自閉症息子の就学相談。通級指導教室、特別支援学級どっちがいい?わが家の小3の息子は5歳で自閉スペクトラム症(ASD)、小2でADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。今は通常学級に在籍しながら通級指導教室に通っています。息子は小さなころから基本的にはおとなしい性格でしたが、こだわりが強く、一旦こだわりが出てしまうと癇癪に繋がってしまうタイプです。幼稚園に通っていたころは、友達からからかわれることもありましたが、当時はからかわれていること自体に気づいてなかったのか、本人的には楽しく通っていました。そして年長になり就学相談の時期に…。すでに自閉スペクトラム症の診断を受け、療育には通っていたので私は息子の就学先を「通常学級在籍で通級指導教室に通う」と「特別支援学級在籍」で悩んでいました。Upload By ユーザー体験談特別支援学級のほうが手厚い支援を受けられる?通常学級在籍は周りの友達に影響されて成長できるかも…。私の中でどちらにしたら良いのか希望はなかなか決まらないまま、就学相談で息子は発達検査、行動観察、グループ観察などを受け、11月になり教育委員会からの結果は…。通級指導教室と判定されて。母の気持ちは…教育委員会からの結果は「通級指導教室判定」でした。息子の場合は「知的障害特別支援学級は、IQが入級基準以上のため対象外」「集団観察のときにおとなしく、問題がないと思われた」ようですが「自閉スペクトラム症の診断はあり、療育に通っている」という部分で、通級判定につながったようです。その判定を聞いて、母である私はホッとしました。私だけでは、息子にはどんな支援が必要なのかが判断しきれず、悩むばかりで息子の進学先を決められなかったからです。子どもの発達に詳しい職員や、専門家の方々がそう判断してくれる進路ならと、心強いものがありました。夫や親戚たちにも伝えたところみんな口を揃えて「良かった!」と言っており、「4月から通級指導教室で頑張っていこう」という気持ちで息子の就学問題は一旦解決をしました。Upload By ユーザー体験談入学後、うれしい配慮を感じながらも問題も出てきて…そして入学後、通常学級在籍ですが担任の先生が配慮をしてくださり、息子の席は一番前、周りには息子がよそ見をしていたら声をかけてくれそうなしっかりしている子どもたちを配置してくれました。しかし、新たな悩みも…。通級指導教室へは毎週2コマ授業を途中で抜けていくのでクラスメイトから「なんでいなくなるの?」「どこに行っているの?」と聞かれることがしばしばありました。しかしまだ小1ということもあり息子自身もなぜ行くのかよく分かっていないので「なんでだろうね~」とうまく答えられなかったようです。Upload By ユーザー体験談その様子を見ていた先生がある日私に「こんなことが多くなってきたので、ちゃんとクラスのみんなに伝えたほうが良いかもしれません」と相談をしてくれました。みんなに説明して変な風に思われないかな?と正直怖い気持ちもありました。ですが、息子のことを理解もしてほしい…悩みましたが先生とも話し合い、朝の会のときにクラスのみんなに伝えよう、という話になりました。クラスメイトに通級指導教室へ通っている理由を説明。みんなの反応は?そして朝の会の当日…息子は自分で通級指導教室に通っている理由を言いました…が、まだ幼いということもあり、なぜ自分が通っているのかよく分かっていない息子。私と先生が渡したメモをそのまま読んでいましたが、本人の口から言うことが重要だと思ったので、そこは良かったと思います。そのあと先生が「みんなはガヤガヤしてるところで疲れちゃうことはない?」「〇〇くん(息子)はみんなよりそういう部分を感じやすいから少し離れて違う場所で勉強をしているんだよ。」とフォローしてくださったことで、クラスメイトたちも理解をしてくれたようです。その後は通級指導教室に行くときも「なんで?」と聞く子どももいなくなり、「いってらっしゃい!」と明るく送ってくれるようになりました。小3になった今は通級仲間もできて「自分だけじゃない」と安心して学校生活を楽しんでいるようです。Upload By ユーザー体験談しかし、また別の問題も出てきて…友達関係はうまくいっていますが、小3になるとどんどん勉強も難しくなり、通級で支援を受けていてもついていけなくなることが増えてきました。宿題の量も増え、終わらず癇癪を起こしてしまい、私も息子もイライラ…これでは良くないと特別支援学級への在籍移動を担任に相談しましたが、「特別支援学級は今これ以上人数を増やせない」「空きができても、息子さん以上に支援の必要な子どもが優先になってしまう」と断られてしまいました。もちろんその部分の優先順位は理解しています。ですが、それが息子が特別支援学級に入れない理由になってしまうのはまた違う問題になってきます。小学生のうちに、改めて在籍級について悩むことになるとは…通級指導教室に通えば一安心という訳ではありませんでした。今も担任や校長先生たちを交えてどのような形が一番息子に良いのかを話し合っています。これからもたくさん悩むこともあるだろうけど、先生方や息子の意見も聞きながら息子に合った環境を模索していければと思っています。イラスト/keikoエピソード提供/かけうどん(監修:鈴木先生より)「指導」と言う言葉はどうしても上から目線になってしまいがちなのでやはり「支援」という言葉にした方が私はいいと常々思っております。どちらにしても支援が必要なお子さんなので、ご本人や親御さんの意見を伺いつつ学期ごとにあるいは日ごとに変えられるような柔軟性が必要だと思います。今の制度では年度初めに決めたら1年間はそのままで行くことが多いようです。通級か在籍かを議論する特別支援教育委員会では有識者も含めて個人個人について話し合いますが、あくまでも紙の上での話だけであり、みんなが実際に本人の姿を見ているわけではありません。主治医の意見書などはなく、IQテスト中心に話が進んでいることが多く、実際に通ってみないと分からないのが現状です。どちらにするかは親御さんが決めることで、教育委員会の指示に従う義務はないのです。事務的な手続き優先ではなく、子どもファーストの考えを持って対応できる学校環境が望ましいのです。また、通級などで途中退席する子どももいることを事前に担任がみんなに分かりやすく説明して周知しておく必要があります。そうすれば「なんでいなくなるの?」ではなく、「頑張ってね」という言葉が必然的に同級生から出るはずです。隠さずにみんなで支援していく空気が必要なのではないでしょうか。毎年同じようなお子さんはいるので教員は先のことを見据えて早めにみんなと共有すべきだったのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月23日発達障害のある子どもの不登校。特性のふまえ方は?不登校の小中学生は年々増加傾向にあります。発達障害のある子どもの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があり、困りごとを抱えている中で不登校につながることがあります。そこでLITALICO発達ナビでは2023年1月に「発達障害のある子の不登校サポートセミナー」を開催し、臨床心理士・公認心理師であり、東京都内でスクールカウンセラーも務めていらっしゃる初川久美子先生に、不登校サポートに関してお話いただきました。このコラムでは不登校生セミナーでの講演から一部を紹介し、さらにあらたな質問と回答を加え「発達障害のある子どもの特性のふまえ方、自宅での過ごし方、学習のすすめ方」を中心にご紹介します。子どもが「学校に行きたくない」と言い出したときは、子ども自身がさんざん悩みに悩んだ結果のうえで、それでもどうにもならなかったから出している「SOS」であり、問題を解決するよりも先に、まず休養をとることが最優先と考えましょう。保護者の方自身も悩み、サポートしていくうちに疲れてしまうという声も多く耳にします。大人自身が不安な気持ちを信頼できる人に話したり、今や将来への情報を集めてみる(想像より選択肢は多く不安が少し解消されるかもしれません)、そして保護者が自分自身を休める時間をつくることが大切です。発達障害のある子どもの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があります。能力として「できる/できない」以前に、学校生活を送るだけで消耗しやすい状態になりやすく、自分自身のコンディションによって思うような行動ができずに困りごとを抱えてしまうことも多く、不登校や行き渋りにつながることがあります。では、発達障害のある子どもの特性のふまえ方はどう考えたらよいのでしょうか。発達障害には主に3つのグループがあります。Upload By 発達障害のキホンしかし、「自閉スペクトラム症のある子どもの不登校には○○をしたら正解」「ADHDのある子どもの不登校は、このようにサポートしたらうまくいく」「学習障害のある子どもの不登校の対応はこれ」などといった、型の決まった解決方法というものは、残念ながら存在しません。発達障害は、その子の一部分でしかないため、お子さんの状態は「特性によるもの、性格によるもの、環境によるもの」などさまざまです。そのため特性にだけ焦点をあてて対応するのではなく、特性による対応は「大まかな方針」として考えるとよいと思います。では、以下でそれぞれの特性のふまえ方の例をご紹介します。例1、ルーティンがあるほうがよいかルーティンを取り入れられるのであれば、家での過ごし方の”大まかなスケジュール”をお子さんとの話し合いで決めてもよいと思います。例えば「午前中は本を読んで、ゲームは午後からにしよう」「1日1ページは漢字ドリルをやろう」など。また、何をしていいかわからないと困ってしまい「ルーティンがあったほうが過ごしやすい」というお子さんもいるので、その場合は何かルーティンがあることで、「今日も一日中何もしなかった」「つまらなかった」などとなることを防ぐことができるかもしれません。例2、学校を休むことに罪悪感が強い場合学校に行くのはつらいけれど、休むことへの罪悪感が強いお子さんもいます。その場合は、学校との関わり方を模索するとよいでしょう。詳しくはこちらのコラムをご覧ください。例3、どこでどう過ごすか「家で静かに過ごすだけなのは苦痛」というお子さんもいらっしゃると思います。例えば「放課後の校庭開放に行ってみよう」「放課後は友達と遊ぼう」「朝など、保護者と一緒にジョギングしよう」など、少し広い場所などで活動する時間をつくるとよい場合があります。自治体の適応指導教室の利用を考えてもいいかもしれません。例4、最低限、守ることを決めたほうがよい場合自分がやりたいことに対して制御できないというお子さんもいると思います。保護者の方もこのままではルールがなし崩しになってしまって危険と感じるようなとき、最低限のルールを決めることは必要だと思います。例えば「ゲームを始めると歯止めが利かず、いつまでもやり続けてしまう」などの場合は「ゲームの終わりの時間を決める」「夜はゲームをしない」「寝る時間を決める」「夕食は家族と一緒に食べる」など、(すべてを制限するのではなく)ルールを厳選して持つことが必要かもしれません。ここからは、子どもが不登校になったとき保護者はどうしたらよいのか、学校との連携についてなど寄せられた質問に初川先生に具体例を交えてご回答いただきます。Q.不登校になり家でゲームをずっとやっている息子。依存症にならないか心配【質問】不登校の小4の息子(自閉スペクトラム症/ADHD)がいます。ゲームが大好きで延々やっていても楽しそうです。無制限で徹夜でやりたがります。それでも許可してよいのでしょうか。依存にならないか心配です【回答】許可しない方がいいと思います。息子さんの特性的な面を考えると、ゲームのような楽しいものから離れづらい(自らおしまいにすることが苦手な)面があるのではと感じます。子どもは、好きなものには飛びつきやすく、生活リズムや体調管理、そして家族との生活(一人で生きているわけではない)を考慮して自らの行動をコントロールすることについては、まだまだ未熟、未発達な面があります。そういった意味で、家庭としてルールは設定してあげたほうがよい場合があります。息子さんの場合はそうだと思います。その設定の仕方はお子さんの特性や状態と家庭の考え方によるとは思います。終わりの時間を定めるだけにするか、始まりの時間も定めるか(不登校のお子さんのご家庭でよくあるのは「ゲームは午後から」や「ゲームは学校が終わった時間から」ですね)、食事は家族と一緒に取ることも追加するか、そのあたりはお子さんとも話し合ってご家庭の方針でと思います。不登校なり始めの際に、「学校に行っていないのだから、ゲームは禁止」とされるご家庭があると思います。また、「学校を休んでいるなら、寝ているか勉強しているか、あるいはお手伝いするかのどれかじゃないとだめ」と考える保護者の方もいらっしゃるように感じます。学校に行けないことの罰として、お子さんの好きなものを取り上げてしまうような対応をすると、お子さんは学校に行けないのもよくないと分かっているのに、さらに家でも苦しい状況に陥ってしまいます。また、休みはじめは疲れ切っていたり、好きなことすらやる気が湧かないような状態のこともあります。そういう場合は、お子さんの好きな活動や遊びをする時間をうまく取り入れていくことはとても意味のある大事なことになります。子どもは遊びから元気をもらう場合が多くあります。ただ、だからといって、際限なくさせるというのはまた違う話です。結果としてお子さんが一時的に昼夜逆転になることは多くのケースでありますが、昼夜逆転を引き起こすような設定をする(際限なく動画やゲームを許可する)のはちょっと違うと感じます。お子さんが落ち着いて話せそうなときに、生活のルールについて話し合うことは大切です。ただ、それがあまりにも細かすぎるとそこにもお子さんが疲弊してしまうので、ざっくりとしたルール(消灯時間やゲーム・動画の終わり時間を定めるなど)でよいように感じます。Upload By 発達障害のキホンQ.ルーティンがあるほうが安心して過ごせるようだが、時間の感覚が苦手な場合、どうしたらいい?【質問】子どもは「ルーティン」は好きなのですが、 時間感覚に少し苦手があるのか、 時間で決めるとうまくいかない場合が多く、親子共に困ることがあります。 時間感覚に少し苦手な場合のルーティンづくりのコツがありましたら教えていただけると幸いです【回答】ここはぜひご本人とも話し合っていただきたいのですが、時間管理を細かく決めすぎるとせっかくの過ごしやすいはずのルーティンがそうではなくなってしまいます。まずは親子で工夫を考えていただければと思います。私は基本的には時間は決めすぎない方がよいと思っていて、日によって多少ずれるのは自然なことだと思います(コンディションがいいからたくさん何かをやる日もあれば、やる気がどうにも出なくて少しゆるく過ごしたくなる日もあるのは自然です)。そういう意味で、帳尻を合わせるところをむしろ考えたらよいのではと思います。夕食は何時から(多少幅を持たせておいた方が苦しくはならないと思います)、寝る時間は何時といったざっくりさ。あるいは、午前中の間にこれとこれをする、くらいのざっくりさ。本人とどこで帳尻を合わせるか、つまり、優先順位の高い時間のルールはどこかを定めるという話し合いをぜひしていただければと思います。保護者が声をかけるのはその決めたところだけでいいのか、そのほかもリマインダーとして声をかけてほしいのか、そのあたりも相談できるといいと思います。ルーティンによって安心がもらえるタイプの方は、ぜひルーティンによって心穏やかに過ごせることを受け取ってほしいと思うので、だからこそルーティンに振り回されないことが大事になります。また、大人になってゆくことを考えると、ルーティンと自分自身のコンディションとを考慮できるようになっていくことも大事なことにはなります。例えば今日は疲れているから今日はこれはやらない、という多少の臨機応変さです。今そこまでできずとも、ゆくゆくそうした臨機応変を入れても大丈夫なだけの余白は残しておきたいという意味で、ゆるめのルーティンを一緒に検討しておくという準備が今からできるのではと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.発達障害があり、服薬をしている娘が最近になりこだわりも増え毎日学校に遅刻。薬の増量をお願いしたほうがいい?思春期特有のパワー不足?【質問】自閉スペクトラム症(ASD)とADHDがあり、服薬をしている小学6年生の娘がいます。最近、こだわりも増え、学校に行きたくないと言い出し、理由は自分でも分からないと言いますが、毎日遅刻して登校しています。薬の増量をお願いするのか、思春期でよく起こるパワー不足による不登校が起きているのか、どうやって判断をしたらいいでしょうか?【回答】まずは、遅刻してでも毎日通っているのは娘さんはとても頑張っているのだと感じます。娘さんに限らず、学校に行きたくないと感じる子どもは、その理由をしっかりと語れることはあまり多くありません。学校あるいはそのほかの場面で、何らか苦戦している・つらいことがあると理解しておきましょう。自閉スペクトラム症とADHDがあるとのことですが、その場合、学校生活や集団生活ではさまざまに困難があることが考えられます。予期せぬ展開に戸惑ったり、注意集中が困難で頑張ろうとしているのに気がそれてしまったり。クラスの仲間との関係も気になるところです。そして小6だと授業がとても難しく、進みも速いかもしれません。遅刻によって参加できない授業があると、飛び飛びに受講することとなり、都度戸惑っている可能性もあります。授業はまだ参加さえしていれば過ごしやすいと感じるものの、休み時間をどう過ごしたらいいか分からない、誰かと一緒にいたいのにひとりぼっちになる。こうしたことが学校のつらさの要因になっているお子さんもいます。このように、さまざまな可能性が考えられます。まずは、担任の先生に、娘さんが学校で過ごしているときの様子(授業場面、生活場面、人間関係についてなど)を聞いてみるのがよいのではないでしょうか。また、娘さんにも学校で楽しい時間や授業があるか、困っていることはないかなど聞いてみるといいと思います。思春期になると、学習がどんどん難しくなり、ある程度の意欲がないとつらくなりやすいです。自分のことも多少客観視できるようになる中で、学校という環境(学習、友達、先生などさまざまありますが)にしっくりくるかどうかというところに自覚的になってくる面があります(これは成長の一つとも考えられます)。「思春期でよく起こるパワー不足による不登校」が何を指すのか私には分かりませんが、ともあれ、型にはめすぎることなく、お子さん本人がどう困っているのか、意欲などのコンディションはどうかなどを多角的に見ていただければと思います。親が学校に行ってほしい思いが強く、それが子どもにも伝わっている場合だと、子どもが学校の何がどうつらいのかをより一層言いづらくなることもあります。言ったところで反論されることが目に見えると言わないでおく子どももいます。思春期だとそうした面が強く出ることもあるので、そういう場合は親子で話し合うというよりも、担任の先生やスクールカウンセラー、養護の先生など、お子さん本人が話しやすい相手と話をするセッティングを取ることも工夫として考えられます。そして、もう一つ考えておきたいのは、本人がうまく言葉で説明できずとも、何となく学校が嫌だと感じている場合に、そこに無理に行かせることがよいことかということです。(本人にとっては)耐え難い環境に身を置いてどんないいことがあるのだろうか…と考えてしまいます。もちろんそれがゼロ(全く登校しない)か100(朝から最後までずっと登校している)かという話ではないので、無理なく、学習やさまざまな活動にそれなりに参加できる登校スタイルはどんなものかを考えてみるのは一つ大事なことかもしれません。場合によっては、登校することと併せて、自治体の適応指導教室や教育相談室、あるいはフリースクールの併用なども検討してもいいでしょう。学校のことに限らず、本人にとって意欲的に取り組めること、好きなこと、楽しめることなども同じように一度振り返っておくとよいでしょう。意欲を削がれる局面が多すぎると、好きなことすら楽しめなくなり、いよいよ調子が悪くなってしまうこともあります。薬については、主治医の先生にご相談をと思います。いかなる薬も、薬で得られることは限定的です。よく言われるのは、イイコになる薬や学校に行けるようになる薬はないということです。ご自身のコントロールの範疇を超えてイライラが止まらない、集中が難しい…そうした場合に服薬の検討が入るのだと理解しています。娘さんにとって学校がどんな場所か、どんなふうだったらもっといやすい場所になるか。学習に取り組みやすいか。そうした本人の心と、それを取り巻く外枠との調整をまずご検討いただければと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.不登校の息子は自分の気持ちを表現するのが苦手、思春期で接し方も難しい。関わり方のコツは?【質問】中学1年生の息子は、二学期から不登校です。自分の訴えが中々うまく表現できません。また、思春期、反抗期ということもあり、関わりが難しいです。約束事も少なく厳選していますが、守るのが難しいです。関わり方にコツがあれば教えてください。【回答】話すのが得意な子どももいれば苦手な子どももいます。自分の思いがなかなかうまく伝えられないのは本人にとってもつらかろうと思います。伝えたいこと、分かってほしいことはあっても、うまくそこがうまく表現できないと苛立ち、あきらめなどの気持ちがわいてきてしまうかもしれません。そんな中で、不登校があり、家の中でも守るべき約束事があり…保護者の方へ反抗が向くのは自然な流れのようにも感じます。そういう意味では、無理に語らせるというよりも、まずは他愛もない話がお互い窮屈でなくできる関係でいることが大事かなと思います。昔からよく言われることではありますが、話をするときは同じ方向を向いている方が話しやすいです。面と向かって座ると実は話しにくいのです。散歩をしながら、一緒に料理をしながら。そのほか、何もしない時間を一緒に味わうこともとても良きことなので、おすすめは釣りです。ともあれ、同じ方向を見て、話しても話さなくてもいい時間で、その中で散歩なら目についたものを話す、料理だったら一緒に作業をする。釣りなら釣り糸を眺める。大人は、状況を前に進めるために話をして聞き出したり説得したりしたくなってしまいますが、そうではない時間を大切にしていく。親と話すのは、学校どうするの?勉強どうするの?だけになってしまうと、ますます話さなくなるだろうことは想像できると思うのですが、だからこそ、逆説的にただ一緒に過ごす。そんな時間を大切にしていくことが大事なのではと感じます。Upload By 発達障害のキホンQ.きょうだいそろって不登校。対応の注意点やアドバイスは?【質問】中学2年生の娘と、小学4年生の息子が不登校です。姉弟そろって不登校の場合の注意点やアドバイスなどもあればお聞きしたいです。【回答】きょうだい揃って不登校だと保護者の方のご心配や焦りはいかほどかと思います。きょうだいで徒党を組んで保護者の決めたルールを壊しにかかったり、どちらかが何かに意欲的に取り組もうとするともう一人の方が足を引っ張ろうとしたり、そうした難しさがあるのではと想像します。家の生活上のルールに関しては、2人からとやかく言われたとしても、守るべき線がある場合はどうにか守っていただきたいと思います。一度緩めてしまうとそこを立て直すのはなかなか難しいだろうと感じます。また、娘さんと息子さんの不登校の理由や学校の状況はそれぞれ違うはずです。おそらく、学習に関しての得意不得意や同世代の人間関係の築き方も違う。好きなものや楽しめることも(同じものもあるかもしれませんが)違うことがあるはずです。2人は不登校という広い括りでは似ていますが、違う状況にあると思います。2人がそれぞれ自分の人生を歩めるように、それぞれと話す時間を設けたり、「あなたのいいところはこういうところだね」「こういうことをしているときのあなたはとてもいい表情をしているよ」とそれぞれに伝えていったり。