妊娠・出産という女性特有のライフイベント時に「休めること」はもちろん大事ですが、その後、長く続く「子育てしながら働く数年、数十年」がどうなるか、あまり議論になっていないためです。これまで2回のコラムで、仕事と育児の両立を望む20代女性は「長い育休」ではなく、復帰後の「柔軟な働き方」を重視した方がいい、とお伝えしました。妊娠・出産という女性特有のライフイベント時に「休めること」はもちろん大事ですが、その後、長く続く「子育てしながら働く数年、数十年」がどうなるか、あまり議論になっていないためです。○子育てを終えた女性でも、キャリアアップが望める環境を前回のコラムで紹介したアメリカのワーキング・マザー・メディア社の調査は、子育て期に柔軟に働くことだけでなく、そういう経験をした人が、役員まで昇進している企業を評価しています。出産・子育て期にキャリアをスローダウンしても、その後、再び出世街道に戻って来られることが、男女平等の観点からは非常に重要だからです。日本では、今、出産後に仕事を辞めず会社に戻る女性を増やすため、努力している段階です。今後、10年、20年経ったとき、そういう女性達が会社の経営に関わる仕事ができるのか。問われてくるはずです。では、今の日本企業で出産後も平等な扱いを受けたい、と考える女性は、どうしたらいいのでしょうか。女性役員や女性部長はまだ少ない。子どもを持って上級管理職の仕事をしている女性はうんと少ない中では……。○「男性の働きやすさ」は「女性の働きやすさ」私はやっぱり「男性の働き方」に注目したいと思います。男性が休みを取れているかどうか、特に有給休暇をどのくらい取っているか気になります。たとえ普段は忙しくても、旅行や家族の行事、個人的な趣味や看病、介護などのために男性が休みを取っている。そういう職場なら、女性が妊娠・出産で休むことへの違和感は少ないでしょう。仕事以外の個人的な事情は、育児中の女性だけに生じるものではありません。ただ、女性の妊娠・出産は見た目に分かりやすいだけです。私がこれまで取材してきた例を振り返ると、男性のワーク・ライフ・バランスが取りやすい職場は、子育て中の女性も働きやすいことが多いのです。趣味のスポーツをするため早く帰りたい男性管理職が、部下の女性管理職の働き方を大らかに見守っていた例。若い男性が鬱病になった際、会社の制度を駆使して数カ月休職後に復帰をサポートした管理職のもと、出産した女性部下も次々復職していた例。男性が介護や子育てや趣味に関わりやすい職場ほど、子どもを持つ女性も違和感を持たずに仕事を続けていました。これから就職や転職で「女性が働きやすい職場」を探そうとしている方は、ぜひ「男性の働き方はどうですか?」と質問してみて下さい。そこに、ワーク・ライフ・バランスの本質が見えるはずです。○著者プロフィール●治部れんげ豊島逸夫事務所副代表。1974年生まれ。1997年、一橋大学法学部卒業。同年日経BP社入社。記者として、「日経ビジネス」「日経マネー」などの経済誌の企画、取材、執筆、編集に携わる。2006年~2007年、フルブライト・ジャーナリスト・プログラムでアメリカ留学。ミシガン大学Center for the Education of Woman客員研究員として、アメリカ男性の家事育児分担と、それが妻のキャリアに与える影響について研究を行う。またツイッターでも情報発信している。○【連載】25歳のあなたへ。これからの貯”金”講座25歳。仕事や私生活それぞれに悩み不安を抱える年齢ではないだろうか。そんな25歳のあなたへ、日本を代表するアナリスト・豊島逸夫とウーマノミクスの旗手・治部れんげがタッグを組んだ。経済と金融の最新動向をはじめ、キャリア・育児といった幅広い情報をお届けする特別連載。こちらから。
2015年11月02日オフィスという枠に縛られず、いつでも、どこにいても効率的に仕事ができるようなワークスタイルが、インターネットやスマートデバイスなどの普及によって注目を浴びている。このような新たなワークスタイルを実現する働き方は「テレワーク」とも呼ばれており、国や関係団体の支援のもと、先進的な国内企業を中心に盛り上がりを見せ始めている。そこで本稿では、テレワーク推進に関する高度情報通信基盤の整備や利活用促進などを進める総務省の担当者に、テレワークとはどのようなもので現在どのような取り組みが行われているのかなどについて話を聞いた。○在宅、モバイル、サテライト──テレワークの3つの形態まずは「テレワーク」の意味についておさらいしておこう。テレワークとは、「情報通信技術を活用した、場所にとらわれない柔軟な働き方」を指しており、「tele=離れたところで」と「work=働く」を合わせた造語である。テレワークの形態としては大きく3つが挙げられる。まず1つ目が、通常勤務しているオフィスに出勤せずに自宅で仕事を行う「在宅勤務」であり、2つ目が、顧客先や移動中、出張先のホテル、交通機関の車内、さらにはカフェなどで仕事を行う「モバイル勤務」、そして3つ目は、自社のサテライトオフィスや共同利用型のテレワークセンターで仕事を行う「サテライトオフィス勤務」である。いずれの勤務形態にも共通しているのが、本社オフィス以外の場所でICTを活用しながら働くという点だ。このように、ICTを利用していつものオフィス業務を実現できるテレワークは、その導入によって新たなワークスタイルを実現するメリットが期待できる。社会・企業・そして就業者のそれぞれに大きなメリットが期待できるのだ。例えば社会にとっては、労働力人口の減少緩和や環境負荷の軽減、地域活性化といったメリットが享受でき、企業にとっては、生産性の向上や優秀な人材の確保、コスト削減、事業継続性の確保などが期待できる。そして就業者にとっては、家族で過ごす時間や自己啓発の時間の増加といったワークライフバランスの実現、育児・介護との両立やより自由な居住地の選択など多様で柔軟な働き方の確保、通勤時間の削減による時間の有効活用といったメリットが見込めるのである。総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 情報流通高度化推進室の室長、吉田宏平氏は次のように説明する。「実はテレワークの試み自体は90年代から続いていて、意外と歴史があるんです。ネットワークの高速化やモバイルデバイスの普及など当時とはかなり環境が変わってきましたが、ICTを使って場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実践するという基本コンセプトには変わりありません。最近だとノマドワーカーやクラウドソーシングなどが話題となっていますが、これらもそのコンセプトを見ればテレワーク全体の枠組みの中にあるものと言えるでしょう」○注目度の割に低い導入率、その理由は?このように、企業からも働く人々からも、それに地域社会からも注目を集めるテレワークだが、現状では大きな課題も存在している。それが、まだまだ実践する企業が少ないという点だ。わが国におけるテレワーク人口およびテレワーカー率の推移を見ると、2005年が1000万人/15.2%だったのに対し、2014年には1070万人/16.4%とほとんど横ばいといっていい推移を示している。また総務省が2014年に実施した調査によると、テレワークを導入している企業(従業員数100人以上)の割合は11.5%にとどまっており、テレワーク制度を利用する従業員の割合も5%未満という企業が多い。ただし、企業での導入率には組織の規模によって大きな開きがあるようだ。例えば資本金50億円以上の企業の場合には、その導入率は50.9%にも及んでいる一方、資本金1000万以下の企業となると2.5%でしかない。そしてテレワークの導入を阻害する一番の要因と言えるのが、「テレワークに適した仕事がない」、「導入のメリットがよく分からない」、「情報漏えいが心配」、「業務の進行が難しい」などの意識面の問題だ。中でもテレワークを導入しない理由として、適した仕事がない点を挙げた企業の割合は、7割を超えているのである。このような課題を抱えるテレワークだが、先の調査結果のとおり大企業を中心に先進的な事例も数多く存在している。事実、女性が活躍することで知られる企業ほど、在宅勤務などのテレワークを実践している比率は非常に高い。今後、社会での女性のさらなる活躍や地方創生などの追い風を受けて、テレワークの導入は加速度的に推進していくと期待される。「これまでは都会での働き方を柔軟に変えようというコンセプトのテレワークがメインでしたが、これからは地方に人材を送り込んで人の流れを変えていこうという『ふるさとテレワーク』の推進も重要なテーマになっていきます」(吉田氏)○国民の機運を高める「テレワーク月間」こうしたなか、政府は2020年までに、「テレワーク導入企業を2012年度比で3倍」、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上」といった高い目標を掲げている。そこで、この目標の実現に向けて、内閣官房(IT室)が総合調整役となり、総務省が情報通信政策や地域活性化支援、厚生労働省が労働政策、国土交通省が国土交通政策、経済産業省が産業政策といったように、関連省庁による連携体制が強化されている。また今年度には、新設の「地方における企業の拠点強化を促進する特例措置」や継続制度である「生産性向上設備投資促進税制」を活用することにより、東京圏などに本拠地を構える企業が地方へサテライトオフィスを設置する場合の税制上の支援など、テレワーク導入を促す各種支援施策も拡充されている。さらには、全国でのテレワーク推進の機運を高めるべく、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、学識者、民間事業者などによるテレワーク推進フォーラムが今年11月を「テレワーク月間」として設定。11月25日にはテレワークに関するシンポジウムを、そのほか各種イベントや学会などが各地で開催される予定だ。「現状の課題を解決するために、テレワークについてもっとよく知ってもらい心理的なハードルを下げつつ、効果的な事例を紹介することで自分たちもこうすればうまくいくんだと自信を抱いてもらうことが、現在のわれわれに課せられた役割の1つだと考えています」(吉田氏)
2015年10月20日ランクアップは6日、「長時間労働と女性の働き方に関する意識・実態調査」の結果を発表した。対象は、働く女性600名。○会社も上司も残業をなくす努力をする企業の女性、79%が働き方に「満足」「会社や上司は、残業を無くす努力をしていると思うか」と「今の働き方に満足しているか」という質問の関連性を調査した。「会社も上司も努力している」と回答した人に、「今の働き方の満足度」を聞いたところ、満足と答えた割合は、「満足している」(65.2%)「とても満足している」(13.8%)の計79%だった。不満があると回答した割合は、「満足していない」(18.6%)「不満」(2.4%)を合わせて21%となった。一方、「会社も上司も努力をしていない」と答えたのは、今の働き方に「とても満足している」(40.3%)、「満足している」(5.7%)を合わせて45.8%。「満足していない」(44%)、「不満」(10.1%)の合計54.1%が「不満がある」となった。「職場に理想のワーキングマザーはいるか」を聞いたところ、「いる」が44.8%となり昨年から7.4pt増加した。「いない」と回答した人に理由を聞いたところ、1位は「いつも余裕がない」(30.5%)だった。次いで、2位は「新しい仕事や大きな仕事を任されない」(24.5%)、3位は中途半端に仕事をしているように見える」(24.2%)となった。年代別において各1位は、20代が「身なりが適当」(25.8%)、30代が「いつも余裕がない」(34%)、40代が「中途半端に仕事をしているように見える」(27.8%)となった。
2015年10月09日グローバルに活躍する企業が世界的に増えているが、会計基準の違いや人材確保など、現地法人の立ち上げには多くの労力がかかるのも事実。メキシコ人のレニさんは、企業が海外で会社を設立するためのサポートが仕事。成長著しいアジア諸国、とくにシンガポールや中国へと進出を考えているイベロアメリカ(かつてスペインとポルトガルの植民地だった国々)企業の、スムーズなビジネスの船出を後押しするのが仕事だ。南米とアジアに横たわる15時間の時差を物ともせず、少しの工夫で子育ても仕事も充実させる彼女に話を聞いた。■これまでのキャリアと今の仕事について教えてくださいメキシコのクエルナバカ市で生まれ育ち、大学ではコミュニケーションを専攻しました。大学在学中の夏休みに、何となくイタリア語を学んでみたいとペルージャに2カ月半滞在。これが後に私の人生で大きな意味を持つことになりました。大学卒業後、修士号を取るためにフランス・ボルドーへ。必修だった1年間のインターンシップ先として、パリの広告代理店を選びました。そこでクライアントから、中国や香港のマーケットの話を毎日聞かされ、アジア文化を体験したいという思いが強くなり、インターンの残りの半年は交換留学制度を使って香港で過ごすことに決めました。卒業後、そのまま香港で海外での会社設立コンサルティングを行う「CWCC」に勤務。ラテンアメリカの企業が、中国で事業をスタートさせるためのサポートが主な仕事です。とても充実した日々を過ごしていましたが、香港で出会ったオランダ人の夫が2011年にシンガポール転勤を命じられ、中国を離れることに。シンガポールでの就職先は決まっていませんでしたが「イタリア語が話せる」ということが決め手になり、現在勤務しているPeople & Projects(P&P)にヘッドハントされました。P&Pの設立者3人が全てイタリア人で、従業員やクライアントにもイタリア人が多かったんです。前の会社と同様、イベロアメリカのクライアントがシンガポールや中国でビジネスを始めるためのサポート役を、マネジャーとして担当しました。しかし、本気で南米のクライアントを増やしたいなら、現地に支社を置く必要があると考え、上層部を説得。2014年にその提案が認められ、メキシコへ異動となりました。今度は夫が私に同伴する形で、今は息子と共に3人で故郷メキシコで暮らしています。■現在のお給料はどうですか?以前の会社と比べて、お給料は上がりました。というのも、今はP&Pの共同経営者として働いているため、基本給の他に会社の利益の一部も給与としてもらっているからです。イベロアメリカ唯一の支部のトップとして働いているため、責任も増しましたがそれがモチベーションにもなっていますね。■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?現在の私のボスは私自身。トップとして働いているので、時間の使い方などに融通がつけられることが気に入っています。デスクワークよりも外に出てクライアントを増やしたり、コネクションを作ったりする方が得意なので、今は南米を飛び回っています。現在20カ月になった息子も、1歳までは一緒に泊りがけの出張にも連れて行っていたんですよ。イベロアメリカに関わることなら、成長戦略や事業計画まで全て任せてもらえることも気に入っていますね。■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?イベロアメリカに住む人々は、何事ものんびり。しかし他の国でビジネスをするためには、その国のルールに合わせる必要があり、会計資料の提出などは期限厳守が鉄則です。「いつ出せますか_」と何度も確認し、やっと提出された書類も不備が多くて「早く直して下さい!」とまた催促。クライアントを追いかけまわしているような気分なり、それがストレスでした。今は部下がその業務を担当してくれているので、大分楽になっています。■日本人のイメージは?前に勤めていたCWCCでは、日本デスクとラテンアメリカデスクを除いて全てが中国人でした。そのため、日本人とは「外国人同士」というくくりで親しくなり、お酒を飲みに行ったり、香港の美味しい日本食レストランに連れて行ってもらったのも良い思い出です。ただ、根から明るくオープンマインドなラテンアメリカ人とは異なり、日本人は「同僚」と「友人」を分けて考えているようで、みんなとても親切ですが、常に目には見えないバリアがあり、真の友人になるのは難しいように感じていました。仕事面では日本人はみんな規律正しく勤勉で、ラテンアメリカデスクは良く比較されて怒られていましたよ(笑)。例えばクライアントに「火曜日までに必要書類を提出して下さいね」と指示をすると、日本は締め切り前の週の金曜に、ラテンアメリカは締め切りを過ぎた金曜に提出してくるといった具合です。■最近TVやラジオ、新聞などで見た・聞いた日本のニュースは何ですか?9月11日に関東を襲った台風のニュースをテレビで見ました。家や家族を失った方々に心からお悔やみ申し上げたいです。また東北の震災から力強く復興を続けている様子は、いつ見ても心打たれます。■ちなみに、今日のお昼ごはんは?ブロッコリーのスープと「アラチェラ」という牛ハラミ部分のステーキ。それにメキシカンビーンズを添えたものです。アラチェラは柔らかく美味しい上に安いので、メキシコではとても人気があるんですよ。値段は200メキシコ・ペソなので、米ドルで11ドルくらいですね。■休日の過ごし方を教えてくださいメキシコとシンガポールや中国では15時間の時差があるので、少し変則的な働き方をしています。平日は午後5時前に一旦仕事を切り上げて、息子が寝るまで一緒に過ごします。彼が寝たメキシコ時間午後8時頃、中国は午前11時なので、そこから2時間ほど現地と電話やメールなどをやり取りします。基本的に土日が休みですが、金曜の午後はアジアでは既に週末なので、よりリラックスした感じ。反対に日曜の午後は仕事をすることも多いです。休日は近くの公園で家族に出かけて、そこで走ったりヨガをしたりと汗を流してリフレッシュするのが好きです。■将来の仕事や生活の展望は?いつか社会貢献ができる会社を持つのが夢です。メキシコには美しいビーチが沢山あるので、ビーチの近くでヨガや瞑想などスピリチュアルなトリートメントを提供できるセンターを作れたら素敵だなと考えています。また、来年会社が日本支部を立ち上げる予定なんです。イベロアメリカの国にとって日本は重要な貿易相手国なので、日本でのビジネス拡大に弊社が少しでもお手伝いできたら嬉しいですね!
