自閉症のたつきくんは、家ではモリモリ食べるのに、発達支援センターの給食はまったく食べません。お母さんのNEGIさんはなんとか食べさせたくて、給食の時間だけ毎日通ってサポートしますが、たつきくんに変化はありませんでした。支援センターの先生とのやりとりで絶望的になることもありましたが、NEGIさんは諦めませんでした。ある日、じいじからもらった巨峰が家にあったので、NEGIさんは、たつきくんに差し出しました。けれども見たことのない食べ物を見たたつきくんは、拒否。たつきくんは見た目で判断して食べないこともあることを思い出し、NEGIさんは巨峰の皮をむいてみました。しかし、たつきくんはやっぱり食べません。 ところが、巨峰の汁が口元にくっつくと……!? 初めて拒絶していたものを… ※乳幼児にミニトマトやぶどうなどの球状のつるつるした食品を丸ごと食べさせると、窒息するリスクがあります。4等分にカットするなどして、よくかんで食べさせることが大切です。 ぶどうジュースは大好きだけれど、見た目の問題で家ですら巨峰が食べられなかったたつきくん。しかし、NEGIさんが口元に当てた巨峰の汁をなめたたつきくんは、味はぶどうだということがわかり、その流れで舌でぺろぺろと味を確かめ始めます。 そしてこの日、拒絶していた巨峰を初めて食べることに成功。 NEGIさんはそこで、 「給食を食べたくないわけではなく、本当は食べたいんだ」「このやり方で進めていけば給食も、もしかしたら……!」 自宅でできることも、場所が違うとできなくなるというのがたつきくんの特性でもありましたが、NEGIさんは一抹の期待を寄せました。 そんな中、ついに給食にぶどうが出る日がやってきたのです。 「食べることができたという経験によって、ぶどうだけは他の食べ物とは違う存在になっているんじゃないか……?」 と仮説を立てたNEGIさんは給食の時間、たつきくんと1時間向き合います。 しかしたつきくんは変わらず食べません。それどころかその場にいなければ、「ぶどうだよー」という先生の話も聞いていません。 「でも今日は! 今日だけは!! 諦めるわけにはいかない!!」と決心しているNEGIさん。 以前家で巨峰を食べられたとき、自ら“舐める”という小さな行動に移せたことで、結果たつきくんがぶどうのおいしさを覚えたはずだと考えました。 そして、そんなぶどうは家庭で食べても給食で食べても同じ味。だから、たまねぎ園で食べられるようになるには、ぶどうは近道なはずだと、すがる思いでねばります。 たつきくんの口元にNEGIさんがぶどうを近づけたとき、ぶどうはするんっと口をすり抜けて入っていきました。そして、たつきくんはすぐに飲み込んでしまいました。 ぶどうを口に入れた、舐めた、飲んだ(食べた)という経験を通して、たつきくんの「給食を食べない」というこだわりは崩れていきました。こうして、この日を境に、「給食を食べたい」という気持ちが芽生え、少しずつ給食を食べるようになっていったのでした。 長い間、「給食を食べない」というこだわりを持っていたたつきくん。NEGIさんがいろいろな角度から物事を考えて行動に移し、それを通してたつきくん自身が体験・経験していくことによって、たつきくん「給食を食べない」というこだわりから解かれることができました。どうにか打開策を見つけたいという一心で、辛抱強く見守ったNEGIさんの努力に脱帽です。子どもごとに特性や性格は違い、解決までの道のりもそれぞれ違うと思います。NEGIさんのように、周囲にも相談して力を借りること、そしてよく子どもを観察して見守る姿勢というのが大事なのかもしれませんね。 著者:マンガ家・イラストレーター NEGI知的障害を伴う自閉症長男との日常漫画を投稿中。Instagramやブログを中心に、過去と現在の話や日々のおもしろ話を描いてます!
