世界的ベストセラーSF小説を実写化したドラマシリーズ「三体」の続編制作が決定した。“SF界のノーベル文学賞”と言われるヒューゴー賞をアジア圏の作品として初めて受賞した、劉慈欣による世界的ベストセラー小説を原作とする本作は、迫り来る異星文明の侵略に直面する人類を、時代・国境を越えて壮大に描き出す。配信開始後、3週連続でNetflix週間グローバルTOP10(英語シリーズ)の1位を獲得する快挙を果たし、世界93か国でTOP10入り。そして日本でも数週間にわたって、アニメや韓国ドラマが席捲する中で異色のTOP10入りを果たし、そのセンセーショナルでドラマティックなストーリー展開が大きな注目を集めた。続編のストーリーは未だ謎に包まれているが、引き続き製作総指揮を務めるデヴィッド・ベニオフ、D・B・ワイス、アレクサンダー・ウーは、共同コメントとして「この物語を壮大な結末まで語れるということにワクワクしています。劉慈欣氏の素晴らしい三部作の最後のページを読んだときから、私たちは観客を宇宙の果てまで連れて行けることを望んでいました。さあ、始めましょう!」と並々ならぬ意欲を見せており、地球の全人類が待ち望む続編に、大きな期待が寄せられる。SNSでも、「宇宙人襲来という古典的とも言えるSFながら、奇抜な襲来の仕方と斬新でアカデミックな人類の反撃が面白すぎて熱中」「素晴らしい内容と感動的なエンディングに思わず拍手」といったコメントが寄せられていた。“SF新時代到来”さえ予感させる、美しく荘厳、そして圧巻のスケールで物語が展開されるSF叙事詩の今後に注目だ。Netflixシリーズ「三体」はNetflixにて世界独占配信中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-
2024年05月16日SF戯曲『ロボット』が、2024年11月から12月にかけて東京・シアタートラムで上演されることが決定した。本作は、1920年にチェコの国民的作家・劇作家であるカレル・チャペックによって発表されたSF戯曲の金字塔。チャペックは「労働」を意味するチェコ語「robota(ロボタ)」から、「ロボット」という言葉を新たに生み出したと言われている。今回は卓越した発想力とユーモアで、独特の奇想天外な世界観を描き出す作風に定評のあるノゾエ征爾の潤色・演出により、シニカルかつ不条理なドラマとして転換し、現代の物語として届けられる。作品の舞台となるロッサム・ユニヴァーサル・ロボット社の社長ドミン役を渡辺いっけい、ドミン社長の妻にして、人権同盟代表としてロボットの地位の向上を訴えるヘレナ役を朝夏まなと、ロボットの反乱後、ただひとり残される人間であるロボット研究者アルキスト役を水田航生が演じる。またシアタートラムでの公演後、兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでツアー公演が予定されている。■潤色・演出:ノゾエ征爾 コメントこれは人間を批判するようなお話ではありません。幸せを求めるのも、進歩に邁進することもごく自然なことで、なんら悪いことではない。便利になるのは助かるし、苦労が減るのはありがたいかぎりだ。代わりに色々とやってくれるロボットが開発された?最高じゃないですか。でも、あまり幸せになった気持ちになれないのはなぜだろうか?幸せという感情は消えるようにできていると誰かが言っていた。確かにそうかもしれない。しかし、幸せを求める感情も消えないようにできているようだ(ただ、これまでと同じような求め方ではいけないことはそろそろ分かりつつ)。絶望と希望がぐるぐるする、このなんとも人間味溢れる物語を、この素晴らしい俳優さんたちでのぞめることがまずはとても幸せで、しかしやがて消えてしまうらしいこの幸福感を、観劇してくださる皆さまに繋げられることを願って、泥臭く挑みたく思います。■水田航生 コメント自然とは何か、不自然とは何か。生物は何を求め、何の為に生きているのか。そもそも「生物」とは何を指すのか。この『ロボット』を最初に読み終えた時、しばらくそんなことを考え込みました。この戯曲が生まれてから100年後を生きる自分が、何を感じどう表現出来るのか、役者として、そして一人間としての探究の日々が、ちょっぴりの怖さはあるものの、楽しみでなりません。演出のノゾエさん、素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんと稽古を通して沢山ディスカッションをして、その場で揺れ動く心を大切に、本番へ向け突き進んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!■朝夏まなと コメント憧れの劇場のひとつであるシアタートラムで、しかもノゾエ征爾さんの演出を受けられること、それを初めて共演する俳優さん方と取り組めることにワクワクしています!100年以上前に作られた、まるで今の時代を予知していたかのような『ロボット』という作品が、現代ではどのように描かれるのか、また男性たちを翻弄するという、自分とかけ離れていると感じる今までに経験のない役柄なので新たな自分に出会えるのも楽しみです。刺激を得てお芝居にどっぷり浸かって表現できるように頑張ります!■渡辺いっけい コメント百年前のこの戯曲、恐ろしいほど現代に突き刺さるその世界線もさることながら、劇的に絡み合っていく登場人物たちのその会話の熱量にまず驚かされました。面白い戯曲というのは演じるのが大変です。きっと悩みながら、台詞と格闘しながらの本番になる事でしょう。ノゾエ君には過去に何度も声を掛けて頂きながらご一緒する機会がありませんでした。しかし漸くご一緒できる作品がこんなにもアグレッシブな戯曲になるとは!しかも舞台では初共演の役者さんばかり……。身震いするほど初めてづくしのこの座組で「熱い冬」を、濃密に過ごしたいと思います。<公演情報>『ロボット』作:カレル・チャペック『ロボット』(海山社・栗栖茜訳)潤色・演出:ノゾエ征爾出演:水田航生 朝夏まなと/渡辺いっけい ほか『ロボット』チラシビジュアル日程:2024年11月~12月会場:東京・シアタートラム※兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでツアー公演あり。公式サイト:
2024年04月12日『300〈スリーハンドレッド〉』や『ジャスティス・リーグ』など、数々のヒット作を手掛けてきたザック・スナイダー監督。最新作は、黒澤明監督の名作『七人の侍』からインスパイアを受け、構想に20年以上かけたオリジナルSF超大作『REBEL MOON:パート1 炎の子』です。そこで、Netflixでの独占配信がスタートしたばかりの話題作について、こちらの方々にお話をうかがってきました。ソフィア・ブテラさん & エド・スクラインさん【映画、ときどき私】 vol. 626壮大な銀河を舞台に繰り広げられる本作で、すべてを支配する銀河の帝国“マザーワールド”にリベンジを誓った主人公コラを演じているのが、映画『キングスマン』に登場する義足の殺し屋でも知られるソフィアさん。そして、冷酷非道で血も涙もない“マザーワールド”の執行官であるノーブル提督をテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や映画『デッドプール』でも注目を集めたエドさんが演じています。今回は、劇中で激しいバトルを繰り広げるおふたりに、アクションシーンの裏側や現場での様子、そして影響を受けている日本のカルチャーなどについて語っていただきました。―本作では、何と言っても壮絶なアクションが見どころですが、ソフィアさんはダンサーでもあるので、そういった経験が生かされた部分もありましたか?ソフィアさんそうですね。ダンスにも格闘シーンにも振り付けがあるので、そういう意味で類似する部分はたくさんあると感じています。私の場合、学びのプロセスは見ることから始まるので、まずはスタントダブルの方がどういう動きをしているのかを観察するところから取り組みました。ちなみに、ダンスのときは特定のカウントで動いていますが、アクションのときに意識しているのはリズム。言葉で説明するのは難しいですが、頭のなかで「ダダダ、ダダ、ダ、ダダダ」みたいなリズムを感じながらアクションをしているんですよ。とても健全な環境で撮影に挑むことができた―面白い違いですね。対するエドさんも杖を持ちながらのアクションなど、難しさもあったのではないでしょうか。エドさん僕もスタントダブルの方に、いろいろと教えてもらうことは多かったです。なかでも、さまざまな開発に取り組んだのは、杖の持ち方。撮影で使っているものは軽い杖ですが、自宅でトレーニングする際には11キロ以上ある鉄の棒を使って練習しました。ちなみに、実はこの杖にもちゃんと意味合いがあって、絶滅してしまった動物の大腿骨を使っている杖という設定。希少価値の高いものが暴力の象徴となってしまっている様子を描いているそうです。そんなふうに、ザックはすべてに対して説明をしてくれるので、本当に素晴らしい監督だと思いました。―なるほど。細かいところにもこだわりが隠されているとは興味深いですね。ソフィアさんザックは創造性と才能に溢れた天才で、彼の熱意は毎日私たちにも伝わっていたので、とても健全な環境で撮影に挑むことができました。こういう作品で初めて主演を務めさせていただけてうれしかったです。主人公が女性ということもあって、視覚的にも美しい映像が詰まっている作品になっていると感じています。エドはキャラクターを見事に体現していた―また、劇中でのエドさんの見事な悪役ぶりには思わずこちらまでゾクッとしてしまいましたが、ソフィアさんから見たエドさんの素顔を教えてください。エドさんまずは、怖がらせてしまってごめんね!ソフィアさん彼はまさにこの通りの素敵な人ですよ(笑)。実は、エドとはこれまでに共演の話が5回くらいあったもののなかなかうまくいかず、今回ようやく一緒に演じることができたんです。彼は役作りとしてダイエットもしていたようですが、青白い肌と骨格がわかるような顔つきでキャラクターを見事に体現していると思いました。彼がそういう状態を作り上げてくれていたからこそ、私も本当に恐ろしさを感じました。エドさんソフィアのことも怖がらせていたみたいでごめんね(笑)。ソフィアさんでも、そこまで仕上げて役になりきってくれたおかげで、私は自分の緊張感やエネルギーをテイクの間でも維持し続けることができましたし、すんなりと役に入れてとても演じやすかったです。おそらくそういった部分は、画面にもはっきり出ていると思います。本人が考えている以上にエドは素晴らしいことをしていると私は感じました。いつか日本で撮影することが夢―また、ザック・スナイダー監督といえば日本の映画やポップカルチャーから大きな影響を受けている方ですが、おふたりも日本に関して興味を持っていることはありますか?ソフィアさん私が大好きなのは、やっぱり日本のアニメ。なかでも、『聖闘士星矢』や『ドラゴンボールZ』、『攻殻機動隊』、『獣兵衛忍風帖』、『AKIRA』、それから宮崎駿監督の作品などを観て育ちました。エドさん僕は大学で絵画を学んでいたのですが、その際に日本のアーティストから影響を受けたこともありました。大学時代には日本人の学生との共同制作で絵を作ったこともあり、その作品はいまでも大切に家に飾っています。また、僕はいろんな作品のワールドツアーで多くの国を回っていますが、そのなかでも日本が100%お気に入りの場所。みなさんの落ち着きや他人を尊重する気持ちは本当に素晴らしいので、「ほかにもこういう場所がもっとあればいいのに…」と思っているほどです(笑)。以前、日本で撮影するチャンスをもう少しで実現できそうだったこともありますが、いまでも日本での撮影は僕の夢。いつか役に立つ日が来るかもしれないと思って、剣道を学んでいるところです。何かを克服するときは自分のなかでも力を感じる―ぜひ、楽しみにしています!本作では反乱者たちによるリベンジが描かれていますが、もしご自身の人生のなかで何かにリベンジした経験などがあれば教えてください。ソフィアさん生きていると、人生のなかでさまざまなレベルで何かに立ち向かわなければいけないときってありますよね。「リベンジ」というほど強いものではありませんが、いろんなことを克服するときは自分のなかでもより力を感じる瞬間かなと。そういった経験は、これまでもたくさんしてきました。この作品で言うなら、物語やキャラクターを理解して、きちんと自分のものにすることが今回の私が成し遂げるべきことだったと思っています。それはまるでそびえ立つ山のようだったので、どうやってうまく登っていくかということを考えながら演じました。ネガティブな感情は最低限に抑えるようにしている―エドさんはリベンジされる側でしたが、いかがでしたか?エドさん僕は生涯を通して反抗的な理念を持っているような人間で、若い頃から反体制的な主義を掲げながら育ってきました。アンダーグラウンドやサブカルチャーといったものに興味を持ち、自分を非エリートだと思っているので、もし自分がこの作品のなかに実在していたら、きっと武器を持って戦いに出るタイプだったでしょうね!