そうして、それぞれが自分のことを自分のこととして考えられるように支えることができたらよさそうだと感じます。きょうだいでお互いがお互いに重ねて理解したり、片方がこうだから自分も…と考えてしまったり、2人の中でそうしたときもあるにしても、そうでない時間や場面を大切にしていただけたらと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.小5息子の休んだ分の勉強のフォローはどうしたらいい?無理にやらせないほうがいい?【質問】小学5年生の息子(自閉スペクトラム症)が11月から行き渋りが始まり、午前中の途中から登校しています。勉強が分からない、授業がつまらないと言うので、休んだ分家で勉強のフォローをしようと思うのですが、あまりやりたがりません。今は無理に勉強させないほうがよいのでしょうか?【回答】午前中の途中から登校しているとのこと、本人にとって良きペースであれば何よりです。小学5年生の勉強は難しいですね。授業を毎回出ていても難しいと感じるお子さんが増え始めるのが小学4年生の後半以降だなと感じるので、小学5年生はなおのこと難しいと思います。授業が飛び飛びになると、より一層難しく感じられる(抜けた分を想像しながら聞かないといけない)のはありそうですね。ただ、その前からもしかしたらつまずきがあり、1日6時間分の授業を受けることがつらいから朝から学校行く元気が湧かない…というお子さんもいるようにも感じます。「勉強が分からないなら、その分を家でフォローしたらいいのでは」とおっしゃるのは、ごもっともだと思います。分からない授業を聞くのは「つまらない」ので授業が分かるようにしよう。ただ、それがうまくいくのは、そこにコミットして解決してまで学校の授業に参加したいという強い気持ちがある場合だけだろうなと感じます。また、家で保護者と学習をする際には、保護者が一生懸命になるあまり、子どもと喧嘩になることが多いように感じます。小学校高学年以降の親子での学習は、保護者が熱くなりすぎないよう注意も必要です。「無理に勉強させて」いいことはあまりありません。「勉強したくなったら一緒にやるよ、分からないところは教えるよ」くらいのスタンスでいいように思います。ここから先はお子さんの学習意欲にもよりますが、親子で喧嘩しながら勉強したいとは思わないけれど、少しは取り組んでみたいと思うなら、通信教材の活用や、今は動画で単元ごとに配信されているものもあります。そういうものを使って取り組んでみる。分からないところは保護者やあるいは担任の先生に聞くということができるといいでしょう。今まさに授業でやっている内容につまずきがある場合に、その前の内容からつまずいていたらそちらの復習が先になるでしょう。小数のかけ算でつまずいているなら、まず簡単なかけ算からやって、「そうだった」「できるできる」を取り戻しながら取り組めるといいでしょう。昔のドリルや問題集をやってみたり、ネットで無料の問題もシェアされています。学校から配布されているタブレットにもタブレットで回答できるドリルが入っている場合もあります。本人に合っていて、やってみたいと思うものをやってみてもいいかもしれません。あまり多くはないですが、勉強は保護者や学校の先生ではない、勉強を教えてくれる専門の人に教わりたいと思うお子さんもいます。塾や家庭教師の先生とだとできる場合もあるので、そうしたことも検討してみてもいいかもしれません。さまざま書いてきましたが、大事なのは本人がどうしたいかです。こうしたいという気持ちがあれば、それに合わせてさまざま提案することはできると思います。ただ、何もしたくないというときはそれを尊重するのも1つです。午前中の途中から登校することの、本人にとっての良さはなんでしょうか。誰かと会える、給食が食べられる、休み時間遊べる、勉強ができる、放課後に遊ぶ約束ができる、家でゲームができる。いろいろあると思いますが、それと登校スタイルと、そして学習と。負荷がかかりすぎず、それなりにどれも得られるバランスを探っていただければと思います。そしてそのバランスはときどき変わってくると思います。一度決めたやり方にとらわれすぎず、本人の気持ちとコンディションに合わせて、適宜変更を加えながら進めていただければと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.長期化した不登校。親はどこまで関わっていいもの?【質問】不登校が長期になってきた場合の家での過ごし方(中学生)どこまで親が関わればいいのか知りたいです【回答】中学生で、しかも長期にわたると生活リズムを一定に保つことも難しいことが多くなります。多くの子どもたちが学校で過ごす時間帯、明るい時間帯にたとえ家であっても心穏やかに過ごすことが(自覚の有無は人それぞれですが)つらく感じられたり、家族が寝静まった夜中だと過ごしやすい気がしたり。日中動かないがゆえに自然と眠くなることも少なく、寝ようと思ってもあまりすぐに寝つけなくなっていたり。ネット上などに友達がいる場合は、そうした仲間たちがネットに集まるのが夜間であることも多く、生活時間帯が後ろ倒しになりやすいです。ネットやスマホは○時までとルールを定めたり、あるいは家庭全体夜間はWi-fiを切ったりなどさまざま工夫される保護者の方もいらっしゃいます。そうしたルールや枠組みでうまくいく場合はそれでいいと思いますが、そこで喧嘩したり、ぎすぎすしたりといったこともよくある話ではあります。どこで折り合いをつけるかはケースバイケースだと感じます(単にそうしたものを取り上げるだけだと、お子さんにとって心のよりどころも失うことになる可能性もあるので、ゼロか100かというよりも、折り合いのつけ方なのだと感じます)。ただ、家族として同じ家で生活をしているので、お子さんの過ごし方が目に余ると保護者としてイライラしてくるのも自然なことだと思います。そういう意味でも、お子さんと家での過ごし方や学習の仕方、あるいは家庭以外での過ごし方(学校に部分登校できるか、適応指導教室やフリースクールに通えるか、相談機関に通えるか)を話し合い、大方の過ごし方について決めて、そこが維持されていればそれ以上は口は出さないという線を決めたいところです。実際のところでいえば、「高校に(は)行きたい」と考えているお子さんが多く、中学3年生の春夏ごろから高校の見学や説明会に出向くなど動き始めるお子さんは結構います。逆に言うと、そこまでは動きが見られない場合も多いです。動き出す時期のために、進路情報を保護者が集めておく(集めた情報を本人に知らせるかどうかは慎重にと思います。機が熟すのを待つほうがいい気がします)ことなどをしておきましょう。中学3年の秋以降は志望校に合わせた準備に取り組むこともよく見られます。どのような高校の種類があり、お子さんにはどんな学校が合っていそうかということは、担任の先生や進路の先生、地域のそうした情報に詳しい適応指導教室や教育支援センター、教育相談室などで聞いてみるのもいいと思います。情報は集めつつも、あくまでも本人が通いたいという意志を見せた学校に進学すること、そのために何校か見学すること。保護者はその手伝いをするということ。それを本人にも折々に伝えていただければと思います。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある子どもの不登校。特性はおおまかな指針であり、大切なのは子どもの状態に合わせた対応発達障害がある子どもが不登校になったとき、その子どもの特性に焦点をあてて解決の糸口を探ることは多くあると思います。しかし、発達障害はその子どもの一部にしかすぎず、特性だけに焦点をあてても状況がよくならないことも多くあります。特性のふまえ方を大まかな指針として、それぞれのお子さんの特性、性格、環境、こころの状態などを見ながら対応しましょう。そして何より、子どもも保護者も学校の先生も途中で疲れ切ってしまわないように持続可能なペースでサポートしていくことが大切です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月26日文武両道を目指して「スポーツを頑張る子どもたちのために」という想いを胸に、中高生の「自学力」を身につけるための学習サポートを行う「明誠塾アカトレ」。サッカーを始め、スポーツを頑張る子どもたちの「学習サポート」をするために「アカトレ(アカデミックトレーニング)」を立ち上げたのが、現役阪大生の丹羽楓樹さんと植松耀平さんです。記事後編では、アカトレが大事にしている3つのことを通して、「意味のある勉強の仕方」を紹介します。(取材・文鈴木智之) アカトレを運営する塾長の丹羽さん、代表の植松さんは高校時代まで陸上、野球と多くの時間をスポーツに注いできました。そんな中で植松さんは現役で、丹羽さんは1浪して大阪大学に進学したのは、前回の記事で紹介したとおりです。アカトレを運営しながら、大阪大学で勉強を続ける二人が大切にしていること。それが「勉強は時間ではなく回数」「何のためにこの勉強をするのかを考える」「目標から逆算する力」の3つです。これはスポーツにも通じるところがあり、サッカーをする子どもたちにも、受け入れやすい考え方なのではないでしょうか。■1つ目の「勉強は時間ではなく回数」丹羽さんは次のように説明します。「アカトレでは『1日25分学習』を推奨しています。時間ではなく回数。これが代表の植松が作った考え方です。なので、週に1回4時間勉強をしても、僕たちは良しとしません。それよりも1日25分の勉強を毎日する。サッカーの練習が忙しくても、1日に25分なら時間は取れると思います」アカトレはオンライン形式なので、場所にとらわれずに勉強することができます。「練習前後の車や電車の中でもいいですし、寝る前にベッドに寝転びながら、僕たちが作った『A-TUBE』の動画を見てモチベーションを高めたり、単語帳を見るのも勉強です。何でもいいので、とにかく毎日25分やってみようというところからスタートしています」■2つ目の「何のために、この勉強をするのかを考えること」いわゆる目的意識です。勉強もスポーツも、ただ漠然と与えられたことをこなしていても力はつきません。「アカトレは高校入試や大学受験を目的とするのではなく、自ら学ぶ力(自学力)を育んでほしいと思っています。たとえばサッカーの強豪校に進学したとして、毎日2時間の勉強時間を作るのは難しいでしょう。サッカーも同じで、自主練をする時間は限られます。その中で、いかにして効率よく学習し、上達するかを考えることが大切だと思っています」目的意識を持つことで、いますべきことに意識が向き、それに対するフィードバックが生まれます。それを繰り返すことで、成長へとつながっていきます。■3つ目のポイントは「目標からの逆算」丹羽さんは「スポーツをしている子たちは、目標を立てることが日常になっているので、理解しやすいのではないでしょうか」と言います。 「全国大会に出たい、レギュラーになりたいなど、スポーツをしている人は、何かしらの目標を立てると思います。目標を立てて終わりではなく、目標から現在地を逆算して、『達成するために、1ヶ月後にはどうなっていればいいだろう』といった視点を持つことが大切だと教えています」アカトレでは目標設定の授業もあるそうで、「全国大会に出場するために、中間目標を立てたり、レギュラーになるために、レギュラーの選手と自分との違いを考えて、どうすればいいかを考えるといったアドバイスをしています」と話します。アカトレで教えているのは「スポーツも勉強も頭を使ってやろう」ということ。それが文武両道につながっていきます。頭を使って取り組むこと、目標を立てて、達成するためのプロセスを考えることなどは、社会に出てからも大いに役立つ能力です。■勉強が好きになるきっかけづくり丹羽さんたちがアカトレを立ち上げた背景には、「学校の成績が低いと、スポーツ目的で行きたい高校があったとしても、行けない可能性がある」という現実があります。いくらサッカーが上手くても、学校の成績が低い子は入学できないといったケースはたくさんあります。「僕もそうでしたが、スポーツしかして来なかった子は、勉強で苦労します。スポーツ推薦で進学するにしても、最低これぐらいの成績は必要というラインがあり、とくにサッカー推薦は、ある程度の成績が必要な傾向にあります」サッカーの力はあるのに、学力が足りずに志望校に行けないとなると、悔やんでも悔みきれません。丹羽さんたちは「本気でスポーツをしている子に対して、勉強で進む選択肢も作ってあげたい」という想いから、アカトレをいわゆる学習塾ではなく「学習サポート」という位置づけにしています。カリキュラムは充実しており、現役阪大生が講師となって、各教科の内容を教える動画を制作。選手と講師の間で目標設定を共有するとともに、講師に自由に質問ができる自習室を設けるなど、自らが、短時間の効率的な勉強で大阪大学に入学したノウハウを伝えています。「アカトレは『アカデミックトレーニング』の略です。勉強もスポーツと同じように、トレーニング感覚でやってほしいという意味を込めています。サッカーなら何時間でも練習しますが、勉強になるとゼロになってしまう子も多いです。サッカーのドリブルを練習するように、数学のトレーニングもしてもらえたらと思っています」丹羽さんは「僕らがしているのは、勉強が好きになるきっかけづくりです」と、笑顔で言います。「アカトレを受けている子たちの中には『勉強って意外と面白いんですね』『思ったよりつまらなくない』と言ってくれる子も多いです。それが僕はきっかけ作りだと思っていて、そうするうちに好きな科目が出てくるので、『数学ができれば英語もできるようになるよ。やり方は同じだから』とアドバイスをして、できることを広げていきます」アカトレの講師はスーツを着ない、授業で堅い話はしないなど、子どもたちが勉強を身近に感じるような工夫をしています。丹羽さんも講師として授業をしていますが、テンションが高くて親しみやすいYouTuberのような語り口です。「講師の先生には、とにかく勉強を嫌いにさせないでください。苦手意識を与えないでくださいという話をしています」という丹羽さん。現代の文化とニーズにマッチしたアカトレは、中学のクラブチームや高校の部活単位で導入を進めており、文武両道に向けて、広がりが見られています。「昨年度の高校サッカー選手権に出場した福岡の飯塚高校を始め、とくにサッカー指導者の方は、勉強の大切さを痛感しておられるので、アカトレの話をすると共感してくれる方が多いです」中高生を対象に活動するアカトレ。スポーツと勉強を頑張るためのきっかけ作りとして、子どもたちのサポートに力を入れていくとのことで、今後の活動に注目です!<PR>「1日体験授業」も受付中
2023年03月14日文武両道を目指して「スポーツを頑張る子どもたちのために」という想いを胸に、中高生の「自学力」を身につけるための学習サポートを行っている団体があります。それが「明誠塾アカトレ」です。サッカーを始め、スポーツを頑張る子どもたちの「学習サポート」をするために「アカトレ(アカデミックトレーニング)」を立ち上げた、現役阪大生の丹羽楓樹さんに、自分で学ぶ力、すなわち「自学力」を身につけるために、大切なことを聞きました。(取材・文鈴木智之)「明誠塾アカトレ」を立ち上げた塾長の丹羽楓樹さんは、大阪大学の学生です。幼少期から高校生まで陸上競技の中長距離の選手として活躍し、近畿大会に出場するほどでした。丹羽さんには「箱根駅伝に出たい」という夢があり、関東の強豪大学へ推薦での進学が決まっていました。しかし高校3年生の12月にひざの靭帯を断裂。ケガによって推薦が取り消され、将来設計が大きく崩れてしまいます。「関東の大学に行って箱根駅伝に出て、卒業後は実業団に入り、いつかは陸上部の監督になって、母校に戻ってきたいと考えていました」人生を賭けて陸上に打ち込んできた丹羽さんでしたが、ケガにより、描いていた未来が閉ざされてしまいます。「陸上のない人生を考えたのは、そのときが初めてでした。陸上がなくなって思ったのが、もっと勉強しておけばよかったということ。陸上を失った僕には、何も残っていないことに気がついたんです」幼少期から陸上にのめり込んでいた丹羽さんは、高校生までの自分を振り返り、「勉強なんてどうでもいいと思っていました」と照れくさそうに語ります。高校卒業後は帰国子女の経験を活かし、塾で英語を教えるアルバイトはしていましたが、進むべき道を模索する時間が続きました。フリーターのような形で塾講師をしていた頃、ひとりの人物と出会います。それがアカトレを一緒に立ち上げることになる、植松耀平さんです。植松さんは千葉県の成田高校から、現役で大阪大学に進学。野球部の強豪で寮生活をしながら、現役で国立大学に進むという、文武両道を体現していました。「植松とは食事の場で会ったのですが、彼は野球の強豪校で、部活に励みながらも現役で国立大学に合格。正直、劣等感を覚えました。そのとき彼に『いま何をしてるの?』と聞かれて『とくに何もしていないんだ』と話をしたら『じゃあ、勉強すればいいやん』と言われたんです」それまで勉強に励んでこなかった丹羽さんは「そんな選択肢もあるんだ」と思うと同時に「陸上中心の生活をしてきた自分に、勉強なんてできるのだろうか」と、不安が頭をよぎったそうです。「そうしたら植松が『じゃあ、勉強の仕方だけ教えたるわ』と言ってくれたんです」そこから植松さんの家に通い、「勉強の仕方」を教わる日々が続きます。「5日間ほど通っていたと思うのですが、彼が高校時代に使っていた参考書を見せてくれて、勉強の仕方を教えてくれました。そのときに『賢い人って、こうやって勉強するんや』と衝撃を受けまして」植松さんは高校時代、強豪校の野球部に所属し、寮生活をしていました。丹羽さんによると「高校時代、限られた勉強時間で成果を出すために、どうすればいいのかを考え続けてきた」そうです。植松さんに勉強の仕方を教わり、受験勉強に取り組むことにした丹羽さんでしたが、その時点で、高校を卒業してから半年が過ぎていました。「勉強の仕方を教わったのが9月の頭だったので、センター試験までには5ヶ月ほどしかありませんでした。残された時間は少なかったですが、何をどうやって勉強すればいいかを教えてくれたので、それならできるかもしれないと、勉強をする気になれたんです」目指したのは大阪大学。植松さんと同じ大学です。「推薦で大学に行けず、親に迷惑をかけたのもありましたし、学費のことを考えて」の決断でした。丹羽さんはそこから、植松さんに教わった「入試の日から逆算して記憶する方法」や「問題演習のやり方」「問題集の意味と目的」など、勉強をする上で必要なことをベースに猛勉強。模試の偏差値41からスタートし、5ヶ月間の勉強の末に、合格を勝ち取りました。「そこで気がついたことがあります。それは『いかに意味のある勉強をするか』です。たとえば漢字を10回書きなさい、これには意味があるのかな。何のためにやってるのかを、いま勉強していることに対して言えますか? スポーツをしている子は、いま練習していることに対して、どんな意味があって、どんな目的があるかを言えますか? 僕らが運営しているアカトレでは、そこに対する考え方や目標設定を重視しています」無駄なことを長時間するのではなく、意味のあることに集中して取り組み、パフォーマンスを高める。これはサッカーの練習にも通じるところです。「アカトレのテーマは『自学力』なのですが、自分で学び取る力に関わってくるのが『目的意識』です。常に、『何のためにこれをしているのかを考えよう』というのが、一つの方針です」いましている勉強は、テストで80点を取るために必要なことかな?サッカーでレギュラーになるために、この自主練でいいのかな?など、「自分が達成したい目標に対して、この行動は適切なものか」を考えること。それがアカトレで大切にしていることだと言います。「アカトレはサッカーの練習が終わったあと、夜の9時過ぎからオンラインで行います。その中で、まずテスト勉強ですることを書き出してもらい、その中からいますべき、必要なことを選んでもらいます。それに対して、僕を始めとする講師が必要なものとそうではないもののアドバイスをします」講師は現役の阪大生が担当し、動画を使った親しみやすい授業を展開しており「勉強へのハードルを下げることを大事にしている」そうです。サッカーに熱中していたとしても、勉強を避けて通ることはできません。進路選びだけでなく「テストの点数が低いと、サッカー活動に参加できない」といったルールを設ける部活やクラブもあります。アカトレはスポーツをする中高生を対象に、クラブ単位で導入するシステムを採用しています。サッカーを中心に広がりを見せており、2022年度の全国高校サッカー選手権に出場した飯塚高校(福岡県)など、高校の部活で導入しているところもあります。飯塚高校では、高校部門のモデル校として昨年からプレ導入、そして今年第1校目として本格的に導入を進めています。次回の記事では、アカトレが大事にしている3つのことを通して、「意味のある勉強の仕方」に迫っていきます。<PR>「1日体験授業」も受付中
