2021年3月3日 20:00
『愛の不時着』並みの熱狂!…『嵐にしやがれ』でも話題の作家による『クイーンズ・ギャンビット』レビュー #4
毎日遊びに出かけている。ベスは、大会に集中しようと焦っている。リラックスしたほうがいいと、養母アルマが遊びに出かけようと誘う。
「明日、大会がはじまるのよ。エンドゲームの研究をする」
「もう少し人生の研究をしたら。人生チェスだけじゃない」
「これが得意なの」
「私の経験からして得意なことが大事なことじゃない」
「なら何が大事?」
「生きること成長すること。人生を楽しむの」
とはいえ、養母アルマが奔放に遊んでいられるのは、ベスの賞金のおかげだ。
養母アルマは、自分が得意なことを仕事にしなかった。
彼女はピアニストを目指していた。だが、あがり症のため断念したのだ。文通相手の男は、オアハカ(メキシコの都市)に帰ってしまう。アルマは「仕事でオアハカへ」と言っているが、おそらくこれは彼が家庭や仕事のある街へ戻ったということだ。
「オアハカってきっとデンバーみたいなところね」とアルマは言う。
デンバーは、養父ウィートリーがいる場所。ウィートリーは、デンバーに行ったきり戻ってこなくなった。デンバーで仕事をし、おそらく別の家庭を築いている。
ベスの実母アリスも、才能をどう扱うか悩んでいたのかもしれない。