小麦粉、ワインから検出された除草剤成分、影響を専門家が警鐘
元農林水産大臣で弁護士の山田正彦さんは、理由をこう語る。
「’18年末に発効されたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に加盟するため。TPPでは、貿易の障壁を取り除くために、残留農薬や食品添加物の基準は、世界的な食品規格である“コーデックス基準”に合わせることになっています。しかし、このコーデックス基準がくせもので、決定する構成員の大半がグローバル企業の代表者ですから規制基準が甘いのです」
TPPは、太平洋に面する国々による自由貿易を推進する協定。貿易の支障になる物品の関税を下げたり、企画に有利になる知的財産権を強化したりしている。
山田さんは、厚労省が残留基準値を引き上げたのも、グローバル企業が貿易しやすくするためで「ここまでなら安全」という基準値ではない、と警鐘を鳴らす。
厚労省に見解を求めたところ、「基準値の改正を行った際、ウェブサイトに詳細な説明を公表しているので参照してほしい」という回答があった。公表資料を見ると、次のようなものだった。
「内閣府食品安全委員会が行った食品健康影響評価によると、グリホサートには、神経毒性、発がん性等は認められなかったとされています。残留農薬については、科学的知見に基づく評価が行われ、人がその物質を一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量が設定されています」