2023年03月09日塾はまだ早い?迷うわが家が始めたタブレット用の「勉強アプリ」Upload By 丸山さとこ息子のコウは中学1年生の今、学習塾に通っていません。塾について家族で相談した結果、「大勢に向けた話を聞くのが難しい今の段階では、集団塾に通っても効果は薄いだろう」という結論になったためです。とはいえ、『そう遠くないうちに家庭で学習を見るのは難しい年齢になっていくだろうな』という気がかりはあります。それなら個別指導塾はどうかと思い資料を取り寄せたこともありましたが、料金表に並んだ金額を見た私と夫が「今から通ったら中3までに資金が尽きてしまうね…」と青ざめたため、塾の話は再び見送りになりました。そんな状況の中で「塾は早くても2年生の夏からかな?」と考えていた私でしたが、あるときコウが「資格を取りたい」と言い出したことから、タブレット学習用の勉強アプリを家庭学習に取り入れることになりました。タブレット学習については、以前『もしコウが不登校を選んだら』と考えて調べたことがありました。そのため、現在の学年以外の単元も自由に選べるアプリがあることを知っていました。コウが取りたがった資格のためには先取り学習が必要だったため、「前に話した勉強アプリやってみる?」と提案すると「やりたい!」と二つ返事のコウ。Upload By 丸山さとこワーッと盛り上がってサーッと冷めそうな予感がしましたが、『少しでも家庭学習のきっかけになれば』と思い、初めての勉強アプリをスタートすることになりました。タブレット学習用アプリを使ってみましたそうして始まった勉強アプリでの自宅学習ですが、タブレットを使用した学習は思った以上にコウに合っていたようで、半年近くたった今でも(多少のムラはありつつ)続いています。コウが勉強アプリを使っているときは大体私も同じ部屋にいます。家事や仕事をしながら見ていることが多いため画面そのものはほとんど見ていませんが、授業動画の内容や学習の進み具合は音声やコウの様子から何となく分かります。そうして学習風景を見ているうちに、何となく『コウの好む学習スタイル』や『コウが苦手とする学習スタイル』が見えてきました。その勉強アプリの基本的な流れは『動画視聴をしてから演習問題』となっています。コウはアプリを開くとまずは動画を見ていくことが多いのですが、1.25~1.5倍速で動画を再生していることがほとんどです。元々早口気味でムダなく授業を展開していく講師が多い授業動画です。近くで聞いていると、耳から漏斗で情報を流し込まれているような気持ちになってきます。Upload By 丸山さとこそんな学習風景を見ていると「本当に理解しているの?」と心配になりますが、コウは「ちゃんと分かってるから大丈夫だよ~」とニコニコしています。その後の演習問題の正答率を見ていくと、確かに彼の言う通り概ね理解しているようです。そんな様子を見ていくうちに、私は『仮に1回で理解できないときがあったとしても、心地よい速さで繰り返し聞く方が彼にとっては楽なのだろうな』と思うようになりました。そうして動画視聴が終わったあとは演習問題が始まるのですが、画面上で選択肢を選ぶ形のため、紙に書くのが苦手なコウも次々と問題を解いていくことができます。また1問ごとに正誤が分かるので、「これで合っていたのかな?」とモヤモヤすることなくスッキリした状態で次の問題に進めるのも快適なポイントのようです。Upload By 丸山さとこ出題の際は1問ずつ画面に表示されるため「今どこ読んでたんだっけ?」となりにくいところも良いそうで、タブレットでのアプリを用いた学習はコウにとても合っているのだなと思いました。私にとっても勉強アプリは救いの一手になりました。まず、答え合わせのチェックをしなくてよいところが助かります。コウの答え合わせはアテにならないところがあるため、紙の問題集の場合はときどき親がチェックする必要があります。小学生の間は主に私が答え合わせをしていたため、問題を解くコウ本人だけでなく、親の私も負担を感じることがありました。それを全てタブレットが行なってくれるのは非常にありがたく、心強いものです。回答が間違っていた問題は時間をおいてアプリ内で再度出題してくれるため、定期的な見直しを促さなくてもよくなりました。Upload By 丸山さとこまた、授業動画はボンヤリと見るだけであれば受け身でも行なえるため、コウにあまり意欲がないときも取り組めるのがありがたいです。講師との相性はあると思いますが、幸い今のところコウはどの教科の授業も面白いと言っています。私も同じ部屋でほかの作業をしながら授業動画を聞いているため、コウが学習しているところにしっかり付き合わなくても「コウの今の学習状況はこんな感じだな」と知っておけるのも良いところです。勉強アプリを続けて約半年!今はこんな感じですそんな風に良いところがたくさんあった勉強アプリですが、良いことづくしではありません。勉強アプリを続けて約半年たった今、困っているところもいくつかあります。まず、コウが紙での回答を面倒くさがるところは変わっていません。勉強アプリに沿った内容の紙の問題集もありますが、コウはたまに使うこともある程度で積極的には使っていません。タブレット上の問題だけではアウトプットの機会が少なくなってしまいますが、気軽に解けるタブレットだからこそ続いているのだろうと考えると難しいところだなと感じます。また、コウは「親が同じ部屋にいた方が集中しやすい」と言うのですが、そのためにコウのペースで私まで半強制的に授業を受けている状態になりがちなのがつらいときもあります。Upload By 丸山さとこ授業動画を聞くのは概ね楽しく、それ自体が苦痛なわけではありません。とはいえ、生徒の注意を惹きつけるための『聞かせる』話し方が延々と聞こえる状況には気力体力をジワジワと削られるのも確かです。コウのやりたいことにはできるだけ協力したいと考えていますが、倍速動画の猛攻に地味に耐えていることもしばしばです(あまりに疲れているときは、コウにヘッドホンを使ってもらっています)。このように「アプリを使えば、学習に関するお悩みは全て解決!」とはいかない現状ではありますが、コウが勉強アプリを使ってくれることは本当に助かっています。もしコウに紙の問題集を使うよう強いたとすれば、早々に学習意欲を失ったであろうと想像できます。また、コウの場合は紙の上で問題を解く負担も『問題を簡単だと感じること』である程度は軽くなるので、その点でも先取り学習ができるアプリの効果を感じています。多少音にストレスを感じようが、コウが少ない声かけでスムーズに学習を進めてくれることを考えれば、ストレスの総量は圧倒的に少なくなったと言えます!Upload By 丸山さとこまた、相性はあると思いますが、タブレット学習は「ゆっくりペースで学習を進めたい子ども」にも向いているだろうなと感じました。授業動画は速度を落として再生することも可能ですし、一時停止や巻き戻しもできるため、自分の理解のスピードに合わせて授業を受けられます。動画視聴と演習問題を繰り返すことで、分からないところを洗い出しやすいのも良い点だと思います。「塾には通っているけれど授業内容を活かしきれていない」という場合も、タブレット学習にて予習復習を行なうことで、より集中して塾の授業を聞いたり質問したりできるかもしれません(実際にそれを目的として学習アプリとタブレットを提供している塾もあります)。Upload By 丸山さとこ私は「タブレットでの学習は塾と家庭学習の間のような雰囲気だな」と思っています。塾の授業のような緊張感がないので集中力に欠けてしまうところもあるかもしれませんが、リラックスして受けられることのメリットは大きいなと感じています。ソファーや床で姿勢を崩しながら動画を見ているコウを見ると「中学生の学習風景…これでいいのか?」と思わなくもないですが、「学習を続けられることは大事だな」という気持ちでこれからも薄目で見守っていきたいです。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)タブレット学習には一長一短があります。IQで処理能力の低いお子さんは板書をノートに写すのに時間がかかるため、タブレットで写真を撮って必要なところだけを記入する方法をおすすめしています。アプリやタブレットによる学習は教室の音も気にせず他人に邪魔されることなく集中して学ぶことができます。授業後もほかの生徒からいじられることもなく、いじめられることもありません。タブレットは会話が苦手な自閉スペクトラム症のお子さんには良いツールかもしれませんが、コミュニケーションが乏しくなるため、複数の人との会話能力が伸びにくいという面もあります。最近ではさまざまなネットサービスも普及し、昔に比べて他者との対話機会が減ってきています。しかし、社会という集団の中で生きていくには、コミュニケーションが重視されることもまた事実です。単にタブレットだけに頼るのではなく、ときには学校や習い事の小集団に入れてコミュニケーションを増やすことも、社会で生きていくためには必要なのです。
2023年02月04日「高校、別に行きたくないし」自閉スペクトラム症(ASD)のある子ども発達障害の専門家が出会った子どもたちの抱えていたリアルな「困った!」をもとに、子どもたちの状況を変えた対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、フィギュアに夢中で、勉強に身が入らない自閉スペクトラム症(ASD)のある子どものエピソードです。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/NEGI今回は、自閉スペクトラム症(ASD)のある中学生のお子さんに関する「勉強の悩み」エピソードをもとにマンガ化してお届けしました。フィギュアやゲーム、アニメなどに夢中で、なかなか勉強に身が入らないお子さんは多く見られます。特に受験が近かったり、テストの結果が芳しくなかったりすると、保護者の方のご心配も大きいことと思います。今回のようなフィギュアなどの収集癖があるお子さんの場合、次のようなステップで関わることをおすすめします。1.子どもの興味・関心を否定せず、話を聞いて理解しようとする2.興味・関心を起点として関心の幅(視野)を広げられるようにきっかけを与え、進学についても目的を与えるようにする3.進学先については選択肢を提示し、子どもが選びやすい状態をつくる
2023年01月25日コウの凸凹について言われがちなセリフTOP3!Upload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある人は、『大丈夫だよ、気にすることないよ』という善意からの言葉として「そんなの誰にだってあるよ」「凸凹があるようには見えないよ?」と言われることがしばしばあります。また、凸凹エピソードに対して「うちの子どもも同じ~!」「あるある。まだまだ〇年生ってそういう子どももいるよ」と言われることは多く、『それはそうだ。コウの苦手さや難しさの程度を知らなければ、そういうコメントになるよね』と内心でうなずいたりしています。そんな定番のコメント以外にも、コウの凸凹についてよくいただくコメントがあります。「〇〇だからいいじゃない」「□□なんだから大丈夫だよ!」というものです。コウの凸の部分を指して言われるその言葉に「…って思うじゃん!?」と内心でツッコミつつ、曖昧な笑顔で応えるほかない私です。それらの言葉の中には、慰めや励ましのつもりで言われたものも多いのだろうと思います。実際、私自身が優しさのつもりで同じような言葉をかけていることも多々あるはずです。とはいえ、普段コウの凸凹にコウ本人も周りも振り回されているのを知っていると「〇〇だからいいか~!」と本心から流すことはできない複雑な心境になることもしばしばです。「〇〇だからいいか~!」とは言い難いアレコレ…コウには確かに、凸と見なされやすいところがいくつかあります。「野菜が食べられる」「読書をする」「テストの点数が高い」「英語が好き」などの要素を見ていくと、彼には凹を補って余りある凸があるように見えます。けれども、それは『凸凹の差がゆるやかな子ども』を想定した上で見たコウの姿なのかもしれません。まず「野菜が好きならいいじゃない!」に関してですが、コウは小学校中学年のころまでほとんどの肉類が食べられませんでした。『苦手』ではなく『食べられない』なので、ミンチのひとかけらすら料理に入っていれば見つけ出します。「せめて出汁や油分だけでも」と思い、豚コマ入りの焼きそばをつくってからキャベツと麺だけを取り分けたこともありました。それでも、彼は5ミリもない小さな肉のかけらが口に入っただけで「ムリ…」と涙目になって飲み込めませんでした。そんな調子なので、一般的なお子様ランチは食べられません。冠婚葬祭や旅行中のホテルでの食事など自由にメニューを選べない場では、親の食事から取り分けながら何とか食事量を確保していました。Upload By 丸山さとこ小学校高学年に入ってからは少しだけお肉も食べられるようになりましたが、それも食べたり食べられなかったりといった調子で、いくらか安定して食べられるものはレトルトのミートボールと冷凍から揚げ(それぞれ特定の1商品のみ)でした。チーズと卵は食べられたので、それらの食品もアレルギーや感覚過敏で摂れないお子さんがいることを考えれば『何とかやっていける範囲の食べられなさ』だったのだろうと思います。とはいえ、コンディションによってはそれすら受けつけないこともあるコウがご飯と野菜だけの食事をとるのを見ていると、「これでは栄養が足りないだろうな~」と不安になることもありました。また、「コウ君は勉強ができるからいいよね!」に関しても、素直に「そうだね!」と言い難い現状があります。コウの成績表は4と3で構成されています。それだけを見ればこれといって大きな特徴のない普通の成績です。私も「この成績を高校受験までキープできたらいいな」と思っています。ですが、その一見普通の成績も、凸凹の激しいせめぎ合いの結果なのです。Upload By 丸山さとこ1学期の成績表について、スクールカウンセラーの先生から「コウ君の定期テストの順位でこの成績は通常あり得ないことです」と真剣な表情で言われたことがあります。地域の上位進学校を視野に入れられる学力にも関わらず、未提出課題があまりに多すぎて5が一つもなかったのです。これにはコウもショックを受けて、2学期は課題の提出を頑張りました。その甲斐あって2学期の成績は上がりましたが、学力に合った学校に進学できるほどの内申点にはまだ届いていません。1~3割だった提出率が5~8割になっただけで、十分な提出率とは言えないからです。これまでを知っている親から見れば快挙ですし、先生方も「1学期より頑張っているね」とコウに伝えてくださっています。それでも、進学についての話になると先生方もしぶい表情にならざるをえません。Upload By 丸山さとこ私立高校への進学を選べば、受験における内申点の影響は低くなります。ですが、入試に合格できたとしても、大学への進学率が一定以上ある高校であれば、入学後に課題や提出物の量に苦しむであろうことが予想されます。提出物をどうするかは「進学を乗り越えさえすれば何とかなる」とは言い切れないコウの課題で、親子共々(そして学校やスクールカウンセリングの先生も)頭を悩ませています。これらの食事や勉強の困りごとのように、コウの凸凹は『打ち消したり補ったりするのが難しい凸凹』であることが多く、「凸は凸でありがたいし、凹は凹で凄く困ってるんだよな~!」という状況になりやすい傾向があります。学校行事で保護者の方々と話していると、「うちの子どもは勉強は苦手だけど、サッカーは得意だからスポーツ推薦で私立高校に進学することにしたよ」などの「得意を活かして苦手をカバーした話」を聞くことがあります。コウも同じような話の枠として扱われているのだろうと感じることがありますが、彼の場合は「凸に合わせれば凹でつまずき、凹に合わせれば凸でつまずく」ことが多いようです。Upload By 丸山さとこ・多くの子どもが嫌いな野菜をモリモリ食べる姿を見て「お肉も少しくらいなら食べられるでしょ?」と強いられて吐いてしまう。・「Aが理解できるのにBが分からないのは、ちゃんと話を聞いていないからだ」と思われ叱られる。・「Bが分からないということはAを説明しても無駄だろう」と判断され、説明を受けられない。…などの出来事に困ったり混乱したりしているコウを見ると、『〇〇だからいいじゃない』『□□なら大丈夫だよ』とは言えないなと思います。スポーツが得意で勉強が苦手な子どもは理解されやすいのに、コウの場合はそうなりにくいのはなぜなのでしょうか。私は、『その存在が一般的な想定の範囲内なのかどうか』によるのではないかと考えています。コウの凸凹は一般的な想定の範囲を超えているため、「できないのではなく、しないだけだろう」と解釈されやすいのかもしれません。そんな風に理解されにくい凸凹に悩まされることの多いコウですが、理解されにくいことそのものに対してはザックリと捉えて気にしていないそうです。「分からないことは仕方ない。自分も周りの人の気持ちや考えは分からないことも多いし、すごく嫌なことを言われたりするんじゃなければいいや」とコウは言います。私もコウと似たような考え方をしているところがあり、その気持ちは少し分かるなと思います。理解を求めてジレンマを抱えたりストレスを溜めたりすることを思えば、自分が楽になる考え方と言えるのかもしれません。Upload By 丸山さとこその一方で、近年の私は「これはあまりにも『他者や社会』をバッサリと切り捨てている考え方なのかもしれないな」とも思うようになりました。理解を求めず「現状こうなのだから仕方ないね」と割り切れば、悩むことはなく気持ちは楽かもしれません。ですが、理解を得られないことによる誤解や、それに基づくトラブルや軋轢(あつれき)は解消しないままになるのだろうと思います。私がそう考えるようになったのは、近年、自分の内面や都合について友人や家族に話すことで『伝えることにより理解される』という経験を積み重ねていったからなのかもしれません。Upload By 丸山さとこコウはこれからも自分自身の凸凹によってつまずくでしょうし、分かりにくい凸凹であることから周囲の理解を得られずに困ることもあるだろうと思います。そうしていく中で、彼がその時々に合った『自分の納得感』を大事にしながら、周囲とのズレも含めた凸凹と付き合っていけたらいいなと思います。執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)発達障害のある方にとってよくある、「誰にだってあるよ」「〇〇だからいいじゃない」とよく理解していない人に軽く言われてモヤモヤするというエピソードを、具体的に紐解いて解説していただきありがとうございます。本当によくありますよね…。書いていただいたようにまさに「凸凹は一般的な想定の範囲を超えている」ので、なかなか分かってもらえないのだろうというところです。全員に分かってもらうのは難しいので、分かってもらえそうにない人には理解を求めるのを諦めてスルーした方が、こちらの精神衛生上はいいのでは?とお話しすることが多かったのですが、今回の記事の中に「自分の内面や都合について友人や家族に話すことで『伝えることにより理解される』という経験を積み重ねていったからなのかもしれません。」という一文には、思わずハッとさせられました。誰にでも理解を求めていこうとするとこちらも疲れてしまいますが、味方になってもらいたい大切な相手には、丁寧に伝えることで理解してもらえることに越したことはありませんね。そういうときに、ここにあるさまざまな体験談・解説などの記事を参考にして自分のお子さんの場合と照らし合わせて、説明の仕方を工夫するのもいいのかもしれません。いつも分かりやすい記事をありがとうございます。
2023年01月20日無職のままシングルマザーになり、看護師になるべく看護学校の受験にまっしぐらだった私。当時2歳にもなっていない娘に、たくさん寂しい思いをさせてしまいました。表に出さないだけで、娘はずっと寂しいと感じていたはず。これからの育児の教訓にしようと思った出来事です。無職のままシングルマザーになりました私は娘が1歳のときに離婚して、シングルマザーになりました。元夫からDV被害を受けていたので離婚準備がしっかりとできないまま離婚し、当時は無職。娘を出産したときに助産師という職業を初めて知り、女性でこんなに活躍できる仕事があるんだ!と強く憧れを持ちました。 しかし「まぁ子ども育てながら学校通って国家資格受験って無理だよね……その前に学校受験と学費と生活費って問題山積みだし」とすぐにあきらめ、何か資格をとらなくては!とワードやエクセル、医療事務の資格を取ってみましたが、就職活動はまったくうまくいきませんでした。 母からの提案「看護師になってみたら?」そんなとき、母親から「助産師になるには看護師の資格も必要だし、看護師どう? このまま実家に住んでていいし、学費なんかのお金は出世払いでいいよ」と提案がありました。「いやいやそんなに簡単に言わないでよ」と思いましたが、看護師は国家資格。給料も高い。 もし娘が将来大きくなって、行きたい学校にお金の問題で通わせられなかったら……と心配になり、看護師の一般的な給料や働き方について調べてみるとどんどん興味がわいてきました。そして一大決心し、看護学校を受験することに。 しっかりと確保したい勉強時間看護学校を受験するには独学では難しそうだったので、看護学校受験専門の予備校に通い始めました。朝、娘を保育園に送って予備校へ行き、夕方また保育園へ迎えに行くサイクル。家に帰ってからも、娘を寝かせたあとはまた勉強。 看護学校は滑り止めも含めて4校受験し、受験1カ月前は最後の追い込みでさらに勉強時間を増やしました。保育園のお迎えから寝かしつけまでの娘のお世話を両親にお願いし、私は予備校が終わった時間からそのままファミレスに行き日付が変わるまで勉強の日々。 受験最終日の子どもの様子当時1歳10カ月だった娘は大のママっ子でしたが、看護学校受験前の追い込み時期で夜に私がいないことにまったくグズったりしなかったそうです。ですが4校目の受験を終えた日の夜、娘を寝かしつけるときに、娘があお向けになった私の体の上に乗ってシクシクと泣いていました。 娘が眠りについたので体から下ろそうとすると、泣きわめいて起きてしまうので娘を体の上に乗せたまま朝を迎える、ということが1週間続いたのです。「表に出さないだけでずっと寂しい思いをさせていたんだね、ごめんね」と何度も娘に謝りました。 娘の立場になって考えると、明らかに寂しいと感じる状況だったのに看護学校の受験のことに頭がいっぱいで、娘のことを十分に構ってあげられなかったことに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。その後は看護学校に合格して国家資格も無事取得し、現在は看護師として働いています。多忙な毎日ですが、あのときの後悔を忘れず娘との時間を大切にしていこうと思います。 著者:吉川 みきな2008年生まれの女の子と2018年生まれ、2022年生まれの男の子の年の差兄弟を育てている母。反抗期の娘とイヤイヤ期の息子の育児に日々奮闘中。上の子を出産後に大学に通い、看護師の資格を取得。現在は看護師としてパート勤務をしている。 監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2022年12月21日プレゼントにも自分用にも!発達障害フレンドリーな人気商品をピックアップ2023年3月の発売に向けて第4弾が進行中の、「発達ナビ×フェリシモ」発達が気になるお子さんや保護者さま、当事者の方が便利に快適に過ごせるためのグッズづくり。今回は、これまで開発した中から5商品をご紹介します。コラボ第1弾で登場し、再販リクエストを多くいただいていた『ポケットの中が見えるメッシュリュックインナー』。2022年9月、大人っぽいカラーリングになって再登場しました!リュックを開いたときに中身が一目瞭然で見えるつくりにこだわっていることはもちろん、出し入れ時に迷わないアイコンカードが便利です。整理整とんがしやすいリュックを使えば、忘れものをしがちなお子さんや大人の方も快適に過ごせるようになるはず!Upload By 発達ナビ編集部※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますコラボ第2弾で開発された『タスクチェッカー』。こんなのがほしかった!というお声が続出したアイテム。いつものルーティンを見える化して、「できたこと」をその都度確認できるチェッカーです。2022年9月のリニューアルでは、紙からプラスティックへの素材変更で、より丈夫になりました。これで、かばんの中に入れるなどしても安心して何度でも使えます!Upload By 発達ナビ編集部※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますUpload By 発達ナビ編集部服薬の管理やお子さんの支度、持ち物チェックや家事、勉強の目標など、曜日ごとに異なるルーティンワークを可視化し、ワンタッチでチェックできるタスクボードです。見えるところに貼っておけば、やり忘れの防止や家族のコミュニケーションにも役立ちます。タスクボード上に予定をイラストで描けるため、お子さんにも分かりやすく伝えることができます。壁に掛けられるほか、裏面にはマグネットもついているので、冷蔵庫など見やすい位置に貼るのもおすすめです!Upload By 発達ナビ編集部※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますUpload By 発達ナビ編集部座り姿勢をサポートする座面クッションと、正しい足の位置がひと目で分かる足もとマットのセットです。右足と左足と、おしりの3点で体重を正しい位置で支えて、姿勢をキープしてくれます。お子さんの座り方を注意したいけれど、つい「ちゃんと座りなさい」と曖昧になってしまう…。そんな保護者の方も、目に見えて足の位置を具体的に指摘することができます。クッションは両面すべり止めつきなので、体幹が弱いお子さんでも安定感が持続します。Upload By 発達ナビ編集部※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますUpload By 発達ナビ編集部『お片づけ収納ラック』の中に必要なものをひとまとめ。そうすれば、探し物やなくし物を防げて、中断していた作業を再開するときや、お部屋の移動などもスムーズに行えます。オープンタイプのラックで引き出しや仕切りがついているので、視覚的に分かりやすいのもポイント!広いスペースには、A4サイズの書類などはもちろん、書籍やタブレットも収納できます。大人の在宅ワークやお子さんの勉強に合わせた活用はもちろん、ゲーム道具やコスメ用品の整理、郵便物の仕分けやなど、さまざまなシーンで役立ちそうです。Upload By 発達ナビ編集部※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します『透けるバックインウォレット』『透ける収納ボックス』は2023年3月発売予定!2022年6月に発達ナビユーザーのみなさま200名以上にご回答いただいた詳細アンケート結果を参考に、2アイテムをフェリシモCCPで企画スタートした、『バックインウォレット』『透ける収納ボックス』。応募いただいたユーザーさまへモニターを実施し、いよいよ開発も最終段階に入りました。発売は2023年3月中旬ごろを予定。お楽しみに!
