何をどう伝えよう?言葉の理解面での壁。とりあえず育児書通りにやってみたけれど…2歳前後になると意識し始める人も多いトイレトレーニング(トイトレ)。わが家でも、ASDのある息子が2歳を過ぎた春、トイトレを始めようと重い腰を上げました。当時の息子の発語は喃語混じりの単語のみ…トイレについての理解は、絵本などから"トイレ"という名称は知っているという程度でした。ちなみに排尿を伝えてきたことは一度もなし。(今なら"また時期じゃない"と延期一択ですが、第一子で気合いが入ってました。笑)そこでまずぶつかったのが「尿意」の壁でした。感覚という抽象的なことをどう教えたらいいのか…膀胱のあたりを押さえてみたり、自分のトイレ姿を見せてみたり(恥)試行錯誤する日々…。しかし言葉の理解もゆっくりな息子にはどうにも伝わらず、むしろトイレに興味を持ってもらうために置いた絵本やご褒美シール、トイレの玩具が注意力散漫な息子にとって逆効果となるのでした…。Upload By 海乃けだま「焦らずに個々のペースに合わせよう」頭では分かっているはずなのに、娘も目が離せなくて段々と余裕がなくなり…息子のトイトレに試行錯誤していたころ、娘は1歳を迎えました。後々分かったことですが、娘はADHDと診断されています。息子のトイトレに専念したくても、多動な娘が後ろで何をしているか気が気でならない場面がたくさん出てきました。Upload By 海乃けだまそれでも息子はトイレに誘えば一応大人しく座ってくれていたため、タイミングさえ合えばきっと成功すると期待してしまっていたのです。そしてその期待はいつのまにか、一向に進まないトイトレへの焦りとイライラに変化していきました。当時の私は、午前中は息子の療育の母子通園クラスに通い、クタクタで帰ってきてから子ども2人の食事の用意・食事介助、そして午前中にできなかった家事をこなしながらトイレ誘導…。息子のトイレに集中したいたった2、3分ですらじっとしていられない娘に、次第に気持ちに余裕はなくなっていきました。Upload By 海乃けだま一体誰のためのトイトレなのか…。息子のためであるはずのトイトレは、保護者である私が「おむつを外せない」という後ろめたい気持ちをなくしたいがためのトイトレになってしまっていました。これではダメだとトイトレは一旦お休みすることにしました。転機は3歳半健診。まだオムツが外れていなかった息子はもちろんオムツを履いて健診へ。そこで目にしたのは…トイトレを中断し数ヶ月が経ったころ、役場から一通の手紙が届きました。そう、3歳半健診です。検尿の文字にトイトレが進んでいない不安が一瞬よぎりましたが、採尿さえできればなんとかなるとたかを括っていました。しかし健診の会場に着いて真っ先に目に飛び込んできたのは息子と同い年の子どもたちのパンツ姿でした。新型コロナウイルス感染症の影響で、同じ部屋に居合わせた親子は6~7組だけでしたが、息子を除いて1人残らずみんなパンツだったのです(絶句)。Upload By 海乃けだま3歳半健診から帰宅した私は、ようやく目を背けていたトイトレに再度向き合うことにしました。この当時の息子はお話も上手になり、受け答えもかなりできるようになってきていました。一緒にお風呂に入っているとき、洗い場でおしっこが出そうな様子だったので、試しに声をかけてみると、今まで出なかったのが嘘のようにすんなりとおしっこが出たのです!「これがトイレで成功すれば…!!」そう意気込んでトイレ誘導にも力が入りました。そしてついに…ある日療育園へ息子のお迎えに行くと、先生から「今日、トイレでおしっこ出ましたよ!!」と報告が…!そのたった1回の成功から、突然日中のオムツが外れました。3歳半健診から2週間後のことでした。娘も軽い気持ちでトイトレ開始。息子のときの経験を活かそうとするも…一方、娘のトイトレも2歳を迎えた夏、ちょうど息子のトイトレが成功したころに「ついでに外れればオムツ代もかからなくなるし…お兄ちゃんのトイレの成功が刺激になるかもしれない!!」と軽い気持ちで始めました。息子のトイレのときに娘にも見せて「こうやっておしっこするんだよ〜!娘ちゃんもやってごらん」と声をかけてトイレ誘導をしていました。しかしこの方法は悪手でした…娘はかなりの負けず嫌いだったのです。お兄ちゃんのトイレの成功に嫉妬し、拗ねてしまったのです。トイレに座るどころか、トイレに行くこと自体拒否される毎日。少しでもトイレのイメージを良くしようと、息子のときに封印していた絵本やご褒美シール、トイレの玩具を総動員するも、飽きっぽい娘への効果は一瞬…しかもトイレに成功している息子がそのトイトレグッズに気が逸れて悪影響が出る始末(ため息)。娘のトイトレも早々に延期することになりました。Upload By 海乃けだま迫る娘の入園‼︎果たしてオムツは外れるのか!?娘のトイトレを延期してから、半年経った3歳を迎える春。幼稚園の入園には間に合わせたい!!とトイレ誘導を再開しました。以前のような断固拒否の態度はなくなり、一応トイレに座ってはくれましたが…じっとしているのが苦手な娘(ADHD)は5秒座るのがやっとでした。もちろん5秒では排尿までには至らず…。あの手この手でトイレに座る時間を稼ぐ毎日でした。Upload By 海乃けだましかし出ない。1滴も出ない(余談ですが私は産後、ジャンプすると尿もれするようになりました)。そのうち時間稼ぎ作戦にも飽きてきた娘は、またもやトイレを拒否するようになってしまいました。「もうお手上げや…」入園がもう目前になった3月上旬、プレ幼稚園に行っていた私は先生にオムツが外れそうにないことを伝えました。先生は快く「一人ひとりペースがありますから、大丈夫ですよ。幼稚園に来てから、できるようになる子も多いですからね!」と言ってくれました(号泣)。プレ幼稚園のその日、"年少さんと一緒に遊ぶ"というものでした。娘よりずいぶんとお兄さん・お姉さんに見える年少さん、みんな自らトイレに行っている年少さん。…その光景を見て思い出したのです。可愛いパンツの存在を…!!娘はそのときちょうど可愛いものが好きになってきていました。娘のパンツは以前に数枚だけ買っていたのですが、トイレのやる気を出すために「可愛いお姉さんパンツを買いに行こう」と提案しました。それが娘にはヒットしたらしく、自分でパンツを選び、自らパンツを履き、トイレに自ら座りに行ったのです!!最初は失敗したものの、「濡れてもいいパンツだから大丈夫だよ」と声をかけると、また新しいパンツに履き替え…1週間ほどでトイレでおしっこに成功するようになったのです!!入園にはギリギリ間に合いませんでしたが、1ヶ月経たずに日中のオムツが外れたのでした。オムツはずれは早ければいいというものではない。大事なのは本人のやる気とタイミング。今となっては”トイトレは本人のやる気次第”だし、タイミングがある!!と断言できるのですが、息子のときも娘のときも、なかなか進まないトイトレに焦ってしまっていました。「どうせいつかは外れるんだから、あんなにイライラしなければ良かった」と後悔する反面、焦りの原因には周囲からのプレッシャーがあったのも事実です。トイトレってとてもデリケートなことだと思うのですが、結構口出しをしてくる人が多い気がするのはなぜでしょう…。今と昔ではライフスタイルも違いますし、育児も日々進化しています。昔は良しとされてきたことが今では違うこともあります。トイトレのことも発達ゆっくりさんのことも、育児世代だけでなくもっと幅広い世代に周知され、もっと温かく見守ってくれる社会になるといいなあと思います。…あ、兄妹共に日中オムツが外れたと書いてますが、割とちょびっと漏れもありますし、娘に至っては大便はオムツです。そして夜間もおもいっきりオムツです。オムツ完全卒業までの道のりはまだまだ遠い…。執筆/海乃けだま(監修:初川先生より)ご兄妹のトイトレエピソードをありがとうございます。最後にけだまさんがまとめとして書かれていたように、トイトレはお子さん本人のやる気(興味関心や意欲)にもよりますし、まさにそれに合うタイミングが来ると感じます。読者の方へ、焦らずにというメッセージをくださりありがとうございます。本人のペースをどうにかすることはとても難しいので、機が熟すのを待つのが大事ではあります。ただ世の中にはさまざまなトイトレ成功の工夫がシェアされており、それをやったら早くできるのではないかと期待させてくれる分、保護者が追い詰められてしまうこともありますね。そして、トイトレに関して口出しされる外圧があったのですね…それは大変でしたね。妹さんの入園にあたって、先生にご相談され、温かいお言葉をいただいたエピソードもありましたが、まさに幼稚園保育園の先生や子育て相談の場所などでそうしたことをご相談していただけるとよいかなと思います。特に、特性のあるお子さんの場合には、育児書通りには子育てが進まない面もあります。そういうことにお詳しい方に聞いてみる、聞いてもらうのはよいかもしれません。子育ては一生懸命になるとつい冷静さを失ってしまったり、視野が狭くなってしまったりします。いろんな人に話してみて、良さそうな方のご意見を取り入れてみると、冷静になれたり、柔軟になれたりすることがあると思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月15日5歳発達障害グレーゾーンの息子の特性Upload By ネコ山現在5歳5ヶ月の息子はADHD+ASDの傾向があり、児童精神科医による診断ではグレーゾーンとの結果でした。からだの多動は小さいころと比べてだいぶ落ち着きましたが、5歳の現在は脳内が多動なようで、思いついたり目についたことを片っ端からやりはじめてしまうところがあります。時間感覚がうとく切り替えも苦手なので、周りの大人は「早くしなさい!」「いつまでやってんの!」を、ついつい連呼してしまいます…。Upload By ネコ山私も怒りたくないし、息子もきっと毎日怒られたくはないでしょうから、何かうまい対応策がないものかと日々、模索しています。息子も含めて、発達障害のグレーゾーンと言われる人たちは、「普通」と言われる社会で生きている方も多いと思います。「変わっている」と思われがちな、発達特性のある人たちも生きやすく、多様性を認め合えるような社会になってほしいと、当事者の母として願っています。3歳は多動と癇癪、4歳は聴覚過敏とこだわり…グレーゾーン息子の困りごと3歳ごろまでは多動と癇癪がいちばんの悩みごとでした。すぐにどこかに走って行ってしまうので、事故にならないか常に神経を尖らせながら息子に向き合っていました。また、思い通りにいかないときや思いが伝わらないときに激しい癇癪が起き、私も息子も大泣き…なんてことも。Upload By ネコ山4歳ごろからは聴覚過敏やこだわりがとても激しかったです。特に聴覚過敏には悩みました。息子は幼稚園の園内放送で流れる音楽や大きな声、それに園児が一斉にワー!となる音がつらくて、一時期は通園もできなくなるほどでした。このころ息子は、物事の順序やタイミングなど自分なりのこだわりが強い時期で、先生に注意されることが多かったのだと思います。幼稚園は集団生活なので、注意されたり自分だけのやりたいことができないのは仕方がないことです。息子も自分の気持ちと折り合いをつけて集団生活をやっていかなくてはいけませんが、このころはまだうまくできませんでした。そんなストレスによって聴覚過敏が強く出ていた時期なので、療育に通いはじめ自分の気持ちに折り合いをつけられるようになったり、幼稚園では登園時間を遅くずらすなどの配慮をしてもらいストレスが緩和された今は、音の悩みも少なくなっています。また自分のルールを乱されると大変怒り、幼稚園での友達づき合いも苦労しているようでした。伝えたい思いが言葉に出てこず、手が出ることも…。息子の特技・好きなこと特技はお絵描きです。3歳まではクレヨンを渡しても食べてしまったり、電車ごっこに使ってろくに描画らしいことはしませんでしたが、3歳半から目で見た自分の好きな物や風景を描くようになりました。物の形を正確にとらえる力があるなと感じています。Upload By ネコ山好きなことはブロックと工作です。おもちゃを与えてもすぐにバラバラに分解してしまう(つまり壊す)息子。しっかりとした作りのおもちゃでなければ、息子の手にかかれば3日以内に分解完了です。そんなに分解したいのなら、ブロックを組み立ててあげて渡せば永遠に分解できるし、親的にもダメージがないのでは⁉ということで、3歳過ぎに大きめのブロックをプレゼントしました。どハマりした息子でしたが、そのうち「踏切のバッテンが作れない」と怒りはじめました。大きめのブロックだと大雑把なデザインしか作れないので、もっと本物の踏切に近いものを求めていたようです。完璧主義の片鱗が見えます。ちょっと早いかなと思いつつ、4歳で某有名ブロックをプレゼントしました。その日から大好きなブロックをいじらない日はありません。家族紹介Upload By ネコ山わが家は4人+猫の家族です。妹は3歳で幼稚園の年少さんです。泣き虫で甘えん坊ですが、かなりのしっかり者で気が利く子です。あまりにもしっかりしているので、兄である息子はプライドを傷つけられることもしばしば…。夫は子育てには協力的で子煩悩です。夫も子どものころは息子と似た傾向があったそうで、学生時代は苦労した経験もあるのだとか。キジトラの猫を飼っています。娘のことは大好きですが息子のことは苦手なようです。私ネコ山は忘れ物が多くいつも時間ギリギリ、ゴミの日にゴミ出しできる人を尊敬しています。良いところと特技だけを伸ばして生きてきました!孤独だったグレーゾーン息子の育児。同じ境遇の人に寄り添うコラムを届けたいUpload By ネコ山息子の育児は孤独でした。まわりに「うちもよ~」とか「男の子だからね~」と言われても「なんかそういうレベルと違うんだよな…」とモヤモヤした日々のこと、息子の特性と向き合いつつグレーゾーンだからこそ 迷う支援のあり方など、答えを出したりアドバイスしたりはできませんが、同じ境遇の保護者の方に寄り添うコラムをお届けできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします!執筆/ネコ山(監修:新美先生)ネコ山さん、はじめまして。多動でお絵かきが得意、工作とブロックが好きな息子さん、とっても魅力的ですね。多動=好奇心とエネルギーに満ちているということなので、親としては危なっかしくて目が離せない一方で、想像を超えてくるエピソード満載で毎日飽きないですよね。周りのママ友とはレベルが違って話が合わないけど、息子さんの大変ながら魅力的な日常を誰かと共有したいというネコ山さんのポジティブな思いが伝わってきて、これからの記事がとっても楽しみです。よろしくお願いいたします。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月14日しのくんと外食に行くのが怖かった時期しのくんは現在5歳、発達障害グレーゾーンの男の子です。4歳を過ぎるまで、しのくんと外食へ行くのはいつもドキドキしていました。2歳を過ぎたころからだったと思うのですが…しのくんと外食へ行くと、しのくんはすぐお店の中で立ち歩いてしまうようになりました。Upload By keikoベルトがついた椅子が置いてあるお店は大丈夫なのですが、そんな椅子がないお店は大変でした。しのくんが席から脱走しないように、私と夫でしのくんの両脇を挟み込んで座ったりして対策しましたが…次は机の下へ潜り込んで脱走します。いつもしのくんの肩や腰に手をおいて、脱走しないよう注意していました。本当に外食に行きづらかった時期なので、友達が子どもと二人でカフェに行った話を聞いたり、家族で外食を楽しんでいる写真をSNSで見たりすると、すごく羨ましかったのを覚えています。対策がみつかる!?そんなある日、外食中にまた席を離れそうになっていたしのくんに、ふと思いついてスマートフォンで動画を見せました。すると、動画に夢中になり立ち歩きをしなかったのです!食事中、子どもに動画を見せることには賛否両論あるかと思いますが、当時、立ち歩きに悩まれていた私はやった!と思い、その日から外食時にはスマートフォンで動画を見せるようになりました。しのくんが逃げ出さないように体を抑える必要がなくなり、ついに落ち着いてお店で食事ができるようになったのです!Upload By keikoしかし…しのくんが食事中に脱走する心配がなくなって安心していたころ、ようやく私はハッとするのです。当時しのくんは4歳。周りにいる子どもたちで、動画を見ながら食事しているのはしのくんだけだということに…。Upload By keikoUpload By keiko「動画見ながらごはん食べてるの…、しのくんだけじゃない⁉︎」と気がついた私は焦り、早速しのくんからスマートフォンを取り上げようとしました。「ごはんのときはスマホやめようね」と声をかけると、「えー?」と言いつつも動画を見るのをやめてくれました。Upload By keikoしかし、次第にしのくんはソワソワしはじめ、卓上のものを触ろうとします。そして、ごはんがくるのが遅かったらそれも待てなくて騒ぎ出してしまいます。Upload By keiko最後にそもそも席から脱走しないように動画を見せていたはずでしたが、いざ動画を見せるのをやめてみたら、立ち歩きはしなくなったものの、今度はいろんなものを触ったり、騒いでしまうことが分かりました。結局5歳を過ぎた今でも、静かに過ごせるように、外食時には動画を見せてしまっています。やめさせたいけど、動画を見せないと騒いでしまうので…どうしたらいいか悩んでいる今日このごろです。執筆/keiko(監修:初川先生より)外食時の困りごとについてのエピソードをありがとうございます。これは同じように悩ましく感じている読者の方多いのではないでしょうか。外食時にオーダーをしてから、料理が出てくるまで「待つ」。この「待つ」がなかなか難しいお子さんはたくさんいます。おそらく外食時のみならず、行列に並ぶ、電車やバスに乗る等も同じでしょう。待つ際に、保護者と話をするなどして静かに待てるお子さんもいます。ただ、そうではないお子さんもいるということ。「ただただ(何もせず)待つ」のは苦しいので、別のことをして、結果として「待っていられた」とするのが、待つのが苦手な時期は工夫の1つにはなると思います。その1つが「動画を見せる」なのでしょう。お子さんによっては、「絵を描く」「本を読む」などでも可能かもしれません。動画を見せる、あるいはゲームをさせるといったことは、多くの子どもの注意集中をぐっと集めやすいものにはなるので、その場をしのぐ意味では総合的に判断すると悪くはないと思います。ただ、食事が運ばれてきて、食べているときにも見せるかどうかはまた一つ悩みどころではありますね。動画がなくても食べられる場合は(食べることに集中できる場合は)いったん切った方がいいと思います。ただ、食べることに集中できないお子さんもいると思いますので(食事中でも立ち歩くお子さんなど)、その場合はやむなしということもあると思います。また、子どもの食べるスピードは大人よりも速かったりするので、大人が楽しくおいしく食べているのに子どもがもう飽き飽きしているということもあるでしょう。その場合も何らかの力を借りることもあるかもしれません。行儀やマナーとしてどうなのか、という迷いもあると思います。ただ、ここで考えてほしいと思うのは、その外食の目的やお子さんの特性といったあたりになってくると思います。家族で楽しくおいしく外食をしたい、親が疲れたので外食で食事は済ませたいなど目的があると思います。お子さんに苦手な「待つ」を強いてまで、そして保護者もひやひやイライラしながら食べても楽しくはないでしょう。毎日のことではないと思いますので、たまにはそういう特別も親子それぞれにあったらいいかもしれません。また、特性に関して言えば、非日常やイレギュラーが通用するかどうかにもよります。一度ルールを崩してしまうと、家でも動画がないと食べられなくなるといった場合には、もしかしたらそこは慎重にした方がいいかもしれません。子育ての中では、何のために何を選択するか、その判断が問われることが多いですね。保護者ご自身が納得いく選択であれば、それはそのときにはよい判断と言えると感じます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月13日登校しぶりの原因は何?長男は、3年生の7月ごろから「今日、学校を休みたい…」と言うようになりました。最初のうちは「分かったよ」と応じていました。しかし、初めは1ヶ月に1回ほどだったのが週に1回になり、だんだん休む回数が増えてきたので私も対応に困ってしまい、とりあえず「なんで休みたいの?」と理由を聞いてみることにしました。すると長男の返答はだいたいこうです。・今日の給食が苦手だから・ママと一緒にいたいから・外国語の授業が苦手だから私にとってこの回答はなんとなく意外でした。てっきりクラスのお友達関係がうまくいっていないのではと思っていたからです。それなら登校渋りしてしまうのも無理ありませんから。Upload By 星河ばよ「給食が苦手だったら残せばいいんだよ、残して大丈夫だから」と長男に言っても聞き入れません。担任の先生は給食を残しても怒りませんし、クラスのほかの子は給食を残すこともあるそうですが、長男はそれができないと言うのです(私は給食が大好きだったからまったく共感できないんだ、ゴメンね)。「ママと一緒にいたいから」これを言われると私は何も言えなくなります。学校や家でいろいろストレスを抱えてるのかな、たまにはいいかなと思ってしまいます。「外国語の授業が苦手だから」というのも悩みます。苦手でもなぁ…。中学、高校に行ったらどんどん難しくなっていく教科の一つだから、毛嫌いしないで受けてほしいのですが。Upload By 星河ばよ特別支援学級の先生には欠席の際、連絡帳に欠席理由をありのまま書いていました。先生は優しく尊重してくれるのでありがたく感じています。個人面談のときも長男の登校渋りについて相談に乗ってもらっていました。このようにこれまでの担任の先生とは連携をとって長男の様子をみていたのですが、登校渋りや欠席日数は年々増えるばかりで、ほとほと困っていました。月に一度、休みたい日を自分で決めていいよあまりにも登校渋りが続いたので、私は一つの提案をしました。それは「月に一度、休みたい日を自分で決めていい」というもの。長男はそれを聞くなり飛び跳ねて喜びました。さっそく給食の献立表を見て、思案したりする様子がほほえましかったです。大事に使うのかな?と思いきや、「さっそく明日休もうかな」と言い出しました。もう、とにかく早く休みたいようです(それであとになって、すぐ休まなければよかったと長男はよく後悔しています)。Upload By 星河ばよ教育委員会に相談してみた長男が休みがちになって、私はどうしたらいいのか途方に暮れていました。そんなとき学校から配布されたプリントが目に入ったのです。それは「市の電話相談」について書かれたものでした。懸命にサポートしてくれている特別支援学級の先生の手前、外部の人に相談していいものかすごく悩みましたが、藁にもすがる思いで電話しました。するとつながったのはまさかの、市の教育委員会でした。わが子が登校渋りしていることを伝えると、優しくねぎらってくれました。私は教育委員会の人に怒られるのではとビクビクしていたので力が抜けてしまいました。そして、長男の担任の先生(特別支援学級)にコンタクトを取ってくれたのです。その後、特別支援学級の担任の先生の提案で、学校のスクールカウンセラーの方と連携を取っていく、ということになりました。スクールカウンセラーの方は、長男と1対1で話を聞いてくれて、その結果、長男の本音を聞き出してくれました。Upload By 星河ばよ私は、長男が人間関係で悩んでいるけれど家族には言えずにいるのではと思っていましたが、人間関係ではなかったようです。前々から行きたくない理由として私に話してくれていた「今日の給食が苦手だから」「ママと一緒にいたいから」「外国語の授業が苦手だから」という3つが長男の本音でした。