とはいえ、自分はリベンジや復讐といったものにはまったく共感していません。むしろ怒りや悔しさ、恨みといった感情はつねに自分の心から切り離すようにしているほど。それは自分のためだけでなく、相手にとってもそのほうがいいと考えているからであって、ネガティブな感情は最低限に抑えるようにしています。ただ、父親として3人の子どもたちにいろんなことを教える立場になった途端、自分が体制側の人間みたいだなと感じることは最近よくありますけどね(笑)。日本のみなさんとこの作品を共有できることがうれしい―それでは最後に、日本の観客に向けてひと言お願いします。ソフィアさんこの作品は、153日間というとても長い撮影期間をかけて作り上げました。ザック・スナイダー監督が先導してくれたこの映画をみなさんに観ていただけることをうれしく思っていますし、共有できることにすごく興奮しています。インタビューを終えてみて…。劇中では敵対関係にあるおふたりでしたが、撮影時には冗談を言って笑い合うなど、仲の良さが伝わってきたソフィアさんとエドさん。お互いへの信頼関係があったからこそ、激しくぶつかり合うことができたのだと感じました。クライマックスのなかで、最大の見どころでもあるおふたりの手に汗握るアクションシーンは必見です。圧倒的な映像に興奮が止まらない!無限に広がる銀河に誘われ、壮大な世界観と美しい映像が堪能できる本作。圧巻のアクションシーンはもちろん、アウトロー集団たちが繰り広げるドラマにも胸が熱くなること間違いなしです。写真・園山友基(ソフィア・ブテラ、エド・スクライン)取材、文・志村昌美ストーリー巨大帝国“マザーワールド”が支配する銀河。暗い過去から逃げてきた心優しい熱き戦士コラは、惑星の片隅にある平和な村で暮らしていた。ところがある日、帝国の刺客が突然現れ、侵略を開始。コラは侵害されてしまった村人の敵討ちのために立ち上がり、仲間を集める旅へと出ることに。コラが出会ったのは、顔色ひとつ変えずに復讐心を燃やす二刀流使いのネメシスや金でしか動かないクールな宇宙船パイロットのカイを始めとする団結とは無縁なアウトローたち。果たして、寄せ集めの〈チーム・レベルズ〉は冷酷非道で人間味ゼロの提督アティカス・ノーブルを倒し、悪の帝国へリベンジできるのか…。テンションが上がる予告編はこちら!作品情報Netflix映画『REBEL MOON — パート1: 炎の子』12月22日(金)世界独占配信写真・園山友基(ソフィア・ブテラ、エド・スクライン)
2023年12月22日12月9日(土)・10日(日) にWOWOWで放送・配信される『SF超大作「三体」』の第21話から第30話をもって、原作小説三部作のうち第一作の内容がついに完結。それに併せ、物語の中で重要な鍵となるVRゲーム「三体」の世界を体験できるVRコンテンツ『三体VR』が、12月9日12時に配信されることが決定した。本作で重要な鍵となるVRゲーム「三体」。主人公の汪淼(ワン・ミャオ)と史強(シー・チアン)は、このゲームの世界に入り、とある謎に挑もうとする。ゲーム内では、三つの太陽と荒廃した大地、近未来的なピラミッドや滅びた文明、そして“脱水”と“再水化”する人々など、想像をはるかに超えるSF世界が広がっており、原作小説でもドラマでも注目ポイントになっている。『三体VR』を手がけたのは、VR/XRコンテンツの配信プラットフォーム「Blinky」を手がける株式会社アルファコード。同社の高度なVR/XRの制作・配信技術により、目の前に広がる三体の世界をリアルに感じられ、汪淼たちの冒険の一部を体験することができる。また本コンテンツは無料で楽しむことができ、ヘッドマウントディスプレイはもちろん、スマートフォンやPCにも対応している。なお配信期間は2024年3月31日(日) までとなる。<番組情報>『SF超大作「三体」』第1話~第10話:WOWOWオンデマンドで配信中第11話~第20話:WOWOWオンデマンドで配信中第21話~第30話:12月9日(土)・10日(日) 12:00~『SF超大作「三体」』キービジュアル詳細はこちら: TECHNOLOGY BEIJING CO., LTD
2023年12月08日「藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ」シーズン1が、12月10日(日)より一挙放送されることが決定した。来春からは、BSでシーズン2の放送も決定している本シリーズは、ドラえもんの作者である藤子・F・不二雄が残した数々の傑作SF短編を実写化したドラマ。およそ半世紀も前に描かれていながら、まるで21世紀の世界を予見していたかのような物語は、いずれも人間の身勝手な欲望や恐ろしい本性を突き、不安に満ちた現代に生きる私たちの心をつかむ。また、1話15分完結というサイズも見やすい、珠玉の少し(S)不思議(F)なドラマだ。シーズン1は、「おれ、夕子」「メフィスト惨歌」「定年退食」「テレパ椎」「昨日のおれは今日の敵」「親子とりかえばや」「流血鬼」「どことなくなんとなく」「イヤなイヤなイヤな奴」の全9作品(全11回、2作は前後編あり)。水上恒司、富田望生、堀田真由、竜星涼、西野七瀬、増田貴久、浅利陽介、飯島寛騎、竹中直人らが出演している。「藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ」シーズン1は12月10日(日)1時25分~NHK総合テレビにて再放送(9日深夜)。(シネマカフェ編集部)
2023年12月07日各国映画祭で話題を呼んだダーク・ファンタジーSF『VESPER』が邦題『VESPER/ヴェスパー』として2024年1月に公開されることが決定。キービジュアルと特報映像が解禁された。生態系が壊れてしまった地球。一部の富裕層のみが城塞都市“シタデル”に暮らし、ほとんどの貧しい人々は危険な外の世界で僅かな資源を奪い合うように生活していた。そんな外の世界で、寝たきりの父と2人で暮らす13歳の少女ヴェスパーは、ある日危険な森の中で倒れている女性カメリアを発見する。シタデルの権力者の娘であるという彼女は、ともに墜落した飛行艇に乗っていた父親を探してほしいとヴェスパーに頼み込む。もしかするとシタデルへの道が拓けるかもしれない…。ヴェスパーは父の制止を振り切ってカメリアの頼みを聞き入れる。だが辺り一帯を支配する残忍なヴェスパーの叔父ヨナスもまた、墜落した飛行艇の行方を追っていた…。世界三大映ファンタスティック映画祭の一つブリュッセル国際映画祭で最高賞(金鴉賞)を受賞しただけでなく各国の映画祭を席巻、VAIERTYの批評では「まばゆいばかりに洗練された未来のおとぎ話」とも評されるなど高い評価を得た本作。映画批評サイト「Rotten Tomatoes」でも91%支持というハイスコアを獲得(2023年10月17日現在)し注目を浴びている。ヨーロッパ発のインディペンデント映画である本作を監督したのは、才気溢れるクリエイターコンビ、クリスティーナ・ブオジーテとブルーノ・サンペル。壮大なスケールと圧巻のVFXで、独創的かつ魅力的な世界を生み出した。主演を務めたのは、ティム・バートンの『ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち』、アカデミー賞受賞『博士と彼女のセオリー』など、若くして名だたる作品に出演経験のある新鋭ラフィエラ・チャップマン。今後ますますの活躍が期待されるチャップマンが、タイトルロールの”ヴェスパー”を熱演。ほかにも、エディ・マーサン、リチャード・ブレイクといった実力派キャストが出演する。この度解禁となった特報映像では、ヴェスパーを演じるチャップマンのイノセントな魅力と映像美の一旦を垣間見ることができる。併せて解禁となったポスタービジュアルは荒廃した大地に巨木のようにそびえる「城塞都市シタデル」の前で佇むヴェスパーのバックショットが描かれており、その独創的かつ壮大な世界観を感じさせるものとなっている。『VESPER/ヴェスパー』は2024年1月より、新宿バルト9ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2023年11月25日文:八木 奈々写真:後藤 祐樹“SF”ときいて皆さんは何を思い浮かべますか?映画でいえば“スターウォーズ”や“バック・トゥ・ザ・フューチャー”などが有名ですが、そんな圧倒的自由な非現実世界で繰り広げられるのがSFの世界の特徴です。どのストーリーも読めば読むほどに嫌でも惹き込まれてしまいます。ただ、興味はあっても小説だと最後まで読み切れるか不安で手を出せずにいるという声もよく聞きます。もったいない……。難解に思われがちなSF小説ですが、SFと一括りにいっても扱うテーマは多岐にわたり、なかには驚くほどサクッと読めるものも存在するのです。写真はイメージです。今回はSF好きな人はもちろん、初めての方にもおすすめのSF小説をより手に取りやすい“短編集”に絞ってご紹介させていただきます。まとまった読書時間がとれない人や集中して読むのが苦手な人でも短編集であれば気兼ねなく物語に浸ることができるはずです。1.星新一『ボッコちゃん』日本のSF作家の第一人者でもある、星新一のショートショート集。なんと作者自らが選んだ50もの作品がこの一冊に集約されています。荒んだ人間社会への皮肉や教訓、起こり得そうな未来にゾクッとしたり……かと思えばクスッと笑えたり。50年以上も前に書かれた作品とは思えない世界観と、想像できそうでできない結末に何度でも搔き乱されたくなります。一作一作の物語はかなり短いにも関わらず、展開が二転三転するスピード感とそのオチを理解した後にもう一度読まずにはいられなくなる表現力の高さに気づけたのは大人になってからでした。星新一、恐るべし。2.キム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』韓国人SF作家の初短編集。本作はコミュニケーションを主題に、コールドスリープやファーストコンタクト等SFの定番ネタを盛り込んで紡がれていきます。SF要素が強いのに不思議と物語に住む人たちは現在の私達とそれほど心持ちは違わず、親しみやすいのが印象的です。そう、なんといいますか、SF小説を読んでいたつもりが、いつのまにかどうしようもない現実に目を向けてしまっているような……一度読んだら癖になる面白い読書体験でした。もしこの物語の結末にあなたの心が動いたとしたら、現代で自分がすべきことは何か、“片手間に”考えてみてください。かなり引力のある作品なので読後の感情は自己責任でお願いします。3.倉田タカシ『あなたは月面に倒れている』短編でも強い刺激を感じたい人におすすめの作品。正直かなり変化球でぶっ飛んでいるお話も多いですが、SF特有の独特な世界観と特異な設定は健在です。読みながらも私は今何をしているのだろう……と我に返ったり、そうかと思えば背筋を伸ばして足早に読み進めてみたり、ときに独特な表現から脳内の配線に直接触れられたような感覚に陥ります。理解が追いつかないまま進む物語が苦手な人は少し読み疲れてしまうかもしれません。でも私はこの本を手に取った自分を誇りに思います。最後に、この短編集への敬意をこめて私が読後に抱いた感情を残します。「最高の時間の無駄遣いでした」。■SFの世界を味わうならまずは短編からいかがだったでしょうか? 今回の3作品からはあえて外しましたが私は12歳の頃、日本のSF作家、“筒井康隆”さんから小説の世界にグッと魅了されました。難解なイメージをもたれがちなSF小説ですが、一度その魅力にハマると心ごと掴まれ抜け出せなくなります。まずは忙しい合間にも手軽に読める短編から、SFの世界に飛び込んでみてください。■「TheBookNook」についてこの連載は、書評でもあり、“作者”とその周辺についてお話をする隔週の連載となります。書店とも図書館とも違う、ただの本好きの素人目線でお届けする今連載。「あまり本は買わない」「最近本はご無沙汰だなあ」という人にこそぜひ覗いていただきたいと私は考えています。一冊の本から始まる「新しい物語」。「TheBookNook」は“本と人との出会いの場”であり、そんな空間と時間を提供する連載でありたいと思っています。次回からはさらに多くの本を深く紹介していきますのでお楽しみに。↓八木奈々さんご紹介作品の購入はこちらから↓