2015年10月08日長い間「働きすぎ」といわれ続けてきた日本人。ことし1月に発表された日本労働組合総連合会の調査によると、日本の正規労働者の1日の平均的な労働時間は8.9時間。一般社員の6割が「残業を命じられることがある」と答えています。そんな状況を打開する方法のひとつが時短勤務ですが、日本ではなかなか定着していないのが現状です。そんななか、賃金はそのまま勤務時間だけを短くする試みが、早くから行政や各地の企業で試験的に行われてきた「時短勤務先進国」がスウェーデンです。イギリスの報道機関『ガーディアン』を参考に、スウェーデンの事例から時短勤務の可能性を考えてみましょう。■時短勤務は「高い給料より魅力的」だった!?スウェーデンのとある公営老人ホームで6か月前、看護師たちに対して時短勤務が導入されました。給料は減らすことなく、1日あたり8時間勤務だったシフトを6時間に短縮したのです。給料がそのままというところは、福祉に厚い北欧ならでは。6か月後、看護師たちのストレスは減り、より精力的に仕事をするようになりました。入居者へのケアの質も向上し、スタッフの生産性もアップ。離職率も著しく低下するなど、効果はいろいろなところに現れています。人材獲得の面でも、時短勤務のメリットは大です。スウェーデンのあるインターネットプロバイダ企業では、3年前から時短勤務制を導入し、より優秀な人材を採用しやすくなったといいます。経営者は「能力の高い人材を惹きつけ、留まらせることは企業にとってとても重要なこと。職を探す人々にとって、ワークライフバランスの観点からこの1日6時間労働制は高いお給料よりも魅力的であることが多々ある」と指摘します。■時短勤務の課題はスタッフ増によるコストいいことづくめに思える時短勤務。雇用する側にとって、もっとも大きい課題はコスト面です。1例目の老人ホームのケースでは、この時短シフトで仕事を回すため、14人の新たなスタッフが雇い入れられ、人件費が増加しています。こうしたコスト増が原因で、時短勤務を導入しても継続できないケースが少なくありません。しかし、スウェーデンではコスト面での課題を克服した事例も報告されています。イエーテボリにある自動車メーカーの事業所では、13年前に6時間勤務が導入されました。朝7時から夕方4時まで実働8時間(休憩1時間)のフルタイムシフトから、給料はそのままに休憩時間を減らし、朝6時からと昼12時からの交代制シフトに変更。導入以前は仕事中のミスが多く、スタッフのストレスになっていたり顧客をより長い時間待たせたりしていたのが、時短勤務を導入してからは効率がアップ。機械を効率的に稼働させることができ、結果、利益が導入前より25%増に。時短勤務制度は現在も継続中です。■いまだ認知度の低い「短時間勤務制度」導入されれば労働者へのメリットは多いけれど実現にはハードルもある、というのが実のところ。実は、日本の厚生労働省でも時短勤務を推進しています。育児や介護、自己啓発や心身の健康、モチベーション向上を目的として、フルタイム社員よりも1週間の労働時間が短い働き方を推進する「短時間正社員制度」の導入を呼びかけていますが、導入している事業所は14.8%(平成26年実績)。平成26年に行われた実態調査では、「自社の働き方になじまない」(46.2%)、「従業員にニーズがない」(39.3%)、「内容をよく知らない」(30.3%)といった理由で、ほとんどの企業で導入に至っていません。日本では、『earth music&ecology』を展開する株式会社クロスカンパニーが2011年から短時間正社員制度を導入し、話題になりました。育児目的で1日4時間勤務が可能な「キッズ短時間」と、結婚・妊娠・産前・育児・介護・傷病目的で1日6時間勤務となる「短時間勤務制度」の2種類で実施していますが、そうした取り組みはまだごく一部に限られています(このほかの事例は厚生労働省・短時間正社員制度導入支援ナビで見ることができます)。*導入した企業からはさまざまなメリットが報告される時短勤務。労働者が気持ちよく働ける環境づくりに有効な方法であることは間違いありません。先進事例を参考に日本でも、一人ひとりがワークライフバランスの面から望ましい働き方を選択できる社会の実現を目指したいものです。(文/よりみちこ)【参考】※Efficiency up, turnover down: Sweden experiments with six-hour working day―theguardian.com※労働時間に関する調査―日本労働組合総連合会※短時間正社員の導入実績:平成26年度雇用均等基本調査結果概要―厚生労働省※短時間正社員制度に関する実態調査結果報告書(概要)―厚生労働省
2015年10月07日前回に続いて、働きながら子育てしたい20代女性向けに、会社選び、職場選びのポイントをお伝えします。転職や異動先を考える際の参考にして下さい。○産後も仕事を続けたい女性におすすめの働き方育児しながら、やりがいのある仕事を続けたい……という方には、フレックス勤務ができる会社や職種を選ぶことをお勧めします。フレキシブル=柔軟に働けるというのは、場所や時間を自分で選べる、ということです。具体的に言うと「場所の自由」とは、在宅勤務やサテライトオフィス、外出先のカフェなどを使って仕事ができるということです。通勤時間を短縮したり、顧客訪問した際に近くで事務作業をすませることができたりと、効率的です。「時間の自由」とは、仕事を始める時刻や終える時刻を自分で選べることを指します。通勤ラッシュを避けて早めに出勤する代わりに夕方早めに帰るとか、勤務日数を週4日にする代わり毎日10時間働く、といったことが考えられます。○海外の「ママが働きやすい会社」が持つ特徴とは9月初旬、アメリカのワーキング・マザー・メディア社が「ワーキング・マザー・ベスト100社」を発表しました。同社は毎年「ママが働きやすい会社」を調査、結果を公表しており、今回が30回目。子育てを経験した女性が企業内で昇進できていることも重視しています。今年ベスト入りした会社では、「従業員の4人に3人がフレックス勤務を利用している」そうです。(参考:)私は8年前、アメリカの共働き夫婦の先進事例を取材しました。子育てをしながら管理職や専門職に就いている人の多くが、男性も女性も在宅勤務などの「フレックス勤務」を使っていました。テクノロジーを活用し、時間と場所にとらわれない働き方をすることで、最大限の成果を上げる、という発想が根付いていたのです。○楽しみながら育児も仕事もこなせる環境を探そう日本でも、IT機器を活用すれば、多くのオフィスワークは自宅で行うことができます。日本の場合、課題は技術ではなく文化でしょう。技術的には柔軟な働き方が可能なのに、長く会社にいるほど「頑張っている」と評価する古い文化が邪魔をしているのです。日本企業の管理職や役員から、フレックス勤務導入を嫌がる理由を聞く機会もありました。しかしながら、情報漏洩リスクを除いてほぼ全てが、これまでのやり方を変えたくないための言い訳と映りました。皆さんの今の職場や上司は、出産・育児をしながら働き続ける人を、正当に評価できているでしょうか。「オフィスの机の前に座っていること」ではなく「その人が上げた成果」をちゃんと見ているでしょうか。ここが、将来、皆さんがやりがいをもって働きながら育児も楽しめるかどうかの見極めポイントです。もしそうではないなら、フレックス勤務ができるような仕事を、社内外で探すことをお勧めします。20代なら、まだ遅くはないはずですから。○著者プロフィール●治部れんげ豊島逸夫事務所副代表。1974年生まれ。1997年、一橋大学法学部卒業。同年日経BP社入社。記者として、「日経ビジネス」「日経マネー」などの経済誌の企画、取材、執筆、編集に携わる。2006年~2007年、フルブライト・ジャーナリスト・プログラムでアメリカ留学。ミシガン大学Center for the Education of Woman客員研究員として、アメリカ男性の家事育児分担と、それが妻のキャリアに与える影響について研究を行う。またツイッターでも情報発信している。○【連載】25歳のあなたへ。これからの貯”金”講座25歳。仕事や私生活それぞれに悩み不安を抱える年齢ではないだろうか。そんな25歳のあなたへ、日本を代表するアナリスト・豊島逸夫とウーマノミクスの旗手・治部れんげがタッグを組んだ。経済と金融の最新動向をはじめ、キャリア・育児といった幅広い情報をお届けする特別連載。こちらから。
2015年10月05日グーグルが歴史に残るイノベーティブな企業であることは間違いない。ここ15年ぐらいの間に、グーグルが僕たちの生活に与えた影響はあまりにも大きい。検索エンジン、Gmail、Googleマップ、Google Chrome、Androidなどなど、僕たちの周りにはグーグルのプロダクトが溢れており多くの人たちがそれを長時間使い続けている。仮にグーグルのプロダクトが一切存在しなかったとしたら、僕たちの生活はおそろしく不便なものになるだろう。今やグーグルのプロダクト群は人々の生活の一部として浸透しており、「そこにあるのがあたりまえ」なレベルにまでなりつつある。このように数々のイノベーティブなプロダクトを生み出し続けてきたグーグルが、従来型の企業とは違った新しい働き方やマネジメントの方法を採用しているという話は過去に様々なメディアで取り上げられてきた。たとえば、従業員全員のランチが無料であるとか、オフィスにビリヤード台が設置されているらしいといった話は誰でも一度はどこかで聞いたことがあるだろう。最近はこういった話題性のある福利厚生を部分的に真似ている企業も少なくないが、当然ながらそれだけではイノベーティブなプロダクトを生み出せるようにはならない。無料のランチやビリヤード台といった話題性のある福利厚生はあくまで表面的なものに過ぎず、グーグルの働き方やマネジメントの本質ではない。今回取り上げる『How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス)』(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル/日本経済新聞社/2014年10月/1,800円+税)は、そんなグーグルのイノベーションの源泉である働き方とマネジメントについて書かれたものだ。著者はグーグル現会長(前CEO)のエリック・シュミットと、前プロダクト担当シニア・バイスプレジデントのジョナサン・ローゼンバーグ。グーグルについての本は既に多数出版されているが、本書はグーグルの成長に自ら貢献し、それを最前線で体感してきた人たちによるものであるという点でより本質に迫っていると言える。○スマート・クリエイティブを惹きつけ、最高のパフォーマンスを発揮させるグーグルが成長しつづけるために採用している方法は、ある意味では非常にシンプルだ。キーとなるのは「スマート・クリエイティブ」と呼ばれる新種の知的労働者である。現代において、ビジネスの成功・不成功は最高のプロダクトを生み出し続ける能力を保持しているか否かにかかっている。その能力を手に入れるためには、スマート・クリエイティブを惹きつけ、彼らが偉業を成し遂げられるような環境を作り出す以外に方法はない。よく話題に上がる無料ランチなどの福利厚生も、フラットな組織構造も、おもちゃ箱みたいな設計のオフィスを採用しているのも、すべてはスマート・クリエイティブを惹きつけ、最高のパフォーマンスを発揮してもらう環境構築のためである。では、この「スマート・クリエイティブ」と呼ばれる人たちは具体的にはどのような人たちなのだろうか。本書では、数ページに渡ってスマートクリエイティブの特徴が列挙されているが、すべてのスマート・クリエイティブに共通するのは、ビジネスセンス、専門知識、クリエイティブなエネルギー、自分で手を動かして業務を遂行しようとする姿勢を保持していることだという。これは従来の優秀な知的労働者とは要件がだいぶ違う。たとえばMBAホルダーや弁護士などの難関資格取得者は従来型の尺度にあてれば十分優秀な知的労働者ということになるはずだが、スマート・クリエイティブかというと必ずしもそうではない。スマート・クリエイティブのマネジメントには、従来型の経営モデルは適用できない。無理に適用しようとすればスマート・クリエイティブは十分に能力を発揮できなくなってしまうだろう。○自分の会社と比較してみる本書は、成長しているベンチャー企業の発達過程をたどるような構成になっている。まず最高のスマート・クリエイティブを惹きつけるための、企業文化から出発する。次に戦略、採用、意思決定、コミュニケーションと進み、最終章はイノベーションについて書かれている。これから自分の事業をやってみようという人にとって、これほど魅力的な構成はないだろう。必要なものはほとんど詰まっていると言ってよい。もちろん、本書は特に自分で事業をやりたいと思っていない人にとってもおすすめできる。たとえば、本書でグーグルの働き方やマネジメント方法を読みながら、自分が今働いている会社のやり方と比べてみるのは面白いと思う。ほとんどの人は、自分の会社のやり方の多くが本書で紹介されるバッドパターンに当てはまることに気づき愕然とするはずだ。それを知ったうえで変革のために立ち上がるのか、あるいは転職を決意するのかは読んだ方にお任せしたいが、いずれにせよ他の会社を通して自分の会社のあり方を考えるのは意味がある。
2015年09月25日●在宅勤務社員の働き方とは近年、日本で在宅勤務を導入する企業が増え、働き方も様々になってきている。インターネット関連のサービスを提供するニフティでも、2011年より育児・介護での希望者を対象に、在宅勤務制度を導入しているという。そこで、利用社員は、実際にどのような働き方をしているのか、WEBサービス事業部 事業部長の後藤信彦氏にお話を伺ってきた。○ニフティの在宅勤務制度とは――在宅勤務の始まりは、育児需要から始まったのでしょうか育児に限定せず、介護も含めた多様な事情を持つ社員の「仕事と家庭の両立支援」と「やりがい支援」を目的に制度を開始しました。育児の場合は、小学校6年生までの子供を持っている社員。介護は、常時介護をする必要のある社員が対象です。原則、在宅勤務は週3日以内としています。――後藤さんの周りでも在宅勤務をしている方もいらっしゃいますか私が所属するWEBサービス事業部では、約100名のうち5名が在宅勤務をしています。このほか、時短勤務制度を活用するメンバーとして女性5名、男性1名がいます。――在宅勤務の導入にあたって、整えられている環境というのは?基本的には自宅でも作業できるようなインフラを整えています。我々はインターネットのサービスを提供している会社ですので、普段からクラウドを活用した仕事を行っているということもあり、上手く活用できていると思います。○実際に在宅勤務で働くニフティ社員の姿とは――社員の方は、自宅ではどのような作業をされるんですか?メンバーによっても異なります。サイトの更新だったり、プロモーション担当だったり、様々な職務を在宅で行っています。1週間の在宅日数は平均2日で、残りの3日は会社に来ている形です。例えば、会社に来た時はミーティングを詰めて、まとめて作業した方が良いものは家で行うなど、上手くコントロールしてやってもらっています。――ミーティングの予定を合わせるのは大変ではないですか?課題となっている点です。ただ当社の場合、在宅勤務の曜日を固定しているので、周りの人も合わせやすいようになっています。会社に来る曜日は売れっ子みたいになってます(笑)。――曜日固定以外に、在宅勤務の他の決まりって何かあるのでしょうか週報の提出と、始業と終業時刻の連絡を所属長へ入れることです。また、『明日在宅勤務に変更』というように、急な日にちの振り替えは出来ないですね。希望によって曜日を増やす、逆に育児が落ち着いてきたから減らすなど、その都度話し合った上で調整しています。――実際に在宅勤務をしている方の仕事の仕方はどのようなものなのでしょうか。ずっとパソコンに向かっているような……?そうですね。作業と向き合ってやってくれていると思います。コミュニケーションが必要な業務は会社に来た時にしてもらっているので、自宅にいても連絡を取りながら行っています。普段からチームでメールやチャットを使いながら仕事するケースが多いので、あまり変化なく業務できるかと思います。――週報や始業時刻の把握によってコントロールできているのでしょうかあとは、業務のアウトプットや日々の連絡のやり取りもキチっと見ていますので、そこで何か問題ありそうでしたらフォローして、課題があるようだったら解決する、という感じです。●"家"で働くことのメリット○在宅勤務の社員との向き合い方――今までで、これはもっとこうした方が良かったと思ったことは?ミーティングはface to faceでのコミュニケーションが大事だと思っていますので、予定調整の難しさがあるとは思います。逆に、それ以外の課題は認識していないので、もっと在宅制度を活用してもらえるといいなと思います。――上手く運用するコツはありますか在宅勤務の人にも、周りの人にも、いかに業務に対しての高い意識を持ってもらえるかが大事だと思います。仮に、在宅業務を行う方に休みが多いケースがあったとしても、普段のメンバーとのコミュニケーションが上手くいっていれば、「在宅だから」と見られることはないと思います。逆に、普通に会社に来ているメンバーでも、休みの取り方が良くなければ、周囲から反発が出ることもあると思います。区別して考えるより、各メンバーそれぞれが集中できる環境をつくることが大事だと思います。――そういう環境をつくるために大事なのは、やっぱり対話でしょうか?そうですね。普段のコミュニケーションや、何故このような業務をやっているのか、サービスで実現したいことへの理解がメンバーそれぞれに腹落ちしているかどうかだと思います。――在宅勤務にはどのようなプラス作用がありますか何かあっても安心して復帰できるということが、モチベーションアップに寄与しているのではないかと思います。また、最近ニフティとして家庭に向けたサービスの提供を強化している部分もあるので、普段の生活の中でどういった課題があるのか、実感として持っている社員が沢山いることは、サービス作りにおいても大事だと思っています。――社員の声を参考にした具体的なサービスはありますか?2015年4月に『おたよりBOX』というプリント類をスマホで監理できるアプリを出しました。幼稚園や保育園の行事の予定は紙で配られるかと思います。普段、冷蔵庫に張っていたり、食卓に置いていたりするかと思うのですが、そういったプリント類をスマホで整理することができます。『おたよりBOX』の、企画自体は男性社員が考案したものでした。当初は違う方向で考えていましたが、子持ちの女性社員の方と議論をしてダメ出しをもらい改良したサービスとなりました。リリース後は高い評価をいただいているアプリなので、普段子育てをしている社員の声を反映するのは凄く大事なことなのだと感じました。○働く場所の今後とは――在宅勤務制度を今後もっと広げていくというようなことは?これから間違いなく増えると思っています。今のところはいないですが、介護利用や、男性社員で必要になってくるケースも広がると考えています。今、全社で場所にとらわれずに働こうといったプロジェクトの話し合いも進んでいますね。――色々なプロジェクトの動きが出ているのですね・・・!どこで働くかといった話は、世間的にも話題ですよね。選択肢が多くある中で、一番身近な場所は自宅だと思うので、これから在宅勤務を重視していく必要があるのではないかと思います。――ありがとうございました○まとめ以前マイナビニュース編集部で取材した日本マイクロソフトやクックパッドでも、在宅勤務制度を採用していた。こういった様々な事情を持つ人でも働きやすくなるサポートの手段として、働く場所をフレキシブルに対応する企業が増えていくのかもしれない。今回の取材で、働き方だけでなく、働く場所にも、企業が目を向けはじめていることを感じられた。
