2021年12月3日 11:24
電車や店で癇癪を起こす子供 障害がある子と接した大人が気付いたことは…【きしもとたかひろ連載コラム】
その度に僕は周りの目を気にして言い訳するように「静かにしようね」と声をかけた。
本当はその子のことを怒る必要なんてないのに、周りの目を気にして怒らなきゃいけないように感じて半ばアピールのように怒ってしまっていた。
その子は悪くないのに、静かにしなきゃいけない場所とその子とがただ噛み合わないだけなのに、もし大きな声を出してしまうにしても、出さないように工夫するにしても、その子がしんどくないようにできたかもしれないのに。
電車に乗って、赤ちゃんが泣き止まなくて周りに謝っていたり、飲食店で癇癪(かんしゃく)を起こして叫んでいる子に静かにするよう怒っていたりする場面を見るたびに、その時の後悔を思い出す。
本当は怒らなくていいのに怒ってしまうことって、お互いにとてもしんどいんだよね。誰も悪くないもん。迷惑かもしれないけれど、変なやつだと思われたかもしれないけれど。
「大丈夫ですよ、気にしないで大丈夫だから」と伝えたかったんだよな。
下手だったけど。
幼児や小学生と電車に乗るとき、「静かにしていようね、大事なことだからね」と教育や躾の上で大切なことのように話していた。静かにじっとできてえらいね、と褒めてあげることもあった。