コミックエッセイ:たんこんちは ボロボロゆかい
なんでお年玉を親に奪われるの? 息子の疑問に葛藤した母の決断【たんこんちは ボロボロゆかい Vol.39】
■それでも母が貯金するワケ
息子に疑問を投げかけられ、私は改めていろいろなことを考えました。
そして数日後、私は息子と、そして娘と、ある取り決めをしました。
「それだけほしいものがあるなら、一個だけ買っていい。だけど、それで残ったお年玉は、貯金させてほしい」

息子のほしいものは一万円を超える大きい買い物。
ですが息子は、一度買ったものは何年も何年も擦り切れるまで遊んでくれるタイプです。
そういう部分では、安心感がありました。
「それでいいかな?」
「うーん…」
「今ほしいものを手に入れることも大切な経験だけど…この先、なんていうか…」
「そうまがもうちょっと大きくなった時に、制服を買う時に、学校が変わる時に…」
「この制服を買ったお金には、あの時おばあちゃんがくれたお年玉が含まれてるんだよってママが思いたいんだよね…」

父を早くに亡くした私も年を重ね、子どもたちをともに愛してくれた祖父母の死を経験しました。
今は亡き祖父が買ってくれた娘のランドセルは今も祖父の思い出とともにあり、私はこの先も、こうして子どもたちの周りに誰かしらの気配を残したいのだと思います。
「だから、ちょっと預けさせて…!! お願い!」
「……」

「ほんと!?」
こうして、息子は納得。
特別ほしいものがなかった娘にも同等の金額を渡し、自由に使ってもらうことになりました。
結局、わが家の場合はこんな感じで落ち着いたのですが、お年玉事情もご家庭それぞれ。
とりあえず、息子がいただいたお年玉はピカピカのおもちゃになって、わが家の真ん中に鎮座しています。
おばあちゃん、ありがとう!