くらし情報『表現の自由はどこまで許される? 創作と性加害をめぐるコミック『恋じゃねえから』』

2022年7月11日 19:10

表現の自由はどこまで許される? 創作と性加害をめぐるコミック『恋じゃねえから』

しかもこのふたつが組み合わさると、近くにいる人も口を出せなくなるような構図があると思うのです。手放しに称賛することで何を損ない、何を強化するのか考えたいと思いました」

物語で最初に登場するのは、40歳の主婦・茜。家事の傍ら、フリーで翻訳の仕事をしているのだが、この年齢にして入れ歯だったり、午前中から日本酒をあおったり、どこか穏やかでない。あるとき、中学時代の塾講師・今井が彫刻家になったことを知り、彼が発表した裸の少女像が、かつての親友・紫(ゆかり)によく似ていることに気づく。茜が知る限り、ふたりは恋愛関係だったが、ある出来事に対して後悔の念を抱き続けていた彼女は、26年ぶりに紫と連絡を取り、今井の作品の存在を伝える。

「少女の紫と中年になった紫は同一人物ですけど、かたや少女時代はミューズのように形に残され、もてはやされるのに、年を取ったら彼女の発する言葉さえ大事にされない。だけど、少女だった彼女が今井に大事にされていたかというと、それはまた別だったりもしますよね。向かい合っているのに言葉が届かない、そんな状態だったのだと思います」

表現の自由はどこまで許されるのか。
先生と生徒の禁断の恋、なかったことにされる小さな声、傍観することの罪、年齢で変わる女性の扱われ方……。

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