「能楽」で好奇心の扉を開く。素敵なあなたにすすめたい和の習い事
文豪・夏目漱石や、日本文化に関する随筆を多数発表してきた白洲正子さんといった著名人の趣味としても愛されてきた能楽。
能楽協会によると、江戸時代初期には「能の謡を習う」ということが一般に広まっていたそうで、その繁栄ぶりは現代のカラオケ文化にも例えられるほどなのだとか。
江戸時代から現代まで、長きにわたってお稽古事としても続く「能」には一体どんな魅力があるのでしょうか。
今回は、お稽古ごととしての能の魅力について、プロの能楽師として忙しい毎日を送るかたわら、素人のお弟子さんの指導を行う谷本健吾さんにお話を伺いました。
シテ方観世流能楽師の谷本健吾さん。シテ方とは、能のシテ(いわゆる主役のこと)を演じるほか、地謡(コーラス)、後見、大道具作成なども行う。(撮影:今村綾子)
■声と身体をつかう、能のお稽古
お稽古ごととしての「能」の魅力とは。(撮影:今村綾子)
――まずはお稽古の内容について軽くお聞かせください。
谷本さん:普段お弟子さんにお教えしているのは、能の「謡」と「仕舞」になります。
「謡」では能の台本である「謡本」を使用してその詞章を謡うこと、「仕舞」では能の舞における基本的な所作(型)