2021年2月23日 18:20
学校に馴染めない少女たちが図書室で…謎解き&仕掛けにも注目の短編集
たとえば、読書感想文の嫌いな生徒に対する接し方などは絶妙。
「読書感想文はそんなに肩ひじ張って書くものじゃないと思います。ただ、僕自身は、言葉にすることで気持ちが形になる経験がありました」
この短編には、タイトルの分からない本を探すという謎解き的な面白さも。また本作には、ミステリー作家の相沢さんらしい仕掛けも用意されていて、これがとても心に響く。
「ただ驚かせるのではなく、自分がどういう大人になるか分からず不安でいる世代にひとつのアンサーを提示できればと思いました。いま周囲に助けてくれる人がいない子に対するアンサーも入れたくて、ページ数も増えましたね」
読み終えた時には「今はつらくても、きっと大丈夫」というメッセージが伝わるはず。『雨の降る日は~』は学校の図書室からのリクエストが多いというが、
「今回の本も、いま学校に通っている子たちの何かになれれば」
と相沢さん。あなたに寄りそう一冊が、ここにあります。
『教室に並んだ背表紙』本好きなあおい、読書感想文が苦手なあかね、二次元キャラ推しの萌香、教室で村八分にされたエリ…。少女たちが図書室で見つけるものは。集英社1400円
あいざわ・さこ1983年生まれ。