2022年11月09日周りの忠告に耳を貸さない息子の七転八倒Upload By 丸山さとこ何かと「人の話を聞かない」と言われやすい息子のコウです。実際に音声としての話を聞いていない(耳に入っていない)ことも多いのですが、そうではなく「聞き入れない」という意味での「人の話を聞かない」ところも多々あります。実際に言われた通りになると「言われていたことは本当だった…何で早く聞いておかなかったんだ…!」と後悔しますが、次にまた別のことで先生や親などの他者から何か言われたとしても、再び聞き流してしまいます。コウは、先生や親などの周りの大人が言うことそのものは信じています。「提出物は成績に影響するよ」「定期テスト前は勉強した方がいいよ」などの言葉も、言われている内容は納得できるため、話を聞いても反発することはありません。Upload By 丸山さとこですが、「そうだね」と言っても提出物は出しませんし、中間テスト前も勉強はほとんどしませんでした。小学校のころに提出物を出さなくても(コウとしては)困ったことはないし、テストも高得点が多かったため、体験としてピンとこなかったのかもしれません。中学校は甘くなかった?コウにとっては予想外の結果に…「小学校に比べて特に授業が難しいとも感じないし、小テストもできてるし問題なくない?」とノンビリ考えていたコウでしたが、小学校と中学校は違いました。まず、中間テストではコウが想定していたほど高い成績ではなかったため、かなりショックを受けていました。一般的には高いと言える成績だったため、周囲のクラスメイトから「スゲーやん!」「天才か!?」と言われたことで、かえってコウにとっては苦い経験となったようです。Upload By 丸山さとこ「本当はこんな成績取りたかったんじゃないんだよ~!って思ってたけど、それはみんなには言えないじゃん!?だから笑ってたんだけど…くやしいよ~!次は絶対勉強する…!!」と語ったコウは、期末テストでは勉強時間を増やして希望通りの成績を取りました。そうして期末テストは希望通りの成績で終わったコウでしたが、一学期の成績表はほとんど4で埋まっていました。未提出の課題があまりにも多かったためです。私と夫は普段のコウの状況から予想がついていましたが、コウは「少しくらいは5があるのではないか」と思っていたそうで再びショックを受けていました。Upload By 丸山さとこ私も夫も、「なんで提出物がこんなに出てないのに5がとれると思っていたの?」と成績よりもコウの考えにビックリしました。「ここまで(提出物の影響がある)とは思わなかった」とうなだれたコウは、「二学期は5を取れるように提出物を頑張る」と決意を固めていました。「もう少し先の見通しが立つといいな」と思うものの…何かとパニックになりやすかった小学校中学年までと異なり、近年のコウは『事実として起きたこと』自体は受け入れるので、一見大きな問題はないように見えます。ところが、彼には「事実として起きるまでは受け入れない!」というところも強くあるため、前述のエピソードのように周囲の忠告を無視しては痛い目を見ることもしばしばです。Upload By 丸山さとこコウは、心身の痛みを感じている最中は「ちゃんと忠告を聞けばよかったな…」と後悔します。ですが、時間が経つと「やってみなければ分からないんじゃない?」に戻ってしまいます。痛みが消えたときには”今は全く痛くない”というリアリティーがあるからなのかもしれません。想像や予測自体はすることもあるコウですが、想像したものに強いリアリティを感じられないために結果として「想像力がない」かのような言動をとってしまうのかな?と考えています。(リアリティを想像できないことも含めて「想像力がない」と言えるのかもしれませんが…)「やってみなければ分からない」という言葉があるように、やらずに何でも拒否していては分からないことは多いと思います。やってみた結果失敗した場合もそこから学べることは多く、親が子どもから『失敗の経験』を奪う弊害については頭に置いておこうと意識しています。一方、交通事故や高所からの落下など「やらずとも結果は分かる上に、分かったときには大惨事」ということもたくさんあります。テストの結果や学校の成績は、事故や大けがのように取り返しのつかないことではありません。ですが、毎度同じようなパターンで後悔しているコウを見ると、『もう少し先の見通しが立つといいな』と思います。Upload By 丸山さとこ以前は「今できていないこと」に対して少し取り組んだだけで「これから先もずっとできないんだ!」と速攻で絶望していたコウでしたが、今では大分「できるようになるかもしれないから頑張る」を選べるようになってきました。できるようになるかもしれないという判断も『少し先の見通しを立てる』の一つであることを考えると、望ましくない結果を避けることもまた、少しずつ身に付けていける可能性はあるだろうと思っています。それまでは、「やらずとも結果は分かる上に分かったときには大惨事」が起きないように可能な範囲でサポートしつつ、繰り返し後悔しがちなコウを見守っていきたいです。(監修:三木先生より)まさに仰る通りだと思います。僕も基本的には「体験した方が本人にしっかり残る」派ではありますが、そうは言っても「経験しない方が良い経験」や「取り返しのつかない経験」もあります。これを彼らに実感してもらうためには、とにかく「自分の想像が外れてすごく痛い目を見た経験」をたくさんしてもらうことに尽きるかなと思います。そうすることで「自分の予測に対する信頼度の低下」を実感し、「自分の予測を疑う」という『メタ認知もどき』が働くようになります。そうすれば大きな事故は避けられるのではないかなと思っています。
2022年10月03日睡眠時間がどうしても一定しないわが家の凸凹兄妹の妹、いっちゃんは小さいころから眠るのが苦手で、眠ってもしばしば些細な物音などで目を覚まします。小学生になると、入眠に苦労するのは変わらずですが、一度眠ると深く眠り込むようになりました。一旦眠り込むと起こしても起きないのです。当然、学校は遅刻してばかりです。Upload By 寺島ヒロ睡眠の記録を取ってみると…実は母親である私自身、睡眠障害があり毎日覚醒する時間が遅れていく睡眠サイクルがあります。それで「もしや」と思い、いっちゃんの睡眠記録をつけ始めました。実際に眠った時間だけではなく、眠いと言い出した時間、眠ったがちょっとだけ起きた時間、起床した時間を詳細に記録していくと、「1〜2時間ずつ睡眠時間が後ろにずれていく」ことが分かりました。Upload By 寺島ヒロ小学校5年生から不登校に小学校低学年のうちは、起きると学校に行っていたのですが、4年生ぐらいになると、「11時を過ぎるとお昼ごはん食べに来たの?と、からかわれるから行かない!」と言って昼からは行こうとしなくなりました。いっちゃんの睡眠時間は9時間。朝から活動しているのは月の半分ほどです。5年生から次第に行かない日が増え、6年生のときにはついに1/3ほどの出席率となり「不登校」となりました。また中学校も、コロナで休校が続いたこともあり、ほとんど行くことができませんでした。「勉強は好き」進学先を探すけど…高校へは進学したいと希望していたいっちゃん。睡眠時間を固定しようと試みましたがうまくいかず、結局、通信制の高校に通うことにしました。志望校はいっちゃん自身がネットで検索していくつかの学校と比較検討して決めました。通信制の高校、実際に通ってみるとUpload By 寺島ヒロ部活動も部活ごとにslackがあって、娘は美術部に入っています。slackではお題を出し合ったり、作品をアップしたり、絵を描くときのツールの使い方など交流も盛んで「Twitterとかより突っ込んだ感想をもらえる!」と、喜んでいました。通信制の学校というと、家で1人でテキストを開いて…というイメージだったけど時代は変わったな…と思います。睡眠サイクルは固定できないまま「通信の学校いいなー」「大学もこうだったらいいのにー」という娘。高校生活を心から楽しんでいるようです。睡眠の問題が解決したわけではないので、これから進学や就職をどうするかなど、悩みは尽きませんが…今あっての未来。心配し過ぎることなく、今を大切に過ごしたいと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)学校の始業時間は決まっているので、睡眠に問題のある子どもさんの場合、それに合わせようとすると、本人だけでなく親御さんもとても苦しくなってしまうと思います。高校では、始まりの遅い昼夜間の高校や通信制などが選択肢になってくると思いますが、いっちゃんには通信制がすごく合っていたようですね。通信制も学校によってはさまざまな活動をオンラインで提供しているところもあります。また対面出席を重視しているところもあります。子どもさんに合った学校を選択するため、オープンスクールや説明会に子どもさんと一緒に参加してみるのもよいかもしれません。
2022年09月27日無料の参加登録受付中!不登校のお子さまやご家族へ届けたい、オンラインセミナーが9/10(土)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラム学校へ行きたがらない。家にずっと引きこもっている。勉強もしないまま過ごして大丈夫だろうか、今後はどうすれば…。2学期になり、長い夏休みも終えて学校へ行きづらくなってしまったお子さまへどう向き合ったらいいのか、今後のことをどうしたらいいのか、ご不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。発達ナビでは不登校のお子さまとそのご家族に、ご自宅で情報を得られる機会をお届けするために「不登校サポートセミナー」を開催します。・日時:9/10(土)13:00~16:25(予定)・参加費:無料・形式:Zoomウェビナー配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください。・内容:専門家講演、不登校のお子さまを応援する企業によるセミナー※企画調整中のため、今後変更となる場合もございます不登校サポートセミナーの内容をご紹介不登校のお子さまと過ごす中で、どう関わったらいいのか、そしてこの先どうなっていくのか、不安な気持ちでいる方もいらっしゃると思います。サポートのゴールは、お子さまによってさまざま。また、お子さまとの関わり方も状況によって変化していきます。まずはお子さまの心の状態を理解し、見通しを持って適切なサポートとつながっていくことが大切です。今回は、公立の学校でスクールカウンセラーを務める臨床心理士の初川久美子先生にご登壇いただき、不登校のお子さまの心の状態に合わせた関わり方やサポート方法についてお話しいただきます。講演中にチャットで質問も可能。セミナー後半の回答コーナーで初川先生にお答えいただきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム講師:初川 久美子先生臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム文科省が定めている「出席扱い制度」をご存じですか?自宅学習の努力を認めることで、いつかまた学校に行きたいと思ったときのために、学習の遅れを最小限にしておけるようつくられた制度です。この制度を活用すれば、不登校で学校を休んでいても、家庭学習を出席扱いにして、その先の進路などの選択肢を広げていける可能性があります。制度を利用するには、いくつかの条件を満たした上で、在籍する学校と交渉・連携していくことが重要です。本セミナーでは、のべ700名以上が出席扱いになった実績のある、無学年式オンライン学習教材「すらら」の担当者が、 本制度利用の具体的なルールや、すららを使って出席扱いとなった事例、最新情報などをご説明します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「学校の仕組みが合わない」「夏休み明けで行き渋りになっている」そんなお子さまにむけて、「オンラインフリースクールSOZOW」をご紹介。子ども一人ひとりの「好き」を起点に、自己肯定感を育む学校外の居場所としていま注目されています。代表は、LITALICOの元・執行役員。LITALICOワンダーで、デジタルを通して、不登校や発達特性のある子どもの可能性を解き放ってきた経験者です。当日は代表に加え、現場担当者も登壇して「ゲームばかりしている」「感受性が強くて新しいことに取り組むことが苦手」など実際にあったお子さま事例も含めてお話しします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム不登校や引きこもりがちなお子さまがいるご家庭向けの勉強会です。復学や居場所など、学校に行かない選択をした子へのサポートや、中学以降の進路の選択肢について解説します。・不登校支援の選択肢フリースクールや訪問教室など、不登校のお子さまへの支援の選択肢や選ぶ際のポイントを解説します。・中学以降の進路の選択肢義務教育以降の高校進学の選択肢として、通信制・サポート校や高等専修学校、チャレンジスクールなど、不登校に理解のある進路を幅広く知ることができます。・教育にまつわる準備教育資金やお子さまの自立後に必要になってくる費用など、現実的な準備についても解説します。講師:井上欣永大学在学中は教職課程にて教師を目指しながら、特別支援学校にて知的障害・自閉症・ダウン症児の自立支援活動に従事。個人・組織のコンサルティング業界で培った心理学の考え方をベースに、人生に安心を提供できるLITALICOライフへ。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2022年08月19日10代の子どもたちに知ってほしい法律の知識ーー『こども六法ノベルその事件、こども弁護士におまかせ!』「法律は、難しくてどこか冷たいイメージがある」「法律でなんでも解決できる」…法律に対してどのような印象を持っているでしょうか。法律は、決して万能ではありませんが、正しく学ぶことでさまざまな理不尽な問題に対抗するための武器になります。この本は、中学1年生の主人公・久家祐樹(くげ ゆうき)と「こども弁護士」である高校2年生の姉・智紘(ちひろ)が「くげ法律事務所」に訪れるさまざまな相談者と関わり、法律の知識や思考力を駆使し、事件解決に向けて奮闘するという話です。いじめ、ブラックバイト、デートDVなど、10代の子どもたちが知っておきたい大事なテーマが盛り込まれています。10代の子どもたちが理不尽な問題に巻き込まれてしまう機会が増えている近年、自分や友達の身を守るためにも、法律に関する正しい知識を身に着け、ときには「法律家を頼る」という選択肢を持つことも大切です。夏休みにお子さんと一緒に、「もしこういう問題が起きたときはどう対処しよう」と考えてみるのもいいかもしれません。当事者の視点から「なぜできないのか」を知るーー『発達障害 「できないこと」には理由がある!』「集団行動ができない」「危険な遊びがやめられない」「運動や細かい作業ができない…」発達障害のある人は、得意なこともたくさんある反面、その特性から「苦手なこと、できないこと」がいくつかあります。この本の著者は、発達ナビで連載を持つ、かなしろにゃんこさん。かなしろさんの息子さんのリュウ太くんにはADHDがあります。20代になったリュウ太くんが、小学生のころのことを思い出して「なぜできなかったのか」「できないためにどう感じたのか」を語ってくれた内容がこの本にまとめられています。この本を通して、当事者の視点を少しでも知ることができれば、お子さんの行動や言動への理解がより深まるかもしれません。保護者の方だけでなく、発達障害に関わるさまざまな職業の方におすすめの一冊です。悩んでいるのは自分だけじゃないーー『マンガで読む 学校に行きたくない君へ: 不登校・いじめを経験した先輩たちが語る生き方のヒント』夏休み明けは不登校になりやすい時期であるといわれています。勉強や友人関係など何らかの問題でつまづいてしまったり、環境に適応できなくなったりしてしまうことで、突然学校に行けなくなってしまうこともあるかと思います。この本の著者は、自身も不登校の経験がある漫画家の棚園正一さん。数々の著名人に不登校当事者がインタビューを行った前作に引き続き、今作ではキンタロー。さん、宮本亜門さん、サヘル・ローズさんなど、実際に不登校やいじめを経験した著名人の体験談が紹介されています。テレビで明るい姿を見せてくれるあの方々にも過去にはさまざまな葛藤や悩みがあったことが分かります。「こんな悩みを抱えているのは、学校に行きたくないと思うのは、自分だけじゃない」と知ることで少しでも気持ちが楽になったり、これからの人生を生きる上でのヒントを得られるかもしれません。この時期におすすめの一冊です。多様な子どもたちが受け入れられる保育とは?を考えるーー『「インクルーシブな保育」導入のススメ』多様性やインクルーシブという言葉が当たり前になってきた近年。しかし日頃の生活の中で本当に多様性は実現されているのでしょうか。本当に多様な子どもたちが受け入れられる社会を作るためにはどうしたらよいのでしょうか。この本の著者は、玉川大学教育学部乳幼児発達学科の教授であり、学校法人育愛学園の理事長、式の森幼稚園の園長も務める若月芳浩先生。この本では、法律や歴史、障害観、保育の課題など幅広い視点から、「多様な子どもたちを受け入れるインクルーシブな保育とはどのように実現されるのか」について述べられています。低賃金、業務の多さ、長時間労働などによる保育士の人材不足といった現場の課題が可視化されつつある中で、多様な子どもを受け入れる体制をつくりつつ、保育者にとっても働きやすい現場をつくるにはどうしたらいいのか、そのヒントをこの本が与えてくれるかもしれません。就学前に学習の基礎となる力をはぐくみたいーー『ひらがなコグトレ』「小学校に入学したら勉強についていけるのだろうか…」そんな悩みを抱えている保護者の方もいらっしゃるかもしれません。この本では、就学してから必要になるひらがなを用いた、小学校での学習に必要な力をはぐくむことを目的としたトレーニングが紹介されています。てんつなぎ、かがみひらがな、ひらがなつなぎなど、文字や記号の形を正確にとらえるための力をはぐくむトレーニングにより、ひらがなを書く力や学習の基礎となる「知覚力」「想像力」「注意力」を高めることが期待できます。もちろん、子どもに適した学習方法はその子の特性などによりさまざまですが、「ひらがなコグトレ」はその一つの選択肢になるかもしれません。小学校に入る前の準備運動として、お子さんとこの本のトレーニングに楽しく挑戦してみてはいかがでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年08月17日個別指導塾ココロミルの塾長が8年ぶりに出版した書籍「国語の心得」がAmazon2位を獲得。集英社オンラインにて月間の話題6位と今世間を賑わせています。渋谷・新宿・麻布にある超人気塾の指導法を公開!大手塾に入れない、偏差値40以下の子などが早慶、広尾学園、MARCH付属に続々と合格させる「大手塾とは真逆」の指導とは?これが話題の書「国語の心得」〈国語は読解力ではなく「戦略と思考」で決まる!〉大手塾・集団塾で伸びない子の教科書!ビジネスマンが納得!コンサルタント、経営者、ビジネスマンからも絶賛の声!「これは子供だけでなく、ビジネスマンも読むべき!新入社員教育にも使える!」「もっとはやく出してほしかった。。。本当に無駄な投資をしていた。」「自分の子供が5年間塾で偏差値30の理由もよくわかった」「父親も子供との会話でトレーニングできそう!」など今まで常識とされていて、国語の塾講師や学校の教師が使いがちである「読解力」「思考力」「客観性」というキーワード。それらをすべて排除した授業を展開することで、子供に具体的かつ的確に何が足りないのか?を丁寧に教えていきます。集団授業で国語が伸びない子供たちを伸ばしてきた個別指導講師による至極の1冊!【集英社オンライン】で取り上げられた『話題の本』です!「大手塾が教えない国語ができる子が勉強しなくてもできる理由」 首都圏で大手塾で伸びない子供達を再生させる話題のプロ個別指導塾講師が国語ができない子たちの思考を言語化!なぜ自分の子はいつまでたっても、何をやっても国語が伸びないのか?子供の思考プロセスが理解できます!著者は早稲田大学政治経済学部卒。日本たばこ産業(JT)株式会社を経て、ココロミルを創業。指導実績20年という異色のキャリアを持つ塾講師。本書は「大手塾が合わない子・国語ができない子が逆転するための国語の教科書」です。(できる子の本ではない)中学受験(小学生)をメインとしていますが、国語が苦手な中高生にもおすすめです。みなさんは「国語ができる子の二つの事実」を知っていますか?一つ目は、国語ができる子は「大手塾に入る前からすでにできている」という事実。つまり国語ができる子は、そもそも国語を勉強していません。著者も国語が苦手で、10以上の大小の塾や通信教育、個人指導も受けたが一向に伸びず、国語が足を引っ張ぱり浪人も経験しました。本書では、経験も活かし国語ができる子とできない子の比較をしながら課題を詳しく解説します。本書の目的は、国語ができる子が入塾前に身につけている基礎・土台にあたる部分『3つの戦略と4つの思考』を、できない子に身につけてもらうことです。それを「国語の心得」と名づけました。具体的には三つの取り組み方と四つの考え方に分けられます。これらが身につけば、大手塾の集団授業での理解も進み、演習でも伸びます。身についていない子は、複数年集団授業を受けても伸びません。ここには大きな原因があります。二つ目は、「集団授業を受信できる子」という事実。集団授業では難関校合格に向けたカリキュラムと、子供の課題を解決するための策を提示していきます。これを受信できる子は、塾が設定したカリキュラムについていける子であり、塾が想定した課題とのギャップは少ないです。発信される情報を集中して聞き、理解することができる子は、つまり受信できる子です。一方で大手塾に合わない子は「受信できない子」です。原因としては、子供が抱える課題と塾の想定している課題がズレているか、子供が想定外の課題を持っているかです。ここで重要なのは、子供一人一人の課題をきちんと理解することです。授業や解決策を提示する前段階の話ですが、本書ではそれを「聞く授業」と呼んでいます。子供の課題から授業する著者の聞く授業と、志望校合格へ向けた発信する大手塾の集団授業や、有名ユーチューバーの講義とは出発点がそもそも違うのです。著者は1対1の個別指導塾講師であり、中学受験生である子供の一人一人が抱える特殊な課題の理解に努めてきました。それは個別性が高い(特殊かつ多様)ことが原因となっていると思われます。集団授業や動画配信する授業は汎用性、網羅性がある一方特殊性はなく、多様ではない。国語が苦手な子には理解することが難しい。「できない子の現実」と一人一人と向き合い続けて20年。子供たちの声を「聞く」ことに努める指導を積み上げ、個別性と特殊性を重点においた結晶のような国語の教科書です。わかりやすい表現や言葉を厳選し、保護者はもちろん、読むことに慣れてきたら高学年の小学生も読みとくことが可能です。本書のエッセンスは、「大手塾とは違う!個性と主観重視する」、「アニメ、漫画、ドラマ等も使って学べる」、「簡単!親が読めば子を伸ばせる」などです。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年07月28日株式会社StudyMate(東京都港区、代表取締役:寺林 由梨)は、遊びながら勉強にもなるおもちゃ、ゲーム、マンガ等の紹介に特化したメディア「Study Mate LABO」をリリースいたしました。Study Mate LABO: Study Mate LABOトップページ【Study Mate LABOリリースの背景】株式会社StudyMateはWordPressのオリジナルテーマ、プラグイン、設置サポート等の受託開発事業の傍ら、「タップ一つで言語が切り替わるWEBマンガアプリ」の開発や、「子育ての悩み解決などの情報をお届けするメディア」のリリースなど、子育てに関連する業容を現在まで拡大してきました。そして、そんな事業を通して当社は、世の中には楽しくて勉強になるおもちゃやゲーム、マンガやアニメなどがたくさんあるということを知りました。まさしくそれらは「Study Mate=勉強の相方になる」という当社の社名にある想いが具現化されたようなコンテンツの数々でした。「楽しく学べる優良なコンテンツをもっと世の中に広めて、育児の役に立てて欲しい」私たちは、子育て奮闘中の多くの(特に小学生~高校生のお子さんを持つ)ご家庭の学習環境が、少しでもより良いものになってほしいという願いを込めて、今回新規メディアをリリースします。楽しく遊んでいるうちに、いつの間にか勉強が身につくような商品やサービスを紹介するメディア、その名も「Study Mate LABO」です。【メディアコンテンツ】現在のメインコンテンツは、巷で噂の知育玩具やアプリ、ゲームなど多岐にわたる媒体を、実際に親子で使用してみた体験レビューです。今後は、日本語を勉強する子どもたち向けの日本語を使用したゲームや、英語学習のためのWEBマンガリリースなど、サービスを続々追加していく予定です。【株式会社StudyMateについて】2019年12月に法人設立。本社、東京都港区。代表取締役、寺林 由梨。2021年6月に受託開発である「WordPress/WEBサイト制作・システム構築サービス」を開始。その後、「タップ一つで言語が切り替わるWEBマンガアプリ【コミ勉】」をリリース。今後もStudy Mate LABOリリースに伴い、既存の情報コンテンツを活かしつつ、様々な学習補助コンテンツの開発・リリースに注力していく。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年07月26日一学期も終わり、いよいよ夏休みですね。お休み中は子どもに勉強を教える機会も増えるかと思いますが、皆さんは勉強を教えるのって得意ですか?私はというと大の苦手です。わかりやすく教えることができず、娘がなかなか理解してくれなくてイライラ。その一方で、パパは教えるのが上手! パパが教えるとすぐ理解してくれます。何事にも向き不向きがありますよね。「勉強の教え方」も大事ですが、「勉強の仕方(方法)」も大事だなぁと思った出来事が最近ありました。■漢字は「書いて覚える」よう娘に伝えたところ…娘は基本めんどくさがり屋ですが、言われたことは守るタイプです。なので、「書いて覚えなさい」と言われれば言われた通り書いて覚えようとします。が、しかし…!「早く終わらせたい、めんどくさい」という気持ちが先行してしまい「書く」ことが目的になってしまって「覚える」ことを完全シャットアウト。書いても書いても覚えることができませんでした。私自身は、漢字は書いて覚える派の人間だったので、娘も同じだと思い込み、ひたすら書かせていました。最初は「これだけやってなんで覚えないの!?」と不思議だったのですが…娘にはこの勉強の仕方が合っていないと思うようになりました。■「書いて覚える」から「見て覚える」に変えたところ…なんと!漢字テストで100点満点を取って帰ってきました。漢字に苦手意識があった娘も、これには大喜び。自信につながったようでした。子どもはそれぞれ性格も気質も違いますから、勉強の仕方にも向き不向きがあって然り。私のように書いて覚えるほうがいいという子もいれば、娘のように見て覚えるほうがいいという子もいて当然ですよね。この一件から、娘の漢字テストの成績は良好になりました。勉強の仕方って大事〜。我が子に合った勉強の仕方(方法)を模索していきましょう!
