ジェーン・バーキンの想いとは? カメラを通して向き合う、伝説の母と娘のドキュメンタリー
一家揃ってアーティストのセレブファミリーは少なくないけれど、両親どちらも時代のアイコンにして、自身もまた然りというケースは滅多にない。シャルロット・ゲンズブールは、そんな稀有な存在だ。父親は破天荒な才人セルジュ・ゲンズブール、母親はその彼のもとでフレンチロリータな魅力を開花させ、のちにエルメスのあの人気バッグ誕生のきっかけにもなったジェーン・バーキン。そんなふたりの娘として注目を集めて育ちながらも世間に翻弄されることなく、俳優としてのキャリアも幸せな家庭もしっかり築いてきたという意味においてもだ。
カメラを通して向き合う、伝説の母と娘。
本作『ジェーンとシャルロット』は彼女の初監督作にして、母ジェーンを見つめたドキュメンタリー。といっても、そこは母と娘。いわゆるスターの素顔に迫る的なものとは一味違う。
そもそもシャルロットにとって、本作はジェーンに会うための口実だったのだとか。異父姉ケイト・バリーの死を機にニューヨーク暮らしをはじめたことで、母との間にいい距離感が生まれたというシャルロットだが、ジェーンは彼女が10歳になる前にセルジュのもとを去っている。多感な時期を父のもとで過ごした娘と母には、おたがいに遠慮のような気遣いがあったのだ。