2023年10月20日『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のギャレス・エドワーズ監督が、ジョン・デヴィッド・ワシントン、渡辺謙らをキャストに迎えたSF超大作『ザ・クリエイター/創造者』が明日から公開になる。本作は、超進化型AI(人工知能)と人類が争っている近未来を舞台に、元特殊部隊員の主人公ジョシュアと、最新AIを搭載した少女アルフィーが共に行動し、世界を揺るがす衝撃の真実に立ち向かう物語を描いている。本作の日本語吹替版では堀越麗禾が物語の鍵を握るアルフィーの声を演じている。彼女は、これまでの活動と同様、スクリーンの演技を何度も何度も観察して、アルフィーの感情を探っていったという。アルフィーは、主人公ジョシュアの“暗殺対象”として登場する。しかし、彼はある理由からアルフィーを殺すのではなく守り抜くと決め、ふたりの逃避行が始まる。アルフィーを演じたのは、オーディションで抜擢された新鋭マデリン・ユナ・ヴォイルズ。堀越麗禾は作品を観て、彼女の演技に圧倒されたと振り返る。「映画を観て、アルフィーを演じているマデリンさんの演技、セリフ、表情のすべてが心に刺さりました。本当にすごいお芝居だったので、この演技の声を私が演じさせていただくのか、と驚きでした。マデリンさんの演技はとにかく素晴らしかったですし、演技をしている時の表情がとても豊かだったので、どのシーンでも“アルフィーはどんな感情でしゃべっているのだろう?”とひとつひとつ探って、考えながらがんばって声の演技をしました」そこで彼女が力を入れたのが“観察”だ。堀越は“市川ぼたん”の名で舞踏家としても活動しているが、そこでも大事になるのは“よく見ること”だという。「踊りでも、まずはよく見て、その方が素晴らしいと思ったら、その方の“この部分を真似してみたいな”と思うようになります。父からも『すべての演技は観察からはじまる。とにかくよく見ること』と言われてきました。素敵なものを見て”憧れる”気持ちと、それを自分で“やってみたい”気持ちは両立します。だから素敵だと思うものは、よく見て、どのようにしてその表現になったのかを想像するんです」本作の収録では、ヴォイルズの声だけでなく、表情や佇まい、動きを繰り返し観察して、声の演技に生かしていったそうだ。「マデリンさんは表現する感情の幅も広いですし、表情が豊かなだけでなく、顔が見えなくても声だけで、どのような気持ちでいるのかが伝わってくるんです。一方で、はっきりとした感情の場面もあれば、どんな感情なのか想像しないといけないシーンもあって、その部分は演じていて難しかったです。でも、難しい演技はやっていく中で発見もあるので、大変だという気持ちはありません。むしろ、シーンによって違う声で演じることができたので楽しかったですし、完成した映画を観た時には、ふだんの自分の声とは違う声で喋っている場面があって、私はこんな声でも喋れるんだ、という驚きがありました」人類にとって“兵器”だと思われている少女アルフィーは、見た目は幼い女の子だ。彼女はジョシュアと出会い、行動を共にする中で大きな変化を遂げていき、彼女自身が抱えている“秘密”も明らかになっていく。「アルフィーは物語の中で少しずつ変化していって、たくさん喋るようになり、ジョシュアとも心が通じ合うようになっていきます。今回は、物語のほぼ順番の通りに声の収録をすることができたので、ひとつずつ演技をして、変化を確認することができました。その点では演じやすかったです」ちなみに堀越は「映画館で映画を観に行くことが大好き」だそうだが、そこでも“何度も見ること”を大事にしている、と笑顔を見せる。「本数をたくさん観ているわけではないのですが、理解を深めるために同じ映画を何度も観るのが好きです。『ザ・クリエイター』も何度か観たのですが、そのたびに“この感情やシーンは、こことつながっているんだ”という発見がありました。同じ映画を2度観ると、“最初に観たときはこんなにもたくさんのことを見落としていたんだ”と思うんです。この映画は、本当に迫力があって、“こんな映画をどうやったらつくれるのだろう?”って素直に思いました」『ザ・クリエイター/創造者』10月20日(金) 公開(C)2023 20th Century Studios
2023年10月19日実写ドラマ「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」のシーズン2が、来春に放送されることが決定した。「オバケのQ太郎(共著)」「パーマン」「キテレツ大百科」「エスパー魔美」など児童漫画の名作の数々を送り出す一方、大人をドキッとさせる刺激的でシュールな味わいのある「SF短編漫画」をもライフワークとし、110を超える名作を残した藤子・F・不二雄。4月から放送された本シリーズでは、そんなSF短編漫画の中から、「おれ、夕子」「メフィスト惨歌」「定年退食」「親子とりかえばや」「流血鬼」など計10作を12回(2作は前編後編あり)にわたって実写ドラマ化した。今回放送が決定したシーズン2では、8作品を放送する予定。そのうち、4作品を発表。「アン子 大いに怒る」不思議な能力をもった少女が家族の危機を救う「アン子 大いに怒る」、老人が謎の巨大な「鉄人」の主になる一晩の物語「鉄人をひろったよ」、浪人生が宇宙人からのとんでもない要求に振り回される「いけにえ」、タイムマシンを作ることに血道を上げる男と友人の物語「あいつのタイムマシン」。いずれもコミカルでありながら、時に人間の身勝手な欲望や恐ろしい本性を突くドキッとさせる物語で、意外な結末が待ち受けている。「いけにえ」また、6月にBSプレミアム、BS4Kにて放送された「どことなくなんとなく」、「イヤなイヤなイヤな奴(前編後編)」が、NHK総合・夜ドラで放送が決定した。「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」シーズン2は2024年春、NHKBS・BSP4Kにて放送予定。「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」シーズン1「どことなくなんとなく」は12月11日(月)22時45分~、「イヤなイヤなイヤな奴 前後編」は12月13日(水)前編、14日(木)後編22時45分~NHK総合にて放送。(シネマカフェ編集部)
2023年10月04日初心者にもおすすめ!想像力を刺激する「時空系エンタメ」をご紹介。時空モノ、つまりSFは、本から摂取するとなると、ハードルの高さを感じてしまう人もいるのでは?そこで「時空系エンタメ 小説編」は、SFファンはもちろん初心者にも親しみやすいラインナップに。アンソロジーやロマンスは、始めの一歩にぴったり。声優であり、日本SF作家クラブ前会長でもある池澤春菜さん。時空系入門編としてもおすすめの小説を紹介してもらうと、「“時空”で括ると膨大な作品数があるので、まずは“時間”で絞りましょう。そして入門編には、複数の作品が一冊にまとまっているアンソロジーが読みやすいと思います。1編が短く、すぐに読み切ることができ、合わなければ次にいくこともできるので。また、タイムトラベルは、ロマンスと相性がいいという側面もあります。『ロマンティック時間SF』というサブジャンルがあるほどなので、そういった恋心をくすぐるような作品から入るのも一手では」時空系エンタメの中でも、小説が映画やアニメと決定的に違うのは、ビジュアルがないところ。「そのぶん、より大きな世界を描けるのが、小説の魅力だと思います。読者も頭の中で、イメージをどんどん膨らませることができる。一番遠くまで連れてってくれるメディアが小説かもしれません」『夏への扉〔新版〕』ロバート・A・ハインライン 著福島正実 訳ハヤカワ文庫SF 924円タイムトラベル小説の王道。猫好きの人はなおさら必読。時間を行き来する小説を読むならまずはこれ、といわれるほど、SFファンに愛されている王道かつ不朽の名作。発明家のダンは親友と恋人に裏切られ、ある思惑から愛猫のピートと冷凍睡眠につくことを思いつくが…。「タイムトラベル小説の中には、科学性が強く難解なものもありますが、これは人間同士のドラマなど情緒的な物語がメインなので、普段SFを読まれない方もなじみやすいはず。それでいて、時間の移動により、元の世界の自分をいかに救うかなど、時空モノ特有の魅力も詰まっている。そして何より猫ちゃんがかわいいので、猫派にはたまらないのでは」『金色昔日【こんじきせきじつ】―現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ 編中原尚哉ほか 訳ハヤカワ文庫SF 1518円超大作『三体』にいく前に短編ではずみをつけよう。SFになじみはなくても、世界中で大ベストセラーとなっている中国の小説『三体』のタイトルを、聞いたことがある人は多いはず。「時空モノとしても『三体』は最高峰ですが、かなりの長編なので、入門編としてはハードルが高いかも。そこでおすすめしたいのが、『三体』の著者である劉慈欣(リュウ・ジキン)の短編『月の光』も収録された、現代中国SFアンソロジー。『月の光』は、ある男が未来の自分からかかってきた電話の指示に従い、未来を変えようとする物語。読者を思いがけないところまでぶっ飛ばしてくれる、劉慈欣作品の爽快感の一端が体感できます」『時間SF傑作選ここがウィネトカなら、きみはジュディ』大森 望 編テッド・チャン、クリストファー・プリーストほか 著ハヤカワ文庫SF 1034円本格的なハードSFの名手も耽美な切り口で軽やかに。SFマガジン創刊50周年記念アンソロジーという、タイムトラベル小説における選りすぐり間違いなしの一冊。「私がおすすめしたいのは、テッド・チャンの『商人と錬金術師の門』。彼はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画『メッセージ』の原作となった小説『あなたの人生の物語』の著者で、バリバリのエンジニア系のハードSFを書くことで知られています。そんな中でも『商人と錬金術師の門』は、アラビアンナイトの世界を舞台にしたロマンティックな物語。もちろん現代物理学に矛盾なく、タイムトラベルの醍醐味を軽やかに味わえます」『時の娘ロマンティック時間SF傑作選』ジャック・フィニイ、ロバート・F・ヤングほか 著中村 融 編創元SF文庫 1012円時間SF×ロマンティックの相性のよさが堪能できる。時間SFにロマンスが掛け合わさった小説の傑作選。このジャンルの名手であるジャック・フィニイやロバート・F・ヤングなどの、9編の短編が収録されている。「この中でとくに読んでもらいたいのは、やはりロバート・F・ヤング。『時が新しかったころ』という、恐竜の調査をするため白亜紀にタイムトリップをした男性の物語です。そこで彼は、その時代にいるはずのない人間の男の子と女の子に出会って…。これがどこでロマンティックに繋がるかというところが、この作品のキモ。最後に大どんでん返しがあり、それに気づいた時に“キュン”となります」『タイム・リーパー』大原まり子 著ハヤカワ文庫JA 847円(電子書籍版)空飛ぶ車あり、超能力あり。“未来”の2018年へトリップ。1988年、銀行員の徹は、恋人の目の前で交通事故に遭い、目覚めるとそこは30年後の2018年で…。「2023年の今となっては、2018年は過去の世界。でも、作品の中では、車が空を飛び、機械の体が無限のパワーを持ち、超能力が一般化している。それだけにとどまらず、世界はさらに広がり、複雑で美しい構成を見せます。一方で、時を超え、不可能を可能にすることができても、どうしても変えられないものがある。だからこそ愛おしいものは何か、読みながら考えてみてほしい。大原まり子さんはこうした世界観を、大胆かつ繊細に描くところが魅力です」時間旅行者(タイムトラベラー)の系譜『紅玉(ルビー)は終わりにして始まり』ケルスティン・ギア 著遠山明子 訳創元推理文庫 1078円胸キュン満載で乙女心がジェットコースター状態!グウェンドリンは、ロンドンのハイスクールに通う女の子。タイムトラベラーの遺伝子を持つ一族に生まれたが、その能力がいつ開花してもいいように準備にいそしんでいたのは、いとこのシャーロット。ところが、何の準備もしていないグウェンドリンのほうが、過去に飛ばされてしまい…。「基本的にはヤングアダルトなので、キュンキュンする展開が満載です。飛ばされた先でギデオンという美男子に出会いますが、自信過剰で第一印象は最悪。そこから少しずつ恋心が芽生え…。三部作、全4巻の中で、謎あり、ロマンスあり、冒険活劇あり。とても楽しい作品です」『青玉は光り輝く』ケルスティン・ギア 著遠山明子 訳創元推理文庫 1210円『比類なき翠玉』(上・下)ケルスティン・ギア 著遠山明子 訳創元推理文庫 各968円『時の町の伝説』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 著田中薫子 訳徳間書店 1870円人違いされた少女の運命は?広げた風呂敷の畳み方が見事。主人公は11歳のヴィヴィアン。1939年、彼女は疎開列車に乗っていたが、「時の町」の破滅を招くという伝説の女性「時の奥方」と間違われて、不思議な少年にさらわれてしまう。「作者のダイアナ・ウィン・ジョーンズは非常に優れた児童文学作家で、日本では『ハウルの動く城』の原作者というとわかる人も多いのでは。本作の舞台となる『時の町』には、甲冑姿の人や未来人など、いろんな時の人が存在します。そこで秘密をめぐるドタバタなどが巻き起こり、こんなに風呂敷を広げて大丈夫!?と思いきや、きれいに畳んでくれるところが気持ちいい。一気読み必至です」『ドゥームズデイ・ブック』(上・下)コニー・ウィリス 著大森 望 訳ハヤカワ文庫SF 各1210円過去の世界でウイルスに感染!無事、現代に戻れるのか…。オックスフォード大学史学部の学生キヴリンは、実習の一環として念願の14世紀にタイムスリップ。しかしそこは、疫病が蔓延するなどイギリス史の中でも最も危険とされる時代。