡文字になったりしていました。学力を身につけることがうまくいかず、中学3年生まで小学3年生レベルの学力のままでした。しかし、知能検査を受けても標準くらいはあるという結果でした。親が工夫して教えてもまるで理解が進まず、なまけているとかやる気がないと感じて、厳しく叱ったこともしばしばありました。虫などの小さな生き物が好きでアリの行列を何時間もじっと見ていました。でも犬やネコくらいのサイズになるとさわることができず、近寄ってこられると逃げました。でも好きなことは、まわりが驚くようなヒラメキを見せました。音楽やリズムに関してはとても反応がよくて、初めて手にした楽器で初めて聞いた曲をいきなり弾いたりしました。植物図鑑が大好きで、名前や特徴を暗記していました。また紙粘土などの工作物が好きで、想像上の生き物をカラフルにつくったりしていました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイウッシーヤには独特な感覚過敏があって、プールや海に一度も入れませんでした。顔をうまく洗えず、床屋にいくとバリカンやシャンプーから逃げていました。それなのに、お風呂やトイレに入ると何時間も出てきませんでした。幼児期から続いていた指しゃぶりは、あいかわらず続いていました。学校にも相談して、あれこれ工夫してみましたが一般的なやり方は効果がありませんでした。この指しゃぶりは、中学生になって転校し、環境が変わったことをきっかけになくなりました。その代わり、頻繁にくちびるにリップクリームを塗ることや爪かみといった行動が、社会人になった現在も続いています。いまにして思えば、これはウッシーヤのこだわりなので、むりやり直すべきものではなかったようです。練習しても自転車に乗れず、学校の体育の授業では跳び箱や鉄棒がほとんどできませんでした。ドッジボールでは、いきなり大声をだして学校の外へ逃げていったこともありました。そのときは、学校からの連絡で急いで車で探しにいきました。発達に凸凹があると、できることとできないことの差がすごく大きいので、どうしてもわがままや性格の問題というふうに捉えられてしまいがちです。ふりかえると、もっと早いタイミングで専門家に相談して、さまざまな工夫をおこなっていれば、親も子も苦しまなくてすんだかもしれません。もし、タイムマシンがあってウッシーヤの小学校時代に戻れるなら、彼の好きなダンスや歌を使って算数や国語を教えてあげれば、もっとスムーズに理解できたと思います。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:藤井先生より)社会人5年目のウッシーヤさんが小学3年生ごろのエピソードをありがとうございます。知能検査で標準の範囲でも、学年相応の読み書きや計算の習得が極端に困難な場合、学習障害である可能性もあります。最近では、少しずつではありますが、診断できる医療機関も増えてきています。学習障害のあるお子さんに対しては、困りごとへの具体的な学習支援が最も重要です。しかし共生社会を目指すインクルーシブ教育の中で、どのような指導や配慮がされているかは、それぞれの学校によってさまざまな状態です。また、学校教育における支援だけでなく、好きなものを大切に、それを軸に学びを深めていくことも可能です。学校の勉強は苦手だけれど、自分の好きな電車の漢字は難しくても読み書きできる、自分の好きな分野の専門書なら読める、というように、好きなことを軸に学びを深めていったお子さんもいます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月21日「怒っちゃダメ」より「どうしたらいいか」を…こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムでは、おうちで今スグできる、子どものアンガーマネジメントをうちの実践例を交えてご紹介しますね。小学校時代、蒸し蒸しと暑くなってくると、うちの子たちからは「な〜んでガッコウなんて、行かなきゃいけないんだよ!」って、毎年不満が炸裂していました。まあ、私自身もあんまり学校が好きではなかったので、文句を言いたくなる気持ちも分かります。特に、進級・進学で新しい環境に適応しようと頑張ってきたり、天候不順や苦手な運動会の練習が続いたりしたあとの、うちの子の疲れや甘えたい気持ちが出やすい時期には、ほかのお子さんも疲れているのでトラブルも増えがちに……。下校中に上級生と口論になって、お怒りモードで帰ってくることも時々ありました。こんなとき、一見本人に原因があるように思えたとしても「あんたが悪い!そんなことで怒っちゃダメ!」とは、私は言わないようにしました。どのような経緯であれケンカは一人ではできませんし、心は自由なので、たとえネガティブな感情であっても、それ自体に善も悪もありません。また、「アタマ=理性」が考えている部分は説得の余地があるのですが、感情は「理屈じゃない」ので、子どもがプンプン怒っているときに親がどんなにお説教しても「時間の無駄」になりがちです。それに、子どものころからあまりにも、怒りや悲しみ、不安などのネガティブな感情を、ガマンして抑え込んでしまい過ぎると、大人になってからも「自分の気持ちが分からない」などと、メンタル面で不調や支障が出てしまう可能性もあります。ですからまずは、子どもが何を訴えてきても、感情の否定や善悪のジャッジはしないように意識するといいでしょう。でも、ケンカやトラブルが絶えなかったり、すぐにカッとなったり、もしも友達に手が出てしまったりしたら……と思うと、親だって心配事が尽きませんよね(分かります)。社会の中で人と関われば、誰だって腹が立つ出来事を避けられない場面は多々ありますが、”怒り”を、いつ、どこで、どんな風に表現するのかは選べます。子どもに「怒っちゃダメ!」と言うよりも、腹が立ったときに「どうしたらいいか」を教えていくほうが大事なのです。おうちでできる!子どものアンガーマネジメント実践法子どものエネルギーが親の手に余りそうなときや、親自身に子どもの気持ちを受け止める余裕がないときなどには、スクールカウンセラーや医療・支援機関などの手も早めに借りることをオススメしますが、ここではおうちでできる範囲の、楽々かあさん流!手軽な子どものアンガーマネジメント実践法を具体的にお伝えしますね。子どもがお怒りモードのとき、まずは「あれ?どうしたの?」とフラットな気持ちで声かけするのが第一歩(こういうときに「まーたケンカしたの!?」などと、先入観を持って話しかけると心のシャッターが閉じます)。そして、とにかく話を聴いてみますが、以前のコラムでお伝えしたように、・子どもの話を否定せずに、共感しながら丁寧に聴く・正論ではなく、子どもの味方になることを優先する…ことを意識しながら、最後まで丁寧に今の気持ちを受け止めてあげるといいでしょう。ただし、怒りの感情を相手にする場合、「共感的、味方になる」とは言え、親が「そーだ、そーだ」と子どもに同調して、先生や友達の悪口を一緒になって言わないほうが、基本的にはいいと思います。SNSの炎上と同じく、ネガティブな感情が煽られて余計に大きくなったり、相手のイヤな部分にだけ注目するようになったりすると、いい方向への解決が難しくなるからです。あくまで、「それぐらいイヤだったんだね」「そりゃあ、腹くらい立つよね」と、気持ちに注目した声かけやあいずちなどで共感しながら聴くといいでしょう。また、子どもが触れるのをイヤがならければ、背中や頭をなでなで・トントン・ヨシヨシしながら聴いてあげると、荒ぶる魂が早めに鎮まりやすくなると思います。Upload By 楽々かあさんこのとき、今の気持ちをスケール化して、数値などで客観的に表現できると、なおいいと思います。うちでは、私が自作した「きもちスケール」などを見せて、「どれぐらい、イヤだった?」と聞きました。ほかにも、家にある温度計や定規などを利用して「ここをフツーのとき、ここが人生最大の怒りとすると、今はどのあたり?」などと見せながら聞いたり、例えばゲームが好きな子どもには「今、HPがどれぐらいになるダメージ受けたの?」とか、歴史が好きな子どもには「合戦で言うと、なんの戦いのレベル?」など、その子の興味関心に合わせた声かけなどもイメージしやすいのではないでしょうか。自分の気持ちが数値で相手に正確に伝わると、それだけで気持ちを落ち着けやすくなり、相手に分かってもらえて、今の自分の状態を客観視できただけでも、怒りのレベルがひとつ下がってクールダウンできることもあります。これを繰り返していると、だんだんと「今の怒りは"超最悪"ってほどでもない」などと中間の気持ちの表現ができるようになったり、スケールがないときでも「今のHPは30くらい」などと、伝えられるようにもなるでしょう。こうして、子どもが自分の気持ちを客観視しながら、今の気持ちを"口からの言葉"で表現できるようになると、それだけでトラブル自体が減ってくると思います。また、親や先生に気持ちや状況を言葉で伝えるのがあまり上手ではない子どもは、友達トラブルの際に何かと不利になることもありますが、言葉で周りの人に正確に伝える力をつけていくと、いじめの予防や早期発見にもつながりやすいのではないでしょうか。そして、親の責任上、どうしても言いたいお説教がある場合も、一通り話を聴いた上で、子どもがやや落ち着いてから、「そういうときは、なんて言えば/どうしたら、よかったと思う?」などと、子ども自身に適切な言葉や行動を考えてもらうほうが、「次はできる」確率UPです。もし、その子が本当に適切な言葉や行動を知らなければ、「そういうときは、〇〇って言えばいいんだよ」「次からは、こうしてみようか」と、具体的にその都度インプットするようにコツコツ教えればOK(忘れないように何かに書いておくのもテ)。また、子どもが極端な考え方・受け取り方をしている気がしたら、「こう考えてみてはどうかな?」という提案や、「お母さん/お父さんだったらこうする」「〜って思う人もいれば、〜って思う人もいるかも」など、別の立場の人の考え方や受け取り方を伝えてみるのもいいでしょう。Upload By 楽々かあさんそれでも、親が話を十分聴いたあとでもイライラ・モヤモヤとした気持ちがくすぶっていたり、そもそも何も話してくれなかったり、感情の持って行き場がなくて、とにかく今スグ何かに八つ当たりしたいことだってあると思います。怒りの感情が高ぶっているときに、「人を叩いてはダメ」「モノを壊しちゃダメ」などと正論で言い聞かせようとしても、子どもの理性には届きませんから、うちでは現実的な対処法として「やっていいこと」を具体的に教えます。怒りのエネルギーは、スポーツなどの健全で健康的な方法に置き換えられるといいようですが、うちの実践経験では、最初からそこまで導くのは現実的に難しかったので、とりあえず、「殴ってもいいものを殴る」のが、家でできる手軽で安全な方法として、子どもにもシンプルで分かりやすかったようです。「これなら、叩いてOK」と渡すモノは、家にあるクッションや座布団などで十分ですが、うちでは市販の家庭用スタンド式パンチボール(子ども部屋に常設)や、ミットとグローブのボクシング・セットをいつでも手に取れる場所に置いてあるほか、サンドバッグも手作りしました。家にあった不要なベビー布団をまるめてゴムチューブで縛っただけの簡易的なものですが、この手作りサンドバッグには、「泣いていい、怒っていい。でも、人とモノと自分はキズつけない」と書いてあります。これらを使って、黙々と自分で怒りを発散する場合もあれば、親がスパーリングのお相手をする場合もありました。親が忙しくて気長につき合えない場合は、100円ゴムボールをネットに入れたものを吊るしておくのもオススメです。また、学校や外出先などの場合には、丸めた上着や体操袋などでも、サンドバッグの代用品になります(自分のものを使うこと!)。こうして、腹が立ったときに「やっていいこと」で一通りスッキリできれば、気持ちの切り替えも早くなります。そして、最初はこのような直接的な方法で怒りのエネルギーを解消していたうちの子たちも、次第にゲームセンターで太鼓を叩いたり、バッティングセンターで黙々と打ったり、カラオケで熱唱したり、クラフト系のゲームの中で建物を破壊しまくったり……と、もう少し穏便な方法にシフトしていき、中高生になった最近では、自作のイラストや小説などの創作活動でも、さまざまな感情を昇華できるようにもなってきました。(ちなみに私の場合は、怒りのエネルギーが溜まったら、日頃はなかなか捨てられない不要品の解体と処分などに有効活用しています)そして、話を聴いたり、怒りのエネルギーを発散したりして、ひとまず子どもが落ち着いたら……もう1つ、親がしておきたいアフターケアの声かけがあります。大人だって、つい大声で怒りの感情を人前であらわにしてしまったときなどには、自己嫌悪に陥ったり、あとから恥ずかしくなったりして、落ち込んでしまうこともあるのではないでしょうか(私もよくあります)。子どもだって、少し冷静になれたら、かえって凹んでしまうこともありますから、ここでは「できたこと」に注目した声かけで、少しでも自信回復できる手助けをしてあげるといいと思います。どんなルートであれ、最終的に子どもが落ち着けたのなら、「落ち着けたね」と一声かけてあげるといいでしょう(黙ってギュッと抱きしめたり、肩や頭をポンポンとするのもいいと思います)。このほかにも、怒りの感情を言葉で表現できたら「お口で言えたね」、学校でイヤなことがあっても家までは感情を爆発させずに帰れたのなら「よくガマンしたね」、友達とケンカしても謝れたなら「謝れたね」……などと、「できたこと」に注目して、それを言葉でフィードバックしてあげることで、次もできる確率がUPしたり、「こういうときには、こうすればいい」という経験値が増えて、自分自身を落ち着けやすくもなると思います。また、子どもが荒れ気味なときには、親のほうもわが子のほめるところが見当たらない気がしてしまいますが、こんなときほど、普段は見落としがちな「しなかった努力」に注目し、拾い上げてあげるといいでしょう。例えば、いつもは大きな声を出す場面で出さなかった、売られたケンカを買わなかった、余計な一言を付け足さなかった……など、"たまたま”でもいいので、トラブルのきっかけになるような言葉や行動をしなかったら、「頑張ったね」「スルーできたね」「助かるよ」などと、さらりと声かけしてあげると「これって、いいことなんだ」と気づいてくれるかもしれません。誰にでもイヤなことは、時々あるけれど…大人と同じく、子どもにだって、生きていればイヤなこと、思い通りにならないこと、理不尽な出来事などは沢山あるでしょう。そんなとき、「怒っちゃダメ!」と子どもの感情にフタをするのではなく、「どうしたらいいか」現実的な対処法を具体的に教えて続けていくと、だんだんと自分の感情との上手なつき合い方が身についてくると思います。特に、感情的・衝動的になりやすい子どもや、ガマン強くて言葉を溜め込んでしまう子どもほど、小さなころからできる範囲でいいので、時間をかけてアンガーマネジメントを実践していくと、取り扱いの難しい思春期になってからも、きっと役に立つと思いますよ。そして、子どもも大人も、生きていく上で怒りを感じること自体は決して悪いこと、あってはいけないことではありません(むしろ、それが当たり前です)。大事なのは、人やモノや自分自身を傷つける「以外」の方法で、それを適切に表現していくことだと思います。文と画像提供/大場美鈴(楽々かあさん)(監修:室伏先生)お子さんの怒りの爆発に、日々悩まれている読者の方も多いのではないでしょうか。楽々かあさんは、お子さんの怒りに共感し、受け止めた上で、その子に合った対処法や言語化する方法を一緒に模索されています。そのような関わりの中で、お子さんは怒りとの上手なつき合い方を身につけられたのですね。怒りの感情はネガティブなものとして捉えられがちですが、危険から身を守ったり、原動力となったりと、生きてく上で必要なものです。怒りの感情が否定されずに、信頼する大人に受け止めてもらうことができると、お子さんは安心感や自己肯定感を育むことができますね。大人も一人の人間なので、忙しく思い通りにいかない育児の中で、イライラや怒り、焦り、不安などのネガティブな感情をお子さんにぶつけてしまうことも、当たり前のようにあることと思います。しかし、その度に親御さん自身も傷ついたり、自己嫌悪に陥ってしまったり、ということが少なくないかと思います。自身のネガティブな感情を否定せず、うまく対処していくというのは、親御さんにとっても大事なことかもしれませんね。こういった関わり方や工夫を上手に取り入れることは、お子さんにとっても、親御さんにとっても、優しい方法なのだろうと思います。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月20日今の季節、「持ち帰り忘れ」の中でも特に困るものとは?Upload By 丸山さとこADHDがある息子のコウは忘れ物が大変多いです。学校へ持っていくことだけでなく自宅へ持ち帰ることを忘れるケースも多く、帰宅後にリュックの中身をかき回しては「ない…ない…忘れたかも…」と途方に暮れることもしばしばです。そんなコウを見ていると、「『忘れた』と断言できずに『忘れたかも』と言うあたり、物の管理が凄く曖昧なんだろうな…」としみじみ実感します。体操服・宿題に必要な教材・給食袋・プリントなど、さまざまな物を学校に置き忘れては「あっ、忘れてた…」とつぶやくコウですが、日に日に暑くなっていく今、特に困る忘れ物が水筒です。忘れ物をするとさまざまな不便がありますが、大体のことは「何とかなるだろう」と考えています。体操服であれば「学校から借りる」「事情を話して体育の授業を見学する」などの方法がありますし、箸は割りばしを数本通学リュックに入れているので給食は食べられます。宿題や教科書類を忘れた場合も、一応授業を受けることはできます。ですが、水筒を忘れることは脱水や熱中症などの健康問題に直結するため、「学校に忘れてきちゃったし仕方ないね。明日は水筒ナシで行こうね」とはいきません。水筒は、各種ある忘れ物の中でも特に困る忘れ物だと思います。声をかけ、メモも持たせて、手にも書き。それでも忘れるADHD(字余り)忘れ物を減らせるよう、声をかけてメモも持たせた上でさらに連絡帳に付箋を貼るなど、考えつくさまざまな手段をとるようにはしています。コウも「手に書いたら忘れない」と言い、手に書き込むなど自分なりの工夫をしようとしているところは見受けられます。それでも、どれも『見ることを忘れる』ことが頻発するため今一つ効果は薄い現状です。Upload By 丸山さとこ「そもそも水筒の持ち帰りを3日忘れている現状なのだから、メモを見ることを忘れるなんて当たり前の出来事なんだよなぁ…」と納得しつつも頭を抱える私です。ところで、コウ本人はのどの渇きを感じにくい感覚鈍麻があるため、水筒を忘れても特に苦痛は感じていないようです。水筒を持っていった日も、ほとんど飲まずに持ち帰ることもしばしばです。そんなコウも流石に真夏となればある程度水分はとるようにはなりますが、水筒を忘れたからといってのどの渇きのつらさは感じないため、「水道の水でもいいから飲もう」「保健室に相談しに行こう」と思うことはありません。Upload By 丸山さとこそんな彼を見かねて、ある夏の日の部活中に顧問の先生が「熱中症になるといけないから」と経口補水液を渡してくださったことがありました。そのときは改めて口を酸っぱくして「夏や、夏のように暑い日は絶対に水分をとらなくてはならない」とコウに言い聞かせましたが、未だに学校で水を飲んでいるかどうかはよく分かっていません。水筒は3本用意。それでも間に合わないときはペットボトルで!話は忘れ物対策のことに戻りますが、今のところ、コウの『水筒持ち帰り忘れ』への対策として一番効果を発揮しているのは3本用意してある水筒です。Upload By 丸山さとこもともと小学校で使っていた2本の水筒に加えて「中学生になったらたくさん飲むようになるかも」と考えて大容量の水筒を買い足したため、結果的にコウ用の水筒が3本ある状態になりました。でも、まさかこの3本の水筒全てが活躍するようになるとは思いませんでした。(さらに、中学生になってもここまで水を飲まない状態が続くとも思っていませんでした。こちらもこちらで課題だなと感じています)Upload By 丸山さとこ3本の水筒を使い切ったときやコウが「今日は暑くないから大きい水筒は使いたくない」と言うときは、ペットボトルの飲料を使うことにしています。今のところペットボトルを活用する回数は少ないですが、いざというときの控えとして数本ストックしておくと安心です。「災害時のローリングストックにもなるしね~」と心の中での合理化を図りつつ、ストックを切らさないように心がけています。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)定型発達の人でも傘を忘れることはときどきあるので、たいていのご家庭にも傘の予備はあると思います。しかし、ADHDの場合、忘れたこと自体に気づかないケースが多いため、私が勤めているクリニックの傘立ては、雨が続くごとに傘が徐々に溜まっていくというエピソードがあります。高校生くらいまでは保護者の管理下にあるという環境のため、保護者が学校の準備をしているご家庭では、ADHDがあっても自分自身では忘れものはしないと勘違いをしてしまう人がいらっしゃいます。しかし、大学生になってから一人住まいになるとチェックする保護者がいないので忘れ物が目立ち、部屋も片づけられず、自分はADHDではないかと考えて受診されるケースはよくあります。ADHDの診断には、学童期時代から不注意や多動・衝動性症状があることが必要条件ですが、大人になってから初めてADHDを疑って受診に来る方が後を絶ちません。なんでも保護者がやるのではなく、幼少期からなるべく自分の物は自分で準備したり、片づけたりさせていくことがADHDの早期発見にもつながります。また、投薬なども症状によっては可能です。早めに医療機関に相談されることをお勧めしています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月20日さまざまな水遊び用おもちゃUpload By まる最近暑い日も多くなってきたので、ちょっと早い気もするが水遊びグッズを出してみた。わが家にあるのはプール、ウォーターテーブル、蛇口につなげて使う噴水おもちゃ、リュック型の水鉄砲、繰り返し使える水風船などだ。さまざまなものを息子が生まれてからの5年間で購入してきた。というのも、息子は水遊び自体は嫌いではなさそうだが、長時間遊べないのだ。水遊びというかなんでも長時間集中することが苦手な様子。せっかくなのでたくさんびしょびしょになって遊んでほしくて、いろんな水遊びおもちゃを買ってきたがすぐに飽きて家の中に入ってしまう。お庭で水をためるだけのプールは5分ももたない。熱めの温泉に浸かってるのかな?といった感じで少しだけ水に浸かると「オシマーイ!」と言って出てきてしまう。おもちゃをいろいろプールの中に入れて、私も一緒に水鉄砲で遊んだりするのだがそれでもすぐに撤退してしまう。プールで楽しく遊べるのはいつになるのかUpload By まる息子はまだオムツが外れていないため、家以外のプールで遊ぶこともまだ存分に楽しめていない。オムツが取れてない子ども用のプールなどに連れて行ったりもしたが、やはりすぐに飽きてしまう。一応一緒に行動するお友達がいればそれなりに時間を過ごせるのだが、夢中になって水遊びをしているほかの子どもを見ると「同じように楽しめばいいのになぁ」と思ってしまう。