妊婦が市販の弁当や冷凍食品を食べると死産のリスクがあがる?レトルト食品は?最新の研究発表をもとに解説
妊婦に関する新たな研究結果を発表
名古屋市立大学の発表
名古屋市立大学には、環境省が実施しているエコチル調査の研究拠点として愛知ユニットセンターが設置されています。そこで杉浦真弓教授、玉田葉月特任助教たちの研究チームは、妊婦の調理済み食品の摂取頻度と妊娠帰結(にんしんきけつ)との関連についてを調査しました。
調査の結果、市販の弁当または冷凍食品の摂取頻度と死産とのあいだに関連があることが明らかとなり、研究成果は令和4年2月20日付でMDPIから刊行されている栄養学分野の学術誌「Nutrients」に掲載されています(※1)。
発表された内容は研究チームによる見解であり、環境省や国立環境研究所が公式に示しているものではありません。今後さらに詳しい研究が待たれます。
※妊娠帰結…妊娠がどのような結果になったのかを意味し、本調査では死産、早産、SGA(在胎不当過小、子宮内胎児発育不全)、低出生体重としています。
エコチル調査について
環境省が実施しているエコチル調査は「エコロジー」と「チルドレン」を組み合わせてつくられた言葉で、正式名称を「子どもの健康と環境に関する全国調査」といいます。環境中の化学物質が子どもの健康に与える影響を明らかにすることを目的に、約10万組の親子データを集め、解析・研究を進めています(※2)。
この大規模な疫学調査は2011年にはじめられ、2027年までの継続が予定されているものです。当時お腹の中にいた赤ちゃんが13歳になるまでのあいだ、健康状態を定期的に確認し、環境要因が子どもたちの成長・発達に与える影響を調べています。
調査は国立環境研究所を中心に全国15地域の大学などに設置されたユニットセンターと共同で実施しており、愛知ユニットセンターも研究拠点のひとつです。
各ユニットセンターではそれぞれの研究が進められており、今回の研究成果のほかにも犬の飼育と子どもの発達との関連や妊婦の染毛剤利用と子どものアレルギーの関連など、2021年7月までに197の成果が発表されています。
調理済み食品の摂取と死産の関連性
近年はライフスタイルの変化から食の在り方が多様化し、お店で調理した食品のテイクアウトや宅配ニーズが増加しています。ところがこうした調理済み食品を妊娠中に食べることにより、お腹の赤ちゃんにどのような影響があるのかは明らかにされていませんでした。