2023年03月08日自閉症のたつきくんは、家ではモリモリ食べるのに、発達支援センターの給食はまったく食べません。給食の時間だけ毎日通うことにしたNEGIさん。園の専門士の話も聞きたいと考え、保育士に相談するも常にいるわけではないことを知りモヤモヤ……。たつきくんへの対応方法に行き詰まったNEGIさん。相談しようとした保育士さんからは、「お母さん、これからどうしますか?」と逆に問われ、NEGIさんは思い悩んでしまいました。しかし、別の視点からまだできることはあると考えて――!? 予約制ですぐには相談できない。……で、私はどうしたらいい? ※ここでは、「専門士」は小児専門の言語聴覚士・心理士・作業療法士のことをさしています。 ※乳幼児にミニトマトやぶどうなどの球状のつるつるした食品を丸ごと食べさせると、窒息するリスクがあります。4等分にカットするなどして、よくかんで食べさせることが大切です。「お母さん、どうしますか?」 先生から言われたこの言葉を、もう策が尽きたという意味だと解釈し、絶望的になってしまったNEGIさん。けれども、今いるのは「発達支援センター」なのだから、ほかにも策はあるだろうと考えました。 NEGIさんは、言語聴覚士などの専門家にも相談したいと思いましたが、予約は2週間ほど先になると知らされました。 たまねぎ園の入園前には、親子療育の現場に必ず専門士がいたことを目にしていたNEGIさんは少し違和感を覚えます。 発達や特性に詳しい専門的な視点から現場では見てもらえないものなのか……?「専門士は忙しい」という理由で……? 「思っていた療育とは違う」とNEGIさんはモヤモヤします。 そして、今、自分にできることはなにかを考えます。 「まだやれる事があるならやってみよう」 と、専門士の相談予約までの間に、自分なりに食べられる方法を試してみました。けれどもどれも、あまり効果はありませんでした。 しばらくして、予約していた言語聴覚士の先生が来てくれて、給食中のたつきくんの様子を見ながら相談をすることができました。 口の中の発達具合や食事形態の変更について提案をもらえたものの、それでもたつきくんが給食を食べることには繋がりませんでした。 2歳児健診では食欲旺盛すぎて太りすぎることを心配したこともあったほど、家ではよく食べるたつきくんを見ているNEGIさんは、複雑な気持ちに……。 ある日、家での食事のあと、じいじにもらった巨峰ぶどうがあることを思いだしたNEGIさん。デザートにと3粒お皿に用意しました。しかし、たつきくんは拒否! 昔、小さいぶどうは見たことがあったたつきくんですが、大きいぶどうを見るのは初めてでした。 NEGIさんは、たつきくんが、家でも食べ物の見た目で判断して食べないことがあったことに気づくのでした。 常に支援センターには小児専門の言語聴覚士・心理士・作業療法士などの専門スタッフがいると思っていたNEGIさん。思っていた療育が受けられないことにモヤモヤするものの、たつきくんのために、自分ができることを試そうとしました。NEGIさんの前向きさ、行動力はとても素敵ですね。そしてNEGIさんは巨峰ぶどうをきっかけに、家でもたつきくんは食べ物を見た目で判断していたことを思い出しましたん。小さな気付きに、たつきくんの不安要素を知る手がかりがありそうです。子どもをよく観察するということが、大切なのかもしれませんね。著者:マンガ家・イラストレーター NEGI知的障害を伴う自閉症長男との日常漫画を投稿中。Instagramやブログを中心に、過去と現在の話や日々のおもしろ話を描いてます!