きっと息子なりに遊び方が分からなかったり、服が濡れるのが嫌だったり、ちゃんと理由があるのかもしれない。これまで医師や療育の先生などに感覚過敏と言われたことはなく、どちらかと言えば感覚鈍麻と言われることもあった息子だが、暑くなってきたせいなのか、最近、やけに勝手に服を脱いだりお腹を出したりすることが増えてきた。母親の目から見ていると、多分服が汗で濡れる感覚があまり好きじゃないのかも?と感じている。水遊びから見えた友達関係Upload By まるつい先日の暑い日、わが家にお友達が遊びに来た。小学校低学年の女の子2人と息子と同い年の男の子が1人。せっかくだからと家のウォーターテーブルや水鉄砲など用意して子どもたちを遊ばせた。息子以外はみんな発達に遅れのない子どもたちで、みんな服をびしょびしょにして楽しそうに遊んでいる。息子はそんなときでもマイペースなので家の中でひとり電車で遊んでいた。せっかくだからと息子を水遊びに参加させることにし外に連れ出した。みんなで水鉄砲や水風船で水をかけ合って大笑いして遊んでいる輪に入っていくと「リュウくんもびしょびしょにしてやるー!」とみんなから水をかけられた息子はものすごい嫌な顔をしてそのままなにも言わずに一目散に家に入ってしまった。息子と同い年の男の子は水をかけられても「やったなー!」とやり返したりして仲良く遊べている。多分ひとりでのんびりと遊びたいのに水をかけられた、服が濡れて気持ち悪い、ですぐに嫌になってしまったんだと思う。これからの心配事Upload By まるそれを見てちゃんと「嫌だったから逃げる」ことができたのはよかったが、これからの人間関係のやりとりの部分について不安にもなった。大人が見てるところで遊んでるだけの今は安心だが、今後もし大人の目が届かなかった場面で嫌な思いをしたとき息子は対応できるのか。お友達と一緒に遊ぶということができるようになるのか。お友達と一緒に遊ぶことができるようになれば、集中して遊ぶ時間も増えるかもしれないと思っている。実際私と2人で公園へ遊びに行っても滑り台を2回くらい滑ったらすぐに「帰る」と言うが、お友達と一緒に行くと滞在時間が伸びるのだ。相手に合わせることや相手に自分の気持ちを伝えることなどはまだまだこれから、できる限りサポートしていきたい。執筆/まる(監修:藤井先生より)まるさんがリュウくんが少しでも水遊びを長くできるように工夫された様子はとても素敵だなと、思いながら読みました。ありがとうございます。のんびり遊ぶのが好きな子ども、友達と一緒に遊ぶのが好きな子ども、友達が遊ぶのを見ているのが好きな子どもなど、遊び方はお子さんそれぞれに違います。友達と遊ぶのが苦手でも、一人の空間で遊ぶ→複数人の人がいる中で一人で遊ぶ→友達の遊ぶ中で遊ぶ→友達の遊びを見る→短い時間一緒に遊ぶ、というスモールステップでできるようになっていくこともあります。園の先生などの協力も仰ぎながら、リュウくんの遊びの幅が広がると良いですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月19日23歳娘はグループホームに入居中Upload By 荒木まち子発達障害がある娘は高等特別支援学校を卒業後、特例子会社に就職、勤めて4年目にグループホームに入居しました。発達障害がある娘の特性娘は計算が大の苦手です。でもいろいろな経験を重ねつつ日常の買い物やATMの使い方などを身につけてきました。なので私は娘がグループホームに入居するとき、それまで彼女が働いて貯めていた貯蓄(含む障害年金)を通帳ごと娘に渡し、グループホームの使用料の振り込みや生活費(食費、保険代、携帯料金、余暇のお金など)の支払いをすべて本人に任せることにしました。収入激減なのに…原因はさまざまですが、メンタル面が崩れると娘は不眠や吐き気を催し会社を休むことがよくあります。グループホームに入居してしばらくして娘はネットトラブルなどいろいろな要因が重なり、再び会社を休みがちになりました。収入は格段に減り、娘は貯蓄を切り崩して生活するようになりました。障害年金だけではグループホームの使用料(家賃)は足りません。それでも娘に節約をする様子はなく、フルタイムで勤務していたときと同じような生活をしていました。むしろ会社を休んでいる間の時間を持て余し、習い事を始めたり、ゲーミングチェアを購入したり、外食が増えたりと、以前にも増してお金を使っているように見受けられました。グループホームの世話人さんから「娘さんがネットで注文した商品がグループホームに毎日のように届く」と言われ、私は娘に貯蓄の残高は大丈夫なのかと何度も確認しました。娘はそのたびに「まだあるから大丈夫」と言っていました。決定的な出来事グループホームに入居後も娘のケース会議は定期的に開かれていて、今後のことを見据えた選択肢や方向性についての話し合いが行われていました。本人を交えた支援者会議で大まかな見通しが立ってしばらくしたころ、私のところにグループホームの世話人さんから「娘さんが“お金がない”と言っている」と連絡がありました。支援者会議ではあと数ヶ月の生活費は残っているという前提で話を進めていたので私は急いでグループホームに向かいました。Upload By 荒木まち子何にお金を使ったか調べてみると、携帯電話会社の決済サービス(課金やネットでの買い物)などが主な原因でした。娘は学生時代、フィルタリングサービスを利用していたのでゲームなどで課金をしたことはほとんどありませんでした。でも娘は今や成人の社会人。携帯電話の契約も本人名義に変更していて、機種や料金プラン、決済サービスも自分で選べるようになっていました。またATMで頻繁に現金を引き出していて、何に使った覚えていない“使途不明な支出”も多くありました。本人に聞くと「あのときの自分はどうかしていた」と言っていました。確かにそのころは娘のメンタルがとても不安定な時期でした。それでもまさか娘が1ヶ月で数十万円も使うとは…。成年後見人制度私はそれまでも「成年後見人」という言葉を耳にはしていましたが「親も健在だし、娘にはまだ必要ないかな」と思っていました。でもこの一件で娘には保佐人、または補助人が必要なのだとあらためて思いました。現行の成年後見人制度は、費用がかかる、一度選定されると一生涯変更ができないなど不便な点があります。また、周りから見たら「それって無駄使いじゃない?」も思えることでも、本人にとっては「すごく重要で、生きていくうえでとても大切なこと。唯一の楽しみ」という場合もあるので、なんでもかんでも管理・制限するのはどうなんだろう?という気持ちもあります。現在、成年後見人制度はいろいろな観点から見直しが論じられているので、これからも注視していこうと思っています。経験して身につく貯蓄が底をついてはじめて自分の置かれている立場を理解したようで、娘は生活の見直しをしました。・習い事を減らし、ポケットWi-Fiは解約・外食は控える・通帳は“貴重品”としてグループホームの世話人さんに預け、お金は本当に必要なときだけ引き出し、何に使ったか記録する・携帯には再度フィルターをかける娘は何事も経験しないと分からないタイプです。働かなければ収入が減り、それまでと同じ生活を送るのは難しくなるということは、当然娘も『知識』として分かっていたと思います。でも実際経験して初めて『実感』したのでしょう。また、計算が苦手な自分が、お金の管理を自分一人でする難しさにも改めて気づいたようです。休職中も娘は「働きたくない」と思っていたわけではありません。娘はコミュニケーションは得意ではありませんが、一人でいるよりも誰かといる方が好きなので「吐き気やだるさがなければ働きたい」と、ずっと言っていました。今回の出来事は、娘が次の新たなステップに進む一つのきっかけにもなったと私は思っています。彼女はさらなる自己理解を経て、オトナへの階段をまた一段登りました。随分と高い授業料となってしまいましたが(笑)(執筆/荒木まち子)(監修:渡部先生より)確かに授業料は高くついてしまいましたが、娘さんが生活の見直しをできたという成果も大きかったですね。成年後見制度は一度始めたら原則やめられないものですが、相続や契約など必要なときのみ利用して、その手続きが終了したらほかの制度に移行して後見人は辞任する、といった見直しが現在検討されています。また、成年後見制度以外にも、日常生活自立支援事業など、障害のある方を支える制度もありますので、今後の制度の動きを見ながら、娘さんがより安心して生活できる仕組みを選んでください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月19日もうすぐ3歳。髪が伸びてきたけれど…長女のまゆみは生まれたころから髪が薄く、2歳になっても赤ちゃんのような髪質のままでした。伸びるのも遅かったので、私は毎日まゆみのパヤパヤの髪の毛をブラシでとかしながら三つ編みやお団子で可愛くヘアアレンジできる日を心待ちにしていました。2歳10ヶ月、ちょうどまゆみに自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついたころ、ようやく髪の毛が肩につくくらいになりました。夢だったヘアアレンジをしようとするも…まゆみは気に入らない様子。褒めちぎり、なだめすかしてようやく2つに結んでも、すぐにまゆみがヘアゴムをかなぐり捨ててしまうので5秒ともちません。Upload By にれ何度か試してみて、本人が嫌なら仕方ないとヘアアレンジはあきらめましたが、伸びた髪をそのままにしておくのは下を向いたときに視界を狭めてしまうため、初めてのヘアカットを思い立ちました。美容室探ししかし、1つ問題がありました。私はものすごく不器用なのです。それまでもまゆみの前髪カットはしていましたが、毎回アバンギャルドな仕上がりにしてしまうので「オン眉アシメバングかわいい~!」と口では言いながら心の中でまゆみに謝るのが恒例になっていました。セルフカットで頑張っているお母さんがたくさんいらっしゃる中、私はどうしても娘の髪のバックやサイドにハサミを入れる勇気が持てず、特性があっても受け入れてくれる美容院を探すことにしました。私の考えた条件は2つです。(1)ほかのお客さんの迷惑にならないよう+まゆみも落ち着けるよう、まゆみ(と母親と美容師さん)だけの空間にできること(2)家からの距離や料金的に、今後も通えるお店であることUpload By にれしかし、田舎住まいのためプライベートサロンが少なく、あったとしてもカット代が高額だったりして当時育休中だった私には手が出せませんでした。あきらめてセルフカットに挑戦するか悩んでいたころ、こじんまりとした理髪店がすぐ近所にあることに気づきました。カット用のチェアが2台ある、店主さん一人で切り盛りされている「町の床屋さん」といった風情のお店です。もしかしてここなら…と、ダメ元で娘の状態を話してカット可能か聞いてみたところ、「一度やってみましょう」と引き受けてもらえることになりました。初めてのヘアカット予約は人の少ない平日の遅い時間に取りました。行動予告にと、まゆみにヘアカットの動画を見せて「今からチョキチョキしてもらおうね」と伝えましたが…通じているのかいないのか、いつも通りの様子に一抹の不安を抱えながら理髪店に向かいました。お店に入るとキョロキョロウロウロ。なかなか椅子に座りません。やっと座ったと思ったらケープを掛けられたことに驚いて逃げ出してしまいました。そして二度と座ろうとしません。仕方がないので、私が椅子に座って膝に乗せることにしました。薄手のレインコートを持ってきていたので、私はレインコート、まゆみはタオルのみ首に巻いた状態でカットが始まりました。ハサミを見て逃げようとするまゆみですが、私が強く抱きかかえているため動けません。当然暴れますが、自分で髪を切ってあげるだけの技量がない私としては予防接種と似たイメージで「お店でのヘアカットはまゆみの人生に必要なこと」という意識がありました。Upload By にれほかに押さえつけられたような経験がないため、おそらくまゆみも予防接種のようなイメージが湧いたと思います。けれど、多少泣かれても「注射とは違って痛いことはされなかった、大丈夫だった」という経験を一度させてみるつもりでした。一旦は嫌な思いをさせてしまうのでこのやり方には賛否があるでしょうし、お子さんの性格や特性に合わせて慎重になる必要があるかと思いますが、ともかくまゆみの初めてのヘアカットはどうにか終えることができました。綺麗に整えてもらった髪をまゆみにも見せて、頑張ったことをその場でべた褒めしました。わが子を褒めるのに気兼ねいらずな点でも、周りにほかのお客さんがいない環境はありがたかったです。家でも、祖父母宅でも、療育先でも、会う人会う人みんながまゆみのイメチェンを褒めてくれたのも助かりました。無表情を貫いていたまゆみも、内心はきっとうれしかったのではないかと思います。二度目、三度目と回数を重ねて…それから3ヶ月ほど経ち、二度目のトライです。店主さんも覚えていてくれて、時間はまた平日の夕方に。お店に入ると、記憶がよみがえったのかまゆみが泣き出してしまいました。嫌な場所としてインプットされるといけないので、二度目はあまり頼りたくなかったスマホ動画に頼ることにしました。また私の膝に乗ってのカットで、動画のおかげで前回ほど暴れず、ときどきまゆみが店主さんをギロッとにらむ以外は和やかな雰囲気でカットできました。さらに数ヶ月後、三度目のカットではぐずりながらも自分からカット用チェアに座ってくれて、親子ともども髪の毛にまみれる必要がなくなりました。感覚過敏のためかカット用ケープは着けられませんが、それでも動画を見ながら一人で座ってくれています。思い出したように立ち歩くことはあるものの、まゆみが座っている短い間に店主さんが素早い手さばきでいつものボブヘアに仕上げてくれました。そうして回数を重ねるうち、まゆみも慣れてくれてヘアカットも平気でこなせるようになりました。多動があるので長い時間は座っていられませんが、5歳になった今では袖つきのケープなら着られるようになり、新しくわが家で導入した幼児向けの知育パッド(使用は病院の待合か床屋さんなどここぞというときに限っています)をつつきながら髪の毛を切らせてくれます。Upload By にれ正解がないヘアカット問題わが家の場合、まゆみがある程度は順応してくれるタイプだったことと、近所に理解のある理髪店があったため初回のような荒療治でも結果的に上手くいきましたが、あとから思い返しても押さえつけての散髪はあまりおすすめできません。二回目にお店を見て泣いてしまったので、失敗といっていいかもしれません。自宅で親がカットするケース、寝ている隙にカットするケースなど、お子さんの性格や特性によって合った方法はさまざまなので「こうしたらいい」というのは安易にいえませんが、「親子がなるべく楽なようにお店でヘアカットする」という目的でわが家の反省点を挙げるなら、以下の点です。・できれば押さえつけずに済む方法をもっと模索すればよかった・嫌な印象を持たせてしまうくらいなら、初回から動画頼りでもよかった・動画頼りになるなら、幼児向け知育パッドの導入はもっと早くてもよかった・ケープに慣れないなら、子ども用のレインコートを着せればよかったまた、美容室や理髪店の利用をお考えの方で、プライベートサロンが見つからない場合は、早めの夕食をとって少人数制のお店の最後の時間の予約を取ると親も子もかなり気楽にカットしてもらえるのでおすすめです。きっと正解はないこのヘアカット問題、お子さんも保護者の方も、それぞれに負担のない道が見つかるといいなと思っています。執筆/にれ(監修:室伏先生)ヘアカットの問題、同じように苦労されている読者の方もたくさんいらっしゃるかと思います。にれさん、まゆみちゃんの試行錯誤のプロセスを具体的に共有してくださり、ありがとうございました。自閉スペクトラム症のあるお子さんにとっては、感覚過敏、新しい場所・人への不安、新しい経験への抵抗感など、たくさんのハードルがありますよね。にれさんがまゆみちゃんの感じ方やお気持ちに寄り添い、理解されようとするご様子が伝わってきました。初回はにれさんもまゆみちゃんも大変だったことと思いますが、にれさんの工夫とまゆみちゃんの頑張りにより克服できたこと、素晴らしいですね!動画をみせることに罪悪感を抱いてしまうご家族の方もたくさんいらっしゃるかもしれませんが、場所や時間を決めて利用されると、育児の救世主になりますね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月18日通常学級入学し1ヶ月で登校渋りが始まった長男長男は、3歳で自閉症、小学校1年生でADHD、LD(学習障害)の診断を受けていますが、おとなしくて、周囲の大人を困らせるような行動もない長男は、小学校入学時は通常学級と判定されました。実は長男は年長になってもひらがなを覚えられず、入学前から療育に相談をしていました。ですが、学習障害があるのかは小学校に入学してからではないと判断できないと言われ、様子見状態だったのです。そして入学後、案の定、ひらがなの読み書きでつまずいてしまいました。授業についていけない長男に、隣の席の女の子が勉強を教えてくれたそうなのですが、長男は女の子の言い方がきついと感じたようで、学校に行くのを嫌がるようになり、入学1ヶ月で登校渋りが始まってしまいました。Upload By ユーザー体験談このままではいけないと、相談支援専門員さんに相談し、学校で放課後等デイの先生も参加したケース会議を開いてもらいました。その場で「長男を通級指導教室(※)に通わせたいです」とお願いしたところ、1年生の夏から週1回、通級指導教室に通えることになりました。ほかにも、クラスでは席替えをして席を前の方にしてもらう、近くの席は穏やかな性格のクラスメイトしてもらうなど配慮してもらいました。さらに、ひらがなについては、当時利用していた療育施設でも見てもらえることになり、この結果、登校への拒否感も軽減されて、毎日教室で過ごせるようになっていきました。しかし、その後も友だちからきつい言い方をされて落ち込んだり、宿題が分からないと怒ってやらなかったりなど、問題がないわけではありませんでした。※通級指導教室とは、小・中学校に通う比較的障害の程度が軽い子どもが、通常の学級に在籍しながらその子ども一人ひとりの障害特性に合った「通級による指導」を受けるための教室です。週に何時間かある通級による指導の時間、通級指導教室に移動して、それぞれの困りごとや課題に合わせた支援・指導を受けます。通級指導教室は拠点校に設置されているため、在籍する学校に設置がない場合は拠点校まで出向く必要があります。東京都など一部の地域では、公立小・中学校の「特別支援教室」で一部の時間、在籍校内の別の教室で指導を受けることができます。通級指導教室と違う部分としては、対象の児童・生徒が在籍する学校に専門の職員が巡回してきますので、特別支援教室では子どもたちが普段通っている学校で自立活動による指導を受けられます。参考:通級による指導の現状|文部科学省参考:小学校における特別支援教室の導入 ガイドライン(改定版)|東京都教育委員会参考:東京都の発達障害教育|東京都教育委員会特別支援学級に入学時から通う次男は順調に成長。長男にも特別支援学級がいい?わが家には、長男とは2学年差で現在小学3年生の次男がいます。次男は5歳で自閉スペクトラム症と診断され、小学校では特別支援学級へ通うことになりました。次男はマイペースなので、もし通常学級に行くことになっていたら、周りの流れについていけずつらい思いをしていたと思うので、この進路が合っていたと思っています。次男は、少人数の環境の中で、少しずつ自分で考えて行動できるようになっていきました。負けるのが嫌で、保育園では運動会も参加できませんでしたが、いつの間にか、勝ち負けのある遊びにも参加できるようになり、成長を感じています。特別支援学級だからこそ、できた成長だと思います。もともと私は、長男も特別支援学級に行ったほうがいいのではないかとずっと思っていました。小学校に入学した次男の様子を見て、その思いは強くなっていきました。そこで、当時3年生だった長男に、特別支援学級に転籍してみてはどうか?と勧めてみました。ですが、「このまま通常学級がいい」とのこと。それならばと本人の希望を優先することにしました。ただ、もう限界なのでは?という出来事が、4年生になって起こりました。Upload By ユーザー体験談授業参観で見た長男の表情。教室にいることが「とてもつらい」ことを理解した母4年生になった長男は、難しくなった算数の学習でつまずきました。さらに追い打ちをかけるように、仲の良かった友だちとトラブルが起こり関係が悪化、これがきっかけで不登校になってしまいました。4年生のクラスは、きっちりした乱れのないようなクラスだったようで、誰かが何かトラブルを起こしたり、統率を乱すような行動をすると目立ってしまいました。そのような環境の中、うまくいかない出来事が続き、長男は「自分はダメなんだ…」という思いを募らせてしまったのかもしれません。最初、長男が「学校に行きたくない」と言ったとき、私は行ってしまえば何とかなると、無理やり連れて行ってしまいました。家では毎日「自分はなにをやってもダメだ」と言う長男。ただ、私も夫も仕事を休み続けるわけにはいかず、自傷行為や刃物持ち出しなどもある長男を一人で留守番させられないと、とにかく一人にさせないための居場所探しに躍起になっていたのもあります。適応指導教室やフリースクールについても調べましたが、結局学校の「相談室」(教室に入ることが難しい子どもがいることができる教室)へ登校して自習したり、通級指導教室に行っては早退して放課後等デイサービスに行くという日が1ヶ月ほど続きました。そして5月になったころ、授業参観がありました。長男はその時間だけ相談室ではなく教室に行くことになったのですが、教室で授業を受ける長男の表情を見て愕然としました。ここにいることがとてもつらいのだと、ようやく理解できました。それくらい絶望感に満ちたひどい表情だったのです。私は何も分かってなかったのだと痛感しました。Upload By ユーザー体験談私は再び長男に特別支援学級を勧めてみました。今までは拒否してきた長男でしたが、次男に学校での様子を聞いて楽しそうと思うこともあったようです。試しに行ってみると自分で考えて、転籍を決めました。長男が自分で考えて、自分の意志で選んだことを嬉しく思いました。さっそく担任の先生に特別支援学級へ行かせたいと伝えたのですが、年度中の移籍はイレギュラーな対応になり、学校側でも通常学級と特別支援学級の連携がうまくいっていないようでなかなか話が進みません。そこで、特別支援学級在籍の次男の担任の先生からアプローチしてもらったり、放課後等デイサービスの先生が間に入ってくれたおかげで、なんとか年度中での移籍への流れができたように思います。長男は夏休み前ごろから特別支援学級で過ごすようになり、最初は早退することもありましたが、だんだんと1日授業を受けられるようになってきました。そして正式に手続きを踏んで、10月から特別支援学級に入級することができました。特別支援学級で登校できるようになり、表情も良くなってきました特別支援学級に入った長男は、最初はこれまでのクラスとの違いに戸惑ったそうです。ですが、失敗したりトラブルがあっても、授業中に静かにできないことがあっても大丈夫なんだ、受け入れてもらえるのだと感じられたことから、少しずつ前向きになっていったように思います。特別支援学級には次男がいたり、放課後等デイサービスで一緒の友だちがいたりと、顔見知りのみんなが温かく迎えてくれたのも良かったと思います。