2017年11月30日 20:00
音楽を描いた画家、パウル・クレー【NADiffオススメBOOK】
木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、『パウル・クレー 絵画と音楽』。東京・渋谷の支店 NADiff modern(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1階)によるご紹介です。
■『パウル・クレー 絵画と音楽』 ハーヨ・デュヒティング(著)、後藤文子(訳)
色の濃淡が音のうねりを想起させ、まさに「音楽を絵にした」とされるクレーの絵画。
オペラなどに想を得た作品の制作はもとより、リズム、音の調和など音楽を形作る要素や、五線譜、音符などの記号を絵画のための素材として、新しい表現を次々と生み出した。
それはバイオリニストとしての音楽経験にのっとり、美術学校の教師として音楽と美術の関係を探求したゆえの成果だったといわれている。
クレーは後半生をナチスに追われて故郷のスイスに亡命せざるをえなかった苦しい状況の中で共に助け合った画家がいたといわれている。
それは、ドイツ生まれの画家オットー・ネーベルである。
バウハウスでクレーと出会い長きにわたる友情を育みその後も影響を与えあったといわれ、彼も自らをオーケストラの指揮者になぞらえ音の表現を色とフォルムに置き換えた作品を数多く残している。