彼女は到着と同時に、病に倒れてしまう。「コニー・ウィリスの作品は、時間を行ったり来たりするドタバタが多いのですが、本作はわりと深刻。『ドゥームズデイ』とは、『最後の審判の日』という意味です。ウイルスに感染したキヴリンは現代に戻ろうとするものの、そちらでもトラブルがあり、戻るに戻れない。コロナ禍を経験した今読むと、その緊迫感が一層身に染みるのではないでしょうか」池澤春菜さん声優。代表作は『ONE PIECE』のケイミー、『ふたりはプリキュア』のポルンなど。読書家としても知られる。著書に『SFのSは、ステキのS+』(早川書房)。※『anan』2023年10月4日号より。取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2023年09月30日空想の世界を描く、サイエンスフィクション(以下、SF)映画に心躍らせたことがある人は多いのではないでしょうか。宇宙や近未来などを題材にしている映画は、日常とはまったく違う世界観が描かれていて、ワクワクするものです。そんな中、X(Twitter)に投稿された1枚の写真が「とてつもないSF感」と話題になっています。こちらをご覧ください。「写真を撮る瞬間にブレて、なんか『エラいこと』になりました」こうコメントしたのは、車が趣味だというHitoki(@FZR400RR3TJ1)さん。愛車の写真を撮ろうとしたところ、手元がブレてしまい、このような仕上がりになったといいます。ビームのように上へと伸びる、LEDヘッドライトの光。宇宙船のようにも見えるスポーツカーの形状が、いっそう『それっぽさ』を引き立てていますね…!Hitokiさん自身も「どうやって撮ったのかを、ちゃんと分かっていない」という、再現性ほぼゼロな『奇跡の1枚』には、たくさんのコメントが寄せられました。・撮ろうと思っても、なかなかここまでうまくはいかない。かっこよくて、面白い写真!・まるで、サイバーパンクの世界。何か転送されている…?・ゲームのプレイ画面をスクリーンショットしたのかと思った。これ、絶対にUFOがロックオンしているやつだ!・映画『トランスフォーマー』シリーズのキャラクターみたいに、この後、人型に変形しそう。多くの人々の好奇心をくすぐった、Hitokiさんの写真。SFの世界は、実は思ったよりも身近にあるかもしれませんね…![文・構成/grape編集部]
2023年09月28日10月7日(土) よりWOWOWで日本初放送・配信されるドラマ『SF超大作「三体」』の予告映像が公開された。『三体』は、“SF界のノーベル文学賞”といわれるヒューゴー賞の長編部門をアジア圏作品として初受賞し、世界累計発行部数2,900万部を突破したSF小説を原作とした実写ドラマ。2023年1月に中国の配信プラットフォーム“テンセントビデオ”で配信されると、配信開始1時間で話題性の高さを表わす“熱度指数”が同プラットフォーム史上最速で2万超えを記録し、“ホットランキング”でも30日連続でランキング1位を独占。さらに評価参加数が過去最高となる220万を突破し、記録的ヒットとなった。物語の始まりは、相次ぐ科学者たちの自殺。一連の自殺の陰に潜む学術組織“科学境界(フロンティア)”への潜入を依頼されたナノ素材(マテリアル)の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、科学境界の“主”を探るべく、警官・史強(シー・チアン)とともに異星が舞台のVRゲーム『三体』の世界に入る――。公開された60秒の映像は、最新技術を駆使して作り上げられたハイクオリティな映像と、壮大なスケールで描かれる本作の世界感が垣間見える内容となっている。『SF超大作「三体」』予告映像<番組情報>『SF超大作「三体」』10月~WOWOWで放送・配信予定『SF超大作「三体」』キービジュアル【ラインナップ】第1話~第10話:10月7日(土)・8日(日) 放送・配信予定(第1話無料放送/期間限定無料配信)第11話~第20話:11月放送・配信予定第21話~第30話:12月放送・配信予定詳細はこちら: TECHNOLOGY BEIJING CO., LTD
2023年09月07日読書家であり、これまでに数々のSF小説を読んできたというティモンディの前田裕太さん。世界中で一大ムーブメントを起こし、Netflixでの実写化も話題の『三体』をはじめとするSF小説の魅力を語ってくれました。理論に基づいた現実にありそうな物語が好き。――最初に触れたSF作品は何でしたか?筒井康隆先生の『時をかける少女』です。先にアニメを見ていたのですが、僕が好きな『現代語裏辞典』を書いている人が原作者なんだと知り、興味が湧いて読みました。すると、科学的な裏付けや人間ドラマが熱く描かれていて楽しくて。それが高校3年生くらいの時でした。――前田さんが思うSF作品の魅力とはどんなものでしょうか。幼少期には『ハリー・ポッター』や『バーティミアス』などファンタジー作品を読んでいたんですけど、SF作品は、“F=フィクション”に“S=サイエンス”がついているように、理論や理屈があって作られた“本当にあるかもしれない”と思わせてくれるストーリーが面白いです。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の世界が近づいてきた時に似たワクワク感があるというか。しかも、毎年、さまざまなSF作品が発表されますから、“ようやくあの作品の世界に現実が近づいてきた”と思っていた矢先に、さらに想像を超えた新しいアイデアで描かれた作品が登場するから、結局、いつまでも追いつけない。追いかけても手に入らない好きな人、みたいな魅力もあります(笑)。――近年、中国の作家・劉慈欣の手がけた『三体』シリーズが、世界で大きな話題になっています。バラク・オバマ元米大統領がスピーチで『三体』の話をしているのを聞いて読んでみたら、とんでもなかったです。まさに、出合えて嬉しい作品ですね。『三体』は3部作で、1部が『三体』、2部が『三体II 黒暗森林』、3部が『三体III 死神永生』となっています。それぞれに異なるSFのいいところがグッと色濃く出ていて。1部は歴史を絡めた少し難解な部分があり、2部と3部に関しては、SF要素と、激しいバトルシーンが登場するなどエンターテインメント性が増していきます。1部を読んだ後に、これを超える作品はあるのだろうかと思っていたら、2部で軽く超え、さらに3部でも超えていったので恐ろしいなと思いました。3部の途中からうれションが止まらなくなり(笑)、読み終わった後は30分くらい放心状態になって現実に戻ってこられませんでした。人間の脳みそが、ここまで面白くて楽しいものを考えつくんだなと。想像を裏切るとかではなく、誰も想像のつかない展開が繰り広げられる。つまり、全読者が1000%裏切られるし、リアリティゆえのゾッとする感じも体験できる。エンターテインメント性の高いSF作品の中でもトップクラスに面白いです。世界中のファンたちがこぞって二次創作をしていますが、作品の余白の部分を自分なりに想像して楽しめる、“はかどる”作品でもあると思います。二次創作が熱いというのは、元の作品が最高だという証拠でもありますから。『三体』の出版社が、二次創作作品の中から「これは公式と言っていい」というものにお墨付きを与え、『三体X 観想之宙』として出版しているのも面白いです。――日本でここまで人気になった理由は何だと考えますか?作者の劉慈欣先生は、検閲のために日本の作品を読むことが難しかった時代が終わったタイミングで、小松左京先生の『日本沈没』や、星新一先生の作品に触れ、日本にこんなに面白い作品があるんだと思ったそうで。『三体』の源流を辿ると、日本のSF作品にインスピレーションを受けた部分があることは間違いないとも公言しています。だから日本人は、『三体』で描かれているものに馴染みがないわけではなく、作中で起こる突飛な出来事に対しても、“意味がわからない”で終わらない何かがあると思います。日本のSF黄金世代の源流を濃縮し、劉慈欣先生の味付けをした、エンターテインメントの原液みたいなものが『三体』ではないでしょうか。――内容や言葉が難解で、途中で止まっているという人も少なくありません。前田さんはどのようにして読んでいったのでしょう?結構、いろいろな部分を読み飛ばしながら読みましたね。科学的な部分は本当に何を言っているかわからないところも多く、最初は理解しようと頑張って調べたりもしましたが、個人的には“調べたとて…”くらいだったんです。何度も繰り返し読んでいますが、ちゃんと理解している理論は2割くらいしかないし、それでもめちゃくちゃ楽しめます。難解な部分は、物語の展開に根拠や裏付けがあるよ、適当なことを言っているわけじゃないよ、と伝える時間だと考えています。思っているよりも適当に読んでいいと思いますよ。翻訳をしている大森望先生ですら、「読み飛ばしてますよ」と言っていますから(笑)。登場人物たちの名前も難しいと感じるかもしれませんが、極論を言うと、物語が壮大すぎて一回しか名前の出てこない人もたくさんいます。そういう人は“誰だっけ?”のままでよく、“よく出てくるな”という人だけ覚えておけばいいのかなと。本に主要人物の名前が書かれた小さな冊子が付いているので、気になった人がいたらそれを見れば大丈夫。“地球の歴史で考えたら一人一人の名前なんて覚えられない”くらいの気持ちでいてください(笑)。――ついに実写化もされます。こんな面白い発想や壮大な世界が実写映像化できるのか、どのように描くんだろうか、と思いました。世界中に多くのファンがいるということはプレッシャーもすごいでしょうし、制作側の腕も試されるでしょうし。でも、SF小説を実写化した作品を見ると、本では難解で不明瞭だった描写が、映像で見るとすぐにわかることも多くて。たとえば、「重力に耐えるために接合部分がどうのこうの~」みたいな表現が、映像では部品を映して終わりとか。『三体』も、小説では“わかる人にはわかる”だった部分を、視覚表現によってみんなが理解できるものにしてくれそうだという期待があります。100%、楽しみです!『三体』アジア初のヒューゴー賞受賞作。文化革命で父を亡くし、人類に絶望した女性科学者の葉文潔は、宇宙に向けて電波を発信、それが惑星「三体」の異星人に届く。すると彼らは地球への侵略活動を開始、とんでもない災厄に襲われることになる。『三体II 黒暗森林』『三体III 死神永生』と続く3部作。実写版がNetflixで来年1月から配信予定。劉慈欣 著立原透耶 監修大森望、光吉さくら、ワン・チャイ 訳早川書房まえだ・ゆうた1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。芸人。『ハレバレティモンディ』(札幌テレビ)、『天才てれびくん』(NHK Eテレ)、ラジオ『ティモンディの決起集会』(FM愛媛)などにレギュラー出演中。エッセイの連載も。※『anan』2023年8月30日号より。写真・小笠原真紀取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2023年08月27日「SF界のノーベル文学賞」といわれるヒューゴー賞の長編部門をアジア圏作品として初受賞した世界的大ベストセラー「三体」が映像化、超大作SFドラマをWOWOWで日本独占初放送・配信する。2007年、北京オリンピック開催間近の中国。ナノ素材(マテリアル)の研究者ワン・ミャオは、突然訪ねてきた警官シー・チアンによって正体不明の秘密会議に招集される。そこで世界各地で相次ぐ科学者の自殺、そして知り合いの女性物理学者の死を知らされたワン・ミャオ。一連の自殺の陰に潜む学術組織“科学境界(フロンティア)”への潜入を依頼された彼は、科学境界の“主”を探るべく、史強とともに異星が舞台のVRゲーム「三体」の世界に入るが、そこにはある秘密が…。SF超大作ドラマ「三体」は、2023年1月に中国の配信プラットフォーム“テンセントビデオ”で配信。配信開始1時間で話題性の高さを表わす“熱度指数”が同プラットフォーム史上最速で2万超えを記録し、“ホットランキング”でも30日連続でランキング1位を独占。さらに評価参加数が過去最高となる220万を突破し、記録的ヒットとなった作品。脚本執筆に4年、撮影に126日間、最新の映像技術を駆使して映像化不可能ともいわれた原作の世界観を忠実に再現した驚異的なクオリティーに、視聴者からは絶賛の声があがった。謎が謎を呼ぶ予想のつかないサスペンス展開と、人類に迫り来る巨大な危機に立ち向かう重厚な人間ドラマも見どころとなっている。SF超大作「三体」は10月7日(土)・8日(日)に第1~10話、11月に第11~20話、12月に第21~30話とWOWOWにて3か月連続放送・配信(第1話無料放送/期間限定無料配信)。(シネマカフェ編集部)