いろいろあった長男、今ももちろんすべてが順調というわけではありませんが、本当にたくさんの方に支えられて、特別支援学級で頑張っています。ずいぶん落ち着いていますが、やはり自己肯定感の低さはあり、心配なところです。これから思春期の難しい時期に入りますが、自分に自信を持てる環境で過ごせるよう、今後の進路を考えていきたいと思っています。次男は、長男がいたからこそ、幼少のころから支援に繋がることができたと思います。このまままっすぐ育ってほしいです。Upload By ユーザー体験談長男のような、大人側があまり困ることがないようなおとなしい子どもは、入学時に通常学級判定になりがちなのではないか、と感じています。ただ、通常学級で一度深く傷ついてしまうと、その後の成長に強く影響を及ぼしてしまのかもしれないと長男の経験を通して感じました。最近は笑顔も増えた長男ですが、最初から特別支援学級に入っていれば良かったのでは…と今も後悔をしてしまうことがあります。イラスト/星河ばよ※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせて頂きます。(監修:初川先生より)長男くんの通常学級での入学、登校渋り、通級指導教室の利用、学年が上がってからの苦戦、そして特別支援学級への移籍という一連の流れのシェアをありがとうございます。入学前の就学相談にて通常学級判定が出た、ということでしょうか。初就学時(小学校入学前)の就学相談では、知的な遅れの度合いの把握や行動観察、保護者からの聞き取りや園の先生からの聞き取りなどをふまえて、総合的に判断をします。基本的には、知的な遅れのあるなしによって、「通常学級または特別支援教室/通級利用」か、「特別支援学級」(いわゆる固定級)かの判断が大きく決まります。遅れのない場合に、その他の課題(行動面や注意集中の持続など)をふまえて、特別支援教室/通級の利用を勧めるかどうかについても判断がなされるイメージです。長男くんに関してはおそらく知的な遅れがなかったことで、通常学級判定になった(そして行動面にも大きな問題がないように判断された)のかなと感じます。このあたりについて、例えば就学相談への補助資料として療育機関や相談機関から情報提供書を出していただいたり、園の先生とも事前によく面談して就学先の希望があれば伝えていただいたりといった工夫はできるかもしれません。また、就学相談の判定結果は強制力のないものですので、それをふまえてどう判断するかは最終的には本人や保護者の意志で決めるものになります。入学してみないと分からないこと(集団の中で学習を積むことがどのくらいできるか、学習そのものでどのくらいのつまずきが見られるか)はたくさんありますし、また、学年が上がるにつれて学習の進度が飛躍的に速くなっていくため、低学年時では大丈夫だったことも中学年高学年となるにつれつらくなることもあります。そういう意味では、例えば“一度通常学級と決めたのだから卒業までずっと!”のように6年間をひとまとめにして考えてしまうとお子さんが苦しくなる場合があります。この長男くんの保護者さんのように、お子さんの様子を見て、都度先生方や関係する方にご相談され、よき環境について考えていくことはお子さんの学習面のみならず、精神面(こちらのエピソードでは自己肯定感について触れられていますが、まさにそうしたことなど)にもとても重要なこととなります。クラスのメンバーや担任の先生の方針などによってもクラスの雰囲気や居心地は変わります。通常学級や特別支援学級というくくりで検討するだけではなく、現在在籍するクラスの中でお子さんがどう過ごしているかをまずご覧になるのも大切なことです(この保護者の方は授業参観でつらそうな姿をご覧になったとのことでしたね)。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月16日2歳で開始!教科書通りのトイレトレーニング最初にトイレトレーニングを開始しようと思ったのはスバルが2歳になる前でした。なぜなら、私の手元にあった育児書に「トイレトレーニングスタートの目安は1歳半~2歳」と書いてあったからです。第一子で育児の知識もなく、ワンオペ育児で実家も遠く、出産直前でこの地に引っ越して来たので友達もママ友もいない。そんな私は完全にその育児書通りにものごとを進めようとしていました。1歳半の時点で言葉の遅れを指摘されているし、もはや育児書通りのスケジュールで成長してくれていないのですが、ほかに道しるべがないので「教科書通りに」「普通に」「一般的に」にこだわって、当時の私は頭がガチガチになっていたように感じます。育児書のアドバイス通りに子ども用便座と踏み台、かっこいいパンツにご褒美シールを用意して準備万端です。育児書には「便座を怖がる子がいる」と書いてありましたがスバルは平気そうでした。可愛く飾りつけしたトイレを楽しそうに眺めるスバルを見て、「これは案外早く成功するのでは?」と思いました。それから毎日時間を決めて定期的にトイレに座らせましたが1度もおしっこが出ることはありませんでした。そうじ洗濯を覚悟して天気の良い日にトレーニングパンツを履かせてみましたが、漏らすどころか尿意を感じると勝手にオムツに履き替えて用をたしていました。ならばと、オムツを隠すと血管が切れそうなほどの真っ赤な顔でおしっこを我慢していました。そのままトイレに座らせてみても「うわあああ!」と断末魔の叫び声を上げながらもおしっこは出ないのです。私も粘ったのですが、このままでは本当に血管が切れてしまうのでは?と思うほどの赤を通り越して赤紫になった顔を見て堪らずオムツを履かせてしまうのでした。Upload By 星あかりこんなパターンは育児書にもインターネットの体験談にも載ってないんですけど。数ヶ月頑張りましたが、冬が来てトイレで長時間粘るには寒すぎるので一時中断することにしました。その後はプレ幼稚園に通い始めたり、なんだかんだで発達検査を受けたり、自閉スペクトラム症と診断されたり、療育に通い始めたり、プレ幼稚園を退園になったり、新しい幼稚園を探したり、と怒涛の日々を過ごしていたためトイレトレーニングは完全に後回しになってしまいました。後回しというより、トイレトレーニングにまで手を出す余裕がありませんでした。自閉スペクトラム症と診断され「これは想像していたより長くオムツとつき合うことになるかも」と思いました。オムツが外れないまま幼稚園に入園そしてスバル3歳の春、幼稚園入園直前、私たちはトイレで2歳のころと同じことを繰り返していました。2歳のスバルはほぼ発語なしでしたが、3歳のスバルは「しっこ、でる」と事前に言うことができました。トイレに連れて行くと、すんなり便座に座るので嫌がってはいないようですが、結局顔を赤紫にして泣き叫んだあげくおしっこは出ないのでした。スバルはオムツが外れないまま幼稚園へ入園しました。幼稚園は「オムツ外れてなくて全然大丈夫!幼稚園で頑張りましょう!」という方針で安心していました。しかし、この幼稚園には備えつけのプールがあり、6月のプール開きから10月のプール納めまで、天気の良い日はほぼ毎日プールに入ると聞き、一気に不安になりました。なぜなら、オムツが外れてない子どもは大きいプールではなく、プールの横に設置した小さなビニールプールに入ることになるからです。小さいプールで毎日スバルが1人きりだったらどうしよう…。幼稚園へ入園して1週間がたち…どうなるトイトレ!?入園して1週間ほど経ちました。幼稚園へお迎えに行くと園舎から保護者が待機する昇降口まで聞き慣れた叫び声が響き渡っていました。スバルの断末魔の叫びです。これはまさに今、スバルはトイレにいると思って間違いないでしょう!スバルの叫び声をBGMにお友達は次々と帰宅して行きました。私が祈るような気持ちで待っていると叫び声がピタッと止み、しばらくしてヨレヨレの先生に手を引かれたヨレヨレのスバルが登場しました。叫び声の長さからして大変な時間を過ごしたと思われる先生が「スバルくんさっき初めておしっこ成功したんですよ~」なんてサラッと言うもんだから、もう頭が上がりません。私と先生とたまたま近くにいた名も知らぬ保護者のみな様とスバルを褒め称え、先生に何度もお礼を言い帰宅しました。Upload By 星あかり私は気合いに満ち溢れていました。そう、これはゴールではなくスタートなのです。先生が頑張って成し遂げてくれた第一歩を無駄にしないように、このあとは私が2歩目、3歩目を成功させていかなければならないのです。そんな気持ちで埃をかぶったご褒美シールを引っ張り出していると、スバルがいないことに気がつきました。リビングから出てみるとトイレへ向かう廊下にスバルのズボンとパンツが落ちていました。まさかと思ってトイレへ向かうと、なんとスバルがトイレでおしっこをしている真っ最中でした。自分でズボンを脱ぎ、子ども用便座を自分で設置しおしっこをしていました。そしておしっこが終わると便座から降りて子ども用便座を元の場所に戻し、手を洗い、脱ぎ落としたパンツとズボンを履きながらリビングに戻って行きました。それは今日初めてトイレ成功した人の所作ではないのよ。ずっと前からオムツ外れている人の所作なのよ。その後はずっと「ぼく前からトイレでしてますけど」みたいな顔してトイレでおしっこをしています。それからしばらくして、大きい方も同じ方法(さらに長時間粘る方法)で家で成功させました。それからずっとパンツです。そしてプール開き!濡れた水着が1人で脱げないみたいな問題はあったものの、無事大きなプールでみんなと遊ぶことができました。もう少しあとから気づいたことですが、どうやらスバルは1度定着した動きやクセ、ルーティーンを変更するのにものすごく時間とパワーが必要なようです。その後も育児書に載ってないタイプの成長をするスバルを目の当たりにし、いつしか育児書は読まなくなりました。発達障害のある子どもの子育ては育児書の通りには進まず、灯台の明かりが消え、まるで道しるべを失った船のようだと思ったこともありました。でも育児書を手放したことは「教科書通り」に縛られていた心を少しだけ軽くしたかな、とも思います。現在もトライ アンド エラーでスバルオリジナルの成長方法を探しています。執筆/星あかり(監修:初川先生より)スバルくんのトイトレエピソードをありがとうございます。おしっこはおむつにするもの、トイレ(便器)にするものではない。そうしたスバルくんのルーティンを変えるのは本当に大変だったことと思います。園にもよりますが、幼稚園や保育園の先生はさすがトイトレへのサポートを慣れていらっしゃいます。今こそというタイミングをうまく活かしてくださったこともあるのだと思います。また、家でたくさん練習していてもうまくいかずとも、園での集団生活の中で、ほかのお子さんがうまくやれていることにお子さん自身が気づいて頑張りだすこともあるでしょう。少し遅めのトイトレだとしても、頭での理解が進んでいる場合はその後がスムーズなこともあります。スバルくんは一度トイレで成功すると次からはとてもスムーズにできるのですね(思わず笑ってしまいました…これまでの苦労は一体、と思いますね)。それほどに、ルーティンを変えることが難しく、また一度定着したやり方は継続しやすいということですね。これはスバルくんの今後のさまざまな成長発達を支える上でのヒントになりますね。さて、今回、あかりさんはトイトレを自宅でがんばろうとし、また、間に合わなかったこともあり、園での生活の中でトイトレを継続しました。育児書を読んでがんばってみることももちろん良いのですが、発達的な特性のあるお子さんについては、例えば子育てひろばのようなところで、あるいは、地域の子ども家庭支援センターといった場で、トイトレなどに関してのご相談をしてみるのも一つです。育児書と同じような発達をしている場合には育児書は有効ですが、オリジナリティある道のりを進んでいる場合、育児書をもとにすると精神的に負担になることも考えられます。そういう場合には子育て相談を利用するのも一つです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月16日何をどう伝えよう?言葉の理解面での壁。とりあえず育児書通りにやってみたけれど…2歳前後になると意識し始める人も多いトイレトレーニング(トイトレ)。わが家でも、ASDのある息子が2歳を過ぎた春、トイトレを始めようと重い腰を上げました。当時の息子の発語は喃語混じりの単語のみ…トイレについての理解は、絵本などから"トイレ"という名称は知っているという程度でした。ちなみに排尿を伝えてきたことは一度もなし。(今なら"また時期じゃない"と延期一択ですが、第一子で気合いが入ってました。笑)そこでまずぶつかったのが「尿意」の壁でした。感覚という抽象的なことをどう教えたらいいのか…膀胱のあたりを押さえてみたり、自分のトイレ姿を見せてみたり(恥)試行錯誤する日々…。しかし言葉の理解もゆっくりな息子にはどうにも伝わらず、むしろトイレに興味を持ってもらうために置いた絵本やご褒美シール、トイレの玩具が注意力散漫な息子にとって逆効果となるのでした…。Upload By 海乃けだま「焦らずに個々のペースに合わせよう」頭では分かっているはずなのに、娘も目が離せなくて段々と余裕がなくなり…息子のトイトレに試行錯誤していたころ、娘は1歳を迎えました。後々分かったことですが、娘はADHDと診断されています。息子のトイトレに専念したくても、多動な娘が後ろで何をしているか気が気でならない場面がたくさん出てきました。Upload By 海乃けだまそれでも息子はトイレに誘えば一応大人しく座ってくれていたため、タイミングさえ合えばきっと成功すると期待してしまっていたのです。そしてその期待はいつのまにか、一向に進まないトイトレへの焦りとイライラに変化していきました。当時の私は、午前中は息子の療育の母子通園クラスに通い、クタクタで帰ってきてから子ども2人の食事の用意・食事介助、そして午前中にできなかった家事をこなしながらトイレ誘導…。息子のトイレに集中したいたった2、3分ですらじっとしていられない娘に、次第に気持ちに余裕はなくなっていきました。Upload By 海乃けだま一体誰のためのトイトレなのか…。息子のためであるはずのトイトレは、保護者である私が「おむつを外せない」という後ろめたい気持ちをなくしたいがためのトイトレになってしまっていました。これではダメだとトイトレは一旦お休みすることにしました。転機は3歳半健診。まだオムツが外れていなかった息子はもちろんオムツを履いて健診へ。そこで目にしたのは…トイトレを中断し数ヶ月が経ったころ、役場から一通の手紙が届きました。そう、3歳半健診です。検尿の文字にトイトレが進んでいない不安が一瞬よぎりましたが、採尿さえできればなんとかなるとたかを括っていました。しかし健診の会場に着いて真っ先に目に飛び込んできたのは息子と同い年の子どもたちのパンツ姿でした。新型コロナウイルス感染症の影響で、同じ部屋に居合わせた親子は6~7組だけでしたが、息子を除いて1人残らずみんなパンツだったのです(絶句)。Upload By 海乃けだま3歳半健診から帰宅した私は、ようやく目を背けていたトイトレに再度向き合うことにしました。この当時の息子はお話も上手になり、受け答えもかなりできるようになってきていました。一緒にお風呂に入っているとき、洗い場でおしっこが出そうな様子だったので、試しに声をかけてみると、今まで出なかったのが嘘のようにすんなりとおしっこが出たのです!「これがトイレで成功すれば…!!」そう意気込んでトイレ誘導にも力が入りました。そしてついに…ある日療育園へ息子のお迎えに行くと、先生から「今日、トイレでおしっこ出ましたよ!!」と報告が…!そのたった1回の成功から、突然日中のオムツが外れました。3歳半健診から2週間後のことでした。娘も軽い気持ちでトイトレ開始。息子のときの経験を活かそうとするも…一方、娘のトイトレも2歳を迎えた夏、ちょうど息子のトイトレが成功したころに「ついでに外れればオムツ代もかからなくなるし…お兄ちゃんのトイレの成功が刺激になるかもしれない!!」と軽い気持ちで始めました。息子のトイレのときに娘にも見せて「こうやっておしっこするんだよ〜!娘ちゃんもやってごらん」と声をかけてトイレ誘導をしていました。しかしこの方法は悪手でした…娘はかなりの負けず嫌いだったのです。お兄ちゃんのトイレの成功に嫉妬し、拗ねてしまったのです。トイレに座るどころか、トイレに行くこと自体拒否される毎日。少しでもトイレのイメージを良くしようと、息子のときに封印していた絵本やご褒美シール、トイレの玩具を総動員するも、飽きっぽい娘への効果は一瞬…しかもトイレに成功している息子がそのトイトレグッズに気が逸れて悪影響が出る始末(ため息)。娘のトイトレも早々に延期することになりました。Upload By 海乃けだま迫る娘の入園‼︎果たしてオムツは外れるのか!?娘のトイトレを延期してから、半年経った3歳を迎える春。幼稚園の入園には間に合わせたい!!とトイレ誘導を再開しました。以前のような断固拒否の態度はなくなり、一応トイレに座ってはくれましたが…じっとしているのが苦手な娘(ADHD)は5秒座るのがやっとでした。もちろん5秒では排尿までには至らず…。あの手この手でトイレに座る時間を稼ぐ毎日でした。Upload By 海乃けだましかし出ない。1滴も出ない(余談ですが私は産後、ジャンプすると尿もれするようになりました)。そのうち時間稼ぎ作戦にも飽きてきた娘は、またもやトイレを拒否するようになってしまいました。「もうお手上げや…」入園がもう目前になった3月上旬、プレ幼稚園に行っていた私は先生にオムツが外れそうにないことを伝えました。先生は快く「一人ひとりペースがありますから、大丈夫ですよ。幼稚園に来てから、できるようになる子も多いですからね!」と言ってくれました(号泣)。プレ幼稚園のその日、"年少さんと一緒に遊ぶ"というものでした。娘よりずいぶんとお兄さん・お姉さんに見える年少さん、みんな自らトイレに行っている年少さん。…その光景を見て思い出したのです。可愛いパンツの存在を…!!娘はそのときちょうど可愛いものが好きになってきていました。娘のパンツは以前に数枚だけ買っていたのですが、トイレのやる気を出すために「可愛いお姉さんパンツを買いに行こう」と提案しました。それが娘にはヒットしたらしく、自分でパンツを選び、自らパンツを履き、トイレに自ら座りに行ったのです!!最初は失敗したものの、「濡れてもいいパンツだから大丈夫だよ」と声をかけると、また新しいパンツに履き替え…1週間ほどでトイレでおしっこに成功するようになったのです!!入園にはギリギリ間に合いませんでしたが、1ヶ月経たずに日中のオムツが外れたのでした。オムツはずれは早ければいいというものではない。大事なのは本人のやる気とタイミング。今となっては”トイトレは本人のやる気次第”だし、タイミングがある!!と断言できるのですが、息子のときも娘のときも、なかなか進まないトイトレに焦ってしまっていました。「どうせいつかは外れるんだから、あんなにイライラしなければ良かった」と後悔する反面、焦りの原因には周囲からのプレッシャーがあったのも事実です。トイトレってとてもデリケートなことだと思うのですが、結構口出しをしてくる人が多い気がするのはなぜでしょう…。今と昔ではライフスタイルも違いますし、育児も日々進化しています。昔は良しとされてきたことが今では違うこともあります。トイトレのことも発達ゆっくりさんのことも、育児世代だけでなくもっと幅広い世代に周知され、もっと温かく見守ってくれる社会になるといいなあと思います。…あ、兄妹共に日中オムツが外れたと書いてますが、割とちょびっと漏れもありますし、娘に至っては大便はオムツです。そして夜間もおもいっきりオムツです。オムツ完全卒業までの道のりはまだまだ遠い…。執筆/海乃けだま(監修:初川先生より)ご兄妹のトイトレエピソードをありがとうございます。最後にけだまさんがまとめとして書かれていたように、トイトレはお子さん本人のやる気(興味関心や意欲)にもよりますし、まさにそれに合うタイミングが来ると感じます。読者の方へ、焦らずにというメッセージをくださりありがとうございます。本人のペースをどうにかすることはとても難しいので、機が熟すのを待つのが大事ではあります。ただ世の中にはさまざまなトイトレ成功の工夫がシェアされており、それをやったら早くできるのではないかと期待させてくれる分、保護者が追い詰められてしまうこともありますね。そして、トイトレに関して口出しされる外圧があったのですね…それは大変でしたね。妹さんの入園にあたって、先生にご相談され、温かいお言葉をいただいたエピソードもありましたが、まさに幼稚園保育園の先生や子育て相談の場所などでそうしたことをご相談していただけるとよいかなと思います。特に、特性のあるお子さんの場合には、育児書通りには子育てが進まない面もあります。そういうことにお詳しい方に聞いてみる、聞いてもらうのはよいかもしれません。子育ては一生懸命になるとつい冷静さを失ってしまったり、視野が狭くなってしまったりします。いろんな人に話してみて、良さそうな方のご意見を取り入れてみると、冷静になれたり、柔軟になれたりすることがあると思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月15日5歳発達障害グレーゾーンの息子の特性Upload By ネコ山現在5歳5ヶ月の息子はADHD+ASDの傾向があり、児童精神科医による診断ではグレーゾーンとの結果でした。からだの多動は小さいころと比べてだいぶ落ち着きましたが、5歳の現在は脳内が多動なようで、思いついたり目についたことを片っ端からやりはじめてしまうところがあります。時間感覚がうとく切り替えも苦手なので、周りの大人は「早くしなさい!」「いつまでやってんの!」を、ついつい連呼してしまいます…。Upload By ネコ山私も怒りたくないし、息子もきっと毎日怒られたくはないでしょうから、何かうまい対応策がないものかと日々、模索しています。息子も含めて、発達障害のグレーゾーンと言われる人たちは、「普通」と言われる社会で生きている方も多いと思います。「変わっている」と思われがちな、発達特性のある人たちも生きやすく、多様性を認め合えるような社会になってほしいと、当事者の母として願っています。3歳は多動と癇癪、4歳は聴覚過敏とこだわり…グレーゾーン息子の困りごと3歳ごろまでは多動と癇癪がいちばんの悩みごとでした。すぐにどこかに走って行ってしまうので、事故にならないか常に神経を尖らせながら息子に向き合っていました。また、思い通りにいかないときや思いが伝わらないときに激しい癇癪が起き、私も息子も大泣き…なんてことも。Upload By ネコ山4歳ごろからは聴覚過敏やこだわりがとても激しかったです。特に聴覚過敏には悩みました。息子は幼稚園の園内放送で流れる音楽や大きな声、それに園児が一斉にワー!となる音がつらくて、一時期は通園もできなくなるほどでした。このころ息子は、物事の順序やタイミングなど自分なりのこだわりが強い時期で、先生に注意されることが多かったのだと思います。幼稚園は集団生活なので、注意されたり自分だけのやりたいことができないのは仕方がないことです。息子も自分の気持ちと折り合いをつけて集団生活をやっていかなくてはいけませんが、このころはまだうまくできませんでした。そんなストレスによって聴覚過敏が強く出ていた時期なので、療育に通いはじめ自分の気持ちに折り合いをつけられるようになったり、幼稚園では登園時間を遅くずらすなどの配慮をしてもらいストレスが緩和された今は、音の悩みも少なくなっています。また自分のルールを乱されると大変怒り、幼稚園での友達づき合いも苦労しているようでした。