給食を残すことについて、授業で習ったフードロスが頭をよぎってつらくなるようです。「それなら食べなよ。それができないなら割り切って残すしかないよ」と言いました。できれば「どっちもできないなら持って帰ってくればいい。お母さんが食べるよ」と言いたいです。学校の決まりで給食の持ち帰りはできませんが…。おわりにそれからも長男は休んだり、登校したりでしたが、話を聞いてくれる大人が担任の先生以外にもできて、気持ちが少し軽くなったようでした。長男は小学6年生なのでもう卒業が見えてきています。悔いのない小学校生活を送ってほしいと思うのは私のエゴかもしれません。ぼちぼち通ってくれたらいいなぁと思います。執筆/星河ばよ(監修:井上先生より)思春期になると子どもさんは、親御さんへ甘えたい気持ちもある一方で、相談できないことも増えてくると思います。また親御さんも担任の先生との連携が大切だとは思っても直接相談することに抵抗があったりすることもあるかもしれません。親御さんにとってもお子さんにとっても電話相談やスクールカウンセラーというような第三者の相談先を持つことは大切かと思います。大人になるにつれて、そういったサポートしてもらえる人を増やしお子さんとご家族のネットワークにしていけるとよいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月12日聖蹟桜ヶ丘・多摩センターの学習塾・個別指導のTasuke塾(運営:株式会社best place、本社:東京都多摩市、代表取締役:澤井誠)は、2023年夏休みの自由研究の一環として、古典落語を覚え、実際にお客さまの前で発表会を行うこども落語教室「こどもらくご」( )を7月~8月に全4回開催いたします。それに伴い、参加者の募集を開始いたしました。こどもらくご実施風景落語は、耳や実際に鑑賞した体験から学ぶ部分が多く、「自主性、創造性、総合的な能力」に繋がる貴重な学びがあります。落語を体験することで日本文化の理解を深めるとともに、コミュニケーション力を向上させ、自らが落語の発表の場に立つことで楽しみながら表現力を向上させる情操教育につながると考えています。今回開催する夏休みの「こどもらくご」は、大学客員教授、小説執筆、音楽活動など多彩な活動を続ける芸歴50年を間近にした落語家真打ち「金原亭世之介」さんが監修。プロの落語家である金原亭杏寿さん、金原亭駒平さん、金原亭志ん喜さんが直接指導し、お稽古の最終日にはレッスンの成果を一人ひとりが発表します。落語は“ひとりで話すもの”と思われがちですが、“お客さまとの会話”が落語の神髄。演者が発する声にお客さまが様々な反応を繰り返す。このやり取りこそが落語の素晴らしさであり、これを身につけることで日常のコミュニケーション力が抜群に向上します。2020年に施行された教育改革によって「知識、技術の習得を重視する教育」から「自分で考え、表現・判断し、実社会で役立てる総合的な能力を重視する教育」にシフトしている今。学校では学ぶことが難しいプロの落語家による“本物の体験”を通じて、「自主性、創造性、総合的な能力」に繋がる貴重な体験をお子様と一緒に学んでいただけます。【夏休み自由研究「こどもらくご」】主催 : Tasuke塾 聖蹟桜ヶ丘校、キングプロダクション開催日程: 7/29(土)、8/5(土)、8/12(土)、8/19(土)※全4回のお稽古(全ての回に出席できなくても参加可能)開催場所: Tasuke塾 聖蹟桜ヶ丘校(新校舎3F)参加対象: 小2~小6生、保護者様参加人数: 30名参加費 : 11,000円(税込)詳細 : <聖蹟桜ヶ丘・多摩センターの学習塾・個別指導のTasuke塾とは>個性と向き合う学習塾Tasuke塾は、生徒一人ひとりの基礎力定着を重視した予習型の学習塾です。 <キングプロダクション>落語家の金原亭世之介が立ち上げた芸能プロダクション。「落語」という伝統芸能を通し、日本の文化発展・情操教育の推進及び貢献を目指すとともに、「クールジャパン」文化の海外発信にも力を入れ、「落語」を発端とした様々な日本の文化芸術のPR活動を行っている。 【業務内容】(1) タレント・アーティスト等のマネジメント及びプロモーション業務(2) 音楽製作及びプロデュース業務(3) イベント・コンサート等の企画業務(4) 落語家・司会・芸人・タレントの紹介業務 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年06月12日家での遊びの環境について考えてみる知的障害を伴う自閉スペクトラム症のあるわが家の次男Pは、遊ぶおもちゃを机の上や床にばらまいてしまい、片づけてもすぐに部屋がぐちゃぐちゃになるので、私はイライラしていました。そんなイライラを解消する方法はないか?と、遊びの環境を整えることについて考えてみました。たとえば療育を受けているときは、おもちゃを子どもの見える範囲や手の届く範囲にはあまり置いておらず、遊びの種類や順番を決めて片づけたら次のおもちゃを出すなどの工夫がされていました。でも家でとなると家事もあるので四六時中子どもにかまっているわけにもいかないし、手の届かない場所や隠せる場所も限られるので、おもちゃを隠していてもいつの間にか見つかってしまい、気づけばまた元通りなんてことの繰り返しでした。Upload By みんおもちゃを隠しても減らしても効果的ではなかった物理的に数を減らすにも、同じものにこだわりの強いPは「あのおもちゃはどこへ行った?」とパニックになってしまうのでなかなか減らすこともできず、減らすとしたら「このおもちゃでは長らく遊んでいないな」と思う物を厳選して隠し、すぐには処分せずに数ヶ月間様子をみて、Pが完全に忘れたであろうころに処分するようにしています。そうやって数を減らしても、まだまだたくさんあるし新たに買ったりもするので、やはり部屋は散らかってしまいます。たとえばPは色鉛筆を使って絵を描くことが好きなのですが、1本使ったら1本戻してから新たな色を使うということが難しく、色鉛筆を全てケースから出して机の上にばら撒いて使っていました。私は色鉛筆を片づけても片づけても出されてしまうのが大変なので、色鉛筆をケースから、ペンたてに入れてしまおうと考えました。ペンたてに入れるようになってからは前より少し片づけやすくはなったのですが、全ての色鉛筆を机の上に出してしまうのは相変わらずだったので、やはり大変なままでした。机の上に散らばった色鉛筆を見ながらどうすればこのイライラから解放されるのか?と考えたときに、この状態でも散らかっていないように感じられるようにすればよいことを思いつき、ペンたてを違うものに変えてみよう!と思い浅く広めのトレイを準備しました。すると予感は的中!トレイに色鉛筆を入れてからは、全ての色鉛筆を机の上に出してしまうことはなくなり、机の上は散らかさないようになりました。Upload By みん散らかしてしまう原因を想像して対応するこれは効果的だと思った私は、いつも床に散らばっているおもちゃも同じようにすれば良いのでは?と考え、浅い大きめのバットをおもちゃ箱に変更しました。最初はおもちゃを全て出してしまおうとしていましたが、日に日に床に散らばるおもちゃの数は減り、今では自分の必要なおもちゃだけをバットから選んで取って遊ぶようになりました。色鉛筆もおもちゃも、浅いバットやトレイに入れることで、中に何が入っているのか探しやすくなったのがポイントだと思います。今までは、自分が使いたい色の色鉛筆がどこにあるのか分かりにくかったり、自分が遊びたいおもちゃがおもちゃ箱のどこにあるかが分かりにくかったりしたので、Pは全て箱から出して目的のものを探すという行動をとっていたのだと思います。でも少しの工夫で視覚的に探しやすくしてあげたことで、私もイライラから解放されました。このような工夫をしなくてもむやみに散らかさず、使ったら自分で片づけられるようになることがもちろん1番なのですが、そんな成長をゆっくり待つためにも、できる限り生活環境を整えながら過ごしていきたいと思います。Upload By みん執筆/みん(監修:新美先生より)片づけについて、Pくんにあったやり方を模索している様子を聞かせてくださりありがとうございます。片づけの方法は世の中にいろいろありますが、人によって合う合わないがあります。また親子・きょうだい・夫婦でも、人によって片づけ法の合う合わないが違っていることもあり、その場合はお互いにストレスがたまったりするものです。お互い許容範囲を広げて妥協するしかないですね。Pくんの場合は、箱の中にしまってしまうと見えなくて分からなくていやだということに気づいたところはさすがと思いました。ざっくり、物が見えるけど、散らばりすぎないという、大きめバットのやり方、家でも取り入れてみたいです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月12日自閉スペクトラム症(ASD)とは?治療方法はある?自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあり、幼少期に気づかれることが多いと言われています。自閉スペクトラム症の症状は3歳くらいまでにあらわれることが多いと言われています。主に他者との社会的関係形成に困難さがあったり、言葉や発達の遅れ、興味・関心が狭く特定のものにこだわりがある、などが特徴です。知的障害を伴わない場合は、幼児期に気づかれず、成人期に症状が顕在化することもあります。自閉スペクトラム症自体の原因を治療することはまだ不可能と言われています。ですが、早期から療育や環境調整を通して接し方を工夫することで、日常生活における本人の困りごとの解消につながります。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは一人ひとりに合った環境づくりを行います。早期から「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」などの発達支援施設で療育的支援や適切な教育を行ったり、苦手なことに対する対応方法を工夫していくなどの特性に合わせたサポートで子どもが自分らしく成長していけるように環境を整えていくことが重要です。投薬については、自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば、自閉スペクトラム症(ASD)の特性によって起きることが多い、癇癪、衝動性、こだわり、睡眠障害など、社会生活を送るうえで困難を感じる症状に対して、薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)ほか、神経発達症(発達障害)に処方されるのはどのような薬?自閉スペクトラム症(ASD)をはじめとした神経発達症(発達障害)による症状によって困難さがある場合に処方される薬を解説していきます。中枢神経刺激薬は中枢神経系に作用してその機能を活発化させ、非中枢神経刺激薬は主に前頭前野に働きかけ神経伝達物質の働きを強めます。多動性・衝動性や不注意に作用します。・代表的な薬例:中枢神経刺激薬/コンサータ、ビバンセ非中枢神経刺激薬/インチュニブ、アトモキセチン(ストラテラ)抗精神病薬は脳内のドパミン神経系の活動を抑えることにより症状を改善していく作用があります。定型抗精神病薬(従来型)と非定型抗精神病薬(新規)に分かれており、定型抗精神病薬は陽性症状に作用しますが、非定型抗精神病薬は陽性症状と陰性症状の両方に効果があると言われています。・代表的な薬例:定型抗精神病薬/ハロペリドール、クロールプロマジン、ピモジド非定型抗精神病薬/リスパダール、アリピプラゾール(エビリファイ)、オランザピンなど抗不安薬は感情と関係する脳の動きなどを抑えることで不安、緊張、不眠などを改善し、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は脳内で神経伝達物質セロトニンの再取り込みを阻害しセロトニンの働きが増強されることで抑うつなど気持ちの落ち込みやイライラなどに作用します。・代表的な薬例:SSRI/フルボキサミン・エスシタロプラムなど抗てんかん薬は、脳内の興奮系物質の働きを抑える、抑制系物質の働きを強めるなどの作用機序があります。また、その2つとは違う新しい作用をもつ抗てんかん薬などもあります。・代表的な薬例:ダイアップ、バルブロ酸ナトリウム、トピラマートなど子どもの自閉スペクトラム症(ASD)の代表薬・衝動性や癇癪を抑える「リスパダール」「アリピプラゾール(エビリファイ)」子どもの自閉スペクトラム症の易刺激性による癇癪や他害などを抑える代表的な薬として「リスパダール」「アリピプラゾール(エビリファイ)」があります。リスパダールは、リスペリドン主成分からできている抗精神病薬で、自閉スペクトラム症がある子どもや統合失調症がある人などに処方されます。自閉スペクトラム症の症状のひとつの易刺激性(不機嫌、無視、怒りっぽさ、癇癪、泣き叫ぶ、暴力や暴言、器物破損、抑うつ気分、気分の変わりやすさ、自傷などの行動を起こしやすいなどの症状)を抑える作用があります。副作用として主に眠気や食欲増多などがあります。アリピプラゾール(エビリファイ)もリスパダール同様に、易刺激性をやわらげる抗精神病薬です。ドパミン神経系を安定させる効果があり、躁状態およびうつ状態への効果が期待されています。副作用として主に眠気や食欲増多などがあります。アリピプラゾール(エビリファイ)とリスパダールは、どちらも易刺激性をやわらげる薬ですが、働きかける脳内の伝達物質が異なります。アリピプラゾール(エビリファイ)がドパミン神経系を安定させるのに対して、リスパダールはドパミンとセロトニンの両方に働きかけることで、ドパミン神経系に作用し、陽性症状、陰性症状両方の状態を抑えます。リスパダールは、原則として5歳以上18歳未満、アリピプラゾール(エビリファイ)は6歳以上18歳未満の子どもに使うことができます。また、子どもの体重に合わせて用法用量が定められています。神経発達症(発達障害)のある子どもの不眠に「メラトベル」「ラメルテオン(ロゼレム)」自閉スペクトラム症のある人に多くみられる睡眠の悩み。睡眠障害に対しては、子どもの不眠に処方される「メラトベル」と大人の不眠に処方される「ラメルテオン(ロゼレム)」などがあります。メラトベルは、神経発達症(主に自閉スペクトラム症)から起こる睡眠障害(寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまうなど)に処方されます。6歳から15歳までの神経発達症(主に自閉スペクトラム症)のある子どもに対して処方され、就寝前(寝たい時間の直前)に服用をします。ラメルテオン(ロゼレム)も睡眠障害に処方される薬です。メラトベルが小児も使えるのに対して、ラメルテオン(ロゼレム)は成人に処方されます。(※監修注:15歳から処方は可能だが、18歳より処方するのが望ましい)就寝前(寝たい時間の直前)に服用をします。関連リンク・その他、発達障害のときに処方される薬って?コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月11日不器用すぎる子どもを支えるヒント ーー『DCD 発達性協調運動障害』DCD(発達性協調運動障害)とは、極端に不器用で、日常生活においてさまざまな困難さがある発達障害の一つです。協調運動の不具合で起きますが、診断がつかずに学童期を迎えることも多く、周囲から理解されず、大人になってからも困難さを抱えるケースも少なくありません。転びやすい、着替えができない、なわとびが飛べない、自転車に乗れない…。極端に不器用な子どもたちには、DCD(発達性協調運動障害)があるのかもしれません。しかし、DCDの理解不足から、学校や家庭で叱られたり、自尊心を傷つけられることもあります。本書は、小児精神医学、小児神経学、てんかん学などを専門とし、人間科学部の教授であり小児精神科医でもある著者の古荘純一先生が執筆しました。DCDの認識を広め、当事者が臆することなくスポーツを楽しめたり、充実した学校生活を送るなど、社会活動に参加できる支援の輪が広がるようにという願いが込められています。本書では、DCDの症状とそれに伴う社会生活での困難さの解説と合わせて、幼児期・児童期・中学高校の学生生活、大人になってからの就労や家事など、年齢ごとの実例を多く取り入れながら、本人や家族が抱える困難さの現状、支援方法やアドバイスが紹介されています。また、当事者や保護者、学校関係者、医療などの支援者に向けて、それぞれの立場で注意しなければならないことや心構えについても記されています。子ども自身が楽しく読めるーーー『マンガでわかる子どもの困りごと攻略ブック: できない・やめられないが多い子がわかる解決法』本書は、『生きづらいと思ったら親子で発達障害でした』の著者である漫画家のモンズースーさんが執筆し、40年以上にわたり行動やコミュニケーションなど困難がある子どもたちの診療にあたってきた医師の平岩幹男先生が監修した、困りごとのある子どものためのマンガです。発達障害がある子どもには、話をすることや聞くことが苦手、気持ちをおさえられない、忘れ物が多い、読み書きが苦手、ゲームがやめられないなど、「やる気はあるのにできない」「悪気はないのにやめられない」など多くの困りごとがあります。その「なんで?」や「どうしたらいいの?」を、子どもが自分で読めるように、マンガで分かりやすく解説しています。文中には、子どもたちの好きそうなキャラクターたちが登場し、「障害」という言葉や医療用語などを使わず、分かりやすい言葉で困りごとの解決方法をアドバイスします。また、漢字にはふりがながついているので小学生の低学年でも、楽しく読みながら理解ができるように工夫されています。子どものために書かれた本書を読むことで、子ども自身がこれまで言葉にできなかった困りごとを本を通じて知ることができ、そして「友だちより苦手なことは工夫でうまくいく」と、感じることができるかもしれません。お子さんの手にとりやすい場所に置くことはもちろん、親子で一緒に読み、わが子の困りごとや不安や苛立ちなどを知る手だてとしても活躍する本ではないでしょうか。子どもと大人の「困った」を軽くするヒントが満載!ーー『特別支援教育が教えてくれた発達が気になる子の育て方』Twitterフォロワー数7万人、特別支援学校の現役教員である平熱先生が著した本書は、発達につまずきのある子どもと、そのまわりにいる大人のために、特別支援教育をベースにして「困った!」を小さくするヒントがまとめられている一冊です。「特別支援教育は、全人類に有効です」という言葉から始まる本書。序章では、特別支援教育が子育てに有効な理由を記し、第1章は子どもの自立について、第2章では大人も子どももしんどくならないサポートのポイント、第3章では日常の「困った」を小さくするポイントをさまざまなシーンを想定し、そのアプローチについて細やかに紹介されています。発達が気になる子どもとの関わり方、向き合い方、考え方などが、平熱先生ならではの「むつかしい話や、きれいごとは一切なし」で、ユーモアを交えながら著された本書。将来、子どもたちが自分らしく生きていくために、まわりにいる大人たちが今できるサポートや知るべきことが優しく詰めこまれています。『すきまから見る「不登校」への思いこみをほぐす』本書は、中学校教員などを経て、不登校の児童・生徒が通う「適応指導教室(現、教育支援センター)」で教育相談員として20年以上勤務し、教育と心理学の間を行き来しながら、「子どもの成長力を引き出すための教育支援センターの改革」を目指してきた公認心理士の林千恵子先生が、不登校の子どもたちの声と自身の不登校支援の経験をまとめた一冊です。本書では、不登校の子どもたちが実際に書いた作文を用いながら、一人ひとりの苦しみや成長の物語が描かれています。不登校の状況の中で考え続けた子どもたちの作文は、読む人の心に強く訴えかけます。物語では、厳しい自己対話や他者との関わりの中で、悩みながら成長していく子どもたちの姿と共に、失敗してはへこむ著者の林先生自身がたびたび登場します。林先生が、子どもたちと日々向き合い、育て、育てられてきた20年以上におよぶ現場経験の中で見つけた、「不登校の子どもの本音」や、「関わり方」が余すところなく記された本書。「不登校という心の傷と、どう向き合えば子どもが育つのか」、その答えを見つけるための一助となるのではないでしょうか。内的感覚の理解と治療意欲を支えるーー『チック・トゥレット症の子どもたち』チック・トゥレット症は、「ムズムズする」といった内的感覚を強く伴う疾患で、発症のメカニズムの解明も対処法も非常にむずかしい疾患です。本書には、著者である小児科医師の星野恭子先生が、20年の臨床の中で理解したことや実際に行っている治療方法、国内外の最新鋭の研究を踏まえて、チック・トゥレット症の当事者や家族、支援者にぜひ知っておいて欲しいことが盛り込まれています。日本での有症率は、子どものチック症は5〜24%、成人のトゥレット症は1000人に0.1〜0.5人と、5人に1人の小児に何らかのチックの症状があると言われています。チック症の症状や合併症、検査方法に加え、幼児期、小学生、中学生、高校生と年齢に応じた治療方法についても記されています。また、支援者や保護者に向けた望ましい対応方法や、青年期を迎えた当事者の就労や福祉制度についてまで幅広く紹介されています。本書は、チック・トゥレット症の当事者や家族が抱える日々の大変さを理解すると共に、「治したい」という気持ちに寄り添う一冊となっています。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月11日公立中学の特別支援学級に進学。新生活、意外と大丈夫だったかも?ゆいが進学したのは地元の公立中学校です。小学校時代と顔ぶれはあまり変わらないのですが、それでも環境は大きく変わります。ゆいがストレスを強く感じて疲れてしまうのではないかと私は少し心配でした。入学前には通学路を確認したり、少しでもゆいの不安が軽減される工夫もしたりしました。ところが、意外なことに新生活が楽しかったようなのです。入学式の後、興奮気味に新しいクラスのことや先生のことなどを話してくれました。今のところ人間関係については特に困りごとはなく、毎朝元気に登校しています。多分、同じクラスに仲の良い子がいたことが安心材料になったのだと思います。その後も仲良しの友達経由でまた新しく友達ができているらしく、ひと安心しました。ときどき自宅にも友達を呼んで楽しくおしゃべりしているのを見ると、友達関係は今のところ上手くいっているのかなと思っています。でも、心配になることは、実はほかのところにありました。Upload By 吉田いらこ入学早々クラスのSNSグループチャットができ上がる中学の入学式でクラス発表がされた日、クラスのSNSグループが立ち上がりました。ゆいが通う中学校の生徒のスマートフォン所持率は9割を超えているそうです。ゆいも持っているので友達経由で招待してもらい、クラスのSNSグループに入りました。(私が中学生のころはまだ子どもが携帯電話をもつ時代ではなかったのでいろいろと衝撃ですが、親も時代に慣れていかないとと思っています…。)Upload By 吉田いらこクラスのSNSグループチャットは参加人数が多いのでタイムラインがものすごい速度で流れていて、朝起きるとトークの通知の数が大変なことになっています。タイムラインでは誰かが勉強の分からないことを相談したり、他愛もないことで笑いあったりしていて、ゆいもたまにスタンプを押したりしているようです。中学生がチャットツールを使うことに賛否はあると思います。けれど、場面寡黙の診断があるゆいは他人と対面して会話をすることが苦手なので、このような顔を見ずにできるコミュニケーションの方が話しやすいのでは、と思っています。Upload By 吉田いらここのまま楽しく便利に利用できていればよいのですが、今後なにかトラブルが起きるのでは…と保護者としては心配しています。