2022年07月20日英検合格者を続々と排出する「士心塾」を運営する、株式会社士心(本社:埼玉県東松山市、代表取締役:井本 一志)は、自分から勉強できる子に変わる為の『勉強嫌い克服講座』を7月19日より埼玉県川越市の仙波小、武蔵野小、新宿小、大塚小、川越第一小、川越小、中央小、泉小の1年~5年生の為に実施します。講座詳細: 士心塾 夏季講習の様子■「勉強嫌い克服講座」開催の背景我々は教育の為にゲームを制限させる「ノーゲームデー」の概念を変えたいと思っています。なぜなら、「ゲーム好きな子供たちだからこそ、英語まで得意になる」仕組みがあるからです。「勉強せずに、ゲームばかりして大丈夫なの…?」「どうすれば、自分から勉強する子になるの…?」これらの不安を抱えていた、お母さま、お父さまを安心させる、内発的動機を目覚めさせるきっかけであり、短期間で勉強が大好きになる「6つの戦略」を、この講座でお伝えします。■「勉強嫌い克服講座」について<対象者>埼玉県川越市の仙波小、武蔵野小、新宿小、大塚小、川越第一小、川越小、中央小、泉小の1年~5年生を対象に実施します。<開催の趣旨>ゲーム好きだからこそ、英語が得意になる仕組みが存在します。この仕組みを、ゲームばかりで勉強しないお子さまをお持ちのご家庭へ提供します。<これまでの参加人数や開催回数について>本講座は東松山本校で過去200回実施されており、プログラミングがきっかけの入塾小学生たちが、英検5級~準2級まで合格しています。■開催概要イベント名: 勉強嫌い克服講座開催日時 : 7月19日(火)~8月31日(水)授業時間 : 火・水曜18:30~20:30、金曜16:30~20:30より1時間選択会場 : 士心塾川越校(〒350-0043 埼玉県川越市新富町2丁目4-3 3階)アクセス : 西武新宿線「本川越」駅 徒歩4分、東武東上線「川越」駅 徒歩10分参加費 : 当日500円(税込)参加条件 : 小学1年~5年生であること、英語を学ばせたい気持ちがあること定員 : 最大1-2名/1時間枠主催 : 士心塾申込方法 : WEB申込み(公式HPから)、または電話申込み(050-3740-4400)公式サイト: <講座構成内容>(1) プログラミング体験(お子さま)時間:30分ゲームをする側の立場から、作る側の楽しさ、プログラミングの楽しさを体験します。(2) 英語シャドーイング成功体験(お子さま)料金:30分無縁だった英語を口に出して話す、成功体験を実感します。(3) 内発的動機を引き出すためのカラクリ(保護者)時間:お子さまの体験中に30分程度やらされても結果は限定的です。自らやりたくなる環境をどのように提供するのか、そしてどのように実際に結果につなげるのか、お話します。プログラミングきっかけ入塾生エピソード ■会社概要商号 : 株式会社士心代表者 : 代表取締役 井本 一志所在地 : 〒355-0022 埼玉県東松山市御茶山町1-3 2F設立 : 2015年4月事業内容: 学習塾事業、教材事業、イベント事業、コンサルティング事業資本金 : 100万円URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年07月13日初めての出産を控え、本場のフランスでソフロロジー式分娩を猛勉強した私。ソフロロジー式分娩とは、陣痛の痛みを受け入れ、ヨガのように心と体をリラックスした状態で分娩に臨むことで、痛みを和らげることができるとされる方法です。助産師さんに質問したり、本を読んだりしてイメージを抱きながらいざ出産! しかし、実際は理想とはかけ離れた分娩でした。そんな私のソフロロジー分娩体験を紹介します。 本場フランスのソフロロジー式分娩「どうしたら分娩中の痛みが薬なしで和らげられるのかな?」と妊娠期間中に調べていて出合ったのが、ソフロロジー式分娩。なんとフランスが本場! しかし実際は、フランスでは無痛分娩が80%で、今ではソフロロジー式分娩を選ぶ人はほとんどいないようです。 もともとヨガをしていた私は、ソフロロジー式分娩が一番私に合っていると思いました。出産前に助産師さんに教えてもらった息を長く吐く呼吸法を練習し、イメージトレーニングでは陣痛が来たらおなかをさすりながら赤ちゃんに声をかけて陣痛の痛みに集中しないようにする練習を重ねていきました。 万全の用意で陣痛開始! しかし…妊娠40週2日のこと。「あれ? これって陣痛が始まったのかな?」と就寝中に目が覚めて、違和感を覚えたのです。そこで、用意しておいたリラックスできる音楽をかけて、イメージトレーニングを始めました。 練習のときのように、痛みがきたらおなかの赤ちゃんに声をかけ、おなかをなでて一緒に痛みのつらさに耐えていきました。ところが、痛みが強烈になっていくと同時に余裕がなくなって、ソフロロジーどころではなくなったのです! 痛みでパニック! ソフロロジーはどこに?陣痛と陣痛の間は我に返り、「違う違う! こうしなきゃ」と焦りながらも、強烈な陣痛の痛みに「あ゛~!」と腰をなでることしかできなくなりました。ややパニック状態になり、音楽がイライラしてきて遮断。 意識できたのは呼吸法だけ。私のパニック状態に夫も焦り、夫婦2人で不安の中自宅で陣痛に耐えていました。しかし、病院に到着すると冷静な助産師さんの対応で落ち着くことができ、無事安全に出産を終えることができました。 ソフロロジー式分娩を勉強し、万全の状態で挑んだ分娩。しかし、実際は予想をはるかに超える痛みで、理想の分娩ではありませんでした。でも、私の通っていた病院では子宮口が5cm開くまでは自宅待機だったのですが、そのつらい時間はソフロロジーのおかげで痛みを和らげることができたと思います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:岩見 エリ1男の母。看護師歴12年、現在はフランスで出産し子育て中。 イラスト制作者:マンガ家・イラストレーター こちょれーと漫画家。6人家族で、双子を含む4姉妹のママです! 今は主にイラストを描いていますが、もとは紙面で漫画を描いていました。
2022年07月09日教育事業を展開する株式会社SUGINOHARA ORIGAMI ACADEMY(大阪市北区)が考案した折り紙で算数や数学が学べる勉強法「魔法の折り紙さんすう教室」が、2022年5月に体験者10万人を突破いたしました。算数・数学を折り紙で遊びながら、目で見て、手で触れて、算数・数学の本質を理解する、まったく新しく、ユニークな教育方法です。それは「考える力」が身につき、遊びながら算数・数学習得出来る独自の教育手法です。今までに体験者10万人、魔法の折り紙あそびの書籍も累計20万部以上に達しており、本年度も増刷が続いております。魔法の折り紙あそび■「手考力」で養う5つの「力」の秘密手を使って考える力を「手考力」と名付けました。杉之原折り紙メソッドでは、手を使いながら試行錯誤することで体験と知識が結びつき、算数の解き方を「覚える」のではなく「わかる」ようになります。そして、続けていくと、自分で「できる」に変わるのです。1 親子で学ぶ力を養う:親子で学ぶカタチが通常です。2 真理探求力を養う :夢中になって取り組むと物事の本質をつかむ力になります。3 バランス力を養う :直観的にとらえる感覚が身に付きます4 空間認識力を養う :三次元なので、空間をとらえる認識力が高まります。5 共感力を養う :算数とコミュニケーション能力には関係性があると考えています。■魔法の折り紙あそびを学んでいくと、こんな形まで作れるようになります。正多面体マトリョーシカ三角柱の巨大プラミッド■サービス概要「魔法の折り紙あそび」オンラインレッスン・Zoomにて開催・親子で学び、親御様にも勉強になる・折り紙を折る場面では手元カメラに切り替えて進めるので大変わかりやすい。・折り紙があればスタートできる・5歳から参加できる・親子で楽しく学べる・入会金不要「魔法の折り紙あそび」は、算数・数学の能力を開くには最高のノウハウです。「魔法の折り紙あそび」オンラインレッスンでは、折り紙をしながら親も子供も算数問題を解く力が養えます。親御様は「今さら算数の勉強なんて」と思うなかれ!今まで見たことも聞いたこともない勉強法がお子様と一緒に身につくので一挙両得です。2020年4月よりサービス開始した魔法の折り紙あそびオンラインレッスン費用 :月々11,000円(税込)。ビギナークラス/アドバンスクラス月々13,200円(税込)。中学受験攻略クラスお申込み方法:まずはホームページまたはお電話から、お問い合わせ下さい。運営 :杉之原折り紙アカデミー【公式サイト】 ■東京でのイベント開催来る7月31日(日)におりがみ先生が東京で『魔法の折り紙あそび』イベントを実施いたします。魔法の折り紙あそび体験と杉之原眞貴先生のやり抜くチカラのヒントを語っていただく予定です。開催日時 :2022年7月31日(日)10時~12時30分開催場所 :浜松町ビジョンセンター4F-J会場開催タイトル:『5つの力が身に付く「育脳」折り紙あそび 東京講演会』主催 :杉之原折り紙アカデミー 杉之原眞貴■関連書籍概要書籍名: 5つの力が身につく!10歳までの「育脳」折り紙あそび著者 : 杉之原眞貴発売日: 2021年1月28日出版社: PHP研究所価格 : 本体1,540円(税込)詳細 : ■会社概要会社名: 株式会社SUGINOHARA ORIGAMI ACADEMY所在地: 〒530-0041大阪府大阪市北区天神橋六丁目6番19号 エレガントビル南館4F 405連絡先: 06-6358-1395URL : ■一般の方向けのお問い合わせ先HP : お問い合わせ先: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月21日支援が必要な学生により早い段階で支援を提供したい2005年に施行された発達障害者支援法では、「大学及び高等専門学校は、個々の発達障害者の特性に応じ、適切な教育上の配慮をするものとする」と明示されました。そこで発達ナビでは、実際に大学でどのような支援が行われているかについてお届けしていきたいと思います。このコラムで紹介する中央大学では、2007年から一部の教員が「軽度発達障害の縦断的研究」を開始。これを引き継ぐ形で2016年から「発達障害者傾向を有する大学生についての縦断的研究」を行い、このたび『キャンパスにおける発達障害学生支援の新たな展開(中央大学人文科研究所研究叢書)』に活動の記録をまとめました。今回は、同研究チームの主査を務めた山科満教授に、キャンパスにおける学生支援の現状や発達による特性がある学生、保護者の方への願いについて伺いました。参考:発達障害者支援法 | 文部科学省編集部(以下――)現在注力されている研究について教えてください。山科先生:中央大学では、未診断ながら発達の特性がある学生への支援体制の構築と、支援のノウハウについての臨床研究を続けています。従来型の学生相談室、あるいは支援室というのは、いくら「箱」を充実させても、支援が必要な学生の多くはそこにたどりつくことなく、大学からドロップアウトしていきます。そのような学生により早い段階で支援を提供できるために必要なことは何だろうと、手探りで活動を続けてきました。――山科先生は、精神科医から大学教員に転身されたのですよね。山科先生:はい。大学教員、それも臨床心理学の教員になろうと思った理由は2つあります。私は1989年に医学部を卒業して精神科医になり、最初の十数年は統合失調症の入院治療に力を入れていました。臨床経験を積む傍らで、次第に薬物療法の対象とはならないパーソナリティ障害や神経症の治療、すなわち個人精神療法、とりわけ精神分析の勉強もするようになりました。これが自分としては興味深かったのですが、脳科学全盛の大学病院の精神科で精神分析を実践することや、まして研究することはできないことだったのです。端的に、居場所がないわけです。もし研究を続けたければ、文系の大学の教員になるしかない、という状況がありました。より直接的には、大学病院で臨床心理士を目指す大学院生の実習指導を引き受けるようになったところ、実習生たちがとても熱心で、その人たちに基礎的な精神医学と精神分析学の両方を教えることに、やりがいを感じるようになったのです。そこで、大学教員を目指すなら臨床心理士養成のための大学院をもっているところにしようと、思い定めました。2006年に文教大学人間科学部に就職したのは、こういう経緯からでした。その後、2010年春に中央大学文学部に移りました。――現在の支援体制について、どのようにお考えですか。山科先生:少しずつ支援体制をつくりつつあるのですが、私のやっていることはどうしても支援者ないし教員の目線での発想に傾きがちです。支援対象当事者の気持ちや困りごとをより具体的に知るために、今は学生さん当事者の人たちに協力してもらいインタビュー調査を積み重ねているところです。また、ピアグループの運営をサポートするようにもなりました。――そのほかの研究はいかがですか。山科先生:東日本大震災にまつわる臨床研究を行っています。中央大学文学部に移った約1年後、2011年3月に東日本大震災が発生しました。以来私は岩手県の北リアス地域に通い、病院臨床や地域の精神保健活動に携わりながら、津波被災者の心理過程と、過疎地域におけるひきこもりの支援に関する臨床研究を続けています。――ひきこもりには発達の特性も影響しているのでしょうか。山科先生:そうですね。その地域で家庭訪問を行っていて、大学中退、あるいは卒業後早期に社会からドロップアウトして、実家に戻りそのままひきこもっているという人たちに少なからず出会いました。その人たちの生きにくさのベースに、多くの場合で発達の特性が絡んでいることが見いだされました。まだ論文化できるほどのデータはたまっていないのですが、実感としてはそういうことです。3/4が支援開始時点で発達障害未診断というデータも出典 : ――大学に通う発達に特性がある学生の傾向や、支援状況について教えてください。山科先生:中央大学の一学部のデータですが、発達の特性があるために適応に困難を来して支援を受けることになった学生のおよそ4分の3は、支援開始時点で未診断でした。多くは幼稚園・保育園時代から多少なりとも「発達が気になる子ども」ではあったのですが、よく護られ、あるいは勉強ができるために周囲から一目置かれ、大学まではさほど不適応にならずに来ているのです。――そのような学生は、大学入学後に困り感が生じているということですね。山科先生:そうなりますね。大学では高校までの生活とはタスクが全く異なります。また、コロナ禍で普及したオンライン授業にはメリットもありますが、時間管理や同時並行処理など、発達の特性を有する人には高いハードルとなることもありました。さらに、授業はこなせても、就職活動で「筆記は通るのに面接でことごとくはねられる」といった経験から、自身の特性について気づくこととなる学生さんも少なからずいます。――学生自ら支援を求めることができているのでしょうか。山科先生:支援対象者となっている学生のうち、自ら支援機関や支援者に直接コンタクトを取った学生は半分以下です。ドロップアウトしかかったところで、ゼミの教員や、キャリアセンターの職員、学部事務室の職員などが関与し、そこから支援者につながることが多いです。ということは、支援機関・支援者は、学生からみてアクセスしやすいだけでなく、一般の教職員にとってもアクセスしやすい存在でなければなりません。これは「箱」を整備すれば良いというものではなく、支援者の「顔」が多くの学生や教職員から認知されることと、支援システムが柔らかいものであることが必要と考えられます。――現在、キャンパスで支援している学生はどれくらいですか。山科先生:中央大学では、私の推計では概ね全学生の1%ほどの学生を支援対象としていると思われます。他方、私たちはいくつかの学内調査から、発達の特性を有し、本人なりに困り感を抱きながら過ごしている学生が1割弱いるだろうと見積もっています。以前行った調査で「自閉症スペクトラム指数(AQ)」という質問紙では、カットオフポイント(その点数以上であれば自閉スペクトラム症の傾向がある可能性が高い)を超える人が数%ほどいました。もちろん、カットオフポイントを超えた人がみな困っているわけでも、まして発達障害と診断されるわけではないのですが、私は、今支援を受けているのは本当に支援を必要としている人の一部に留まっているのではないかと、危惧しています。また、今困っていないから支援の必要がない、とは必ずしも言えません。問題が先送りされ、会社員になってから不適応に陥っても、企業の中では大学のように手厚い支援はありません。それは、私がクリニックや企業内の健康管理センターで精神科医として働いていて実感することです。――さまざまな課題を感じられているのですね。発達の特性がある学生には、どのように過ごしてほしいとお考えですか。山科先生:できることなら、発達の特性がある人は、学生時代に自身の特性と向き合い、この複雑で曖昧な世の中を生き抜く戦略・戦術について考え始めてほしいと願っています。「障害は社会の側にある」のですが、その社会と自分との相性を客観的に分析する視点をもつこと、その前提となる柔軟な自我が育つような支援を一人ひとりに提供することが、私たちの最終目標です。ただし、本人にその自覚が無いまま支援者が人の人生や心の中に踏み込むことなどできません。どうやって気づいていただくか、気づいたときに強い不安や孤独感を抱くことなく支援を開始するにはどうすれば良いのか、学生の成長に寄り添い「伴走」する支援者のあり方とは、など課題はつきません。大学・学部選びでは「本人の興味・関心」を優先させてほしい出典 : ――ここまでお話を伺い、発達の特性による困り感がある大学生の多さを再認識しました。発達に特性がある場合、どのようなことを大学・学部選びで大切にしたほうが良いとお考えでしょうか。山科先生:大学・学部選びに関しては、何よりもまず「本人の興味・関心」を優先させてほしいと思います。大学の勉強は、高校時代よりはるかに複雑でレベルも高くなります。「好き」という原動力がないと、ただただ苦しいだけの日々を送ることになりかねません。就職に有利だからという理由で学部を選んだり、大学のネームバリューに惹かれて「その中で入りやすい学部」といった選択をしたりすると、入学後に壁に当たった際に乗り越えることは難しくなります。――「好き」という原動力が、困難を乗り越える力にもなるということですね。山科先生:大学時代に学んだ「知識」など、卒業後数年したら古びてしまいます。大学で身につけるべきなのは、「調べる力」「長い、構造化された文章をつくり上げる力」「ディスカッションの力」「プレゼンテーションの力」などです。仮に会社員として生きていこうということになった場合に、これらの力があれば、支援を受けながらになるかもしれませんが、それなりの仕事ができる可能性があります。好きな勉強を通してなら、こういう経験を積みスキルが向上することが可能になるかもしれません。コミュニケーションが苦手な人でも、自分の好きなことなら話せるかもしれません。まず楽しんで話す、その次に「相手に伝わる話し方」を考える、ということで、この順番でなければコミュニケーションスキルの進歩などありえないと私は思います。――大学卒業後、つまり「将来の自立」にも関わってきますよね。山科先生:自立ということでいえば、当たり前のことですが生活スキル、自己管理能力の強化は、どうしても必要と思います。大学生活で躓くのは、実はこの点が大きいのです。ただし、朝起きられないとか、時間にルーズだとか、片づけができないといったことが、全て「心がけ」の問題として本人が叱責されてしまうというのは残念でなりません。これらはいずれも発達の特性がベースにあって生じることなのですから、本人を傷つけずにどう意識づけをやっていくか、ということについては、いろいろな工夫が必要でしょうし、薬物療法を検討すべき場合もあります。――保護者はどのようなことを意識すれば良いでしょうか。山科先生:より根本的には、「自己」を育てていく、ということが大事かもしれません。「これが好き」「あれがやりたい」という願望を持ち、その実現に向かって努力するとか、自分が頑張った結果どういう良いことが待っているかということがイメージできるように、親は気長に関わっていく必要があると思います。発達の特性によってイマジネーションが難しいからこそ、そのような頭の使い方を、地道に教えて行く必要があるのではないでしょうか。やがて経験を積み、親しい人に導かれながら内的な経験を言語化する営みを重ねると、少しずつ「自己」が複雑化していきます。そうなると、異なる視点でものを見比べるとか、思考実験的なことを頭の中で行えるようになります。発達の特性を有する人たちにはそういうことは苦手なのですが、将来を考えるときに、不安感と嫌悪感ではなく希望に根ざした発想ができるように、ということを親は意識している必要があるように思います。執筆/LITALICO発達ナビ編集部
2022年06月15日「もしかして発達障害」特集第2弾入園、入学、進学…新年度の行事がひと段落して、子どもの学校や園生活の様子を落ち着いてみることができるようになってくる時期ですね。この時期に「うちの子、なんだかほかの子と違う…?」「こんなにも育てづらいのはわが家だけ?」とわが子と周りの子どもとの違いに気づく保護者の方も多いのではないでしょうか。昨年度、多くの方に読んでいただいた「発達障害かも」特集、このたび第2弾として企画しました。学校での勉強の遅れや、健診で「〇」がつかずに要観察、発達検査をして診断がおりた話、誤解や偏見を感じることの多い障害児育児の胸の内など、気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてください。小5のときに軽度知的障害・ASD・場面緘黙と診断されて吉田いらこさんの長女、小学6年生のゆいちゃん。現在は軽度知的障害・ASD・場面緘黙の診断を受けています。ゆいちゃんが診断を受けたのは小学5年生のときですが、それ以前に「あれ?」と思ったこととは…?育てやすかったけれど、昔から勉強は苦手だったゆいちゃん。勉強は無理にさせなくてもいい、と思っていた吉田さんでしたが、小学校3年生くらいから本格的に「この子は勉強が苦手だなあ」と思うことが増えてきて…。自閉症育児は「かわいそう」じゃない!自閉スペクトラム症がある、かさはらあやこさんの息子さん。育児の中で 誤解や偏見を感じる場面も多くあり、たくさんの悔しい思いもしてきました。「この先、同じような思いをする人が少しでも減りますように」と願いの込められたコラムです。子どもの発達の遅れを意識した3つのポイントとは?重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症があるべっこうあめアマミさんの息子さん。小さいころは育てやすいくらいだった息子さんの発達の遅れを意識した3つのポイントとは。3歳グレー息子、ついに発達検査!発達外来を受診してから数ヶ月後、まるさんの息子、リュウくんは発達検査を受けることに…!検査の流れやリュウくんの様子、気になる検査の結果は…!?2歳5ヶ月、発育の遅れの指摘をされて…広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のあるあーさんは、現在小学6年生。母親のSAKURAさんが発達障害の可能性を考え始めたのは、2歳のときに行った母子相談で2語文が出ていないことを指摘されたことがきっかけで…。もしかして次男も発達障害⁉ 保育園の先生に療育をすすめられ…手がかからないおだやかな次男。発達に関して、あまり悩んだり困ったりはしていなかった母親のtaekoさんですが、ある日保育園の先生に療育をすすめられました。一体その理由とは?そのほか人気まとめコラムはこちらから!