伝えたい思いが言葉に出てこず、手が出ることも…。息子の特技・好きなこと特技はお絵描きです。3歳まではクレヨンを渡しても食べてしまったり、電車ごっこに使ってろくに描画らしいことはしませんでしたが、3歳半から目で見た自分の好きな物や風景を描くようになりました。物の形を正確にとらえる力があるなと感じています。Upload By ネコ山好きなことはブロックと工作です。おもちゃを与えてもすぐにバラバラに分解してしまう(つまり壊す)息子。しっかりとした作りのおもちゃでなければ、息子の手にかかれば3日以内に分解完了です。そんなに分解したいのなら、ブロックを組み立ててあげて渡せば永遠に分解できるし、親的にもダメージがないのでは⁉ということで、3歳過ぎに大きめのブロックをプレゼントしました。どハマりした息子でしたが、そのうち「踏切のバッテンが作れない」と怒りはじめました。大きめのブロックだと大雑把なデザインしか作れないので、もっと本物の踏切に近いものを求めていたようです。完璧主義の片鱗が見えます。ちょっと早いかなと思いつつ、4歳で某有名ブロックをプレゼントしました。その日から大好きなブロックをいじらない日はありません。家族紹介Upload By ネコ山わが家は4人+猫の家族です。妹は3歳で幼稚園の年少さんです。泣き虫で甘えん坊ですが、かなりのしっかり者で気が利く子です。あまりにもしっかりしているので、兄である息子はプライドを傷つけられることもしばしば…。夫は子育てには協力的で子煩悩です。夫も子どものころは息子と似た傾向があったそうで、学生時代は苦労した経験もあるのだとか。キジトラの猫を飼っています。娘のことは大好きですが息子のことは苦手なようです。私ネコ山は忘れ物が多くいつも時間ギリギリ、ゴミの日にゴミ出しできる人を尊敬しています。良いところと特技だけを伸ばして生きてきました!孤独だったグレーゾーン息子の育児。同じ境遇の人に寄り添うコラムを届けたいUpload By ネコ山息子の育児は孤独でした。まわりに「うちもよ~」とか「男の子だからね~」と言われても「なんかそういうレベルと違うんだよな…」とモヤモヤした日々のこと、息子の特性と向き合いつつグレーゾーンだからこそ 迷う支援のあり方など、答えを出したりアドバイスしたりはできませんが、同じ境遇の保護者の方に寄り添うコラムをお届けできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします!執筆/ネコ山(監修:新美先生)ネコ山さん、はじめまして。多動でお絵かきが得意、工作とブロックが好きな息子さん、とっても魅力的ですね。多動=好奇心とエネルギーに満ちているということなので、親としては危なっかしくて目が離せない一方で、想像を超えてくるエピソード満載で毎日飽きないですよね。周りのママ友とはレベルが違って話が合わないけど、息子さんの大変ながら魅力的な日常を誰かと共有したいというネコ山さんのポジティブな思いが伝わってきて、これからの記事がとっても楽しみです。よろしくお願いいたします。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月14日しのくんと外食に行くのが怖かった時期しのくんは現在5歳、発達障害グレーゾーンの男の子です。4歳を過ぎるまで、しのくんと外食へ行くのはいつもドキドキしていました。2歳を過ぎたころからだったと思うのですが…しのくんと外食へ行くと、しのくんはすぐお店の中で立ち歩いてしまうようになりました。Upload By keikoベルトがついた椅子が置いてあるお店は大丈夫なのですが、そんな椅子がないお店は大変でした。しのくんが席から脱走しないように、私と夫でしのくんの両脇を挟み込んで座ったりして対策しましたが…次は机の下へ潜り込んで脱走します。いつもしのくんの肩や腰に手をおいて、脱走しないよう注意していました。本当に外食に行きづらかった時期なので、友達が子どもと二人でカフェに行った話を聞いたり、家族で外食を楽しんでいる写真をSNSで見たりすると、すごく羨ましかったのを覚えています。対策がみつかる!?そんなある日、外食中にまた席を離れそうになっていたしのくんに、ふと思いついてスマートフォンで動画を見せました。すると、動画に夢中になり立ち歩きをしなかったのです!食事中、子どもに動画を見せることには賛否両論あるかと思いますが、当時、立ち歩きに悩まれていた私はやった!と思い、その日から外食時にはスマートフォンで動画を見せるようになりました。しのくんが逃げ出さないように体を抑える必要がなくなり、ついに落ち着いてお店で食事ができるようになったのです!Upload By keikoしかし…しのくんが食事中に脱走する心配がなくなって安心していたころ、ようやく私はハッとするのです。当時しのくんは4歳。周りにいる子どもたちで、動画を見ながら食事しているのはしのくんだけだということに…。Upload By keikoUpload By keiko「動画見ながらごはん食べてるの…、しのくんだけじゃない⁉︎」と気がついた私は焦り、早速しのくんからスマートフォンを取り上げようとしました。「ごはんのときはスマホやめようね」と声をかけると、「えー?」と言いつつも動画を見るのをやめてくれました。Upload By keikoしかし、次第にしのくんはソワソワしはじめ、卓上のものを触ろうとします。そして、ごはんがくるのが遅かったらそれも待てなくて騒ぎ出してしまいます。Upload By keiko最後にそもそも席から脱走しないように動画を見せていたはずでしたが、いざ動画を見せるのをやめてみたら、立ち歩きはしなくなったものの、今度はいろんなものを触ったり、騒いでしまうことが分かりました。結局5歳を過ぎた今でも、静かに過ごせるように、外食時には動画を見せてしまっています。やめさせたいけど、動画を見せないと騒いでしまうので…どうしたらいいか悩んでいる今日このごろです。執筆/keiko(監修:初川先生より)外食時の困りごとについてのエピソードをありがとうございます。これは同じように悩ましく感じている読者の方多いのではないでしょうか。外食時にオーダーをしてから、料理が出てくるまで「待つ」。この「待つ」がなかなか難しいお子さんはたくさんいます。おそらく外食時のみならず、行列に並ぶ、電車やバスに乗る等も同じでしょう。待つ際に、保護者と話をするなどして静かに待てるお子さんもいます。ただ、そうではないお子さんもいるということ。「ただただ(何もせず)待つ」のは苦しいので、別のことをして、結果として「待っていられた」とするのが、待つのが苦手な時期は工夫の1つにはなると思います。その1つが「動画を見せる」なのでしょう。お子さんによっては、「絵を描く」「本を読む」などでも可能かもしれません。動画を見せる、あるいはゲームをさせるといったことは、多くの子どもの注意集中をぐっと集めやすいものにはなるので、その場をしのぐ意味では総合的に判断すると悪くはないと思います。ただ、食事が運ばれてきて、食べているときにも見せるかどうかはまた一つ悩みどころではありますね。動画がなくても食べられる場合は(食べることに集中できる場合は)いったん切った方がいいと思います。ただ、食べることに集中できないお子さんもいると思いますので(食事中でも立ち歩くお子さんなど)、その場合はやむなしということもあると思います。また、子どもの食べるスピードは大人よりも速かったりするので、大人が楽しくおいしく食べているのに子どもがもう飽き飽きしているということもあるでしょう。その場合も何らかの力を借りることもあるかもしれません。行儀やマナーとしてどうなのか、という迷いもあると思います。ただ、ここで考えてほしいと思うのは、その外食の目的やお子さんの特性といったあたりになってくると思います。家族で楽しくおいしく外食をしたい、親が疲れたので外食で食事は済ませたいなど目的があると思います。お子さんに苦手な「待つ」を強いてまで、そして保護者もひやひやイライラしながら食べても楽しくはないでしょう。毎日のことではないと思いますので、たまにはそういう特別も親子それぞれにあったらいいかもしれません。また、特性に関して言えば、非日常やイレギュラーが通用するかどうかにもよります。一度ルールを崩してしまうと、家でも動画がないと食べられなくなるといった場合には、もしかしたらそこは慎重にした方がいいかもしれません。子育ての中では、何のために何を選択するか、その判断が問われることが多いですね。保護者ご自身が納得いく選択であれば、それはそのときにはよい判断と言えると感じます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月13日登校しぶりの原因は何?長男は、3年生の7月ごろから「今日、学校を休みたい…」と言うようになりました。最初のうちは「分かったよ」と応じていました。しかし、初めは1ヶ月に1回ほどだったのが週に1回になり、だんだん休む回数が増えてきたので私も対応に困ってしまい、とりあえず「なんで休みたいの?」と理由を聞いてみることにしました。すると長男の返答はだいたいこうです。・今日の給食が苦手だから・ママと一緒にいたいから・外国語の授業が苦手だから私にとってこの回答はなんとなく意外でした。てっきりクラスのお友達関係がうまくいっていないのではと思っていたからです。それなら登校渋りしてしまうのも無理ありませんから。Upload By 星河ばよ「給食が苦手だったら残せばいいんだよ、残して大丈夫だから」と長男に言っても聞き入れません。担任の先生は給食を残しても怒りませんし、クラスのほかの子は給食を残すこともあるそうですが、長男はそれができないと言うのです(私は給食が大好きだったからまったく共感できないんだ、ゴメンね)。「ママと一緒にいたいから」これを言われると私は何も言えなくなります。学校や家でいろいろストレスを抱えてるのかな、たまにはいいかなと思ってしまいます。「外国語の授業が苦手だから」というのも悩みます。苦手でもなぁ…。中学、高校に行ったらどんどん難しくなっていく教科の一つだから、毛嫌いしないで受けてほしいのですが。Upload By 星河ばよ特別支援学級の先生には欠席の際、連絡帳に欠席理由をありのまま書いていました。先生は優しく尊重してくれるのでありがたく感じています。個人面談のときも長男の登校渋りについて相談に乗ってもらっていました。このようにこれまでの担任の先生とは連携をとって長男の様子をみていたのですが、登校渋りや欠席日数は年々増えるばかりで、ほとほと困っていました。月に一度、休みたい日を自分で決めていいよあまりにも登校渋りが続いたので、私は一つの提案をしました。それは「月に一度、休みたい日を自分で決めていい」というもの。長男はそれを聞くなり飛び跳ねて喜びました。さっそく給食の献立表を見て、思案したりする様子がほほえましかったです。大事に使うのかな?と思いきや、「さっそく明日休もうかな」と言い出しました。もう、とにかく早く休みたいようです(それであとになって、すぐ休まなければよかったと長男はよく後悔しています)。Upload By 星河ばよ教育委員会に相談してみた長男が休みがちになって、私はどうしたらいいのか途方に暮れていました。そんなとき学校から配布されたプリントが目に入ったのです。それは「市の電話相談」について書かれたものでした。懸命にサポートしてくれている特別支援学級の先生の手前、外部の人に相談していいものかすごく悩みましたが、藁にもすがる思いで電話しました。するとつながったのはまさかの、市の教育委員会でした。わが子が登校渋りしていることを伝えると、優しくねぎらってくれました。私は教育委員会の人に怒られるのではとビクビクしていたので力が抜けてしまいました。そして、長男の担任の先生(特別支援学級)にコンタクトを取ってくれたのです。その後、特別支援学級の担任の先生の提案で、学校のスクールカウンセラーの方と連携を取っていく、ということになりました。スクールカウンセラーの方は、長男と1対1で話を聞いてくれて、その結果、長男の本音を聞き出してくれました。Upload By 星河ばよ私は、長男が人間関係で悩んでいるけれど家族には言えずにいるのではと思っていましたが、人間関係ではなかったようです。前々から行きたくない理由として私に話してくれていた「今日の給食が苦手だから」「ママと一緒にいたいから」「外国語の授業が苦手だから」という3つが長男の本音でした。給食を残すことについて、授業で習ったフードロスが頭をよぎってつらくなるようです。「それなら食べなよ。それができないなら割り切って残すしかないよ」と言いました。できれば「どっちもできないなら持って帰ってくればいい。お母さんが食べるよ」と言いたいです。学校の決まりで給食の持ち帰りはできませんが…。おわりにそれからも長男は休んだり、登校したりでしたが、話を聞いてくれる大人が担任の先生以外にもできて、気持ちが少し軽くなったようでした。長男は小学6年生なのでもう卒業が見えてきています。悔いのない小学校生活を送ってほしいと思うのは私のエゴかもしれません。ぼちぼち通ってくれたらいいなぁと思います。執筆/星河ばよ(監修:井上先生より)思春期になると子どもさんは、親御さんへ甘えたい気持ちもある一方で、相談できないことも増えてくると思います。また親御さんも担任の先生との連携が大切だとは思っても直接相談することに抵抗があったりすることもあるかもしれません。親御さんにとってもお子さんにとっても電話相談やスクールカウンセラーというような第三者の相談先を持つことは大切かと思います。大人になるにつれて、そういったサポートしてもらえる人を増やしお子さんとご家族のネットワークにしていけるとよいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月12日家での遊びの環境について考えてみる知的障害を伴う自閉スペクトラム症のあるわが家の次男Pは、遊ぶおもちゃを机の上や床にばらまいてしまい、片づけてもすぐに部屋がぐちゃぐちゃになるので、私はイライラしていました。そんなイライラを解消する方法はないか?と、遊びの環境を整えることについて考えてみました。たとえば療育を受けているときは、おもちゃを子どもの見える範囲や手の届く範囲にはあまり置いておらず、遊びの種類や順番を決めて片づけたら次のおもちゃを出すなどの工夫がされていました。でも家でとなると家事もあるので四六時中子どもにかまっているわけにもいかないし、手の届かない場所や隠せる場所も限られるので、おもちゃを隠していてもいつの間にか見つかってしまい、気づけばまた元通りなんてことの繰り返しでした。Upload By みんおもちゃを隠しても減らしても効果的ではなかった物理的に数を減らすにも、同じものにこだわりの強いPは「あのおもちゃはどこへ行った?」とパニックになってしまうのでなかなか減らすこともできず、減らすとしたら「このおもちゃでは長らく遊んでいないな」と思う物を厳選して隠し、すぐには処分せずに数ヶ月間様子をみて、Pが完全に忘れたであろうころに処分するようにしています。そうやって数を減らしても、まだまだたくさんあるし新たに買ったりもするので、やはり部屋は散らかってしまいます。たとえばPは色鉛筆を使って絵を描くことが好きなのですが、1本使ったら1本戻してから新たな色を使うということが難しく、色鉛筆を全てケースから出して机の上にばら撒いて使っていました。私は色鉛筆を片づけても片づけても出されてしまうのが大変なので、色鉛筆をケースから、ペンたてに入れてしまおうと考えました。ペンたてに入れるようになってからは前より少し片づけやすくはなったのですが、全ての色鉛筆を机の上に出してしまうのは相変わらずだったので、やはり大変なままでした。机の上に散らばった色鉛筆を見ながらどうすればこのイライラから解放されるのか?と考えたときに、この状態でも散らかっていないように感じられるようにすればよいことを思いつき、ペンたてを違うものに変えてみよう!と思い浅く広めのトレイを準備しました。すると予感は的中!トレイに色鉛筆を入れてからは、全ての色鉛筆を机の上に出してしまうことはなくなり、机の上は散らかさないようになりました。Upload By みん散らかしてしまう原因を想像して対応するこれは効果的だと思った私は、いつも床に散らばっているおもちゃも同じようにすれば良いのでは?と考え、浅い大きめのバットをおもちゃ箱に変更しました。最初はおもちゃを全て出してしまおうとしていましたが、日に日に床に散らばるおもちゃの数は減り、今では自分の必要なおもちゃだけをバットから選んで取って遊ぶようになりました。色鉛筆もおもちゃも、浅いバットやトレイに入れることで、中に何が入っているのか探しやすくなったのがポイントだと思います。今までは、自分が使いたい色の色鉛筆がどこにあるのか分かりにくかったり、自分が遊びたいおもちゃがおもちゃ箱のどこにあるかが分かりにくかったりしたので、Pは全て箱から出して目的のものを探すという行動をとっていたのだと思います。でも少しの工夫で視覚的に探しやすくしてあげたことで、私もイライラから解放されました。このような工夫をしなくてもむやみに散らかさず、使ったら自分で片づけられるようになることがもちろん1番なのですが、そんな成長をゆっくり待つためにも、できる限り生活環境を整えながら過ごしていきたいと思います。Upload By みん執筆/みん(監修:新美先生より)片づけについて、Pくんにあったやり方を模索している様子を聞かせてくださりありがとうございます。片づけの方法は世の中にいろいろありますが、人によって合う合わないがあります。また親子・きょうだい・夫婦でも、人によって片づけ法の合う合わないが違っていることもあり、その場合はお互いにストレスがたまったりするものです。お互い許容範囲を広げて妥協するしかないですね。Pくんの場合は、箱の中にしまってしまうと見えなくて分からなくていやだということに気づいたところはさすがと思いました。ざっくり、物が見えるけど、散らばりすぎないという、大きめバットのやり方、家でも取り入れてみたいです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月12日自閉スペクトラム症(ASD)とは?治療方法はある?自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあり、幼少期に気づかれることが多いと言われています。自閉スペクトラム症の症状は3歳くらいまでにあらわれることが多いと言われています。主に他者との社会的関係形成に困難さがあったり、言葉や発達の遅れ、興味・関心が狭く特定のものにこだわりがある、などが特徴です。知的障害を伴わない場合は、幼児期に気づかれず、成人期に症状が顕在化することもあります。自閉スペクトラム症自体の原因を治療することはまだ不可能と言われています。ですが、早期から療育や環境調整を通して接し方を工夫することで、日常生活における本人の困りごとの解消につながります。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは一人ひとりに合った環境づくりを行います。早期から「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」などの発達支援施設で療育的支援や適切な教育を行ったり、苦手なことに対する対応方法を工夫していくなどの特性に合わせたサポートで子どもが自分らしく成長していけるように環境を整えていくことが重要です。投薬については、自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば、自閉スペクトラム症(ASD)の特性によって起きることが多い、癇癪、衝動性、こだわり、睡眠障害など、社会生活を送るうえで困難を感じる症状に対して、薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)ほか、神経発達症(発達障害)に処方されるのはどのような薬?自閉スペクトラム症(ASD)をはじめとした神経発達症(発達障害)による症状によって困難さがある場合に処方される薬を解説していきます。中枢神経刺激薬は中枢神経系に作用してその機能を活発化させ、非中枢神経刺激薬は主に前頭前野に働きかけ神経伝達物質の働きを強めます。多動性・衝動性や不注意に作用します。・代表的な薬例:中枢神経刺激薬/コンサータ、ビバンセ非中枢神経刺激薬/インチュニブ、アトモキセチン(ストラテラ)抗精神病薬は脳内のドパミン神経系の活動を抑えることにより症状を改善していく作用があります。定型抗精神病薬(従来型)と非定型抗精神病薬(新規)に分かれており、定型抗精神病薬は陽性症状に作用しますが、非定型抗精神病薬は陽性症状と陰性症状の両方に効果があると言われています。・代表的な薬例:定型抗精神病薬/ハロペリドール、クロールプロマジン、ピモジド非定型抗精神病薬/リスパダール、アリピプラゾール(エビリファイ)、オランザピンなど抗不安薬は感情と関係する脳の動きなどを抑えることで不安、緊張、不眠などを改善し、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は脳内で神経伝達物質セロトニンの再取り込みを阻害しセロトニンの働きが増強されることで抑うつなど気持ちの落ち込みやイライラなどに作用します。・代表的な薬例:SSRI/フルボキサミン・エスシタロプラムなど抗てんかん薬は、脳内の興奮系物質の働きを抑える、抑制系物質の働きを強めるなどの作用機序があります。また、その2つとは違う新しい作用をもつ抗てんかん薬などもあります。・代表的な薬例:ダイアップ、バルブロ酸ナトリウム、トピラマートなど子どもの自閉スペクトラム症(ASD)の代表薬・衝動性や癇癪を抑える「リスパダール」「アリピプラゾール(エビリファイ)」子どもの自閉スペクトラム症の易刺激性による癇癪や他害などを抑える代表的な薬として「リスパダール」「アリピプラゾール(エビリファイ)」があります。リスパダールは、リスペリドン主成分からできている抗精神病薬で、自閉スペクトラム症がある子どもや統合失調症がある人などに処方されます。自閉スペクトラム症の症状のひとつの易刺激性(不機嫌、無視、怒りっぽさ、癇癪、泣き叫ぶ、暴力や暴言、器物破損、抑うつ気分、気分の変わりやすさ、自傷などの行動を起こしやすいなどの症状)を抑える作用があります。副作用として主に眠気や食欲増多などがあります。アリピプラゾール(エビリファイ)もリスパダール同様に、易刺激性をやわらげる抗精神病薬です。ドパミン神経系を安定させる効果があり、躁状態およびうつ状態への効果が期待されています。副作用として主に眠気や食欲増多などがあります。アリピプラゾール(エビリファイ)とリスパダールは、どちらも易刺激性をやわらげる薬ですが、働きかける脳内の伝達物質が異なります。アリピプラゾール(エビリファイ)がドパミン神経系を安定させるのに対して、リスパダールはドパミンとセロトニンの両方に働きかけることで、ドパミン神経系に作用し、陽性症状、陰性症状両方の状態を抑えます。リスパダールは、原則として5歳以上18歳未満、アリピプラゾール(エビリファイ)は6歳以上18歳未満の子どもに使うことができます。また、子どもの体重に合わせて用法用量が定められています。神経発達症(発達障害)のある子どもの不眠に「メラトベル」「ラメルテオン(ロゼレム)」自閉スペクトラム症のある人に多くみられる睡眠の悩み。睡眠障害に対しては、子どもの不眠に処方される「メラトベル」と大人の不眠に処方される「ラメルテオン(ロゼレム)」などがあります。