ただ、こういった通信モノは大人になると必ず使うことになる可能性が高いので、今のうちにトラブルを「少しだけ」経験して勉強することも必要かも…と思うところもあり、これから慎重に様子を見ていきたいと考えています。執筆/吉田いらこ(監修:鈴木先生より)クラスでのSNSグループチャットは、まだ中学生のお子さんだとちょっとした言葉でも傷つくことも出てきやすいので、仲のいいお子さん同士ならいいにしても、クラス全員でとなると保護者の方の不安もあることでしょう。個人的にはクラスのSNSグループチャットは保護者同士に限るようにした方がいいのではないかと思ってはいますが、子ども同士が使う場合には、個人攻撃をしない、担任の先生がチェックするなど一定のルールをつくってから始められるといいですね。ほかにも、クラス全員という大きなグループではなく、クラス内の班ごとなど少人数に分けてやる方法もあるかと思います。スマートフォンをお子さんに渡すときに使い方や時間のルールを各ご家庭で決めることと同様に、クラスのSNSグループチャットにもルールづくりが大切なのではないでしょうか。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月09日お子さんの英語の授業を見たことがありますか?筆者は先日、授業参観で小学5年生の英語の授業を見学し、「子どもたちが当たり前のように英語を理解して、流暢に話している!」「記憶のなかの英語の授業と全然違う!」と驚愕しました。小学校3年生から英語の授業がスタートしているのは知っていましたが、「そこまで難しい内容ではないだろう」と思っていたのです。しかし、筆者の想像をはるかに超えるレベルの英文を、ほとんどの児童が「聞いて」「話して」いました。これは大変なことだ……わが子にも英語を勉強させなければ!そう考えた筆者(英語アレルギーあり)は、子どもと一緒に英語を勉強してみることにしました。授業参観で驚愕!親世代の英語の授業とまったく違うとにかく、授業の進め方が親世代とはまったく違いました。前を向いて座り、先生の読む英文をワンテンポおいてから繰り返す。そして黒板の英文や英単語をノートに黙々と書き写す。新出英単語は、10~20回ずつノートに練習をする……といった、約30年前の授業ではありませんでした。タブレットから流れる英会話を聞き、先生から簡単に説明を受け、「はい、それでは、たくさんの人に質問してみましょう!」という先生のかけ声で、一斉に席を立ち、たくさんのクラスメートと先ほどの英会話を何度も繰り返し使ってみる。先生の説明よりも、児童どうしで交わされる会話のほうが圧倒的に多い!そんな授業だったのです。この授業内容の大きな変化を、文部科学省検定教科書『Here We Go!』著者で英語教育のプロフェッショナル・太田洋氏は、「英語を『覚える』授業ではなく、『使ってみる』授業である点」が親世代との違いだと指摘しています。おうちのかた世代は、英単語や文法を「覚える」ことが中心の授業を体験したかたが多いのではないでしょうか。しかし、今では英語を「使える力」を身につけるために、「聞く」「話す」を中心とした授業が行われています。「自分ができること」など、子供たちが話したくなる身近な場面を設定して、その中で英語を使って「自分の考えや気持ちなどを伝えあう」ことを促す授業です。(引用元:ベネッセ教育情報|どうなっているの?5年生の「英語」 ~親世代とは大きく違う今の英語の授業~)※太字は編集部が施したそしてもちろん、成績評価の基準も大きく変わっています。太田氏によると、親世代のように、英単語や文法のペーパーテストの結果 “だけ” で評価されることはなく、「英語でコミュニケーションしようとする姿勢なども含めた総合的な評価」となるのだとか。具体的には以下のようなポイントが評価対象のようです。英語が全部聞き取れなくても、聞き取れた部分から推測して話の概要をつかもうとする姿勢わからない場合は、知っている英語で「もう一度言ってください」と伝えようとする力スピーチなどの発表や「パフォーマンステスト」(児童と先生とのやり取り)の結果 太田氏によれば、ゆくゆくは英語4技能5領域の力を身につけることが目標だそう。以下のとおり、それに向けた取り組みが小学校から始まっているわけです。社会がどんどんグローバル化していく中、知識に偏った英語力ではなく、高校卒業時までに「聞く」「話す(やりとり/発表)」「読む」「書く」の英語4技能5領域の力をバランスよく身につけることを目標にしています。(引用元:同上)※太字は編集部が施したなるほど、知識重視だった30年前の英語の授業とは、そもそものゴールが違うのですね。国の方針も、授業も、これだけ変わっているのだから、家庭学習も昔と一緒でいいわけがありません。では、英語を「使える力」を伸ばすには、どんな学習法がよいのでしょうか。「勉強する親の姿」を見せることが最高の家庭学習環境まずはわが子に英語に興味をもってもらわなければいけません。そこで、小学校教員の松尾英明氏が『「勉強しなさい」といい続けたら将来どうなる!?子どもの才能を摘まないために――』でくれたアドバイスに従い、「『勉強しなさい』という代わりに、子どもが勉強したくなるような環境をつくる」「勉強につながるようなものに触れる機会を増やす」「さまざまな教材を与える」から始めてみようと考えました。また松尾氏は、プレジデントオンライン『自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣』記事でも、 “親自身が勉強をする姿” こそが、子どもにとって最高の家庭学習環境だと断言しています。そこで、まずは筆者自身が英語の勉強を再開してみることに。ちなみに筆者の英語を「使える力」は以下のとおり。中学、高校、大学と10年間英語を勉強したのに、いまも英語が話せない学生時代に記憶したはずの英単語もすっかり忘れている英文法すら忘れているので、ハイレベルな参考書は理解が難しい そこで、選んだ教材は、『本当はおもしろい中学英語』(明日香出版社)。著者は、東京言語研究所で2010年度理論言語学賞を受賞、英文法のプロとして研修や講演などでも活躍する時吉秀弥氏です。この教材を選んだ決め手は、「はじめに」の一文でした。この本は、英語を習いはじめた小学校高学年のみなさん、あるいは中学生のみなさんに、さらには大人になってもう一度英語を勉強してみようと一念発起しているみなさんに向けて、私が一生懸命書いたものです。(引用元:時吉秀弥(2023),『本当はおもしろい中学英語』, 明日香出版社.)※太字は編集部が施したなんと、「小学校高学年」にも「学び直しをする大人」にもぴったり!また、一番の気がかりだった英語レベルも、「英語の勉強開始から、中学2年の真ん中あたりで勉強する内容」とのこと。「これは親子一緒に勉強できるのでは!?」なんて、淡い期待を抱きつつ、親自身の英語学習をスタートしました。英語を声に出す “だけ” の超簡単英語学習スタート1. ソファーで『本当はおもしろい中学英語』を読む最初に「本書の使い方」から読み進めました。「よくわからないルールの丸暗記」はやめて、「こんな気持ちだからこの文法を使う」ということを理解していきましょうと書いてあります。何十回も英文をノートに書き写して、英文を “丸暗記” してきた学生時代はなんだったのか……。2. ASUKAⅬAアプリで音声を聞く→何回も声に出す書籍内に記載されたQRコードから、音声再生アプリ【ASUKALA】をダウンロード。その音声を聞いて、恥ずかしがらずにできるだけ音をまねて、声に出して何回も読みます。どうやら「何回も声に出す」ことがポイントのようです。ただ何回も英語を聞くよりも、「どうやったらこの音が出せるんだろう」と試行錯誤することで、音に対する注意が鋭くなり、その結果、より早く英語を聞いて理解できるようになるとのこと。子どもがこちらを見ていたので、興味を引くためにも、大きな声で何回も声に出しました。3. 練習問題を解くだけで英作文の能力もアップする!?単語を並べ替えて英文をつくったり、()内に単語を入れたりする練習問題で単元の復習をします。なんと、この練習問題を解くだけで「自分で英語の文をつくる能力が向上する」とのこと。せっかくなので、問題を解いているときも、英語を声に出してみました。このあたりで、子どもが「お母さん、英語の勉強しているの?」と寄ってきました。4. 英語学習ノートを用意。スキマ時間に中学英語を勉強おやつの時間、夕食の準備をする前、夕食後など、10~15分程度でもスキマ時間があれば、とにかく「声を出す」ようにしました。最初は遠巻きに見ていた子どもも、3日目にもなると、筆者の横に座り、『本当はおもしろい中学英語』をのぞき込んできます。しめしめ。ついでに「お母さんの頑張り」が可視化できるよう、ノートに学習した単元をメモしていきます。※スキマ時間の活用については、著者である時吉氏のYouTubeチャンネル「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」内『4ヶ月でTOEIC800点台を取得した社会人のモチベーションの保ち方』を参考にしました。5. 小学生の子どものほうが英文法を理解できていた!5日目、ついに子どもが一緒に声を出し始めました。アプリの音声のあとで親子一緒に声を出すとどちらの声かわからなくなったので、別々に声を出してみたところ、子どものほうが上手に音声をまねできていました。また、本に書かれている文法についての説明も、子どものほうが理解するスピードが早いのです。そこで、子どもが本当に理解できているのかどうか知るために、練習問題勝負をもちかけてみました。結果は、親子ともに全問正解。子どもはわかったフリではなく、しっかり理解できていたようです。『本当はおもしろい中学英語』のポイントが50個にまとめられています。このイラストがとてもわかりやすい!先入観のない子どもは、英語を話す人のキモチがわかっていた!ちなみに、親子で理解に差が出たのは前置詞でした。「in」「at」「on」について、親は脳をフル回転させて説明文をインプットしていたのですが、子どもはなぜか「なんとなく感覚でわかる」と言うのです。これはもしや、時吉氏の書籍にあった「英語を話す人の心のしくみ」がわかっているということでは?この本は認知言語学(にんち・げんごがく)という学問を使って、それをできるだけていねいに説明しています。外国語を勉強することの一番の悩みであり、おもしろさでもあるのが、こうした「日本語とは違う、世界の見方」です。文法を単なる「わけのわからないルール」として丸暗記するのではなく、「なるほど!英語を話す人はこんなふうに考えるんだ、おもしろい!」と思って勉強してくれるといいなぁ、と思います。(引用元:時吉秀弥(2023),『本当はおもしろい中学英語』, 明日香出版社.)※太字は編集部が施したもしかしたら、丸暗記から英語学習をスタートさせた筆者よりも、「聞く」「話す」を中心とした授業で楽しく英語を学び始めた子どものほうが、「英語を話す人の心のしくみ」が理解しやすいのかもしれませんね。そしてこの2週間でわかったことがあります。どうやら子どもは英語が「嫌い」ではなく、「どちらかというと好き」だったのです。じつは筆者、自らの苦手意識から「子どもは英語が嫌いに違いない」と決めつけていたようでした。「英語を勉強しなさい!」なんて言わなくてよかった……つくづくそう思いました。前出の松尾氏も「『勉強しなさい』といわれた子どもが本当の意味でやる気を出して勉強をするという例は一度も見聞きしたことがない」と断言するくらいですから、もし「英語を勉強しなさい」と言っていたら、わが子は英語が嫌いになっていたでしょう。***筆者について言うと、『本当はおもしろい中学英語』を読み始めて3週間目になり、なんだか英語が好きになってきました。やはり、「何度も書き写さなくていい」「丸暗記しなくていい」というのがモチベーションを保つうえで大きなポイントとなっています。加えて、親子で英語を声に出すこと自体が、コミュニケーションにもなっていると気がつきました。いつの間にか手をつながなくなり、ひざに乗ってくることもなくなったわが子と、ソファでくっつきながら「His picture is on the wall.」と交互に発音をする――。「お母さん、リズムが変だよ」などと突っ込まれながらも、とても満たされた気持ちになっています。みなさんも、お子さんと一緒に英語学習をしてみませんか?親子で勉強するのもなかなか楽しいですよ。(参考)時吉秀弥(2023),『本当はおもしろい中学英語』, 明日香出版社.YouTube|4ヶ月でTOEIC800点台を取得した社会人のモチベーションの保ち方STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「勉強しなさい」といい続けたら将来どうなる!?子どもの才能を摘まないために――ベネッセ教育情報|どうなっているの?5年生の「英語」 ~親世代とは大きく違う今の英語の授業~ベネッセ教育情報|どうなっているの?5年生の「英語」~家庭での英語学習サポートのポイント~プレジデントオンライン|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣
2023年06月08日脱走なんてしないと思っていたUpload By カタバミ息子のまちゃには自閉スペクトラム症と知的障害があります。就学前には特別支援学校にするか特別支援学級にするかで迷いました。年長の1学期のころ、当時通っていた療育園の担任で就学担当でもあったベテランの先生から「まちゃくんは45分間座って授業を受けられそうですから特別支援学級に入学することも考えて下さい」と言われました。確かにまちゃは、私がいつ見学しても落ち着いていました。特別支援学級の見学のとき、特別支援学級の先生に「こちらに入るのに“これはできていてほしい“と言うことはありますか?」と質問したら「座って授業を受ける意欲があるお子さんはできるだけサポートします」と言われました。私は(生徒がどこかに行ってしまい追いかけながら授業をするのは難しそうだから、それは当然だな)と納得した記憶があります。入学後に始まった脱走Upload By カタバミところが、療育園のときにはあんなに落ち着いていたまちゃは特別支援学級に入学すると授業中や少しの空いた時間に脱走するようになりました。行き先はだいたい決まっていて、体育館に行ってグルグル走ってくるか、数階上の誰もいない特別教室に行くか、校庭を突っ切った先にある体育倉庫の壁をタッチして帰ってくるか…いずれにしても脱走しても戻ってくるそうです。ただ走るのが早くて補助の方ではなかなか追いつけないとのことでした。授業参観に行ったとき、課題が終わったまちゃがサッと席を離れて私の横を通り過ぎて教室の後ろのほうに行ったので(ロッカーに何か取りに行くのかな)と思ったら、サーッとそのまま教室を出て行ったのでとても驚きました。この一件から私もまちゃの脱走について改めてあれこれ考えるようになりました。まちゃは機嫌良く脱走して機嫌良く戻ってきていて、脱走を止められたときにも少し悔しそうにしているものの笑っているようでした。もしかすると、これまで療育園など施錠してある施設に通っていたまちゃにとって、思いついたときにフラッと抜け出せることが、息抜きになっているのかなと思いました。増える脱走Upload By カタバミ1年生の終わりから、まちゃは学校に慣れたのか、家ではタオルを畳んでくれたり、お父さんの飲んだ缶酎ハイの缶を潰してくれたり、できることも増えましたが、脱走も増えました。そして、2年生になって新しい担任の先生になり、教室の人数も4人から8人になるとさらに脱走は増えて、ついに朝、開いていた校門から学校の外に出てしまいました。ちょうど近くにいた先生が捕まえてくださったそうなのですが、その報告を受けたとき、私はさすがにとても心配して焦りました。担任の先生が「教室のドアを施錠してみてはどうだろう」と相談してくださり、私は「やってみてほしい」と答えました。2つある廊下への教室のドアのうち、まちゃに近いほうが施錠されると、まちゃは窓から出ました。そのあと、まちゃの近くの窓際に電子オルガンが置かれ、すぐには出られないようになりました。窓には「窓から出てはダメ」と言う意味の絵カードが貼られました。効果があったそうで、先生は「席に座ります」や「トランポリンをとびます」「トイレに行きます」などの絵カードもつくってくださいました。SNSで作業療法士にも相談をして、まちゃのストレスが溜まらないように、まちゃのすぐ近くに絵を描いたりパズルをしたり、リラックスできる場所があるとよいというアドバイスを受けたので、先生に伝えるとさっそく教室に取り入れてくださいました。放課後等デイサービスの先生にも相談すると「まちゃくんは自分がみられていると感じている間は脱走しません。気を抜いた瞬間が危ないのです。頭のうしろにも目が必要です」と、まちゃを脱走させないコツを教えていただきました。これもさっそく担任の先生にお伝えしました。減ってきた脱走Upload By カタバミ現在、小学2年生が始まって2ヶ月目ですが、まちゃの脱走は減ってきています。今の所、家でも放課後等デイサービスでも癇癪も行き渋りもありません。常に対応してくださる担任の先生にはとても感謝していますし、まちゃもよく頑張っていると思います。でも本当に特別支援学級がまちゃに合っているのかということは、考えていかないといけないと思いますし、今後もまちゃの様子を注意深く見て行こうと思っています。執筆/カタバミ(監修:新美先生より)教室から脱走してしまうまちゃくん、先生方も安全確保のために気を遣って大変だと思いますが、なによりも、脱走したくなるほど大変な思いをして教室で過ごしているまちゃくんのことも心配です。新しい環境で、慣れず、その場で今何をすべきなのかがわからないと、普段よりもそわそわして落ち着かなくなり脱走リスクは高まります。入学当初、慣れなくて脱走というのは、ある程度はやむを得なかったかもしれません。1年ちょっと経って、脱走は減ってきているとはいえまだあるようです。学校で問題行動がある場合、以下のことを見直していくとよいかもしれません。1. 学習・活動内容について、本人が理解できる形式(視覚支援など)で説明されているか(スケジュール・手順書など)2. 学習・活動内容は本人に合った内容か3. その学習・活動をしたくない場合、「拒否する」ということが随時表出できて(例えば「やりたくない」という絵カードをいつでもつかえるようにしておくなど)、受け入れてもらえ、代わりの行動の選択肢を提示してもらえる環境になっているか4. 「ちょっと休憩する」「気分転換する」などが表出できて、それを受け入れてもらい、休んだり気分転換できる環境が用意されているかこういったあたりについて、学校の先生に見直してもらったり、療育の専門の先生などにもご意見もらったりするとよいかもしれません。本人が脱走しなくても、安心して充実して過ごせる学校環境にしていけるとよいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月07日アトピー体質の自閉スペクトラム症娘。掻きむしりがすごくて…SAKURA(以下、――)最後の相談は、娘の掻きむしりについてです。娘は、アトピー体質で、皮膚が弱いんですが、精神面からくる掻きむしりがすごくて…――ここからは本人にも同席してもらって、一緒に話を聞いてもいいですか?三木先生:もちろんです。Upload By SAKURAあーさん:こんにちは。三木先生:こんにちは。あーさん:えっと…私はイライラしたりすると、腕とか足とかがかゆくなって、掻いてしまいます。どうしたら掻かなくなりますか?Upload By SAKURA三木先生:なるほど。まず、かゆみを我慢するのは無理です。Upload By SAKURAなので、かゆみ止めを飲んだり、薬を塗るなどして、アトピーでかゆくなる要素を先にゼロにしていく。そのあとにストレス側にアプローチしていく形がいいです。Upload By SAKURA――病院にはかかっていて、薬はずっと飲んでいます。そっちに関しては対応済みです。Upload By SAKURA自分に合うストレス解消法を見つけていく三木先生:なるほど。では、ストレス面ですね。色んな方法を試してもらって、自分にあうストレスを解消していく方法を探していくといいですね。――例えば…?三木先生:例えば運動…ジグゾーパズル…世の中にあるストレス解消法の中から、自分にしっくりくるものを順番に試してみるのはどうでしょう?Upload By SAKURA親が今まで見てきた中から、子どもの趣味嗜好から合いそうなものをピックアップするのが良いと思います。例えば、一人が好きか、みんなで遊ぶのが好きかなど。――本人が苦しんでいるので、私がなにかかゆくならない方法見つけて教えてあげたいと、焦ってしまって「早く!今すぐ!なにか策を!」と思ってしまっていたのですが、時間をかけて探していくしかないんですね。Upload By SAKURA三木先生:答えが欲しいと焦るのはわかりますが、親が試行錯誤している時点でもう正解です。焦って無理に答えを出そうとすると、子どもへの負担になることがあります。親が、あーでもないこーでもないと、頑張ってる姿を子どもに見せてあげることが重要ですよ。Upload By SAKURA――そうなんですね。でも、娘にとって、答えがない状況は嫌なようで…。それを見ると私も苦しいんですよね。助けてあげたいというか。このままでいいのかなって思ってしまって。三木先生:子どもは結論がでないことに納得できないことが多いですよね。でも、結論はもがいたあとにしか分かりません。時代的にインスタントに答えを出さなきゃならない傾向にありますが、実際は本人の中の構造化のプロセスを踏んだ上に納得があります。親の試行錯誤をモデルとして見てもらって、本人と一緒にやっていく…。もんもんとした中の、興味があるものを拾っていくといいと思います。Upload By SAKURA対策としては短期的、長期的アプローチがあります。薬は短期的なアプローチ。それから目の前の問題解決…例えばかゆくなるスイッチのようなものがあるなら、そこから解決していくのが良いです。――かゆくなるストレスのスイッチ…いっぱいありすぎます(笑)物事には「表」と「裏」の顔がある!三木先生:日常生活でストレスをゼロにすることはできませんからね。物事の表と裏を見せていくのもいいんじゃないですか?例えば、お母さんが怒っていたところに、電話がかかってきたら、お母さんは声を変えて普通に電話取りますよね?その様子とか。人は、本当はイライラしていても、表ではそれを見せないようにするというのを実際に見て理解してもらうといいかもしれません。Upload By SAKURA――あー!そうなると親同士の言い合いとか?最近、見せてしまうというか…見られてしまうことが増えてきてます。Upload By SAKURA三木先生:それにも、ニュアンスの調整は必要ですけどね。「これはコミュニケーションの一環」「こんな風に言っているけど実際はお父さん相手だから言ってるんだよ」「実際はそこまで思ってないよ」などの文脈の説明はいりますね(笑)――わかりました。いろんなストレス解消法試して、ピッタリの方法を探しつつ、同時に人の表と裏の気持ちも話していきます!執筆/SAKURAコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月07日自閉スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠如・多動症)がある中学3年生発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症とADHDの診断がある中学3年生のエピソードです。県立高校への進学を希望しているものの、定期テストではケアレスミスが多く正解率が20%程度。