くらし情報『理研など、微弱な電気刺激がマウスの脳機能を活性化させるメカニズムを解明』

2016年3月23日 14:42

理研など、微弱な電気刺激がマウスの脳機能を活性化させるメカニズムを解明

そこで今回、同研究グループは、アストロサイトとニューロンの細胞内カルシウム動態をリアルタイムで観測できる遺伝子改変マウスを作製し、tDCS前後の大脳皮質のカルシウム動態を計測した。

この結果、tDCSによって大脳皮質におけるアストロサイトの細胞内カルシウム濃度が一過的に著しく上昇することを発見。さらに、tDCS後に視覚刺激などの感覚刺激に対するニューロンの応答が大きくなることから、シナプス伝達の増強が起こることを見出した。一方、アストロサイトのカルシウム応答を抑制した遺伝子改変マウスでは、tDCSによる感覚刺激に対する応答は増強しなかったという。

次に、同研究グループは、tDCSがアストロサイトのカルシウム応答を引き起こす要因のひとつとして神経伝達物質の1種「ノルアドレナリン」に着目。薬理学的手法を用いてこれを検証した結果、「α1アドレナリン受容体(A1AR)」の働きを阻害する「プラゾシン」を投与した場合、tDCSによるアストロサイトのカルシウム応答が消失することがわかった。また、tDCSがシナプス伝達の変化にもたらす効果を調べるために、さまざまな感覚刺激によって誘発される脳波の応答の比較を行ったところ、tDCSを行なったマウスでは、60分間で脳波応答の大きさが平均約35%増大し、シナプス伝達が増強することがわかった。

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