メラトベルは、神経発達症(主に自閉スペクトラム症)から起こる睡眠障害(寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまうなど)に処方されます。6歳から15歳までの神経発達症(主に自閉スペクトラム症)のある子どもに対して処方され、就寝前(寝たい時間の直前)に服用をします。ラメルテオン(ロゼレム)も睡眠障害に処方される薬です。メラトベルが小児も使えるのに対して、ラメルテオン(ロゼレム)は成人に処方されます。(※監修注:15歳から処方は可能だが、18歳より処方するのが望ましい)就寝前(寝たい時間の直前)に服用をします。関連リンク・その他、発達障害のときに処方される薬って?コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月11日不器用すぎる子どもを支えるヒント ーー『DCD 発達性協調運動障害』DCD(発達性協調運動障害)とは、極端に不器用で、日常生活においてさまざまな困難さがある発達障害の一つです。協調運動の不具合で起きますが、診断がつかずに学童期を迎えることも多く、周囲から理解されず、大人になってからも困難さを抱えるケースも少なくありません。転びやすい、着替えができない、なわとびが飛べない、自転車に乗れない…。極端に不器用な子どもたちには、DCD(発達性協調運動障害)があるのかもしれません。しかし、DCDの理解不足から、学校や家庭で叱られたり、自尊心を傷つけられることもあります。本書は、小児精神医学、小児神経学、てんかん学などを専門とし、人間科学部の教授であり小児精神科医でもある著者の古荘純一先生が執筆しました。DCDの認識を広め、当事者が臆することなくスポーツを楽しめたり、充実した学校生活を送るなど、社会活動に参加できる支援の輪が広がるようにという願いが込められています。本書では、DCDの症状とそれに伴う社会生活での困難さの解説と合わせて、幼児期・児童期・中学高校の学生生活、大人になってからの就労や家事など、年齢ごとの実例を多く取り入れながら、本人や家族が抱える困難さの現状、支援方法やアドバイスが紹介されています。また、当事者や保護者、学校関係者、医療などの支援者に向けて、それぞれの立場で注意しなければならないことや心構えについても記されています。子ども自身が楽しく読めるーーー『マンガでわかる子どもの困りごと攻略ブック: できない・やめられないが多い子がわかる解決法』本書は、『生きづらいと思ったら親子で発達障害でした』の著者である漫画家のモンズースーさんが執筆し、40年以上にわたり行動やコミュニケーションなど困難がある子どもたちの診療にあたってきた医師の平岩幹男先生が監修した、困りごとのある子どものためのマンガです。発達障害がある子どもには、話をすることや聞くことが苦手、気持ちをおさえられない、忘れ物が多い、読み書きが苦手、ゲームがやめられないなど、「やる気はあるのにできない」「悪気はないのにやめられない」など多くの困りごとがあります。その「なんで?」や「どうしたらいいの?」を、子どもが自分で読めるように、マンガで分かりやすく解説しています。文中には、子どもたちの好きそうなキャラクターたちが登場し、「障害」という言葉や医療用語などを使わず、分かりやすい言葉で困りごとの解決方法をアドバイスします。また、漢字にはふりがながついているので小学生の低学年でも、楽しく読みながら理解ができるように工夫されています。子どものために書かれた本書を読むことで、子ども自身がこれまで言葉にできなかった困りごとを本を通じて知ることができ、そして「友だちより苦手なことは工夫でうまくいく」と、感じることができるかもしれません。お子さんの手にとりやすい場所に置くことはもちろん、親子で一緒に読み、わが子の困りごとや不安や苛立ちなどを知る手だてとしても活躍する本ではないでしょうか。子どもと大人の「困った」を軽くするヒントが満載!ーー『特別支援教育が教えてくれた発達が気になる子の育て方』Twitterフォロワー数7万人、特別支援学校の現役教員である平熱先生が著した本書は、発達につまずきのある子どもと、そのまわりにいる大人のために、特別支援教育をベースにして「困った!」を小さくするヒントがまとめられている一冊です。「特別支援教育は、全人類に有効です」という言葉から始まる本書。序章では、特別支援教育が子育てに有効な理由を記し、第1章は子どもの自立について、第2章では大人も子どももしんどくならないサポートのポイント、第3章では日常の「困った」を小さくするポイントをさまざまなシーンを想定し、そのアプローチについて細やかに紹介されています。発達が気になる子どもとの関わり方、向き合い方、考え方などが、平熱先生ならではの「むつかしい話や、きれいごとは一切なし」で、ユーモアを交えながら著された本書。将来、子どもたちが自分らしく生きていくために、まわりにいる大人たちが今できるサポートや知るべきことが優しく詰めこまれています。『すきまから見る「不登校」への思いこみをほぐす』本書は、中学校教員などを経て、不登校の児童・生徒が通う「適応指導教室(現、教育支援センター)」で教育相談員として20年以上勤務し、教育と心理学の間を行き来しながら、「子どもの成長力を引き出すための教育支援センターの改革」を目指してきた公認心理士の林千恵子先生が、不登校の子どもたちの声と自身の不登校支援の経験をまとめた一冊です。本書では、不登校の子どもたちが実際に書いた作文を用いながら、一人ひとりの苦しみや成長の物語が描かれています。不登校の状況の中で考え続けた子どもたちの作文は、読む人の心に強く訴えかけます。物語では、厳しい自己対話や他者との関わりの中で、悩みながら成長していく子どもたちの姿と共に、失敗してはへこむ著者の林先生自身がたびたび登場します。林先生が、子どもたちと日々向き合い、育て、育てられてきた20年以上におよぶ現場経験の中で見つけた、「不登校の子どもの本音」や、「関わり方」が余すところなく記された本書。「不登校という心の傷と、どう向き合えば子どもが育つのか」、その答えを見つけるための一助となるのではないでしょうか。内的感覚の理解と治療意欲を支えるーー『チック・トゥレット症の子どもたち』チック・トゥレット症は、「ムズムズする」といった内的感覚を強く伴う疾患で、発症のメカニズムの解明も対処法も非常にむずかしい疾患です。本書には、著者である小児科医師の星野恭子先生が、20年の臨床の中で理解したことや実際に行っている治療方法、国内外の最新鋭の研究を踏まえて、チック・トゥレット症の当事者や家族、支援者にぜひ知っておいて欲しいことが盛り込まれています。日本での有症率は、子どものチック症は5〜24%、成人のトゥレット症は1000人に0.1〜0.5人と、5人に1人の小児に何らかのチックの症状があると言われています。チック症の症状や合併症、検査方法に加え、幼児期、小学生、中学生、高校生と年齢に応じた治療方法についても記されています。また、支援者や保護者に向けた望ましい対応方法や、青年期を迎えた当事者の就労や福祉制度についてまで幅広く紹介されています。本書は、チック・トゥレット症の当事者や家族が抱える日々の大変さを理解すると共に、「治したい」という気持ちに寄り添う一冊となっています。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月11日阪神電気鉄道株式会社の関連会社である株式会社エフエム・キタ(本社:大阪市北区 社長:竹間郁夫)【愛称:ウメダFM Be Happy!789 [周波数78.9MHz]】では、6月16日(金)に発達障がい、ADHD(注意欠如・多動症)をテーマとした特別番組第2弾を放送します。文部科学省の調査によると、通常の学級に在籍する小・中学生の8.8%は「発達障がい」の可能性があると言われています。なんとなくみんなとは少し違うかもと感じている人や、何でこんなこともできないんだろうと落ち込んでしまう人たちに向けて、少しでも思いを分かち合い、寄り添えればという想いを番組にしました。<番組概要>1 名称 ハッタツあるある!~誰にだって凸凹はあるんちゃうの?~2 放送日時 2023年6月16日(金)19:00~19:303 出演番組MC ADHD シンガーソングライター yu-ka(ゆーか)(写真左)番組MC ダイバーシティ戦隊・ヤルンジャーズ 作戦参謀 大谷邦郎(写真中央)ゲスト 株式会社LIG 特定非営利活動法人MUKU代表 福井宏昌 様(写真右)※ウメダFM Be Happy!789は、ラジオのほかウメダFM Be Happy!789のホームページ( )を通じてパソコンやスマートフォンでも聴取可能です。株式会社エフエム・キタ リリース 発行元:阪急阪神ホールディングス大阪市北区芝田1-16-1 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年06月09日公立中学の特別支援学級に進学。新生活、意外と大丈夫だったかも?ゆいが進学したのは地元の公立中学校です。小学校時代と顔ぶれはあまり変わらないのですが、それでも環境は大きく変わります。ゆいがストレスを強く感じて疲れてしまうのではないかと私は少し心配でした。入学前には通学路を確認したり、少しでもゆいの不安が軽減される工夫もしたりしました。ところが、意外なことに新生活が楽しかったようなのです。入学式の後、興奮気味に新しいクラスのことや先生のことなどを話してくれました。今のところ人間関係については特に困りごとはなく、毎朝元気に登校しています。多分、同じクラスに仲の良い子がいたことが安心材料になったのだと思います。その後も仲良しの友達経由でまた新しく友達ができているらしく、ひと安心しました。ときどき自宅にも友達を呼んで楽しくおしゃべりしているのを見ると、友達関係は今のところ上手くいっているのかなと思っています。でも、心配になることは、実はほかのところにありました。Upload By 吉田いらこ入学早々クラスのSNSグループチャットができ上がる中学の入学式でクラス発表がされた日、クラスのSNSグループが立ち上がりました。ゆいが通う中学校の生徒のスマートフォン所持率は9割を超えているそうです。ゆいも持っているので友達経由で招待してもらい、クラスのSNSグループに入りました。(私が中学生のころはまだ子どもが携帯電話をもつ時代ではなかったのでいろいろと衝撃ですが、親も時代に慣れていかないとと思っています…。)Upload By 吉田いらこクラスのSNSグループチャットは参加人数が多いのでタイムラインがものすごい速度で流れていて、朝起きるとトークの通知の数が大変なことになっています。タイムラインでは誰かが勉強の分からないことを相談したり、他愛もないことで笑いあったりしていて、ゆいもたまにスタンプを押したりしているようです。中学生がチャットツールを使うことに賛否はあると思います。けれど、場面寡黙の診断があるゆいは他人と対面して会話をすることが苦手なので、このような顔を見ずにできるコミュニケーションの方が話しやすいのでは、と思っています。Upload By 吉田いらここのまま楽しく便利に利用できていればよいのですが、今後なにかトラブルが起きるのでは…と保護者としては心配しています。ただ、こういった通信モノは大人になると必ず使うことになる可能性が高いので、今のうちにトラブルを「少しだけ」経験して勉強することも必要かも…と思うところもあり、これから慎重に様子を見ていきたいと考えています。執筆/吉田いらこ(監修:鈴木先生より)クラスでのSNSグループチャットは、まだ中学生のお子さんだとちょっとした言葉でも傷つくことも出てきやすいので、仲のいいお子さん同士ならいいにしても、クラス全員でとなると保護者の方の不安もあることでしょう。個人的にはクラスのSNSグループチャットは保護者同士に限るようにした方がいいのではないかと思ってはいますが、子ども同士が使う場合には、個人攻撃をしない、担任の先生がチェックするなど一定のルールをつくってから始められるといいですね。ほかにも、クラス全員という大きなグループではなく、クラス内の班ごとなど少人数に分けてやる方法もあるかと思います。スマートフォンをお子さんに渡すときに使い方や時間のルールを各ご家庭で決めることと同様に、クラスのSNSグループチャットにもルールづくりが大切なのではないでしょうか。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月09日脱走なんてしないと思っていたUpload By カタバミ息子のまちゃには自閉スペクトラム症と知的障害があります。就学前には特別支援学校にするか特別支援学級にするかで迷いました。年長の1学期のころ、当時通っていた療育園の担任で就学担当でもあったベテランの先生から「まちゃくんは45分間座って授業を受けられそうですから特別支援学級に入学することも考えて下さい」と言われました。確かにまちゃは、私がいつ見学しても落ち着いていました。特別支援学級の見学のとき、特別支援学級の先生に「こちらに入るのに“これはできていてほしい“と言うことはありますか?」と質問したら「座って授業を受ける意欲があるお子さんはできるだけサポートします」と言われました。私は(生徒がどこかに行ってしまい追いかけながら授業をするのは難しそうだから、それは当然だな)と納得した記憶があります。入学後に始まった脱走Upload By カタバミところが、療育園のときにはあんなに落ち着いていたまちゃは特別支援学級に入学すると授業中や少しの空いた時間に脱走するようになりました。行き先はだいたい決まっていて、体育館に行ってグルグル走ってくるか、数階上の誰もいない特別教室に行くか、校庭を突っ切った先にある体育倉庫の壁をタッチして帰ってくるか…いずれにしても脱走しても戻ってくるそうです。ただ走るのが早くて補助の方ではなかなか追いつけないとのことでした。授業参観に行ったとき、課題が終わったまちゃがサッと席を離れて私の横を通り過ぎて教室の後ろのほうに行ったので(ロッカーに何か取りに行くのかな)と思ったら、サーッとそのまま教室を出て行ったのでとても驚きました。この一件から私もまちゃの脱走について改めてあれこれ考えるようになりました。まちゃは機嫌良く脱走して機嫌良く戻ってきていて、脱走を止められたときにも少し悔しそうにしているものの笑っているようでした。もしかすると、これまで療育園など施錠してある施設に通っていたまちゃにとって、思いついたときにフラッと抜け出せることが、息抜きになっているのかなと思いました。増える脱走Upload By カタバミ1年生の終わりから、まちゃは学校に慣れたのか、家ではタオルを畳んでくれたり、お父さんの飲んだ缶酎ハイの缶を潰してくれたり、できることも増えましたが、脱走も増えました。そして、2年生になって新しい担任の先生になり、教室の人数も4人から8人になるとさらに脱走は増えて、ついに朝、開いていた校門から学校の外に出てしまいました。ちょうど近くにいた先生が捕まえてくださったそうなのですが、その報告を受けたとき、私はさすがにとても心配して焦りました。担任の先生が「教室のドアを施錠してみてはどうだろう」と相談してくださり、私は「やってみてほしい」と答えました。2つある廊下への教室のドアのうち、まちゃに近いほうが施錠されると、まちゃは窓から出ました。そのあと、まちゃの近くの窓際に電子オルガンが置かれ、すぐには出られないようになりました。窓には「窓から出てはダメ」と言う意味の絵カードが貼られました。効果があったそうで、先生は「席に座ります」や「トランポリンをとびます」「トイレに行きます」などの絵カードもつくってくださいました。SNSで作業療法士にも相談をして、まちゃのストレスが溜まらないように、まちゃのすぐ近くに絵を描いたりパズルをしたり、リラックスできる場所があるとよいというアドバイスを受けたので、先生に伝えるとさっそく教室に取り入れてくださいました。放課後等デイサービスの先生にも相談すると「まちゃくんは自分がみられていると感じている間は脱走しません。気を抜いた瞬間が危ないのです。頭のうしろにも目が必要です」と、まちゃを脱走させないコツを教えていただきました。これもさっそく担任の先生にお伝えしました。減ってきた脱走Upload By カタバミ現在、小学2年生が始まって2ヶ月目ですが、まちゃの脱走は減ってきています。今の所、家でも放課後等デイサービスでも癇癪も行き渋りもありません。常に対応してくださる担任の先生にはとても感謝していますし、まちゃもよく頑張っていると思います。でも本当に特別支援学級がまちゃに合っているのかということは、考えていかないといけないと思いますし、今後もまちゃの様子を注意深く見て行こうと思っています。執筆/カタバミ(監修:新美先生より)教室から脱走してしまうまちゃくん、先生方も安全確保のために気を遣って大変だと思いますが、なによりも、脱走したくなるほど大変な思いをして教室で過ごしているまちゃくんのことも心配です。新しい環境で、慣れず、その場で今何をすべきなのかがわからないと、普段よりもそわそわして落ち着かなくなり脱走リスクは高まります。入学当初、慣れなくて脱走というのは、ある程度はやむを得なかったかもしれません。1年ちょっと経って、脱走は減ってきているとはいえまだあるようです。学校で問題行動がある場合、以下のことを見直していくとよいかもしれません。1. 学習・活動内容について、本人が理解できる形式(視覚支援など)で説明されているか(スケジュール・手順書など)2. 学習・活動内容は本人に合った内容か3. その学習・活動をしたくない場合、「拒否する」ということが随時表出できて(例えば「やりたくない」という絵カードをいつでもつかえるようにしておくなど)、受け入れてもらえ、代わりの行動の選択肢を提示してもらえる環境になっているか4. 「ちょっと休憩する」「気分転換する」などが表出できて、それを受け入れてもらい、休んだり気分転換できる環境が用意されているかこういったあたりについて、学校の先生に見直してもらったり、療育の専門の先生などにもご意見もらったりするとよいかもしれません。本人が脱走しなくても、安心して充実して過ごせる学校環境にしていけるとよいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月07日アトピー体質の自閉スペクトラム症娘。掻きむしりがすごくて…SAKURA(以下、――)最後の相談は、娘の掻きむしりについてです。娘は、アトピー体質で、皮膚が弱いんですが、精神面からくる掻きむしりがすごくて…――ここからは本人にも同席してもらって、一緒に話を聞いてもいいですか?三木先生:もちろんです。Upload By SAKURAあーさん:こんにちは。三木先生:こんにちは。あーさん:えっと…私はイライラしたりすると、腕とか足とかがかゆくなって、掻いてしまいます。どうしたら掻かなくなりますか?Upload By SAKURA三木先生:なるほど。まず、かゆみを我慢するのは無理です。Upload By SAKURAなので、かゆみ止めを飲んだり、薬を塗るなどして、アトピーでかゆくなる要素を先にゼロにしていく。そのあとにストレス側にアプローチしていく形がいいです。Upload By SAKURA――病院にはかかっていて、薬はずっと飲んでいます。そっちに関しては対応済みです。Upload By SAKURA自分に合うストレス解消法を見つけていく三木先生:なるほど。では、ストレス面ですね。色んな方法を試してもらって、自分にあうストレスを解消していく方法を探していくといいですね。――例えば…?三木先生:例えば運動…ジグゾーパズル…世の中にあるストレス解消法の中から、自分にしっくりくるものを順番に試してみるのはどうでしょう?Upload By SAKURA親が今まで見てきた中から、子どもの趣味嗜好から合いそうなものをピックアップするのが良いと思います。例えば、一人が好きか、みんなで遊ぶのが好きかなど。――本人が苦しんでいるので、私がなにかかゆくならない方法見つけて教えてあげたいと、焦ってしまって「早く!今すぐ!なにか策を!」と思ってしまっていたのですが、時間をかけて探していくしかないんですね。Upload By SAKURA三木先生:答えが欲しいと焦るのはわかりますが、親が試行錯誤している時点でもう正解です。焦って無理に答えを出そうとすると、子どもへの負担になることがあります。親が、あーでもないこーでもないと、頑張ってる姿を子どもに見せてあげることが重要ですよ。Upload By SAKURA――そうなんですね。でも、娘にとって、答えがない状況は嫌なようで…。それを見ると私も苦しいんですよね。助けてあげたいというか。このままでいいのかなって思ってしまって。三木先生:子どもは結論がでないことに納得できないことが多いですよね。でも、結論はもがいたあとにしか分かりません。時代的にインスタントに答えを出さなきゃならない傾向にありますが、実際は本人の中の構造化のプロセスを踏んだ上に納得があります。親の試行錯誤をモデルとして見てもらって、本人と一緒にやっていく…。もんもんとした中の、興味があるものを拾っていくといいと思います。Upload By SAKURA対策としては短期的、長期的アプローチがあります。薬は短期的なアプローチ。それから目の前の問題解決…例えばかゆくなるスイッチのようなものがあるなら、そこから解決していくのが良いです。――かゆくなるストレスのスイッチ…いっぱいありすぎます(笑)物事には「表」と「裏」の顔がある!三木先生:日常生活でストレスをゼロにすることはできませんからね。物事の表と裏を見せていくのもいいんじゃないですか?例えば、お母さんが怒っていたところに、電話がかかってきたら、お母さんは声を変えて普通に電話取りますよね?その様子とか。人は、本当はイライラしていても、表ではそれを見せないようにするというのを実際に見て理解してもらうといいかもしれません。Upload By SAKURA――あー!そうなると親同士の言い合いとか?最近、見せてしまうというか…見られてしまうことが増えてきてます。Upload By SAKURA三木先生:それにも、ニュアンスの調整は必要ですけどね。「これはコミュニケーションの一環」「こんな風に言っているけど実際はお父さん相手だから言ってるんだよ」「実際はそこまで思ってないよ」などの文脈の説明はいりますね(笑)――わかりました。いろんなストレス解消法試して、ピッタリの方法を探しつつ、同時に人の表と裏の気持ちも話していきます!執筆/SAKURAコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月07日自閉スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠如・多動症)がある中学3年生発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症とADHDの診断がある中学3年生のエピソードです。県立高校への進学を希望しているものの、定期テストではケアレスミスが多く正解率が20%程度。わが子を心配して涙する母親に小児科医は…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談解説:定期診療の時間を、安心して相談できる機会にーー小児科医今回は、自閉スペクトラム症とADHDのある中学3年生のエピソードをもとにお届けしました。