18歳で上京、トキワ荘に…水野英子「唯一女性で住んでいたのが私です」
現代のみなさんにとっては、まったくわからない感覚ですよね、きっと(笑)。
少女向け作品も男性の作家が執筆。理由は…。
18歳で上京し、豊島区にあったトキワ荘に住みました。トキワ荘とは、駆け出しのマンガ家ばかりが住んでいた木造2階建てのアパート。私が住んでいたときは、『ドラえもん』の藤子・F・不二雄さん、『サイボーグ009』の石ノ森章太郎さん、そして『天才バカボン』の赤塚不二夫さんなどが居住中でした。みなさんもちろんまだまだ若手の時代。ちなみに唯一女性で住んでいたのが私です。
当時、女性マンガ家はほぼ皆無。実は少女向けのマンガも男性が別名で描いていたんです。『ゴルゴ13』でおなじみのさいとう・たかをさんも、別の名義でロマンティックな作品を描いていらしたんですよ。というのも、あの頃の女性は“嫁に行く”のが当たり前だったから。あの時代、仕事に生きる女性なんてほとんどいなかった。でも私に限って言えば、ただただマンガを描きたいから描いていた。「普通の女の生きる道」?そんなものを考えたこともありませんでしたよ。みずの・ひでこマンガ家。
1939年生まれ、山口県出身。’55年、15歳でデビュー。’70年に小学館漫画賞を受賞した『ファイヤー!』が、先日『復刻版 ファイヤー!』上・下として文藝春秋より復刊し、話題に。
※『anan』2023年4月19日号より。写真・内山めぐみ
(by anan編集部)
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