2012年12月31日 15:50
【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(29):もしも宇宙エレベーターが完成したら
大手総合建設会社・大林組が宇宙エレベーター構想を発表した。2050年に運用開始というから楽しみだ。
もしも宇宙エレベーターが完成したら、安全に宇宙に行けるに違いない。そう思っていたが、大出力のレーザー光、気圧や温度、ケーブルの切断など、ロケット同様に危険に満ちた旅になるだろう。
■10万kmのクモの糸
日常生活でエレベーターと言えば、垂直のエレベーター・シャフト内を移動する装置だが、宇宙エレベーターは地上と大気圏外をつなぐケーブルだけで、まわりを囲む構造物はない。ケーブルの片側を地球に固定し、もう一方を宇宙にただよわせる。
すると地球の自転で遠心力が働き、たるまずにケーブルが張れるのだ。高度15万kmまで伸ばせばケーブルだけで十分だが、10万kmぐらいでは遠心力が足りないので、端にカウンター・ウェイトと呼ばれるおもりを付けて張力を増す。
月から見れば、宇宙から垂れたクモの糸程度の大きさだろうが、このケーブルを伝ってクライマーやシャトルと呼ばれる「かご」が昇降し、人間や荷物を宇宙に運ぶのだ。
長さ10万kmを超えるケーブルは、それ自体が膨大な重量となる。自分の重さで切れてしまう破断長は、鋼材ワイヤーが50km、防弾チョッキに使われるケブラーでも200km程度だから役に立たない。