ひとり親家庭で保護者の方は仕事に追われ、パンパンの状態であることが診療時に伺えました。お子さまは、反抗はするものの根が優しく親思いであることが伝わってきましたので、親子の目標である「県立高校に合格する」ということを意識し、定期診療でさまざまなアドバイスを行いました。診療のポイントは大きく2つです。薬物治療ADHDの主な症状である多動性・衝動性、不注意に対して薬物治療を開始していましたが、薬を飲まないことが続いていました。そこで、服薬の負担を軽減するために1日2回から1日1回の治療薬に変更して様子をみました。学校や塾の先生への協力依頼先生で注意されてばかりだったり試験結果が思わしくなかったりすると、お子さまの自己肯定感が下がっていきます。「(小児科医と相談し、服薬もしながら勉強を頑張るので)応援団になってほしい」と伝えることで、少しでも環境を変えることを大切にしました。高校受験では、通塾されるお子さまも多いことと思います。学習内容や先生の指導がわが子にあっていないと感じたら、今回のケースのようにほかの塾に移ることで勉強しやすくなることもあるでしょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月06日知って驚いた、「社会的語用」という概念言語学の分野では、会話の辞書的な意味、字義どおりの意味について扱う分野を「意味論」、場面・文脈・相手との社会的な関係性の中でどのような会話をするかについて扱う分野を「社会的語用論」と言います。例えば、職場で、部長Aさんの部下のBさんがAさんに対してこう言ったとします。「私がお茶を入れました。部長も飲みたいですか?」この発言では、文法上の誤りもなく、語彙も十分です。意味論的には、「AさんがBさんの入れたお茶を飲みたいかどうか」を聞いており、まったく問題ありません。しかし、社会的語用論の観点から言うとこの発言は不適切で、文化的社会的にはナチュラルでないと言えます。―といった説明が、日本語教師用のテキストに書いてあり、私はとても驚いたのでした。社会的語用論の観点からは、・場面(公的で改まった場なのか、私的でフランクな場なのかなど)・文脈(それまでにどんな話をしていたかなど)・相手との関係(親しいのか親しくないのか、立場が上なのか下なのか、ウチなのかソトなのかなど)に配慮して話をすべきなのだそうです。社会的語用の範疇では、文化によるのですが・目上または親しくない相手に対して直接意向を聞いてはいけない・人に何かをしてあげたときに主語をあいまいにして押しつけがましくないようにする・断るとき、禁止するときなど、はっきり言うと相手や関係性にショックを与えそうなときにあいまいな言い方にしたり「言いさし」にしたりするなどといったルールがあるのだそうです。これ、私のようにASDのある人にとっては、とても苦手なものですよね。話し手になる場合にも聞き手になる場合にも、いわゆる、「空気を読む」「行間を読む」が必要になってくることですから。だからこそ、社会的語用の概念を知った私は驚いたのだと思います。これらを総合して、上記の例の場合、日本において社会的語用の観点から正しい(より正確に言うと、日本で最も感じが良いと受け取られて生存戦略上都合がよい)言い方はこんな感じになるでしょうか。「お茶が入りました。部長もいかがですか」「お茶が入りました」「お風呂が沸きました」ずっと理解できていなかった社会的語用私はそこで、自分が生きてくる中でなんとなく疑問に思っていた日本語の表現をざっと思い出してみました。すると、あれは社会的語用だったんだ!と気づくものがいくつもありました。例えば、上記の例にあった「お茶が入りました」。周囲がそういう言い方をするから私も自然にこういう表現を使ってはいたものの、「文法的に考えるとなんだかお茶が勝手に意志を持って入ったみたいな感じでおかしいなあ、どうしてだろう」と、言語化はできないまでもずっと引っかかっていたのです。日本人はこういった何気ない表現の中でも、相手との社会的関係を配慮した物言いをしているのですね。給湯器も、「お風呂が沸きました」って言いますよね。あれ、中身は日本人だなって思いました(笑)英語やフランス語でも「行間を読む」?でもね、同じような社会的語用、よく考えたら英語でもするんですよね。Dinner is ready!(夕飯ができました)Tea is ready!(お茶ができました)ここで I made tea (私がお茶を入れました)とかは言わないわけです。その他、私は大学時代アメリカに短期留学したとき、誰かを何かに誘うか何かしたときに maybe next time(またこんどね)って言われたんです。そうか、また今度誘えばいいのか、と思ってしばらくあけて再度誘ったら、すごく困惑した顔をされました。欧米はいわゆる空気を読まなくていい、なんでもオープンに意思表示しあう文化だと思っていたので、それから20年来謎だったのですが、先日、アメリカ帰国子女と日本人がやっているインターネット動画で、アメリカでも婉曲に断ることあるよ!と言っていて、「あれは断られてたんだ!」と初めて気づきました(笑)フランスでも「行間を読む」ことはあるようです。フランス人ASD女性のコミックエッセイの中に、会社の同僚に「あの資料持ってる?」と訊かれて「持ってるよ」と答えたら同僚は「ええっと、その資料を貸してくれる…まったくもう!」と怒ってしまったというシーンがあったので、これにも驚きました。空気・行間を読むことが多い、よりハイレベルな社会的語用が要求される文化を「高コンテクスト文化」といい、日本が代表です。その反対で、なんでもはっきり言葉にすることが多く、直接的なコミュニケーションをする文化が「低コンテクスト文化」で、ドイツが代表と言われています。ドイツのコミュニケーションに婉曲な表現があるかは見聞きしたことがないのでわかりませんが、欧米が日本よりも低コンテクストだからといって、日本のような高コンテクスト・婉曲な表現がないわけではないのですね。イギリスなんかは非常に婉曲な言い回しが多く、京都に似ていると言われることもありますね。言葉の学びの中でようやく興味を持てるようになった、日本の社会的語用ここまで考えて私が思ったのは、「世の中には、高コンテクスト文化と低コンテクスト文化と、元来ほぼ社会的語用をしないASD文化があるのではないか」ということでした。私がASDのない人と接触せず、生まれたままのASDとして生きていたら、たぶん本当に辞書通り字義どおりの、意味論的なコミュニケーションをしていたと思います。でも、日本の高コンテクスト文化の人たちと「異文化交流」をする中で、まるで低コンテクスト社会から来た人のように少しずつ「異文化適応」をして、(違和感や疑問を覚えながらも)徐々に社会的語用を学んできたのでしょう。私は日本のASDのない人たちが「普通」「正しい」とするコミュニケーションにずっと違和感や、ときには怒りを感じてきましたが、こうしたコミュニケーションの機微について研究する学問分野があったことにはある種の感激を覚えました。以来、人のコミュニケーションを、研究対象を見る感じで興味と好奇心を持って観察し、自分の不全感については「私は異文化に生まれた異邦人なのだから仕方ない」と余裕を持って受け止められるようになりました。ASDのある子どもの、高コンテクストなコミュニケーションに関するマイナス感情への対処ASDの子どもの中には、人とコミュニケーションする中で、戸惑いや怒り、不全感を感じる子どもたちも多くいると思います。私がそうだったように。物事への理解ができるようになってきた思春期以降であれば、単に「これが正解だ」と教え込むのではなく、異文化のひとつとして教えるなどすると、私のように興味を持って客観視できる助けになるかもしれません。文/宇樹義子(監修鈴木先生より)私の外来はASDの患者さんの割合が多いです。外来で患者さんに「KY:空気を読めますか」と尋ねると、「先生、空気は読むものでなく吸うものですよ」と返されることが多々あります。また、 “医師と患者さん”という関係性を踏まえた会話ではなく、あたかも以前から知っていた友人と話すような調子で話されるお子さんの何と多いことか。それは、親御さんも同様です。そうしたお子さんにはSST(ソーシャルスキルトレーニング)の受講を、親御さんにはペアトレの受講をお勧めしています。食事中にスマホをやっているお子さんに食事中はスマホはやめなさいというと、ASDの特性が強いお子さんは、食事をやめてスマホだけやるのです。確かに、「食事中はスマホはやめなさい」と言われたとき、その言葉通りとれば、食事をしていなければスマホをやっていいことにはなります。ASDの特性から、なぜそのように言われたのか、相手の立場になって考えることが苦手なのです。社会的語用はASDのグラデーションによって変化が見られます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月06日お皿に入る服、ぶつかるカバン、観葉植物をなぎ倒すカーテン…Upload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは、小学校高学年ごろまで食事中に服の袖がごはんに当たっていても気づかないことがよくありました。中学生になった今では以前よりも減りましたが、『自分が動かしている物』が何かに触れているとき、それに意識を向けるのが難しいようです。とはいえ、最近は「カーテンを閉めるときに観葉植物を倒しているよ」と伝えると「あ~本当だ」とすんなり認めてくれるので助かります。以前は「袖がごはんに当たっているよ」「本をどかしたときに消しゴムを机の上から落としているよ」と伝えても、「え?当たってる?」「あれ?何で?」と起きたことをなかなか認めてくれませんでした。あまりに頻繁に服の袖が汚れるので、あるとき改めてコウに質問してみました。小学校5年生ごろだったと思います。「袖にごはんが当たっていても気づかないのはなぜ?」に対するコウの主張は以下の通りでした。・食事中の姿勢において腕の下側の皮膚と服の間には空間があるため、ごはんが当たっている側の皮膚には何も感じない。・食事中の姿勢では、わざわざ見ようとして腕を持ち上げない限り袖の下側は見えない。・これらのことから、食事中の袖の下で起きていることなど、感じることも見ることもできないのに分かるはずがないのは明らかだ。Upload By 丸山さとこコウの話を聞いた私は、「彼からすれば自分の体験に基づいた根拠のある言い分があるのだな」と思いました。「自分が動かしている物」から伝わる感覚を理解しよう!確かにコウの言う通り、ごはんは腕の下側には当たりません。ですが、『服に何かが触れた感覚』は分かるはずです。そう話してもコウは「そんなの分かるわけない」といぶかしんでいるので、彼の袖の下側に触れながら改めて説明をしてみました。「服の布は、腕の上や横には当たっているでしょう?目を閉じて、そこの布が動くのを感じてみて」と促すと、彼は「…本当だ!袖に当たったり離れたりしているのが分かる!」と驚きました。Upload By 丸山さとこ「物は袖の下に当たっているのに、感触は上側に生まれるんだねぇ…」と不思議そうに感心していたコウは、それ以降「皮膚に直接当たってないのに分かるわけないじゃん!」と突っぱねることはなくなりました。こうして理屈と感覚は理解できたとはいえ、それまで意識していなかった『見えない位置の感覚』『間接的に当たっている物の手ごたえ』が急に分かるようになるはずはありません。そのため、この話をしてからも相変わらず袖を汚すことはありました。ですが、「できるはずがないことを無理強いされている」という不信感は和らいだようでした。自分が直接触れて動かしている物ではない『間接的に触れている物』への影響を理解するのが難しいのは、私も何となく分かります。息子と同じく神経発達症がある私の場合は、自分の体であっても『見えていない部分』への意識がおろそかになりがちです。定型発達とされる子どもであったとしても、幼児のころは『自分の体が影響する範囲』や『自分が持っている物が影響する範囲』がつかみきれておらず、動きにも不器用さが見られることは珍しくありません。Upload By 丸山さとこコウや私は、今でもまだその部分において発達の途中にいるのかな?と思っています。今でも不器用な中年として毎日を送っている私ですが、子どものころによくあった『何もないところでコケる』現象は起きなくなりました。でもこれは「単に活発に動かなくなっただけかもしれないな…?」という一抹の不安もあるので、たまには体を大きく動かすようなアクティビティをしてみようと思います。執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)面白いですね。「『自分が動かしている物』が触れている物に意識を向ける難しさ」。そこまで意識(注意・関心)が向かないからこそ、ちょっとした事故(服を汚す、観葉植物を倒すなど)につながる。例えばこれは、ボディイメージの苦手さ(自分の「身体」がどこまでか、どう動いているかを認識することの苦手さ)でも説明されるかもしれません。この場合のボディ・身体は単に皮膚に包まれた肉体のことに限らず、服やカバン、そして作用するものも含めた「拡張した身体」のことになります。こうしたことを考え始めると、身体とは何かという哲学的な問いに出合います(例えば、他人の身体を触ることは痴漢になるけれど、じゃあ、身体と洋服の間の空間に手を入れるのは痴漢じゃないのか…と考えてゆくと、身体は肉体よりも広い概念であると分かると思います)。そんな哲学的な問い、身体論が私は頭に浮かびましたが、生活上必要なことでいえば、さとこさんがしてくださったように、感覚に意識を向けて、感じ取る練習をしてみるということですね。袖の下部の動きは袖の上部(肌と接するところ)の微細な動きで感じるなど、今まであまり意識してこなかったがゆえに意識に上りづらかったことを意識化してみるということ。その練習は、発達的な特性ゆえにそうしたことへ注意を向けにくいお子さんには良さそうです。見えないものは「ない」、感じないものは「ない」となりがちなお子さん方に、これまで意識してこなかったから「見えない」ものを「あえてしっかり見る」、「その感覚に注意を向ける」。認識することで、「身体」が広がるかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月05日特別支援学校は教育の最先端! 特別支援教育の考え方を知ると、生きづらさを小さくできる『「ここ塗ってね」と画用紙を指さしたわたしの指を丁寧に塗りたくってくれる特別支援学校って最高じゃない?』は、これまで発信してきたツイートに、解説や補足を平熱先生自身が書き下ろした本です。左ページにツイート、右ページにその解説で1見開き・1テーマで完結。ユーモアたっぷりでときにホロリとさせるイラストも楽しく、とても読みやすい構成です。特別支援教育の良さや面白さ、先生の働き方、ときどき教育とは関係ないつぶやきも登場します。この本を巡って、平熱先生に発達ナビ編集長牟田暁子がインタビューしました。Upload By 発達ナビ編集部おもに知的障害がある子どもたちが通う特別支援学校で10年くらい働く現役の先生。小学部、中学部、高等部のすべての学部を担任し、幅広い年齢やニーズの子どもたち、保護者と関わる。「視覚支援」「課題の分解」「スモールステップ」「見えないところを考える」など、発達障害やグレーゾーンの子どもたちだけではなく、全人類に有効な特別支援教育にぞっこん。発達ナビ牟田暁子編集長(以下――) この本は、障害があるお子さんの保護者にとって、さまざまな気づきがあり、さらに障害がある人と普段あまりかかわりがない人にも読んでもらいたい内容だなと思いながら、楽しく読ませていただきました。平熱先生(以下、平熱) ありがとうございます、うれしいです。いちばんに届けたいのは、やはり特別支援学級などに通う子どもの保護者ですが、障害のある子どもたちと関わってない方にも、単純に読み物として面白いと思ってもらえたら理想的だなと思って書きました。――「平熱」というお名前について聞かせてください。「はじめに」にも書かれていますが、“熱血先生”ではなく“平熱”だからこそ共感が集まったのかなと感じていますが、ご自身ではどうですか?平熱 平熱であることに共感が集まるのは、時代の流れもあると思っています。自分が学生のころは、たとえばドラマに出てくる先生のロールモデルみたいなものって、良くも悪くも熱血漢でしたよね。竹刀を持っていたり、何かあると怒鳴って威圧する。その一方で、自分の生徒がトラブルに巻き込まれていたら夜中でもどこでも即駆けつける。24時間熱血で、情熱を持って奉仕する姿がよしとされたから、教師は聖職と言われるようにもなったと思うんです。だけど、学校の先生をブラックな職業ではなく単なる働き手として持続可能なロールモデルにしていくなら、熱血はいらなくないですか? 朝8時半に学校に行き17時に帰るまでの間、一生懸命頑張って自分の役割を果たせる先生が認められていかないといけないと思っていて、それをするのに熱血である必要はなく、平熱で淡々とできればいいのではと考えています。そこに今の時代の多くの人が共感してくれたから、ツイートもたくさんの人に見てもらえていると感じています。――平熱で淡々と、だから伝わってくるものがあるんですよね。それから、この本の冒頭に登場する、「特別支援教育、全人類に効果あり」というツイート、私も共感します。Upload By 発達ナビ編集部平熱 特別支援教育の考え方には、わたし自身が学ぶことで生きやすくなった実感があるんですよ。具体的に言えば、「課題の分解」「スモールステップ」「見通しを持つ」といった方法で、一応障害がないとされている自分自身が、すごく生きやすくなったから。特別支援教育は別に障害がある人でなくても、誰が知って身につけても、生きづらさを小さくできると思っています。Upload By 発達ナビ編集部――スモールステップは、最近よく知られるようになった考え方だと思うんですけど、見通しはまだスケジュールについてのことだけと思われている場合がありますね。本にはスモールステップや見通しについて、いくつも解説事例があって分かりやすかったです。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部――たとえば、食べられないものがあるんだったら食べられるように料理で改善していくというのも、スモールステップなんですね。平熱 ふりかけがないと白米が食べられないという子ども、少なくないですよね。それで、ふりかけをかけずに食べろと言うのはなかなかに厳しいこと。でも、スモールステップでだんだんふりかけの量を減らしていこうとしてみる。始めはふりかけ1袋を使ってたけど、次に3分の2で食べられるようになって、次は2分の1、3分の1…というステップで使うふりかけの量を減らしていく。これって、ふりかけの依存度を下げることなんです。これが0か100かの思考では、本当にしんどくなっちゃう。ふりかけはかけずに根性で食べろ、というやり方がこれまではびこり過ぎていたんだと思うんです。食べられる子どもはそれでいいけど、食べられなくてどんどん学校に行きづらくなってしまった子どももいるんだろうなと感じます。障害があるからできない?「思い込み」に気づくことを大事にしたいUpload By 発達ナビ編集部――「思い込み」や「無意識の線引き」について気づかせてくれる話題もすごく面白かったです。「当たり前」とはなんだろう、どうしてそう考えるのだろう、というところは、多くの人に「障害があるから○○だろう」などといった考えにも一石を投じるものですね。平熱 「エッチな本の隠し方を教えてください」っていう文面だけを見ると、男の子がエッチな本をお母さんから隠す話だと、いつの間にか思っちゃってる自分がいて、でも続きを読むとお母さんが持っているBL本を隠す話だったという。そうか、女の人がエッチな本を隠すという文脈だって全然あるのに、という気づきがあるわけですよね。できる・できないの線引きを、わたしたちは本当に無意識のうちにしているんです。それは障害があるからできなくて仕方ないよね、という目線にもつながってしまうかもしれないから気をつけたいです。別に障害があろうが、できることはできるし、しなきゃいけないことはしなきゃいけない。常になるべくフラットに物を見て、先入観なく、できることとできないことをしっかり見極めていきたいなとは思いますね。Upload By 発達ナビ編集部――そして「不機嫌で人をコントロールしない」ということは、特別支援教育に限らず、多くの人がハッとさせられる言葉だと感じました。Upload By 発達ナビ編集部平熱 「不機嫌でコントロールしない」は、わたしの大事な軸にしている考え方です。これは、保護者へというよりも、教育のプロとして現場に立っている先生には、強く伝えていきたいことです。親と子もそうだけど、先生と子どもたち、上司と部下の関係で、反撃されないと分かってる立場の人が、相手を不機嫌でコントロールしちゃうと、もうどうしようもない。威圧できる人が偉いというのはすごくずるいやり方だし、絶対に間違っています。――どうして、こういうことがさまざまな関係性で起こってくるのでしょう。平熱 不機嫌でコントロールする人は、間違った成功体験を重ねています。自分がイライラしていれば周りは言うことを聞いてくれて、相手を自分のいいようにできてしまう。そうなってしまう理由は、自分自身がされてきた経験でもあるだろうし、恐怖でコントロールする「成功例」を見て、体感してきたからでもあるでしょう。そうなると、子どもは不機嫌な人の言うことは聞いて、優しくて機嫌がいい人の言うことは聞かないということが起きてきちゃいます。人を不機嫌かどうか・怖いかどうかとかだけで判断してしまうようになる。正しいかどうかではなく、ゆがんだ要素で判断する子どもになってしまうんです。だから、「不機嫌でコントロールしない」をベースにして、子どもとフラットにやりとりしていきたいです。自分のことを知るスモールステップ――ところで、スモールステップの話に戻るのですが、これは自己分析にも使えるんですよね。自分が何をどうしたらうれしいのかとか、意外と分かっていなかったりするので。平熱 わたしもこの仕事を始めてから、いろんなことに気づくようになりましたね。自分でこういうことがうれしいんだ、こういう人が嫌なんだなとか。じゃあなぜこの人が嫌でこの人はいいのかをよく考えるようになり、だいぶ言語化できるようになってきました。こういう考え方は、実は障害あるなしは関係なくどんな人にも当てはまること。どうしてわたしはこれが苦手なんだろうとか、これができないのはなんでだろう、これが億劫なのはどうしてだろうということを分解していくと、「そうか、ここでつまずいてるんだ」ということや、「別に全部ができないわけじゃなくて、ここからここまではできていたんだ」とか、そういう気づきも実はあると思っています。そういう意味で、やっぱり特別支援教育は本当にいろんな人に役に立つんだと思いますね。自己肯定感の低い赤ちゃんはいない――分析して、自分自身も子どものことも周りのことも俯瞰して見て、フラットなところで見られるようになるというのが特別支援教育の考え方なんでしょうね。私も、長女(※重度の障害があり、特別支援教育を受けている)が生まれるまでは、そんなことを全然考えたこともなかったです。平熱 障害のある子どもたちって、周りが思ってるほど、自分のことを別にかわいそうなんて思っていないと、しょっちゅう感じるんですよね。障害がないとされてるわたしたちの方がよっぽど自己肯定感が低くて、よっぽど生きづらいんじゃないかと思うことは、本当によくあります。