2023年08月17日『SF超大作「三体」』が、10月から12月にかけてWOWOWで日本初放送・配信されることが決定した。『三体』は、“SF界のノーベル文学賞”といわれるヒューゴー賞の長編部門をアジア圏作品として初受賞し、世界累計発行部数2,900万部を突破したSF小説を原作とした実写ドラマ。2023 年1月に中国の配信プラットフォーム“テンセントビデオ”で配信された作品で、配信開始1時間で話題性の高さを表わす“熱度指数”が同プラットフォーム史上最速で2万超えを記録し、“ホットランキング”でも30日連続でランキング1位を独占。さらに評価参加数が過去最高となる220万を突破し、記録的ヒットとなった。2007年、北京オリンピック開催間近の中国。ナノ素材(マテリアル)の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、突然訪ねてきた警官・史強(シー・チアン)によって正体不明の秘密会議に招集される。そこで世界各地で相次ぐ科学者の自殺、そして知り合いの女性物理学者の死を知らされた汪淼。一連の自殺の陰に潜む学術組織“科学境界(フロンティア)”への潜入を依頼された彼は、科学境界の“主”を探るべく、史強とともに異星が舞台のVRゲーム『三体』の世界に入るが、そこにはある秘密が隠されていた――。WOWOWでは10月に第1話から第10話、11月に第11話から第20話、12月に第21話から第30話が放送予定。併せて特報映像が公開された。『SF超大作「三体」』特報映像<番組情報>『SF超大作「三体」』10月~WOWOWで放送・配信予定『SF超大作「三体」』ビジュアル【ラインナップ】第1話~第10話:10月7日(土)・8日(日) 放送・配信予定(第1話無料放送/期間限定無料配信)第11話~第20話:11月放送・配信予定第21話~第30話:12月放送・配信予定詳細はこちら: TECHNOLOGY BEIJING CO., LTD
2023年08月17日『スパイの妻』の黒沢清監督が描く、ホラーでもSF でもない、全く新しいジャンルの映画『チャイム』の制作が決定。今作は、Web3時代のメディア配信プラットフォーム・Roadsteadにて2024年の独占販売を予定している。ある料理スクールで、男性生徒の田代を教える松岡。田代が突然、何かの声が聞こえると言い出す。料理教室でも、田代は少し変だと言われているが、松岡は気にしない。しかし翌日、田代は「僕の脳の半分は入れ替えられて、機械なんです」と言い出し…。『CURE キュア』(1997)で世界的な注目を集めて以降、『トウキョウソナタ』(2008)で第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞、『岸辺の旅』(2015)で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞、『スパイの妻』(2019)で第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢監督。最新作について、「これは見た人があ然となり、見終わった後に恐怖が強く残ることを狙った作品です。通常の物語で必要とされていることは一切説明されません。また、ホラーとかサスペンスといったジャンルにも当てはまりません。狂った映画、世にも異様な映画、それが今回の作品の狙いなのです」と、気にならずにはいられないコメントを寄せている。(シネマカフェ編集部)
2023年07月10日パンデミックが起きる前に制作されていたにもかかわらず、「まるで映画が現実になったようだ」と世界に衝撃を与えている話題作がいよいよ日本でも公開。今回は、ブラジルから届いた驚きの映画をご紹介します。『ピンク・クラウド』【映画、ときどき私】 vol. 551ジョヴァナとヤーゴは一夜の関係のつもりで過ごしていると、けたたましい警報に襲われる。その原因は、突如として世界中に発生した正体不明のピンクの雲。それは「ピンク・クラウド」と呼ばれ、10秒間で人を死に至らしめる毒性の雲だという。緊急事態によって外出制限が設けられ、人々の生活は一変する。家族や友人とオンラインで連絡は取れるものの、いつ終わるかわからない“監禁生活”によって状況は悪いほうへと傾き始めていた。そんななか、ジョヴァナとヤーゴも現実的な役割を果たすことを迫られ、子どもを持つことになる。しかし、ジョヴァナのなかで生じた歪みが徐々に大きくなろうとしていた……。2017年に脚本が執筆され、パンデミック以前の2019年に撮影したという本作。そうとは思えないほど私たちが経験してきた出来事が数多く描かれていると大きな反響を呼んでいますが、今回はこちらの方にお話をうかがってきました。イウリ・ジェルバーゼ監督本作で念願の長編デビューを果たし、ブラジルの新鋭として注目を集めているジェルバーゼ監督。そこで、物語が誕生した背景や映画と現実が重なったときの心境、そしてキャラクターを通して女性たちに伝えたい思いなどについて語っていただきました。―非現実的なロックダウン下で共同生活をする2人のキャラクターを描きたかったということですが、その理由から教えてください。監督まずは、「作品のなかに制限を設けたい」というのが最初にありました。それを実現させるために考えたのは、登場人物の数を少なくし、舞台はずっと同じ場所にすること。さらに“強制された結婚”にすることを思いつきました。「現代的かつシュールな状況での強制的な結婚とは何か?」と考えたときに、一夜限りの関係だった相手と予期せぬ出来事によって一緒にいなければいけなくなるという設定が浮かんできたのです。―“強制された結婚”というテーマに興味を持ったのはなぜですか?監督それは、自由について考えたかったからだと思います。自由といっても、人によってさまざまなカタチや意味がありますよね。たとえば、ジョヴァナはこの男性と結婚したかったわけではないし、子どももほしくはなかったのにピンク・クラウドが出てきたことによって、社会が女性に求めるステップを踏まざるを得なくなってしまいます。特に、結婚や出産、キャリアということに関しては本人の意思が尊重されるべきなのに、周囲が「しなさい」と言うのは女性にとっては社会的圧力になるのではないかなと。そんなふうに、女性は多くのプレッシャーを与えられている傾向にあるように感じています。女性たちは社会的な女性の規範に囚われている―それはありますね。劇中では、その圧力を意味するものとして描かれているのが雲ですが、通常だと脅威の対象は人に恐怖を感じさせるようなもので描かれることが多いなか、それとは真逆のイメージがある雲を選ぶというのは珍しいのではないかなと。監督まずは、「科学的に解決できそうなリアルな設定にしたくなかった」というのも理由の一つ。そのために、雲が10秒で人を殺してしまうというシュールでよくわからない要素が必要だったのです。そうすることによって、観客は「なぜ雲があるのか?」ということを意識しなくなり、キャラクターにフォーカスできると思ったからです。あと、ブラジルは夕焼けが有名なので、本作に登場するような色の雲はよくあるんですよ。そういったことも理由だったのか、初めから私の頭の中にはずっとピンク色の雲があったように思います。色にもこだわっていたので、VFXアーティストの方には、「まったく危険を感じないような美しくてソフトなピンクにしてほしい」とお願いしました。―ピンクという色にも監督なりの思いが込められているとか。監督ほかの国もそうかもしれませんが、ブラジルでは男の子がブルーで、女の子がピンクとされているので、ジョヴァナは社会的な女性の規範に囚われていることを意味しています。特に、「完璧な女性とはこういうものですよ」と見せられると、ついそれが魅力的に感じてしまいますよね?でも、その裏にある大変な部分や恐ろしいところは見せていない場合が多いだけですから。そういったこともあり、私たち女性はジョヴァナと同じように、気がつかないうちに自分の意志に反したことを“社会のピンク・クラウド”によってさせられてしまっていることもあるのです。つまり、私たちは“女性に対するプロパガンダ”につねに囲まれているとも言えるのではないでしょうか。ブラジル映画界でも、女性監督の意見が通るのは難しい―なるほど。ちなみに、ブラジルの映画界でも女性監督ならではの苦労などを感じていることもありますか?監督そうですね。素晴らしい女性監督もどんどん出始めていますが、まだまだ男性監督のほうが多いので、自分の意見を聞いてもらうことが難しいという場面はよくあります。実は、今回の映画を作る過程でも、監督である私の声に男性たちが耳を傾けてくれないことがあったくらいです。―自身の監督作でさえも起きているとは……。そういった状況に陥ったとき、意識していることがあれば教えてください。監督すでに何名かの男性には伝えましたが、「あなたは私の話をいつも遮っていることに気がついていますか?」と言うようにしています。とはいえ、これはお互いに良い関係にある状態であれば問題ないですが、敵対関係にある人や目上の人であれば言い方に気をつけないと大変なことになります。ただ、そういう状況に追い込まれてしまっているのであれば、相手に気を遣いながら「私の話を聞いてください」と伝えることは大切なことです。ほかの女性たちも、そういうことが言えるようになったらいいなと思っています。―その通りですね。また、劇中では同じ状況下でもジョヴァナとヤーゴは正反対の反応を見せています。2人のキャラクターを作り上げるうえで意識したことはありましたか?監督すべての男性とすべての女性が2人と同じようになるという意味ではなく、あくまでも自分の経験から分析して作りました。私からすると、女性のほうが求めることが多く、男性のほうがその場の状況になんとなく適応してしまうような気がしています。そういったことを踏まえて、ジョヴァナが息苦しさを感じているいっぽうで、ヤーゴは「むしろ雲があってハッピー」みたいな感じにしました。実際、カップルのケンカでも「まあいいんじゃない?」と言う男性に対して、「きちんと解決しなければいけない」と考える女性のほうが多いのではないかなと。全員とは言いませんが、そういう傾向にあるように感じていたので、それを基にキャラクターを設定していきました。SFとして作ったものが現実となり、奇妙な感覚だった―そのあたりは、鑑賞後に男女で話し合ってみるのもおもしろいかもしれませんね。本作は現在のコロナ禍を予期していた作品としても話題になっていますが、観客の反応はいかがでしたか?監督実は、私はみなさんがどんな反応をするのかに関して、上映前はすごく神経質になっていました。特に、私がこの状況を利用して利益を得ているように思われたくなかったからです。そんななか、初めてお披露目したのは2021年のサンダンス映画祭のとき。上映後には多くの人が「最初はどう感じるかわからなかったけど、自分でも理解できなかったパンデミック中の気持ちがわかるようになった」といったポジティブな反響があったので、すごくうれしかったです。―とはいえ、自分が書いた映画がどんどん現実とリンクしていく様子を目の当たりにしたときはどのような心境だったのでしょうか。監督すごく心配しました。もちろん、世界中の方が心配したと思いますが、私にとってはもう一つレイヤーがかかっているような感覚だったかなと。というのも、私は自分の作った映画のなかに生きているような気がしていたというか、SFとして作った物語が現実になってしまってすごく奇妙な気分でした。それは私だけでなく、本作に関わる俳優たちやスタッフたちも同じで、みんな信じられない気持ちだったと思います。初めは1か月くらいでパンデミックが収まると考えていたので、「私たちはこの作品でリハーサルしたようなもんだよね」と冗談を言っていましたが、そんな状況ではないとわかって本気で心配になったほどです。誰もが自分らしく生きたいともがいている―編集中にパンデミックを経験したということですが、実際に映画と同じような状況になってからご自身や作品に影響を与えたことはありましたか?監督以前から撮影以外は自宅で脚本を書く生活をしているのであまり変化はありませんでしたが、とはいえ「人生は本当に予期できないものだ」と感じました。そしてこういった奇妙な状況でさえも、人は適応していかなければいけないのだなと。あとは、友達に会ったり、パーティをしたりといった当たり前のことに対して感謝するようにもなりました。意外かもしれませんが、作品に関して変更したのは1点のみ。雲が発生しているのはブラジルだけという設定を世界中で起きていることにしたという部分です。それ以外は変えていないので、これだけ似ていることはクレイジーなことだなと思いました。―確かに驚きですね。では、日本についておうかがいしますが、どういった印象をお持ちですか?監督日本は行きたい国リストのトップに入れているのですが、ブラジルからあまりにも遠いので、残念ながらまだ行ったことはありません。日本に興味を持っている理由としては、いろんなことがブラジルとはあまりにも違うから。ブラジル人はうるさくて大げさですけど、日本の方はデリケートな印象です。あとは、静かな田舎とテクノロジーが発展している都会がどのようにミックスされ、バランスを取っているのかも見てみたいなと。食べ物やアートワークも魅力的なので、そういったものも気になっています。―それでは最後に、ジョヴァナのように仕事や恋愛に悩む日本の女性たちにもメッセージをお願いします。監督周りの人たちを喜ばせなきゃいけないとか、完璧な女性に見られたいとか、いろんなプレッシャーがあるかもしれません。でも、ジョヴァナという女性を通して、「自分らしく生きようともがいているのは自分だけじゃない」というのを感じてもらえたらうれしいです。他人を満足させるためではなく、自分なりの幸せや自由について考えるきっかけにこの作品がなったらいいなと思っています。抑えていた欲望が込み上げる!コロナ禍で女性たちが抱いてきた生きづらさや葛藤を描き、まるで自分の姿を見ているかのような錯覚に陥る本作。この状況のなかでどう生きていくべきか、自身のこれからを考え直す意味でもいま観ておきたい1本です。取材、文・志村昌美胸がざわつく予告編はこちら!作品情報『ピンク・クラウド』1月27日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開配給:サンリスフィルム️© 2020 Prana Filmes
