2022年1月13日 20:40
元ボート難民の映画監督が語る実体験「30年ぶりの祖国では奇妙な感覚に襲われた」
そんななか、送られてきたのがヘンリーのオーディションテープ。当時は、ハリウッドの映画を2本撮影したと聞いてはいましたが、まだ公開されていなかったので、僕としてはまだ経験の少ない役者だなと思っていたくらい。まさかこれほどの大スターになるとは考えてもいませんでしたね(笑)。
―では、最終的にヘンリーさんにお願いしたいと思った決め手は?
監督彼の映像を見たとき、言葉では言い表せないけれど、彼は何かを持っていると直感してワクワクしたんです。そこで、彼に会うためにLAまで行き、いくつかのシーンの読み合わせをすることに。そのときに彼の感情がリアルで純粋であること、そして心の奥から来ている自然なものだと感じたんです。実際に会ったときに僕のなかで「彼がキットだ」という確信もあったので、キャスティングすることになりました。
―イギリス人の父とマレーシア人の母を持つヘンリーさんも、監督同様に自身の国籍に関する問題には葛藤があったようですね。
監督確かに、ヘンリーにも僕と同じようなバックグラウンドがあったので、そういったことに関してはたくさん話し合いをしました。彼も自分自身の居場所や存在についていろいろな迷いがあったからこそ、キットのことをきちんと理解し、あのような演技をしてくれたのだと思います。