2015年3月4日 12:00|ウーマンエキサイト

ポジティブに迎えよう!「オトナ思春期」基礎レッスン

小学校高学年で女子だけが集められ、初潮教育があったのを覚えていますよね? 初潮の知識は教えてもらったけれど、そういえば閉経については誰も教えてくれませんでした。アラフォー女子がまもなく迎えようとしている更年期、あまりよく知らないでは済まされないと思いませんか?

目次

・更年期女性の体に起こる、さまざまな変化とは?
・「更年期の症状」の不思議。その真実を探れ!
・症状の強さや現れ方に、個人差があることを理解して


ポジティブに迎えよう!「オトナ思春期」基礎レッスン

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「女性は、生涯の中で2つの大きな『変化の時期』を迎えます。1つめは思春期、2つめが更年期。更年期というと病名のように思う人もいるかもしれませんが、思春期同様、女性のライフサイクルの中の一時期の呼び方に過ぎません。

英語ではMenopause(メノポーズ)と言われますが、前向きにとらえ、”The change of life”という表現もあるほどですよ」

そんなふうに話してくださるのは、女性の健康、特に更年期に詳しい婦人科医 小山嵩夫先生です。


小山嵩夫先生 プロフィール
ポジティブに迎えよう!「オトナ思春期」基礎レッスン
婦人科医。専門は生殖内分泌学、女性の健康増進。日本のHRT(女性ホルモン補充療法)の第一人者として知られる。1996年、女性の健康管理を目的としたクリニック「小山嵩夫クリニック」を銀座に開業。「NPO法人 更年期と加齢のヘルスケア」および「一般社団法人 日本サプリメント学会」理事長として、更年期前後から元気に生きるための啓発活動を行っている。著書に『遺伝子を調べて選ぶサプリメント』『女性ホルモンでしなやか美人』(ともに保健同人社)、『40歳であわてない! 50歳で迷わない!もっと知りたい「女性ホルモン」』(角川学芸出版)など。http://koyamatakaoclinic.jp

「更年期」は誰でも通る変化の時期です!グラフでもわかるように、思春期は女性ホルモンの分泌量がぐっと増える時期。更年期は、逆に分泌量が急降下していく途中にあります。
女性ホルモンの量は卵巣の機能そのもの。卵巣の機能が低下する時期が更年期です。

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「閉経したら更年期が始まる」と勘違いしている人も多いのですが、閉経は更年期の途中で起こるもの。女性ホルモンの分泌量がゼロに近づく間に生理は徐々に起こらなくなり、完全に止まって1年以上経過した状態を「閉経」と呼びます。

閉経年齢の平均は約50.5歳。閉経の前後5年ずつ、45〜55歳の10年間を更年期と呼んでいるのはこのためです。ただ、個人差も大きく、これはただの目安に過ぎません。40代前半で閉経して更年期症状に悩む人がいるかと思えば、55歳でもまだ生理がある人もいます。
その人の更年期がいつだったかのかは、過ぎてみてわかると考えましょう。

そして、よく聞く「更年期障害」は、この時期に起こるさまざまな障害という意味で、全員に必ずしも起こるものではありません。社会生活に支障がないようなら、障害とは言わずに「更年期に起こる不調」「更年期の症状」などと呼んでいます。

更年期女性の体に起こる、さまざまな変化とは?

思春期の体に大きな変化があったように、更年期も変化が訪れます。まず誰もが感じるのは美容面の変化

肌の乾燥やシワ、たるみ、ボディラインのくずれ、髪の毛のハリのなさ…、これらは女性ホルモンが減ってしまったことによる変化です。また、太りやすく痩せにくくなり、骨量が減って骨粗鬆症になりやすくなります。

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「不快な症状と言えば、一般的に多汗ホットフラッシュがいちばん知られていますが、長年診てきた経験からすると、身体症状よりも精神症状を訴える人が多いですね。


家事など何もやる気が出ない、疲れやすい、優柔不断になった、寝つきが悪いなど、大きく捉えて“うつ症状”です。その他、湿疹が出やすくなった、頭痛やめまい、ドライアイ、手指のこわばりなど、さまざまな種類の不調が出る人がいます」(小山先生)

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更年期かもしれないと思って医療機関を受診すると、まずは更年期用の問診票を手渡されます。それが「更年期指数(SMI)」です。これはまさに、小山嵩夫先生が作成し、国内の医療機関に広まったもの。とても簡単なものですが、更年期であるかどうかは、ほとんどこれでわかります。

▼更年期指数(SMI)をチェック!

以下の項目のうち、当てはまる点数を合計してください。さあ、どの程度当てはまりますか?