2015年09月24日「一身上の事情により、○月末をもって退職します」この言葉を上司に伝えるのは一生で数えるほどしかないはず。でも、伝えるまでに相当悩み、考え、次のステップへの不安も抱えながら思い切って伝える方がほとんどでしょう。今回は、「育休から復帰して働いていたママが辞めるとき」がテーマ。辞める決意をした、辞めた経験のあるママたち数名にインタビューしてみました。その理由はさまざまですが、インタビューにより、日本社会で子育てしながらフルタイムで働くママたちの行く手を阻むいくつかのポイントが見えてきました。そのポイントは3つ。ママ自身の努力でどうにかなること、周囲のサポートが必要なこと、社会システムによる支援を必要としていることの3つです。今回は後半の2つについて理由を分析しながら、ママたちが働き続けるためのよりよい姿を考えていきます。ママたちの心の声に耳を傾けながら、それぞれ読み手の立場でできること、次へのアクションのヒントとしてお役立てください。○ママの声を聞いてみて感じたこと「これから30年のキャリアを考えた時に、新しい働き方を見つけたいと思った」「有休を取らない風土の中、子どもの病気などで休むことへの視線がつらかった」「『母、女性、主婦』としてのあり方と、会社が目指している方向がずれていた」「フルタイム勤務の男性や女性のほうがやりがいある仕事へアサインされていくのを見てるうちに、モチベーションが低下した」「子どもをお金を出してまで預けて働く理由が見えなくなっていた」これ以外にも多くの内容がありましたが、一部を除き、全体的に読んでいて心が空虚になるようなコメントが多く、会社を辞めるにいたる「事実」としてしっかり見つめる必要があると感じました。それぞれ、辞めた後はフリーランスになったり、一部業務委託を受けながら起業を目指したりと、さまざまな新しい働き方を選んだママたち。会社や組織風土によるしがらみから解放されて、ある程度自由があり、自分自身が価値を見いだせる分野で存分に実力を発揮できることで表情も明るくなっていて、それはそれでよかったようにも思います。もちろん自分自身でやっていく決意を固めるわけで、稼ぐのは自分次第となり、独立に伴う責任は大きくはなります。一方で企業側の視点に立つと、貴重な人材を失うという大きな痛手にもなっている可能性があります。どこでボタンの掛け違えが生じたのか、その原因を探ってみたいと思います。続く後編では、職場環境や子育てをする上での社会インフラについてお話していきます。※画像は本文と関係ありません。○著者プロフィール株式会社グローバルステージ代表取締役 大洲早生李慶應義塾大学商学部商学科卒業後、株式会社日立製作所に入社。2003年より宣伝部愛知万博プロジェクトにて日立パビリオンの総合プロデュースおよび広報を手掛ける。4年半の単身赴任生活を送った後、2008年に双子を妊娠。両立不可能となり退職。その体験から働くママ支援プロジェクト「キラきゃりママ」を立ち上げる。直後に第三子を出産。「母と子のリアルを、みんなで支える」をビジョンに、働くママの支援活動を開始する。2011年4月に法人化、株式会社グローバルステージ代表取締役に就任し、ママと子どもを基軸としたマーケティング / PRコンサルティングを国内外で展開。2013年9月に一般社団法人日本ワーキングママ協会を立ち上げ、母たちが戦略的にキャリアを築き、能力を発揮できる社会の実現を目指す。6歳の男女双子、4歳男児の母。株式会社グローバルステージ東京ワーキングママ大学
2015年09月18日IBJとディップはこのほど、共同で実施した「結婚後の女性の働き方」に関する意識調査の結果を発表した。調査は8月16日~19日、IBJの婚活サービスを利用する20代~40代の未婚男女1,012名(男性523名、女性489名)を対象に行なわれた。○男女ともに「専業主婦」を希望せず妻の働き方についての理想を「結婚後~妊娠まで」「妊娠・出産後」「子供が育ってから」の3つのタイミングに分けて質問したところ、男女ともに「専業主婦」を希望する割合は低く、最も多い時でも「妊娠・出産後」で男性は15%、女性は14%という結果に。結婚後に女性が働くことに男女とも賛成意見が多いことが明らかとなった。○妊娠するまでは「正規雇用」が理想女性の働き方について、結婚後、妊娠するまでは男女ともに6割以上が正規雇用での仕事を希望しているが、その理由を探ったところ、最も多かったのは「貯蓄のため(男性36%、女性37%)」で、妻の妊娠・出産育児に備えて女性がフルで働けるうちに貯蓄をしておきたいという考えがうかがえる結果となった。一方、妻がアルバイト・パートで働くことを希望する割合は、「結婚後、妊娠するまで」から「妊娠・出産」にかけて男性は19%、女性は17%と急増。その理由について尋ねたところ、男性は「生活費のため(29%)」、女性は「家事育児に集中するため(27%)」が最多回答となった。男性は少しでも生活費の足しになるよう、妻にアルバイト・パートでの仕事を希望しており、一方女性は、母親として育児に専念しつつも仕事を辞めて専業主婦になる気持ちは薄いことがうかがえた。なお、妻がアルバイト・パートでの仕事をした際の理想の年収については、男女ともに「男性400~799万、女性200万円未満」という意見が多く、おおよそ600万~1,000万円程度の世帯年収であれば出産後も生活できるという考えが読み取れた。○妻の勤務日数は「週3~4日」が理想次に、妻の非正規雇用での勤務を希望する男女を対象に、妻の理想の勤務日数について尋ねたところ、男性の75%、女性の82%が「週3~4日程度の勤務」を理想としていることがわかった。また、重視する条件についても、「勤務時間(男性40%、女性47%)」を重視するという回答が最も多く、次いで男性は「(妻にとっての)やりがい(25%)」、女性は「家までの距離(18%)」という結果となった。
2015年09月15日●正社員になれないと言われて転職高校を卒業して地方の銀行に就職。ごく普通に働いて結婚、寿退社……と、順風満帆のはずが、月給10万円のビンボー生活を経て、シティバンク管理職へと大転身。こんなドラマティックな人生が注目を浴び、現在では『伸びている女性がやっている感情整理の新ルール』(KADOKAWA)などの著書を通して働く女性にエールを送るまでになった関下昌代さん。人生が激しく動き出す"アラサー"時代について、お話を聞いた。辞めた会社を見返してやる!――30歳前後の頃、関下さんはどんな人生を送っていましたか?うーん。大満足とはいえないですね。26歳で離婚して心がボロボロになり、一度は熊本の実家に戻ったのですが、「このまま都落ちしたくない!!」と再び上京して、契約社員として働き出しました。その頃は生活費を稼ぐだけで必死でした。――やはり正社員として働きたかったんですねはい。東京でようやく某ガス会社に契約社員として就職しました。当時の月給は10万円で、家賃が5万円でしたから、生活はカツカツ。でも、いつかは正社員になれるはず、とがんばって仕事をしていました。あるとき勇気を出して、上司に「私もいつか、正社員になれるのでしょうか」と聞いてみたら、「なれるわけないだろう! うちの娘だってなれないんだから」と。その言葉を聞いたら、腹立たしいやら、悲しいやら。でもそれがバネになったのでしょうか、「今に見ておれ~!!」とすぐに会社を辞めて、とんでもないチャレンジをしたんです。○「年収はいくらほしい?」の正しい答えガス会社を辞めた関下さんは、日経新聞の求人広告でたまたま見かけたシティバンク銀行に応募。外資系の銀行という、本人も予想だにしなかった華やかな職場で、正社員の地位を手に入れた。――採用されるために、どんな作戦を?絶対に受かるはずがないと、記念受験のような感覚でしたから、何の気負いもない代わりに、作戦も何もありませんでした。武器といえば、「金融機関に勤めた経験がある」ことだけ。ただ、当時のシティバンクは日本でのビジネス展開を拡大していくうえで、事務処理が得意な人材を求めていましたから、ちょうどニーズに合ったのが幸いして、採用してもらえたんです。――採用試験で印象的だったことは?面接で「年収はいくらほしいですか」と聞かれたことですね。最初の銀行員時代も、派遣社員時代も、年単位の収入なんて考えたことは一度もありませんでしたから、頭が真っ白になってしまいました。それでもとっさに、中学時代の同級生が4年制大学を卒業して証券会社に就職し、「年収400万円」と話していたのを思い出したんです。自分にはそんなキャリアはなかったので、ちょっと遠慮して「350万円」と言ったら、本当にその金額をもらえることになりました。単純計算でガス会社のときの3倍近くですから、それはもう嬉しかったですね。●"アラサー"のときに、とくに大きな変化○宝物になった1通の手紙関下さんにとって大満足の「年収350万円」。実はその答えが大失敗だったかもしれないとわかったのは、シティバンクに就職して3年目の30歳頃のことだった。――シティバンクではどんなお仕事を?最初はクレジットカード部門に配属されました。仕事の内容は書類の整理や電話対応、クレーム処理といった地味なものばかりでしたが、そういった仕事はこれまでたくさん経験していましたから、むしろお手のもの。「ちゃんとしたお給料や健康保険証があるって、なんて幸せなんだろう」と、幸せいっぱいでした。ある日、「お宅は電話をたらい回しにして感じが悪いので、クレジットカードを解約する」という年配の男性からのクレームが私に回ってきました。そのお手紙の文字がとても美しかったので、私もお手紙で応えなくては、という気になって、上司に万年筆を借りて、お詫びと改善策などを書いて先様に送りました。そうしたら、「手紙に感動した。解約はやめる」とお返事がきたんです。この手紙は今も、宝物として大切にしています。――そのお手紙を受け取ったのは何歳頃ですか?29歳頃です。その頃から「せっかく銀行で働いているのだから、数字に携わる仕事をしたい」と考えるようになっていました。シティバンクでそういった仕事をしているのは、MBAの資格をもつなど、輝かしい経歴の持ち主ばかり。でも、このお手紙に勇気をもらって上司に掛け合ってみたら、「関下さんにはクレーム処理は向いていないと思っていました。経理の方に推薦しましょう」と。どうも、クレームのお客さまと話し込んでしまい、ノルマが果たせていなかったようです(笑)。――外資系の銀行で、その中枢に関わる業務を任されたのですねそうなんです。とはいえ、実は経理の知識はまったくなかったので、異動してすぐに大パニックに陥りました。例えば「借り方・貸し方」の意味さえまったくわからないというレベルです。でも、今さら仕事ができないとは言えません。そこで前任者のファイルを見て学びつつ、経理の専門学校に通い始めました。――ちなみにその頃の年収は?実は……その時点ではかなり低かったんです。その後、人事部に異動する前、ふとした拍子に同格の人の年収を知ってしまい、あまりの差に愕然として直属の上司に確認したんです。上司も「あれっ、これは低すぎるな」と、一緒に交渉してくれた結果、収入はうんと上がりました。30代になった頃のことです。○アラサー女性へのメッセージ――年収イメージさえなかったところから、交渉ができるまでに。大きな進歩ですたしかにそうですね。考えてみれば、30歳前後でプライベートはもちろん、仕事の内容や働き方が劇的に変わったような気がします。女性はいわゆる"アラサー"のときに、とくに大きな変化がやってきますよね。プライベートでも結婚、妊娠、出産などの変化が起こりますし、仕事でもキャリアアップ、転職、あるいはプライベートを優先して働き方を変えるなど、さまざまな選択を迫られます。不安定で辛いかもしれないけれど、知っておいてほしいのは「何を選んでも失敗ではない」ということ。どの道を選んだとしても、面白いこと、楽しいことはかならずあります。「これだけが自分の成功」と決めつけないで、気の向くままに選べばいいんです。「いまは家庭に専念するとき」「いまは上司を勝たせるためにがんばるとき」と、そのときそのときで違うミッションに専念すればいい。「ちょっと違うな……」「もっとハッピーになりたい」と思ったら、また選び直せばいいんですから。関下昌代熊本県生まれ。熊本県立第一高校卒業後、住友信託銀行へ入行。その後、派遣・契約社員を経て、1989年シティバンク銀行へ転職。クレジットカード部門、銀行法人部門を経て、2001年人事部人材開発部門のアシスタント・バイスプレジデントに昇格。在職中に立教大学大学院で異文化コミュニケーション学修士取得。11年より神奈川大学非常勤講師。著書に『伸びる女と伸び悩む女の習慣』(明日香出版社)、『伸びている女性がやっている感情整理の新ルール』(KADOKAWA)ほか。ブログ:「伸びる女!」になる秘密
2015年09月13日今よりもっと自分に合う仕事があるような気がする、でもそれが何かわからずモヤモヤ…。そんなとき、「転職活動の前に、まずは自分自身のことを見つめ直しましょう」と語るのは、ライフアップコーチのあべけいこ先生。本当の自分を見つける方法を教えてもらいました。●「転職先を見つける」ではなく「人生を見つめ直す」こと――今の仕事が天職だ!と、自信を持って言える人は少ないですよね。「私の元にも、天職がわからないという悩みは多く寄せられます。たとえば、『ずっと看護師をしてきて、今さらほかの業界に転職は難しいと思うのですが、仕事をしていて苦しいんです』という相談者の方がいました。確かに西洋占星術のホロスコープを見てみたら、芸術などへの興味が強いようで、本当はそちらの道へ進んだほうが幸せだった可能性もあったんです」(あべ先生、以下同)――芸術方面などは特に、仕事にするのは大変です。その道を選べない人も多いでしょう。「そうですね。ただ、仕事は人生のすべてではありませんから、絶対に天職に就かなければ幸せになれないのかというと、必ずしもそうではありません。この方の場合、もし時間にゆとりが持てる職場に移って芸術活動に打ち込むことができれば、人生への満足度は今よりも大幅に上がるでしょう。そう考えれば、転職しやすい看護師の資格を持っていることはとても有利。『看護師でよかった!』と思えるかもしれません」――たしかに、「好き」と「仕事」は違うとよく言いますね。「『別の仕事をしたい』『ほかの会社に行きたい』という前に、まずはもっと根本的に、『自分は何をしているときが幸せか』を考えることが大事です。もしかしたら、専業主婦になったり、仕事はそこそこで趣味やボランティアに打ち込んだりするほうが向いているかもしれません。極端な話、『天職はない』という人だっているんです。また、フリーランスや起業というように、働き方にもいろいろあります。自分のやりたいことを追求したら、まだ世の中にはない新しい肩書きを名乗ることになるかもしれませんよね。『働く=どこかに勤める』とか、『人生の満足度アップには天職を見つけなければならない』とか、そういう固定概念を取り払って考えてみてください」●チェックテストで自分の傾向を知る「とはいえ、自分のことは意外と自分でもわからないもの。適性を知る道標の1つとして、次のチェックテストを行ってみてください。当てはまる項目をチェックし、どの記号が1番多かったかで判断します。記号の数は、項目によって異なるので気をつけて」1.自分が輪の中心にいないと気がすまない★★★2.仕事で成功したいと強く思う★★3.運転中、追い越されるとイラッとする★4.行動が素早いほうだ★5.デリカシーがないと言われることがある★6.初対面の人とでもすぐに打ち解けられる▲▲▲7.雑学や豆知識を仕入れるのが好き▲▲8.気になったことはすぐに調べたい▲9.ふらりと旅に出かけることがある▲10.1人でいるより友人とワイワイ過ごすのが好き▲11.夢みたいな話より現実的な話のほうが好き■■■12.忍耐強いほうだと思う■■13.物事の判断は感情よりも損得で考える■14.職場などは、1つのところに長くいることが多い■15.われながら心配性だなと思うことがある■16.人の話やドキュメンタリー、映画ですぐ泣いてしまう●●●17.頼まれ事をされるとイヤと言えない●●18.親友や家族のために自分を犠牲にしてしまうことがよくある●19.1人でいることには耐えられない●20.縁起の良しあしや運気などが気になる●●適性を知ったら、それに近い生き方ができる方法を探って「それでは、結果を見ていきましょう。チェックした項目のうしろにある記号の数を数えて、1番多かった項目を読んでください。同数の記号がある場合はどちらにも適性があると言えるので、両方の項目を見ます」★が1番多かった人…目立つことや競争して勝つことが好きな人。自分の名前で勝負できる環境や職種で輝きます。一般的には、営業マン、実業家、起業家のほか、スポーツ関連、芸術家、タレント、デザイナーなどに向いています。▲が1番多かった人…好奇心が旺盛なので、知識を扱うことに向いています。また、フットワークも軽い人なので、あちこち出かける仕事がいいでしょう。一般的には、マスコミや広告業界、旅行業界などに適性があります。■が1番多かった人…コツコツとした地道な作業が向いています。また、夢を売るようなことよりも、現実の生活に即した仕事がいいでしょう。モノ作りの職人、公務員、経理などがよさそうです。●が1番多かった人…人を助けることやサポートすること、奉仕することが得意な人。また、スピリチュアルなことにも関心が高いようです。カウンセラー、セラピスト、保育士、介護士などに向いています。「大事なのは、あなたの性質に合った働き方をすること。職業はあくまで一例です。たとえば営業マンでも、ルート営業と新規開拓とでは適性がまったく変わってきます。必ずしも“これぞ天職”と思えなくても、自分に“より向いている”と感じられる仕事や職場、生き方を選んでみましょう。そうすれば、働きづらさや生きづらさは軽減できるはずです」あべけいこプロフィールライフアップコーチ。女性誌や書籍、Webなどに幅広いジャンルで執筆を行うかたわら、運気を上げる方法を独自に研究。カウンセリングや運気アップセミナー、開運ツアー等を開催するなど幅広く活躍。著書に『悪運の払い方―あなたの「ついてない…」を必ず変える!!』(マーブルトロン)、『自分を好きになる48のメソッド』(鉄人社)がある。LINE占い専属占い師でもあり、LINE占い公式番組『愛叶える天使占い』が大人気。<取材・文/島田彩子監修/ライフアップコーチ あべけいこ>