2022年06月12日幼いころのゆいの様子を思い返してUpload By 吉田いらこ幼いころのゆいは素直で大人しく、いわゆる育てやすい子でした。就学前までは子育てで特に大きな苦労を感じたことはありません。ただ、ゆいは勉強の苦手な子ではありました。年中のころから幼児向けのコースもある学習塾に通わせていたのですが、小学校1年生のころに本人がどうしても辞めたいというので退会させたことがあります。続けていけなくなったのは、ちょうどそのころから塾の勉強の内容が幼児向けの簡単なものからお勉強系に切り替わったからだと思います。この塾のシステムは、できない問題があればずっと同じところを繰り返し、理解し、解けるまで次に進むことはできません。ゆいは算数のある一ヶ所でつまずき、ずっとその問題を繰り返し解くことがつらかったようです。このときは辞めさせることをとても悩みました。勉強を嫌がるのは甘えではないのか、それを許していいのか…と。結局、ゆいがとてもつらそうにしているのがかわいそうになって辞めさせてしまいました。それに、まだ低学年だし勉強は無理にさせなくてもいいやとも思っていたのです。今思えば、このころに軽度知的障害の予兆に気づいていればできたこともあっただろうなと感じます。小学校三年生、テストの点数はいつも低く…Upload By 吉田いらこ小学3年生あたりから「この子は勉強が本当に苦手だなあ」と感じることが増えました。小学校で実施される小テストやカラープリントの点数がとても低かったのです。ゆいはいつも点数の低いテストを申し訳なさそうに私に見せてくるので、私は「次頑張ったらいいよ」「ほら、ここは○が多いじゃない」と数少ない、できていたところに目を向けてほめるようにしていました。内心では「この内容だったら、ほかの子は高得点を取っているのでは…?」と思いましたが、成績が悪いことをわが子に注意するのはかなり抵抗がありました。さらに勉強を嫌いになってしまうかもしれないと思い怖かったのです。きっといつか、勉強の大切さがわかったときには自主的に始めるだろう…と楽観視していました。かといって、ゆいに勉強に興味を持たせられるような効果のある声かけもしていなかったので申し訳なく思っています。小学校4年生のある日のことUpload By 吉田いらこそして何も解決しないまま小学四年生になったある日、担任の先生から呼び出しがありました。教室に入ると担任の先生と支援担当の先生がいて、ゆいの学校での状況を教えてくれました。ゆいは勉強についていくのがとても難しそうだということ。必死で板書を書き写そうとしているが間に合わず、授業を理解する以前の状態だということ。そして最後に、一度専門機関で発達の検査をしてみてはと言われました。そのときは「ああ、とうとうか…」と感じました。なんとなくそのままにしてきたことをはっきり指摘されたような気がしました。現在のゆいは…その後小学校5年生で新版K式発達検査を受けた結果、療育手帳(B2)が申請できると伝えられました。つまり、軽度知的障害があるということです。ゆいの場合は、学年が上がって勉強につまずき始めたことがきっかけで障害があることが発覚しました。ただ、こうやって第三者に指摘されない限り、家族だけではなんとなくそのままにしていただろうと考えています。学校の先生方に指摘された当時はショックを受けましたが、そのおかげでいろいろな対応を進めることができたので今では感謝しています。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)「子どもに知的障害があるかもしれない」という発想は、普通に子育てをしていてはなかなか浮かんでこないものです。ただ一方で、気づかずに一般的な勉強方法を繰り返していては、本人にとってつらいだけのこともあります。特性に気づいて最適な方法に出会えると、少しずつ前に進めて良いですね。
2022年06月03日勉強が「できる子」と「できない子」には大きな違いがあります。それは、勉強の習慣があるかないかです。「なにを言っている。その勉強を習慣化させること自体が難しいのに!」と考える親御さんも多いでしょう。でも大丈夫。「失敗できないほど小さな習慣」「ばかばかしいほど小さな行動」からスタートすることで、簡単に学習習慣をつくることができるのです。今回は、子どもの勉強を習慣化するコツをご紹介します。数か月後、お子さまは「歯磨きするように」勉強をしているかもしれません。「できる子」は毎日同じ時間に勉強している!勉強が「できる子」と「できない子」の差は、「習慣の違い」にあるようです。子どもの学習行動、生活行動などの調査研究をしている中畑千弘氏の著書『できる子が育つ黄金の時間割』によると、未就学児~中学生までの「できる子」と「できない子」の生活パターンは、それぞれ以下のようになっています。勉強が「できる子」毎日同じ時間に勉強をしている毎日同じ時間にテレビを見ている毎日同じ時間におやつを食べている土日も平日も同じリズムで生活している 勉強が「できない子」勉強をする時間が決まっていない遊ぶ習慣が優先され、勉強をしない日もあるテレビを見る時間が決まっていないおやつを食べる時間が決まっていない土日と平日の生活リズムが違う 「できる子」は、毎日同じリズムで生活していることがわかります。勉強に注目してみても、気まぐれに勉強をしている「できない子」に対し、「できる子」は平日も休日も同じ時間に勉強しているのです。中畑氏は、この「勉強の習慣」が「できる子」をつくっていると分析します。多くの子どもにとって「勉強は苦痛」。しかし、「できる子」は、「学習を習慣にして、 “当たり前のこと” にすれば、苦痛をやわらげられる」ということを知っているのだそう。子どもを「できる子」にするならば、まずは「勉強の習慣」をつけさせたほうがよさそうです。勉強の習慣は「10歳頃まで」につけるべきでは、子どもは何歳までに勉強の習慣をつければいいのでしょう。専門家の意見をまとめました。■10歳まで(中畑千弘氏)中畑氏が計12年間、5万人以上の「勉強ができる子の学習行動パターン」を調査した結果、「勉強ができる子、受験に成功した子は、親の学力が影響しているのではなく、小さな頃からの生活習慣が影響していた」ということが判明したのだそう。そして中畑氏は、分析結果からわかる最も重要なこととして、「学習習慣は10歳までに身につけないといけない」と断言しています。■10歳まで(村上綾一氏)理数系専門塾エルカミノ代表取締役の村上綾一氏も、著書『中学受験で成功する子が10歳までに身につけていること』のなかで、「10歳までに毎日必ず勉強することを習慣づける」というのが大切だと述べています。学習量や難易度は日によって変更してもよいけれど、「勉強しない日をつくらない」というのが最大のポイントなのだそう。■10歳頃まで(児玉光雄氏)右脳活性トレーニングの第一人者で、著書に『小学生を天才児に変える魔法の習慣』がある児玉光雄氏は、「10歳頃」までに勉強の習慣をつけるべきだとしています。そして、習慣づけのスタート時期については「早ければ早いほどうまくいく」と述べています。児玉氏によると、勉強の習慣は「毎日同じ時間、同じ場所で」行なうことが重要なのだとか。なるほど、10歳頃までの勉強の習慣が大切なのですね!脳科学学習塾RAKUTO代表で『勉強が好きになり、IQも学力も生き抜く力もグングン伸びる 最強の子育て』著者・福島美智子氏が、少し怖いことを言っています。勉強の習慣がない状態で “親に勉強をさせられていた子” は、「小学校中高学年あたりで勉強に見向きもしなくなる」らしいのです……。となれば、なんとしても「10歳頃までに」勉強の習慣をつけさせたいところです。やる気・気合いは不要!?習慣化を成功させる3つのコツ次に、勉強を習慣化するためのコツを紹介します。習慣化のコツ1:子どもにとって「小さすぎる行動」からスタートする「1分・5分・10分だけドリルをやる」など、お子さまにとって簡単にできそうな勉強から始めてみましょう。ベストセラー『小さな習慣』著者のスティーヴン・ガイズ氏は、人間の脳は新しい習慣を嫌うようにできているため、「最初の一歩」を脳に警戒させないよう「ばかばかしいほど小さな行動」から習慣化をスタートするのがよいと述べています。ですから、1分が難しいようなら「30秒」でも「10秒」でもOKなのです。また、ガイズ氏によると「1分だけ勉強する」といった、本人にとって小さすぎる習慣は、結果的に1分以上勉強してしまう確率が高いのだそう。しかし、「だったら明日は10分」などと目標を上げるのは厳禁です。前日の勉強がどれだけはかどっても、翌日は「本当に1分で切り上げるつもりで行動を起こす」ことが習慣化につながります。習慣化のコツ2: “毎日” 決まった時間に勉強をする。例外はなし!「朝ご飯の前」「朝、出かける前」「学校から帰ったら」「晩ご飯の前」「寝る前」など、毎日決まった時間に勉強をするようにしましょう。そして、ここで大切なのは「例外をつくらないこと」だと中畑氏は言います。親が何度か例外を許してしまうと、子どもは「今日はやらなくてもいいでしょう?この前だってよかったよね」と、さらに例外を求めてきます。ですから、土日はもちろんのこと、祖父母の家に泊まるときなども、必ず決まった時間に勉強することが大切です。ただし、状況によって分量や難易度は調整してもかまいません。村上氏によると、学習内容よりも「毎日必ず勉強する」生活リズムを崩さないことのほうが大事なのだそう。「今日は特別だよ」という言葉はぐっと我慢してくださいね。習慣化のコツ3:子どもの勉強習慣を伴走しながら見守る中畑氏は、子どもの勉強を習慣化させたいならば、「子どもと一緒に最後(10歳)まで走り抜く覚悟」が必要だと話します。と言っても、親が「勉強を教える」のではありません。勉強する子どもを「気にかける・見守る」のです。子どもに「自分だけイヤなことをさせられている」と思わせないことがポイントなのだそう。たとえば、「勉強しなさい!」と言いながら、親がテレビを見ていたり、スマホをいじっていたりしていては、子どもだって勉強する気になれませんよね。ですから、「子どもの横に座る」「家事をしながらでも、子どもの勉強を気にかける」「(子どもが朝に勉強をしているならば)親も毎朝、時間通りに家事をする」などの行動を心がけましょう。また、村上氏は、「小学5年生までは親が丸つけをする」「親が見ている前で本人が丸つけをする」といった学習習慣をすすめています。どうしても時間がとれない場合は、「週に何回か、本人が丸つけをしたテキストを親がチェックする」というスタイルでもOKです。1日3分の学習習慣が、2年2か月後には1日30分に!上述した3つのコツを読んで、「簡単そう」と感じた方も多いのではないでしょうか?学習時間は「1分」でも「10秒」でもOKですし、中畑氏の言う「親の覚悟」にしても、「子どもの横に座るだけ」「家事をしながらでもいい」とあります。であれば、勉強の習慣化は意外と簡単なのかも……と、ダメでもともと、実際に小学1年生の子どもに以下のルールで習慣づけをしてみました。習慣化のルールいつ:朝起きたらすぐどこで:リビングテーブル勉強時間:3分学習内容:通信教育の教材親の関わり方:横に座る、丸つけをする、スマホをいじらない、テレビを見ない 小学校入学直後ということもあり、勉強への熱意が溢れていたのでしょう。また、「3分」という子どもにとって短すぎる時間もよかったのかもしれません。特に問題なく、土日も含め、1週間毎日勉強することができました。そして気がついたら夏休み。なんと約3か月も勉強習慣が続いていました。また、ガイズ氏の言ったとおり、最初に決めた「3分」で勉強が終わることはなく、丸つけの時間も含めると、平均7~10分ほどの学習時間となりました。そして夏休み期間中も「例外をつくらない」という中畑氏のアドバイスを守り、祖父母の家への帰省中でも、毎日同じ時間に勉強を続けました。そのまま子どもの勉強習慣は続き、2年生の4月には学習時間を5分間に延長(実際の学習時間は10~15分)。そして、3年生になったタイミングで通信教育をタブレット教材に切り替え、学習時間も思いきって15分に伸ばしてみましたが、それでも問題なく、毎朝15~30分ほど勉強をしています。普段は落ち着きのないわが子が、毎朝30分も勉強するなんて、いまだに信じられません。「歯磨きをするように勉強する」脳の仕組み千葉大学教育学部附属小学校教諭の松尾英明氏は、「基本的に多動である子どもが、自然に自ら机に向かうようになることはない」と断言しています。しかし、学習習慣さえついてしまえば、毎日の歯磨きと同じように、「やらないと気持ちが悪い」と感じるようになるのだとか。たしかに、筆者の子どもも夏休みが終わる頃には、毎朝の勉強をすっかり「当たり前のこと」として受け入れており、そこに「やる気」や「気合い」といった感情は見られませんでした。まさに、「やらないと気持ちが悪い」という言い方がぴったりです。なぜそんな気持ちになるのか――。それは、「人間の脳は効率が大好物」だから。その仕組みを、ガイズ氏は以下のように説明しています。同じ行動を何度も繰り返すうちに、脳はそのプロセスを自動化することを選びます。何かをするときにいくつかの選択肢をはかりにかけ、結局は毎回同じ行動を選ぶのであれば、最初から何も考えずに自動的に行動するほうがはるかにエネルギーの節約になります。(引用元:スティーヴン・ガイズ 著, 田口未和 翻訳,(2017),『小さな習慣』, ダイヤモンド社.)筆者の子どもも、最初の1か月こそ「さて今日もやるか」という気持ちが見えていました。しかし、すっかり習慣化された現在は、無意識のうちにリビングテーブルに座っています。きっと、「朝起きる→リビングテーブルで勉強をする」という行動を、脳が自動化したのでしょう。欲を言えば、朝から1時間くらい勉強をしてほしいものですが、前述したように「脳は新しい習慣を警戒」します。ですから、脳に警戒されないように、毎年5~10分ずつ勉強時間を増やしていく予定です。モチベーションに頼らない「ばかばかしいほど小さな行動」から始める学習習慣を、ぜひ試してみてくださいね。***「誰かに命令されて嫌々やるのは習慣ではない。子ども自身が机に向かう。そうした習慣が子どもの以後の人生に大きな影響を与える」と松尾氏は話します。 “10歳頃まで” が勝負です。お子さまの「勉強の習慣化」を成功させましょう!(参考)note|東大に合格するような人は、歯磨きをするように勉強している中畑千弘(2008),『できる子が育つ黄金の時間割』, ダイヤモンド社.村上綾一(2016),『中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること』, KADOKAWA.スティーヴン・ガイズ 著, 田口未和 翻訳,(2017),『小さな習慣』, ダイヤモンド社.アスコム監修(2011),『10歳までの子育ての教科書』, アスコム.プレジデントムック(2018), 『小学生からの知育大百科』, プレジデント社.加藤紀子(2020),『子育てベスト100』, プレジデント社.Business Journal|「人の一生は12歳までに決まる」という残酷な現実プレジデントオンライン|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣
2022年05月26日日本初の家族療法専門機関である淀屋橋心理療法センターでは、不登校・摂食障害・ひきこもり・リストカットなどのお子さんを持つ親御さん向け勉強会を毎月開催しております。そして今回新たに、ネット・ゲーム依存でお困りの親御さん向けにアットホームな雰囲気を心がけた少人数制の勉強会を2022年5月27日(金)に開催することに致しました。所長・医師 福田 俊一■勉強会の開催概要開催日 : 2022年5月27日(金)場所 : 大阪府豊中市寺内2-13-49 TGC8-302時間 : 10:30~12:30料金 : 3,000円(税込)定員 : 10名お申込方法: (上記のURLより勉強会名を選んでお申し込みください。)対象 : お子さんのネット・ゲーム依存でお困りの親御さんが対象となります。条件 : 新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、1家族につき1名でお申し込みください。勉強会は事例紹介(当センターでは紙芝居形式で事例をご紹介)やQ&Aのコーナーがあり、事例の発表では、「事例に出てくる子が我が子に似てる」「具体的な子どもへの関わり方が分かって参考になった」「親が本気になって子どもと向き合うことで、こんなに変わるなんて驚きだった」「親から子どもにしてあげられることがこんなに沢山あるんだと、自信がついた」というご意見、また、Q&Aのコーナーは、「個別に相談できて満足でした」というご感想をいただいております。勉強会の冒頭で、「なぜ当センターの勉強会に来てくださったのですか?」とお聞きすると「薬に頼らない治療が良いと思った」「子どもへの具体的な関わり方が知りたいと思った」「本人が病院やカウンセリングに行きたがらないので、本人の来所が不要というのが良いと思った」とのことです。Q&Aのコーナーでは、熱心にご質問くださる親御さんたちの姿がとても印象的です。7月には、お子さんや配偶者の方のうつ病でお困りのご家族に向けた勉強会の開催も予定しております。事例発表 福田 俊介(臨床心理士)【淀屋橋心理療法センターについて】当センターでは設立以来、不登校・ひきこもり・摂食障害・家庭内暴力・ゲーム依存・うつ・リストカットなど、様々な困難を持ったお子さんへの対応で苦労しておられる親御さんを対象に、家族療法というアプローチを用いたカウンセリングでの解決をご提案しております。“見守りましょう”という様子見ではなく、まず、お子さんの性格分析を徹底的にして、お子さんの持ち味を見つけ出します。その後、お子さんの性格に合った具体的な対応方法を親御さんにお伝えしています。親御さんとお子さんの歯車がピタッとかみあったら、お子さんはどんどん成長し、目の前の不登校や摂食障害などという問題を乗り越えるだけでなく、その後の将来も自立して生きていけるよう成長のお手伝いを致します。家族の力というのはとても大きく、何年もの間解決しなかった問題が、当センターにおいて解決したという症例が多数あります。例えば、●海外在住で摂食障害の女性のケース→母親が当センターにて電話での対応方法を学び、国際電話で娘との会話を工夫したところ、海外留学中の女性の摂食障害が治りました●過食症で食べるものにこだわりがあり、家族みんなでそろって食事をするのを避けていた女性のケース→過食症を克服したことにより、家族みんなが揃って数年ぶりに食事ができました●ゲームばかりしていて学校に行かず、ゲームでうまくいかないと暴力をふるう男の子のケース→本人の来所は1度もないまま、親御さんが対応を変えただけで徐々に暴力を振るわなくなり、その後、学校にも行けるようになりましたこのようなケースも対応しております。当センターの家族療法では、本人の来所が不要なため、本人の良くなりたい・治したいという意欲がなくても、親御さんに我が子を何とかしたいという気持ちがあれば、問題解決する場合が多いのです。「子どもにどう対応したらいいかわからない」あるいは「本やネットで学んだことを実践しているがなかなか子どもに良い変化が現れない」そういう場合はぜひ当センターにご相談ください。最初からカウンセリングを受けることに抵抗がある方は、まず最初に勉強会に来て頂いて、当センターの雰囲気を見ていただくというのもいいと思います。【勉強会開催に伴い、ホームページのリニューアルも随時行っています】 【所長・福田 俊一のご紹介】大阪大学医学部卒。大阪大学精神神経科、大阪府立病院神経科にて精神医療に取り組む。米国フィラデルフィア・チャイルド・ガイダンス・クリニック(P.C.G.C.)にて家族療法をS.ミニューチンに師事。住友病院心療内科、大阪厚生年金病院神経科、大阪市立小児保健センター精神科に勤務後、1983年に淀屋橋心理療法センターを設立。<著書一覧>・職場のストレス・マネジメント(1989年8月刊)メディカ出版・家族療法の面接室から(1994年9月刊)ミネルヴァ書房・家族の心理療法(1998年3月刊)朱鷺書房・過食・拒食の家族療法(1999年5月刊)ミネルヴァ書房・しぐさでわかる心の病気(2000年1月刊)エール出版社・過食症と拒食症(2001年12月刊)星和書店・しぐさで子どもの心がわかる本(2004年12月刊)PHP研究所・克服できる過食症・拒食症(2005年5月刊)星和書店・ちょっと気になる子どもの『行動』(2009年4月刊)PHP研究所・母と子で克服できる摂食障害(2011年1月刊)ミネルヴァ書房・克服できるリストカット症候群(2011年6月刊)星和書店・親の「口ぐせ」で子どもの性格が変わる!(2019年7月刊)PHP研究所その他出版物、専門誌への寄稿多数(詳細: )【過去のメディア出演・取材・講演実績】<メディア出演>・読売テレビ「テレビドクター」出演~ひきこもり問題について(2005年11月)・CBCテレビ「ゴゴスマ」出演~ひきこもり・ネット依存について(2015年9月)・毎日放送「ミント!」出演~ゲーム依存について(2019年12月)<取材>・日本経済新聞にて取材記事掲載~『子育てはやり直せる』(2003年8月)・NTTドコモ「ママテナ」にて取材記事掲載(2016年1月:摂食障害、3月:環境の変化に弱い子への接し方、5月:五月病、9月:愛着障害)・関西テレビ「みんなのニュース ワンダー」家庭内暴力について取材(2016年8月)他、小学館やPHP研究所等より取材実績多数(詳細: )<講演>・教育委員会や学校施設、家庭裁判所等での講演実績多数(詳細: ) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年05月25日新しい担任の先生のおかげで、娘の勉強意欲がとても刺激されているようです。先生の言葉って力があるのですね〜!■ほめ言葉の力たるや即スイッチ入った(こういう素直なとこもかわいいんね)。昨年ののまめのノートの件もそうだったけど、先生の言葉ひとつで勉強意欲がこんなにも変わるの?って思ったよ、うまいなぁ。バレーボールの習い事が多くて、塾まではまだ手が回らないんだけど、このヤル気スイッチが入ってるうちに何かしてあげたい。