2023年01月26日ミーガン・フォックスが『Subservience』に主演することになった。SFスリラーで、監督はS・K・デール。家事を助けるために購入されたAI(フォックス)が意識を持ち出し、持ち主(ミケーレ・モローネ)を危険に晒すという物語らしい。撮影は年明けに始まる。フォックスは今年日本公開された『ティル・デス』でもデイルと組んだ。次回作は来年公開予定の『エクスペンダブルズ4』。文=猿渡由紀
2022年12月22日『ドラえもん』や『キテレツ大百科』などで知られる藤子・F・不二雄が多くの大人ファンを魅了した「SF短編シリーズ」の原画展、『藤子・F・不二雄のSF短編原画展―Sukoshi・Fushigiワールドへの招待―』が、10月22日(土)より、藤子・F・不二雄ミュージアムにて開催される。夢あふれる児童まんがをライフワークとしていた藤子・F・不二雄は、『ドラえもん』の連載が始まる前年の1969年、児童まんがのタッチはほとんど変えず、大人向けに『ミノタウロスの皿』を発表。この作品は多くの読者に衝撃を与え、その後、藤子・F・不二雄のSF読み切りまんがが様々な雑誌で発表されるようになった。のちに藤子・F・不二雄が『ドラえもん』や『キテレツ大百科』などを連載する傍ら描いたこれらの作品群は、「SF短編シリーズ」として主に大人のファンから大人気となった。本原画展では、その「SF短編シリーズ」のまんが原画を、かつてない規模で特集する。「SF」という呼び名について、藤子・F・不二雄は、“僕にとっての「SF」は、サイエンス・フィクションではなくて、「少し不思議な物語」のSとFなのです。”(1989年 藤子不二雄ランド『少年SF短篇』2巻(中央公論社))と語っている。「SF短編シリーズ」の作品はどれも、児童まんがで培った親しみやすい絵柄と読みやすいコマ運びで描かれる物語で、読み切りの短編作品でありながら、読者に深い印象を残す。また、執筆当時のシリアスな社会問題をテーマにした作品は、不思議と今の時代にも通じる普遍性も兼ね備えているのも特徴的だ。さらに、作品によって時折変化する絵のタッチも見どころのひとつとなっている。『藤子・F・不二雄のSF短編原画展―Sukoshi・Fushigiワールドへの招待―』を通して、児童まんがからイメージする藤子・F・不二雄とは異なる、彼の意外な一面を発見してみてはどうだろうか。また、本原画展の開催を記念し、ミュージアムショップやミュージアムカフェでは、第1期の展示作品を中心に新商品や新メニューも展開される予定となっている。【開催概要】『藤子・F・不二雄のSF短編原画展―Sukoshi・Fushigiワールドへの招待―』会期:2022年10月22日(土)~2023年10月中旬(予定)開催場所:展示室II(藤子・F・不二雄ミュージアム 2F)※会期を3回に分けて、約4か月ごとに、展示原画を入替予定。※入館は日時指定による事前予約制です。※入館チケットは全国のローソンでお買い求めください。藤子・F・不二雄ミュージアム公式サイト:
2022年10月11日人気K-POPグループ「SF9」のチャニ&フィヨン主演で贈る胸キュンラブコメディ「MIRACLE/ミラクル」から、恋のライバル同士を熱演したチャニ&フィヨンとヒロインを演じたカン・ミナよりコメント映像が到着した。本作は、“激推しのアイドル”VS“幼なじみの男友達”がヒロインをめぐって三角関係になる胸キュンラブコメディ。ソリンは“推し”のルイスのためにオタ活に励む日々を送りながらアイドルを夢みていた。そんな彼女をずっとそばで見守りながら想いを寄せてきた“幼なじみ”のシウ。その後、猛特訓の末に人気アイドルとなったシウはルイスとコラボすることに。そして事務所の社員として働くソリンはルイスのマネジャーに抜擢され、ルイスから理不尽な無理難題を押しつけられてしまう。一方、ルイスはある事件をきっかけに孤立無援となってしまうが、ソリンと過ごすうちにソリンに対する気持ちに変化が訪れる。そんなルイスの変化に気がついたシウは、心がざわついて…。映像では、同じグループのメンバーながら本作では恋のライバル同士を演じたチャニとフィヨンが、そしてカン・ミナと日本語で挨拶。チャニの「僕たちが出演する『MIRACLE/ミラクル』のDVDが発売されます」に続き、「愛と友情を描いた胸キュンラブコメディです」とフィヨンが見どころをアピールする。最後はカン・ミナの「ぜひご覧ください」に合わせ、3人とも爽やかな笑顔でポーズを決めている。「MIRACLE/ミラクル」は10月5日(水)よりDVD発売&レンタル開始。(text:cinemacafe.net)
2022年09月30日K-POP9人組ダンスボーイズグループとしてのアーティスト活動をはじめ、最近ではロウン(「恋慕」)をはじめメンバー個人での活躍にも注目が集まっている「SF9」。中でも俳優として活躍を見せるチャニとフィヨンが共演を果たし、恋のライバル同士を熱演した「MIRACLE/ミラクル」のDVDが10月5日(水)よりリリース決定。そのメイキングの一部が公開された。放送当時の非地上波チャンネル歴代最高視聴率を記録した「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」や、ASTROチャウヌ主演「女神降臨」など大人気ドラマに出演し、子役から活躍してきた演技力が高く評価されているチャニと、映画化もされたドラマ「トッコ・ビンはアップデート中」では主演を務め、俳優としても精力的に活動しているフィヨンが、本作で恋のライバル役を熱演。普段、グループ内ではマンネ(末っ子)ラインとして非常に仲の良い2人が、ヒロインのソリンに思いを寄せる世界的アーティストのルイス(チャニ)と幼少期からの幼なじみであるシウ(フィヨン)をそれぞれ演じている。そんな2人からアプローチされるヒロイン役には、「女神降臨」「遠見には緑の春」などへの出演を果たした人気上昇中のカン・ミナ。芸能界を舞台にスターになることを夢みる男女が、恋や友情に悩みながらも奮闘する姿を描いたラブコメディとなる本作。ヒロインのソリンは心から愛する“推し”のルイスのためにオタ活に励む日々を送りながらアイドルを夢みていた。そんな彼女をずっとそばで見守りながら想いを寄せてきた“幼なじみ”のシウ。その後、猛特訓の末に人気アイドルとなったシウだが、突然ルイスとのコラボが決まり…。そんな中、事務所の社員として働くソリンはどういうわけかルイスのマネジャーに抜擢され、ルイスから理不尽な無理難題を押し付けられてしまう。一方、ルイスはある事件をきっかけに孤立無援となってしまうが、ソリンと過ごすうちにソリンに対する気持ちに変化が訪れる。そんなルイスの変化に気がついたシウは、心がざわついて…。本作は、「梨泰院クラス」「SKY キャッスル~上流階級の妻たち~」「夫婦の世界」など、多くの大ヒットドラマを輩出してきた韓国のSLLの作品。「コンビニのセッピョル」のソン・グンジュが脚本を担当し、「サーチ~運命の分岐点~」のミョン・ヒョンウが演出を手掛けた、日韓共同製作のドラマ。今回解禁となったのはDVD-BOX1に収録される特典映像より、撮影の裏側を楽しめる、メイキングの一部。公開された映像は、世界的に活躍するスーパースター・ルイス(チャニ)の推し活をしながらアイドルになることを夢みるソリン(カン・ミナ)が、ルイス本人だと気づかずに、ルイスのダンスを踊ってみせるシーンのメイキングからスタート。ルイス役のチャニとソリン役のカン・ミナと監督が集まり、何やら相談中。どうやらルイスとソリンが一緒に踊ることになっていたようだが、監督から「ソリンが上手に踊って2人で合わせるより、ルイスが教えてあげるのがいいと思う」と提案。「実際におかしい部分を直してあげて」という監督の指示に、真剣にうなずくチャニ。踊りに自信のないカン・ミナは「(おかしい部分は)最初から最後まで全部よ」とケラケラ笑い、和ませる。ほかにも、ソリンの幼なじみで人気アイドルグループ“n&s”のメンバーとなったシウ(フィヨン)とルイスが初対面し、ルイスの発言に機制を制する爆笑シーンのメイキングも見どころ。恋のライバル同士となるチャニとフィヨンが急接近する場面も。“激推しのアイドル”と“幼なじみの男友達”との間で三角関係が勃発する、胸キュン間違いなしの1作となっている。「MIRACLE/ミラクル」は10月5日(水)よりDVD発売&レンタル開始。(text:cinemacafe.net)
2022年09月16日全米ベストセラーの青春SFグラフィックノベルを初実写化したドラマシリーズ「ペーパーガールズ」がPrime Videoで独占配信されることが決定。キーアートと場面写真が解禁された。物語の舞台は1988年のオハイオ州クリーブランド。そこに住む4人の12歳の少女たちは、通う学校や家族構成などは違うものの、4人共通して新聞の配達をしていた。ハロウィーンの次の日の朝、いつものように早朝に新聞配達をしていると、突然タイムトラベラーたちの争いに巻き込まれ、少女たちの人生は永遠に変えられてしまう。空にピンクに光る雷のようなものを目撃した次の瞬間、4人の少女たちは2019年に飛ばされ、未来の「大人になった自分」と遭遇する。12歳で想像していた理想の自分とはだいぶかけ離れてはいたものの、少女たちは徐々に現実の姿を受け入れていきながら、1988年に戻る方法を模索していく。しかし、権力を独占し続けるためにタイムトラベルを禁止しているタイムトラベラーの過激派から少女たちは狙われることになり、少女たちはこの危機を打破するために、一致団結して戦わなければならない。ルーツも全く異なる4人の少女はお互いを信頼し、無事に1988年に戻ることができるのか…?原作は「サーガ」や「Y:ザ・ラスト・マン」シリーズで知られるブライアン・K・ヴォーンが手掛けるアメリカで大ヒットしたグラフィックノベル。また、今シリーズではエグゼクティブプロデューサーも務める。シーズン1のディレクターには「SUPERGIRL/スーパーガール」など数々のドラマシリーズを担当しているメアジー・アルマス、ミュージックビデオやドラマの監督で今後が期待されるゲオルギ・バンクス・デイビーズやイギリスでドラマ監督として活躍しているデスティニー・エカラガ、そして「LOST」や「シカゴ・ファイア」で数々のエピソードを担当したカレン・ガヴィオラなどドラマ業界で活躍するベテランから新進気鋭のクリエーターまでが集結した。メインの4人の少女を演じるのは、ハリウッドで期待されている超若手スターたち。ゲームが大好きでトランシーバーが手放せない少女ティファニー役は、『パシフィック・リム:アップライジング』(2018)に出演のカムリン・ジョーンズ。オークランドに引っ越してきたばかりの少女エリン役に、犯罪系ドラマシリーズ「オルタード・カーボン」のライリー・ライ・ネレット。地域で初めて少女で新聞配達を始めたマック役には、コメディドラマ「ファスト・レイン」でもお馴染みのソフィア・ロジンスキー。そして「LAW&ORDER:性犯罪特捜班」などのドラマシリーズにも出演経験があるフィナ・ストラッツァは頭脳も運動神経も抜群のKJ役を演じる。今回公開されたキーアートと場面写真では、少女4人がタイムトラベルに遭遇するまでの出来事や4人の出会い、実際に未来に行って戸惑う様子などが切り取られている。新ヒロインの誕生を期待させる本作。夏の暑さを吹き飛ばせること間違いなしのミステリー/SFジュブナイル最新作に注目が集まる。「ペーパーガールズ」(全8話)は7月29日(金)よりAmazon Prime Videoにて独占配信開始予定。(text:cinemacafe.net)
