コミックエッセイ:夫婦・子育ていまむかし
「美人薄命」の本来の意味とは? 国を滅ぼすレベルの美女「楊貴妃」の生涯【夫婦・子育ていまむかし Vol.30】
ふたりで色ボケを続けた結果…
悲劇的な最期を迎えることに
楊貴妃が明確に行なった政治介入は、玄宗に気に入られたオリエンタルな武将、安録山を養子にしたことぐらいでしょうか。これが皮肉にも、自身の首を絞める原因となりました。
イラン系×トルコ系の血を引く豪放な性格で9ヶ国語を操るビジネスと政治センスに溢れる武闘派、安録山。パフォーマンスも派手でそりゃあこんな人面白いに決まってる。玄宗も楊貴妃も成り上がってきたこの男を大いに気に入り、節度士という国境を守る地位を与え、結果的に莫大な軍事力を持たせることになってしまいます。
そして子のいない楊貴妃が、彼を養子に迎え、なんと…いい歳したおじさんにおむつをはかせてお風呂に入れる遊びもしたとか……え?…えぇ? これは有名な逸話の一つですが、事実じゃなく後世で誇張された創作話の可能性も。想像すると気持ち悪いですもんね…。
安録山は通常都を遠く離れた辺境の地で任務についているため、皇帝のすぐそばに侍る楊国忠が自分を失脚させようと諫言をしたりしていないかと疑心暗鬼になっていきます。そして軍事力を掌握していくことで楊一族に並ぶ勢力となり、
安史の乱を引き起こすのです。
国の8割の武力は安録山が掌握していたため、平和ボケしていた唐軍は都を守れずあっという間に陥落。玄宗と楊貴妃は都を捨てて楊貴妃の出身地、蜀に逃げることになりました。
しかし玄宗と楊貴妃についていた唐軍兵士たちが、過酷な逃亡の過程で疲弊し空腹で不満が爆発。この騒動の原因を作った楊国忠とその一族を皆殺しにしろ!と集団ヒステリー状態になってしまうのです。
そして…玄宗も楊貴妃とその家族を守ることができなくなり、楊貴妃は玄宗によって自ら命を絶つよう命じられます。楊貴妃は玄宗に非常に愛されていたにもかかわらず、このような悲劇的な最期を迎えるのです…。
そしてこの騒動の後は、安録山も死亡。乱はひとまず収束したものの、一気に唐王朝はガタガタと崩れ落ちていくのでした。