2015年09月10日調査機関「フリーキャア総研」を運営する「もしも」はこのほど、出産未経験女性の働き方意識についての調査結果を発表した。同調査は7月23日~24日、10~30代の出産未経験女性を対象にインターネット上で実施し、900名(未婚女性636名、既婚女性264名)から有効回答を得た。まず、「出産後、どのように働きたいと考えているか」という質問に対し、未婚女性は「フルタイム」を希望している人が34.3%で最も多かった。一方、既婚女性では「働きたくない」が最多の26.5%となっている。結婚前は「出産後も今と異なる働き方は想像できない」という理由からフルタイムを選択しているが、結婚し出産のイメージが膨らむと、働くのが難しいと考える女性が多いことがうかがえる。次に、「出産後の働き方に備えて取り組んでいることはあるか」を尋ねたところ、約3割が「取り組んでいることがある」と回答。出産未経験でありながらも将来のことを見据えて、備えを取っている人がおよそ10人中3人はいることがわかる。この結果は未婚・既婚に関わらず、ほぼ同一だった。そこで、「出産後の働き方に備えて取り組んでいること」の内容を聞くと、1位は「働きやすい会社への転職活動」(未婚51.4%、既婚40.7%)、2位は「資格取得の勉強」(未婚27.4%、既婚24.7%)が結婚前・結婚後ともに同順位だった。1位に入った「働きやすい会社への転職活動」は、未婚女性でも約半数を占めており、結婚前から出産後の働きやすい環境を求めていることが判明した。また、未婚女性の3位には「インターネットで収益をあげる勉強」(24.0%)、既婚女性の3位には「出産・育児中の会社制度の調査」(21.0%)があがっている。最後に、対象者全員に「自分が出産する頃、どのような社会環境になっているとうれしいか」と尋ねたところ、36.6%が「待機児童ゼロ / 保育施設の充実」と答えた。コメントでは「子供を施設に預けて働きたい」という声が寄せられている。2位以下には、「長期の育児休暇」(29.9%)、「男性の育児休暇取得がしやすい環境」(25.7%)が続いた。これらについては、「出産した友人の話を聞いていると大変そうなので不安」「社会環境が整えば高齢化対策にもなると思う」というコメントも見られた。
2015年09月03日ルミネは9月1日、専門カウンセリング予約サイト「ボイスマルシェ」の企画・運営を行っているバーニャカウダと共同で、新しいカウンセリングサービス「ボイスマルシェforビジネス」のスキームを開発し、9月からルミネの社員を対象にサービスをスタートすると発表した。ルミネは、2013年より"Create Your Life!~生き方も、働き方も、わたしらしくをあたらしく~"をコンセプトに、20~30代の女性社員を中心に社内プロジェクト「きらきらルミネ」を発足。多種多様な働き方ができる社内の環境づくりを目指して取り組んでいる。本サービスは、企業で働く人を対象とした電話による専門カウンセリングサービスで、社員のキャリア設計や働き方、恋愛・結婚・パートナーシップ、子育てや家族問題、メンタルヘルスや心の不調、ライフプランなど仕事からプライベートの相談まで扱うという。個人向け「ボイスマルシェ」では、女性専用のサービスとして提供されているが、法人契約の場合は男性も利用できることが特長となっている。ルミネ社員は専用の認証コードで「法人専用ボイスマルシェ」にアクセスし、好きな時間帯とカウンセラーを選んでカウンセリングを予約。「誰が利用したか」という情報も会社側に知られることなく、秘匿性・守秘性のもと、幅広いテーマについて自費負担ゼロで専門家のカウンセリングを受けられる。ルミネの事業は、20~30代の女性をコアターゲットとして展開しており、全社員に占める女性の割合は約7割だという。そのためワーク・ライフ・バランスやダイバーシティは同社にとって非常に重要な取り組み課題だとしている。同社は、きらきらルミネの活動を通じて社員のライフスタイルをさまざまな面からサポートし、ルミネ全体が働きやすい職場となることを目指すとしている。
2015年09月02日博報堂はこのほど、「はたらく女性のしあわせ」をテーマとした調査結果を発表した。調査は2月6日~13日、10大経済圏(札幌、仙台、関東、新潟、静岡・浜松、中京、近畿、岡山、広島、北九州・福岡)に在住する20歳~44歳までの有職女性1万人を対象に、インターネットにて行なわれた。○働く女性の"生活幸福度"、トップは「仕事の充実」食生活や住環境、仕事、余暇・遊びといった「生活項目」の中で、働く女性がどういったことにしあわせを感じているのか調査した結果、もっとも強い相関がみられたのは「仕事の充実」だった。次いで「食生活」「余暇・遊び」と続いた。○「仕事の充実」=「やりがいのある仕事」「仕事の充実」が働く女性のしあわせに大きく貢献していることがわかったところで、快適なオフィス環境や、適切な昇進・昇給、直属の上司の多様な働き方への理解といった「仕事充実度要因」のうち、どのようなことが「仕事充実度」に結びついているのか調べたところ、「やりがいのある仕事」がトップとなり、次いで「快適なオフィス環境」「多様な働き方を認める組織風土」「直属上司の多様な働き方への理解」と続いた。この結果を、未既婚・子どもの有無といった層別で見たところ、全ての層で「やりがいのある仕事」が1位を獲得。また、既婚者や子どもがいる女性に限っては、全体では4位となった「直属上司の多様な働き方への理解」が2位にランクインする結果となった。○理想とする子どもの数を達成できていない人、49.3%次に、働く女性が想定する「子どもの数」について知るため、「あなたは生涯で何人のお子さまを持つことを想定していますか。今いるお子さまの数を含めてお答えください」と質問。また、本当は何人子どもが欲しいのか(理想の数)についても尋ねたところ、3人以上を望んでいるものの、2人にとどめようという「想定2・理想3」が22.9%、「想定1・理想2」が16.2%など、約半数の女性が、理想とする子どもの数を達成できていないことがわかった。では、子どもを生み控える理由は何なのか。調査した結果、「経済的な理由(39.8%)」と「体力・年齢的な理由(38.3%)」が大変を占めたほか、「仕事との両立(14.0%)」を理由とする人も一定数見受けられた。年代別でみると、20代~30代前半では「経済的な理由」、30代後半~40代では「体力・年齢的な理由」が生み控えの大きな要因となっていることがわかった。
2015年08月30日●アニメ制作のデジタル化には「目的」が必要デジタルハリウッド大学大学院は、アニメラボ×ACTF公開講座「新たなアニメ制作会社の立ち上げと将来ビジョン~デジタル化に伴う新たな制作方法について~」を、同院 駿河台キャンパスにて開催した。セミナーにはシグナル・エムディのプロデューサー上野剛仁氏、ワコムのチャネルマーケティング シニアスペシャリスト轟木保弘氏が登壇。デジタルハリウッド大学大学院 准教授の高橋光輝氏が司会を務めた。ここでは、7月28日に行われた同セミナーの様子をレポートする。同セミナーは、デジタルハリウッド大学大学院のアニメを包括的かつ実践的に研究する研究実践科目「アニメラボ」と、アニメクリエイター団体・JAniCAによる業界セミナー「ACTF(Animation Creative Technology Forum)」とのタイアップによって実現した公開講座だ。6月30日に開催されたセミナー「中国のアニメ市場の今」に続き、二回目の開催となる。今回、「新たなアニメ制作会社の立ち上げと将来ビジョン~デジタル化に伴う新たな制作方法について~」と題されたセミナーでは、デジタル作画を中心とした制作会社・シグナル・エムディのプロデューサー・上野剛仁氏が登壇。新たなアニメ制作会社の立ち上げに伴う課題やポイント、アニメ制作におけるデジタル化のさらなる進化などについて語った。○デジタル作画に取り組む「目的」を定める上野氏は冒頭に、同氏が所属するシグナル・エムディについて、デジタル作画を中心としたアニメーション制作会社と紹介。主な作品として、あにめたまご2016参加作品の「カラフル忍者いろまき」や、NHK Eテレ 18:45~18:54(Let’s 天才てれびくん アニメ枠)に放映される「探偵チームKZ(カッズ)事件ノート」(ドメリカとの共同制作)を挙げた。ここから話は本題に入り、デジタル作画を取り入れる「目的の例」として10項目を挙げた。このうち、将来的にテレビ放送が4K以上の画質となることに備えた制作について、上野氏は「これから検証していく段階」だと述べた。■デジタル作画を検討する「目的」の例・コストダウンや生産量アップ・紙がなくなることによる制作上の負担減・データが取り回しに便利・プレビューが見やすい・修正しやすい・3DCGと親和性があるから・海外と共同制作したいがデジタル作画メインだから・4K以上の制作に備えて・なんとなくそういう風潮だからまた、「何となくそういう風潮だから」という意外な項目については、「案外、こういった動機で取り組もうとしている人も多い」ということで、デジタル作画を取り入れる上で「目的」をきちんと定めることが大切だと語った。○デジタル作画部門立ち上げの際に必要な課題次に、「デジタル作画部門立ち上げの際に必要な課題」を5つ挙げた。まず「組織」においては、「デジタル作画で制作する、または紙からデジタルに切り替えるということに、社内で理解と合意がとれているのか」という大きな課題が存在するという。ふたつめに「ソフト」の課題として「デジタル作画ソフトの選定やソフトを自前で研究して習得している人が社内にいるのか」、「ソフトの習得に取り組む意志のある人はいるのか」、「ソフトを先行で使用している会社・個人に協力をお願いして使い方を講習してもらえるのか」、「デジタル作画ソフト以外に必要なソフトは何か」などを挙げた。これだけ多くの項目を挙げた理由として、上野氏は、「シグナル・エムディはゼロからのスタートであったため、こうした問題に直面した」ためだと明かした。さらに「ソフトを販売している会社は、機能についての説明はできても、制作現場に則した説明をしてもらうことは難しい」とし、「ソフトを自分で習得している人が社内にいるのか、あるいはすでに実践している会社・個人に使い方を教えてもらえるのか、といったことが課題だ」と語った。○機材の選定は「メンテナンス・維持」も考える続いて「ハード」の課題として、まずは「ハードの選定」からはじまり、「タブレットで絵を描いた人が社内にいるのか」、「板タブレットか液晶タブレットか」、「液晶タブレットの大きさはどうするか」、「モニターの大きさや台数」、「PCの性能などどうするか」といった問題を例に挙げたのち、特に"盲点"になりがちな課題として「ソフトやハードの購入と運用、メンテナンスなどの管理を誰が行うのか」、「購入費のほかに維持費、管理費を計算しているのか」といった2点を紹介。上野氏は「これらは3DCG系の制作会社では当たり前のことだが、紙での作画を行うような会社の場合は考えていないケースが多い」とコメントした。4つ目に挙がったのが「仕事」の課題。具体的には、「デジタル作画で制作できる仕事や作品があるのか」、「社内外でその作品をデジタル作画で制作できるリソースがあるのか」、「尺とクオリティラインは現状のデジタル作画の制作レベルにかなっているのか」、「無理そうなときは紙作画への切り替えが可能なのか」といった例が挙げられた。上野氏は「私は10年近く前にTVシリーズの3DCGアニメを手がけたことがありますが、やや"無茶"な目標がなければデジタル作画で仕事をすることは推進できない」と述べた。●実際に導入しているペンタブレット・ソフトの詳細を公開○デジタル化における最重要ポイントは「人」そして最後に「制作ワークフロー&仕様」について。「デジタル作画の制作ワークフローと仕様が構築できなければ、作品制作にそもそも入れない」、「デジタルの運用に慣れていない全スタッフに制作ワークフローを守らせることができるのか」、「既存の紙作画の制作ワークフローに落としこむのか、それとも新たなデジタル作画ならではの制作ワークフローに取り組むのかどうか」といったことが課題であるという。こうした課題についても、3DCG系の制作会社では当たり前となっていることである一方、手慣れていない制作会社では直面する課題になるという。上野氏は「紙作画出身の原画マンに対して、ファイルの名称やフォルダ構成を厳守させられるのかという問題がありますし、制作進行がどうやって運用管理していくのか、あるいは演出や作画監督がどのようにチェックするのか、同じく作画ソフトを習得しどのソフトを使って修正を加えるのかといったことが起こりうると思います」と語った。そして、ふたつ目の必要なポイントとして「人」を挙げ、「あくまで大事なのは"人"であってソフトやハードではありません。それを使う人や運用する人が一番大事だと考えています」と強調。上野氏は個人的に「デジタルの映像制作にためらいのない若い人」に期待しているといい、「紙作画を経験していない若い方が、学校を卒業してすぐにデジタル作画の世界に入るという形で良いと思います」と述べた。○シグナル・エムディの使用ソフト・機材を公開ここから話はシグナル・エムディの"現状"についての説明へと移った。制作部は12席のうち10名在籍(役員3名、社員7名)、作画部は20席で20名在籍(フリーの監督、演出、デザイン、色彩、原画)、デジタル作画部は32席で20名在籍(社員班6名、フリー班11名、出向3名)。また、使用ソフトは、「TVPaint Animation 11 Standard Edition」20本、「同 Professional Edition」3本、「Adobe Creative Cloud」13本、「Adobe Photoshop CC」22本、「CELSYS RETAS STUDIO」4本、「CELSYS CLIP STUDIO PAINT EX」(4本)、「Toon Boom Storyboard Pro」(レンタルで7本)、「Toon Boom Harmony」(レンタルで3本)となっている。ソフトは一長一短があり、どのソフトだと決めつけるのではなく、作品や方向性、表現に応じてソフトを選定していくということだ。このうち「TVPaint」は指導者がいるため、あくまで「デジタル作画への取っ掛かり」のソフトとして導入しているという。「Photoshop」に関しては、レイアウト作業を行う際にサイズの問題でまずはPhotoshopで作業したのちTVPaintに取り込む必要があるため、ほぼ同数用意しているということだ。CELSYSの各4本ずつのソフトに関しては若干使う人がいることと、CLIP STUDIOのアニメーション版が開発中(現在、業界向けベータテストを実施中)ということもあり、検証という意味で導入しているとのことだ。Toon Boom Storyboard Proについては絵コンテマンが使用、Toon Boom Harmonyは導入したばかりで、これから検証していく予定とのことだ。使用ハードについては、ワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 13HD」9台、ペンタブレット「Intuos Pro medium」9台、液晶ペンタブレット「Cintiq 27HD」(レンタルで1台)、VAIOの液晶タブレットPC「VAIO Z Canvas」(レンタルで20台)、このほか24インチ液晶モニターやデスクトップPCを導入しているという。このうち液晶タブレットのCintiq 13HDを使っているのは、「液晶画面に直接描く」という紙に近い操作性から、主にフリーの紙作画からデジタル作画に関わる人に支給しているという。また、それよりも大型な「Cintiq 27HD」については、キャラクターデザイン兼作画監督が使用しているという。「Intuos Pro medium」については、採用を前提としたインターンのメンバーに支給し、モニターを見て描く作業で使っているとのことだ。ペンタブレットの残る3台は動画マンに支給していると語った。ハードについても、液晶ペンタブレットとペンタブレットのどちらかに決めるのではなく、「予算や用途に応じて機材を選定するのが良いでしょう」と述べた。VAIO Z CanvasについてはPC代わりに使っている部分もあるが、クリエイティブな部分においては絵コンテの作業でToon Boom Storyboard Proを入れた環境でスタッフが使用しているという。ほかにも、原画作業や制作のフォロー用としても活用しているということだ。○「アニメ業界の働き方を変えたい」ここからは「体制」についての話となった。シグナル・エムディでは、業務委託契約で在席しているフリーのスタッフの班である「フリー班」を既存の紙作画をデジタル作画(タブレット作画)に置き換えるラインとして位置づけ、作品の状況にあわせてデジタル作画での制作に興味がある紙作画の原画や動画経験者を受け入れるという。デジタル作画を取り入れることに対して、「紙作画系の古いスタッフは警戒心を抱いているし、逆にデジタル作画を推進する人は『紙なんてやり方が古い』と言う風調がありますが、どちらの方法も否定せず、認める必要があるのではないかと思っています」と述べた。その一方、業務委託契約による単価制のフリーランスのスタッフが多いアニメーション業界において、デジタル作画による映像制作に精通した社員スタッフを編成することを目的に「社員班」として、契約社員スタッフを募集しているという。その目標として、デジタル作画のワークフローの構築と継承をはじめとして、デジタル作画ならではの映像制作チームの育成や会社の看板となるスタッフ、映像作家を誕生させること、さらには4K~8Kの映像制作に取り組むことを挙げた。紙作画では当たり前であった「分業制」がデジタル作画という新しい作り方によって変わる可能性があるが、それを否定せず、従来の紙作画にとらわれない新しい作り方や映像表現に取り組みたいという。そのために、社員班には複数のソフトやツールを使いこなす意気込みで取り組んでほしいと希望を述べた。さらに上野氏は、スケジュール崩壊や単価制による低賃金が問題となってきた紙作画の作り方や制作体制、習慣にこだわることなく、働き方を変えるつもりだという。「"仕事"は締め切りを厳守するのが当然だが、アニメーション業界においては"遅れるのが当たり前"という状況になっている」と現状を明かしたうえで、「"アニメーション業界は特殊だから"という言い訳をすることなく、当たり前の社会人としての規律と時間を守り、メリハリある働き方で仕事をしたい」との思いを語った。社員の採用選考の流れとしては、まずは学校などと相談してアニメーション業界に興味を持つ人材を探し、希望者にはタブレットを使って作画した3点以上のイラストを提出してもらうという。選考面談ののち、数週間~1カ月ほどの間インターシップとして参加させ、お互いが判断した上で採用選考へ進むという形を取っているということだ。このように育成をしながら採用選考をしている理由のひとつとして上野氏は「弊社のような無名で実績もない会社は、大々的に募集を掛けても応募者がいません」と明かしたのち「若い人の力をお借りしたい」という言葉でセミナーを締めくくった。