2021年12月8日 20:00
早く入れなきゃ置いてけぼり? 低学年からスポ少やクラブに所属すべきか問題
ところが、いま焦ってしまっているので、お母さんのこころは不安でいっぱいです。
「(チームに所属するのが遅れると)学年が進むにつれ実力差がつく」
「チームに入るのが遅れたら追いつくのが難しい」
「自信を失ってサッカーが嫌になって辞めてしまうのではないか」
このように、お母さんが心配していることは、すべてサッカーの結果や成果です。お母さんの息子さんのサッカーに対する価値観がこのままでは、息子さんは常に結果を求められ、苦しいサッカー生活になりかねません。
ややもすれば、お母さんの目が気になって自分がやりたいように挑戦できなくなります。サッカーはミスするスポーツで、上達するにはたくさん、たくさん、失敗を重ねなくてはなりません。それなのに、お母さんが転ばぬ先の杖を握りしめ「こうするとダメになるかもしれない」「こっちを選ぶといいかもしれない」と過剰に心配している限り、息子さんがトライすることは不可能でしょう。挑戦するメンタルが育たなくなります。
え?本当かな?ともし思われたら、私が長く取材を続けている小児脳科学者の成田奈緒子先生が、医学部時代の同級生であるノーベル賞博士の山中伸弥教授と対談されている『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(講談社α新書)を読んでみてください。
「ほったらかし」が子どもを伸ばすというタイトルの第1章で、これに関連する話がされています。
「心配されるということは、信用されていないということ」
そのように子どもは感じ取り、自己肯定感が下がると成田先生は説明し、山中先生もそこに賛同しています。待つという子育ての軸が少しずれているのかもしれません。ここを少し考え直してみましょう。
■親の「ここは合わないかも」より本人の「こうしたい」という気持ちが成長につながる
ふたつめ。
良かったら、結果ではなく、「プロセス」を見ていくことに変えてみませんか。子どもがやったことの結果や評価ではなく、その過程で息子さんが楽しんでやれたか、自分なりに頑張れたか。自分だけでなく、仲間を思いやったり、スポーツマンシップにあふれた姿勢だったか。
そんなふうに、子育ての軸足を移してみてください。
脳科学的にも、子どもは「才能があるね」「お前は凄い」などと言われるよりも、「よく頑張ったね」「楽しそうで、お母さんもうれしいよ」と、そのプロセスを親が見ていくことで成長すると言われています。