わが子を心配して涙する母親に小児科医は…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談解説:定期診療の時間を、安心して相談できる機会にーー小児科医今回は、自閉スペクトラム症とADHDのある中学3年生のエピソードをもとにお届けしました。ひとり親家庭で保護者の方は仕事に追われ、パンパンの状態であることが診療時に伺えました。お子さまは、反抗はするものの根が優しく親思いであることが伝わってきましたので、親子の目標である「県立高校に合格する」ということを意識し、定期診療でさまざまなアドバイスを行いました。診療のポイントは大きく2つです。薬物治療ADHDの主な症状である多動性・衝動性、不注意に対して薬物治療を開始していましたが、薬を飲まないことが続いていました。そこで、服薬の負担を軽減するために1日2回から1日1回の治療薬に変更して様子をみました。学校や塾の先生への協力依頼先生で注意されてばかりだったり試験結果が思わしくなかったりすると、お子さまの自己肯定感が下がっていきます。「(小児科医と相談し、服薬もしながら勉強を頑張るので)応援団になってほしい」と伝えることで、少しでも環境を変えることを大切にしました。高校受験では、通塾されるお子さまも多いことと思います。学習内容や先生の指導がわが子にあっていないと感じたら、今回のケースのようにほかの塾に移ることで勉強しやすくなることもあるでしょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月06日知って驚いた、「社会的語用」という概念言語学の分野では、会話の辞書的な意味、字義どおりの意味について扱う分野を「意味論」、場面・文脈・相手との社会的な関係性の中でどのような会話をするかについて扱う分野を「社会的語用論」と言います。例えば、職場で、部長Aさんの部下のBさんがAさんに対してこう言ったとします。「私がお茶を入れました。部長も飲みたいですか?」この発言では、文法上の誤りもなく、語彙も十分です。意味論的には、「AさんがBさんの入れたお茶を飲みたいかどうか」を聞いており、まったく問題ありません。しかし、社会的語用論の観点から言うとこの発言は不適切で、文化的社会的にはナチュラルでないと言えます。―といった説明が、日本語教師用のテキストに書いてあり、私はとても驚いたのでした。社会的語用論の観点からは、・場面(公的で改まった場なのか、私的でフランクな場なのかなど)・文脈(それまでにどんな話をしていたかなど)・相手との関係(親しいのか親しくないのか、立場が上なのか下なのか、ウチなのかソトなのかなど)に配慮して話をすべきなのだそうです。社会的語用の範疇では、文化によるのですが・目上または親しくない相手に対して直接意向を聞いてはいけない・人に何かをしてあげたときに主語をあいまいにして押しつけがましくないようにする・断るとき、禁止するときなど、はっきり言うと相手や関係性にショックを与えそうなときにあいまいな言い方にしたり「言いさし」にしたりするなどといったルールがあるのだそうです。これ、私のようにASDのある人にとっては、とても苦手なものですよね。話し手になる場合にも聞き手になる場合にも、いわゆる、「空気を読む」「行間を読む」が必要になってくることですから。だからこそ、社会的語用の概念を知った私は驚いたのだと思います。これらを総合して、上記の例の場合、日本において社会的語用の観点から正しい(より正確に言うと、日本で最も感じが良いと受け取られて生存戦略上都合がよい)言い方はこんな感じになるでしょうか。「お茶が入りました。部長もいかがですか」「お茶が入りました」「お風呂が沸きました」ずっと理解できていなかった社会的語用私はそこで、自分が生きてくる中でなんとなく疑問に思っていた日本語の表現をざっと思い出してみました。すると、あれは社会的語用だったんだ!と気づくものがいくつもありました。例えば、上記の例にあった「お茶が入りました」。周囲がそういう言い方をするから私も自然にこういう表現を使ってはいたものの、「文法的に考えるとなんだかお茶が勝手に意志を持って入ったみたいな感じでおかしいなあ、どうしてだろう」と、言語化はできないまでもずっと引っかかっていたのです。日本人はこういった何気ない表現の中でも、相手との社会的関係を配慮した物言いをしているのですね。給湯器も、「お風呂が沸きました」って言いますよね。あれ、中身は日本人だなって思いました(笑)英語やフランス語でも「行間を読む」?でもね、同じような社会的語用、よく考えたら英語でもするんですよね。Dinner is ready!(夕飯ができました)Tea is ready!(お茶ができました)ここで I made tea (私がお茶を入れました)とかは言わないわけです。その他、私は大学時代アメリカに短期留学したとき、誰かを何かに誘うか何かしたときに maybe next time(またこんどね)って言われたんです。そうか、また今度誘えばいいのか、と思ってしばらくあけて再度誘ったら、すごく困惑した顔をされました。欧米はいわゆる空気を読まなくていい、なんでもオープンに意思表示しあう文化だと思っていたので、それから20年来謎だったのですが、先日、アメリカ帰国子女と日本人がやっているインターネット動画で、アメリカでも婉曲に断ることあるよ!と言っていて、「あれは断られてたんだ!」と初めて気づきました(笑)フランスでも「行間を読む」ことはあるようです。フランス人ASD女性のコミックエッセイの中に、会社の同僚に「あの資料持ってる?」と訊かれて「持ってるよ」と答えたら同僚は「ええっと、その資料を貸してくれる…まったくもう!」と怒ってしまったというシーンがあったので、これにも驚きました。空気・行間を読むことが多い、よりハイレベルな社会的語用が要求される文化を「高コンテクスト文化」といい、日本が代表です。その反対で、なんでもはっきり言葉にすることが多く、直接的なコミュニケーションをする文化が「低コンテクスト文化」で、ドイツが代表と言われています。ドイツのコミュニケーションに婉曲な表現があるかは見聞きしたことがないのでわかりませんが、欧米が日本よりも低コンテクストだからといって、日本のような高コンテクスト・婉曲な表現がないわけではないのですね。イギリスなんかは非常に婉曲な言い回しが多く、京都に似ていると言われることもありますね。言葉の学びの中でようやく興味を持てるようになった、日本の社会的語用ここまで考えて私が思ったのは、「世の中には、高コンテクスト文化と低コンテクスト文化と、元来ほぼ社会的語用をしないASD文化があるのではないか」ということでした。私がASDのない人と接触せず、生まれたままのASDとして生きていたら、たぶん本当に辞書通り字義どおりの、意味論的なコミュニケーションをしていたと思います。でも、日本の高コンテクスト文化の人たちと「異文化交流」をする中で、まるで低コンテクスト社会から来た人のように少しずつ「異文化適応」をして、(違和感や疑問を覚えながらも)徐々に社会的語用を学んできたのでしょう。私は日本のASDのない人たちが「普通」「正しい」とするコミュニケーションにずっと違和感や、ときには怒りを感じてきましたが、こうしたコミュニケーションの機微について研究する学問分野があったことにはある種の感激を覚えました。以来、人のコミュニケーションを、研究対象を見る感じで興味と好奇心を持って観察し、自分の不全感については「私は異文化に生まれた異邦人なのだから仕方ない」と余裕を持って受け止められるようになりました。ASDのある子どもの、高コンテクストなコミュニケーションに関するマイナス感情への対処ASDの子どもの中には、人とコミュニケーションする中で、戸惑いや怒り、不全感を感じる子どもたちも多くいると思います。私がそうだったように。物事への理解ができるようになってきた思春期以降であれば、単に「これが正解だ」と教え込むのではなく、異文化のひとつとして教えるなどすると、私のように興味を持って客観視できる助けになるかもしれません。文/宇樹義子(監修鈴木先生より)私の外来はASDの患者さんの割合が多いです。外来で患者さんに「KY:空気を読めますか」と尋ねると、「先生、空気は読むものでなく吸うものですよ」と返されることが多々あります。また、 “医師と患者さん”という関係性を踏まえた会話ではなく、あたかも以前から知っていた友人と話すような調子で話されるお子さんの何と多いことか。それは、親御さんも同様です。そうしたお子さんにはSST(ソーシャルスキルトレーニング)の受講を、親御さんにはペアトレの受講をお勧めしています。食事中にスマホをやっているお子さんに食事中はスマホはやめなさいというと、ASDの特性が強いお子さんは、食事をやめてスマホだけやるのです。確かに、「食事中はスマホはやめなさい」と言われたとき、その言葉通りとれば、食事をしていなければスマホをやっていいことにはなります。ASDの特性から、なぜそのように言われたのか、相手の立場になって考えることが苦手なのです。社会的語用はASDのグラデーションによって変化が見られます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月06日お皿に入る服、ぶつかるカバン、観葉植物をなぎ倒すカーテン…Upload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは、小学校高学年ごろまで食事中に服の袖がごはんに当たっていても気づかないことがよくありました。中学生になった今では以前よりも減りましたが、『自分が動かしている物』が何かに触れているとき、それに意識を向けるのが難しいようです。とはいえ、最近は「カーテンを閉めるときに観葉植物を倒しているよ」と伝えると「あ~本当だ」とすんなり認めてくれるので助かります。以前は「袖がごはんに当たっているよ」「本をどかしたときに消しゴムを机の上から落としているよ」と伝えても、「え?当たってる?」「あれ?何で?」と起きたことをなかなか認めてくれませんでした。あまりに頻繁に服の袖が汚れるので、あるとき改めてコウに質問してみました。小学校5年生ごろだったと思います。「袖にごはんが当たっていても気づかないのはなぜ?」に対するコウの主張は以下の通りでした。・食事中の姿勢において腕の下側の皮膚と服の間には空間があるため、ごはんが当たっている側の皮膚には何も感じない。・食事中の姿勢では、わざわざ見ようとして腕を持ち上げない限り袖の下側は見えない。・これらのことから、食事中の袖の下で起きていることなど、感じることも見ることもできないのに分かるはずがないのは明らかだ。Upload By 丸山さとこコウの話を聞いた私は、「彼からすれば自分の体験に基づいた根拠のある言い分があるのだな」と思いました。「自分が動かしている物」から伝わる感覚を理解しよう!確かにコウの言う通り、ごはんは腕の下側には当たりません。ですが、『服に何かが触れた感覚』は分かるはずです。そう話してもコウは「そんなの分かるわけない」といぶかしんでいるので、彼の袖の下側に触れながら改めて説明をしてみました。「服の布は、腕の上や横には当たっているでしょう?目を閉じて、そこの布が動くのを感じてみて」と促すと、彼は「…本当だ!袖に当たったり離れたりしているのが分かる!」と驚きました。Upload By 丸山さとこ「物は袖の下に当たっているのに、感触は上側に生まれるんだねぇ…」と不思議そうに感心していたコウは、それ以降「皮膚に直接当たってないのに分かるわけないじゃん!」と突っぱねることはなくなりました。こうして理屈と感覚は理解できたとはいえ、それまで意識していなかった『見えない位置の感覚』『間接的に当たっている物の手ごたえ』が急に分かるようになるはずはありません。そのため、この話をしてからも相変わらず袖を汚すことはありました。ですが、「できるはずがないことを無理強いされている」という不信感は和らいだようでした。自分が直接触れて動かしている物ではない『間接的に触れている物』への影響を理解するのが難しいのは、私も何となく分かります。息子と同じく神経発達症がある私の場合は、自分の体であっても『見えていない部分』への意識がおろそかになりがちです。定型発達とされる子どもであったとしても、幼児のころは『自分の体が影響する範囲』や『自分が持っている物が影響する範囲』がつかみきれておらず、動きにも不器用さが見られることは珍しくありません。Upload By 丸山さとこコウや私は、今でもまだその部分において発達の途中にいるのかな?と思っています。今でも不器用な中年として毎日を送っている私ですが、子どものころによくあった『何もないところでコケる』現象は起きなくなりました。でもこれは「単に活発に動かなくなっただけかもしれないな…?」という一抹の不安もあるので、たまには体を大きく動かすようなアクティビティをしてみようと思います。執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)面白いですね。「『自分が動かしている物』が触れている物に意識を向ける難しさ」。そこまで意識(注意・関心)が向かないからこそ、ちょっとした事故(服を汚す、観葉植物を倒すなど)につながる。例えばこれは、ボディイメージの苦手さ(自分の「身体」がどこまでか、どう動いているかを認識することの苦手さ)でも説明されるかもしれません。この場合のボディ・身体は単に皮膚に包まれた肉体のことに限らず、服やカバン、そして作用するものも含めた「拡張した身体」のことになります。こうしたことを考え始めると、身体とは何かという哲学的な問いに出合います(例えば、他人の身体を触ることは痴漢になるけれど、じゃあ、身体と洋服の間の空間に手を入れるのは痴漢じゃないのか…と考えてゆくと、身体は肉体よりも広い概念であると分かると思います)。そんな哲学的な問い、身体論が私は頭に浮かびましたが、生活上必要なことでいえば、さとこさんがしてくださったように、感覚に意識を向けて、感じ取る練習をしてみるということですね。袖の下部の動きは袖の上部(肌と接するところ)の微細な動きで感じるなど、今まであまり意識してこなかったがゆえに意識に上りづらかったことを意識化してみるということ。その練習は、発達的な特性ゆえにそうしたことへ注意を向けにくいお子さんには良さそうです。見えないものは「ない」、感じないものは「ない」となりがちなお子さん方に、これまで意識してこなかったから「見えない」ものを「あえてしっかり見る」、「その感覚に注意を向ける」。認識することで、「身体」が広がるかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月05日特別支援学校は教育の最先端! 特別支援教育の考え方を知ると、生きづらさを小さくできる『「ここ塗ってね」と画用紙を指さしたわたしの指を丁寧に塗りたくってくれる特別支援学校って最高じゃない?』は、これまで発信してきたツイートに、解説や補足を平熱先生自身が書き下ろした本です。左ページにツイート、右ページにその解説で1見開き・1テーマで完結。ユーモアたっぷりでときにホロリとさせるイラストも楽しく、とても読みやすい構成です。特別支援教育の良さや面白さ、先生の働き方、ときどき教育とは関係ないつぶやきも登場します。この本を巡って、平熱先生に発達ナビ編集長牟田暁子がインタビューしました。Upload By 発達ナビ編集部おもに知的障害がある子どもたちが通う特別支援学校で10年くらい働く現役の先生。小学部、中学部、高等部のすべての学部を担任し、幅広い年齢やニーズの子どもたち、保護者と関わる。「視覚支援」「課題の分解」「スモールステップ」「見えないところを考える」など、発達障害やグレーゾーンの子どもたちだけではなく、全人類に有効な特別支援教育にぞっこん。発達ナビ牟田暁子編集長(以下――) この本は、障害があるお子さんの保護者にとって、さまざまな気づきがあり、さらに障害がある人と普段あまりかかわりがない人にも読んでもらいたい内容だなと思いながら、楽しく読ませていただきました。平熱先生(以下、平熱) ありがとうございます、うれしいです。いちばんに届けたいのは、やはり特別支援学級などに通う子どもの保護者ですが、障害のある子どもたちと関わってない方にも、単純に読み物として面白いと思ってもらえたら理想的だなと思って書きました。――「平熱」というお名前について聞かせてください。「はじめに」にも書かれていますが、“熱血先生”ではなく“平熱”だからこそ共感が集まったのかなと感じていますが、ご自身ではどうですか?平熱 平熱であることに共感が集まるのは、時代の流れもあると思っています。自分が学生のころは、たとえばドラマに出てくる先生のロールモデルみたいなものって、良くも悪くも熱血漢でしたよね。竹刀を持っていたり、何かあると怒鳴って威圧する。その一方で、自分の生徒がトラブルに巻き込まれていたら夜中でもどこでも即駆けつける。24時間熱血で、情熱を持って奉仕する姿がよしとされたから、教師は聖職と言われるようにもなったと思うんです。だけど、学校の先生をブラックな職業ではなく単なる働き手として持続可能なロールモデルにしていくなら、熱血はいらなくないですか? 朝8時半に学校に行き17時に帰るまでの間、一生懸命頑張って自分の役割を果たせる先生が認められていかないといけないと思っていて、それをするのに熱血である必要はなく、平熱で淡々とできればいいのではと考えています。そこに今の時代の多くの人が共感してくれたから、ツイートもたくさんの人に見てもらえていると感じています。――平熱で淡々と、だから伝わってくるものがあるんですよね。それから、この本の冒頭に登場する、「特別支援教育、全人類に効果あり」というツイート、私も共感します。Upload By 発達ナビ編集部平熱 特別支援教育の考え方には、わたし自身が学ぶことで生きやすくなった実感があるんですよ。具体的に言えば、「課題の分解」「スモールステップ」「見通しを持つ」といった方法で、一応障害がないとされている自分自身が、すごく生きやすくなったから。特別支援教育は別に障害がある人でなくても、誰が知って身につけても、生きづらさを小さくできると思っています。Upload By 発達ナビ編集部――スモールステップは、最近よく知られるようになった考え方だと思うんですけど、見通しはまだスケジュールについてのことだけと思われている場合がありますね。本にはスモールステップや見通しについて、いくつも解説事例があって分かりやすかったです。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部――たとえば、食べられないものがあるんだったら食べられるように料理で改善していくというのも、スモールステップなんですね。平熱 ふりかけがないと白米が食べられないという子ども、少なくないですよね。それで、ふりかけをかけずに食べろと言うのはなかなかに厳しいこと。でも、スモールステップでだんだんふりかけの量を減らしていこうとしてみる。始めはふりかけ1袋を使ってたけど、次に3分の2で食べられるようになって、次は2分の1、3分の1…というステップで使うふりかけの量を減らしていく。これって、ふりかけの依存度を下げることなんです。これが0か100かの思考では、本当にしんどくなっちゃう。ふりかけはかけずに根性で食べろ、というやり方がこれまではびこり過ぎていたんだと思うんです。食べられる子どもはそれでいいけど、食べられなくてどんどん学校に行きづらくなってしまった子どももいるんだろうなと感じます。障害があるからできない?「思い込み」に気づくことを大事にしたいUpload By 発達ナビ編集部――「思い込み」や「無意識の線引き」について気づかせてくれる話題もすごく面白かったです。「当たり前」とはなんだろう、どうしてそう考えるのだろう、というところは、多くの人に「障害があるから○○だろう」などといった考えにも一石を投じるものですね。平熱 「エッチな本の隠し方を教えてください」っていう文面だけを見ると、男の子がエッチな本をお母さんから隠す話だと、いつの間にか思っちゃってる自分がいて、でも続きを読むとお母さんが持っているBL本を隠す話だったという。そうか、女の人がエッチな本を隠すという文脈だって全然あるのに、という気づきがあるわけですよね。できる・できないの線引きを、わたしたちは本当に無意識のうちにしているんです。それは障害があるからできなくて仕方ないよね、という目線にもつながってしまうかもしれないから気をつけたいです。別に障害があろうが、できることはできるし、しなきゃいけないことはしなきゃいけない。常になるべくフラットに物を見て、先入観なく、できることとできないことをしっかり見極めていきたいなとは思いますね。Upload By 発達ナビ編集部――そして「不機嫌で人をコントロールしない」ということは、特別支援教育に限らず、多くの人がハッとさせられる言葉だと感じました。Upload By 発達ナビ編集部平熱 「不機嫌でコントロールしない」は、わたしの大事な軸にしている考え方です。これは、保護者へというよりも、教育のプロとして現場に立っている先生には、強く伝えていきたいことです。親と子もそうだけど、先生と子どもたち、上司と部下の関係で、反撃されないと分かってる立場の人が、相手を不機嫌でコントロールしちゃうと、もうどうしようもない。威圧できる人が偉いというのはすごくずるいやり方だし、絶対に間違っています。――どうして、こういうことがさまざまな関係性で起こってくるのでしょう。平熱 不機嫌でコントロールする人は、間違った成功体験を重ねています。自分がイライラしていれば周りは言うことを聞いてくれて、相手を自分のいいようにできてしまう。そうなってしまう理由は、自分自身がされてきた経験でもあるだろうし、恐怖でコントロールする「成功例」を見て、体感してきたからでもあるでしょう。そうなると、子どもは不機嫌な人の言うことは聞いて、優しくて機嫌がいい人の言うことは聞かないということが起きてきちゃいます。人を不機嫌かどうか・怖いかどうかとかだけで判断してしまうようになる。正しいかどうかではなく、ゆがんだ要素で判断する子どもになってしまうんです。だから、「不機嫌でコントロールしない」をベースにして、子どもとフラットにやりとりしていきたいです。自分のことを知るスモールステップ――ところで、スモールステップの話に戻るのですが、これは自己分析にも使えるんですよね。自分が何をどうしたらうれしいのかとか、意外と分かっていなかったりするので。平熱 わたしもこの仕事を始めてから、いろんなことに気づくようになりましたね。自分でこういうことがうれしいんだ、こういう人が嫌なんだなとか。じゃあなぜこの人が嫌でこの人はいいのかをよく考えるようになり、だいぶ言語化できるようになってきました。こういう考え方は、実は障害あるなしは関係なくどんな人にも当てはまること。どうしてわたしはこれが苦手なんだろうとか、これができないのはなんでだろう、これが億劫なのはどうしてだろうということを分解していくと、「そうか、ここでつまずいてるんだ」ということや、「別に全部ができないわけじゃなくて、ここからここまではできていたんだ」とか、そういう気づきも実はあると思っています。そういう意味で、やっぱり特別支援教育は本当にいろんな人に役に立つんだと思いますね。自己肯定感の低い赤ちゃんはいない――分析して、自分自身も子どものことも周りのことも俯瞰して見て、フラットなところで見られるようになるというのが特別支援教育の考え方なんでしょうね。私も、長女(※重度の障害があり、特別支援教育を受けている)が生まれるまでは、そんなことを全然考えたこともなかったです。平熱 障害のある子どもたちって、周りが思ってるほど、自分のことを別にかわいそうなんて思っていないと、しょっちゅう感じるんですよね。障害がないとされてるわたしたちの方がよっぽど自己肯定感が低くて、よっぽど生きづらいんじゃないかと思うことは、本当によくあります。――自己肯定感は、つぶされなければ伸びる、ということも書かれていますね。Upload By 発達ナビ編集部平熱 自己肯定感が低い赤ちゃんって、多分いないですよね。