偉大なOB・長谷部誠をモデルに誠実で愛される選手育成を目指す 藤枝東・小林公平監督インタビュー後編
元日本代表のキャプテン長谷部誠選手の出身校、藤枝東高校は、高いレベルで勉強とサッカーを両立している学校としても知られています。
県内トップクラスの進学校がどのようにして文武両道を行っているのか、同校出身の小林公平監督にお話を伺いました。
選手自身が映像を編集してプレー分析も行うなど、自分たちで課題改善を行う取り組みなども伺ったのでご覧ください。
(取材、文:本川悦子)
藤枝東高校サッカー部の部員たち。練習後にチームメイトと談笑する姿
■選手自身が映像を編集してプレー分析も
名門・藤枝東がオンラインミーティングやサッカーノートのアプリを駆使して選手との意思疎通を図ってきたというのは前編でお伝えしました。彼らはそれ以外にもテクノロジーを使った活動を積極的に行っています。
その1つが練習・試合の動画分析です。選手数人が公式戦や練習試合、紅白戦を撮影し、編集したものを共有ファイルにアップ。
それを全員が帰宅途中や帰宅後に映像確認し、感想をサッカーノート(アプリ)に書いたり、ミーティングで議論し合ってフィードバックする形を取っているのです。
今年から使っているソフトでは、個人のシュートシーンやゴールシーン、被ゴールシーンに特化した映像編集ができるほか、セットプレー時の好守も確認が可能です。さらには時間帯ごとのパス・シュート数などのデータも出てくるので、チーム全体が自分たちの課題や収穫を明確に捉えられます。こうした科学的アプローチの有効性を小林公平監督も実感しているといいます。
「現場で見ている感覚と後から映像で振り返る感覚は全然違います。実際にプレーしていた選手も自分の一挙手一投足を映像で客観視すれば、何が課題でどう改善すればいいのかハッキリします。試合前に対戦相手の映像分析をするチームはよくありますけど、日常的に映像を使って可視化する作業に慣れておけば、将来的にそういう仕事に携わることも可能だと思います。
ツエーゲン金沢入りが内定している稲葉楽選手もJクラブの練習に参加した時『藤枝東ではプロ同等の分析やスカウティングをしていることが分かって大きな自信になった』と話していました。
藤枝東は社会のリーダーになるべき人材を育てている部分も大きいので、これからも可能な限り多くの情報を入手して、有効活用していくように、選手たちには働きかけていきたいと考えています」
■加圧トレーニングの定期計測でフィジカル管理
データ管理という意味では、2018年から取り入れている加圧トレーニングの定期的計測を行い、練習や試合に生かしています。