●"マジックワード"に惑わされない環境構築をここからは質疑応答の時間となった。聴講者から「シグナル・エムディはゼロから起ち上がった会社なのか? そうだとすれば社員制を取るための資金はどのように調達するのか? どのような考え方をすれば資金が集まるのか? そのあたりの話を聞かせて欲しい」との要望があった。上野氏は、「弊社はIGポートグループ(プロダクション・アイジー、ジーベック等が属する)の4つめの制作会社としての生まれ、資本についてはIGポートの100%子会社です」と説明。資金面については「例えば、予算が1000万円の場合、紙作画の場合はそれをおよそ100人で分け合っていると思います。そうすると1人当たりの取り分が10万円になりますが、それをデジタルというものを使うことで、30人でできないか?と考えると、1人当たりの収入を30万円程度に引き上げられるのではないか。そういった体制ができないものか?と考えている」とし、「そもそもコンテンツの値段が下降しているが、コストダウンするのではなく、むしろ新しい表現にはお金が掛かるということを伝えていかなければいけないのかなと考えている」と述べた。資金の調達については「いま手がけている作品にしても、予算は変わっていないのが現状です。残念ながらクライアントさんからすれば紙でもデジタルでもどちらでも構わないのですが、引き続き粘り強く交渉していくしかないですね」としたうえで「新しいものにチャレンジして弊社の個性を出していけば、それに応じて予算の交渉もできるのではないかと考えています」と語った。続いては、アニメーション会社を起ち上げたばかりの聴講者から「自分でアニメーションのソフトウェアなどを研究していこうと考えているが、実際にデジタルで作画を行うにあたり、現状のTVアニメシリーズの予算がデジタル化の波に合っているのかどうかを教えて欲しい」という質問。上野氏は、「状況に応じたクオリティーラインを設定すればできないことはありません」とし、「いま手がけているTVアニメも、絵コンテを優しいものにして欲しいなどと監督に要望をだしています。予算についても人数を絞った作り方をするしかないですね」と明かし、「現状のアニメーションをいきなりデジタルに切り替えるというのは相当ハードルが高いというのが実感です」と述べた。また、同セミナーにコメンテーターとして参加したワコム・マーケティング担当の轟木氏はこの質問を受け、「"デジタル作画"にも色んな形態のスタジオがあり、例えば動画と仕上げという最も枚数がある工数の部分をデジタルを活用してクオリティーに貢献する形で請け負っているプロダクションもあれば、1分半程度のごく短い尺の中に高いクオリティー性を凝縮して詰め込んでいるプロダクションもあります。あるいは、比較的短めの尺でも劇場に上映できるクオリティで、絵コンテから最終のコンポジットまでしっかりデジタルのパイプラインを組んでいる会社もあります。例えば、最近公開された"台風のノルダ"や新海誠さんの作品も紙作画の部分がありますが、デジタル処理を早い段階から導入して作家性の強い作品を出しているスタジオもあります」と、その多様性を説明した。続けて、「"デジタル作画"について各社が模索しているのが現状ですので、自分のスタジオにそれを導入する場合、まずはどのような事から始めたらいいのかを考えると良いと思います。実際にデジタル作画を先行導入しているプロダクションでは、地方のTVコマーシャルから始めて、ある程度手応えを得てから制作協力などの仕事をデジタルで受けるようになったという話もよく聞きます」と語り、「最近は企業のCMがアニメーションを多用するケースが多いので、新技術をトライしながらその案件でノウハウを得ていき、やがてデジタル作画の部門リーダーとして引っ張っていくという、人材育成も兼ねた制作体制を組むことがデジタル作画の将来につながり、アニメーション作りを転換して新しい表現を生み出していくという形になっていくと思います」と述べ、場を締めくくった。
2015年08月27日●急速な高まりを見せるナニーサービスの需要1987年に創業したポピンズは、4つの事業を柱とする企業だ。ベビーシッターを派遣するチャイルドケアサービス事業、高齢者向けに介護・在宅ケアを行うシルバーケアサービス事業、保育所・学童施設を運営するナーサリー事業、ポピンズ国際乳幼児教育研究所を中心に社内外向けの研修やセミナーを実施する教育サービス事業を提供している。この中でもチャイルドケアサービスは、「ナニー」と呼ばれる約2000名の優秀なベビーシッターが在籍。深夜でもつながる24時間365日受付対応に加え、当日の朝でも予約できる利便性や、28年間で大きな事故が1件も発生していない信頼性などにより、日本国内で約3500名もの個人会員数を誇っている。ポピンズ 常務執行役員の井上正明氏は、ナニーサービスについて「近年は個人会員さまだけでなく、企業や官公庁が福利厚生の一環として社員向けに提供する法人契約の需要が急激に伸びています」と語る。需要拡大の背景としては、2013年に厚生労働省が発表した「待機児童解消加速化プラン」の存在が挙げられる。同プランは、保育所や学童保育施設へ申し込みを希望しているにもかかわらず、定員数に達しているため入所できない「待機児童」の解消を図るというもの。平成29年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保するべく、国としての支援を実施している。「企業や官公庁が事業所内保育所を作るには、多大な初期投資が必要です。その点、自宅派遣型のナニーサービスをご利用いただければランニングコストだけで済みますから、企業の規模を問わずご利用いただけます」と、井上氏は法人契約のメリットを語る。○需要増加に対応できる新システムの構築が急務にしかし、こうした需要増加に対応する上で、同社はシステム面の課題を抱えていた。2007年に構築した従来のシステムは、顧客の増加に伴い、取り扱うデータ量が大幅に増え、処理スピードの低下を招いていたのである。ナニーサービスでは当時、会員からの派遣依頼をオペレーターが電話で受け、会員情報と時間帯から最適なナニーをマッチングする業務プロセスを基本としていた。だが、システムの処理スピードが遅くマッチングに時間がかかるため、オペレーターは会員からの電話を一度切ってシステムに入力。マッチングの結果が出てから会員へ電話連絡を入れる、という流れを余儀なくされていたという。ポピンズ チャイルドケアサービス部マネージャーの菅原櫻子氏は「従来の方式ではオペレーターの対応に手間と時間がかかることに加え、お客さまをお待たせてしまうのが難点でした」と、当時の状況を思い出しながら語る。そこで同社は2014年に、大規模な業務改革を含むシステムの刷新について検討を開始した。これはオペレーターの電話対応業務を改善するだけでなく、“One Poppins”をキーワードに4つの部門が不完全な形で保有していた会員データを可能な限り統合し、見える化と業務効率化の実現を目指すというものだ。菅原氏は「従来は紙の申し込み書類ベースで会員登録を行っており、訪問した担当者への手渡し、もしくは郵送で弊社へお送りいただいていました。この書類は、緊急避難場所の地図やお子さまのアレルギー情報なども含めて、ひとつの家族で6~8枚程度のボリュームがあり、お客さまに手書きしていただくのには相当な時間がかかります。また、お子さまの成長に関する一部の書類を毎年書き換える必要が出てくるなど、お客さまの負担も決して少なくはありませんでした」と語る。こうした状況をシステム刷新により改善することで、業務改革に加えて顧客の利便性および満足度の向上を目指したのである。●開発段階からコミュニケーション手段としてkintoneを導入○開発段階からコミュニケーション手段としてkintoneを導入システムの刷新にあたり、同社はRFP(提案依頼書)を作成し、5社にプレゼンテーションを依頼。その中でニーズにベストマッチしたのが、サイボウズから開発パートナーとして紹介を受けたM-SOLUTIONSの提案だった。具体的には、Webデータベース型のビジネスアプリケーションをノンプログラミングで自由に設計できるサイボウズのクラウドサービス「kintone」と、Webシステムを組み合わせたハイブリッド型システムだ。「予算と開発期間の兼ね合いに加えて、kintoneの柔軟性と使いやすさに魅力を感じました。そしてもうひとつ、単純にシステムを構築するだけでなく、開発パートナーとして業務改革に対する提言をしてもらえるのも大きかったですね」と、井上氏は選定理由について語る。システムの要件定義から基本設計では、画面を見ながらその場で入れ替えができるkintoneの特長を活かし、スムーズな進行を実現。アジャイル型開発により、追加要望にも柔軟に対応することが可能となった。また、実際にシステムを操作するオペレーターの代表者数名が開発段階から参加し、現場の声を取り入れながらより使いやすいシステムを目指したという。さらに、kintoneを基幹システム本体だけでなく、こうした現場の声を取り入れるためのコミュニケーション手段に並行利用したのも、このプロジェクトにおけるポイントのひとつだ。菅原氏は「チャイルドケアサービス部のスタッフは全員女性で、まだ小さな子どもや介護が必要な家族がいて時短で働いていたり、週に数回早朝のみ出社したり、また毎日お客さまのご自宅を訪問していたりと、それぞれ時間や場所が異なった働き方をしています。そうした環境下でのコミュニケーション手段として、従来はメールを使っていましたが、どうしても見逃しがあったり、議論の方向性を見失いがちでした。しかし、kintoneを使い始めてからは情報のキャッチアップが大幅に効率化し、基幹システムの開発に関するリクエストはもちろん、会員情報に関する注意点など普段の業務に至るまで、幅広いシチュエーションで円滑なコミュニケーションが可能になったのです」と、kintoneの利便性について語る。またこうした取り組みは、基幹システム完成時からkintoneを使い始める場合と比べて、操作に慣れるまでの時間短縮という効果も生み出した。さらに同部署では、基幹システムの開発が完了した後も、通常業務のコミュニケーション手段として引き続きkintoneをフル活用しているそうだ。○顧客とオペレーションの双方に大きなメリットこうして2015年6月に完成した新基幹システムは、同社が要望していた業務改革、顧客の利便性および満足度の向上、そしてペーパーレス&キャッシュレス化のすべてを実現するものとなった。まず顧客側では、Webブラウザ経由で簡単かつ迅速に入会手続きを行うことが可能に。従来のように、複数枚の書類に手書きで記入するような手間が一切なくなった。これまで電話やメールで行っていた予約に関しても、時間指定からナニーの指名までスマートフォンから手軽にできるようになり、利便性と満足度が飛躍的に向上したのである。「弊社のサービスは、共働きなど基本的に忙しい親御さまのご利用が多いため、空き時間を見つけて簡単に入力していただくことでストレスを大きく軽減できました。そのため登録のハードルが下がり、今まで関心を持ちつつも登録まで至らなかったけれど、まず登録だけ済ませて緊急時に備えよう、というお客さまが増えています」と語る菅原氏。法人会員についても、例年と比べて3倍ほどのスピードで登録が進んでいるそうだ。一方で、ペーパーレス化により会員情報を直接デジタルデータとして扱えるようになったことは、オペレーション側にも大きなメリットをもたらした。菅原氏は「弊社ではお客さまの大切な個人情報を預かっていますが、従来はご依頼いただいた際にキャビネットから必要な書類を取り出し、担当のナニーへFAXやパスワード付きのメールで送付していました。FAXの場合、送った会員情報がしばらくナニーの自宅にある状態が続き、取り扱いも慎重にならざるを得ません。これまで問題が発生したケースはありませんが、誤送信なども含めて考えると企業にとって個人情報流出のリスクとなります。しかしペーパーレス化によって、こうした作業が一切不要になったのは革新的です。さらに今回、ナニーへの情報伝達手段をWebに一本化し、ご依頼から一定期間のみしか閲覧できない仕組みを導入しました。スマートフォンから見られるため印刷する必要がなく、お客さまへの安心感向上、会員情報を持つナニーの不安解消、社内業務の削減を同時に実現したのです」と語る。さらに、今まで書類送付に費やしていた時間を顧客対応に充てることで、サービスの充実にもつながったそうだ。「ナニーサービスは命をお預かりすることに加えて、第三者がプライベートスペースに入るセンシティブな仕事でもあるので、いざという時の相談や入会時の問い合わせは、ゆっくりと時間をかけて電話で話したい、といった要望もあります。そこに時間をかけられるようになったのは、まさに理想形といえます」と菅原氏は続けた。○事業をまたぐシステムとデータの共有化も現在同社では、kintoneについて1000ユーザー分のライセンスを購入している。これはナニーサービス以外に、今後はナーサリースクールやシルバーサービスでも使用するためだ。ポピンズ 経営企画部スーパーバイザーの神澤恵未氏は「例えばナニーサービスとナーサリースクールをご利用いただいているお客さまは、会員情報ひとつで両方のサービスをご利用いただけるなど、システムとデータの一部を共有化する予定です。このように、各サービスのアプリ部分を開発するだけで、全体が連携できるのも新システムの魅力といえます。ナーサリーサービスに関しては試験段階に入っており、10月以降に本格導入を開始し、2016年3月中にはすべてに導入する予定です」と語る。基幹システムの刷新によって、業務改革から顧客の利便性と満足度の向上、ペーパーレス&キャッシュレス化までを同時に実現したポピンズ。その中で導入されたkintoneは、これからも同社の業務を支え続けるだろう。●開発段階からコミュニケーション手段としてkintoneを導入○開発段階からコミュニケーション手段としてkintoneを導入システムの刷新にあたり、同社はRFP(提案依頼書)を作成し、5社にプレゼンテーションを依頼。その中でニーズにベストマッチしたのが、サイボウズから開発パートナーとして紹介を受けたM-SOLUTIONSの提案だった。具体的には、Webデータベース型のビジネスアプリケーションをノンプログラミングで自由に設計できるサイボウズのクラウドサービス「kintone」と、Webシステムを組み合わせたハイブリッド型システムだ。「予算と開発期間の兼ね合いに加えて、kintoneの柔軟性と使いやすさに魅力を感じました。そしてもうひとつ、単純にシステムを構築するだけでなく、開発パートナーとして業務改革に対する提言をしてもらえるのも大きかったですね」と、井上氏は選定理由について語る。システムの要件定義から基本設計では、画面を見ながらその場で入れ替えができるkintoneの特長を活かし、スムーズな進行を実現。アジャイル型開発により、追加要望にも柔軟に対応することが可能となった。また、実際にシステムを操作するオペレーターの代表者数名が開発段階から参加し、現場の声を取り入れながらより使いやすいシステムを目指したという。さらに、kintoneを基幹システム本体だけでなく、こうした現場の声を取り入れるためのコミュニケーション手段に並行利用したのも、このプロジェクトにおけるポイントのひとつだ。菅原氏は「チャイルドケアサービス部のスタッフは全員女性で、まだ小さな子どもや介護が必要な家族がいて時短で働いていたり、週に数回早朝のみ出社したり、また毎日お客さまのご自宅を訪問していたりと、それぞれ時間や場所が異なった働き方をしています。そうした環境下でのコミュニケーション手段として、従来はメールを使っていましたが、どうしても見逃しがあったり、議論の方向性を見失いがちでした。しかし、kintoneを使い始めてからは情報のキャッチアップが大幅に効率化し、基幹システムの開発に関するリクエストはもちろん、会員情報に関する注意点など普段の業務に至るまで、幅広いシチュエーションで円滑なコミュニケーションが可能になったのです」と、kintoneの利便性について語る。またこうした取り組みは、基幹システム完成時からkintoneを使い始める場合と比べて、操作に慣れるまでの時間短縮という効果も生み出した。さらに同部署では、基幹システムの開発が完了した後も、通常業務のコミュニケーション手段として引き続きkintoneをフル活用しているそうだ。○顧客とオペレーションの双方に大きなメリットこうして2015年6月に完成した新基幹システムは、同社が要望していた業務改革、顧客の利便性および満足度の向上、そしてペーパーレス&キャッシュレス化のすべてを実現するものとなった。まず顧客側では、Webブラウザ経由で簡単かつ迅速に入会手続きを行うことが可能に。従来のように、複数枚の書類に手書きで記入するような手間が一切なくなった。これまで電話やメールで行っていた予約に関しても、時間指定からナニーの指名までスマートフォンから手軽にできるようになり、利便性と満足度が飛躍的に向上したのである。「弊社のサービスは、共働きなど基本的に忙しい親御さまのご利用が多いため、空き時間を見つけて簡単に入力していただくことでストレスを大きく軽減できました。そのため登録のハードルが下がり、今まで関心を持ちつつも登録まで至らなかったけれど、まず登録だけ済ませて緊急時に備えよう、というお客さまが増えています」と語る菅原氏。法人会員についても、例年と比べて3倍ほどのスピードで登録が進んでいるそうだ。一方で、ペーパーレス化により会員情報を直接デジタルデータとして扱えるようになったことは、オペレーション側にも大きなメリットをもたらした。菅原氏は「弊社ではお客さまの大切な個人情報を預かっていますが、従来はご依頼いただいた際にキャビネットから必要な書類を取り出し、担当のナニーへFAXやパスワード付きのメールで送付していました。FAXの場合、送った会員情報がしばらくナニーの自宅にある状態が続き、取り扱いも慎重にならざるを得ません。これまで問題が発生したケースはありませんが、誤送信なども含めて考えると企業にとって個人情報流出のリスクとなります。しかしペーパーレス化によって、こうした作業が一切不要になったのは革新的です。さらに今回、ナニーへの情報伝達手段をWebに一本化し、ご依頼から一定期間のみしか閲覧できない仕組みを導入しました。スマートフォンから見られるため印刷する必要がなく、お客さまへの安心感向上、会員情報を持つナニーの不安解消、社内業務の削減を同時に実現したのです」と語る。さらに、今まで書類送付に費やしていた時間を顧客対応に充てることで、サービスの充実にもつながったそうだ。「ナニーサービスは命をお預かりすることに加えて、第三者がプライベートスペースに入るセンシティブな仕事でもあるので、いざという時の相談や入会時の問い合わせは、ゆっくりと時間をかけて電話で話したい、といった要望もあります。そこに時間をかけられるようになったのは、まさに理想形といえます」と菅原氏は続けた。○事業をまたぐシステムとデータの共有化も現在同社では、kintoneについて1000ユーザー分のライセンスを購入している。これはナニーサービス以外に、今後はナーサリースクールやシルバーサービスでも使用するためだ。ポピンズ 経営企画部スーパーバイザーの神澤恵未氏は「例えばナニーサービスとナーサリースクールをご利用いただいているお客さまは、会員情報ひとつで両方のサービスをご利用いただけるなど、システムとデータの一部を共有化する予定です。このように、各サービスのアプリ部分を開発するだけで、全体が連携できるのも新システムの魅力といえます。ナーサリーサービスに関しては試験段階に入っており、10月以降に本格導入を開始し、2016年3月中にはすべてに導入する予定です」と語る。基幹システムの刷新によって、業務改革から顧客の利便性と満足度の向上、ペーパーレス&キャッシュレス化までを同時に実現したポピンズ。その中で導入されたkintoneは、これからも同社の業務を支え続けるだろう。