2022年04月23日新型コロナウイルスの影響により、オンライン授業を取り入れた学校も多いと思いますが、子どもがノートパソコンやタブレットの画面に向かっている姿を目にするというこれまでとの変化に戸惑ってしまうという親御さんも多いようです。今後、教育現場に広まっていくといわれるICT教育。ですが、どんな風に取り組めばいいのでしょうか。そんなお悩みにお答えくださったのは、リクルートEd-tech総研所長の山下真司さん。新しい学習指導要領やGIGAスクール構想についての解説と、子どもたちの学びにどんないい効果があるのか、分かりやすく教えていただきました。勉強面だけでなく、サッカーでも必要な「主体的に学ぶ」姿勢がつくのだそうです。(取材・文:小林博子)(写真は少年サッカーのイメージ)【関連記事】大津高校平岡総監督「主体的なチャレンジを後押しするのも信頼関係があってこそ」■ICT教育とはインターネットの技術者を育てる授業ではないICT教育とは何か、皆さんご存じですか。学校関連の情報で目や耳にするけれど、あらためて訊かれるとよくわからないという方も多いのでは。ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、通信技術を活用したコミュニケーションを意味します。これまでよく耳にしたITはインターネットの技術そのものを指しましたが、ICTはネットの通信や情報処理だけでなく、情報や知識の共有などコミュニケーションをより重視しています。小学校で導入される「プログラミング」も、システムエンジニアを育てる授業と思っている方もいるようですが、あくまで「論理的思考」や物事が動くロジックを理解するためのものであり、ICT教育もプログラミングもどちらもパソコンやタブレットをツールとして使いますが、Webの仕組みなどを理解することを目的としたものではありません。子どもたちが今、タブレットやPCを使ってオンライン授業を受けていたり、課題を提出したりしているのは、ICTを活用した学習活動の充実を図る文部科学省の「GIGAスクール構想」という教育プロジェクトによるものです。「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取り名づけられました。■突如始まったように見えるICT教育、実は日本が遅れている分野GIGAスクール構想とは具体的には、学校における高速通信ネットワークを整備するとともに、小中学生がPCやタブレットなど1人1台の端末を持ち、ICTを利活用した教育を行うというもの。実は日本はその分野においては他国から大きく遅れをとっており、文部科学省が2019年にこの構想を発表したという経緯があります。「子どもたちの学びを止めない。コロナ禍でオンライン授業の必要性が急に高まったことで、学校のICT利用が行われるようになった」とお考えの方も多いようですが、前述したようにGIGAスクール構想はコロナウイルスが蔓延する前の2019年に発表されたものです。もともとは2023年までに5か年計画で順次進める予定だったものを、コロナウイルスにより一気に前倒ししたにすぎません。リクルートが提供する『スタディサプリ』もコロナ禍をきっかけに多くの学校で導入・活用が進みました。「Society5.0」社会 の到来と言われる今、ICT教育の普及に拍車がかかったことは、子どもたちの将来を考える上でよかったとポジティブに捉えるといいでしょう。とはいえ、コロナ禍の混乱の中で学校からタブレットが配布され、必要に迫られて急にオンライン授業が開始されたという印象は否めないですよね。こちらの気持ちや知識の準備がない中で突然端末を手にしている子どもを前に、保護者はどう関わってあげるのが正解なのか悩んでいるという声も耳にします。■「主体性」はサッカーでも教育においても重要なキーワードサカイクの理念である「自分で考えるサッカー」は、子どもが自ら考えて決める「主体性」を育むことを軸においていますが、その考えがまさにこれからの学校教育でも重要視されています。今年の「大学入学共通テスト」でも話題となりましたが、大まかに言うとこれまでのように「過去問の演習を重ねた暗記パターン」の学習スタイルではなく「授業や日常生活の中で課題を発見し、解決方法を構想できるか」「物事の本質を理解しているか」が問われています。それには思考力や判断力、表現力が必要で、これらはいわゆる「主体的な学び」により培われる能力でもあります。■教室では積極的に手を上げられない子もツールを通せば意見を出しやすくなることもICT教育は一人ひとりの子どもたちの主体性を育んでいくのに適したツールとも言えるでしょう。例えば授業中は子どもたちそれぞれが端末を通して自分の意見や考えを発信することができ、それをモニターに映しながら自分とは違う考えを知り、意見交換をして考えを深めたりする学習が取り入れられています。従来のように挙手して先生から指名された人だけが発表をするという授業風景とは異なっています。消極的な性格の子でも自分の考えを発信しやすくなったり、先生は多くの子どもの考えを紹介しながら、気づきを促して子どもたちの思考を深めることができます。それにより、自己肯定感が上がりやすくなり、非認知能力の育成にもつながっていきます。また、色々な考えがあることを知ることは「気づき」を得たり、新たな問いが生まれたりすることで学習意欲が高まります。「もっと知りたい、勉強したい」という気持ちは「主体性」のなによりも大きな原動力になります。■デジタルツールを使うことで実現できる個別最適、協働的な学び専門用語では「個別最適な学び」「協働的な学び」と呼ばれ、文部科学省が新しい学習指導要領の実施において一人一人の子どもたちの学習活動を充実させるためのキーワード。ICTを活用することで実現しやすくなったと言えるでしょう。主体性や協働する力は、学びの現場や入試で問われる力だけではなく、生涯を通して問われるスキルです。社会人になってからも、効率をよくする仕組みや業務の改善、見直しや新ビジネスの検討等など、どの立場の方も求められるスキルなので、社会人である親御さん世代は納得しやすいはずです。親子で戸惑いも多いICT教育かもしれませんが、多様な子どもたちが個性を活かしながらこうしたスキルを身に着けるにはもってこいともいえます。サッカーで必要な「自分で考える」ことにも良い影響を及ぼしてくれるかもしれません。■「文武両道」にもメリットがサッカーをはじめ、スポーツを頑張る子どもにも、ICT教育の活用は良い影響があります。動画や写真を共有してチーム内で意見交換をし、プレーの改善について考える機会が増えたりといったハード面はもちろんのこと、学ぶ場所や時間が制限されにくいため、サッカーをする時間と勉強をする時間のやりくりをしやすくなることも考えられます。ICTの活用により「文武両道」にも追い風が吹くと思えるのではないでしょうか。「自分で考える」を勉強にもサッカーにも。これからを生きる子どもたちにはぜひ、ICTを賢く利用して主体性をしっかり身につけてもらいたいですね。
2022年03月14日「塾に通わせてほしい」中1の秋に長男に言われ、理由を聞くと…発達に凸凹のある長男が中1秋のころのお話です。長男が通う私立中学は前期後期制。この日は前期期末試験が近づいていたこともあり、長男は試験勉強に取り組もうとしていました。浮かない顔をしていたので、静観していたのですが、しばらくすると長男が少しイライラした様子で私に「英語が全くついていけていないから、塾に通わせてほしい」と相談してきました。Upload By スガカズ英語に関しては、小学校のときから「苦手だろうな」と、心配していた教科です。実際長男は、中学校にあがってから、文法もつづりも理解していないままどんどん授業が進んでいくため、今さら恥ずかしくて先生に質問することができないようです。長男にとって英語の時間は苦痛以外の何物でもなかったようでした。これまで長男は気が進まないのに、こちらが半ば強引に勉強をさせてもあまり意味がありませんでした。そのような経験を、数えきれないほどしてきたため、こうやって長男自身が自分から「塾に通いたい」と言うのはとてもよいきっかけだと感じ、私はできる限り長男の希望に応えたいと思いました。Upload By スガカズとは言っても、長男の通う中学校は土曜日を含めて毎週6日通学しないといけません。通学にかかる時間も往復2時間かかるため、現状のタイムスケジュールに加えて塾に通うことは本人にとって負担となると感じました。そこで、私は自宅にいながら指導してもらえる家庭教師にお願いするという選択肢を長男に提案しました。長男と私だけの判断で決定することができないので、長男と私で話したあと、パパに相談をすることにしました。ですが、事情を聞いたパパに「(塾などの勉強に関する習い事は)認められない」と却下されてしまいました。パパに相談してみると、「解決する努力をしていないのに、それって費用対効果はあるの?」Upload By スガカズ理由はこうでした。・長男が家庭で予習、復習をする習慣をつけていないことが気になる・長男は分からないことに対して解決策を考えず、おざなりにしていることが気になる・そんな状況で簡単に決断はしたくないこと・そもそも長男は4人きょうだいの中で最も教育に対してお金や労力をかけられていること正論を言われてしまい長男も私も「これはOKをもらえないパターンだ…」と察しました。Upload By スガカズパパの言い分はもっともですが、私は普段子どもたちのことを見ている立場からすると、「教育に対して費用対効果を求めるのは難しいのではないか」と感じました。特に発達に凸凹のある子どもたちは、やる気があったとしてもさまざまな特性が勉強に対する困難につながることもあるため、1つの成功体験をつむためのコスト(時間、労力、お金)はある程度寛容であった方がよいと私は思っています。費用対効果を求めてしまうと、結果的に本人がいろいろなことに対して挑戦しにくくなってしまうかもしれませんし、保護者も期待しすぎてストレスの原因にもなってしまうかもしれません。また、そこから親子の関係がギクシャクしてしまうのでは…と心配になります。私は長男が自分自身で「苦手な英語を少しでも分かるようにしたい」と思ったことを応援したいと思ったので、その日は一旦諦めて、時間をかけてパパを納得させられる理由を模索しようと思いました。約2か月後、長男の弟(次男)が解決のカギにUpload By スガカズところで、長男には3歳離れた小4の弟(次男)がいます。なんと今回の悩みを解決するカギは、この次男の存在でした。次男はADHDとLD(書字障害)があるのですが、長男が勉強で悩んでいたこの時期に学校でほかの友達と言い合いになる場面が増えてきました。クールダウンのために保健室や廊下で過ごしたり、教室内で授業中に工作に没頭することが目立つようになりました。そうすると、授業に参加する機会が減ります。授業で使うノートも、プリントも真っ白です。もともと次男は勉強が苦手なので、私は「授業を受けるだけでもえらい」と思っていました。ですが、授業を受けない状態を許容した状態を続けると、次男がだんだんと「授業に参加しなくてもよい」「周りが何も言わないから勉強はしなくてもいいや」という発想になってしまうのが心配でした。その穴を埋めるためにも次男には、学校以外での勉強の場(苦手かもしれないけどある程度は勉強をしないといけない)をつくったほうがいいと感じました。ところが、私が家庭で次男の勉強を見ようとすると本人が嫌がるため、勉強の場として第三者との時間が必要であると思いました。そのようなこともあり、きっかけは異なるものの長男と次男の勉強に対する問題は両方「家庭教師にお願いする」ことで解決するのではないかと私は考えました。家庭教師は塾よりも個別のニーズに合わせやすい特徴があります。また、きょうだいがいる家庭は、1人の先生に2人同時に見てもらったり、時間を区切って別のきょうだいを見てもらうことが可能です。次男には「パパがOKだしたらの話なんだけど、家庭教師のお兄さん(その子に合った先生を選ぶことが可能)に、勉強を教えてもらうのはどうかな?ゲームとかYoutubeの話もできるかもしれないし、塾に通うよりも次男は楽しいと思うよ」と話しました。次男は「それはいいね!」と応えました。Upload By スガカズ私はそのことをパパに相談しました。また長男に関して、ここ2ヶ月私も一緒に英語の勉強のサポートに入ってみたり、本人なりに英語の復習の時間をつくったりしてみたけれど解決できず、限りある時間を有効に使うことが難しかったということや、後期の中間試験で得意な教科にも影響が出始めたことを伝えました。パパはLDのある次男に対して、「自分で解決することは難しい特性だから、学校以外で勉強の場を設けてもよいのかも知れない」と感じたらしく、長男のときのような否定はしませんでした。であれば長男の件についても、そこまで否定する必要はないし、金銭的な面でも納得できたようでした。こうして紆余曲折しましたが、当初の目的である長男の勉強環境と、さらに次男の環境もつくることができました。まさに一石二鳥といえるでしょう。子どもに合った先生のもとで学ぶことの大事さUpload By スガカズはじめのころに来ていただいた家庭教師の先生は、当時大学生でした。小4の次男は学校以外(放課後等デイサービス除く)でほかの人に勉強をみてもらう機会は少ないです。まずは環境に慣れてもらうために、「勉強をがんばったあとに、先生と30分遊べる」というルールにしました(先生に快諾していただけました)。先生のお陰で長男も次男も楽しく勉強をするきっかけを得ることができました。未就学の下のきょうだいたちも、先生が来る日をとても楽しみにしており、約1年間子どもたちと友達のように関わっていただきました。ですが、その先生は今年の4月から社会人なので、家庭教師を引退することになりました。そのため、今年の1月から代わりに新しい先生に勉強を見ていただいています。その先生は発達障害のある子の指導を長年やってきたという経験があるため、子どもの特性に合わせた関わり方がとてもうまいです。新しい先生に代わったタイミングで「30分遊べる」ルールは終わりにしたのですが、それでも長男も次男も前向きに勉強に取り組んでいます。先生は毎回2人に宿題を出すのですが、2人とも「先生との約束だから」と、宿題に取り組んでいます。長男が英語が苦手で悩んでいた当初は、パパに家庭教師をお願いすることを反対され、どうなることかと思いましたが、先生方に関わっていただいたことで長男も英語に限らず、勉強に取り組む様子に変化が見られるようになりました。少し前に、長男が「勉強は、ルールさえ理解できたらあとは楽になるんだ。でもそのルールを見つけるまでが大変なんだ」と話していました。そういった気づきは本人でないと得られないことなので、家庭教師をお願いしたことで、長男の気づきを得る手伝いをできたのかも?と少し安心しました。パパが反対していた当時に言っていた「費用対効果」は、得られているのではないか?と感じています。執筆/スガカズ(監修:井上先生)家庭教師作戦が成功してよかったですね。長男さんが言われているように「自分に合った学び方のルール」が分かっていくことがとても大切だと思います。親が教えるとどうしてもお互い感情的な部分が出てきてしまうので、お子さんの特性を理解してもらえる家庭教師という第三者の存在はとても大事ですね。また、家庭教師の先生がいないときに学習の習慣がついてきたというのは、すばらしいと思います。勉強以外に友達のことや将来の目標のことなど、気軽にしゃべれるような関係性ができることで自分のお兄さんのような感じで心の支えや目標になってくれるといいですね。
2022年03月14日サンスター文具株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役社長:小林 大地)は、大人気の東大卒女子・勉強法デザイナー「みおりん」監修、学生に向けた勉強シリーズ(全6種 297円~770円(税抜価格270円~700円))を2022年2月中旬より順次発売いたします。みおりんStudy Time【商品特長】勉強の仕方が大きく変わる学生に向けた勉強シリーズです。「みおりん」が教える効率アップ勉強法をYouTubeでも発信するので、自宅学習にもぴったり。勉強に必要なベーシックなアイテムで、苦手教科も楽しく勉強できるラインアップ。商品詳細 【みおりんプロフィール】みおりん東大法学部卒・勉強法デザイナー地方公立高校から、1年間の自宅浪人を経て東大文科三類に合格。2019年に法学部を卒業し、IT企業勤務を経て2020年に独立。「すべての人にごきげんな勉強法を」を合言葉に、YouTubeやブログ等を通して楽しい勉強法やノート活用術を発信中!<みおりんSNS情報>・YouTube「みおりんカフェ」: ・ブログ「東大みおりんのわーいわーい喫茶」: ・Instagram: @miorin2018 ・Twitter : @miori_morning ・TikTok : @miorincafe 【商品概要】 2022年2月中旬発売シリーズ名 : 『みおりんStudy Time』アイテム : ルーズリーフB5・スタディープランノートB5(2週間/1週間)・スタディーノートB5・付箋セット・付箋 全6種希望小売価格: 297円~770円(税抜価格270円~700円)【ピックアップアイテム】『ルーズリーフB5』■希望小売価格:330円(税抜価格300円)■材質 :紙■サイズ :W182×H257mm勉強のスタイルに合わせて選べるルーズリーフ。みおりんが勧める4種のタイプで、効率よく楽しく勉強を!・問題演習用(■内容:7mm×30行 30枚入)縦に分割してムダなく問題演習が可能。余白の少ないレイアウトで、隅々まで書ける。ルーズリーフ_問題演習用・苦手問題用(■内容:6mm×37行 30枚入)苦手な問題とオリジナル解説をまとめることで「自分専用問題集」が作れる。ルーズリーフ_苦手問題用・まとめノート用(■内容:3mm方眼 30枚入)簡単キレイにまとめノートが作れるタイプ。直接書いても付箋ノートにもできるレイアウト。ルーズリーフ_まとめノート用・全般用(■内容:3mm方眼 30枚入)どの教科にも使える汎用タイプ。授業や演習、なんでも使える万能レイアウト。ルーズリーフ_全般用『スタディープランノートB5 2週間』■希望小売価格:440円(税抜価格400円)■材質 :紙■サイズ :W179×H252×D4mmテスト直前に焦らない!テスト前2週間の毎日の勉強計画を立てられるプランナーノート。その日の予定に合わせてプランニングできるので、計画通りに勉強が進められる。スタディープランノートB5 2週間(1)スタディープランノートB5 2週間(2)『スタディープランノートB5 1週間』■希望小売価格:440円(税抜価格400円)■材質 :紙■サイズ :W179×H252×D4mm1週間でやるべきことを整理して、ムリなくムダなく勉強できる!デイリーの勉強計画が作れるプランナーノート。1日の終わりに勉強内容と時間を記録することでがんばりがしっかり見える化できる。スタディープランノートB5 1週間(1)スタディープランノートB5 1週間(2)『スタディーノートB5』■希望小売価格:297円(税抜価格270円)■材質 :紙■サイズ :W179×H252×D4mm6mm方眼の横罫線の間に3mm方眼の、ノートがきれいにまとまるオリジナルフォーマット。教科や用途で使い分けられる6色展開。スタディーノートB5(1)スタディーノートB5(2)【その他ラインアップ】『付箋セット』■希望小売価格:770円(税抜価格700円)■サイズ :W148×H113×D5mm付箋セット<A>テキストのチェックやノート作りに役立つベーシックな付箋■内容:(上段)スクエア色紙付箋:15枚/フィルム付箋:5柄 各15枚/紙付箋:2柄 各15枚(下段)スクエア色紙付箋:15枚/フィルム付箋:2柄 各15枚/3mm方眼紙付箋:15枚■材質:紙・PET<B>ポイントの強調もできるカラフル&スタンダードな付箋■内容:(上段)蛍光紙スクエア付箋:3柄 各15枚(下段)フィルム付箋:5柄 各15枚/色紙付箋:2柄 各15枚/6mm罫線紙付箋:15枚■材質:紙・PET<C>ノートが楽しくまとまるおしゃれな付箋■内容:(上段)吹き出しダイカット紙付箋:4柄 各10枚/紙付箋:3柄 各15枚(下段)インデックス紙付箋:2柄 各15枚/ミニダイカット吹き出し付箋:2柄 各15枚/ミニダイカットポイント付箋:2柄 各10枚■材質:紙<D>テスト勉強の効率が上がる便利な付箋■内容:(上段)ミニダイカットポイント紙付箋:5柄 各10枚/メッセージフィルム付箋:6柄 各15枚/TODO紙付箋メモ:15枚(下段)フィルム付箋:7柄 各15枚/フィルム付箋:5柄 各15枚■材質:紙・PET『付箋』■希望小売価格:550円(税抜価格500円)■サイズ :W85×H113×D2~8mm付箋<A>グラシン紙+色紙の付箋教科書の図やイラストが写せる半透明の付箋と便利な色紙付箋■内容:4色 各20枚 計80枚■材質:紙<B>色紙+蛍光紙の付箋ノートの余白に合わせて選べる便利な4サイズの付箋■内容:4色 各20枚 計80枚■材質:紙<C>フィルム付箋いろいろな用途に使えるフィルム付箋■内容:6色 各15枚 計90枚■材質:PET<D>フィルム付箋ノートがかわいくまとまる♪ワンポイント吹き出し付箋■内容:9柄 各15枚 計135枚■材質:PET【一般のお客様からのお問い合わせ先】サンスター文具株式会社TEL:03-5835-0094※受付時間:月~金曜日(祝祭日を除く)の9:30~12:00、13:00~17:00 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年02月17日小学校3年になって、難易度が上がった勉強につまずきだした現在小学校5年生の長女ゆい。小学校4年生のときに発達検査を勧められ、その後5年生で軽度知的障害、自閉スペクトラム症、場面緘黙などの診断を受けました。小学校の勉強って3年生あたりからだんだんと難しくなっていくのですが、ゆいがつまずいたのはまさにそこでした。3年生から難易度が上がるといっても、テストで高得点をとる子も多いと思います。