それは、つぶされることがないから。赤ちゃんは基本的に、何かひとつできれば褒められます。失敗しても仕方ないと思われる。じゃあ、いつごろから自己肯定感が下がるようになるのかというと、比較されるようになるときからじゃないかと思うんです。「あの子はできるのに自分はできない」ということを、自分が認識する以上に周りに言われる場面が増えてくる。たとえば歌が好きで歌っていただけなのに音痴だと言われるとか。「あの子はできるのにどうしてあなたはできないの?」と言われて周りにつぶされてしまうのです。ひとまとめにするのはよくないですが、わたしの体感だけで言えば、中等部以降で特別支援学級から特別支援学校に来た生徒は、けっこう自己肯定感をつぶされてくることが多いと感じます。その一方で、小学部入学時から特別支援学校にいる子どもは、いい意味であんまり周りを気にしない子どもたちが多く、周りの子どもが好きなことに対してとやかく言わない。高等部の子どもが「戦隊もののヒーローが好き」と言ったら、一般的には「もう小さい子どもじゃないんだから」と言われてしまうところだけど、「カッコいいよね!」と言われる環境で育っていくんですよね。だから小学部からずっと特別支援学校に在籍していた子どもは、自己肯定感がそんなに低くないように見えます。周りの人ができているからわたしもできなくちゃ、なんて思う必要はないんです。昨日できなかったことが今日できたらそれを自分の中で褒めればいいだけなんだと、特別支援学校で教えてる中で思いますね。特別支援教育の話、日々のなかで気楽に読んでほしいUpload By 発達ナビ編集部――最後に、発達ナビ読者へのメッセージをお願いできますか?平熱 日々の仕事に家事にいろんな用事に、かつ、ちょっと育てづらいお子さんを育ててるというそれだけで、おそらく毎日パンパンだと思うんですよね、皆さん。時間的にもメンタル的にも体力的にも。そんな日常の中に、さらに新しい知識とか情報を入れるって本当に大変だと思います。この本は、どこから読んでもいいし、1見開きだけなら数十秒で読めます。なんの意味もないことも書いてますけど(笑)、役に立つこともたまには書いてると思うので、疲れているときにちょっと手にとって見てほしいし、イラストを見るだけでも息抜きになります。気づいたらつまんでいるお菓子くらいの読み方をしてもらえたらいいですね。むつかしい話、嫌いなんで!(笑)――今日はありがとうございました!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月02日おっとりキャラの末っ子、次男ウッシーヤの幼少期わが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。たとえば、末っ子の次男ウッシーヤは、牛のキャラクターです。これは彼がなにをしても動作がゆったりしているところを表現しています。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(※)わが家の当事者キャラクターは、外出のときは透明なヘルメットを身につけています。このヘルメットは「パニック対策の工夫」を表現しています。パニックになると呼吸困難のような状態になるので、ヘルメット=工夫で身を守っているという設定です。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ赤ちゃんのころのウッシーヤは、よく寝る子でした。あまりにも長い間、身動きひとつせずに寝ていることに、ふと気がつきました。私は急に不安になって、ティッシュペーパーを1枚つかむとベビーベッドに走りました。呼吸が止まっているのではないかと怖くなったのです。ウッシーヤの顔の前にティッシュをかざすと、小さく揺れるのが分かり、安心しました。私は安心のあまり、その場にへたりこみました。思わず「生きてて、よかったぁ」とひとりごとを言うと、夫がすぐ後ろに立っていることに気がつきました。ふと見あげると彼は恐怖で凍りついています。「頼むから、そんな心臓に悪い確認のしかたはやめてくれないかな」夫の真剣な顔を見て、つい苦笑してしまいました。発育がゆっくりすぎて不安がどんどん積み重なるその後、ウッシーヤはハイハイをして立ちあがり、よちよち歩きだし、少しずつ言葉が出るようになりました。でも1歳ごろになると、上の3人の子どもたちと比べて発育がゆっくりすぎるということが気になっていました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイウッシーヤは誰にでも抱っこをされるので、てっきり人見知りをしないタイプの子どもだと思いこんでいました。いまにして思えば、彼は緊張で固まっていたのです。私はウッシーヤの微妙な表情の変化に気づいていませんでした。また、ウッシーヤは喘息でした。でもゼーゼーと苦しそうにしながら、笑っているのです。小児科のお医者さんから「お母さん、気をつけてね。この子は、かなり苦しいはずなのに顔に出ないから」と言われました。でも忘れっぽい私は、気をつけることができませんでした。家族で食事をしているときは、子どもたちがそれぞれその日の出来事やテレビのことなどをおしゃべりして、にぎやかに過ごします。でもウッシーヤだけは会話に加わりません。様子を見ていると、幼いから会話に加われないというよりも、人と話すこと自体に関心がないように見えました。食事をしているとき以外は、ずっと指しゃぶりをしていました。指しゃぶりの間はずっと誰とも目が合わず、なにを考えているのか分かりませんでした。指しゃぶりをやめさせるために、ウッシーヤの指にカラシをぬったり、彼の好きな植物図鑑などで気を引いても効果がありませんでした。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ日がたつにつれ不安になってきた私は、保育園でウッシーヤを担当してくれていた保育士さんに「ウッシーヤは発達障害なのでは?」と質問してみました。なにしろ今から20年以上前のことなので情報もあまりなかったのです。すると保育士さんは少し考えてから「お母さん、きっと大丈夫ですよ」となだめるように答えました。その表情から、とにかく安心させてあげたいという気持がくみとれました。保育士さんの気配りには感謝でしたが、不安は消えませんでした。夫ラクマは広告マンとして独立開業したばかりで忙しくて、ほとんど子育てに関われませんでした。私も夫の仕事の手伝いをしなければならないはめになって、ますます忙しくなりました。ウッシーヤの発達のことは、すごく気になりながらも日々の生活に流されていました。いまにして思えば、子育てのSOSの出し方がまるで分かっていませんでした。もしいまの私が当時の自分にアドバイスをするとしたら、知人や友人に手あたりしだい相談するようにと言ってあげたいです。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ私と夫ラクマは、子どもの個性を尊重してくれる少人数制の学校を探し続けていました。というのも私は不登校になった経験があり、きっと子どもたちも人の多い学校は苦手ではないかと考えたからです。そんななか、保育園から高校までオールイングリッシュで教えてくれる、少人数制クラスの小さなミッションスクールを見つけ、4人の子ども全員を転校させました。長年思い描いてきた理想的な学校でした。ウッシーヤは当時3歳でした。いろいろな国からやってきた先生や生徒の中で、最初は肌の色の違う大人を見るだけで怖がって泣いていました。でも、きょうだいが全員一緒の学校なので、ウッシーヤが困っているときなどは、すぐにきょうだいが手助けできていました。たとえばウッシーヤが不安がって泣いているときは、すでに高校生になっていた長女ニャーイが助けに行くことができましたので、何とか過ごすことができていました。その後ウッシーヤが小学生になり、さらに困ったことが次々に起きるとは、このときは知る由もなかったのでした…。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:初川先生より)ご家族皆さんを動物のキャラクター化して語られていて、とても面白く拝読しました。それぞれの特性を客観視できているからこそのキャラクター化なのかなと感じます。さて、次男ウッシーヤくんの20年以上前の幼少期について、今の話であればそれが発達のつまずきのどんな状態か分かることは多くあるかもしれないですね。この20年の間で、発達障害や発達のつまずきについての認知度は飛躍的に伸びました。ただ、「子育てのSOSの出し方を知らない」のは、もしかしたら20年経ってもあまり変わっていない面はあるかもしれません。相談先が増えた、相談された側の知識が増えたのはあるにしても、どう相談したらいいのか、どうSOSを出していいのかは、忙しい子育てや仕事、家事の中で後回しになっていくこともあり、どうしたらいいか分からないと同じように感じている読者の方もいらっしゃるかもしれないですね。ワッシーナさんの助言は「手あたり次第に相談する」。これも1つのいい方法ですね。ウッシーヤくんが小学生になった後のお話も楽しみにしています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月01日「休み方」が子どもと家族の関係を変える⁉愛知県『休み方改革』プロジェクトとは――愛知県地方創生課、教育委員会インタビュー登校しなくても欠席にならない日が3日ある――「ラーケーションの日」導入で話題になった2023年度から始まる「愛知県『休み方改革』プロジェクト」。子どもと家族が一緒に過ごせる日が増えることは、子どもたちにどのような影響を与えるのでしょうか。このプロジェクトについて、愛知県地方創生課、愛知県教育委員会ご担当の方にお話を伺いました。出典 : 発達ナビ編集部(以下――)愛知県『休み方改革』プロジェクト」が発足した背景、そして目的を教えていただけますか?地方創生課:「休み方改革」を通じて、国民全体のワーク・ライフ・バランスの充実と、生産性向上による日本経済の活性化の実現を目指すために、「愛知県『休み方改革』プロジェクト」は発足しました。従業員の休暇の満足度があがることは、会社などの生産性や従業員の定着率の向上に寄与するものです。ですが、今の日本には祝休日は多くあるものの、国民が一斉に同じ日に休みを取るため、行楽地が混雑するなどの弊害がおこり「質の高い休暇」を楽しむことができないという実態があります。また、学校は祝休日が休みですが、仕事をしている人のうち、おおよそ2人に1人は土曜日、3人に1人は日曜日に働いています。例えば医療従事者や、百貨店勤務、街の理髪店など、企業の業種・職種や規模によっては、保護者が祝休日に仕事をしていることも多く、家族が一緒に過ごす時間がつくりづらいといったこともあります。また、日本の産業、特に観光に関連する宿泊業・飲食サービス業などのサービス産業は、繁忙期と閑散期の差が大きいことから、人員配置などの最適化が図りにくく、欧米に比べ労働生産性が低いということが挙げられます。これら課題を解消するためのプロジェクトです。――「休み方改革」を実現するために必要なことは、どのようなものでしょうか?地方創生課:企業や個人単位で休日を柔軟に設定できる環境づくり、有給休暇が取りやすい環境の整備、そして、子どもの休みを契機に家族が一緒に休むことができる、家族の休みに合わせて子どもが活動できる仕組みづくりが必要だと考えられます。――教育機関が「愛知県『休み方改革』プロジェクト」に期待することを教えてください。教育委員会:この「休み方改革」では、「県民の日学校ホリデー」(あいちウィーク期間中に設定される学校休業日)と、「ラーケーションの日」(校外での自主的な学習活動の日)という、子どもと家族などが一緒に過ごせる仕組みが創設されることになりました。Upload By 発達ナビニュース「県民の日学校ホリデー」は、保護者の休みを促すという側面があります。この休業日は、小・中学校は教育委員会が、高校は各学校の校長が決めます。また、「ラーケーションの日」は、保護者の休暇に合わせて、子どもが一緒に社会学習を楽しむことができる仕組みです。「ラーケーション」とは、ラーニング(学習)とバケーション(休暇)をあわせた造語になります。「ラーケーションの日」をとったことで受けられなかった学校の授業内容は、事前、あるいは事後に教科書などを用いて、家庭で自習する形になります。これらによって保護者の有給休暇の取得が促進されて、ワーク・ライフ・バランスの充実につながることや、学びに対する子どもの主体性が育まれることを期待しています。――近年、不登校の小中学生の数は増加しており、専門家の間では「子どもが心身を休ませる時間の必要性」が叫ばれています。そのような子どもたちにとって「休み方改革」はどのような影響があるとお考えですか。教育委員会:不登校の小中学生が抱えている事情はさまざまですので、「休み方改革」がどのような影響をもたらすかを申し上げることは難しいのですが、「ラーケーションの日」については、子どもが、家庭や地域などの校外で、保護者などとともに行う体験や探究の学び・活動を、自ら考え、企画し、実行することができる日ですので、すべての子どもにとって良い影響があることを期待しています。――「休み方改革」は社会に対してどのような変化や影響があると期待していますか。また、プロジェクト発足後の反響などについても教えてください。地方創生課:2023年3月30日に、県、経済界、労働界、教育界が一体となって「休み方改革」に取り組んでいく「愛知県『休み方改革』イニシアチブに関する同意書」署名式を行いました。多くの問い合わせをいただき、「休み方改革」に対する関心の高さを改めて感じています。本県知事がリーダーを務める、全国知事会「休み方改革」プロジェクトチームにおいても、「休み方改革」を国民運動として展開していくべく、全国の先行事例の横展開、国などへの提言を行っていく予定です。――最後に、LITALICO発達ナビの読者へ、メッセージをお願いします。教育委員会:「県民の日学校ホリデー」や「ラーケーションの日」が学校に導入されましたら、土日などの混雑を避けながら、一緒に過ごしたり体験的な活動を行ったりして、充実した時間を楽しんでいただきたいと思っています。取材協力:愛知県政策企画局企画調整部地方創生課、愛知県教育委員会小児科医にきく「子どもの休息」この愛知県の取り組みは、これからの日本の「休み方」を見直すきっかけとしてさまざまな分野から注目されています。小児科医の藤井明子先生に「子どもの休息」という観点からのこの取り組みについてコメントをいただきました。(小児科医:藤井明子先生より)愛知県『休み方改革』プロジェクトは、子どもだけでなく、子どもを取りまく大人にとっても、「休む」ことを考える良い機会になると思います。休むとは、心と体の休息をとって、リフレッシュすること。せっかくの休みだから充実させなければと、「充実した休みをとる」こともタスクのように捉えては、本末転倒です。充実した休みをとると気負わなくてもいいのかもしれません。家族と一緒に外に出かけるもよし、好きな読書をするのもよし、美味しいもの食べるのもよし、誰かにこうすべきと強制されるものではありません。休みをとって、学校では得られない学びを深めたい子どもいれば、自然豊かな環境を訪れてゆっくりしたい子どももいると思います。お子さん個人個人の自分にあった休み方を見つけられたらとても良いと思います。また同時に、親御さん自身も、ご自身の心も体も休ませる方法が見つかると良いと思います。Upload By 発達ナビニュース
2023年05月31日学習障害・限局性学習症(LD・SLD)とは?学習障害・限局性学習症(LD・SLD)は、学習において困難さがみられる発達障害の一つです。学校教育が始まる就学期になって診断されることがほとんどですが、就学前の段階で言語の遅れや数えることの困難、書くことに必要である微細運動の困難などがあることでその兆候に気づかれることもあります。主な特徴・症状として・読むことやその内容を理解することの困難さ(読字障害/ディスレクシア)・書くことの困難さ(書字表出障害/ディスグラフィア)・数の理解や計算をすることの困難さなど(算数障害/ディスカリキュリア)の3つに分けることができます。医学的な診断基準とされるDSMでは「学習障害(LD)」とされていましたが、最新版のDSM-5では、名称が変更され、現在は「限局性学習障害/限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))」と定義されています。限局性学習障害の症状は医学的には「読み」「書き」「計算」の3つの困難さと定義されていますが、文部科学省では知的発達に遅れがないものの「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力の習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことと定義されています。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省学習障害・限局性学習症(LD・SLD)の原因は中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されています。しかし、全般的な知的発達に問題はなく、その他視覚障害、聴覚障害、情緒障害などや環境的な要因が直接的な原因ではありません。保護者の育て方や勉強の教え方などで子どもが学習障害・限局性学習症(LD・SLD)になることなどもありません。読むことやその内容を理解することの困難さ、書くことの困難さ、数の理解や計算をすることの困難さなどの、学習における困難さが、知的障害(知的発達症)によるものでないこと、経済的・環境的な要因によるものでないこと、神経疾患や視覚・聴覚の障害によるものではないこと、学習における面のみでの困難であること、という場合に限り診断されます。現在、学習障害・限局性学習症(LD・SLD)の根本的な治療法はありませんが、環境調整や療育などにより困難さが軽減されることがありますので、一人ひとりの症状や特性に応じた対処法が必要です。また、併存症としてADHD(注意欠如・多動症)や自閉スペクトラム症(ASD)を伴う場合も多く見られます。それらの要因を考慮した学習支援が必要となり、家庭・学校・医療関係者の連携が重要となります。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)タイプ別特徴チェックリスト、支援方法、接し方など学習障害・限局性学習症(LD・SLD)は読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3つに分けられます。それぞれの症状には個人差があります。読字障害(ディスレクシア)とは、文字を「読む」ことに困難がある状態のことを指します。読字障害、識字障害、読み書き障害、難読症などと呼ばれることもあります。文章を正確に読むことが難しい、すらすら読むことが難しい、読むことができても内容を理解することが難しいなどの困難を抱えることがあります。書字障害(ディスグラフィア)とは、文字を「書く」ことに困難がある状態のことを指します。文字をマスや行から大きくはみ出して書いたり、鏡文字になってしまうなどの症状が見られることがあります。算数障害(ディスカリキュリア)とは、算数や数式など「数字に関する能力」に困難がある状態のことを指します。数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手などの症状が見られることがあります。数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合が多いと言われています。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)のある子ども一人ひとりの特性に応じて、UDフォント(Universal Design Font:ユニバーサルデザインフォント )や音声ツールの使用、使いやすい文房具の工夫、ICTの活用など、さまざまな支援方法があります。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)のある子どもは知的発達に遅れがないため、自分自身に障害があると認識するのに時間がかかることがあります。また、本人の「できるようになりたいのにできない」という気持ちはとてもデリケートです。何気なくかけた言葉や行動が本人を傷つけてしまう場合もあるので、接し方には注意が必要です。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)と併存しやすい症状学習障害・限局性学習症(LD・SLD)に多い併存症としてADHD(注意欠如・多動症)や自閉スペクトラム症(ASD)が挙げられます。ADHD(注意欠如・多動症)は、話を集中して聞けない、作業が不正確、なくしものが多いといった「不注意」、体を絶えず動かす、離席する、おしゃべり、順番を待てないなどの「多動性」「衝動性」の特性があり、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム学習障害・限局性学習症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんのコラムを厳選してご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人の学習障害・限局性学習症(LD・SLD)関連コラム発達障害に関する情報が広く知られるようになったことで、大人になってから学習障害・限局性学習症(LD・SLD)と診断される方も増えてきました。症状には個人差も大きいので、その人の特性に合った仕事を探すことが重要になってきます。そのほかの学習障害・限局性学習症(LD・SLD)関連コラム。マンガで学習障害を解説/ビジョントレーニングとの関係/関わり方ポイントなどコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月31日育児中は、お子さんのご飯の食べこぼしやお絵描きの際の汚れなど、片付けが大変な場面がたくさんありますよね。もう少しラクに後片付けができたらいいのに……と悩んでいるママたちは多いのではないでしょうか。そこで今回は、育児中の後片付けを驚くほどラクにしてくれる救世主アイテムを2つご紹介します。それぞれ「貼るだけ」「置くだけ」と、使い方も簡単! 今までの苦労はなんだったの? と思わず感動してしまうこと間違いなしです!食事後のプチストレスが軽減!食べこぼしの救世主!画像提供:@kaoru0958さん さっそくですが、この蚊取り線香のようなアイテムなんだと思いますか? 画像提供:@kaoru0958さん 正解は……! 「マスカーフィルム550mm×14m巻」110円(税込み)です。 画像提供:@kaoru0958さん マスカーフィルムは、ポリエチレンの保護フィルムに弱粘着テープが付いたもの。 本来は、塗装時にペンキなどが壁や窓、床に付いてしまわないよう保護するフィルムとして使われる物ですが、このマスカーフィルムがママたちの間で「食べこぼしの救世主」と言われ話題になっているんです! ママたちの強い味方!離乳食で実際に使ってみると……?離乳食が進んでくると、赤ちゃんは自分の手で食べものをつかんだり、口に運んだり、床にぽとっと落としてみたりして、テーブルや床は食べ物が散乱! なんてことはよくありますよね。赤ちゃんはこれらの動作でいろいろなことを学習しているのだそう。ママとしてはおおらかな気持ちで見守りたいけれど、後片付けのことを考えるとストレス……というのも本音なのではないでしょうか。そこで活躍するのがマスカーフィルム! 使い方はとっても簡単なんです。