2022年11月7日 21:00
愛するペットとの別れ…飼い猫の介護や看取りを描く『ポッケの旅支度』
ずっと悲しみ続けることも、冷静でい続けることもできないので、その部分をたしかに描き取りたかったんです」
介護や看取りに対する迷いを通して描かれるのが、後悔の多い別れ方をした前の飼い猫・こぜや、同じようにペットを看取ってきた人たち。
「子どもの頃から飼っていたこぜは絶対的な存在だったので、思い出を気安く共有したくない気持ちと、いつかマンガにしなければという気持ちが葛藤していました。またターミナルケアがテーマでもあったので、周りの人たちのいろんなケースを意識的に入れてみました」
本作の反応として、イシデさんが多くて驚いたというのが、ペットを看取った読者自身の体験談。
「苦痛を一気に吐き出すような感想をたくさんいただき、その光景に圧倒され、自分はこの人たちに代わってマンガを描いたのかもしれない、と最近思うようになりました」
そして「覚悟があれば死がつらくなくなるわけではない」と続ける。
「私がどうにか看取れたのは、愉快な暮らしの積み重ねがあったから。ペットが元気なうちは火葬する場所をググる程度にしておき、いっぱい大笑いして楽しく暮らせばいいと思います。その体験は介護が始まったとき、大きな馬力になるはずです」