2023年03月07日自閉症のたつきくんは、家ではモリモリ食べるのに、発達支援センターの給食はまったく食べません。お母さんのNEGIさんはなんとか食べさせたくて、給食の時間だけ毎日通うことに。けれどもまったく食べないたつきくん。NEGIさんは不安に襲われてしまって――?先生方がいろいろな工夫をしてくれましたが、たつきくんは食べないまま時が過ぎました。そして1カ月ほどたったある日、大好物のスイカが! けれどもたつきくんは手で払いのけてしまいます。その姿に、漠然とした不安に駆られてしまうNEGIさん。そこへ追い打ちをかけるように先生がNEGIさんに声をかけてきました。 先生が放った言葉とは……? お母さん、これからどうしますか? たつきくんは感覚的な問題で食べられないのであって偏食ではないと考えているNEGIさん。 「ほかで食べられるのであればそれでいい」「健康に問題があるわけじゃないし」 第三者にそう言われるなら、そうなのかもしれないと思っています。 けれど、NEGIさんは、スイカが大好きなたつきくんを知っていました。だからこそ、好きな物を食べられなくする自閉症のこだわりが、ただ、にくらしかったのです。 どうにかいつも通り食べられるようにしてあげたいNEGIさんは、たつきくんにとっての不安要素を取り除こうと考えます。 しかし「給食を食べない」ということがたつきくんの中でこだわりとなってしまっているたつきくん。 NEGIさんは、 「このままおなかが空いても通園の3年間食べないままだったら」「小・中学生になっても続いたら」「このこだわりはいつまで続くの……?」 などとわからないことが多すぎて、漠然とした不安に駆られてしまいます。 食べられるようになんとかしたいけれど、どうしたらいいかわからなかったNEGIさんは、母親として情けないと思いつつ先生に相談することに。すると、そう思った矢先に先生から声をかけられました。 「お母さん、(これから)どうしますか?」 未来を絶たれたような気持ちになってしまったNEGIさん。どうしたらいいのか私が聞きたい、と絶望的になったのでした……。 補足を読むと、実際にはこの先生の声掛けには続きがあったようですね。そしてやさしい先生のようです。きっと、このときNEGIさんは不安に駆られていたあまり、先生から質問をされて、突き放されたような感覚になってしまったのでしょうね。声をかける側は、相手の状況や気持ちを察して、声のかけ方やタイミングなどの工夫が必要なのだと、考えさせられますね。 著者:マンガ家・イラストレーター NEGI知的障害を伴う自閉症長男との日常漫画を投稿中。Instagramやブログを中心に、過去と現在の話や日々のおもしろ話を描いてます!
2023年03月06日自閉症のたつきくんは家ではモリモリ食べるのに、療育に通う発達支援センターではまったく食べません。食べてもらいたいと試行錯誤するお母さんのNEGIさん。どうにかして食べられるようにしたいNEGIさんは、漠然とした不安に駆られてしまい……。家では食べることが大好きなのに、発達支援センターでは給食を食べないというたつきくん。自分の目で見るまでは信じられないとの思いをもって、支援センターへ様子を見に行ったNEGIさんが目にした光景は……。 大好物のスイカなら…!? 給食を拒否し続けるたつきくんの様子を見にたまねぎ園へ通ったNEGIさん。家では食べることが大好きなたつきくんが、給食を拒否するなんて信じられなかったNEGIさんでしたが、実際に目の当たりにすることに。 たつきくんは、給食を食べるどころか、席にもついていない状態でした。 自閉症は、不安を抱いたり自信をなくすと、自分の中で落ち着くためのルーティンやこだわりが強くなったりするということを、以前医師から聞いていました。そんな状況をなんとか打開しようとNEGIさんは毎日たまねぎ園へ通うことに。 たまねぎ園は療育中、親も出入り自由で他の子どもたちも保護者が来ることには慣れている様子。そして、食事についての悩みがあるのはNEGIさん親子だけではないことがわかりました。NEGIさんが目の前にいる状態だと、席に座ったたつきくん。 これは食べてくれるんじゃないかと思うNEGIさんでしたが、30分以上ねばってもたつきくんが給食を食べることはありませんでした。先生は、たつきくんがいつも通り食べられるようにいろいろ工夫してくれました。しかし、食べない日が1カ月続き……。 夏を迎え、デザートにたつきくんの大好物スイカが出る日が訪れます。スイカさえ食べられたら、給食を食べる流れに持っていけるんじゃないかと希望を抱くNEGIさんでしたが、あえなく撃沈。たつきんはスイカを手で払い落としてしまったのでした……。 食事の時間はおいしく食べて、楽しく過ごしてほしいと、親としては思いますよね。NEGIさんとだったら家にいるような感覚に近くなって食べるのではないかと、NEGIさんは毎日支援センターへ通いました。しかし、たつきくんはどの食べ物も拒否。NEGIさんはチャンスと思った好物のスイカまではらいのけられてしまい、ショックだったのではないでしょうか。著者:マンガ家・イラストレーター NEGI知的障害を伴う自閉症長男との日常漫画を投稿中。Instagramやブログを中心に、過去と現在の話や日々のおもしろ話を描いてます!
2023年03月05日