画像提供:@kuroyagi__sanさん まずは、緑色の弱粘着テープを床に貼っていきます。貼りたい長さを決めたら、テープとフィルムをハサミなどでカットします。お子さんが散らかしそうな範囲をイメージして、椅子の左右にゆとりをもたせた長さにするのがおすすめ。 画像提供:@kuroyagi__sanさん そして、重なっている白いフィルムを引っ張って広げていきます。 画像提供:@kuroyagi__sanさん 最後に、マスカーフィルムの上に机や椅子などをセットすれば準備完了です! これで離乳食の散らかりも怖くありません! ただし、フィルムを伸ばした反対の端にはテープが付いていません。そのため、使用している間にフィルムがぐちゃぐちゃにならないよう椅子やテーブルなどをしっかりと置いて固定したり、養生テープを上から貼っておいたりするとよいですね。ちなみに上記の@kuroyagi__sanさんの写真はマスカーフィルムの横幅が狭いですが、普段はもっと長くしてゆとりを持たせているそうです。 @kuroyagi__sanさんはマスカーフィルムを床に敷くようになってから、お子さんがどれだけ食べこぼしをしてもおおらかな心で見守れるようになったとのこと。親子ともにハッピーですね! 感動すぎて言葉にならない!片付けが数分で…!?「マスカーフィルム」の実力は?このマスカーフィルムですが、多くのママたちの心を鷲づかみにしたのがとくに片付けの工程です。 @mocco_twinsmamaさんは双子さんを育てるママさん。現在双子のお子さんは2歳ですが、0歳で離乳食真っただ中にこの商品と出会ったそうです。そして双子さんの食べ散らかしがすごかったため活用することにしたのだそう。 画像提供:@mocco_twinsmamaさん※食事をするときは、床や足置きに足の裏が完全に着くことで、しっかりモグモグできて、また姿勢も安定すると言われています。必ず赤ちゃんの足裏が完全に床や足置きに着くように環境を整えましょう。 実際、お子さんが食事を終えた椅子の下はご覧の通り。 画像提供@mocco_twinsmamaさん ご飯粒やおかずなどが散乱しています。なお、@mocco_twinsmamaさんは、より広範囲の床をカバーするため、マスカーフィルムを縦に2枚つなげて使用しているそうです。 画像提供@mocco_twinsmamaさん でも、マスカーフィルムが敷いてあるので、片付けはすぐに終わります! 1の方向にフィルムを折りたたんで、2の方向にくるくると巻いていけば……!? 画像提供@mocco_twinsmamaさん コンパクトにまとまりました。あとはゴミ箱に捨てるだけ! 落とした食べ物を拾う作業だけでなく、汚れを拭くなどといった作業も省けるので、あっという間に片付けが終了します。 マスカーフィルムを活用することで、ママたちは少しゆったりとした気持ちでお子さんの食事を見守ることができるかもしれませんね! ダイニングテーブルが清潔に保てる!汚れ防止アイテム「リビング学習マット」とは!?後片付けが大変な場面はまだまだありますよね。 お子さんがダイニングテーブルで工作やお絵描きなどを楽しんでいるご家庭は多いのではないでしょうか。ですが、ダイニングテーブルは食事をする場所。できれば清潔に保ちたいし、食事の時間になったらすぐに片付けたいですよね。 そこで大活躍するのが! 画像提供:@kutakutakuuta28さん セリア「リビング学習マット」110円(税込み)です。 画像提供:@kutakutakuuta28さん リビング学習マットは、本来は学習の際の消しカスが散らばらないようにするためのもの。縦32.5cm×横46.4cm×高さ3cmで、A4サイズのノートを見開いても余裕がある大きさです。画像提供:@kutakutakuuta28さん 使い方はとても簡単! 左右2箇所のボタンを留めます。 画像提供:@kutakutakuuta28さん そして、マットが滑らないよう一番下のストッパーを外側に折り曲げ、テーブルのふちに引っ掛ければ準備完了。 画像提供:@kazu.t.0901さん 勉強が終わったら、マットの上に散らばった消しカスをゴミ箱に捨てるだけで後片付けが終了します。 そしてこのリビング学習マット、実は小さいお子さんがいる家庭にもおすすめなんです。どんな風に活用しているのか、さっそくみなさんの使用例をみていきましょう! 工作、粘土遊びなどに大活躍!リビング学習マットは、工作や粘土遊びにもってこいなんです! @kazu.t.0901さんの使い方をご紹介します。 画像提供:@kazu.t.0901さん 画像提供:@kazu.t.0901さん @kazu.t.0901さんのお子さんは、のりを使う工作遊びや粘土遊びで活用しているのだそう。机がのりでベタベタになったり、粘土がこびりついたりする心配はありません。リビング学習マットは水洗いができるので、遊び終わったらマットを洗って乾かすだけ! 細かいおもちゃの散乱防止や作品の一時置きにも便利!画像提供:@kazu.t.0901さん @kazu.t.0901さんのお子さんは、ブロック遊びでリビング学習マットを活用しているそうです。ストッパーがついているので、小さなブロックが広範囲に散乱しません。また、食事の時間になったら、マットごと一時的に他の場所に移動させれば、お子さんの作品を壊すことなくダイニングテーブルの上をきれいにすることができます! 他にもマジックペンを使ったお絵描きなどでも活用しそうですね。マットの上でお絵描きを行えば、ダイニングテーブルにペンがついてしまってなかなか落ちない……なんてことを防げますね。プチリメイクで収納場所にも困らない!さらに、リビング学習マットは少し手を加えれば、収納場所にも困りません。最後に、@ismart_from_eeeさんの簡単な、収納のためのリメイク法をご紹介します。 まずは、ストッパー部分にパンチで穴をあけます。そして、開けた穴に丸いリングを通します。画像提供:@ismart_from_eeeさん 画像提供:@ismart_from_eeeさんあとは、フックなどに引っ掛けてぶら下げるだけ! よく使う場所の近くにぶら下げておけば、お子さんがマットを使いたいときすぐに準備ができてうれしいですね。 今回は、お子さんの食べこぼしや工作などの汚れをカバーし、片付けをラクにしてくれるアイテムを2つご紹介しました。「マスカーフィルム」は貼るだけ、「リビング学習マット」は置くだけなど、使い方は簡単なので、すぐ生活の中に取り入れていただけるのではないでしょうか。 子育てでは、子どもの成長に欠かせないものだとわかっていることでも、ついイライラしてしまったり、ストレスがたまったりする場面がたくさんあると思います。今回ご紹介したアイテムを使うことで、子育てが少しでもラクになり、ママやパパ、お子さんの笑顔が広がることを願っています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※直径39mm以下(トイレットペーパーの芯を通るもの)は誤飲するおそれがありま す。赤ちゃんに渡さないでください。※赤ちゃんが遊んでいるときはママは赤ちゃんから目を離さないようにしてください。 ベビーカレンダーでは家事や収納、ファッションなど、ママたちの暮らしに寄り添った【ライフスタイル記事】を強化配信中! 毎日がもっと楽しく、ラクになりますように。 協力/@kaoru0958さん、@kuroyagi__sanさん、@mocco_twinsmamaさん、@kutakutakuuta28さん、@kazu.t.0901さん、@ismart_from_eeeさん
2023年05月31日長野市で若者の自立支援を行う「学び舎めぶき」(運営団体:一般社団法人世界マザーサロン、所在地:東京都新宿区新宿5-11-30-3F、代表理事:永井 佐千子)は、『勇気づけのいのち育てを考える』をテーマに、株式会社ウェルネスライフサポート研究所 代表 加倉井 さおりさん( )をお招きし、トークイベントを6月18日に長野県長野市生涯学習センターで行います。イベント詳細: ポスター1■学び舎めぶきとは一般社団法人世界マザーサロンが児童養護施設で定期的に料理教室等を開催する中で、社会に出てから行き詰ってしまっている若者が多いという現状を知り、自立についてもう一度考え、安心して過ごせる場を作りたいという思いで2021年12月に開所したのが「学び舎めぶき」です。5月現在40名を超える方が利用登録をされています。自立を目指し、色々な経験を積み重ねながら、就労につなげています。■今回のトークイベントについて日々の活動で大切にしていることは「言葉」。どのような言葉を使うかで、生き方は大きく変わります。誰もが安心して生きていける社会にするために、言葉の持つ力の大きさを改めて考えていく機会を作りたいと思い、全国で「勇気づけのいのち育て」をテーマに講演活動をされている加倉井 さおりさんをお招きし、トークイベントを開催します。*イベントの対象者子育て中の方、子どもの教育や支援に関わる方、保健師・介護士・看護師の方など。・子どもやパートナーがいつもイライラしている・子どもが自分のことを話さない・子どもの自己肯定感が低いと感じる・自分のこと、子どものことをいつも周りと比べてしまう・自分の気持ちを伝えることが下手・職場の人間関係に悩んでいる・支援の現場でどう相手と接して良いか分からなくなる■イベント概要タイトル:『誰もが安心して生きていける社会に』~勇気づけのいのち育てを考える~開催日時:6月18日(日) 10時~12時(受付 9:40~)会場 :長野市生涯学習センター第5学習室(〒380-0834 長野市大字鶴賀門御所町1271番地3 トイーゴウエスト3階)アクセス:JR線「長野」駅(善光寺口) 徒歩10分長野電鉄線「市役所前」駅 徒歩5分参加費 :2,000円(中学生以下無料)定員 :30名主催 :学び舎めぶき(運営:一般社団法人世界マザーサロン)詳細URL :学び舎めぶき 一般社団法人世界マザーサロン <第1部>「誰もが安心して生きていける社会に」~勇気づけのいのち育てを考える~株式会社ウェルネスライフサポート研究所代表 加倉井 さおり講演会<第2部>加倉井 さおり×永井 佐千子トークショー加倉井 さおりと学び舎めぶき代表 永井 佐千子が事前にお寄せいただいたお悩みにこたえます加倉井 さおり株式会社ウェルネスライフサポート研究所代表。保健師・心理相談員・ICP認定コーチ。健康教育を中心に保健師として18年間活動し、独立起業。メンタルヘルス・女性の健康・保健師向けの研修・講演を全国で行う。三兄弟の母&ダブルケアを経験。永井 佐千子一般社団法人世界マザーサロン/学び舎めぶき代表 2015年に世界マザーサロンを設立。オリジナルメソッド「心の木を育てよう」を柱に、子どもたちの自立支援活動だけでなく、お母さんたちの就業支援も行う。オンライン家庭教師MEBUKI、性教育勉強会、ヴィーガン子育てプロジェクトなども運営。一男一女の母。<お申込み方法>公式サイトURL : イベント詳細ページ: チケット販売ページ: ※イベント詳細ページからお申込みいただくか、チケット販売ページからチケットをご購入下さい。■会社概要団体名 :一般社団法人世界マザーサロン所在地 :〒160-0022 東京都新宿区新宿5-11-30-3F代表者 :代表理事 永井 佐千子設立 :2015年12月24日事業内容:・若者の自立支援「学び舎めぶき」・心の木を育てよう~「大丈夫!」と思える心を育むメソッド~・子どもの自立支援事業・心の木を育てる「オンライン家庭教師MEBUKI」・ヴィーガン子育てプロジェクト・性教育勉強会URL :学び舎めぶき 一般社団法人世界マザーサロン ヴィーガン子育て オンライン家庭教師MEBUKI 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年05月30日場面緘黙疑い「支援センターに行くほどじゃない」と言われていた次女が「場面緘黙かも?」となったのは小学1年生のとき。担任の先生から・担任とはとても小さい声でしか話せない・お友達と話せない、コミュニケーションが無い・注目される場面で固まって動けないことがあるというお話があり、スクールカウンセラーと面談することに。そこで「場面緘黙かもしれません」というお話がありました。その後、小学2年生のときに新しい学校に転校しましたが、場面緘黙の症状は変わらずあったので、新しい学校のスクールカウンセラーに相談しました。Upload By まりまりそこでは、「学校に行けていて、勉強もできているから問題ない」とのことで、支援センターなどに相談したほうがいいか聞いたところ、「支援センターなどに行くほどではない」との判断でした。次女の状況は変わらず、ついに支援センターに行くことにただ、次女の症状は変わらず、進級のたびに担任の先生への引継ぎもなく、継続した支援を受けにくいという状況。小学2年生から通っていた児童精神科のカウンセリング担当の臨床心理士さんに相談したところ、「一度、発達支援センターに行ってみては」と勧められて、次女が小学4年生のときに、ついに支援センターに相談してみることにしたのでした。Upload By まりまり支援センターに行って言われたことさっそく!と思って支援センターに電話したところ、面談の予約が取れたのは1ヶ月先。待ちに待った面談でした。担当の公認心理師さんに、場面緘黙の診断が出ていることと、今までの経過を話して、困っていることを相談しました。しかし…Upload By まりまり「次女さん本当はお友達が欲しいと思ってないんじゃないですか?」「一人が好きなら一人で過ごしたほうが良いと思いますよ」「もう見守っていくしかないですよね」と言われてしまったのでした。場面緘黙についてはまだまだ正しく知られていない…?これまで、学校の先生やスクールカウンセラーにも同様のことを言われたことがあったので、「また同じようなことを言われてしまった…」という感じでした。場面緘黙について、ネットで調べたり、本を読んだりすると、決して一人が好きなわけではないことや、二次障害に苦しむこともあるので、早めの支援が必要なことが書いてあります。次女自身の話を聞いていても、話せなくて一人でいてつらい思いをしている…。Upload By まりまりなので、まだまだ場面緘黙についてあまり知られていないから、あのような発言になってしまうのかな…と思いました。使える支援について聞くことができたただ、利用できるサービスなどについては詳しく教えていただけました。私が住んでいる地域では、支援センターでの活動等は特になく、放課後等デイサービスとか、進級の際に担任の先生への説明に使える個別の支援シートなどがありました。次女はその後、学校との相談で、小学校の「ことばの教室」に通うことになったので、これらのサービスを利用することはありませんでしたが、こういう支援があると知ることができたのは、とても良かったと思います。支援センターに行ってみて場面緘黙が分かってからかなり時間がたったあとに支援センターに行ったのですが、思ったことは、「もっと早く行ければよかったな~」でした。面談では、思ったような言葉は得られなかったけど、相談先が増えたことや、使えるサービスについて分かっただけでも安心感につながりました。Upload By まりまりただ、小学生より、未就学児に対する支援のほうが充実しているので、もし、わが子の発達について気になることがあるのなら、早くから支援を受けられるように動いていくことが、すごく大事だなと思いました。執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙のあるお子さんの、支援センターに相談に行くまでと、行ってどうだったかについて教えてくださりありがとうございます。場面緘黙については、記事内でまりまりさんが教えてくださったように、お子さんに直接かかわる園や学校の現場での理解や対応がまちまちで、不十分なことも実際少なくありません。場面緘黙のあるお子さんは、ほとんどしゃべらなくても、一通りのその場で必要とされることをやりこなしてしまうので、大きな問題があるととらえてもらえないことがよくあるのです。でもその内心どう感じているかについては、一人ひとり違っています。場面緘黙のあるお子さんは、圧倒されやすかったり不安を抱きやすかったりする方が多いですし、そもそも学校という外の世界で、十分に表出できないというだけでとても不便ではあるはずです。しゃべれないだけでなく、行動が固まってしまうこともあります。できれば場面緘黙に詳しい専門家につながって、学校での対応等について相談できたほうが安全でしょう。またまりまりさんのように、インターネットや書籍等で、適切な情報にアクセスしておくのも大事ですね(場面緘黙の相談ができる専門家が近くにいるとは限らないので)。今回お聞かせいただいたエピソードでは、「支援センター」にも場面緘黙に詳しい専門家がいたわけではないようで、すでにインターネット等で知識を得ていたまりまりさんにとっては十分納得のいく相談にはならなかったようです。それでも、使える支援サービス等を知ることができたり、地域の支援センターにつながっておくことでもしかしたら学校のほうの対応がかわることも多少あったでしょうか。まりまりさんのエピソードのように、場面緘黙については相談する人によって、返ってくるアドバイスがまちまちなことはとてもよくあるので、おや?と思ったらまた機会を見て別の相談窓口にアクセスすることもよいことがあります。…というか、場面緘黙の理解が現場で広まっていくようにしないといけないのはやまやまですが…。今回のお話自体が啓発につながると思いますし、私自身もいろんな場所で場面緘黙についてもお話ししていけるようにしたいと思いました。ありがとうございました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月29日「ちょっとほかの子どもたちと違う?」幼稚園で感じた息子への違和感。でも園からの指摘はなし現在中1の長男は、幼稚園のころから「ちょっとほかの子どもたちと違う?」と思うことが多々ありました。例えば…・まわりの子どもが集団で闘いごっこをしているときに、一人か少人数で砂遊びや木登りをしている。・朝の会の時間に教室に入らず、ホールで遊んでいる。・園庭や公園で遊んでいるとき、ほかの子どもは「帰るよ。来ないと置いて行くよ」と言われると「置いてかないで」と慌ててお母さんのところに行くのに、息子は私の姿が見えなくなっても余裕で遊び続けている。・遠足など、本人も楽しんでいた行事が終わるとき、「全然楽しくなかった!初めからきたくなかった!」と言うことがある(最近本人に聞いたら、名残惜しい気持ちをこのように表現していたと教えてもらいました)。などです。こうした違和感は積み重なっていましたが、幼稚園の先生から何も言われませんでしたし、当時の私はこの違和感をしっかり言語化できる状態ではありませんでした。また、うちの学区の小学校には特別支援学級がなかったため、小学校は通常学級に入学することになったのです。自信喪失がきっかけ?小2の冬から不登校、そして通級へしかし長男は、小2の冬から不登校になりました。これといったきっかけは分からないのですが、強いて言えば、秋に教室で吐いてしまったこと、プリント系の習い事をしていたのですが問題が難しく解けなくなってしまい退塾したこと、また当時スイミングを始めたのですが、まわりの子どもたちのように泳げずやめてしまったことなどが続き、自信をなくしてしまっていたのかもしれません。そして不登校が続き進級した小3の始業式、長男は私と一緒なら登校することができました。その次の日は激しく抵抗しましたが、そのとき、外まで迎えに出てくれた先生に、「今日は帰っていい。その代わり明日は絶対おいで」と言われ、次の日は登校することができました。それから1年間、毎日、私は長男と一緒に学校へ行きました。Upload By ユーザー体験談長男は抵抗しても教室に入れば楽しそうに過ごしていたので、やがて学校での待機が必要なくなりました。帰りも一人で帰れるようになり、長男が教室に入ったら私はパートの仕事に行くようになりました。おそらく、小3になってクラス替えがあったのと、担任の先生が男の先生になったことで気分が変わったのかな、と思っています。とはいえ毎日送るのは大変で、4歳差の次男も一緒になって「保育園行きたくない」というので、仕事に遅刻することもたびたびありました。それでも、「幼稚園に入ってすぐに弟が産まれて甘えられなくなったから、今一緒に通うことで甘えたい気持ちを満たしているのかな」と思ってつき合いました。そして、登校ができるようになったタイミングで、長男は教育センターで知能検査を受けました。ほかの数値に比べて処理速度指標(PSI)が低い傾向にあるので、もしかしたら視覚情報の認識、記憶などが苦手だったり集中力がすぐに切れてしまうことが多く、勉強などに苦手意識を強く感じているのかもしれないと説明されました。診断はおりませんでしたが通級指導教室を勧められ、通っている学校には通級指導教室がなかったため、小3の2学期から他校の通級指導教室を週1回利用するようになりました。通級指導教室は「息抜きになればいいな」と思っていた程度でしたが、ここでは苦手な漢字を個別で指導してもらったり、得意なプログラミングをやらせてくれました。SST(ソーシャルスキルトレーニング)もできたらと思いましたが、ほかのお子さんたちと一緒に取り組む課題を出しても、協力してやることはできなかったと通級指導教室の先生から聞き、本人も前向きに取り組める個別指導中心でみてもらったほうがいいかなと私も考えるようになりました。コロナ休校明けに再び不登校、起立性調節障害との診断、そして学校に特別支援学級ができた登校が習慣づいたころ、新型コロナウイルス感染症による休校があり、その休校明け、小4になった長男は再び不登校になってしまいました。Upload By ユーザー体験談休校中の長男は、出された課題はそれなりにやっていました。それなのに、休校が明けたらその範囲をまた授業でやっていたようで、「家でやったことは意味がなかった」と感じてしまったようです。また、分散登校が終わったら密な状況になり、「三密を避ける」が徹底されていないこと、マスクをしっかりつけていないクラスメートがいることにも納得がいかなかったのだと思います。また、友人と遊ぶ約束をしても行ってみると誰もいなかったことが2回続いたり、下校中に転んだと膝を深く擦りむいて帰ってきたことがありました。本人は何も言いませんが、おそらく、友人関係で何かトラブルがあったのかもしれないと思っています。夏休み明けは朝起きられない日が出てきて、近所の小児科に行ったら「起立性調節障害でしょう」と言われました。行ったり休んだりを繰り返すうちに、私も夫も欠席の連絡をするのが苦痛になり、「無理に行かせなくていいんじゃないか」と思うようになり、行きたくない気持ちを受け入れる選択をしました。その後小5になったとき、次男が小学校に入学しました。そしてこのとき学校に特別支援学級ができたのです。次男も気になるところがあり、就学前に知能検査を受けていました。診断はおりなかったので通常学級に進んだのですが、週末の宿題に苦手意識のある作文が出されるようになり、この宿題を渡される金曜日ごとに休むようになってしまいました。そしてそのうち金曜日以外も行きたがらなくなりました。長男を追うように不登校になった次男…。私は二人をつれて、メンタルクリニックを受診しました。すると先生に、「二人とも診断をつけるなら自閉スペクトラム症(ASD)」と言われたのです。長男については「やっぱり」、次男については「ADHDかと思ってたけれど、自閉スペクトラム症なんだ」と思いました。ともあれ、診断がついて安心しました。これで支援が受けやすくなると思ったからです。その後、次男を特別支援学級に転籍させました。長男は特別支援学級に抵抗があると口にしていたのでそのまま通常学級に在籍しました。Upload By ユーザー体験談次男は特別支援学級に移ってからも気の向いたときや、参加したい行事のときだけ登校しています。