*当てはまる症状/強度の目安
強=日常生活に差し障りがあるほどつらく、今すぐなんとかしたい。
中=我慢はできるけれど、なんとかしたい。

弱=症状は感じるが、我慢できる程度。
無=感じない。

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【合計点による自己評価】

0~25点 :
今のところ問題なし。年1回検診は受けましょう
26~50点:
食事や睡眠、運動に気をつけて健康的な生活を
51~65点:
更年期の症状があるので、まずは婦人科を受診
66~80点:
婦人科で相談し、長期的な治療計画が必要
81~100点:
各科の精密検査、長期的な対応が必要

SMI簡略更年期指数(小山嵩夫)より。
※これはあくまで目安。気になる症状があるときは専門家に相談を。症状はなくても骨粗鬆症や動脈硬化など更年期特有の異常が隠れていることがあるので慎重に

「こういった問診の他に、内診や超音波エコーで卵巣の様子を診たり、血液検査で女性ホルモン値を調べることで、卵巣が機能しているかどうかを見ます。更年期なのかどうか、閉経が近いかどうか、これで判断できるのです。
40代以降で何らかの不調があり、婦人科を受診すれば、だいたいこの流れで診断してくれるものです」(小山先生)

「更年期の症状」の不思議。その真実を探れ!

更年期の期間「日常生活に支障をきたすほどの状態(=更年期障害)」が現れる人は2~3割ですが、何らかの症状を少しでも感じている人は9割にものぼると言われています。そもそも、どうしてこのような症状が現れるのでしょう?

それは、脳が混乱してしまうため。脳の視床下部は卵巣が老化していることに気がつかず、女性ホルモンを出せ出せと信号を出し続けます。卵巣がそれに応えることができずに分泌してくれないので、視床下部はパニックに。

その近くには自律神経の中枢があり、バランスが取れなくなります。自律神経は全身を司っているため、あらゆる場所のさまざまな機能に支障をきたすことに…。

≪更年期には脳がパニックに!≫


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「女性ホルモンを出すのは子宮ではなく卵巣ですよ。
ちなみに、病気などで卵巣を摘出すると更年期症状が出やすくなります。逆に卵巣がひとつでも残っている状態で、子宮を摘出してもホルモン分泌には影響がなく、症状は現れません」(小山先生)

これ、勘違いしている人、いますよね? ついでに、更年期にまつわる都市伝説を検証しましょう。

▼都市伝説 - 1
「更年期の症状や重さは遺伝する」→ △

遺伝はしないとされていますが、確実なデータがないので可能性がないとは言えません。もともとの気質や生活環境が母親と似ているため、遺伝と思われている可能性もあります。
▼都市伝説 - 2
「生理が重い人、つわりやお産が重かった人は更年期症状も重い」→ ×

生理、つわり、出産の重さと更年期症状は関係がなく、また妊娠・出産・中絶の回数も関係がありません。あくまで個人差によるものです。
▼都市伝説 - 3
「独身女性のほうが更年期に症状が出る確率が高い」 → ×

これもまったく関係ありません。逆に「主婦のほうが重い」などと言われることもありますが、それも嘘。既婚か未婚かと症状の重さは無関係です。
▼都市伝説 - 4
「初潮が早かった人は閉経も早い」→ ×

確かな統計はないものの、初潮の時期と閉経の時期は関係ないと言われます。実際に、初潮が早くても閉経が遅い人もよくいます。
▼都市伝説 - 5
「太っている人のほうが更年期の症状が出にくい」→ △

エストロゲンは卵巣からの分泌のほかに、脂肪からも少量作られるため、卵巣の機能が低下しても、脂肪が多ければエストロゲン量が減りにくい可能性はあります。

症状の強さや現れ方に、個人差があることを理解して

「更年期の症状が人によって違うのは、要因が違うからでしょう。症状の出る要因は大きく分けて3つあると思います。

卵巣機能の低下という直接的な原因に加え、その人の気質、置かれている環境が複雑に絡み合っている。

例えば環境要因は人間関係の問題とか。職場や隣近所、家族との関係がうまくいっていない人は症状が出やすいということ。

子どもの受験時期が過ぎたら症状もすっきり治った、職場のもめ事が解決された途端に症状が消えた、などはよくあることです。でも、クリニックに来て、カウンセリングでこのようなメカニズムを説明すると、もうそれだけで不調が軽くなる人が多いんですよ。心理的な要因は大きいですね」(小山先生)

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いろいろな更年期症状が重なった場合、例えば頭痛は脳外科、動悸は内科…と複数の科を受診してしまうと、薬の量も医療費もかさみ、原因がわからないまま数年が経過してしまうこともあります。これをドクターショッピングと言います。

「女性ホルモン(エストロゲン)は、肌の潤い、髪のツヤなど、水分保持にかかわる働きが大きいので、乾きの症状が全身に及ぶ人もいます。目・口・鼻・のど・皮膚・髪・腟・尿道まで。

尿道は、乾燥すると炎症が起きやすく、尿意を感じやすいのですが、膀胱炎と思いこんで泌尿器科を受診する人が多いんです。ドライアイは眼科、乾燥肌は皮膚科、のどの乾きをのどのつかえと感じて耳鼻科まで受診することになったら、大変です」(小山先生)

更年期のうつ的な症状がある人が心療内科などを受診し、抗うつ剤を処方されることで、問題をさらにややこしくしてしまうこともあります。抗うつ剤を飲み続けると、卵巣機能の低下というシンプルな原因を隠してしまうためです。

婦人科を受診して、HRT(ホルモン補充療法)を始めたら症状はスッキリ解消されたというのもよくあるエピソードです。

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更年期の不調かもしれないと気づいたら、まず最初に更年期をきちんと診てくれる婦人科へ! それが理想的です。

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