2022年2月9日 12:19
隣に住む一人暮らしのおばあさん 人見知りの中学生が、お菓子を届けに行くと…?
唯一、ほっと一息つけるお菓子作りは、学校や心のざわざわとしたものをすうっと収めてくれる、ささやかな楽しみになっていた。出来上がりを想像しながらワクワク、工程ごとに夢中になる。
そのうち甘い香りが部屋中に満たされ、出来上がりの可愛い姿を愛でながらうっとり。その後も、家族と一緒に食べて、みんなで「おいしい!」を共有できるのだ。彼女にとってこれほど癒しになるものはないだろう。
そんな時、ふと「隣のおばあちゃん大丈夫かな?」と呟いた。ちょうど最初の緊急事態宣言が出た頃だ。「マスクがない」とみんなが騒いでいたあの頃。
我が家も必要な買い物以外はほぼ家で過ごし、今以上に落ち着かない日々だったことを覚えている。
その『隣のおばあちゃん』とは、一人暮らしのご近所さん。田舎の祖父母よりもご年配だ。いつも庭のお花を大切に育てながら、丁寧に暮らしていらっしゃる。
でも、コロナ禍でお互い家に閉じこもり、様子を伺うことがほぼなくなった。確かに気になる。すると、「そうだ、お菓子を作っておばあちゃんに持っていこう!」と提案してくれた。
早速、バナナケーキを焼いてくれた。
そして、おばあちゃんが食べきれる量を包んで、得意な絵付きの手紙も添えて。