初めは私が教室の中につき添っていましたが、次第に次男の席の横、教室の隅、教室の外と、つき添う場所をはなしていきました。今でも行く前は「面倒臭いなあ」と言われたりしますが、教室に着くと楽しそうにしています。長男は、自校に通わなくなっても通級指導教室だけは通い続けました。小6の後半、パソコンの授業なら参加するというので、自校の担任の先生がパソコンを使う時間を設定してくださり、その時間だけ参加しました。長男はパソコンが得意なので、ほかの子どもが息子の周りに集まり、その時間は長男も楽しそうでした。このときばかりは、「こんな風に学校を楽しんでもらいたい」と思う光景を見ることができましたが、授業が終わるやいなや、息子は給食も食べずにさっさと帰ってしまいました。「おれも初めからこのクラスがよかった」という発言に通常学級を選んだことを後悔…そして月日は流れ、長男が卒業間際のときのことです。私は、長男から忘れられない言葉を聞くことになりました。次男の過ごす特別支援学級を見て「おれも初めからこのクラスがよかった」と、ふと言ったのです。やっぱりこっちの方が合っているよね、初めに気がつかなくてごめんね、ずっと苦しかったね…。越境してでも、特別支援学級に入れればよかったかな、そんな思いが私の中に渦巻きました。違和感を無視しないで特別支援学級を選んでいたら、長男は不登校にならず、学校を楽しいと思えたかもしれない…今となっては正解は分かりませんが、とても考えさせられた出来事でした。Upload By ユーザー体験談現在の長男は、学区の中学校には行きたくないということで、私立の不登校特例校に籍を置き、主にオンラインで授業に参加しています。週1回は登校するようにと私や夫から言っており、今のところそれは守ってくれていますが、本人いわく「できれば週1回すら行きたくない」とのことです。私立中学在籍だと市の制度の通級指導教室は使えないそうで、今は通っていません。今後、できれば学校で楽しく過ごせるようになってほしい、学校が無理なら放課後等デイサービスや、オンライン上でもいいので仲間をつくって、人と関わることへの抵抗感が減るといいな、と親としては思っています。自分に自信を持って、得意を伸ばせたら、幸せな人生を送れそうな気がします。子どもたちには、幸せな人生を送ってほしいと心から願っています。イラスト/カタバミエピソード参考/ちゃいぬ(監修:新美先生より)少し後悔したエピソードをあえてお話しくださってありがとうございました。大人数の児童が一つの教室の中で全員ほぼ同じことをやるのが当たり前という現在の公教育の枠組みでは、さまざまな理由でその場所で学習したり生活することが苦しくなる、学校に合わないお子さんが一定数いるのはもはや当然のことだと思います。長男さんの7年余りの学校とのおつき合いの歴史をお伺いして、その都度一生懸命頑張っていた長男さんとそれに寄り添ってご苦労されたお母さまの様子が伝わり、涙しました。本当にお疲れ様です。通常学級の流れには何となく違和感を感じたり、ひそかにストレスをためてしまうお子さんが、心身疲弊して学校に行けなくなったり、それでもちょっとよくなるとまた頑張って登校して、再びストレスをためて疲弊してという繰り返しの日々を送るのは本当に苦しいです。そんな中で、自分らしさにフィットする通級指導教室の先生と出会えたのは長男さんにとって良かったですね。長男さんが、小学校卒業式間際に「おれも初めからこのクラスならよかった」とおっしゃられたとのこと。これはお母さまとしては後悔してしまう言葉だったかもしれません。この時期の長男さんの本音からの言葉だったとは思います。もっとスムーズに、本人のペースで過ごせる場につながっていたらというのは振り返れば思うことでしょう。そうはいっても、環境としてはベストじゃなかったとしても、長男さんとお母さまが、試行錯誤しながら過ごした6年間のなかで、長男さんご自身がさまざまに実感して、自身の糧として得られたものがたくさんあるのではないでしょうか。その経過があって自己理解が深まっているからこその「おれも初めからこのクラスならよかった」という言葉が長男さんから出てきたのかもしれません。支援者の側としては、今回のエピソードからも、本人に適した環境を早めにきちっと情報提供してつなげていかないといけないということについて、身を引き締めることは必要です。現在の長男さんが、不登校特例校でオンラインで授業を受けたり、週1回登校したりとマイペースに学校と付き合えているとうかがえてほっとしています。自分に合った環境を選んで、自分らしい生活をしていくなかで、信頼できる人間関係を増やしていけることを願っています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月28日「動くなら早い方がいい」と言われ、年中の2月に小学校へ初連絡現在11歳の息子は、3歳児健診で指摘されたことをきっかけに、保健センターで何度か新版K式発達検査を受けていました。その際に療育についても説明を受けていましたが、まだ早いのではと思っていた私。しかし、保育園の年中に上がるときに、「このまま年中クラスに上がるか、それとも、もう1年年少クラスで過ごすか、ご家族で考えていただけませんか?」と聞かれ、愕然。保育園の先生に助言されるくらい、息子の発達は遅れているのだと気づき、療育を受けようと決心しました。療育では、息子の発達支援だけでなく、保育園卒園後の進路についての情報も先生方から得ることができました。「動くなら早い方がいい」と言われた私は、すぐに行動に移しました。特別支援学級、通級指導教室の説明会、以前同じ療育園を利用されていた先輩ママさんの講演会などに積極的に参加。そして年長に上がる前の2月、初めて学区の小学校へ連絡、行事などが落ち着く6月くらいから校長先生との面談を開始しました。Upload By ユーザー体験談小学校入学まで、月1ペースで小学校の行事へ。特別支援学級の授業にも参加校長先生との面談では、主に家庭や保育園、療育での息子の様子をお話ししました。・発達が気になり始めた時期・言葉が遅い息子は通常学級での授業形態にはついていけないのではないかという不安・特別支援学級に入りたいことなど、進路の希望から、不安に感じていることまであふれるように話し続けてしまいましたが、校長先生はじっくりお話を聞いてくださいました。幸い特別支援に力を入れている小学校だったこともあり、参観日の見学や行事の参加など積極的に声をかけていただき、入学までほぼ月イチのペースで息子を連れて小学校へ行くことになりました。息子も小学校に慣れることができ、とてもありがたかったです。授業参観では、特別支援学級の見学をさせてもらったのですが、せっかくだからと息子も授業に参加!「韓国のおもちゃをつくって遊ぼう」という内容だったので、当時年長児だった息子も問題なくできました。教室で作業をする息子の姿を見て、おぼろげながら小学生になって学校で勉強する息子のイメージが浮かび、こみあげてくるものがありました。息子自身も、「小学生になったらこんな風に学校で過ごすのかな」と感じられたのではと思います。本当によい経験でした。おもちゃができ上がると、ほかの生徒たちと広い体育館へ移動。息子はとても楽しそうに走りまわっていました。その後、通常学級も見学をさせていただこうと思った私。当時の1年生に保育園で仲良くしてくれていたお子さんが何人かいたので、「その子たちが勉強している様子を見に行こうか」と息子に声をかけました。授業中ということもあってか、通常学級の教室は、にぎやかに工作に取り組んでいた特別支援学級とは大きく違いました。通常学級の教室に近づくにつれ、シーンと静まりかえった廊下を歩く息子は、ただならぬ様子を感じ、ぐずぐずと泣き始めてしまいました。たまたま各教室を見回っておられた校長先生に声をかけていただいて、すぐに特別支援学級の教室へと移動させていただきました。私は「あぁ、やっぱり息子は特別支援学級に行くほうがいいんだ…」と改めて感じた出来事となりました。Upload By ユーザー体験談また、そのほかの行事に参加させてもらったときにも、授業を体験させてもらった際の特別支援学級の先生が息子のことを覚えていてくれて、いろいろと気にかけていただきました。息子も何となく先生のことを覚えていたようで、うれしそうにしていたのも心強く感じました。わが家以外にも就学前のお子さんが学校行事に参加されていることはあったのですが、ほとんどが在学中の生徒のきょうだいでした。見学目的で参加していたのはうちだけだったと思いますが、いい経験をさせてもらえたので、早めにお願いして本当によかったと思っています。特別支援学級に入学し、成長していく息子。交流級では友達もでき、一緒に下校も息子は、予定通り特別支援学級へ入学しました。クラスは1年生の男子が2人、2年生の男子が1人と、近い年齢の子たちばかりで、かつ少人数だったのもあり、息子にとってとても過ごしやすい環境に恵まれました。担任の先生は、未就学児のときに息子を覚えてくださった先生とは違い、他校から異動で来られた先生だったのですが、前任校でも特別支援学級を担任されていたこともあり、とても慣れた様子。安心してお任せできました。ただ息子は、2年生の男の子に対してライバル心を抱くようになった時期がありました。その子のことを変なあだ名をつけて呼んだりしていたようで、その都度先生からお電話をいただきいろいろと話をさせていただいたものです。その対抗心もいつごろからか落ち着いてきたようで、今は仲良くしています。特別支援学級ということで、どうしても通常学級の子どもたちと関わることも少ないのですが、通っている学校では、特別支援学級の様子を通常学級の子どもたちにも知ってもらうという取り組みをしており、授業風景を撮った動画を、通常学級の子どもに見てもらう取り組みなどもあります。そのおかげもあるのか、通常学級の子どもたちからも、それなりに受け入れられている様子です。息子は、3年生からは理科、4年生から理科と体育などを交流級で受けるようになりました。みんなと協力しながら、実験などにも楽しく取り組んでいるようです。廊下で交流級の友達から声をかけてもらったりすることもあり、先日は一緒に下校したと教えてくれました。印象的だったのは、「総合」の交流級で点字について学ぶ際、よく気にかけてくれる友達が「一緒に点字でしりとりしよう」と声をかけてくれたんだと、うれしそうに教えてくれたことです。体育も、リレーやサッカーなどチームプレイが要求されるものも出てきましたが、教えてもらいながらがんばっているようです。Upload By ユーザー体験談見えてきた中学進学。候補をいくつか考え中です息子も11歳になり、今は中学進学をどうすればいいか頭を抱えています。第一候補は学区内の中学の特別支援学級なのですが、現在特別支援学級の様子も不明なので、通常学級+通級指導教室でもいけるのかどうか…と悩んでいるところです。Upload By ユーザー体験談母一人、子一人の家庭なので、今後は親なきあとのことも考えなければならなりません。息子には、しっかりと独り立ちをし、困ったときには周りの人に頼りながら生きていけるような人になってほしいと思っています。優しくユーモアもあり、何とも憎めない愛嬌のある子だと思うので、そこは失わず、楽しい人生を歩んでほしいと願うばかりです。イラスト/吉田いらこエピソード参考/あきっち(監修:新美先生)小学校に上がる前の、就学時の環境選びについて詳しくお聞かせいただきありがとうございました。発達の凸凹があったり、集団生活でストレスでかかりやすいお子さんの場合、年中後半ごろに就学に向けて動き始めるのはよいですね。ともすると、「だいぶ成長したから、あと1年経てばもっと成長して、もっとみんなと一緒にやれるようになるのではないか?」と先延ばしにしたくなることもあるかもしれませんが、保育園・幼稚園から小学校に入学するというのは、とてつもない大きな環境変化になります。幼稚園・保育園の集団生活で一定の期間大変だと感じたことがあったお子さんは、次の大きな環境変化で苦労する可能性はあるので、就学までの準備と引継ぎは通常よりも丁寧にやっていくほうが安心です。早い段階で見学や体験をすることで、小学校という環境でどのようなサポートが必要か必要じゃないか、じっくり見極められるのはとても良いと思います。ただ、時期については地域や学校によって、早すぎると見学や体験を受け入れていないところもあると思いますので、園や学校、教育委員会などに問い合わせて手順を踏んでいきましょう。ここ数年のうちに特別支援教育に関することは日進月歩に変化していて、そもそも親世代が小学生のころのイメージとは様変わりしています。実際見学に行ってみると、親のほうも具体的にイメージできるようになるかと思います。お子さんによって慣れない環境で不安になりやすい場合、見学や体験自体で不安を増長させて学校にネガティブなイメージを持ってしまうこともあります。慣れない場所が苦手なお子さんの場合は、見学や体験の内容自体をよく打ち合わせして、ご本人にしっかり見通しを示して参加されるとよいでしょう。見学や体験は可能な範囲で複数回行けると、いろんな場面が見られますね。とはいえ、お伺いしたエピソードでは、月1回という高頻度でさまざまな機会に学校に呼んでいただいたいて就学につなげてくれたようですが、近年は特別支援の希望者も増えて、思うようには進まないことも、実際にはあるかもしれません。実際の見学や体験については地域の学校の実情に合わせて相談してみることをおすすめします。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月27日聴覚過敏があるタケル音に過敏で、家の外から聞こえてくる車のクラクションや、排気音、家族が話している声にもいちいちイライラし、時には火のついたように泣いていたタケル。しかし、幼稚園に行くころには、自分が不快な音を聞いたときにひどく怒りを感じたり、泣いたりしていることに気づいたようです。イライラしてくると「何か嫌な音があるのかもしれない」と、自分でその場を離れたり、耳を塞いだりするようになりました。Upload By 寺島ヒロ調子が悪いといつもは平気な音でもダメになる何デシベル以上はダメとか決まっているわけではなく、ある程度の本人の調子の波があり、同じような音でも気にならないときと、気に障って仕方がないときがあるようです。例えば、私と夫が会話している場合、普段は目の前で話していても全く気にしていませんが、調子が悪いときには隣の部屋からでも「ちょっとうるさいよ!」と言ってきます。わが家ではこんなとき、タケルがつらくないよう会話を中断し、連絡事項があった場合はメールなどで伝達することにしています。癇癪を起こす息子に「それは理不尽だ!」なるべく息子に負担をかけないようにしようと心掛けている私ですが、「さすがにこれには…」と思う出来事がありました。息子は4〜5歳のころから眠れなくて困ったり、逆に起きようとしても身体が自在に動かなかったりと、睡眠に困難を抱えるようになりました。9時か10時ごろには布団に入るのに、それから深夜12時か1時まで眠れません。「本を読もうか?」「一緒に寝てあげようか?」などと声掛けしても「自分で眠れる!」と頑なに拒否します。私も夜は漫画の仕事をしていたので、あまり構っている余裕がなく、ふすま越しに隣の部屋で様子をうかがうだけでした。タケルは眠れないでいる間、ずっとゲームをプレイしているときの音楽と効果音を頭の中でリプレイして口ずさんでいます。声が聞こえなくなって、そっと見に行くと、疲れ果てて眠っているといった具合でした。Upload By 寺島ヒロその夜も、9時ごろには布団に入りましたが、全く眠気が来ていないようでした。そしてそろそろ深夜12時になろうかというころ、不意に唸るような声が聞こえてきました。耳を澄まして聞いてみると...どうやらタケルは泣いているようでした...!部屋に入って行って「どうした?キツい?熱測ろうか!」と言うと、タケルは真っ赤な顔でバタバタっと跳ねると「熱ない!うるさくて眠れないんだよ…!」と叫びました。うるさい?いえいえ、もう深夜ですから家の前に車は走ってないし、誰も喋っていませんよ?Upload By 寺島ヒロ背中をさすりながらしばらく話を聞いてみると、タケルは込みあげてくる自分の嗚咽の声が「不快」なのだと言うのです。なんと自分の声がうるさくて眠れなくてパニックになっていたのでした。眠れないプレッシャーで…真面目な性格のタケルは眠れないことを気に病んでいたのでしょう。そのせいで普段なら意識しない自分の声を「不快な音」として脳が捉えてしまったのかなと思いました。結局、その日は幼稚園は休んで良いことにして、一緒に紅茶をいれ夜のおやつを食べました。テーブルに着いたときはコップを持つ手が震えるほどでしたが、コップが空になるころには落ち着き、深夜3時ごろには笑顔で眠りにつくことができたのでした。執筆/寺島ヒロ(監修:初川先生より)タケルくんの聴覚過敏にまつわる「ちょっと面白い(?)」エピソードをありがとうございます。そうか、自分の声(嗚咽)がうるさく感じられて眠れなくなってしまったのですね。私もそのことだけ聞くと、なんと興味深いと思ってしまいますが、当時のタケルくんはそれで本当につらかったのでしょうから、興味深く思ったり、面白がったりしている場合ではないのかもしれないですが…。コンディションの良くないとき(おそらく体は疲れてたでしょうし、そんな状態のときも含め)は、自分の声すら引き金になってしまうのですね。さて、眠りに関して、うまく寝つけない場合、寝つけないことでより一層気持ちが焦ってしまうことなど、さまざま難しさを抱えているお子さんはいますね。生活リズムとして寝る時間はある程度一定にしたいし、ただ、眠くないのに寝ようとしてもつらいしといったところで悩まれる保護者の方も多いように感じます。発達に関する主治医の先生をお持ちの方はその方に、また、主治医がいなくても気になる場合は小児科でご相談されてもいいかもしれません。日中の過ごし方を工夫したり、寝る前にいわゆる入眠儀式としてルーティンを組むといった工夫をしたり。寝ること自体をどう捉えるかを話し合ってみたり(寝ないと幼稚園行けないよ!というルールだと余計焦ってしまうタイプの子もいるかもしれないですね)。いろいろと工夫できるところはあるかもしれませんが、それは長期的な話で、今夜明日どうするというところで言えば、翌日は幼稚園を休むことにしてまずはおだやかな時間を取られた(夜のおやつでほっと一息、気分転換した)とのこと、よかったです。調子の悪いときがあると、それがずっと続くのではないかなどの不安が保護者の方の頭をかすめることもあるとは思いますが、今はそういう時期かもしれないと付き合う(様子を見る)ことで変化していく場合もあります。しかしなかなか様子が変わらない場合は相談や受診をしてみましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月26日「ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所」(※以下、IBS)ではグローバル化社会における幼児期からの英語教育の有効性や重要性に関する情報を定期的に発信しています。「幼稚園でイマージョン教育」がうまくいくために必要なことは? 〜フェリシアこども短期大学 橋元知子准教授のインタビュー記事を公開しました。<記事まとめ>●幼稚園でのイマージョン教育※1は、本来の定義に基づくと、幼児教育の指針で示されている5領域と「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を目指した保育・教育の中で英語が使われることだと考えられる。●子どもの発達が第一、英語のインプットやアウトプットはその次、という保育者の意識が大切。先生や友だちと良い関係であることは、子どもが自分から「英語を話したい」と思う要因の一つである。●保護者は、子どもの発達を第一に考えること、英語習得には個人差があること、過度な期待をしないことを忘れずに、子どもの様子を見守ることが大切。●今後の保育者にとって重要なことは、外国語や異文化理解など、+αのスキルを身につけるために学び続けることであり、国際的に活躍できる保育者の養成も徐々に進んでいる。※1 イマージョン教育:外国語を手段(ツール)として教科(算数、社会など)を学ぶ教育 (Lyster & Genesee, 2019)■ 英語教育を実施する幼稚園・保育所は増えている!私立の幼稚園や認定こども園のうち6割強が通常保育時間内で英語活動を実施していることがわかっています(ベネッセ教育総合研究所2019年の調査)。橋元先生によると「OECD(2020)の調査によると、日本の未就学児(就学前教育を受けている子ども)10人のうち7人は私立に通っているので、けっこうな割合の子どもたちが幼児期に何らかの形で英語教育を受けているのではないかと思います」といいます。ベネッセ教育総合研究所(2019)の調査では、「知的教育を増やしてほしい」「保育終了後のおけいこごとをやってほしい」という保護者から園への要望が年々増えており、今後も英語教育を実施する幼稚園や保育所は増えると橋元先生は予想します。■ 附属幼稚園のイマージョンクラスの子どもたちは自発的に英語を発話!橋元先生は、2017年に始まったフェリシアこども短期大学附属幼稚園での「イマージョンクラス」設立に関わりました。先生たちから「幼児期の英語学習はそんなに必要ないのではないか」という意見もあるなか、子どもたちが徐々に変わっていく様子を見て、「イマージョンクラスが園にあるのは良いことだ」と気づいていったと言います。また、イマージョンクラスでは、保育者があまり関わっていない遊び時間のほうが、子どもたちが自発的に英語を発する場面が多いと感じたといいます。5歳児クラスの女の子がほうきを持って掃除しながら “I'm cleaning up!”と言うと、ほかの子どもたちが “Me too!” と加わり、おままごとのような遊びがスタート。英語をみんながどんどん自発的に使い始めました。「誰からも強要されずに自分たちで遊んでいる」「自分たちが扱える範囲の英語を使っている」「お友だちとの良い関係性」という状況から、内発的動機づけを高めるために必要な三つの基本的な心理欲求※2が満たされていることがわかりました。※2 自分の学習に関することは自分で決めたいという欲求(自律性)、学習で求められる目標を達成できることへの欲求(有能性)、自分の学習する環境に関わる人と良い関係でいたいという欲求(関係性)の3つ。■ まとめ:イマージョン教育は効果的な英語教育のアプローチの一つ今回の取材により、幼稚園でのイマージョン教育は、効果的な英語教育のアプローチの一つである可能性が見えてきました。イマージョン教育の成果は、「英語が身についているかどうか」よりも「他者を理解・尊重する気持ちが身についているかどうか」という異文化理解の視点で見ることが重要です。グローバル化が進んでいるいま、心地よく生活したり自分の道を切り開いたりしていくためには、外国語を使えることは、ことば以上に、他者と良い関係性を築く力や人間性が重要だと思われます。(取材:IBS研究員 佐藤 有里)【Profile】フェリシアこども短期大学 国際こども教育学科/専攻科 橋元 知子 准教授専門は、第二言語習得論、英語教育学。主な研究テーマは、動機づけ、協同学習について。町田市教育委員会主催 中学校英語教育 プロジェクトメンバーなどを経て、2022年度より現職。※詳しい内容はIBS研究所で公開中の記事をご覧ください。前編 ※幼稚園でイマージョン教育を実践するうえで保育者や保護者に求められることについては、「後編」で詳しく記されています。