2021年1月28日 19:00
現代のチャップリンが訴える「いまの危機を止められるのは若い人だけ」
―なるほど。そういった作業をされていたからこそ、これだけの長い時間を要するんですね。
監督そうなんですよ。僕の作品では、まずいろいろなことに神経を研ぎ澄ませた状況のなかで生活をし、“時間を生きる”というのが必要不可欠になるので、非常に時間がかかってしまうのです。本やアニメなど、原作があるわけではありませんからね。
ただ、その代わり僕は自分のことをスポンジのような存在だと思っています。つまり、政治的でも社会的でも、それらの要素を自分のなかにしみ込ませていき、自分なりに見つめ直したうえで映画という形に変容させていく作業をしているからです。
大事にしているのは、つねに敏感でいること
―そのなかで、意識されていることはどのようなことでしょうか?
監督大事にしているのは、つねに敏感でいること。
そして、自分を客観的に見ることができる距離に自分を置くということですね。僕自身が主人公として登場しているので、僕の行動や精神、そして僕が感じている憂うつさや落ち着かなさから、おかしみが見えてくればいいなと。
なぜなら、僕は社会から少しはみ出しているという立場で登場することになっていますから。