――自己肯定感は、つぶされなければ伸びる、ということも書かれていますね。Upload By 発達ナビ編集部平熱 自己肯定感が低い赤ちゃんって、多分いないですよね。それは、つぶされることがないから。赤ちゃんは基本的に、何かひとつできれば褒められます。失敗しても仕方ないと思われる。じゃあ、いつごろから自己肯定感が下がるようになるのかというと、比較されるようになるときからじゃないかと思うんです。「あの子はできるのに自分はできない」ということを、自分が認識する以上に周りに言われる場面が増えてくる。たとえば歌が好きで歌っていただけなのに音痴だと言われるとか。「あの子はできるのにどうしてあなたはできないの?」と言われて周りにつぶされてしまうのです。ひとまとめにするのはよくないですが、わたしの体感だけで言えば、中等部以降で特別支援学級から特別支援学校に来た生徒は、けっこう自己肯定感をつぶされてくることが多いと感じます。その一方で、小学部入学時から特別支援学校にいる子どもは、いい意味であんまり周りを気にしない子どもたちが多く、周りの子どもが好きなことに対してとやかく言わない。高等部の子どもが「戦隊もののヒーローが好き」と言ったら、一般的には「もう小さい子どもじゃないんだから」と言われてしまうところだけど、「カッコいいよね!」と言われる環境で育っていくんですよね。だから小学部からずっと特別支援学校に在籍していた子どもは、自己肯定感がそんなに低くないように見えます。周りの人ができているからわたしもできなくちゃ、なんて思う必要はないんです。昨日できなかったことが今日できたらそれを自分の中で褒めればいいだけなんだと、特別支援学校で教えてる中で思いますね。特別支援教育の話、日々のなかで気楽に読んでほしいUpload By 発達ナビ編集部――最後に、発達ナビ読者へのメッセージをお願いできますか?平熱 日々の仕事に家事にいろんな用事に、かつ、ちょっと育てづらいお子さんを育ててるというそれだけで、おそらく毎日パンパンだと思うんですよね、皆さん。時間的にもメンタル的にも体力的にも。そんな日常の中に、さらに新しい知識とか情報を入れるって本当に大変だと思います。この本は、どこから読んでもいいし、1見開きだけなら数十秒で読めます。なんの意味もないことも書いてますけど(笑)、役に立つこともたまには書いてると思うので、疲れているときにちょっと手にとって見てほしいし、イラストを見るだけでも息抜きになります。気づいたらつまんでいるお菓子くらいの読み方をしてもらえたらいいですね。むつかしい話、嫌いなんで!(笑)――今日はありがとうございました!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月02日おっとりキャラの末っ子、次男ウッシーヤの幼少期わが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。たとえば、末っ子の次男ウッシーヤは、牛のキャラクターです。これは彼がなにをしても動作がゆったりしているところを表現しています。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(※)わが家の当事者キャラクターは、外出のときは透明なヘルメットを身につけています。このヘルメットは「パニック対策の工夫」を表現しています。パニックになると呼吸困難のような状態になるので、ヘルメット=工夫で身を守っているという設定です。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ赤ちゃんのころのウッシーヤは、よく寝る子でした。あまりにも長い間、身動きひとつせずに寝ていることに、ふと気がつきました。私は急に不安になって、ティッシュペーパーを1枚つかむとベビーベッドに走りました。呼吸が止まっているのではないかと怖くなったのです。ウッシーヤの顔の前にティッシュをかざすと、小さく揺れるのが分かり、安心しました。私は安心のあまり、その場にへたりこみました。思わず「生きてて、よかったぁ」とひとりごとを言うと、夫がすぐ後ろに立っていることに気がつきました。ふと見あげると彼は恐怖で凍りついています。「頼むから、そんな心臓に悪い確認のしかたはやめてくれないかな」夫の真剣な顔を見て、つい苦笑してしまいました。発育がゆっくりすぎて不安がどんどん積み重なるその後、ウッシーヤはハイハイをして立ちあがり、よちよち歩きだし、少しずつ言葉が出るようになりました。でも1歳ごろになると、上の3人の子どもたちと比べて発育がゆっくりすぎるということが気になっていました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイウッシーヤは誰にでも抱っこをされるので、てっきり人見知りをしないタイプの子どもだと思いこんでいました。いまにして思えば、彼は緊張で固まっていたのです。私はウッシーヤの微妙な表情の変化に気づいていませんでした。また、ウッシーヤは喘息でした。でもゼーゼーと苦しそうにしながら、笑っているのです。小児科のお医者さんから「お母さん、気をつけてね。この子は、かなり苦しいはずなのに顔に出ないから」と言われました。でも忘れっぽい私は、気をつけることができませんでした。家族で食事をしているときは、子どもたちがそれぞれその日の出来事やテレビのことなどをおしゃべりして、にぎやかに過ごします。でもウッシーヤだけは会話に加わりません。様子を見ていると、幼いから会話に加われないというよりも、人と話すこと自体に関心がないように見えました。食事をしているとき以外は、ずっと指しゃぶりをしていました。指しゃぶりの間はずっと誰とも目が合わず、なにを考えているのか分かりませんでした。指しゃぶりをやめさせるために、ウッシーヤの指にカラシをぬったり、彼の好きな植物図鑑などで気を引いても効果がありませんでした。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ日がたつにつれ不安になってきた私は、保育園でウッシーヤを担当してくれていた保育士さんに「ウッシーヤは発達障害なのでは?」と質問してみました。なにしろ今から20年以上前のことなので情報もあまりなかったのです。すると保育士さんは少し考えてから「お母さん、きっと大丈夫ですよ」となだめるように答えました。その表情から、とにかく安心させてあげたいという気持がくみとれました。保育士さんの気配りには感謝でしたが、不安は消えませんでした。夫ラクマは広告マンとして独立開業したばかりで忙しくて、ほとんど子育てに関われませんでした。私も夫の仕事の手伝いをしなければならないはめになって、ますます忙しくなりました。ウッシーヤの発達のことは、すごく気になりながらも日々の生活に流されていました。いまにして思えば、子育てのSOSの出し方がまるで分かっていませんでした。もしいまの私が当時の自分にアドバイスをするとしたら、知人や友人に手あたりしだい相談するようにと言ってあげたいです。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ私と夫ラクマは、子どもの個性を尊重してくれる少人数制の学校を探し続けていました。というのも私は不登校になった経験があり、きっと子どもたちも人の多い学校は苦手ではないかと考えたからです。そんななか、保育園から高校までオールイングリッシュで教えてくれる、少人数制クラスの小さなミッションスクールを見つけ、4人の子ども全員を転校させました。長年思い描いてきた理想的な学校でした。ウッシーヤは当時3歳でした。いろいろな国からやってきた先生や生徒の中で、最初は肌の色の違う大人を見るだけで怖がって泣いていました。でも、きょうだいが全員一緒の学校なので、ウッシーヤが困っているときなどは、すぐにきょうだいが手助けできていました。たとえばウッシーヤが不安がって泣いているときは、すでに高校生になっていた長女ニャーイが助けに行くことができましたので、何とか過ごすことができていました。その後ウッシーヤが小学生になり、さらに困ったことが次々に起きるとは、このときは知る由もなかったのでした…。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:初川先生より)ご家族皆さんを動物のキャラクター化して語られていて、とても面白く拝読しました。それぞれの特性を客観視できているからこそのキャラクター化なのかなと感じます。さて、次男ウッシーヤくんの20年以上前の幼少期について、今の話であればそれが発達のつまずきのどんな状態か分かることは多くあるかもしれないですね。この20年の間で、発達障害や発達のつまずきについての認知度は飛躍的に伸びました。ただ、「子育てのSOSの出し方を知らない」のは、もしかしたら20年経ってもあまり変わっていない面はあるかもしれません。相談先が増えた、相談された側の知識が増えたのはあるにしても、どう相談したらいいのか、どうSOSを出していいのかは、忙しい子育てや仕事、家事の中で後回しになっていくこともあり、どうしたらいいか分からないと同じように感じている読者の方もいらっしゃるかもしれないですね。ワッシーナさんの助言は「手あたり次第に相談する」。これも1つのいい方法ですね。ウッシーヤくんが小学生になった後のお話も楽しみにしています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月01日学習障害・限局性学習症(LD・SLD)とは?学習障害・限局性学習症(LD・SLD)は、学習において困難さがみられる発達障害の一つです。学校教育が始まる就学期になって診断されることがほとんどですが、就学前の段階で言語の遅れや数えることの困難、書くことに必要である微細運動の困難などがあることでその兆候に気づかれることもあります。主な特徴・症状として・読むことやその内容を理解することの困難さ(読字障害/ディスレクシア)・書くことの困難さ(書字表出障害/ディスグラフィア)・数の理解や計算をすることの困難さなど(算数障害/ディスカリキュリア)の3つに分けることができます。医学的な診断基準とされるDSMでは「学習障害(LD)」とされていましたが、最新版のDSM-5では、名称が変更され、現在は「限局性学習障害/限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))」と定義されています。限局性学習障害の症状は医学的には「読み」「書き」「計算」の3つの困難さと定義されていますが、文部科学省では知的発達に遅れがないものの「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力の習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことと定義されています。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省学習障害・限局性学習症(LD・SLD)の原因は中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されています。しかし、全般的な知的発達に問題はなく、その他視覚障害、聴覚障害、情緒障害などや環境的な要因が直接的な原因ではありません。保護者の育て方や勉強の教え方などで子どもが学習障害・限局性学習症(LD・SLD)になることなどもありません。読むことやその内容を理解することの困難さ、書くことの困難さ、数の理解や計算をすることの困難さなどの、学習における困難さが、知的障害(知的発達症)によるものでないこと、経済的・環境的な要因によるものでないこと、神経疾患や視覚・聴覚の障害によるものではないこと、学習における面のみでの困難であること、という場合に限り診断されます。現在、学習障害・限局性学習症(LD・SLD)の根本的な治療法はありませんが、環境調整や療育などにより困難さが軽減されることがありますので、一人ひとりの症状や特性に応じた対処法が必要です。また、併存症としてADHD(注意欠如・多動症)や自閉スペクトラム症(ASD)を伴う場合も多く見られます。それらの要因を考慮した学習支援が必要となり、家庭・学校・医療関係者の連携が重要となります。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)タイプ別特徴チェックリスト、支援方法、接し方など学習障害・限局性学習症(LD・SLD)は読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3つに分けられます。それぞれの症状には個人差があります。読字障害(ディスレクシア)とは、文字を「読む」ことに困難がある状態のことを指します。読字障害、識字障害、読み書き障害、難読症などと呼ばれることもあります。文章を正確に読むことが難しい、すらすら読むことが難しい、読むことができても内容を理解することが難しいなどの困難を抱えることがあります。書字障害(ディスグラフィア)とは、文字を「書く」ことに困難がある状態のことを指します。文字をマスや行から大きくはみ出して書いたり、鏡文字になってしまうなどの症状が見られることがあります。算数障害(ディスカリキュリア)とは、算数や数式など「数字に関する能力」に困難がある状態のことを指します。数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手などの症状が見られることがあります。数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合が多いと言われています。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)のある子ども一人ひとりの特性に応じて、UDフォント(Universal Design Font:ユニバーサルデザインフォント )や音声ツールの使用、使いやすい文房具の工夫、ICTの活用など、さまざまな支援方法があります。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)のある子どもは知的発達に遅れがないため、自分自身に障害があると認識するのに時間がかかることがあります。また、本人の「できるようになりたいのにできない」という気持ちはとてもデリケートです。何気なくかけた言葉や行動が本人を傷つけてしまう場合もあるので、接し方には注意が必要です。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)と併存しやすい症状学習障害・限局性学習症(LD・SLD)に多い併存症としてADHD(注意欠如・多動症)や自閉スペクトラム症(ASD)が挙げられます。ADHD(注意欠如・多動症)は、話を集中して聞けない、作業が不正確、なくしものが多いといった「不注意」、体を絶えず動かす、離席する、おしゃべり、順番を待てないなどの「多動性」「衝動性」の特性があり、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム学習障害・限局性学習症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんのコラムを厳選してご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人の学習障害・限局性学習症(LD・SLD)関連コラム発達障害に関する情報が広く知られるようになったことで、大人になってから学習障害・限局性学習症(LD・SLD)と診断される方も増えてきました。症状には個人差も大きいので、その人の特性に合った仕事を探すことが重要になってきます。そのほかの学習障害・限局性学習症(LD・SLD)関連コラム。マンガで学習障害を解説/ビジョントレーニングとの関係/関わり方ポイントなどコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月31日場面緘黙疑い「支援センターに行くほどじゃない」と言われていた次女が「場面緘黙かも?」となったのは小学1年生のとき。担任の先生から・担任とはとても小さい声でしか話せない・お友達と話せない、コミュニケーションが無い・注目される場面で固まって動けないことがあるというお話があり、スクールカウンセラーと面談することに。そこで「場面緘黙かもしれません」というお話がありました。その後、小学2年生のときに新しい学校に転校しましたが、場面緘黙の症状は変わらずあったので、新しい学校のスクールカウンセラーに相談しました。Upload By まりまりそこでは、「学校に行けていて、勉強もできているから問題ない」とのことで、支援センターなどに相談したほうがいいか聞いたところ、「支援センターなどに行くほどではない」との判断でした。次女の状況は変わらず、ついに支援センターに行くことにただ、次女の症状は変わらず、進級のたびに担任の先生への引継ぎもなく、継続した支援を受けにくいという状況。小学2年生から通っていた児童精神科のカウンセリング担当の臨床心理士さんに相談したところ、「一度、発達支援センターに行ってみては」と勧められて、次女が小学4年生のときに、ついに支援センターに相談してみることにしたのでした。Upload By まりまり支援センターに行って言われたことさっそく!と思って支援センターに電話したところ、面談の予約が取れたのは1ヶ月先。待ちに待った面談でした。担当の公認心理師さんに、場面緘黙の診断が出ていることと、今までの経過を話して、困っていることを相談しました。しかし…Upload By まりまり「次女さん本当はお友達が欲しいと思ってないんじゃないですか?」「一人が好きなら一人で過ごしたほうが良いと思いますよ」「もう見守っていくしかないですよね」と言われてしまったのでした。場面緘黙についてはまだまだ正しく知られていない…?これまで、学校の先生やスクールカウンセラーにも同様のことを言われたことがあったので、「また同じようなことを言われてしまった…」という感じでした。場面緘黙について、ネットで調べたり、本を読んだりすると、決して一人が好きなわけではないことや、二次障害に苦しむこともあるので、早めの支援が必要なことが書いてあります。次女自身の話を聞いていても、話せなくて一人でいてつらい思いをしている…。Upload By まりまりなので、まだまだ場面緘黙についてあまり知られていないから、あのような発言になってしまうのかな…と思いました。使える支援について聞くことができたただ、利用できるサービスなどについては詳しく教えていただけました。私が住んでいる地域では、支援センターでの活動等は特になく、放課後等デイサービスとか、進級の際に担任の先生への説明に使える個別の支援シートなどがありました。次女はその後、学校との相談で、小学校の「ことばの教室」に通うことになったので、これらのサービスを利用することはありませんでしたが、こういう支援があると知ることができたのは、とても良かったと思います。支援センターに行ってみて場面緘黙が分かってからかなり時間がたったあとに支援センターに行ったのですが、思ったことは、「もっと早く行ければよかったな~」でした。面談では、思ったような言葉は得られなかったけど、相談先が増えたことや、使えるサービスについて分かっただけでも安心感につながりました。Upload By まりまりただ、小学生より、未就学児に対する支援のほうが充実しているので、もし、わが子の発達について気になることがあるのなら、早くから支援を受けられるように動いていくことが、すごく大事だなと思いました。執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙のあるお子さんの、支援センターに相談に行くまでと、行ってどうだったかについて教えてくださりありがとうございます。場面緘黙については、記事内でまりまりさんが教えてくださったように、お子さんに直接かかわる園や学校の現場での理解や対応がまちまちで、不十分なことも実際少なくありません。場面緘黙のあるお子さんは、ほとんどしゃべらなくても、一通りのその場で必要とされることをやりこなしてしまうので、大きな問題があるととらえてもらえないことがよくあるのです。でもその内心どう感じているかについては、一人ひとり違っています。場面緘黙のあるお子さんは、圧倒されやすかったり不安を抱きやすかったりする方が多いですし、そもそも学校という外の世界で、十分に表出できないというだけでとても不便ではあるはずです。しゃべれないだけでなく、行動が固まってしまうこともあります。できれば場面緘黙に詳しい専門家につながって、学校での対応等について相談できたほうが安全でしょう。またまりまりさんのように、インターネットや書籍等で、適切な情報にアクセスしておくのも大事ですね(場面緘黙の相談ができる専門家が近くにいるとは限らないので)。今回お聞かせいただいたエピソードでは、「支援センター」にも場面緘黙に詳しい専門家がいたわけではないようで、すでにインターネット等で知識を得ていたまりまりさんにとっては十分納得のいく相談にはならなかったようです。それでも、使える支援サービス等を知ることができたり、地域の支援センターにつながっておくことでもしかしたら学校のほうの対応がかわることも多少あったでしょうか。まりまりさんのエピソードのように、場面緘黙については相談する人によって、返ってくるアドバイスがまちまちなことはとてもよくあるので、おや?と思ったらまた機会を見て別の相談窓口にアクセスすることもよいことがあります。…というか、場面緘黙の理解が現場で広まっていくようにしないといけないのはやまやまですが…。今回のお話自体が啓発につながると思いますし、私自身もいろんな場所で場面緘黙についてもお話ししていけるようにしたいと思いました。ありがとうございました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月29日「ちょっとほかの子どもたちと違う?」幼稚園で感じた息子への違和感。でも園からの指摘はなし現在中1の長男は、幼稚園のころから「ちょっとほかの子どもたちと違う?」と思うことが多々ありました。例えば…・まわりの子どもが集団で闘いごっこをしているときに、一人か少人数で砂遊びや木登りをしている。・朝の会の時間に教室に入らず、ホールで遊んでいる。・園庭や公園で遊んでいるとき、ほかの子どもは「帰るよ。来ないと置いて行くよ」と言われると「置いてかないで」と慌ててお母さんのところに行くのに、息子は私の姿が見えなくなっても余裕で遊び続けている。・遠足など、本人も楽しんでいた行事が終わるとき、「全然楽しくなかった!初めからきたくなかった!」と言うことがある(最近本人に聞いたら、名残惜しい気持ちをこのように表現していたと教えてもらいました)。などです。こうした違和感は積み重なっていましたが、幼稚園の先生から何も言われませんでしたし、当時の私はこの違和感をしっかり言語化できる状態ではありませんでした。また、うちの学区の小学校には特別支援学級がなかったため、小学校は通常学級に入学することになったのです。自信喪失がきっかけ?小2の冬から不登校、そして通級へしかし長男は、小2の冬から不登校になりました。これといったきっかけは分からないのですが、強いて言えば、秋に教室で吐いてしまったこと、プリント系の習い事をしていたのですが問題が難しく解けなくなってしまい退塾したこと、また当時スイミングを始めたのですが、まわりの子どもたちのように泳げずやめてしまったことなどが続き、自信をなくしてしまっていたのかもしれません。