後編 ■ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所(World Family's Institute of Bilingual Science)事業内容:教育に関する研究機関HP( )Twitter( )所 長 :大井 静雄脳神経外科医・発達脳科学研究者ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所(INI)小児脳神経外科名誉教授・医学博士所 在 地 :〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-15-7パシフィックマークス新宿パークサイド1階設 立 :2016年10 月 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年05月25日小学生になっても、あいかわらずの癇癪っぷり!ダウン症のある息子きいちゃん。以前、保育園時代のきいちゃんの癇癪について書かせていただきました。あれからどうなったかというと・・・相変わらずの癇癪っぷりです…!!(泣)こだわりもすごい…!!思えばきいちゃんは0歳の授乳期から怒りっぽかったんですよね…。「これは怒りっぽい子に育つのではないか」と、あのころから心配していたのですが、見事的中。Upload By 星きのこ特別支援学級のクラスメイトに他害!一歩間違えれば失明に…自分が気に入らないことがあれば怒る、注意されたら怒る、上手く靴が履けなかったら怒る…って、1日に何回癇癪をおこしてるんじゃい!!という感じです。しかも、前回のコラムのときと状況が大きく違うのは、保育園児から小学生になり、加配の先生もいなくなったことで、きいちゃん自身がより「クラスの中の一員」という立ち位置になったことです。現在、きいちゃんは地域の小学校の特別支援学級に通っているのですが、1年~6年生まで、学年も障害の種類も程度もさまざまな子どもたち8人が、2つのクラスに分かれて学んでいます。授業によっては2つのクラスが合同で学ぶこともありますが、幸い、クラスの子どもたちはすごく仲が良くてありがたいなと思っています。しかし、そこにある日事件が…。私が家で仕事しているときに1本の電話がかかってきました。表示を見ると、きいちゃんが通う学校から。「ん?なんかあったかな?」と思い、電話に出てみると、担任の先生からでした。なんと、きいちゃんが同じ特別支援学級の5年生の男の子の顔を鉛筆でついてしまったとのこと。しかも、左目の近くを…!!本人に悪気はなかったらしいのですが(今回は癇癪ではなくふざけていたようです)、一歩間違えたら目を失明させてしまったかもしれない事態に。聞いたとき、血のけがひきました…。Upload By 星きのこふざける息子を叱ったら、まさかの逆切れ!そしてパパがブチ切れた!!幸い左目の近くをかすっただけで大きな怪我にはならなかったそうなのですが、場所が場所だけに、相手の保護者の方にもどうお詫びをしたらいいのか悩みました。さっそく、相手の男の子のお母さんにお詫びの電話をすると、「怪我もしてないし、元気なんで大丈夫です。こういうのはお互い様なので…」と寛大にも仰って下さいましたが、やはり一歩間違えたら大変なことになっていた事実は間違いありません。「もう少し、家でも厳しくしつけないといけない」と、大反省しました。余談ですが学級で誰かを傷つけた、というのはきいちゃんだけではなく、きいちゃんもクラスメイトから殴られたり、叩かれたり、いろいろあります。そのたびにそれぞれの親はヒヤヒヤです。私もきいちゃんを叩いた子どもの親御さんから謝罪を受けたこともあります。なので、私たち親は、わが子が叩かれたとしても、お互い様だから許さなければと思う気持ちがあります。もちろん、私もです。逆に自分の子どもが誰かを傷つけたらどうしようという思いや心配の方が私自身は強いです。ほかのママさんたちもそうかもしれませんね…。パパにも今日学校であったことを伝えると、パパも深刻に受け止めてくれました。その日の夕食のとき。きいちゃんがふざけながら食べていたので、私が叱りました。そうしたら気が強いきいちゃん、逆切れしてご飯に手を突っ込んでパンチしたのです。Upload By 星きのこ私がビックリして「また叱らなきゃ」と思った矢先、なんとパパがきいちゃんの頭をバーン!!とはたいたのです。Upload By 星きのこ私は、思わず固まってしまいました。パパとは、「何があっても体罰はやめよう」と普段から言っていたのに…。すると、きいちゃんの目から大粒の涙がポロポロと…。Upload By 星きのこ障害がある息子のしつけで思うことパパはきっと今日、私が話したことを深刻に受け止めすぎて、叩くほど怒ることでもないのに、思わず手が出てしまったのでしょう。でも、きいちゃんには、何でいきなり叩かれたのか分からなかったと思います。私はビックリして、パパに「叩くのは間違っているよ!」と思わずその場はきいちゃんをかばいました。パパは「全然強く叩いてないし、これくらいしないと分からない!」と興奮状態でしたが、しばらくしたら反省し、きいちゃんに謝っていました(ちなみにうちでは「何があっても体罰はやめよう」と普段から体罰はしないと2人で決めています)。小さな子どもは、やったことはその場で叱らないとなんで叱られたのか伝わりません。障害があればなおさらです。ときがたって強く怒られても、なぜ自分が怒られたのか分からずパニックになってしまうだけだと思います。だけど、体罰はやはりいけないと私は思います。なぜなら、自分が体罰を受けると、今度は自分がほかの子どもにやってしまう可能性があるからです。体罰ではなく、長い道のりになったとしても、何回も何回も「それはやってはいけないこと」と説いてきかせないといけません。実際にきいちゃんは、本気で叱ったことが通じると、二度と同じことはふざけてやりません(通じるまでが大変ですが…)。障害がある子どもに説いてきかせるのは本当に私たち親にとって根気がいりますし、いつになれば通じてくれるのかと途方にくれることもあります。それでも将来、大きくなったときに本人が困らないように、今のうちから説いていかないといけないと私は考えています。同じ問題で困っている親御さんもたくさんいらっしゃると思いますが、私もその一人です。まだまだ試行錯誤の最中ですが、愛する子どものために、頑張りましょう!執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)基本的には優しく丁寧に具体的に肯定文で接するようにしたいですね。叱られる際に叩かれることが多いと、学校でもお友達を叩くという行動につながる可能性もあります。もしかしたら、お父さんには幼少時に叱られた際に叩かれた経験があったのかもしれませんが、「ダメ」という否定文ではなく、「こうします」という肯定文で話して、上手にできたときだけ思いっきり褒めることが大切です。今、根気よく頑張れば必ずいい将来が待っているはずです。また、他傷行為のある癇癪には投薬で抑えることも可能になってきました。ASDの診断がつけば、それによる易刺激性として治療することは可能です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月25日年中のときに行った放課後等デイの説明会、唖然とした「新年度募集人数」Upload By べっこうあめアマミ息子が年中のとき、通っていた発達支援施設の主催で、地域の放課後等デイを行っている施設の合同説明会がありました。当時の私は「就学先もまだ決まっていないし、まだ年中なのに少し早いかな」と思いましたが、一応情報収集しておこう、くらいの軽い気持ちで参加しました。しかし、そんな軽い気持ちで参加したのも束の間、配られた各施設の紹介と、新年度の募集人数などが記載された冊子を見て、気持ちがガラリと変わったのです。比較的施設の数が多い地域だったので、「これだけあるならどこかには入れそう」と思っていました。しかし、冊子を見てみると、どの施設も募集人数が「若干名」「1、2名」。「なし」という施設もいくつも見られました。そして会場を見渡すと、広いホールにザッと見て100人以上はいそうな保護者の数。周囲から「これだけの人たちが放課後等デイに入れたいと思っているのに、こんなに募集が少ないの・・・?」「みんなが入るって無理じゃない?」「とにかくひたすら申し込み続けるしかない?」といった声が聞こえ、明らかにざわついていました。そして私も全く同じ感想を持ち、あまりの放課後等デイの施設探しの激戦ぶりに、唖然としたことをよく覚えています。もちろん地域差は大きいと思います。しかし、SNSなどでさまざまな地域に住む人の投稿を見ても、そういった厳しい現実に直面している地域が多いのだと知りました。放課後等デイに空きが出づらい理由、児童発達支援より激戦なのでは?Upload By べっこうあめアマミでは、どうしてそんなに激戦になってしまうのでしょう?放課後等デイは、発達に課題があったり障害があったりする子どもの就学後の通所施設です(※)。施設によって規定はさまざまですが、基本的には小学生から高校生まで、6歳から18歳までのお子さんが通うことができます。とはいえ、障害の程度が比較的軽度なお子さんや、診断がつかないグレーくらいのお子さんであれば、本人の成長と共に放課後の時間を1人で過ごせるようになるでしょう。もしくは習いごとや塾などに通うようになり、自然と放課後等デイを辞めて、小学生のうちに療育から卒業していくお子さんも多いと思います。しかし、障害の程度が重度のお子さんだと、なかなかそうはいきません。私の息子もそうですが、1人で楽しみを見つけて遊ぶことが難しく、常に大人の見守りも必要です。そういうお子さんが多い施設だと、9年、もしくは12年、お子さんが辞めることなく通い続けることになります。児童発達支援もなかなか空きが出ませんが、児童発達支援であれば、長くて5年か、多くの場合3年くらいしか通わないお子さんが多いのではないでしょうか。そう考えると、放課後等デイは在籍する年数が長くなりやすく、さらに児童発達支援から持ち上がりでそのまま通うお子さんがいる場合もあるため、より空きが出づらいのではないかと思います。(※)児童発達支援や放課後等デイサービスなどの「障害児通所支援」の利用には、「通所受給者証」が必要となります。受給者証の取得申請については、お住まいの自治体の福祉担当窓口などにご相談ください。就学先選びと並行して放課後等デイ選び、できることから早めに動くUpload By べっこうあめアマミ話は戻りますが、放課後等デイ探しの厳しい現実を知った私は、説明会の後すぐに動き出しました。息子は重度の知的障害があり、何か習い事に通うことは難しく、学童などを利用するのも難しいだろうと思いました。そして私は在宅ですが、仕事もしています。場合によっては打ち合わせや、外に出かけることもありました。どうしても、学校から帰ったあとに息子が行く場所がどこもないという状況は厳しいと感じたのです。しかし、実際に年中から動き始めても、多くの施設から「見学に来るのはいいけれど、就学先が決まってからでないと待機の順番待ちには入れない」と言われました。それでも、折れずに何ヶ所も問い合わせをしていると、中には見学のあと、気に入ったら待機の順番待ちに入れてくれる施設もありました。このようにいろいろな方針の施設があるので、見学だけでも、さらに踏み込んで申し込みもできるのならそこまでもしていきながら、放課後等デイ探しをしていきました。放課後等デイとひとことでいっても、さまざまなスタイルの施設があります。預かりメインだったり、療育に力を入れていたり、在籍する子どもの障害の程度にも、施設によってある程度の傾向がありました。そのため、早くから見学しておいたことで、息子にとってどこの施設が一番良いか、比較検討できてよかったです。さらに、結果として息子は就学後、小学1年生から週5日という高頻度で放課後等デイに通えることになったのですが、早くから動いたことが幸いしたと思っています。どこの施設も募集枠が少ない中、最終的に「お母さん、早くから来てくれていたので」と優先的に声をかけていただけたからです。「早すぎる」と言われることもありますが、私としては、できることから早めに動いていくことが、放課後等デイ探しにおいては有利ではないかと思っています。放課後等デイは放課後だけではない、長期休みこそ助けられている事実Upload By べっこうあめアマミ放課後等デイは、「放課後」とついていることから放課後の居場所とだけ認識されがちですが、多くの場合、夏休みなどの長期休みにも利用できます。普段は毎日学校に通っている子どもが、ずっと家で過ごし続ける長期休み。時間を持て余してしまったり、親子共に息が詰まってしまうことがあるかもしれません。特に私の息子は特性上、毎日のルーティーンを非常に大切にしていました。そのため、毎日決まった時間に決まった場所に行く、という生活スタイルが崩れると大きく荒れます。長期休みは学校の代わりに朝から放課後等デイに通えるので、息子の生活スタイルが崩れにくく、非常に助かっています。施設によっては長期休みの決まった曜日だけ、スポット利用などができることもありますが、在籍していないとそういうものも使えません。「長期休みの過ごし方」という面からも、放課後等デイの必要性は大きいなと、息子が就学してから強く感じました。「学校に入ってから考えよう」では難しい、学校+放課後等デイで成り立つ私たち家族の生活時々、放課後等デイについてあまりよく知らない親御さんとお話すると、「いつから探したんですか?とりあえず学校に入ってからすぐ?」と聞かれたりすることがあります。しかし、正直なところ放課後等デイは、「学校に入ってから考えよう」では、希望するところにすんなり入るのはかなり難しいと思います。進路が決まってからでないと決めかねる部分はありますし、利用の決定も年長の2月以降くらいになるとは思いますが、年中、年長のときに親がどれだけ動けるかによって、希望するところに入れる可能性は高まると思います。今、息子は学校の後に放課後等デイに通い、私と夫は仕事を続け、娘は保育園に通い、娘が保育園から帰ったら息子が放課後等デイの送迎車に乗って帰ってくる、という生活が順調に続いています。このように、わが家の家族それぞれの生活が成り立っているのは、学校と放課後等デイの組み合わせのおかげです。このコラムを読んで、少しでも放課後等デイに興味を持った方がいたら、ぜひ、早めに行動してみることをおすすめします。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)べっこうあめアマミさんが仕事・育児をしながら放課後等デイサービス施設を見学するのは、とても大変だったと思います。もっと効率よく、保護者・利用者と施設側が相談しやすい仕組みがあると良いと思いますが、個別に相談しなくてはならないのが現状です。特にコロナ禍のときは、見学も制限があったりした時期もあり、年中からの相談を受け付けていない施設もあったようです。2023年5月になり行動制限は緩んできたので、放課後等デイの利用の相談がしやすくなると良いなと思っています。早めに情報収集され、必要なタイミングで見学などをされることをおすすめしています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月25日小学生に特化したご家庭での預かりサービスを展開しているおこサポ(小学生の教育シッター Study&housework) (所在地:東京都渋谷区、代表:平林 直美)は、小学生のお子様をお持ちのご家庭に向けて、日曜企画講座「共働きでも大丈夫!中学受験成功の鍵」の募集を開始しました。<おこサポ(小学生の教育シッター Study&housework) URL> 画像(1)■提供背景現在、実に8割以上のご家庭が共働きの状況にあります。仕事も子育ても頑張りたいと願う家庭は多く、教育についてもより良い環境を求め、中学受験等を希望するケースが増えています。一方で、親から離れている時間の多い子どもたちは、スマホやゲームなどの脅威と隣り合わせになっています。画像(3)は『スマホはどこまで脳を壊すか』榊浩平著(朝日新書)より、スマホを3時間以上する子どもの学力低下を表しています。また、子どもの学習の補助をしている家庭との差も広がっています。画像(4)は、補助している家庭の例になります。共働きの家庭でこうした状況をどのように乗り越えるか、というお悩みが寄せられていたため、皆さんで対策を考える講座を企画しました。画像(3)画像(4)■日曜企画講座の特徴*対面で情報交換しながら家族、子どもへの関わり方に、絶対の法則はありません。小グループで交流を交えながら、情報交換し、より良い方向へ互いに進めていけるような講座です。*オンラインでも開催ご都合の合わない方は、オンラインでも同時開催しております。オンライン上からコメントを頂けましたら、現場と交流したり、ご質問に応答することができます。■ご利用の流れ下記よりお申込みください。詳細はおってご連絡いたします。できるだけ、参加者のご都合に合わせるため、希望日時を伺うこともあります。■講座概要講座名 : 共働きでも大丈夫!中学受験成功の鍵開催日 : 2023年6月~9月の毎週日曜日開催講座内容: 講座内容は月替わりです。第1回 6月 みんなはどうしてる?働きながら子どもの学習管理第2回 7月 みんなはどうしてる?お父さんの学習への関わり方第3回 8月 わが子の性質に合わせた親の関わり方―男女別第4回 8月 親子で学ぶ―低学年の学習第5回 9月 わが子に合った学校選び 将来の進路を見据えて申込締切: 第1回は6月10日(土)24時まで申込可能開催場所: 新宿にて開催。場所の詳細はお申込後に連絡いたします。料金 : 各回1,000円(税込)/1家族申込方法: ホームページ問い合わせフォーム・メール・TELのいずれかより申込連絡先 : <直通番号>070-5455-5937<MAIL> info@ocosapo.com URL : 連続講座案内■「おこサポ」とは「おこサポ」は、仕事と子育て・家事に追われ、多忙な日々を過ごしている保護者に向けて、小学生に特化したご家庭での預かりサービスを展開しています。ご家庭で個別に学習をみることをメインとした以下サービスを提供しています。<サービス内容>・ご家庭で個別に学習をみるサービス。・次世代に向けたコミュニケーション力の育成として、読解トレーニング・読書みくじサービス。・お子様自身が身の回りのお手伝いを行うサポートをするサービス。ご家庭には、毎週、同じスタッフが訪問してお子様を担当します。アフターサービスとして、保護者の方にアドバイザーからお子様のご様子、個性に合った学び方、過ごし方等についてお伺いします。お子さまの安心、安全をお届けするとともに、保護者の方々の育児・家事の負担の軽減に役立てることを目的としています。「おこサポ」は、現代の多忙な保護者のサポートとともに、未来を担う子どもの生きる力を育成する教育を目指しています。画像(2)■会社概要商号 : おこサポ(小学生の教育シッター Study&housework)代表者: 平林 直美所在地: 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-23-4 桑野ビル2階URL : ■本件に関するお客様からのお問い合わせ先おこサポ(小学生の教育シッター Study&housework)お客様相談窓口直通電話番号: 070-5455-5937MAIL : info@ocosapo.com 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年05月24日「授業中にフリーズ」自閉スペクトラム症のある太郎自閉スペクトラム症のある太郎は、小学校1年生時、国語、算数、図画工作の授業は特別支援学級で個別に受けていた。特別支援学級の先生の判断だけではなく交流学級の先生と情報交換しながら、「太郎にあった授業」というものを考えてくださっていた。Upload By まゆんUpload By まゆん交流学級での太郎の様子を先生はこう言っていた。・黒板の文字を写すことに時間がかかる・周りについていけずにフリーズする・そのことを引きずりそのあとの授業にまで影響がある・図画工作では手先の不器用さが目立つ・テーマにそって何かを創作するということが難しい・そしてフリーズする・そのことを引きずるその繰り返しだと。個別授業では、太郎のペースに合わせてノートを取れるように待ってくださったり分からない個所への助言をしてくださったので、通常学級の授業の進行ペースに間に合うように勉学を進められた。フリーズすることは変わらずあったそうだが、切り替えの時間を設けたり太郎が納得するまで問題を一緒に考えてくださったりした。最高の相談者先生の言葉で覚えていることがある。「太郎ちゃんはとにかくこだわりが強いので、納得がいくまでは固まって動きません」「適当ということがないので、そこがいいところでもあるのですが、もう少し柔軟性が出ると本人もきつさが和らぐのだと思うのですが」先生の言葉には共感がわいた。太郎に真剣に向き合っているからこそ分かる特性だったし、私が悩んでいることとまったく同じで喜びがわいてきたのだと思う。最高の相談者、味方ができたと心強くなった。特別支援学級の先生は、交流学級での太郎の授業の様子もみにきてくださっていた。先生が太郎にアドバイスをしやすいように、太郎の交流クラスでの席は決まって一番前の廊下側の席だった。太郎もきっと先生が来ると安心していたのではないかと思う。Upload By まゆん面談時に、先生が私に弱音を吐くこともあった。図画工作の時間でどうしても太郎がテーマにそって絵を描かなかったときのこと。先生が参考になる絵を用意したところ、太郎が真似して時間をかけて描いたと思ったらなんと勢い良く消し始めたとのことだった。「お母さんー、こんなことがあったんですよー、すっごくうまく、やっと描けたのにですねー、もうほんっとにもうー」とベソをかいていた。Upload By まゆん私も先生の苦労が身に染みて分かっていたのだが、なんて言っていいのか分からず、とにかく感謝の気持ちを伝えた。「先生ありがとうございます」すると先生は「大変ですけど、太郎ちゃんかわいいですし、楽しいです」ますます感謝の気持ちがこみあげてきた。Upload By まゆん先生に出会えたことを本当に幸せに思っていた。特別支援学級でどのような配慮をしてくださるのか。学校や先生によって対応も違うだろうし「どんなものなのだろう」と思っていました。太郎が入学した年に特別情緒障害支援学級が設立された学校だったため、事前情報が一つもないまま入学しました。不安な気持ちを持っていたのは保護者の私もですが、先生も模索しながらの日々だったことと想像しています。生徒の一人ひとりに違った個性がある特別支援学級。先生の太郎に対する対応には、何一つ不満はありませんでした。先生は太郎に試みたことを根拠から太郎の様子、評価までありのままを話してくださいました。小学校低学年のころは、まめに私の仕事が終わる時間に情報共有として電話連絡をいただいていました。そんな日々を振り返り、とても安心できる環境に置かれていたのだと実感しています。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)理解と知識のある先生に出会えたようですね。黒板の文字を写すのに時間がかかるのは、同時処理やワーキングメモリーの低さからくるものと思われます。WISCというIQテストでその程度は分かります。私の外来では板書が写せないお子さんには、タブレットなどで写真を撮ってそこに記入するようにすすめています。学校側の理解と配慮が必要となります。また、手先の不器用さは、発達性協調運動症のあるお子さんによく見られます。病院などで、リハビリを行う作業療法士(OT)さんによる感覚統合訓練を受けることができます。それには医師の診断が必要になります。症状だけで療育や教育を続けているお子さんが目立ちます。これは羅針盤を使わずに航海しているようなものです。しっかりと診断してそれに向けて将来の対策を講じることが大切だと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月24日ムスメちゃんとオコメちゃん
ドイツDE親バカ絵日記
yopipiのプチプラコーデ〜ときどき育児日記〜