【医師監修】 肥満女性の妊娠、赤ちゃんへの影響や気を付けることは?
肥満の女性が妊娠した場合、どのような影響が出てくるのでしょうか。この記事では、肥満の女性が妊娠した場合の影響を解説します。
「肥満」とはどういう状態?
肥満とは、体脂肪が過剰に蓄積した状態のことで、標準より体重が多い状態のことをさします。BMI(Body Mass Index:肥満指数)が指標として一般的に用いられています。BMIは、体重(kg)を身長(m)で2回割った値で簡単に計算できます。
肥満の定義は国や団体によって多少異なりますが、WHOによる肥満の判定基準はBMI30以上、日本ではBMI25以上が肥満とされることが多いです。米国ではBMI25から30を「overweight:過体重」、30以上を「obese:肥満」と呼んでおり、肥満の多い米国では、BMI25から30までを病気として考えるかどうかについて、日本とは若干ニュアンスが異なります。
ただ単に「体重が重い」というだけでは肥満とはいえません。
例えば同じBMI25の人については、身長160㎝なら体重64㎏(64÷1.6÷1.6=25)、身長150㎝なら体重56㎏、身長170㎝なら72㎏ということになります。仮に150㎝、160㎝、170㎝の人が3人いたとして、体重56㎏、64㎏、72㎏だったら、3人とも同じ「肥満度」になります。ここではBMI25 以上の人を「肥満」としてお話ししていきます。
肥満女性が妊娠したときの母体や赤ちゃんへの影響は?
肥満女性が妊娠した場合、妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病になるリスクが高いとされています。
妊娠高血圧症候群は妊娠中に血圧が上昇しタンパク尿を伴う状態のことをいいます。血圧が異常に上昇することによって、母体のけいれん発作(子癇/しかん)を誘発し母体死亡率が上昇するとともに、胎児発育不全・早産のリスクが高まります。発症のしくみはまだ不明の点もあるのですが、肥満の人に発症者が多いことが指摘されています。また、常位胎盤早期剥離という病気は妊娠中に胎盤が子宮からはがれて胎児死亡の原因にもなる重症妊娠合併症の一つですが、これも妊娠高血圧の発症者に多いとされます。
妊娠前から糖尿病と診断されている人は妊娠・出産に関してリスクが上昇するのは周知のところですが、妊娠前に血糖値が正常で、妊娠中の検査で初めて糖の代謝異常を指摘された人は妊娠糖尿病と呼ばれます。