でもゆいの算数のテストは50点以下が多かったです。これを見ても「勉強の苦手な子だなあ、でも元気ならそれでヨシ!」と適当に考えていた私のところへ、ゆいが4年生に上がったある日、担任の先生から電話が来たのです。教室にいたのは担任の先生。そしてもう一人…。先生からお話したいことがあるので学校に来てくれませんかと言われたとき、最初に考えたのは「クラスの子と何かトラブルがあったのかな?」ということでした。4年生のクラス替えで仲の良い子と離れてしまい、友達をうまくつくることができていなかったようなのです。教室に入ったとき、担任の先生ともう一人、加配の先生がいらっしゃったので「あれ?」と感じました。加配の先生は、授業に集中できない子たちの横について個別にサポートしてくださる方です。「なんで加配の先生がここにいるんだろう」と不思議に思っていました。私はここまで、ゆいが特別扱いを受けていることに気づいていなかったのです。Upload By 吉田学校でのゆいの様子は先生がゆいの学校でのことを教えてくださいました。「勉強についていけず、理解する余裕がない状態です」…そうですよね。この子は勉強が苦手なんです。「私たちもゆいさんに合った指導方法を探していこうと考えています」…あれ、これはもしかして、大ごとなんじゃないのかな?「もしよろしければ、発達検査というものがあるので一度受けてみてはいかがでしょうか?」……。Upload By 吉田学校の先生からこんな提案受けるなんてよっぽど大変なことになってるんだ。でも私はこんなことを言ってしまったんです。Upload By 吉田「でも、個別指導の塾にも通うようになりましたし、これから頑張ればみんなに何とか追いつくんじゃないかと思ってます」なんでこんなことを言ってしまったのかというと、多分受け入れることができなかったからなんだと思います。それは「検査を勧められるほどに発達に心配があると思われているわが子」ではなく、「子どもの遅れに目を背けた自分自身」にです。普通のお母さんだったら、子どものためにもっと早く動いていたのでは?小学校3・4年生のテストとは言え、いつもテストの点数が低かったゆい…。「勉強ができなくてもいい、元気だったら」と思っている気持ちに嘘はないけれど、それと同時にそれは親がラクしたいための言い訳だったのではないかとうしろめたさを感じてしまいました。そんな私に対して先生は「お母さん、お子さんを普通という小さな箱に入れようとしていませんか?」と仰いました。Upload By 吉田「普通」であることにこだわっていた私先生の言葉に私は頭を強く叩かれたように感じました。そうだ、私は”普通であること”にこだわっていたんだな。「普通でいてくれたらそれが一番」なんて思ってたけど、普通に勉強ができて、普通に新しい友達ができる…その”普通”はゆいにとってはとてもハードルの高いものだったと言うことにそこで初めて気づくことができました。「お母さんの思う”普通”、みんながそこを目指す必要はありません。子どもの可能性はもっともっと大きいです。もっとゆいさんのためになることを探していきませんか?発達検査でその手がかりを知ることができるかもしれません」先生はそう仰いました。Upload By 吉田ここまできたらもう腹をくくって行動しなきゃな。この子はちょっとサポートが必要なタイプの子らしい。ゆいのためになることをこれから一緒に探していかないと。先生のこの言葉があと押しになり、私は帰宅してすぐに発達検査の申し込みをしたのでした。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)学年が上がると学習内容が複雑化・抽象化した上に量が増えるので、つまづきやすくなってきます。そこでついていけていないこをと突きつけられると、わが子の順調な発達を願う身としてはつらいですよね。お母さんにとってつらい話にもかかわらず、ゆいさんのためを思って検査を進めてくださった学校の先生方の勇気には敬意を表したいです。そしてその勇気から逃げずにしっかりと向き合ったいらこさんもまた素晴らしいと思います。
2022年02月10日感覚過敏のある私の高校選びこんにちは。加藤路瑛です。15歳、高校1年生です。自分の困りごとである感覚過敏の問題を解決したいと思い13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。 今回は、感覚過敏から少し離れて、私が通っている通信制高校の角川ドワンゴ学園N高等学校・S高等学校の学生生活についてお話します。私は中学2年生の夏、当時通っていた私立中学を退学し、地元の公立中学に在籍しました。しかし(公立中学には)1度も通うことはなく、角川ドワンゴ学園のN中等部に通いました。N中等部は、いわゆるフリースクールのようなものです。地元公立中学には事前に相談し、N中等部での出席日数をそのまま公立中学校の出席日数にしてもらうことができました。ですので公立中学校には通っていませんでしたが、出席日数はあったので不登校としての人数にはカウントされないようでした。と言っても、私は地元公立中学校の通知表をもらったことがないので本当に出席日数にカウントされていたのかも分かりません。出席日数の扱いは学校や校長先生の判断で変わってしまうようですが、私自身はとても理解のある対応をしていただいたと思っています。私立中学をやめ、フリースクールのような扱いであるN中等部に行った理由は複数ありますが、大きな理由は感覚過敏でした。私立中学時代、教室内は聴覚過敏のある私には騒がしく、保健室に通う日々でした。教室にいること自体が苦痛になり、校内の静かな場所を求めて一人で行動することが増えます。そうすると、仲良しの友達というのもいなくなってしまい、ますます学校に居場所のなさを感じてしまいます。特にいじめられたわけでも無視されたわけでもありませんが、賑やかな校舎の中で私は孤独を感じることが多かったように思います。感覚過敏だけが理由ではありませんが、学校に行くのが苦痛に感じることが増え、中学1年生の冬ごろから学校は休みがちになり、中学2年生の9月に退学しました。地元の中学に通っても、感覚過敏で学校生活がつらいのは変わらないでしょうし、そのころはすでに私は起業していたこともあり、先進的な学びができそうなN中等部に行くことにしました。この時点で高校はそのままN高等学校に行くつもりでいました。N高等学校・S高等学校とは?N高等学校・S高等学校はKADOKAWA・ドワンゴが創るネットと通信制高校の制度を活用した、新しいネットの高校です。生徒数は両校合わせて20,603名になります(2021年9月30日現在)(※)私は中学2年の時点で高校はN高に行くとほぼ決めていたので、受験勉強もなく平和な中学生時代を過ごしました。N高は通信制高校で、入試の際に、(中学校に通えず)不登校生であっても問題ありませんし、ネットコースなら、学力テストのようなものもありません。基本的には書類選考だけです。通学コースの場合は面接や筆記試験があるようなので、N高のホームページなどでご確認ください。N中等部ネットコースからN高ネットコースへの進学には特別な優遇措置はありませんでしたが、通学コースへの進学に関しては一般受験者よりも早くに試験と結果がわかる制度もあるようです。キャンパスによっては定員になれば募集終了なので、早めに入学が決まるのは楽です。友達が欲しいので通学コースも魅力ではありましたが、感覚過敏で疲れやすいこともありますし、好きなことに時間を使いたかったのでネットコースを選びました。出願の話題が出るころに、S高等学校が新設されることを知りました。中身は同じ。ただ、N高の本校が沖縄に対して、S高の本校がつくばで、違いはそれだけということでした。私はN高6期生よりもS高1期生というピカピカな感じに惹かれて、S高進学を選びました(※)参考:N高等学校・S高等学校ホームページUpload By 加藤路瑛普段の勉強は?Upload By 加藤路瑛普段の勉強は学習アプリ「N予備校」を使います。単元ごとに動画があり、それを受講し、レポートを提出して単位を取っていく単位制です。動画が工夫されていて、早送りやスキップができないのです!全部再生し終わらないとレポートに取り組めないようになっています。鬼です。動画は教科や単元によって違いますが、3-5分くらいです。美術や家庭科などは1単元で30分ある場合もあります。早送りや飛ばせないのは生徒にとってはめちゃくちゃ迷惑な機能ですが(笑)、教育視点ではよくできた工夫だと思います。1回視聴済みになると、2回目以降は早送りや飛ばし見できるので、レポート提出で調べ直したい時は便利です。レポートは各単元16問の問題と4問の記述で構成されています。それほど難しいものではなく、教科書や動画に沿ったものです。正直にいうと、動画見なくても解ける問題も多いですし、教科書見れば答えがわかる問題もあります。ですが動画を見ないとレポートが表示されないので、ここは耐えるしかありません(笑)動画は教科書に沿って淡々と説明している感じで、面白要素はゼロです。ギャグなどは無縁なコンテンツです。レポートは毎月15日が提出日で、それぞれの単元の提出日がわかるようになっているので、自分で提出日に合わせて動画をみてレポートを提出しなければなりません。結構な量があり、動画を再生しないとレポートに取り組めないので、締め切り前日に全部やろうと思っても、残念ながらレポートを表示することもできません。締め切り当日に動画の総合再生時間が25時間あれば、もう絶対に間に合わないのです。私は、隙間時間に動画を再生しています。真面目に机に座ってパソコンを広げて学校で授業を受けるように動画を見ることはありません。横になってみたり、食べながら見たり、自由なスタイルで受講しています。(これ、公開して先生に怒られないでしょうか?笑)N予備校はパソコンだけでなく、スマホでも見られるので、締め切りギリギリなときは電車の中でスマホで再生していることもあります。とにかく再生させてレポートに取り組めるような状態にしてしまうことがポイントです。レポートの問題は、すぐに分かるものもあれば、教科書見れば分かるもの、動画を見直さないと分からないものがあります。レポートを先に見ることができれば、その部分の動画を集中して見られるのですが、これができないのが苦しい。結局2回見た単元もあります。期限内にレポートを提出できればOKです!もしできなくても問題はなくて、最終提出日が12月15日で、その日に全部クリアできていれば大丈夫です。私は、毎月15日の期限だけは守っています。溜めるとやりたくなくなると思うからです。大体、13日か14日に提出しています。早い人は1年分の単元を夏前に終わらせて、あとは自由!という強者もいるようですが、私はギリギリをせめています。事前に先生から、12月は最終提出日目前ということで、全生徒が動画再生し、サーバーが混み合う可能性があるので、できるだけ11月中に終わらせることを勧められました。多くの生徒が締め切りギリギリまで頑張っているのだと思います。課題は大変と言っても1ヶ月分の課題は1−2週間集中的にやれば終わります。なので私は、1ヶ月のほとんどの時間は学校の勉強とは無縁な生活をし、好きに生きています。高校を卒業するということだけなら、この動画を見てレポート提出をしていけばいいので、予習とか復習とかありません。なので、私の場合は、英単語は覚えないですし、漢字も書けないですし、暗記なども必要に迫られることはありません。もし、勉強をきちんと身につけたい、大学受験を考えているというならば、足りない状態です。ネットコースの日常生活は?私はネットコース生なので、毎月15日に課題をコンプリートすることだけに集中すれば、あとは高校生っぽいことは何もありません。大体、毎月月初に「そろそろ課題やらないと締め切りに間に合わないな」と思ってぼちぼち初めて、10日ごろに「やばい、間に合わないか?」と焦りながら集中的に動画やレポートに取り組み、14日くらいに全課題を提出という感じです。提出もWEB上にある問題や記述に回答すればいいですし、提出済みかも確認できます。毎回、「次は早めに取り組んでギリギリはやめよう」と思うのですが、結局、次の月まで勉強はせず、「やばい、レポート!」と思い出してやりはじめます。ですので、ほかの時間は好きなことができます。私は学生起業をしているので普段は仕事をしています。ほとんどが家で作業したりオンライン会議です。もちろん、外出して打ち合わせもしています。また、起業だけでなく、カフェでバイトもしています。隙間時間は、動画見ていることが多いですし、深夜の時間帯はゲームをしていることが多いです。ゲーム仲間とオンラインで通話しながらゲームも多いです。同じN高生やS高生ともゲームしたりします。ほかのネットコース生も、バイトしたり、ゲームをしたり、イラストや音楽など自分の好きなことに時間を使って、勉強は最低限をしている感じです。私の交友関係の中にはいませんが、勉強を好きなようにやりたくて一般的な高校には通わず自分のペースで勉強をとことんやっている人もいるようです。通学コース生の勉強部分はネットコースと変わりはありません。日中の時間帯にキャンパスに通っています。ただ、キャンパスで教科の勉強だけをするわけではなく、プロジェクト学習などをしているようです。通学してプロジェクト学習などリアルでの体験をし、必修授業はネットコースと同様N予備校を使って勉強しています。スクーリングは?通信制高校は基本は家で学習できますが、実際に会場で参加型の授業を受ける単元があります。N高S高は生徒が2万人いるので、スクーリングの日程を自由に選べるという感じではありません。スクーリングは5日間程度が必須でしたが、コロナ禍のため、オンラインでのライブ授業が開催され、リアル会場での授業は2日間だけとなりました。オンライン授業の日程は、ピンポイントで指定されて連絡がきました。ただ、予定があって参加できない場合は、日程変更をお願いすれば大丈夫です。私も参加できない日があって変更してもらいました。オンライン授業は、カメラやマイクをオンにする必要もないです。ただ、そこも工夫しているなと思うのが、授業中に先生が合言葉を発表するのです。その合言葉を投稿して受講チェックされます。ログインだけして画面放置しないでねという工夫です。早く合言葉を送信して遊びたい人や、見逃すのが不安な人たちが「先生、早く、合言葉を!!!」とコメント入れていて面白いです(笑)オンラインライブの授業は結構面白かったです。一番面白かったのは、家庭科で、アパートを借りるときの物件の見方を教えてもらいました。敷金とか礼金とか、LDKって何なのかとか。実際に自分が家を借りることになった場合をリアルに想像しながら話が聞けて面白かったです。リアル会場でのスクーリングは、私は東京会場を選びました。ほかの地域はわかりませんが、3つくらいの候補日が提示されて、その中で選びましたが、予定があわなければ、ほかの候補日をくれるはずです。N高・S高の良いところは、日程を変更して参加できたり、内容によってはアーカイブ視聴ができることです。学校の指定した日程に合わなくても何とかなります。リアルスクーリングは朝からびっしり授業が詰まっています。普通の学校のように授業を受けます。だいたいはプリントが用意されていて、それを埋めていく感じです。特にテストみたいなことはしないので、心配なく参加することができます。テストは?Upload By 加藤路瑛12月15日までに全てのレポートを提出し、スクーリングも受講が終わると、テストの案内が届きます。これも日程が決まっていますが、都合が合わなければ変更可能です。私の場合は9教科で、各教科30点以上取れれば合格です。テスト範囲が1年分というのがハードです。私の試験日は1月13日でした。お正月明けくらいから「そろそろ勉強しないとまずいな」という気持ちになります。1週間前くらいから、N予備校の問題を解き直しました。2日前に本気でやらないとまずいと思い1日集中的にやりました。前日は、スクーリングのプリントを見直しました。テストは紙ではなくタブレットです。学生番号でログインして、入力していきます。選択肢式ではなく、タブレットのキーボードで入力して回答する感じです。テスト受験後順次、WEB上で教科ごとに採点が終わったものから「合格」という表示がでます。採点中のものは「提出済み」となっています。私は全教科合格でした!なので、赤点だった場合、「不合格」と表示されるのかは未確認です。30点未満だった科目があった人の話では、追試の問題が届き、定められた期間内に回答すれば良いみたいで、教科書などを見て回答も可能で、合格するまで何回でも挑戦できるようなので、進級できないとか卒業できないとかそういう心配はテストに関してはしなくても大丈夫そうです。テストの点数は成績確認のページから確認できます。WEB上にコメントも表示されていて、理解ができていない部分が多いようですとか、苦手な部分は見直しておきましょうなどの文章がありました。1月19日に全教科の合格が判明したので、もう勉強に関してはやることがありません。自由です!!!!人数も多いので2月にテストの人もいると思いますが、テストに合格すれば、その学年の課題はなくなるので、あとは好きなことをして進級・卒業を迎えられます。私のテスト会場は茨城つくば本校でした。つくば駅から校舎までは距離があり、スクールバスが出ています。試験当日、8:20くらいにつくば駅集合でバスに乗ります。朝が弱い私は、つくば駅前のホテルに前泊しました。同じような高校生がホテルにたくさんいました。朝は8時までホテルにいたので、体力的に疲れることなく試験会場に入れました。高校1年生である今年度は全てのことが初めてで、特にテストはどんな感じなのか不安でしたが、難易度は基礎問題のみで、追試があっても問題なく進級できそうなので安心しました。勉強以外のことUpload By 加藤路瑛通学コースにいる人はキャンパスで友達を作ることができるかもしれませんが、ネットコース生は、リアルに同級生と会う機会はスクーリングとテストの日だけという人が多いかと思います。これだけで友達は作りにくいかもしれません。普段の交流はコミュニケーションツールSlackを利用します。N高生・S高生と先生が参加している巨大コミュニティです。事務的な連絡チャンネルもありますが、部活のチャンネルや非公式のチャンネルがいろいろあって、興味のあるチャンネルに参加すれば、誰とでも繋がることができます。Slackは実名参加しなくていいので、誰が誰なのか分かりません。私はSlackをマメに見ておらず、業務連絡でしか使っていないので、Slackで友達を増やした経験はありませんが、みなさん、結構Slackで友達を増やしているようです。部活も基本はネット中心でリアルに集まる部活は少ないです。生徒中心で主体的に動いている部活は生徒間の交流も多いかもしれません。私は立ち上げ初年度の研究部に所属していますが、積極的にリアルに集まって交流するという感じにはまだなっていません。コロナ禍というのも影響しているなとは思います。ネットコース生で友達ができるかは、人それぞれだと思うので何とも言えません。私自身はめちゃくちゃ少ないですが、一緒にゲームする仲間はいます。コロナが落ち着いたら、友達ともリアルに会いたいなとも思います。通学コースで友達がたくさんいる人を見かけると「いいなー」と思いますが、じゃあ自分が通学コースに変更したり、積極的に交流をするかというと、それはしなくていいかと思ってしまうので、自分の心地いい関わり方をすればいいのだと思います。S高の1年間の生活を振り返って私はネットコースなので、通うべき学校もなければ、みんなで会うような教室もありません。普段は自分の好きなことに没頭し、毎月15日締め切りの課題提出のために動画をみて、レポートを作成します。「高校生らしい」と呼ばれる生活かと言われれば、高校生らしい生活とはかけ離れています。そもそも「らしい」というものは本来ないものだと思っています。私は今のS高生としての生活にほぼ満足しています。不満はやっぱり同世代との交流が少ない部分でしょうか。それはN高・S高が悪いのではなく、そう行動していない私の問題です。N高・S高は良くも悪くも放任です。自主性が必要です。定期的に担任の先生が電話やSlackで連絡をしてくださいますし、レポート提出状況や、今の生活で困っていること悩んでいることは聞いてくれます。でも、結局は自分次第です。自分で課題提出日に間に合うように勉強しなければなりません。先生が家にきて、提出するまで見張ってくれる訳でもありません。友達がいないと相談しても、オンラインの海の中で友達と会うためには自分で動くしかなく、先生がマッチングしてくれる訳ではありません。通学コースでは人間関係などまた別の問題があるかもしれませんが、少なくとも、ネットコースで不満がある場合は、それは自分で解決するしかないと思います。ただ、全ての担任の先生はわかりませんが、私の担任は、生徒の悩みや近況を聴きながら、アドバイスというよりも本人が自分で答えを見つけるようにコーチングしてくれる感じです。私は高校とはゆるい関係性しか求めていないので、学校での悩みも全くないのですが、困ったことがあれば頼りになると思いますし、保護者へも定期的に電話を下さっているので、保護者の方も困ることがあれば、担任の先生に相談できると思います。こんな感じで私はS高の生活に不満は全くありません。オンラインコースなので、そもそも自分が高校生である自覚も薄いです。勉強も部活も人間関係もストレスがほぼないので、通信制高校のスタイルが私には合っているのでしょう。日中やりたいことがある人、勉強や人間関係などのストレスが嫌な人、マイペースに生きたい人にはN高・S高は最高にいいと思います。執筆:加藤路瑛(監修・初川先生より)S高での1年間の詳細なレポートをありがとうございます。N中、N高、S高について、興味関心を持っている不登校の中学生やその保護者の方は多くいると思うので、その方々からすると、学校からの公式案内だけではわからない、リアルな生徒の声を知ることができてとても参考になったことと思います。高校生活に何を求めるか、高校生活で何をしたいか、そのあたりを考えるきっかけがたくさんありましたね。
2022年02月10日ムスメちゃんとオコメちゃん
ドイツDE親バカ絵日記
yopipiのプチプラコーデ〜ときどき育児日記〜