2012年7月2日 16:50
猛毒・フグの卵巣が珍味に生まれ変わる! 石川県の名産品を食べてみた
下手な調理をすれば、たちまち人を死出の旅路に誘う毒魚・フグ。
毒の正体・テトロドトキシンはフグの体内に蓄積されるのだが、特に卵巣や肝臓は含有量が多い。
加熱しても消えないというこの猛毒が含まれる卵巣を、珍味に変身させてしまう食品加工技術が石川県に伝承されている。
石川県の伝統食品「フグの子の糠漬け」がそれである。
原料は、日本海で水揚げされるゴマフグの卵巣。
このままでは猛毒だが、たっぷりの塩に1年間ほど漬け込んだ後、米糠で漬け直し、イワシの魚醤を適宜注ぎながら熟成を重ねること3年間。
乳酸菌や酵母などが作用して、さしもの毒素も完全に分解され、風味豊かな石川県名物「フグの子の糠漬け」となる。
1個1,000円程度で購入でき、多くのサイトでネット販売もしている。
「石川県ふぐ加工協会 検査済之証」の赤いシールが貼られたパッケージの封を開ければ、まず豊かな香りが鼻腔をくすぐる。
米糠と魚醤が醸し出す香気は、あたかも上等なチーズのよう。
まず表面の米糠をぬぐい落として表面の膜をはがせば、濃い琥珀色に染まった卵がパラパラにほぐれる。
これをごはんにかけるか、箸先につけて舐めながら日本酒を味わうのが基本の楽しみ方。