2020年12月18日 19:50
今年の注目ワードは「シスターフッド」 “今”読みたい小説5選
そして日本社会の中心にふんぞり返っている「おじさん」から自由になるべく立ち上がる。著者初の長編小説。1500円(中央公論新社)
日常に潜むジェンダーバイアス。
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』大前粟生
表題作は、ぬいぐるみに心の内を語るサークルに所属する大学生・七森が主人公。「男らしさ」「女らしさ」のノリが苦手な彼は、痴漢被害の話に胸を痛め、女性を見下す会話に同調して自己嫌悪に陥る。繊細な若者たちを描いた4編。1600円(河出書房新社)
バディの生涯変わらぬ友情。
『ピエタとトランジ〈完全版〉』藤野可織
天才的頭脳を持つ女子高生探偵トランジと、その才能に惚れ込んで助手となる同級生のピエタ。トランジは事件を誘発させる体質で、次々と周囲で人が死ぬなか恐るべき事実が明らかに。2013年に発表された短編が、長編ガールズエンタメに変身。1650円(講談社)
母親の呪縛に囚われた娘たち。
『愛されなくても別に』武田綾乃
浪費家の母を抱え、学費と家計のために日夜バイトに明け暮れる大学生・宮田。母に売春を強要されていた江永。過干渉な母を持つ木村。過酷な奨学金返済や毒親などの社会問題を背景に、現代を生きる10代の苦悩と友情を描いた問題作。