2016年1月2日 04:15|ウーマンエキサイト

絵本が子どもの脳と心をつくる!絵本の選び方と読み聞かせ方のポイント(「幸せ力」の育て方 Vol.13)


1冊の絵本をじっくり読み込むのと、たくさんの絵本を読んで多くの語彙に触れるのとどっちがいい?

「語彙を得るために本を読むのではありません。
本というのは、親子で手を取り合って入っていく世界なのです。
親も楽しみながら、真心をこめて読んであげてください」

内田先生は、絵本の持つ力について次のお話をしてくださいました。

「ベッテルハイムという児童精神科医の病院に、注意欠陥・多動性障害の子どもが入院していました。
遊戯療法や箱庭療法など、さまざまな治療を施しましたが、症状は軽くなりませんでした。

あるとき、ベッテルハイムが絵本を持って病室に入ると、その子はパッと絵本を見ました。
ベッテルハイムが『読んであげようか』と言うと、ふだんは少しもじっとしていられない子が、動かずにじっと絵を見つめお話を聞いていたのです。

次の日、ベッテルハイムが来る時間が近づくと、その子は入り口を見ていました。

ベッテルハイムが来ることが楽しみだったのでしょう。

ベッテルハイムが来て『絵本を読んであげようか』と言うと、その子は数冊ある絵本の中からまた同じ絵本を選びました。
30回くり返したそうです。30回読んであげたら、やっと次の本に興味を持った。
つまり、30回かけてその本の栄養を吸収しつくしたということです。

絵本には栄養があります。十分に味わわせてあげてください。
子どもは何度でも『読んで』とせがみます。
『昨日、読んだわよ。違うのにしましょう』ではいけないのです」

子どもが求めている限り、その本を読み続けてあげるのがいいのですね。
親子で絵本を楽しみながら、大切な「見えない力」と豊かな心を育んであげましょう。

(佐々木月子)

今回取材に協力してくださったのは
内田 伸子先生
内田伸子先生
十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。
専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。

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