2015年08月26日日本マイクロソフトは品川本社オフィスにて、社員の家族を呼び、父親や母親の働く姿を見せる「品川オフィスファミリーデー」を開催。2011年から数えて5回目となり、1,382人(369家族)が訪れた。このような取り組みは既に珍しくなっているが、日本マイクロソフトがここ数年力を入れている「テレワークスタイル」を体現した姿も実際に垣間見られた。○お祭りのような参加型プログラムが盛りだくさん2015年8月17日開催の品川オフィスファミリーデーは、1階のイベントスペースで来場受付を行い、20階~22階、24階~29階で社員が働いている姿を目にしながら、19階のカフェテリア「One Microsoft Cafe」で食事したり、各フロアでイベントに参加したりする。最初に訪れたOne Microsoft Cafeでは、Microsoft Azureなどを駆使して栽培された富士通の「キレイヤサイ」試食会、性別や国籍などの垣根をなくすダイバーシティを推進する虹色フィンガープリントペインティング、一部で話題の「How Old Do I Look」を実際に試せるブースを設けていた。ランチスペースには、日本マイクロソフトの代表取締役社長である平野拓也氏も訪れ、社員の家族と楽しそうに会話していた。そのときの話を平野氏に聞くと、「(社員の)奥様などは緊張していたらしく挨拶程度だった。でも実際に顔を合わせて話をできるのは大きい」と述べていた。その平野氏が働く社長室は、実にシンプルなたたずまいである。社長就任から一カ月半しかたってないが、社長室に持って来たのは段ボール半分だけ。卓上に並んでいたのも、ノートPC、Surface Pro 3、電話機、大きめの液晶ディスプレイといった程度。プリンターの設置を断るほど、ペーパーレスを実践しているそうだ。続いて同じフロアにある新設の会長室も取材したが、平野氏の社長室と同じ様にシンプル。違いを挙げるなら、以前から使っている冷蔵庫とプリンターがある程度。ただ、代表執行役会長の樋口泰行氏はアイディアを壁に書き留める習慣があるため、一部の壁面を白紙で隠していた。Microsoftの動向という意味で非常に興味深いが、最後まで目にすることはできなかった(これはしかたない)。もともと「品川オフィスファミリーデー」は、樋口氏が社長の時代から、コーポレートオペレーションズ(旧社長室など各部署が統合)が中心となって始めたものだが、その様子は年々変わっているようだ。日本マイクロソフトは、数年前から社員の席などを決めないフリースタイルを導入しており、Skype for Buisinessで簡単なコミュニケーションや打ち合わせを済ませるといったように、社内での働き方が大きく変化したという。さらに「日本マイクロソフト社内で行っていたフリースタイルを社外に広げたのが、我々が推進するテレワークの形」とも。技術革新で働き方が変わり、それを誇りと思える文化が社内に芽生えてきた。そんな自分の姿を家族に見てもらえるは嬉しいという。話を戻して、品川オフィスファミリーデーの会場で人気を博していたのが、「マイクロソフトのIDカードを作ろう」だ。社員が使っているIDカードに、子どもの写真を印刷するというサービス。取材関係者が訪れたときは、何十人も列を作って撮影や印刷を待っていた。「楽しもう! Officeライフ」は、Microsoft Officeのテンプレートを使ってさまざまなグッズを実際に作れる体験プログラムを開催。数年前から日本マイクロソフトはOfficeテンプレートに力を入れているが、正直なところこれほど多様なグッズを作れるのかと、恥ずかしながら驚かされた。「天体観測ワークショップ」を題した体験プログラムは、Surface Pro 3と宇宙の美しい画像を閲覧できるプラネタリウムソフト「WorldWide Telescope」で構成している。「お絵かき水族館」は、チームラボと日本マイクロソフトが共同で開催した体験プログラム。お子さんが塗り絵した魚の画を立体スキャナーで読み取り、バーチャル水族館に映し出すというものだ。これらのアプリケーションはWindows 10上で動作している。実際に参加したお子さんに感想を聞いたところ「ワクワクした」と嬉しそうに語っていた。この他にも記者向けとして、社内に設置してあったSurface HUBを披露。ちょうどMicrosoftは2015年7月に予想以上の注文件数が集まった結果、出荷時期を2016年1月以降に延期すると発表したばかりだが、筆者も本体を目にするのはこれが初めてだった。普段はすれ違う人もまばらな社内の廊下だが、この日ばかりは家族連れがところ狭しとあふれんばかりの盛況ぶり。まるでお祭りのようだった。平野氏は自身のお子さんから仕事内容を問われ、口頭で説明すると「メールを打って人と話すのが仕事なの?」といわたと苦笑していた。職場でどのように働いているかを家族に見てもらう品川オフィスファミリーデー、日本マイクロソフトは来年以降も続ける予定とのことだ。阿久津良和(Cactus)
2015年08月18日いま、人間の寿命は延び続けています。1950年の平均寿命が78歳だったのに対し、現在は84.5歳。しかも、英語圏のニュースサイト『GOOD』で紹介されている研究によれば、人口における85歳以上の人の割合は、2050年には35%に増えているのだとか。さらに驚くべきことに、現在の若者が年を取るころには、寿命は150歳まで伸びている可能性もあるというのです!そうなると、65歳くらいで仕事を辞めてもその後の生活は85年……。ライフスタイルを根本から考えなおさなければならないかもしれません。■長寿化が進めば働き方を考え直す必要がある世界最高齢の記録は122歳で、フランスの女性、ジャンヌ・カルマンさんが保持しています。しかし彼女以外にも、110歳以上まで生きる人はさほど珍しくありません。長寿化が進むにつれて、私たちは「どう生きるか」「どう働くか」を考えなおす必要に迫られるでしょう。「私たちは歴史上、これまでにないほど長生きするようになりました。人類として、初めての事態に直面しているのです」とスタンフォード大学の研究者であるタマラ・シムズさんはいいます。「働き盛りの中年期をどう過ごすか、文化的な変革が必要になっています。これは簡単なことではありません」■長寿化の時代には細く長く働くスタイルを!そのひとつの方法として、シムズさんは「老後から時間を借りる」ライフスタイルを提案しています。定年退職までわき目もふらずに働くのではなく、若いときはパートタイムの仕事などで自分の時間を持ち、家族と過ごしたり、自己実現の目標を達成したり、健康に気をつけて暮らす、という方法です。私たちは間違いなく、自分の両親や祖父母よりも長い年数働かなければなりません。「細く長く働く」という、親の世代とは違う意識が必要なのです。アメリカで俗に「ミレニアル世代」と呼ばれる、現在18~32歳くらいの世代は、いまもっともワークライフバランスを考えなければならない世代です。しかし、彼らは2008年以降の大不況で経済状況が悪化、自分の生活よりも仕事に集中しなければならなくなりました。スタンフォード大学の別な研究者であるドーン・カーさんは、若い世代に働き方を考えてほしいと訴えています。ミレニアル世代はベビーブームの世代とは違う生き方をしなければならないということです。「定年まで30年働いても、そのお金でその後60年間生活しようと考えるのは現実的ではありません」■長寿化なので老後のためにも長くできる仕事をカーさんは、若い世代に長い時間をかけて成長することができる仕事を選ぶことを勧めています。長くやりがいを感じる仕事は、老後の生活に潤いを与えてくれます。また健康面でも、65歳以上も働いたほうがいいと考えられています。シムズさんは「活動的でいることは重要」といいます。いままでバリバリ働いていた人が急に仕事を失うと、認知症や、気持ちが憂鬱になりやすくなるという問題が起きやすくなるのだそうです。働き方を変えることは、働く人にとって優しいだけでなく、国家全体にとってもメリットがあります。ミレニアル世代は現在、人口の3分の1を占めています。彼らが長期に渡って労働人口を支えてくれると、国家は潤います。若い世代に9時―5時の仕事だけを紹介するのではなく、様々な生き方を紹介するのもひとつの方法だと考えられています。また、最近では「ギャップ・イヤー」といって、大学を卒業後すぐに就職せず、自由な時間を過ごすということも行われています。寿命が延びると、いまの定年の年齢が人生の折り返し地点になるかもしれません。人生は思っているより長くなりそうです。就職活動中のみなさん、転職を考えているみなさん、どんな仕事をするか、もう一度働き方を考えてみてはいかがでしょうか。(文/スケルトンワークス)【参考】※The First Humans to Live to the Age of 150 Are Already Alive―GOOD
2015年08月15日毎日、一生懸命働いているのに、自由に使えるお金はごくわずか。限られた収入では欲しい洋服も満足に買えないし、お洒落なレストランに行く余裕もない。「ああ、もっとお金があったらなぁ」。そう思っている女性はきっと多いでしょう。そんな“お金に悩める女性たち”に、ぜひ読んでほしいのが、『可愛いままで年収1000万円』という魅力的なタイトルの1冊です。著者の宮本佳実さんは「ワークライフスタイリスト」。女性らしく自分らしく、お金に不自由しない幸せなライフスタイルを提案し、自らが主宰するセミナーや講座が大人気の30代女性です。宮本さん自身、アパレル販売員をしていた20代のころは「お金がない」が口癖だったそう。その彼女がいかにして「週休5日、実働10時間」のゆるやかな働き方で、年収1,000万円を超える生活ができるようになったのか。そのノウハウのすべてが、この1冊に凝縮されています。■年収600 万円の壁を超えるには好きなことを仕事に世の中には、多くのビジネステクニックやノウハウがあふれています。でも、そのテクニックを学んで一生懸命働いても、こと女性の場合、年収600 万円くらいで頭打ちになるのが常と、宮本さんは語ります。では、どうしたら年収600 万円の壁を超えられるのか。そのためには自分のエネルギーを最大限に注げることを仕事にし、自ら起業して仕事を楽しむことが一番だとか。なぜならば、そもそもお金はエネルギーの塊なのです。1枚の1万円札をつくるのに必要な原価は約22円。それが1万円の価値あるものとして世の中に広く流通しているのは、それだけお金が持っているエネルギーが強いから。そんなエネルギーの塊であるお金が好きなのは、やはりエネルギーの高い人間です。恋愛と同じで、双方のパワーが釣り合った者同士が惹かれるように、その人が持っているエネルギーが高ければ高いほど、お金もどんどん集まってくる。そのためには「安定」や「条件」で選ぶより、女性の場合はやはり好きなことを仕事にするのが一番だと宮本さんは勧めます。好きな服を着て、好きなバッグを持って、好きな場所で、毎日、好きな仕事に力を注ぐ。そんな「好き」に囲まれた生活が自分のモチベーションを高め、そのエネルギーに吸いよせられてお金もどんどん集まってくる。その具体的な方法の数々も、本書の中で詳しく述べられています。■2週間を単位に理想の働き方をシミュレーション!また、28歳で起業した宮本さんが年収1,000万円を手にするために実践し、効果バツグンだった「働き方シミュレーション」の具体的な方法も紹介されています。この方法は2週間をひとつの単位としたシミュレーション。自分の実現したい年収から月収を割り出し、それをさらに2で割って計算します。理想の年収が480 万円だった場合、2週間で約20万円稼ぐ必要があるわけです。その20万円をどうやって手にするか。週5日働くなら1日2万円の売り上げが必要で、週4日なら1日2万5千円。それだけの金額を、1日何時間、どんなスタイルで働いて得ていけばいいのか。自分が一番心地よいスタイルで計画を立てていきます。たとえば、「月曜日・午前中自宅でデスクワーク」「水曜日・ランチタイム お気に入りのカフェでスタッフとプラン会議」などのように、具体的に表にしてシミュレーションしていくことで、自分の理想のワークスタイルが明らかになり、目標も立てやすくなっていく。このシミュレーションを繰り返してきたことで、宮本さんも「週休5日、年収1,000万円」という現在のワークライフスタイルを実現したそうです。起業を目指す人だけでなく、パートや派遣で働く女性にも応用できそうな方法ですね。いきなり年収1,000万円は無理な話としても、日々の暮らしを楽しみながら、どんな働き方をして、いくらくらいの年収がほしいのか。自分の生きかたとお金の問題を見つめなおすには、うってつけの1冊です。(文/内山靖子)【参考】※宮本佳実(2015)『可愛いままで年収1000万円』WAVE出版
2015年08月02日「アンコンシャス・バイアス(unconscious bias)」という言葉を知っているだろうか? 日本語で「無意識の偏見」、考える以前の瞬時に浮かぶ先入観・固定観念を指す。同語は他人に対して抱くもののみならず、その人自身が「私にはできない」と思い込む場合にも用いられる。世界最大のトータルヘルスケアカンパニーであるジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人では、ダイバーシティを推進する社員の自発的な取り組み「WLI(Woman’s Leadership Initiative)」による「働き方に関するアンケート調査」(2013年)を実施。その結果、「様々なライフイベントにおいて、継続したキャリアを積みにくいイメージがある」「(女性の回答で)将来管理職になりたいかどうかわからない」という声がよせられたという。WLIでは、同社のダイバーシティを促進し、社員の意識を変えるための活動を実施してきた。しかし先の調査によって、様々なプログラムを受けてきた同社社員でさえも、無意識的に自分(あるいは他者)に対して「できない」というバイアスをかけてしまっていることが明らかになった。こうした状況を受け、同社は21日に「アンコンシャス・バイアス」ワークショップを開催。参加した社員は、座学とディスカッションを通して「アンコンシャス・バイアスとは何か」「多様な働き方を実現するためにはどうしたらよいか」を学んだ。○「アンコンシャス・バイアス」を知る「バイアス」とは、瞬時かつ無意識的に起こる知的連想プロセスの1つで、過去の経験などから身につくものである。具体例としては、「女性だから出しゃばらない方がいい」「男性は運転がうまい」「年上の社員が昇進する」などを想像するとわかりやすいだろう。ワークショップは、まず社員自身がもつアンコンシャス・バイアスを知るところからスタート。様々な言葉やシチュエーションに対し、どのようなバイアスをかけてしまっているのか話し合いが行われた。○バイアスによる悪循環を止めるためには?続いて、「『自分はできない』という考え(=自身にバイアスを掛けた状態)」がもたらす不公平性や悪循環について解説が行われた。例えば昇進や大きな仕事のチャンスが来た場合、実力があるのに女性だから・若いからといった理由から「自分にはできない」と思って遠慮してしまったとする。すると、その仕事は別の社員に任される。断った社員は実績・自信が身につかず、同僚の中で埋もれてしまう。結果、次の仕事が回ってこず、実績・自信がつかないという悪循環に陥る。一方、「やらせてください(=自身に「できない」というバイアスを掛けていない状態)」と手を挙げると、その役職に任命され、実績・自信が身につく。結果、また別の案件で声がかかり、更に実績・自信がつくという好循環が生まれるのである。鍵となるのは、「無意識」を「意識」し、アンコンシャス・バイアスにより生まれる僅かな差を解消できるかという点だ。ワークショップを主催した社員は、「僅かな違いでポジティブなサイクルになるかネガティブなサイクルになるかが決まる。スタート地点は同じでも、ほんの小さな意識の差により不平等性が生じ、優秀な社員が十分に能力を発揮できなくなってしまう」と説明する。こうした状況から脱するためには、自分でアンコンシャス・バイアスに気づくこと、そして瞬時に判断するのではなく、一度ゆっくり考えてから結論を出すことが求められる。また、上司や同僚も、その人に対して無意識的にバイアスを掛けていないかを意識し、意図的に機会を提供することが重要なのだという。最後に職場におけるアンコンシャス・バイアスの事例を各々が発表。それを意識化するためにできるアクションについて話しあい、ワークショップは終了した。参加者からは「他の職種の人から話を聞いて、『こんなバイアスがあるのか』と気付かされた」「採用はかなりバイアスがかかってしまうものである。アンコンシャス・バイアスを意識し、境界を見極めて採用活動をする必要があると思った」「『この人はこういう人だから、こんなふうに考えるんだろうな』という思い込みがあった。人の話を聞くときは、耳と目と心を持って聞くということを意識したい」といった感想が寄せられた。○まとめ働きたい会社ランキングの上位常連であるジョンソン・エンド・ジョンソン。社員主導でダイバーシティプログラムを行うなど、働きやすい環境づくりに余念がない。今回行われたアンコンシャス・バイアスのワークショップもその一環である。担当社員が「優秀な社員がいてもポテンシャルを発揮できないと、ジョンソン・エンド・ジョンソンの成長にネガティブな影響が生まれる」と語るように、アンコンシャス・バイアスの存在に気づき、個々の社員が能力を十分に発揮できるようになるかどうかが会社の成長の鍵となっていきそうだ。
