2016年11月9日 19:00|ウーマンエキサイト

「怒られずに済んだ」という成功体験をつくらない【『みんなの学校』流 親子関係のつくり方 第3回】


■親は、「自分が困らないように」を中心に対処をする

―― 親(自分)が困る。たしかに、本当にそれしか考えていないかもしれません(汗)。

木村:それは親だけでなく、教員も一緒です。子どもにトラブルがあったら、教員が困る。困らないようにするにはどうしたらいいか。そこしか考えていないんです。親も教員も同じ。本当は「いちばん困っているのは子ども」やのに…。
教員や親は「自分が困らないように」ということで、トラブルの対処をするでしょう? 

―― それだけしか考えていませんね。

木村:「とにかく謝りなさい!」と言って、「だって俺な…」なんて子どもが言い出そうものなら、「言い訳しない! まだ反省していないの!」と言う。

―― 映画『みんなの学校』の中で、子どもたちがトラブルを起こしたとき、木村先生のところに相談に行く場面が出てきますが…

木村:ベテラン教員に、こんなふうに聞かれたことがあります。「(ベテラン教員の)私には子どもは絶対に心を開かないのに、校長には1秒で心を開く。私と校長の違いは何や?」と。

―― それ、私も聞きたいです!

木村:子どもに対して自分、つまり大人が「対等な人間として存在しているか」ということです。その違いだけ。

大人は、どうしても子どもより上の立場から物事を考えて「反省させないとあかん」と思ってしまうでしょ。
そうなると、子どもは「悪いことをした。今から大人に怒られる」と心が委縮して、心を開くどころの話ではないんです。

■一番困っているのは、その子自身

―― 本当にそうですね。

木村:でも私も、その考えにたどり着くまで、教員時代、失敗を山ほどしてきています。何度も何度も、何度も失敗して「子どもが困った状況」を、それはもうたくさん作ってきました。そこから私は学んだんです。言うてみれば、「やり直し」の人生ですよ。

あのときに困らせてしまった子どもに対して、私は「ごめんね」しか言えない。
けれども、少なくとも、その子が困ったことで、私がやり直しをさせてもらった。

だから、自分が今、目の前にいる子どもには、そこから学んだことを持って関わろうと思う。ただ、それだけのこと。どんなに大きな悪さをしようと、いつも一番困っているのは、子ども。親でも先生でもない。そこを忘れたら、絶対にあかんと思います。

■今回取材にご協力いただいた木村泰子先生の著書
「怒られずに済んだ」という成功体験をつくらない【『みんなの学校』流 親子関係のつくり方 第3回】

『大人がいつも子どもに寄り添い、子どもに学ぶ!
「みんなの学校」流 自ら学ぶ子の育て方』

(木村泰子・著/小学館 本体1,500円+税)

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