2022年10月10日 20:00
可愛くて切なくて痛快! 万城目学による“吸血鬼少女”の物語『あの子とQ』
細かく設定された吸血鬼界のルールもかなりユニーク。
「吸血鬼に関する情報は、小学校の時に妹と一緒に読んだ『ときめきトゥナイト』で止まっているんです。それで改めて吸血鬼ものをいろいろ観たら、最近のものは“血の渇き”の描写が生々しい。誰かが出血して血がぽたっと落ちるシーンがスローになって、吸血鬼がそれを見てゴクリとする、とか。そこから血の渇きから解放されるルールを作るうち、監視役としてトゲトゲのQというキャラクターが浮かびました。第1章は、主人公とQがどう距離を縮めていくのかが勝負でした」
第一印象は最悪、でも少しずつ互いを理解していく弓子とQ。しかし誕生日前にとんでもない事態が…。そこから弓子は決死の行動を起こす。
大冒険のなか、脱力させるのは弓子の親友・ヨッちゃん。片想いの相手にいきなり「郵便番号おしえてください!」と尋ねるなど、どこかズレていて、そこが魅力。よくこんな言動を思いつけるなと思ったら…。
「あれ、実話です。同じ学校のM君がいつも同じ電車になる女の子に告白するというので、その日うちの学校の奴らがみんなその車両に集まったんです。そしたらM君が照れて“電話番号教えて”と言えずに“郵便番号教えて”と言いまして(笑)。