そして不登校が続き進級した小3の始業式、長男は私と一緒なら登校することができました。その次の日は激しく抵抗しましたが、そのとき、外まで迎えに出てくれた先生に、「今日は帰っていい。その代わり明日は絶対おいで」と言われ、次の日は登校することができました。それから1年間、毎日、私は長男と一緒に学校へ行きました。Upload By ユーザー体験談長男は抵抗しても教室に入れば楽しそうに過ごしていたので、やがて学校での待機が必要なくなりました。帰りも一人で帰れるようになり、長男が教室に入ったら私はパートの仕事に行くようになりました。おそらく、小3になってクラス替えがあったのと、担任の先生が男の先生になったことで気分が変わったのかな、と思っています。とはいえ毎日送るのは大変で、4歳差の次男も一緒になって「保育園行きたくない」というので、仕事に遅刻することもたびたびありました。それでも、「幼稚園に入ってすぐに弟が産まれて甘えられなくなったから、今一緒に通うことで甘えたい気持ちを満たしているのかな」と思ってつき合いました。そして、登校ができるようになったタイミングで、長男は教育センターで知能検査を受けました。ほかの数値に比べて処理速度指標(PSI)が低い傾向にあるので、もしかしたら視覚情報の認識、記憶などが苦手だったり集中力がすぐに切れてしまうことが多く、勉強などに苦手意識を強く感じているのかもしれないと説明されました。診断はおりませんでしたが通級指導教室を勧められ、通っている学校には通級指導教室がなかったため、小3の2学期から他校の通級指導教室を週1回利用するようになりました。通級指導教室は「息抜きになればいいな」と思っていた程度でしたが、ここでは苦手な漢字を個別で指導してもらったり、得意なプログラミングをやらせてくれました。SST(ソーシャルスキルトレーニング)もできたらと思いましたが、ほかのお子さんたちと一緒に取り組む課題を出しても、協力してやることはできなかったと通級指導教室の先生から聞き、本人も前向きに取り組める個別指導中心でみてもらったほうがいいかなと私も考えるようになりました。コロナ休校明けに再び不登校、起立性調節障害との診断、そして学校に特別支援学級ができた登校が習慣づいたころ、新型コロナウイルス感染症による休校があり、その休校明け、小4になった長男は再び不登校になってしまいました。Upload By ユーザー体験談休校中の長男は、出された課題はそれなりにやっていました。それなのに、休校が明けたらその範囲をまた授業でやっていたようで、「家でやったことは意味がなかった」と感じてしまったようです。また、分散登校が終わったら密な状況になり、「三密を避ける」が徹底されていないこと、マスクをしっかりつけていないクラスメートがいることにも納得がいかなかったのだと思います。また、友人と遊ぶ約束をしても行ってみると誰もいなかったことが2回続いたり、下校中に転んだと膝を深く擦りむいて帰ってきたことがありました。本人は何も言いませんが、おそらく、友人関係で何かトラブルがあったのかもしれないと思っています。夏休み明けは朝起きられない日が出てきて、近所の小児科に行ったら「起立性調節障害でしょう」と言われました。行ったり休んだりを繰り返すうちに、私も夫も欠席の連絡をするのが苦痛になり、「無理に行かせなくていいんじゃないか」と思うようになり、行きたくない気持ちを受け入れる選択をしました。その後小5になったとき、次男が小学校に入学しました。そしてこのとき学校に特別支援学級ができたのです。次男も気になるところがあり、就学前に知能検査を受けていました。診断はおりなかったので通常学級に進んだのですが、週末の宿題に苦手意識のある作文が出されるようになり、この宿題を渡される金曜日ごとに休むようになってしまいました。そしてそのうち金曜日以外も行きたがらなくなりました。長男を追うように不登校になった次男…。私は二人をつれて、メンタルクリニックを受診しました。すると先生に、「二人とも診断をつけるなら自閉スペクトラム症(ASD)」と言われたのです。長男については「やっぱり」、次男については「ADHDかと思ってたけれど、自閉スペクトラム症なんだ」と思いました。ともあれ、診断がついて安心しました。これで支援が受けやすくなると思ったからです。その後、次男を特別支援学級に転籍させました。長男は特別支援学級に抵抗があると口にしていたのでそのまま通常学級に在籍しました。Upload By ユーザー体験談次男は特別支援学級に移ってからも気の向いたときや、参加したい行事のときだけ登校しています。初めは私が教室の中につき添っていましたが、次第に次男の席の横、教室の隅、教室の外と、つき添う場所をはなしていきました。今でも行く前は「面倒臭いなあ」と言われたりしますが、教室に着くと楽しそうにしています。長男は、自校に通わなくなっても通級指導教室だけは通い続けました。小6の後半、パソコンの授業なら参加するというので、自校の担任の先生がパソコンを使う時間を設定してくださり、その時間だけ参加しました。長男はパソコンが得意なので、ほかの子どもが息子の周りに集まり、その時間は長男も楽しそうでした。このときばかりは、「こんな風に学校を楽しんでもらいたい」と思う光景を見ることができましたが、授業が終わるやいなや、息子は給食も食べずにさっさと帰ってしまいました。「おれも初めからこのクラスがよかった」という発言に通常学級を選んだことを後悔…そして月日は流れ、長男が卒業間際のときのことです。私は、長男から忘れられない言葉を聞くことになりました。次男の過ごす特別支援学級を見て「おれも初めからこのクラスがよかった」と、ふと言ったのです。やっぱりこっちの方が合っているよね、初めに気がつかなくてごめんね、ずっと苦しかったね…。越境してでも、特別支援学級に入れればよかったかな、そんな思いが私の中に渦巻きました。違和感を無視しないで特別支援学級を選んでいたら、長男は不登校にならず、学校を楽しいと思えたかもしれない…今となっては正解は分かりませんが、とても考えさせられた出来事でした。Upload By ユーザー体験談現在の長男は、学区の中学校には行きたくないということで、私立の不登校特例校に籍を置き、主にオンラインで授業に参加しています。週1回は登校するようにと私や夫から言っており、今のところそれは守ってくれていますが、本人いわく「できれば週1回すら行きたくない」とのことです。私立中学在籍だと市の制度の通級指導教室は使えないそうで、今は通っていません。今後、できれば学校で楽しく過ごせるようになってほしい、学校が無理なら放課後等デイサービスや、オンライン上でもいいので仲間をつくって、人と関わることへの抵抗感が減るといいな、と親としては思っています。自分に自信を持って、得意を伸ばせたら、幸せな人生を送れそうな気がします。子どもたちには、幸せな人生を送ってほしいと心から願っています。イラスト/カタバミエピソード参考/ちゃいぬ(監修:新美先生より)少し後悔したエピソードをあえてお話しくださってありがとうございました。大人数の児童が一つの教室の中で全員ほぼ同じことをやるのが当たり前という現在の公教育の枠組みでは、さまざまな理由でその場所で学習したり生活することが苦しくなる、学校に合わないお子さんが一定数いるのはもはや当然のことだと思います。長男さんの7年余りの学校とのおつき合いの歴史をお伺いして、その都度一生懸命頑張っていた長男さんとそれに寄り添ってご苦労されたお母さまの様子が伝わり、涙しました。本当にお疲れ様です。通常学級の流れには何となく違和感を感じたり、ひそかにストレスをためてしまうお子さんが、心身疲弊して学校に行けなくなったり、それでもちょっとよくなるとまた頑張って登校して、再びストレスをためて疲弊してという繰り返しの日々を送るのは本当に苦しいです。そんな中で、自分らしさにフィットする通級指導教室の先生と出会えたのは長男さんにとって良かったですね。長男さんが、小学校卒業式間際に「おれも初めからこのクラスならよかった」とおっしゃられたとのこと。これはお母さまとしては後悔してしまう言葉だったかもしれません。この時期の長男さんの本音からの言葉だったとは思います。もっとスムーズに、本人のペースで過ごせる場につながっていたらというのは振り返れば思うことでしょう。そうはいっても、環境としてはベストじゃなかったとしても、長男さんとお母さまが、試行錯誤しながら過ごした6年間のなかで、長男さんご自身がさまざまに実感して、自身の糧として得られたものがたくさんあるのではないでしょうか。その経過があって自己理解が深まっているからこその「おれも初めからこのクラスならよかった」という言葉が長男さんから出てきたのかもしれません。支援者の側としては、今回のエピソードからも、本人に適した環境を早めにきちっと情報提供してつなげていかないといけないということについて、身を引き締めることは必要です。現在の長男さんが、不登校特例校でオンラインで授業を受けたり、週1回登校したりとマイペースに学校と付き合えているとうかがえてほっとしています。自分に合った環境を選んで、自分らしい生活をしていくなかで、信頼できる人間関係を増やしていけることを願っています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月28日「動くなら早い方がいい」と言われ、年中の2月に小学校へ初連絡現在11歳の息子は、3歳児健診で指摘されたことをきっかけに、保健センターで何度か新版K式発達検査を受けていました。その際に療育についても説明を受けていましたが、まだ早いのではと思っていた私。しかし、保育園の年中に上がるときに、「このまま年中クラスに上がるか、それとも、もう1年年少クラスで過ごすか、ご家族で考えていただけませんか?」と聞かれ、愕然。保育園の先生に助言されるくらい、息子の発達は遅れているのだと気づき、療育を受けようと決心しました。療育では、息子の発達支援だけでなく、保育園卒園後の進路についての情報も先生方から得ることができました。「動くなら早い方がいい」と言われた私は、すぐに行動に移しました。特別支援学級、通級指導教室の説明会、以前同じ療育園を利用されていた先輩ママさんの講演会などに積極的に参加。そして年長に上がる前の2月、初めて学区の小学校へ連絡、行事などが落ち着く6月くらいから校長先生との面談を開始しました。Upload By ユーザー体験談小学校入学まで、月1ペースで小学校の行事へ。特別支援学級の授業にも参加校長先生との面談では、主に家庭や保育園、療育での息子の様子をお話ししました。・発達が気になり始めた時期・言葉が遅い息子は通常学級での授業形態にはついていけないのではないかという不安・特別支援学級に入りたいことなど、進路の希望から、不安に感じていることまであふれるように話し続けてしまいましたが、校長先生はじっくりお話を聞いてくださいました。幸い特別支援に力を入れている小学校だったこともあり、参観日の見学や行事の参加など積極的に声をかけていただき、入学までほぼ月イチのペースで息子を連れて小学校へ行くことになりました。息子も小学校に慣れることができ、とてもありがたかったです。授業参観では、特別支援学級の見学をさせてもらったのですが、せっかくだからと息子も授業に参加!「韓国のおもちゃをつくって遊ぼう」という内容だったので、当時年長児だった息子も問題なくできました。教室で作業をする息子の姿を見て、おぼろげながら小学生になって学校で勉強する息子のイメージが浮かび、こみあげてくるものがありました。息子自身も、「小学生になったらこんな風に学校で過ごすのかな」と感じられたのではと思います。本当によい経験でした。おもちゃができ上がると、ほかの生徒たちと広い体育館へ移動。息子はとても楽しそうに走りまわっていました。その後、通常学級も見学をさせていただこうと思った私。当時の1年生に保育園で仲良くしてくれていたお子さんが何人かいたので、「その子たちが勉強している様子を見に行こうか」と息子に声をかけました。授業中ということもあってか、通常学級の教室は、にぎやかに工作に取り組んでいた特別支援学級とは大きく違いました。通常学級の教室に近づくにつれ、シーンと静まりかえった廊下を歩く息子は、ただならぬ様子を感じ、ぐずぐずと泣き始めてしまいました。たまたま各教室を見回っておられた校長先生に声をかけていただいて、すぐに特別支援学級の教室へと移動させていただきました。私は「あぁ、やっぱり息子は特別支援学級に行くほうがいいんだ…」と改めて感じた出来事となりました。Upload By ユーザー体験談また、そのほかの行事に参加させてもらったときにも、授業を体験させてもらった際の特別支援学級の先生が息子のことを覚えていてくれて、いろいろと気にかけていただきました。息子も何となく先生のことを覚えていたようで、うれしそうにしていたのも心強く感じました。わが家以外にも就学前のお子さんが学校行事に参加されていることはあったのですが、ほとんどが在学中の生徒のきょうだいでした。見学目的で参加していたのはうちだけだったと思いますが、いい経験をさせてもらえたので、早めにお願いして本当によかったと思っています。特別支援学級に入学し、成長していく息子。交流級では友達もでき、一緒に下校も息子は、予定通り特別支援学級へ入学しました。クラスは1年生の男子が2人、2年生の男子が1人と、近い年齢の子たちばかりで、かつ少人数だったのもあり、息子にとってとても過ごしやすい環境に恵まれました。担任の先生は、未就学児のときに息子を覚えてくださった先生とは違い、他校から異動で来られた先生だったのですが、前任校でも特別支援学級を担任されていたこともあり、とても慣れた様子。安心してお任せできました。ただ息子は、2年生の男の子に対してライバル心を抱くようになった時期がありました。その子のことを変なあだ名をつけて呼んだりしていたようで、その都度先生からお電話をいただきいろいろと話をさせていただいたものです。その対抗心もいつごろからか落ち着いてきたようで、今は仲良くしています。特別支援学級ということで、どうしても通常学級の子どもたちと関わることも少ないのですが、通っている学校では、特別支援学級の様子を通常学級の子どもたちにも知ってもらうという取り組みをしており、授業風景を撮った動画を、通常学級の子どもに見てもらう取り組みなどもあります。そのおかげもあるのか、通常学級の子どもたちからも、それなりに受け入れられている様子です。息子は、3年生からは理科、4年生から理科と体育などを交流級で受けるようになりました。みんなと協力しながら、実験などにも楽しく取り組んでいるようです。廊下で交流級の友達から声をかけてもらったりすることもあり、先日は一緒に下校したと教えてくれました。印象的だったのは、「総合」の交流級で点字について学ぶ際、よく気にかけてくれる友達が「一緒に点字でしりとりしよう」と声をかけてくれたんだと、うれしそうに教えてくれたことです。体育も、リレーやサッカーなどチームプレイが要求されるものも出てきましたが、教えてもらいながらがんばっているようです。Upload By ユーザー体験談見えてきた中学進学。候補をいくつか考え中です息子も11歳になり、今は中学進学をどうすればいいか頭を抱えています。第一候補は学区内の中学の特別支援学級なのですが、現在特別支援学級の様子も不明なので、通常学級+通級指導教室でもいけるのかどうか…と悩んでいるところです。Upload By ユーザー体験談母一人、子一人の家庭なので、今後は親なきあとのことも考えなければならなりません。息子には、しっかりと独り立ちをし、困ったときには周りの人に頼りながら生きていけるような人になってほしいと思っています。優しくユーモアもあり、何とも憎めない愛嬌のある子だと思うので、そこは失わず、楽しい人生を歩んでほしいと願うばかりです。イラスト/吉田いらこエピソード参考/あきっち(監修:新美先生)小学校に上がる前の、就学時の環境選びについて詳しくお聞かせいただきありがとうございました。発達の凸凹があったり、集団生活でストレスでかかりやすいお子さんの場合、年中後半ごろに就学に向けて動き始めるのはよいですね。ともすると、「だいぶ成長したから、あと1年経てばもっと成長して、もっとみんなと一緒にやれるようになるのではないか?」と先延ばしにしたくなることもあるかもしれませんが、保育園・幼稚園から小学校に入学するというのは、とてつもない大きな環境変化になります。幼稚園・保育園の集団生活で一定の期間大変だと感じたことがあったお子さんは、次の大きな環境変化で苦労する可能性はあるので、就学までの準備と引継ぎは通常よりも丁寧にやっていくほうが安心です。早い段階で見学や体験をすることで、小学校という環境でどのようなサポートが必要か必要じゃないか、じっくり見極められるのはとても良いと思います。ただ、時期については地域や学校によって、早すぎると見学や体験を受け入れていないところもあると思いますので、園や学校、教育委員会などに問い合わせて手順を踏んでいきましょう。ここ数年のうちに特別支援教育に関することは日進月歩に変化していて、そもそも親世代が小学生のころのイメージとは様変わりしています。実際見学に行ってみると、親のほうも具体的にイメージできるようになるかと思います。お子さんによって慣れない環境で不安になりやすい場合、見学や体験自体で不安を増長させて学校にネガティブなイメージを持ってしまうこともあります。慣れない場所が苦手なお子さんの場合は、見学や体験の内容自体をよく打ち合わせして、ご本人にしっかり見通しを示して参加されるとよいでしょう。見学や体験は可能な範囲で複数回行けると、いろんな場面が見られますね。とはいえ、お伺いしたエピソードでは、月1回という高頻度でさまざまな機会に学校に呼んでいただいたいて就学につなげてくれたようですが、近年は特別支援の希望者も増えて、思うようには進まないことも、実際にはあるかもしれません。実際の見学や体験については地域の学校の実情に合わせて相談してみることをおすすめします。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月27日聴覚過敏があるタケル音に過敏で、家の外から聞こえてくる車のクラクションや、排気音、家族が話している声にもいちいちイライラし、時には火のついたように泣いていたタケル。しかし、幼稚園に行くころには、自分が不快な音を聞いたときにひどく怒りを感じたり、泣いたりしていることに気づいたようです。イライラしてくると「何か嫌な音があるのかもしれない」と、自分でその場を離れたり、耳を塞いだりするようになりました。Upload By 寺島ヒロ調子が悪いといつもは平気な音でもダメになる何デシベル以上はダメとか決まっているわけではなく、ある程度の本人の調子の波があり、同じような音でも気にならないときと、気に障って仕方がないときがあるようです。例えば、私と夫が会話している場合、普段は目の前で話していても全く気にしていませんが、調子が悪いときには隣の部屋からでも「ちょっとうるさいよ!」と言ってきます。わが家ではこんなとき、タケルがつらくないよう会話を中断し、連絡事項があった場合はメールなどで伝達することにしています。癇癪を起こす息子に「それは理不尽だ!」なるべく息子に負担をかけないようにしようと心掛けている私ですが、「さすがにこれには…」と思う出来事がありました。息子は4〜5歳のころから眠れなくて困ったり、逆に起きようとしても身体が自在に動かなかったりと、睡眠に困難を抱えるようになりました。9時か10時ごろには布団に入るのに、それから深夜12時か1時まで眠れません。「本を読もうか?」「一緒に寝てあげようか?」などと声掛けしても「自分で眠れる!」と頑なに拒否します。私も夜は漫画の仕事をしていたので、あまり構っている余裕がなく、ふすま越しに隣の部屋で様子をうかがうだけでした。タケルは眠れないでいる間、ずっとゲームをプレイしているときの音楽と効果音を頭の中でリプレイして口ずさんでいます。声が聞こえなくなって、そっと見に行くと、疲れ果てて眠っているといった具合でした。Upload By 寺島ヒロその夜も、9時ごろには布団に入りましたが、全く眠気が来ていないようでした。そしてそろそろ深夜12時になろうかというころ、不意に唸るような声が聞こえてきました。耳を澄まして聞いてみると...どうやらタケルは泣いているようでした...!部屋に入って行って「どうした?キツい?熱測ろうか!」と言うと、タケルは真っ赤な顔でバタバタっと跳ねると「熱ない!うるさくて眠れないんだよ…!」と叫びました。うるさい?いえいえ、もう深夜ですから家の前に車は走ってないし、誰も喋っていませんよ?Upload By 寺島ヒロ背中をさすりながらしばらく話を聞いてみると、タケルは込みあげてくる自分の嗚咽の声が「不快」なのだと言うのです。なんと自分の声がうるさくて眠れなくてパニックになっていたのでした。眠れないプレッシャーで…真面目な性格のタケルは眠れないことを気に病んでいたのでしょう。そのせいで普段なら意識しない自分の声を「不快な音」として脳が捉えてしまったのかなと思いました。結局、その日は幼稚園は休んで良いことにして、一緒に紅茶をいれ夜のおやつを食べました。テーブルに着いたときはコップを持つ手が震えるほどでしたが、コップが空になるころには落ち着き、深夜3時ごろには笑顔で眠りにつくことができたのでした。執筆/寺島ヒロ(監修:初川先生より)タケルくんの聴覚過敏にまつわる「ちょっと面白い(?)」エピソードをありがとうございます。そうか、自分の声(嗚咽)がうるさく感じられて眠れなくなってしまったのですね。私もそのことだけ聞くと、なんと興味深いと思ってしまいますが、当時のタケルくんはそれで本当につらかったのでしょうから、興味深く思ったり、面白がったりしている場合ではないのかもしれないですが…。コンディションの良くないとき(おそらく体は疲れてたでしょうし、そんな状態のときも含め)は、自分の声すら引き金になってしまうのですね。さて、眠りに関して、うまく寝つけない場合、寝つけないことでより一層気持ちが焦ってしまうことなど、さまざま難しさを抱えているお子さんはいますね。生活リズムとして寝る時間はある程度一定にしたいし、ただ、眠くないのに寝ようとしてもつらいしといったところで悩まれる保護者の方も多いように感じます。発達に関する主治医の先生をお持ちの方はその方に、また、主治医がいなくても気になる場合は小児科でご相談されてもいいかもしれません。日中の過ごし方を工夫したり、寝る前にいわゆる入眠儀式としてルーティンを組むといった工夫をしたり。寝ること自体をどう捉えるかを話し合ってみたり(寝ないと幼稚園行けないよ!というルールだと余計焦ってしまうタイプの子もいるかもしれないですね)。いろいろと工夫できるところはあるかもしれませんが、それは長期的な話で、今夜明日どうするというところで言えば、翌日は幼稚園を休むことにしてまずはおだやかな時間を取られた(夜のおやつでほっと一息、気分転換した)とのこと、よかったです。調子の悪いときがあると、それがずっと続くのではないかなどの不安が保護者の方の頭をかすめることもあるとは思いますが、今はそういう時期かもしれないと付き合う(様子を見る)ことで変化していく場合もあります。しかしなかなか様子が変わらない場合は相談や受診をしてみましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月26日