2015年8月28日 12:18
理研、脂質が異なる種類の感覚を脊髄で分けていることを発見
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理化学研究所(理研)は8月28日、皮膚で痛みを感じる「痛覚」や自分の関節の位置や動きを感じる「固有感覚」といった異なる種類の感覚を、脊髄で放出される脂質「LysoPtdGlc」が、各感覚を分けることで、脊髄以降、脳に至るまで混線することがなくなることを発見したと発表した。
同成果は、理研 脳科学総合研究センター神経成長機構研究チームの上口裕之チームリーダーと神経膜機能研究チームの平林義雄チームリーダー、東北大学 大学院薬学研究科の青木淳賢教授、東京大学 大学院総合文化研究科の太田邦史教授らによるもの。詳細は米国の科学雑誌「Science」に掲載された。
さまざまな感覚は、それを伝える神経細胞の突起(神経突起)が脊髄の特定部位を通り、最終的に脳へ投射されることが知られていたが、これまでの研究では、この神経突起の分別を行うタンパク質などは発見されておらず、研究チームは、この分別がタンパク質の働きだけでは説明が難しいことから、脂質によって制御されているのでは、と考え、その検証作業を行ったという。
その結果、脊髄を構成する神経細胞以外の細胞(グリア細胞)が、特定の部位で脂質を産生し、その代謝産物が痛覚神経突起のみを反発して固有感覚神経突起から分離させる役割を担っていることを突き止めた。