2018年9月21日 12:00|ウーマンエキサイト

「パパの仕事、恥ずかしい」と思われたら…。理想の父を演じることは重要?

新日本プロレスの人気レスラー、棚橋弘至が主演を務めていることが話題の映画『パパはわるものチャンピオン』

目次

・自分の仕事を子どもに説明できますか?
・父親は、一度失った信頼をどう取り戻すのか
・子どもにとって「父親は人気のある職業」は大切か
・等身大の自分を子どもに見せることも大切!?

『パパはわるものチャンピオン』

©2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会


『パパのしごとはわるものです』『パパはわるものチャンピオン』という2冊の絵本をもとにしている本作は、親子で楽しめるファミリー・ムービーといっていいでしょう。ただし、それだけでは終わらない。とくに子育て世代の父親にとっては自分の仕事について、そして生き方について深く考える機会になるかもしれません。

■自分の仕事を子どもに説明できますか?


『パパはわるものチャンピオン』

©2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会


ところで、みなさんは自分の仕事がどんなものかを子どもに伝えているでしょうか? 大人になれば自然とわかることなので、小さいころにはきちんと説明していないケースが多いのではないでしょうか。

理由は、なかなか小さい子には説明しづらいから。私のようなフリーランスの物書きは、はっきりいって言葉に窮します(苦笑)。それ以外にもいろいろな理由があると思うのですが、父親としては知られるのがちょっと恥ずかしいという思いもどこかにあるのではないでしょうか。

親としては、小さい子どもには大きな夢や希望を抱いてもらいたい。でも、小さな子どもにとって憧れの対象になるような、「すごい!」と思ってもらえるような職種や自らの希望に沿った仕事に就いていない父親も多いでしょうし…。だから自分の仕事が、子どもの気持ちを削いでしまうのではないかという心配があります。

それで「ちょっと打ち明けるには」と、とまどう気持ちが、私を含む名もなきお父さんたちの心のどこかにある。
この作品はまさにそこがひとつのポイントになっています。

■父親は、一度失った信頼をどう取り戻すのか

物語の構図を簡単に説明すると、父親の大村孝志はプロレスラー。もともとは花形レスラーとして活躍していましたが、ケガで第一線で活躍することは無理になり、いまはゴキブリマスクという悪役で現役を続けています。

プロレスラーという仕事に誇りを持っている彼ですが、一般ファンから見ると反則ばかりを繰り出す嫌われ役。ゆえに息子の祥太(寺田心)に自分がどういう仕事をしているのか言い出せない。いつか明かさないといけないことはわかっている。けれども、勇気が持てずに、のばしのばしにしてしまいます。

一方で、息子の祥太は父が悩んでいる間に着実に成長して9歳に。
巡業で家を空けることも多く、授業参観をはじめ学校行事に出席することもめったにない父がどんな仕事をしているのか興味を抱きます。

ただ、父親や母親の詩織(木村佳乃)に問うても、はぐらかされる。それで、もうこれは実力行使で直接確認するしかないと、ある日、こっそり父の後をつけて、プロレスラー、しかもゴキブリマスクということを知ってしまいます。
『パパはわるものチャンピオン』

©2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会


このときの、祥太の落胆ぶりといったらない。力持ちでいつも優しいパパが、リングの上でゴキブリのマスクをかぶって観客から大ブーイングを浴びている。「正々堂々」と教えてくれたはずのパパが、反則ばかりしている…。

あまりに動転したのもあって、祥太はプロレスの大ファンでたまたま試合をみにきて遭遇してしまった同級生の女の子に自分のパパは人気レスラーで正義の味方「ドラゴンジョージ」と言ってしまいます。そして、これまでうそをついていた父に怒り、思わず「わるもののパパなんて大嫌い」と言ってしまいます。


この言葉を受けた孝志は意気消沈。でも、ここから彼の父親としての信頼回復への巻き返しが始まります。

はたして、孝志はどんな行動をとったのか? それこそが世のお父さんたちに、大きな気づきを与えてくれるはずです。

■子どもにとって「父親は人気のある職業」は大切か

『パパはわるものチャンピオン』

©2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会


祥太の言葉に深く傷ついた孝志は、最初は息子のためにフラシュライトをあびていたころのヒーローに戻ろうとします。でも、そこで立ち止まる。それは悪役プロレスラーという仕事を否定することではないか? それは自分がこれまで歩んできた道を否定することでもあるのではないか。それほど自分は恥ずかしい生き方をしてきたのかと。

そのあとの彼の決断には、思わず納得させられると同時に「はっ」と気づかされるはず。
自分は孝志と同じようにできるのかと問いたくなります。

孝志は勇気をもって祥太に自分という人間を包み隠さずさらけだします。その生きざまを見せることが、祥太の心を動かします。それがタイトルの「パパはわるものチャンピオン」という言葉につながっていきます。
『パパはわるものチャンピオン』

©2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会


ステイタスのある仕事かどうか、人気のある職業かどうかなんて、子どもには関係ない。どんな仕事でもいい。

問題は、父親がその仕事をいっしょうけんめいにやっているかどうか。人として誤ったことをしていないか。
生き生きとしているか。自信をもって自分の背中を見せることさえできれば、きっと子どもたちはわかってくれる。子どもにとってはそれが重要なんだと教えてくれます。

■等身大の自分を子どもに見せることも大切!?

“いい父親”でありたい。ゆえに、見栄を張るつもりがなくても、子どもの前では親というのはいいところを見せたくなるものです。それはそれで悪くない。

でも、ときに背伸びをしないで、ちょっとカッコ悪いかもしれないけど、等身大の自分を子どもに見せることも大切かもしれない。そんなふうに本作を観ると、思えてきます。
そして、ひとりの父親としてしっかりしなければと思った次第。

理想の父親像を演じるのではなく、現実の自分を見せる。そのことが恥ずべきことではないことに本作は気づかせてくれます。もしかしたら、よきパパであろうとしているお父さんたちの肩の荷がちょっとだけ下りるかもしれません。
『パパはわるものチャンピオン』
2018年9月21日(金)全国ロードショ!!
『パパはわるものチャンピオン』
配給:ショウゲート

かつてエースレスラーとして名をはせながら、ケガで悪役レスラーのゴキブリマスクになった大村孝志。悪役ゆえ、彼は自分の仕事を9歳の息子の祥太に言い出せないでいた。そんなある日、偶然、祥太にそのことがバレてしまい、彼と息子の間には溝が……。
息子との関係を修復するため、彼は人生を賭けたタイトルマッチに挑む! プロレスラーの父と多感な時期に差し掛かった9歳の息子の絆を描く、ファミリーで観たい感動物語です。

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