2015年07月30日ジブラルタ生命保険はこのほど、「働く女性のホンネについての調査」の結果を発表した。調査は5月25日~26日、20歳~59歳の就業女性2,000名(各年代500名)を対象にインターネットで行われた。○結婚・出産が"仕事のやりがい"増加に…調査ではまず、「仕事にやりがいを感じている」と思うか聞いたところ、55.0%が「非常にそう思う(10.3%)」「ややそう思う(44.7%)」と回答した。この『そう思う』と回答した割合を配偶者の有無や子どもの有無別に見てみたところ、「配偶者がいる(63.0%)」という人は「配偶者がいない(49.7%)」人よりも高く、「子どもがいる(63.8%)」人は「子どもがいない(50.4%)」人よりも高かったことから、結婚や出産などのライフイベントが、新たな視点や気づきをもたらし、"仕事のやりがい"に好影響を与えていることが伺い知れる結果となった。○「女性の社会進出」と「男性の家庭進出」また、女性の社会進出について「女性ならでは、母親ならではの視点は仕事に活きる」と思うか聞いたところ、「そう思う」が64.6%となった。続いて、男性の育休取得や夫婦間の家事分担などの"男性の家庭進出"についての意見として、「女性の社会進出には、男性の家庭進出が不可欠だ」と思うか聞いたところ、「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した人は87.7%にのぼり、特に、管理職は「そう思う」が96.3%と高く、ほとんどの方が同意を示した。さらに、「子どもが小さいときは、できることなら家にいてあげたい」については「そう思う」が86.1%、「夫よりも収入が多いのはいやだ」では「そう思う」が26.3%となった。「子どもが小さいときは子どものそばにいてあげたいとの母心や、配偶者よりも多く稼ぐことを忌避するジェンダー(性差)意識を持つ女性が少なからず存在することも、女性の社会進出について考える際に意識する必要があるのではないでしょうか」と同調査。○「自分の収入が途絶えたら生活困窮」する既婚女性が38.2%もし、仕事を辞めるなどして自分自身の収入が途絶えた場合、生活への影響はどの程度か聞いたところ、「生活に困窮する(どれだけ生活レベルを落としても、すぐに行き詰まる程度)」が38.2%で、最多回答となった。自身の収入が途絶えたら生活が成り立たなくなるほど、家計に貢献している状況の就業女性が多いようで、この割合は配偶者がいる方でも4人に1人の割合(25.6%)となっている。以下、「生活に我慢が強いられる(食費や教育・養育費などを切り詰めることで生活できる程度)」が22.4%、「生活に余裕がなくなる(趣味・娯楽・美容などのゆとりを減らすことで生活できる程度)」が23.9%だった。金銭的な問題を考慮しなくても良い場合どのような働き方が理想なのか聞いたところ、「バリバリ働く(仕事での活躍や成功、高年収を目指す)」は9.1%で1割に満たず、「ゆるく働く(そこそこの仕事・責任で、仕事や家庭、趣味、交友のバランスを取る)」が57.0%で最多回答に、「好きなことを仕事にする(趣味を極めて収益化する、楽しく働けることを追求する)」が26.1%で続いた。また、「仕事は辞め、家庭のことに注力する(専業主婦など)」は7.8%で、こちらも1割に達しなかった。「仕事と家庭どちらかに注力するのではなく、仕事とプライベートとのバランスをとった働き方や、好きなことを仕事にするような働き方を理想としている就業女性が多いようだ」と調査では分析している。○女性が働き続けたいと思ったときの障害は「育児」次に、現在の職場環境で「男女差別」や「女性らしさを強要されている」と感じたことがあるか尋ねたところ、「女性管理職が少ない(25.6%)」、「雑用を任されやすい(25.6%)」、「男性のほうが昇給・昇格が早い(25.5%)」が上位となった。性別に関係するいじめや嫌がらせ(= ジェンダーハラスメント)関連の項目に注目してみると、「容姿や化粧、服装についての意見を言われる」が16.9%、「"女性だから"や"女性なのに"といった表現をされる」が16.8%で挙がったほか、いずれかの男女差別などの扱いがある割合は64.4%となった。では、女性が働き続けることを希望した場合、どういった障害を取り除いていくことで女性の活躍を促進できるのだろうか。「働き続けたいと思ったときに、障害になると思うこと」について教えてもらった結果、最も多かったのは「育児や子育て(46.2%)」であることがわかった。仕事と子育ての両立に理解がない職場環境や家庭環境、社会環境が一番の障害となっているよう。次いで、「自身の健康・体力などの衰え(35.4%)」や「介護や看護(34.9%)」といった健康に関する障害が3割台、「残業などの過重労働(26.9%)」や「有給・育休などが柔軟に取れない環境(26.8%)」といった労働環境に関する障害や、「パートナーの協力不足(22.1%)」や「昇給・昇格が見込めない(21.2%)」が2割台で続いた。○上司に言いたいこと1位は「待遇改善」次に、仕事の悩みや愚痴などの"仕事のホンネ"を安心してさらせる相手や場所について聞いたところ、「女友達(40.4%%)」が最も高く、次いで「パートナー(35.2%%)」「親(27.8%)」と続き、プライベートの人間関係が上位を占めた。配偶者の有無別では、配偶者がいる人は「パートナー(59.1%)」が最多で、配偶者がいない人は「女友達(38.9%)」がトップとなった。最後に、「もし、上司に直接言えたらスッキリすると思うセリフはなにか」と尋ねた結果、「(給料やお休みなど)待遇を改善してください(21.8%)」が最多となった。現状の待遇に不満を抱き、改善を訴えたいと思っていながらも、上申することに抵抗を感じ、ホンネを飲み込んでいる方が多いよう。次いで、「指示が矛盾しています(19.9%)」や「家庭(プライベート)の方が大事です(18.2%)」、「それは私の仕事ではありません/あなたがやってください(17.0%)」と続いた。この結果を、管理職と非管理職とにわけて比べてみたところ、管理職は「支持が矛盾しています」「それはセクハラ/パワハラです」など、指示の矛盾や職場のいじめ・いやがらせに対して意見することを我慢し、一方の非管理職は、「待遇を改善してください」や「それは私の仕事ではありません/あなたがやってください」など、待遇の悪さや業務範囲について意見することを我慢する傾向が見受けられた。
2015年07月29日一冊の本がきっかけで、人生が変わることがある。京大卒カリスマニートとして有名なphaさんの一冊目の著書『ニートの歩き方』(技術評論社)が僕の人生に与えた影響は大きい。『ニートの歩き方』を読んだことがきっかけで僕はブログを書き始め、そのブログがきっかけになり自分でも本を三冊ほど出すことになり、最終的には会社を辞めてフリーランスになる決意をした。あの時書店で『ニートの歩き方』を見つけて買っていなかったら、たぶん僕はブログを書きはじめることもなかっただろうし、こうやってマイナビニュースに何かを書くということもなかっただろう。今回紹介する『持たない幸福論』(pha/幻冬舎/2015年5月/1200円+税)は、そんな『ニートの歩き方』をより一般向けにした本だと思うとわかりやすいかもしれない。『ニートの歩き方』はニート的な生活を送りたい人へ向けての実践マニュアルという意味合いも強かったが(もちろんそうじゃない人が読んでも面白いのだが)、本書はどちらかというと理論が中心で、ニートになる予定がない普通の会社員が読んでも役に立つ内容になっている。「大学を出て新卒で正社員になる」ことや「X歳までに結婚してX歳までに子供を作らないと負け組」といった世の中の規定するプレッシャーに少しでも違和感を抱いたことがある人は、読んでみると新しい発見があるに違いない。○自分のペースを保って生きる本書の著者であるphaさんのことを知らない人もいるかもしれないので、簡単にphaさんの経歴を紹介をしておこう。phaさんは京都大学を6年間かけて卒業し一般企業に就職するものの、「働きたくない、だるい」という気持ちが強くなり数年で会社を辞めた。それ以降は定職につくことなくブログを書いたりWebサービスを作ったりして暮らしている。大学時代の寮生活の経験を活かし「ギークハウスプロジェクト」というシェアハウスプロジェクトの発起人になったりもしている。phaさんはカリスマニートとよく言われるが、いわゆる親のすねをかじっているニートと違ってphaさんは自活しているので、そういう意味ではニートというよりフリーランスといったほうが実際には正しい。しかし、精神的にはやはりニートに近い。たとえば、多くのフリーランスがお金はしっかり稼ぎたいと考えるのに対して、phaさんはお金よりも圧倒的に時間に重きを置いている。phaさんにとっては、毎日会社に決められた時間に通ってしっかりお金を稼ぐことよりも、たとえ収入は少なくとも自分のペースを保って生活に実感を持ちながら暮らすことのほうが遥かに大切だからだ。○自分の価値基準を持つことの大切さ現代日本の価値基準からすると、phaさんのような生き方には実際のところ批判も多いだろう。「若いものがそうやってダラダラ暮らしているなんてけしからん」「人間は仕事をしてこそ一人前だ」「若いうちはなんとかなるかもしれないが、老後はきっと困るはずだ」といった忠告が今にも聞こえてきそうである。しかし、こういった忠告は、実際のところ社会や世間が規定した「こうあるべきだ」という一つの価値観に基づくものでしかない。毎日会社に通って生活に十分なお金を稼ぐことができても、自分のペースを保って働くことができないのであればそれは見方によっては大きな不幸だと言える。結局、大事なのは自分が何をしているときにいちばん充実や幸せを感じられるかといった価値基準の問題にほかならない。世間のプレッシャーに流されて、それで本当に自分が幸せだと感じられることができないのだとしたらそれは大きな問題だ。「正社員にならねば」「結婚しなければ」「子どもを作らねば」といった「こうあらねば」が日本社会にはたくさん存在している。これが本当に自分の本心から来ているものであればいいが、ただ世間のプレッシャーに負けてそう思い込んでいるだけだとしたら、本書を読んで、一度自分の価値基準を考えなおしてみてもいいのかもしれない。○知識は人を自由にする『持たない幸福論』という書名があらわすように、本書の基本的なテーマは「世間の価値観ではなく自分の価値観に照らして、必要ないものは持たない」というものだが、それでも例外的に持つことを推奨されているものがある。それは「知識」だ。具体的には、読書をすることが強く推奨されている。これは僕も強く同意したい。人は知識を得ることで、今の時代の価値観を相対化して見ることができるようになる。読書をして知識を得ることは、自分の価値基準を持つことに大きく資するはずだ。本書でも言われているように、読書にはほとんどお金がかからないというのもいい。実は本書は、良質なブックガイドとしても利用できる。本文中では多くの本が参考文献として取り上げられているが、いずれも面白い本が多いので興味を持った人はぜひそちらも読んでみて欲しい。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年07月24日大手総合商社の住友商事は、時間外勤務の削減や仕事と育児・介護の両立支援など、さまざまなワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の施策に取り組んでおり、2015年4月には、特に優良な子育てサポート企業として、厚生労働大臣の"プラチナくるみん認定"を受けた。10年前から良い職場環境づくりに取り組み続けている背景にはどのような考えがあり、また、どのような世界が見えているのだろうか。ワーク・ライフ・バランス推進を担当している人事厚生部 課長の本山ふじか氏にお話を伺った。○ワーク・ライフ・バランスの理念と推進体制――まずは御社のワーク・ライフ・バランスに対する基本的な考えを教えていただけますか?当社がワーク・ライフ・バランスへの取り組みを積極的にはじめたのは2005年からなのですが、この時に「社員一人ひとりの仕事を含めた生活全体の充実が、活力を生み、新たな価値創造の原動力になる」と基本理念を掲げました。皆さんに共感してもらえる普遍的な概念だと思いますが、それをあらためて言葉にしたわけです。一般的に人材戦略のサイクルは「人材の確保」→「人材の育成」→「人材の活用」という流れとなりますが、当社ではワーク・ライフ・バランスを主に「人材の活用」面での施策と位置付けています。それが社員の活躍のベースになるという考えがあるからです。――どのような体制で、理念を具体的な施策に落とし込んでいるのでしょうか?「ワーク・ライフ・バランス推進プロジェクトチーム」を設立し、就業環境の整備や意識改革など、さまざまな施策を実行し続けてきています。人事だけで旗を振るのではなく、現場の状況もよく分かっている、各部門からの代表者で構成されており、いろいろなテーマで議論をしたり、人事からの提案を現場でもんでもらえるような双方向の関係を築いています。働き方の変革が活動の柱で、時間外勤務の縮減や有休取得の推進を全社員向けにやってきています。また、育児や介護といった個別事情を有する社員の支援も、法律で求められている以上の制度整備や事業所内保育所の設置など、積極的にやってきました。○社員の意識をどう変えていくか――ワーク・ライフ・バランスの概念はどうやって社員に伝えていったのでしょうか?意識改革については、例えば、労働組合と協力して「働き方カイゼンセミナー」を開催し、「働く」ということの意味を、さまざまな角度から考える機会などを提供しています。昨年は「今でしょ!」の林修先生や、医師と小説家を両立されている海堂尊先生を招いて、仕事か私生活かの二択ではなく、自分の人生で大事な物事をどうやってマネージしていくかなど、自分自身にとっての仕事の意味を考えさせられるお話をしていただきました。また、「ワーク・ライフ・バランスの推進」「仕事と育児」「仕事と介護」をテーマにしたパンフレットをつくり、全社員に配って、自社にはこのような制度があるということや、各種制度の趣旨や適正な利用についてきちんと紹介し、理解を促しています。――いずれもボリュームのある、充実した内容の冊子ですね。当事者だけでなく、妊娠中はどのようにコミュニケーションを取るべきかなど、上司や同僚が日頃思っている疑問にも答えるような内容にしています。育児休職に入る女性は、必ず上司と共に個別の面談をしているのですが、その時にこれをテキストとして使っています。本人と上司それぞれが気を付けるべきことや、本人のキャリアをどうやって考えていけばよいのか、良い事例・悪い事例ともにこれまでのノウハウが詰まっています。とはいえ、ライフイベント(結婚・妊娠・出産・育児など)の態様は一般化できるものではなく、住まいが遠い・近い、妊娠中の体調、お子さんの状況、家族のサポートの有無など個人の事情がそれぞれ違うので、一人ひとりの実状を踏まえた上で、各種支援制度の適切な利用方法を判断してほしいと、本人と上司に伝えています。○女性が活躍できる職場に――出産・育児関連としては、どのような施策をされているのでしょうか?代表的な例としては、事業所内保育所を2008年から運営しています。普通の保育園は4月にしか入れませんが、この保育所はいつでも入所が可能ですので、復職のタイミングをあえて4月にする必要がありません。現在は20名弱の方が使っていて、男性社員の利用も3割程度あります。――保育所を含め福利厚生の充実は、就職先を考える学生にとっても好評だと思うのですが、女性社員の採用はどの程度あるのでしょうか?女性は基幹職と事務職に分かれるのですが、女性基幹職を新卒で初めて2桁採用したのは2003年からです。以降は年度によって多少凸凹ありますが、平均して全体の2割程度を採用しています。2003年以前は、毎年1人2人の採用でした。――女性比率が少ないにもかかわらず、出産・育児のための制度を充実させることは、大きな決断のようにも思えます。そうですね。2003年から一定数の女性基幹職を採用するようになり、2005年に全女性基幹職を対象に意識調査を実施し、その時の「保育園があったらいい」「こんな制度が欲しい」という声を一つずつ検討し、必要と判断したものを実現してきました。当時はまだまだ女性基幹職の人数が少なかったので、不安な気持ちも大きかったようですが、こうした環境整備を、「会社が本気で自分たちに期待してくれている」というメッセージと捉え、「モチベーションが上がった」という声も多く聞かれました。採用した女性を、男性と同様に育成してきており、育児休職からの復職率もほぼ100%です。今後は、特にライフイベントと両立させながらの活躍事例をいかに増やしていくかが課題です。○海外勤務の支援制度――御社には海外駐在員が多数いらっしゃいますが、その方々に対しても支援をされているのでしょうか?海外駐在は商社の中でキャリアを積みあげていく上では当たり前にある仕事です。しかし、「小さい子どもがいるから」と、海外に送ることを上司がためらってしまっているところがありました。女性たちに聞いてみたところ「子育て中だからといって、海外駐在というチャンスを無くしたくない」という意見が多くあったので、それをもとに支援制度を設けたという経緯があります。――通常、海外駐在はどれくらいの期間になるのでしょうか?先進国への駐在の場合は4、5年とそれなりの期間になります。今、お子さんがいる女性はアメリカに2人、タイに1人いて、それぞれ活躍してもらっています。――具体的にどういった支援をされているのですか?いろいろありますが、例えば、保育費が日本以上にかかる場合は超過分を会社が補助しています。また、海外勤務ではまず自分が先に現地へ行って、あいさつ周りをしたり生活環境を整えてから帯同家族を呼び寄せるのですが、小さなお子さん一人では飛行機に乗れないですよね。このとき連れていく家族の渡航費も会社で負担をしています。個別対応にしても良かったのですが、あえて制度にしたのは「子どもがいる女性も海外に出していいんだ」と分かってもらうためのメッセージです。能力もやる気もあるのに活躍の場を提供できないのは、「もったいない」と考えています。***10年間にわたってワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる住友商事。後編はプロジェクト発足の経緯と、今後のビジョンについてお伝えする。
