2015年11月12日 10:30
航空会社のつくりかた (11) スターフライヤーが営業黒字化になるまで
堀高明代表取締役社長とともにスターフライヤーを立ち上げたひとりとして、スターフライヤー創業の歴史をここに記していこうと思う。前回、関空での苦戦とブランディングの価値をテーマにお話した。最終回の今回は営業黒字化になるまで、そして、スターフライヤーを通じて実施してきたコラボレーションをまとめて紹介したい。
○「おなか」の活用
2006年3月の就航からの2年間は2ケタの赤字となったが、3年目に向けて黒字化への道筋はだんだんと見えてきていた。その中でずっとおぼろげに考えていたのは「空っぽのおなか」、すなわち客席下の貨物室だ。
中小エアラインは貨物事業にはあまり興味がない。大手でさえ収益化するのが大変で、ここで余計な設備投資やコストをかけても収支改善の手助けにはなりにくいからだ。筆者が思っていたのは、「自分で貨物事業をすると手に余る。
貨物室もひとつのコードシェアのツールと考え、コストをかけずにスペースを丸ごと売れないか」ということだった。
しかし、航空貨物に長年の蓄積を持つフォワーダー相手にはなかなか交渉も大変なので、どこか適切な提携先がないかと相談しているうちに、福山通運が航空貨物に今後注力しようと考えているので話をつないでもいい、という紹介をいただいた。