2009年10月24日 18:06
辻仁成インタビュー 「アントニオ猪木さんをもう一度、リングに上げたかった」
きっと、あの子が大きくなってこの映画を観たときにグランプリをくれるのか?それともダメだって言うのか?それが僕にとってのこの映画の評価なのかな、と思います」。
作家、ミュージシャンと多くの顔を持ち、その活動は多岐にわたる彼が、その思いを表現するのに映画を選んだのはなぜか?
「時間が経つにつれて少しずつあふれ出してくる思いを、最初は小説にしようかと思った。でも、小説だと自分で書いただけで満足して完結しちゃうんです。でも映画なら演じる人やスタッフがいて、しっかりと“監視”される。『身勝手するなよ!』って(笑)。そうして芝居してもらうたびにみんなの解釈が入るから、自己満足で終わんないんです」。
実際、そうやって周囲の意見を取り入れる中で、新たに生まれたことがいくつもあったという。例えば、北村一輝が扮するケースワーカーがいつも持っている腹話術の人形も。
「北村が言うんですよ。『辻さんの思いはこんなもんじゃないはずだ』って(笑)。それで第一稿を書き直したんです。『北村が言ってくれたことはどういうことなのか?』って考えて、こういう風に“父親”を示せってことなのかな、と。それで腹話術師という設定が生まれたんです。