2022年07月27日世界で初めて作られたSF映画は、いまから120年前のジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』(1902)。その後、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』(1968)を皮切りに、それまでB級と称されていた“SF映画”というジャンルは飛躍的な発展を遂げ、いまやSF映画は主流のジャンルの1つとなった。様々な舞台が設定されるが、今回は孤立無援での宇宙空間によって緊張感がいっそうみなぎるSF映画からおすすめの3作品をご紹介。『ヴォイジャー』タイ・シェリダンら新世代キャストが集結地球温暖化による飢饉が人類を襲い、科学者たちは居住可能な新たな惑星を探した。そして2063年、その可能性を秘めた惑星を発見し、探査隊を派遣することになる。その探索隊の乗組員は30人の子どもたち。航行にかかる期間は86年。子どもたちは船内で成長して子孫を残し、目的の惑星に到達するのは彼らの孫の世代。そして10年後、クリストファー(タイ・シェリダン)とザック(フィン・ホワイトヘッド)は、彼らが毎日飲むように指示されている薬によって人間としての欲望が抑制されていることを知る。そして、反発した乗員たちは本能の赴くままに行動するようになり、ある事件をきっかけに船内の統制が崩壊していくーー。惑星移住ミッションに挑む若者たちの狂乱を描いた、『ダイバージェント』『リミットレス』のニール・バーガー監督と豪華キャスト陣が放つSF超大作。宇宙空間にたった1人…『ゼロ・グラビティ』(2013年公開)医療技師としてスペースシャトルで宇宙へ向かうライアン(サンドラ・ブロック)。彼女とシャリフは機体の修理を行い、2人の傍らでは船外活動ユニットのテストをマット(ジョージ・クルーニー)が行っていた。そんな時、管制から膨大な量の宇宙ゴミが高速で接近しているため、機内に戻れという指示が出る。ライアンらは作業を中断して機内に戻ろうとするが間に合わず、機体の主翼に宇宙ゴミが激突してしまう。さらに、シャリフは顔面に宇宙ゴミが貫通して即死。ライアンとマットは宇宙空間に投げ出される。的確な指示を出し、機体に近づこうとするマット。対照的にライアンは、酸素が急激になくなっていく恐怖からパニック状態になってしまう――。アルフォンソ・キュアロンの監督賞ほかアカデミー賞7部門を受賞。SF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』(1968年公開)400万年前、まだ猿人が暮らしていたころ、ある集落に突然石板・モノリスが現れた。そして選ばれし1匹の猿人がモノリスに触れると、その猿人は突然拾った骨で狩りを始め、肉を食べ始める。その猿人は知能を受け取ったのだった。そして時は21世紀。猿人は人間へと進化し、月旅行へ行くことも可能になった世界。ヘイウッド・フロイド博士らはモノリスの調査団として月面クラビウス基地へと向かう。目的地に到着した調査団はそこでモノリスに対面する。しかし、思い切って触れた瞬間モノリスは突然強烈なシグナルを発し――。『ヴォイジャー』は3月25日(金)よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ゼロ・グラビティ 2013年12月13日より全国にて公開© 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.ヴォイジャー 2022年3月25日よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開Ⓒ 2020 VOYAGERS FINANCING AND DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年03月04日『ダイバージェント』監督と若手注目俳優豪華共演のSF大作『ヴォイジャー』より、場面写真が解禁となった。本作は、『レディ・プレイヤー1』に主演して注目を集めたタイ・シェリダン、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘リリー=ローズ・デップ、『ダンケルク』で新人ながらメインキャストに抜擢されたフィオン・ホワイトヘッドら才能溢れる若手俳優たちが共演するSF映画。宇宙船に乗り惑星探査へと向かった子どもたちが成長し、閉ざされた空間で本能に目覚め、狂乱に巻き込まれていく姿を描く。演技派俳優コリン・ファレルが子どもたちを見守る指揮官として出演、監督は『ダイバージェント』のニール・バーガーが務めた。この度解禁された場面写真では、クリストファー(タイ・シェリダン)と、セラ(リリー=ローズ・デップ)が宇宙船内で何かを相談する様子や、クリストファーとザック(フィオン・ホワイトヘッド)が誰もいない船内でモニターを見つめる様子、訓練中の30人の子どもたちの前に立つ防護服を着たリチャード(コリン・ファレル)の姿などが切り取られている。整頓された無機質な宇宙船の中で、一生を過ごすことを余儀なくされた子どもたちの本能が目覚めたとき、閉ざされた宇宙船の空間では何が起きるのか。孤立無援の宇宙船を襲うものとは一体…?少年が武器を構える緊迫のシーンも写し出され、本編のスリリングな物語を予感させる場面写真となっている。抑圧された環境で育った子どもたちの行く末を描くSF作品である本作。閉ざされた宇宙船内で起こる衝撃の展開に注目したい。『ヴォイジャー』は3月25日(金)よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ヴォイジャー 2022年3月25日よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開Ⓒ 2020 VOYAGERS FINANCING AND DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年02月25日亡き親友のメッセージを頼りに、たった一人で世界を救おうとする若い女性を描いたユニークなSF青春映画『スターフィッシュ』が、3月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開が決定した。親友グレイスを失ったオーブリー。悲しみに耐えきれず、グレイスの家に忍び込む彼女だったが、翌朝目覚めると、人々の姿が忽然と消え、見慣れた街は怪物が闊歩する異様な世界に変貌していた。わずかな手がかりは、トランシーバーから漏れ聞こえる男の声。そして、グレイスが遺した1本のカセットテープ。街のいたるところに隠されたテープを集めて信号を解読すれば、世界が救える。親友が遺した謎のメッセージを信じて、オーブリーは決死の覚悟で扉を開けて外へ飛び出していく――。『スターフィッシュ』予告編2018年に製作され、同年アメリカで公開された本作。しかし、キャストの知名度や突飛な内容が影響してか、日本未公開になる可能性が高かった。だが、その質の高さが徐々に浸透し、1月の「未体験ゾーンの映画たち2022」にて限定上映されると、映画ファンが殺到した。SNSで賛否両論を巻き起こし話題となった本作が、今回ついに、正式に劇場公開が決定。親友の遺したメッセージを胸に立ち上がるオーブリー役には、「ランナウェイズ」『ハロウィン』で注目されるヴァージニア・ガードナー。ミュージシャンとしても活動するA.T.ホワイトが監督を務め、幻想的な映像美とグロテスクな造形、アニメーションまで大胆にミックスし、彼女の複雑な心象風景を映像化した。そして、もうひとつの主役と言えるのが、テープに収録された音楽。アイスランドのポストロックバンド「シガーロス」をはじめ、「スパークルホース」、「グランダディ」などの楽曲が、オーブリーの心の声を物語っていく。『スターフィッシュ』は3月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:スターフィッシュ 2022年3月12日よりシアター・イメージフォーラムにて公開©2018 Starfish Productions,LLC. All Rights Reserved.
2022年02月06日『ダイバージェント』のニール・バーガー監督と注目若手キャスト陣によるSF超大作『Voyagers』が邦題『ヴォイジャー』として全国公開されることが決定。併せてポスタービジュアルと予告編が解禁された。地球温暖化による飢饉が人類を襲い、科学者たちは居住可能な新たな惑星を探した。時は2063年。可能性を秘めた惑星を発見し、探査隊を派遣することになる。航行にかかる期間は86年。乗員は訓練を受けた30人の子どもたちと、彼らの教官であるリチャードが同乗した。子どもたちは船内で成長して子孫を残し、惑星に到達するのは彼らの孫の世代。子どもたちはリチャードに従順に従い、航行は順調にみえた。そして10年後。クリストファー(タイ・シェリダン)とザック(フィオン・ホワイトヘッド)は、彼らが毎日飲む薬によって人間としての欲望が抑制されていることを知ってしまう。それに反発した乗員たちは本能の赴くままに行動し、船内の統制は次第に崩壊。やがて船外に謎の存在が現れ、若者たちは混乱に陥っていく。人類の存亡を脅かす敵は、無限に広がる宇宙にいるのか、それとも…?惑星探査のミッションに挑む乗員に扮するのは、スティーヴン・スピルバーグ監督『レディ・プレイヤー1』の主演で注目を集めたタイ・シェリダン、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの実子で、女優として着実にキャリアを積んでいるリリー=ローズ・ デップ、『ダンケルク』で新人ながらメインキャストに抜擢されたフィオン・ホワイトヘッドら才能溢れる若手俳優たちが顔を揃える。そして彼らの指揮官役は、演技派俳優コリン・ファレル。宇宙船という抑圧され閉ざされた空間で育つ子どもたちの行く末を、『ダイバージェント』の監督ニール・バーガーがスタイリッシュ且つスリリングに描く。この度解禁された予告編では、地球温暖化により、新たに発見された惑星に人類を移住させるという長期的ミッションを実行するため、子どもたちが送り込まれるところから始まる。彼らの任務は子孫を残し、孫達を目的地に送り出すこと。しかし、やがて成長しミッションの裏に隠された真実を知ってしまった若者たちは指示に逆らい、本能を剥き出しにしていく様子が映し出される。閉ざされた空間で目覚めていく人間の本能とは?そして船外に潜む謎の存在とは何なのか?物語の行方が気になる、緊迫感あふれる予告編となっている。併せて解禁されたポスタービジュアルでは、厳しい表情でたたずむタイ・シェリダンとフィオン・ホワイトヘッドとリリー=ローズ・デップの3人と、それを見守るコリン・ファレルの姿が切り取られている。「惑星到着まで86年。乗員は30人の子供たち。出発から10年後 何かが起こる―。」というコピーも意味深で、壮大な宇宙と閉ざされた宇宙船が対比されたビジュアルとなっている。宇宙旅行が現実のものになってきた昨今。まさにいま注目したい、人類の本能が試される衝撃のSF作品だ。『ヴォイジャー』は3月25日(金)よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ヴォイジャー 2022年3月25日よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開Ⓒ 2020 VOYAGERS FINANCING AND DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年01月31日『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞4冠に輝き、新作を切望されているポン・ジュノ監督が、ワーナーのSF映画で監督、脚本、製作を担当することが決まったという。主演候補にはロバート・パティンソンが挙がっており、現在交渉中とのこと。「The Wrap」などが報じた。タイトル未定の本作は、まもなく出版されるエドワード・アシュトンの小説「Mickey7」が原作で、「アンディ・ウィアーの『火星の人』とブレイク・クラウチの『ダーク・マター』を足して2で割ったような作品」とのこと。死の危険性がある仕事のためにデザインされた、消耗品かつ使い捨てのクローン人間の物語で、主人公は危険な未開の地を開拓するべく調査に派遣されているミッキー7。すでに6回の“死”を経験し、記憶は彼らから引き継がれて“再生”され再び仕事に就くが、ある日ミッキー7は行方不明となり、死んだとみなされる。しかし、ミッキー7は死んでいなかった。彼は基地に生還すると、ミッキー8が仕事をしているのを見て…。ツイッターには「原作小説さえまだ発売されていないのに、すでに楽しみ」「ポン・ジュノ監督とロバート・パティンソンの組み合わせが最高」「ジュノ監督のことは信頼しているからね!」と期待の声が多数寄せられている。(Hiromi Kaku)
