2023年10月14日 17:00
止まらない“承認欲求”…現代の空気感をリアルに描く『シック・オブ・マイセルフ』
アーティストである恋人のトーマス(エイリック・セザー)が脚光を浴び始め、嫉妬を抱くシグネ(クリスティン・クヤトゥ・ソープ)。彼女は、あるきっかけから承認欲求をエスカレートさせていく。しかし、その方法はあまりに危険で――。
「承認欲求」はインターネットの台頭で加速し、SNSが生活に浸透していくにしたがって最早三大欲求(食欲・睡眠欲・性欲)に付随するレベルにまで肥大してしまった感すらある、いわば現代病のひとつ。当然、様々な映画でも題材に取り上げられてきたが――これは個人的な感覚だが、その正体を的確に表せている作品はあまり多くないように思う。その要因の一つは、世代的な問題だ。青春時代をネットやSNSと共に過ごすことを免れた世代の作り手は、どうしても他者的な批判・批評めいた目線でこの問題を斬りがち。ただ我々(ゆとり~Z世代)においては、「そうではない」ことが肌感としてわかるのではないか。
我々自身が実生活で経験している日常的な悩みでもあるからだ。
例えば同じA24の『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』のボー・バーナムは1990年生まれ、『メインストリーム』のジア・コッポラ監督は1987年生まれ。