2022年8月2日 18:08
【『初恋の悪魔』感想3話】キモくても、されど人生は続く・ネタバレあり
3話で語られるのは、常にエキセントリックで、傍若無人に見える鈴之介が語る痛みである。
普通に人を(この場合を星砂を)好きになればいいのだと善意から諭す悠日に、鈴之介は諦めたようにこう返す。
「君は人から気持ち悪いと言われたことはないだろ?馬淵くん。君は、優しい人だけど、そういうことを言ってはいけないよ。普通という言葉に恐れを抱き、おびえてしまう人間は存在するんだ。たとえどんなカテゴリーに入っても、そこでの僕は変わり者なんだ」
初恋の悪魔ーより引用
あの日、フォークダンスで差し出した手を気持ち悪いと拒否されはしないか怖かった。後で陰口をたたかれてはいないかと不安で怖かった。
突然届いた異性からの手紙は、自分をからかおうとしている何かなんじゃないかと怖かった。
怖くて近寄れないから、自分にはそれを欲しがる感情はないのだと心に言い聞かせる。孤独が好きなんじゃなくて、傷つくよりは孤独の方がまだましだと思っている。
変わり者だから容易に周囲から踏み付けられはしないけど、忌避されてきた青年の人生が、その独白一つで視聴者の眼前にパノラマのように広がる。
台詞に加えて、改めて『気持ち悪い男の人生』を体現する林遣都の演技が素晴らしい。