2022年01月20日“SFアクションの金字塔”と呼ばれ、世界中を熱狂の渦に巻きこんだ『マトリックス』シリーズ。謎に包まれている18年ぶりの最新作『マトリックス レザレクションズ』が、いよいよ公開を迎えます。そこで、本シリーズを知り尽くしているこちらの方にお話をうかがってきました。声優の小山力也さん【映画、ときどき私】 vol. 437シリーズ1作目からキアヌ・リーブス演じる主人公ネオの日本語吹き替えを担当している小山さん。『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアーや『名探偵コナン』の毛利小五郎など、幅広いキャラクターを演じていることでも知られている小山さんに、第一線で活躍し続ける秘訣や『マトリックス』の魅力などについて、語っていただきました。―ネオを演じるのは久しぶりとなりましたが、また演じてみていかがでしたか?小山さんリハーサルをしているうちに昔のことを思い出し、感慨深いものがありました。『マトリックス』といえば、僕にとっては劇場映画の吹き替えで最初の大役。いままでいろんな役をやらせていただいていますが、そういったこともあってネオについては鮮明に覚えているので、感覚を取り戻すのに時間はかかりませんでした。―小山さんにとって、ネオは演じやすいキャラクターですか?それとも苦労されることのほうが多いのでしょうか。小山さん1作目のときは、吹き替えの経験が浅かった時代で、僕自身がまだ新しい世界に戸惑っているところがありました。でも、そのなかでもいろいろなことを吸収したいという気持ちが『マトリックス』の世界に戸惑いながら成長するネオと重なる部分があったので、そういう意味では演じやすかったのかもしれませんね。ただ、キアヌさんといえば、ピュアでかっこよくて、エネルギーがあり、それでいてお芝居も洗練されている方なので、一番意識しているのは、そういう彼の良さを決して汚さないこと。そのために、息つぎのタイミングや表情の出し方というのは、確認するようにしています。キアヌさんは、吹き替えていて楽しい存在―最新作では、経験を重ねたからこそできたこともあったと思いますが。小山さんそうですね。僕とキアヌさんは同世代で、お互いに歳を取りましたが、今回の彼は歳を重ねたからこその良さがでていて、とても素敵だなと思いました。僕としては昔よりもいろいろな方法論や技術が増えたので、それを応用することができたのはよかったかなと。特に、日本語と英語では語順が違うので、英語のセンテンスの並びに合わせながら日本語の感情を出すように工夫しています。―小山さんから見たキアヌさんの魅力とは、どんなところですか?小山さんストイックに減量してヒーローを演じたと思ったら、オフでは無精ひげでちょっとぽっちゃりしてしまうところとか、二枚目なのに気取っていないところがいいですよね。純粋で子ども心を持っている方なんだろうなと思っています。そういう部分も、ネオとリンクしているのかもしれないですね。工夫しなければいけないことは多いですが、僕にとってキアヌさんは吹き替えていても楽しい存在。自分と役の気持ちをうまく膨らませて演じていらっしゃるので、僕はキアヌさんの遊び心を自分なりに想像しながら演じるようにしています。20年以上経っても、あのときの気持ちは忘れたくない―新作のなかで吹き替えていて楽しかったシーンと難しかったシーンについて教えてください。小山さん楽しかったのは、やっぱりトリニティーと久しぶりに会話できたこと。演じているキャリー=アン・モスさんも大人の魅力が増していてとても素敵だったので、思わずこちらまでドキドキしてしまいました(笑)。自分が相手をしていただいているつもりで演じられたのは、うれしかったです。難しかったのは、非常に凝っている特撮やグラフィックのディテールをつかまなければならなかったこと。そういう部分を想像しながら演じるのは、苦労したところです。―ちなみに、過去の作品のなかで忘れられないシーンもありますか?小山さん人の頭の後ろに装置が付けられていて、そこに長い鉄の棒がグサッと刺さるシーンを最初に見たときはやっぱり驚きましたね。あの場面はいまでも怖いですし、1作目はいま観ても新しいと感じます。―確かに、色褪せない魅力がありますよね。ご自身のキャリアにおいて、『マトリックス』シリーズとの出会いはどのようなものになりましたか?小山さん僕はドラマ『ER緊急救命室』で初めて吹き替えをやらせていただいたばかりだったので、そのときはまだド素人。にもかかわらず、なぜか『マトリックス』ほどの大作に主役で声をかけていただいたので、「本当に自分でいいのかな?」という戸惑いと喜びの両方がありました。あの気持ちは20年以上経っても忘れられないですし、これからもそのときの初心は持ち続けていきたいです。あとは、映画の反響が大きかったこともあり、日本語の吹き替えに受け継がれてきた伝統や先人たちの足跡、世界でどういった評価をされているのかも知ることができたので、そこで得たものは、今後も大切にしたいと思っています。ルーティンをなくすことで、プレッシャーが減った―そこから長年にわたって、第一線を走り続けていらっしゃいますが、ご自身で秘訣を挙げるとすればどんなことがありますか?小山さん先ほどの話とつながりますが、作品を汚さないことです。スタッフやキャストをはじめ、あらゆる才能が集まり、お互いの技術を切磋琢磨し合うことで素晴らしい作品が完成しているので、僕がそれをおとしめてはいけない、という意識はつねに持っています。―では、現場で欠かさずされていることは何かありますか?小山さん昔はいろんなルーティンがありましたが、フィギュアスケート羽生結弦選手が「一切のルーティンをなくしました」と話しているのを聞いて、実は僕もすべてなくすことにしたんです(笑)。不安も多少ありますが、いろいろなことの時間を節約できるようになり、楽になりました。あとは、よく見て、よく聞くことですね。―以前は、どのようなルーティンをされていたのでしょうか。小山さん直前に見直したり、準備運動したり、決まったペンを使うとか、そういったことですね。もちろん、見直す必要があるときもありますが、決めてしまうことで「これをしなかったから今日はうまくいかないんじゃないか」というプレッシャーになるのはよくないといまは思っています。ただ、イチローさんが現役時代にたくさんのルーティンを持っていたというのを聞いて、それもまた超一流の証明なんだなと。もちろんそこはイチローさんの素晴らしいところでもありますが、それを捨ててかかる羽生さんもすごいなと感じたので、僕も一旦なくすことにしました。忖度なしで励ましてくれる周りに支えられている―どちらも深いですね。今回、タイトルの「レザレクションズ」は「復活」という意味ですが、いま小山さんが復活させたいことはありますか?小山さんここ最近は、コロナや地震などで大変な思いをされた方が多いと思うので、できればいろいろな命を復活させたいです。科学の進歩とともに、助かる命が増えてほしいと願っています。―本当にその通りですね。劇中ではネオもさまざまなピンチを迎えますが、小山さんにとって声優人生で一番ピンチだったことといえば?小山さんコンディションを崩してしまって声が出なくなったり、求められているものができなかったりしたことは何度かあり、そのときはつらかったです。―苦しい時期や悩みは、どのようにして乗り越えていらっしゃるのでしょうか。小山さん自分が信頼している人や心を許せる人から励ましてもらうと、それが一番の力にはなりますね。たとえば、身内が「私がついているから大丈夫だよ」と声をかけてくれたり、先輩が「気にすることないよ。今日がダメでもまた今度ね」みたいに言ってくださったりとか、さりげない言葉でもこの人に言ってもらえたから助かった、ということはたくさんありました。そんなふうに、何の忖度もなく励ましてくれる周りの方には本当に感謝しているので、その気持ちは忘れたくないですし、きれいごとではなく、僕自身も誰かを励ませられる存在になりたいと思っています。日本語の吹き替えで作品をおもしろくしたい―これまでかなり幅広いキャラクターの声を演じていらっしゃいますが、今後挑戦してみたい役はありますか?小山さんどんな役かというよりも、歴史に残るような素晴らしい俳優さんや心から感銘を受ける作品に関わっていけたらいいなと思っています。あとは、どんな作品でも、「日本語の吹き替えでおもしろくするぞ!」という意気込みはあるので、1本でも多くの作品に携わりたいです。―ちなみに、ネオ以外にも実は『マトリックス』シリーズで演じてみたいキャラクターがあれば、教えてください。小山さん今回で言うなら、役名は伏せますが、一番の悪役でしょうか。ベラベラとしゃべっているところが少しコメディチックでもあったので、トライしてみたいなと思いました。―それでは最後に、公開を待っている観客へ向けて、見どころや注目のシーンを教えてください。小山さんいまではVRやAIが当たり前のように現実に入ってきているので、以前よりも人間が人工知能に負けてしまうのではないかといった恐怖や『マトリックス』の世界もリアルに感じられるかもしれません。そんななかで、この作品では人と人のつながりが復活する様子や前に進むために必要なことなどが大事に描かれているので、人間ドラマとしても考えさせられるはずです。SFとして楽しめるのはもちろんですが、そういった部分を自分に置き換えながら観ていただけたらうれしいなと思っています。インタビューを終えてみて……。『マトリックス』シリーズへの思い入れの強さはもちろんですが、どの作品に対しても深い敬意を払っていらっしゃるのが伝わってくる小山さん。忘れずに持ち続けている初心や仕事への向き合い方など、非常に興味深いお話を聞かせていただきました。ぜひ、本作に込められた小山さんの思いを感じながら、ネオに注目してみてください。興奮と覚醒が止まらない!さらなる進化とともに復活を遂げ、まさに新章の幕開けにふさわしい『マトリックス レザレクションズ』。アドレナリン全開の刺激的な映像と予想を上回る展開で、見たことのない世界へと一気に引き込まれること間違いなし。圧倒的な没入感は、ぜひスクリーンで体感してみて!写真・安田光優(小山力也)取材、文・志村昌美ストーリーもし世界がまだ仮想世界=マトリックスに支配されていたとしたら?ネオは、最近自分の生きている世界の違和感に気づき始めていた。 やがて覚醒したネオは、マトリックスに囚われているトリニティーを救うため、何十億もの人類を救うため、マトリックスとの新たな戦いに身を投じていく。衝撃が止まらない予告編はこちら!作品情報『マトリックス レザレクションズ』12月17日(金)より全国ロードショー配給:ワーナー・ブラザース映画©2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.写真・安田光優(小山力也)
2021年12月16日A24がSF冒険コメディ『Everything Everywhere All at Once』(原題)の予告編を公開した。映画ファンから「こういう映画を待っていた!」「今年最もよかった予告編」「ミシェルの才能が生かされた映画」など、高評価を受けている。主演は、『グリーン・デスティニー』『クレイジー・リッチ!』のミシェル・ヨー。税金を払い終える目処が立たずに疲れ切っている、移民の中国系アメリカ人イヴリンを演じている。予告編の冒頭では、そのお金の支払いについて辛口で容赦ない、役所らしきスタッフを演じるジェイミー・リー・カーティスが登場。厳しいことを言われてイヴリンが落胆していると、突然周りの光景が変わり、別世界に引き込まれ、「何が起きているの?」と困惑する。物語が展開するにつれ、イヴリンは、世界は一つだけ存在するのではなく多数あり(マルチバース)、イヴリンという人物もそれぞれの世界にいることを知る。イヴリンはそれぞれの世界の「自分」の記憶や感情にアクセスができ、彼女たちの技術――たとえばカンフーなども自分のものとして使うことができるのだ。複数の世界に存在する“邪悪なもの”を退治するには、イヴリンが必要だとして、ほかの世界から助けを求められる。予告編で、ミシェルが様々なイヴリンを演じている姿は圧巻。監督は『スイス・アーミー・マン』のダニエル・シャイナート&ダニエル・クワン。全米公開は2022年3月25日。(Hiromi Kaku)
2021年12月15日製作・配給会社のA24が、ミシェル・ヨー主演のSF冒険コメディ『Everything Everywhere All at Once』(原題)を海外向けにセールス中だ。アメリカでは2022年春に公開予定。「Deadline」が報じた。『Everything Everywhere All at Once』の製作が発表されたのは2018年8月で、当初はミシェルとともにオークワフィナ(『フェアウェル』)がメインキャストとして出演する予定だった。しかし製作に遅れが出たことで、オークワフィナは2020年1月に離脱。代わりにステファニー・スー(「マーベラス・ミセス・メイゼル」)がキャスティングされた。ほかにジェームズ・ホン(『カンフー・パンダ』)、ジョナサン・キー(『グーニーズ』)、ジェイミー・リー・カーティス(『ハロウィン KILLS』)らが出演している。ミシェルの役どころは中国系移民であり、唯一世界を救うことができる人物で、そのために別世界を探検することになるという。監督・脚本は、『スイス・アーミー・マン』でもA24とタッグを組んだ「ダニエルズ」ことダニエル・シャイナート&ダニエル・クワンのコンビ。アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟(『アベンジャーズ』シリーズ)が製作陣に名を連ねている。製作費にはA24の作品としては高額となる2500万ドル(約28億5000万円)規模の予算がかけられている。(Hiromi Kaku)
2021年10月27日