2015年07月23日長時間労働に慣れている私たち日本人にとって、残業はほとんど当たり前のもの。でも一方で、安倍政権は新たな成長戦略として“残業代ゼロ法案”を出し、すでに閣議決定されています。「施行されると、経営者が有利になるのではないか」「サービス残業までが合法化されるのではないか」などと問題視する人も少なくありません。では、他の国ではどうなのでしょう。国によって、長時間残業する国もあれば、あまり残業しない国もありそうですよね。そこで今回は、他国の残業事情は日本とくらべてどうなっているのか、イギリスの新聞『The Guardian』を中心に調べてみました。■1:日本では残業の上限が月45時間までと決まっている労働基準法では、週40時間を超える労働は、労使協定があれば残業と認められます。その場合の残業代は、一般的には1時間につき、通常の労働時間の時給×1.25倍。ただし残業は、月45時間までと決められています。また、会社によっても規定は違いますし、管理職になると、残業が認められないケースもあります。それに来年「残業代ゼロ法案」が実施されると、日本人の働き方は相当変わるでしょう。残業代が出ないのですから、早々に帰宅する人が増えるかもしれません。これに対して、まったく逆の流れになってきている国がアメリカです。■2:アメリカでは残業代をもらえる層が限られているアメリカのオバマ政権は、残業代を受けられる人の数を500万人増やすと発表して、産業界の猛反発を買っています。実はアメリカでは、残業代をもらえるのは週給455ドル(約5万5千円)以下の低所得層だけで、それ以上の収入がある管理職や専門職の人たちは、残業しても賃金はもらえません。しかし、そういう人たちのなかにも貧困レベルにある世帯があると指摘されているため、いま政府は、週給970ドル(約11万8千円)以下の人たちまで残業代が支払われるように要求しているのです。ですからアメリカでは現在、週給455ドル以下の労働者のみが、週40時間以上働いたときに残業手当を受けられます。残業代は1時間につき、勤務時間の時給×1.5倍で、何時間でも残業していいことになっています。つまり日本とは逆の発想になっているわけで、私たち日本人としては、アメリカの今後の成り行きが気になるところです。■3:中国では週40時間以上の労働は残業と認められるでは、中国ではどうでしょう?中国では1日8時間以上、もしくは週40時間以上の労働は残業と認められ、1時間につき通常の勤務の時給×1.5倍の残業代が支給されます。ただし残業は月36時間、週9時間までと決められていますし、管理職でも上位の人は残業が認められていません。中国が他の国と違うところは、週末の残業代が1時間につき、通常の労働の時給×2倍、もしくは、その週のうちに1日休暇が取れることです。祝日に働いたら、普段の3倍の時給になるというのですから驚きですね。休日の残業に関しては、中国は他のどの国より、かなり待遇がいいといえます。■4:イギリスでは週48時間以上の労働が禁止されているさあ、次は別の意味で驚きの国、イギリスです。というのも、「残業ってなに?」という声が聞こえてきそうなほど、イギリスには残業がないのです。そしてよく働いた人には、残業代ではなく追加の休暇が与えられるのだそうです。また、週48時間以上働いてはいけないことになっています。■5:フランスでも週48時間以上の労働が禁止されているフランスでは週35時間以上の労働になると、残業代が出ます。残業代は、8時間までなら1時間につき通常の時給の1.25倍となり、8時間を過ぎると、1.5倍になります。ただし、フランスだけが1日10時間しか働いてはいけないことになっているのです。団体協約があれば12時間まで働けますが、基本的には週48時間以上働けません。さすがに、バカンスを長期に取ることで有名な国ですね。労働時間そのものが、他の国より短いといえるでしょう。■6:カナダでは州によって残業制度が異なっているカナダでは、州によって残業制度は違います。労働時間も週40時間まで認められているところと、週44時間のところがあります。プリンス・エドワード島では、週48時間以上働いたら、残業と認められます。ある地域では、残業代は1時間で通常勤務の時給×1.5倍ですが、ある地域では、残業代は定額で決まっていて、時給12.38ドルと決まっています。どうでしょう?6ヶ国を比較してみると、想像通りの国もあれば、思いもよらない残業規定の国もありました。どの国もそれぞれによい点、悪い点があったのではないでしょうか?どの国の働き方が理想的だと感じましたか?(文/和洲太郎)【参考】※Working overtime hours across the world: how does the US compare?-The Guardian
2015年07月16日いい仕事をするためには取引先への接待は不可欠で、飲み代は会社の経費で落とす。一昔前までは、それが大半の社会人にとっての常識でした。しかし、昨今の状況は少し違ってきています。個人的な飲み会では経費が落ちず、そもそも飲み会に参加せずサッと帰宅してしまう“ゆとり世代”の社員がいるほど。時間外勤務についての美徳は古いという風潮になってきたのです。そこで今回は、働き盛りの全国30代の男女300名に「いい取引先への接待は必要だと思いますか?」というアンケートを実施してみました。結果は「必要」が44%、「不要」が56%。“必要派”の男女内訳は男性が46%、女性が40%。女性よりも男性の方がやや「必要」と感じているようです。■44%の人が接待を必要だと思う理由それでは、まずなぜ接待が「必要」と思うのか、集められた理由からいくつか紹介しましょう。「仕事を円滑に進めるため」というのはもちろん、それ以外に感謝を表わすために接待を使う人が多かったです。「気持ちを行動で表す必要がある」(37歳/男性)「日ごろのお礼もかねて」(36歳男性)「関係が深くなると思う」(37歳/男性)仕事以外の時間にアルコールを飲みながら話すことが、仕事につながるという考えも根強いようです。「お酒などの力で、普段聞けない情報を得ることができるから」(33歳/男性)「酔っているときにはいろいろ聞けるし、しゃべってもらえる」(32歳/女性)「飲みニケーションは大事」(34歳/男性)■56%の人が接待を不要だと思う理由一方、半数以上の“不要派”からは、接待に対する否定的な考え方が目立ちました。「接待は無駄だと思う。過去の遺物になりつつある」(32歳/男性)「こびを売るようになるから」(34歳/男性)特に女性からの意見で多かったのが、接待自体が過去の慣習で、時代錯誤だという声。「お酒が飲めない人もいる」(35歳/女性)「プライベートを削ってまでしたくない。商品自体で勝負すればいい」(34歳/女性)「いまの世に合わない」(35歳/女性)たしかに、接待でなんとかなる仕事ばかりじゃないですよね。■接待は『ゆう活』を妨げる恐れが!ところで、内閣府が『ゆう活』をPRしていることをご存知でしょうか?『ゆう活』とは、昼の時間が長い夏の間に、夕方を楽しく活かす働き方。朝型勤務にシフトチェンジし、早めに帰宅してオフの時間をつくろうという働きかけです。これまで「平日には無理」と思っていた趣味や、家族との時間、習い事などあらゆる時間を増やすことで、夏の生活スタイルを変革でき、生活を豊かにしていこうというわけです。民間企業では、まだ『ゆう活』を積極的に取り入れている会社は少ないと思いますが、国家公務員は、7月から勤務時間を早めるなどの対応を始めています。接待自体が「いまの世に合わない」という意見が出てくる背景には、このような政府の方向性も関係してきているのかもしれません。勤務時間後に気を使いながら食事や酒をくみ交わすことは、もう古い話になってきているのでしょう。働き方は、時代で自然と変わっていくもの。もしかしたら、接待ということばが消えてしまう日も、そう遠くないのかもしれませんね。(文/中田蜜柑)【調査概要】調査方法:インターネットリサーチ『リサーチプラス』調査期間:2015年6月6日(土)調査対象:全国30代の男女計300名
2015年07月13日就職して何年か経ち、なんとなく満たされない。「これが私の人生?」。もし、そんなモヤモヤを心の片隅に持っているのなら、見てほしいのが、NHK Eテレで放送中のドキュメンタリー番組『人生デザインU‐29』。主人公は、仕事に悩み、新たな道を模索する20代の男女。ワークライフバランスを大事にしようと、外出が困難な人のために出張する訪問美容師になった元一流サロン勤務の28歳や、職を転々とした後、農業にやり甲斐を見つけた29歳…。突出した能力があるわけではけっしてない、等身大な人たちだ。「すごいけど私には無理…」とはなから諦めず、「もしかしたら自分もできるかも」と思わせてくれる人選!「この番組には、視聴者の手の届く範囲でやっている20代に出ていただいています。東京でトンガったことをしている人だと、『特別だよね』で終わってしまう。そうではなく、郊外の大型ショッピングモールに地元の仲間と集まるのが楽しいといった、ある種のふつうの感覚も大事にしたいと思っています。“グローカル(グローバルとローカルを掛け合わせた造語)”という言葉がありますが、大半の人は東京ではなく、地方に住んでいますしね」とチーフ・プロデューサーの早乙女裕子さん。主人公に密着するのは、全国の若手ディレクター。同世代だからこそ、主人公の悩みに共感できるのが強み。「地方にいるディレクターが自分の取材ネットワークから、同じ悩みを持っている人を見つけてくるのが面白いですね。取材期間は、事前取材が約2か月、ロケ自体は10日程度。1週間で撮る映画もある時代にあって、かなり贅沢な枠です。全国放送ですし、地方の若手にとっては、ハレの場なんですよ」番組タイトル“人生デザイン”に込めた意味とは…?「説明されないとわからない、その人にしかできない唯一無二の職業が増え、働き方が、生き方そのものになってきていると感じます。そうした新しい価値観を盛り込もうと出てきた言葉が“人生デザイン”です」簡単ではないけど、不可能でもない。やるかやらないか。無名の主人公との差は、きっとそれだけ。納得いく仕事を選び、思い通りの人生をデザインするのは自分しかいない!◇ナレーションを担当するのは、俳優の松坂桃李さん。柔らかな声が心地よく、映像を邪魔することなくす~っと入ってくる。「松坂さんご自身がU-29世代。思い切ってオファーしたら、『僕らは“ゆとり”とくくられてしまうけど、すごい人もいるんだぞ』とずっと思っていたそうで、番組のコンセプトに共感していただけました」と話すのはプロデューサーの早乙女さん。◇U‐29世代の新しい働き方や生き方を描く密着ドキュメント。7/13・15は島根県の特別支援学校の寄宿舎で働く「寄宿舎指導員」を放送。毎週月曜19:25~19:50、水曜23:25~23:50(再放送)。NHK Eテレで放送中。※『anan』2015年7月15日号より。取材、文・小泉咲子
2015年07月09日電通は2日、「シニア×働く」調査の結果を発表した。対象は50代後半に就労経験のある首都圏・中京圏の60~69歳2,600名。期間は、3月21日~25日。○男性の約8割、女性の約4割が「定年退職」50代後半に働いていた対象者のうち、「定年退職」を経験した人は、男性は80.5%、女性は41.5%だった。また、定年退職年齢は男女とも平均 60~61 歳となった。定年退職経験者に、定年後の仕事継続状況を聞いたところ、男性の71.9%、女性の54.6%が定年後も働くことを継続していることがわかった。男性は60代前半・後半に関わらず7割以上が定年後も仕事を継続している。また、定年後引き続き働いている人のうち、56.6%が再雇用契約をして同じ会社やグループ会社で働いていた。○「働きたい」のに「働いていない」人、全体の約3割に次に、就労希望と就業状況を質問。結果、「働きたい」と思っている60代男女の65.6%は、希望通り働いているが、34.4%は「働きたい」と思っているが「働いていない」ことが判明した。また、「現在働きたくない」と思っている人の25.0%は「働いている」ことがわかった。女性の結果を見ると、60代前半の31.4%、60代後半の54.1%が働きたいと希望しつつも働いていない。シニア女性の働く場が限られていることがわかる。○現在の給与、60代前半の半数以上が「もっともらってもよい」現状の働き方などについて、定年前に思い描いていたイメージに合致しているかどうかを聞いたところ、仕事の楽しさ、やりがい、若い人たちとの関係性、1日の忙しさについては、「イメージどおり」が5割を超えた。一方、イメージどおりでないことには、「休みがとりやすいこと」「手取り収入が少ないこと」が上位に挙がった。現在の給与について、60代前半は52.7%が「もっともらってもよい」と考えており、妥当だとする人は45.2%にとどまった。一方、60代後半になると、「妥当」が57.7%となり、「もっともらってもよい」が39.6%となった。なお、現在の手取り収入(1カ月)の平均額は、男性は60代前半が24.9 万円、60 代後半が18.8万円。女性は、60代前半で11.9 万円、60代後半で11.1万円だった。理想の働き方を聞いてみると、男性は60代前半・後半ともに最多は「今まで培ってきた専門能力や知識を生かして働く」こと。次いで「給与は少ないけれどものんびり働く」、「自分の趣味を生かした職業につく」となった。一方、女性では、60 代前半後半ともに、最多は「パートタイムで比較的自由に働く」。続いて、「給与は少ないけれどものんびり働くこと」が上位に挙がった。男性では今まで培った能力を生かしたいと思う人がいるものの、男女とも「のんびり働く」ことを理想としていることが伺える。
2015年07月03日生きている限り悩みは尽きないが、その中でも人間関係の悩みほど厄介なものはない。会社で働いていて、仕事の内容には満足しているのに人間関係で躓いてしまい、結局環境を変えざるを得なくなったという話はよく耳にする。心理学者のアルフレッド・アドラーは「人間の悩みはすべて人間関係の悩みである」と言ったそうだが、すべてかはともかく、人間関係の悩みが数ある悩みの中でも大きな比重を占めていることは間違いない。人間関係の悩みが難しいのは、「感情」という理屈では割り切れない要素が大きく絡んでくる点にある。たとえば仕事で苦手な人と付き合う場合に、「あの人とは仕事上の関係でしかない。どう思われても構わない」とスパッと割り切れれば実はそんなに害はない。しかし実際には、相手が嫌なヤツでもできれば嫌われたくないと思ってしまうし、嫌なことを言われたら不快な思いが長時間心から消えない。これらは結局「自分の感情のコントロール」の問題なのだが、怒ったり落ち込んだりといった自然発生的な感情を理屈だけで完全に支配するのはとても難しい。今回紹介する『心がスッキリ軽くなる 苦手なあの人と付き合わないですむ本』(中村将/宝島社/2015年6月/1300円+税)がテーマにしているのはまさにこの「感情のコントロール」である。対人関係で感情のコントロールがうまくできずに悩んでいるという人はぜひ本書を読んでみて欲しい。本書で紹介されている「考え方」を身に付ければ、毎日がもっとすごしやすいものに変わる可能性がある。○自分ごとゾーン/他人ごとゾーン表で悩むべき問題を選別する感情をうまくコントロールするための手段として、本書では「自分ごとゾーン/他人ごとゾーン表」というツールが紹介されている。これはある問題が「自分にとって悪いことがある/悪いことがない」「他人にとって悪いことがある/悪いことがない」という要素の組み合わせで表現される二次元マトリクスで、ある問題に突き当たった時はそれがこのマトリクス上のどのゾーンに位置するか考えた上で、対応方法を決める。たとえば、「自分の子供が受験に失敗しそうだ」という問題があったとする。この場合、他人である自分の子供にとって、受験に失敗するのは悪いことである(他人にとって悪いことがある)。一方で、親である自分について考えると、別に子供が受験に失敗したところで学校に通えなくなるのは子供自身なのだから、実害はない(自分にとって悪いことがない)。以上より、「自分ごとゾーン/他人ごとゾーン表」を用いるとこの問題は「他人にとって悪いことはあるが、自分にとって悪いことはない」ゾーンの問題だと考えることができる。○自分にとって悪いことがないなら、もう気にしない「自分ごとゾーン/他人ごとゾーン表」を用いて問題の属するゾーンが確定したら、あとは機械的に悩むべきか悩むべきでないかが決まる。「自分とって悪いことがある」場合は悩むべきで、「自分にとって悪いことがない」場合には悩むべきではない。この場合は他人にとっては悪いことだが、自分にとっては悪いことではないので悩まない。そうやって割り切る。ここまで読んで「自分の子供にとって悪いことがあるのに悩むなというのは酷いのでは?」と思った人もいるかもしれない。そう思うこと自体は立派なのかもしれないが、感情をうまくコントロールしたいのであればいったんこういう考え方は捨てたほうがいい。多くの人間関係の悩みは他人ごとであるはずの問題を他人ごとだと捉えられないことで起きている。「他人に親切にしましょう」という道徳の常識は、いったん忘れてしまったほうがいい。他人に親切にするのは、まず自分が完全に満足して不満のない状態になってからでよいはずだ。「自分よりも他人を優先する」という行動原理を貫くと、自分の人生ではなく他人の人生を生きていることになってしまう。たとえ他人に嫌われることになったとしても、自分の人生を生きたほうがいいのは間違いない。そういえば、あのスティーブ・ジョブズも「他人の人生を生きることで時間を無駄にするな」と言っていたなと本書を読みながら思い出した。○他人の悩み相談に乗るときのお手本としても本書のもう1つの使い方として、「誰かの悩み相談に乗るときのお手本にする」というのが考えられるかもしれない。本書は悩みを抱えた人と著者の対話という形式で進んでいくのだが、実はこの対話の質が非常に高い。理屈を押し付けるわけではなく、かと言って完全に相手の言うことに迎合するわけでもなく、示唆を与えて相手に自分で「気づかせる」というやり方で本書のカウンセリングは行われていく。もし誰かの悩み相談に乗る機会が今後あるなら、本書のようにできたらいいだろうなと思わずにはいられなかった。そういう意味では、本書は自分が人間関係の悩みを抱えている場合だけでなく、周囲に人間関係の悩みを抱えている人がいる場合でも使える本ということになる。人間関係の悩みに携わるすべての人に、本書はきっと重要なヒントを与えてくれるだろう。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年07月03日キャリアデザインセンターはこのほど、早朝勤務についての調査結果を発表した。同調査は4月16日~20日、転職サイト『女の転職@type』の20~30代の女性会員およびWebマガジン『Woman type』サイト読者を対象にインターネットで実施したもの。有効回答者数は214名。平均的な出社時間は始業の何分前かを聞くと、最も多い回答は「5分~30分前」(53.4%)だった。2位は「30分~1時間前」(22.4%)、3位は「1時間以上前」「5分未満でギリギリ」が9.3%で同率だった。次に、1日の平均的な残業時間について質問。「早朝出社」派と「ギリギリ出社」派の平均的な残業時間を比較したところ、ギリギリ出社派は「ほとんどない」人が45.0%と半数近くを占め、残業があっても「1時間未満」という人が4割という結果になった。一方、早朝出社派も35.0%が「ほとんどない」と回答したものの、「1~2時間未満」残業がある人と「2時間以上」残業がある人がいずれもが2割を占めている。このことから、出社時間が早い人たちの方が残業時間も長い傾向にあることが明らかになった。「勤務時間の面で、今の働き方に満足しているか」という問いに対し、「満足している」と答えた人はギリギリ出社派が65%、早朝出社派が35%だった。早朝出社派の65.0%は「不満に思っている」と回答したことから、残業しても仕事が終わらないため、やむなく早朝に出社しているという状況がうかがえる。早朝出社のエピソードを尋ねたところ、「電車が遅れても遅刻にならない」「満員電車に乗らずに済む」など通勤時のメリットのほか、「周りの人から話し掛けられずに集中して仕事ができる」「就業準備をゆったりと行える」などのコメントが寄せられた。
2015年06月29日うちのダメ夫
あの日、私はいじめの加害者にされた
東京マウントガールズ